JP4397480B2 - カチオン硬化性樹脂組成物、製造方法、その塗料及び塗装物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)、水酸基及びエポキシ基を有するアクリル樹脂(b)、リン酸アルキルエステル(c)、およびカチオン重合開始剤(d)からなるカチオン硬化性樹脂組成物、その製造法、それを使用した塗料、一液型塗料、及びその塗装物に関するものであり、その塗膜は、硬化性、潤滑性、密着性などに優れる。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ化合物を紫外線や熱により短時間で架橋硬化させる方法としては、カチオン重合性組成物が知られている。これらの組成物の塗膜物性を向上させるために各種の化合物を併用する方法が検討されてきている。
特開平3−128975号公報には、紫外線硬化型エポキシシリコン/ポリオールの系が、特開昭59−202264号公報には、エポキシ化合物とヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサンの系が紫外線硬化型カチオン重合組成物として挙げられている。特開平11−1631号公報には、エポキシ化合物と樹脂粒子、光カチオン重合開始剤を用いた潤滑性の優れた塗膜をつくる組成物が挙げられている。特開平10−251484号公報には、エポキシ化合物とオルガノポリシロキサン、ワックス、光カチオン重合開始剤からなる潤滑性などに優れた樹脂組成物が挙げられている。
【0003】
このようなカチオン硬化の系は、金属やプラスチックのコーティングに用いることができ、近年では、金属缶やプラスチックフィルム被覆絞り金属缶用の被覆用途に検討されている。これらの金属缶の塗装においては、塗膜の潤滑性が悪いと塗膜に傷がついたり缶つまりが生じて生産性を著しく低下させることがおこる。そのため潤滑性を向上させるためシリコン類を添加することが一般に行われているがシリコン類は、一般に高価であるうえ別の塗膜や印刷層を乗せる場合、はじきが発生する問題点がある。
【0004】
本明細書では、新計量法施行に伴い、単位として国際単位系を使用する。従って、従来、質量の意味で使用されていた「重量」は「質量」と記載する。これに合わせて、「重量%」、「重量部」等を「質量%」、「質量部」等と記載する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シリコン類を使用することなく、従来品とほぼ同等の塗膜硬度、潤滑性及び金属やプラスチック等との密着性を得ることのできる塗料組成物、その製造法、及びそれを使用した塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カチオン重合性を有するエポキシ化合物に、エポキシ基とヒドロキシル基を有するアクリル樹脂を加えて、リン酸アルキルエステル及びカチオン重合開始剤の存在下に硬化させると、アクリル樹脂がエポキシ化合物から生じたカチオン種と反応することにより、上記問題点を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1は、1分子中に1〜2個のエポキシ基を持ち、エポキシ基のうち1個以上は脂環式エポキシ基である、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)20〜90質量%、および水酸基、及びグリシジル基及び/又は脂環式エポキシ基を有するアクリル樹脂であって、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)5〜45質量%、水酸基を含有する共重合モノマー(f)0.5〜40質量%及びその他の共重合成分としての(メタ)アクリル系共重合成分(g)((e)と(f)と(g)の合計は100質量%である。)からなるアクリル樹脂(b)80〜10質量%、((a)と(b)の合計は100質量%である。)からなる樹脂分100質量部に対して、リン酸アルキルエステル(c)0.1〜20質量部、およびカチオン重合開始剤(d)0.5〜30質量部を添加してなるカチオン硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の第2は、樹脂分中のオキシラン酸素濃度が6〜11質量%であることを特徴とする本発明の第1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の第3は、リン酸アルキルエステル(c)がリン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル、又はこれらの混合物である本発明の第1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の第4は、本発明の第1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物の製造方法であって、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)中で、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)、水酸基を含有する共重合モノマー(f)及び(メタ)アクリル系共重合成分(g)を共重合させてアクリル樹脂(b)を得た後、リン酸アルキルエステル(c)及びカチオン重合開始剤(d)を添加することを特徴とするカチオン硬化性樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第5は、本発明の第1〜3の何れかに記載のカチオン硬化性樹脂組成物を用いた塗料を提供する。
本発明の第6は、一液型として使用される本発明の第5に記載の塗料を提供する。
本発明の第7は、本発明の第5又は6に記載の塗料を、金属、樹脂ライニング金属、又は樹脂の表面にコートしてなる塗装物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)、カチオン種と反応する官能基を有するアクリル樹脂(b)、リン酸アルキルエステル(c)、およびカチオン重合開始剤(d)からなり、カチオン硬化性塗料として使用され、塗装物は潤滑性に優れる。
【0009】
初めにカチオン硬化性樹脂組成物を得るための各原料について説明する。
カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)
カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)としては、エポキシ基を有する低粘度な化合物が使用可能であり、グリシジルエーテル、グリシジルエステルなどの末端エポキシを持つ化合物;内部エポキシを持つ化合物;脂環式エポキシ基を持つ化合物等が挙げられる。
上記のエポキシ化合物(a)のエポキシ基は後述するカチオン重合開始剤(d)由来のカチオン(M+とする。)により、以下のようにエポキシ基が開環重合する。
【0010】
【化1】
【0011】
これらのエポキシ化合物(a)の中でカチオン重合性、粘度等の点を比較すると、分子内に1個以上の脂環式エポキシ基を持つエポキシ化合物が望ましい。脂環式エポキシ基を持つエポキシ化合物としては、例えばCEL−2021P(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量128〜140、粘度200〜350cP/25℃),CEL−2021A(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量130〜145、粘度200〜450cP/25℃)、CEL−2000(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン)、CEL−3000(1,2,8,9−ジエポキシリモネン、エポキシ当量93)(以上、ダイセル化学工業社製);デナコールEX−421、同201(レゾルシンジグリシジルエーテル)、同211(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)、同911(プロピレングリコールジグリシジルエーテル)、同701(アジピン酸ジグリシジルエステル)(以上、ナガセ化成工業社製)が挙げられる。
【0012】
さらに、エポキシ化合物(a)にはカチオン重合性を持つ化合物であるビニルエーテル(例えばシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。)や、オキセタンなどを併用することができる。これらビニルエーテルや、オキセタンを配合する場合は、エポキシ化合物(a)100質量%に対して40質量%以下にすることが望ましい。
【0013】
カチオン種と反応する官能基を有するアクリル樹脂(b)
カチオン種と反応する官能基を有するアクリル樹脂(b)とはエポキシ基及び水酸基を持つアクリル樹脂のことである。また、カチオン種とはカチオン重合開始剤(d)により、上記エポキシ化合物(a)が開環重合して生じたものである。したがって、カチオン種と反応する官能基とはアクリル樹脂(b)中のエポキシ基のことである。
アクリル樹脂(b)は、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)と水酸基を含有する共重合モノマー(f)、その他の共重合成分としての(メタ)アクリル系共重合成分(g)及び必要に応じて加えられる芳香族系共重合成分(h)を重合開始剤(i)により重合して得られる。
【0014】
以下、アクリル樹脂(b)を構成する成分及びそれらの組成比を説明する。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)としては、グリシジルエステル基、類似の末端エポキシ基や、脂環式エポキシ基などを有する(メタ)アクリル酸エステルが使用できる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)としては、具体的には、グリシジルメタクリレート(GMA)、グリシジルアクリレートの他に、2−メチル−グリシジルメタアクリレート(M−GMA)、2−メチル−グリシジルアクリレート、エポキシ化イソプレニル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有するメタクリル酸エステルであるCYM M−100(エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ当量約190)、脂環式エポキシ基を有するアクリル酸エステルであるCYM A−200(エポキシ当量約205)(以上ダイセル化学工業製)等が挙げられる。
アクリル樹脂(b)中のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)の比率は、5〜45質量%である。
(e)の比率が上記範囲より少なすぎると硬化不良となり、上記範囲より多すぎるとコストが上昇する等の問題が生じる。
【0015】
水酸基を含有する共重合モノマー(f)
水酸基を含有する共重合モノマー(f)は、1個以上の水酸基を有し、(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸エステルと共重合するものであれば特に制限はない。具体的には、ヒドロキエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキエチルメタクリレート(HEMA)、及びこれら水酸基含有(メタ)アクリレートをε−カプロラクトンにより変性したものとしてPCL−FM1(HEMAのカプロラクトン付加物、水酸基価230mg-KOH/g)、PCL−FM3(HEMAのカプロラクトン付加物、水酸基価119mg-KOH/g)、PCL−FM10(HEMAのカプロラクトン付加物、水酸基価46mg-KOH/g)、PCL−FA1(HEAのカプロラクトン付加物、水酸基価244mg-KOH/g)、PCL−FA3(HEAのカプロラクトン付加物、水酸基価122mg-KOH/g)(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
水酸基を含有する共重合モノマー(f)中の水酸基の量は、水酸基価として1〜300mg-KOH/g、好ましくは、1.5〜250mg-KOH/gである。
アクリル樹脂(b)中の共重合モノマー(f)の比率は、0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%である。
(f)の比率が上記範囲より少なすぎると密着性低下や硬化不良を生じ、上記範囲より多すぎると粘度上昇、硬化不良、コストアップを生じる。
【0016】
その他の共重合成分(メタ)アクリル系共重合成分(g)
(メタ)アクリル系共重合成分(g)としては、アルキル基の炭素原子数が2〜10個、好ましくは1〜5個のアルキル(メタ)アクリレート単量体が使用できる。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチルなどが挙げられる。
アクリル樹脂(b)中の(メタ)アクリル系共重合成分(g)の比率は、100質量%から上記(e)及び(f)を差し引いた値である。
【0017】
その他の共重合成分(メタ)アクリル系共重合成分(g)には、必要に応じて芳香族系共重合成分(h)を加えることができる。
芳香族系共重合成分(h)としては、スチレン類が使用できる。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
芳香族系共重合成分(h)の添加量は、(メタ)アクリル系共重合成分(g)100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは1〜20質量部である。
(h)の比率が上記範囲より多すぎると可撓性が低下する。
【0018】
重合開始剤(i)
これらエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)、水酸基を含有する共重合モノマー(f)、(メタ)アクリル系共重合成分(g)、及び必要に応じて加えられる芳香族系共重合成分(h)を共重合させてアクリル樹脂(b)を得る場合、開始剤(i)を用いることができる。
開始剤(i)としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、アセチルパーオシキド、メチルエチルケトンパーオキシド、コハク酸パーオキシド、ジセチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、ABN−E(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))、ABN−V(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)など使用することができる。
開始剤(i)の使用量は、得られるアクリル樹脂(b)100質量部に対して1〜10質量部、好ましくは、3〜6質量部である。
開始剤(i)は、一部をあらかじめ反応器に仕込んでおいてもよいし、単量体に配合して、又は配合せず別々に滴下してもよい。また、単量体を仕込んだ後に開始剤(i)を追加仕込みを行ってもよい。共重合反応の温度については、90〜130℃、好ましくは、100〜120℃である。130℃以上では、重合が不安定になり高分子量の化合物が多く生成し、90℃以下では、反応時間がかかりすぎる。
【0019】
また、通常のカチオン重合性を持たない溶剤を共重合時の溶媒として使用してアクリル樹脂を合成した後、脱溶剤を行ってからエポキシ化合物(a)で希釈し組成物とすることができる。使用できる溶剤は、トルエン、キシレンなどの芳香族類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メトキシプロピレングリコールアセテート等のエーテル類などを単独または、混合して使用することができる。
共重合時の溶媒として、エポキシ基を有する上記化合物(a)を使用することができる。この場合、共重合反応後溶媒を留去する必要がないという利点がある。
【0020】
エポキシ化合物(a)とアクリル樹脂(b)の組成比は、エポキシ化合物(a)とアクリル樹脂(b)の合計である樹脂分100質量%中に、エポキシ化合物(a)、20〜90質量%、好ましくは、40〜80質量%であり、残りはアクリル樹脂(b)である。
(b)の比率が上記範囲より少なすぎると塗膜の乾燥性や可撓性が低下し、上記範囲より多すぎると組成物の粘度が上昇して塗布時の作業性やレベリングが悪くなる。
エポキシ化合物(a)とアクリル樹脂(b)を合わせた樹脂分中のオキシラン酸素濃度は、7.5〜10.5質量%、好ましくは、7.5〜9.5質量%である。
オキシラン酸素濃度が上記範囲より少なすぎると塗膜の硬化不良を生じ、上記範囲より多すぎると可撓性が低下する。
【0021】
リン酸アルキルエステル(c)
リン酸アルキルエステル(c)としては、リン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル又はリン酸トリアルキルエステル、又はこれらの混合物が使用できるが、潤滑性を与える点では、リン酸モノアルキルエステルがもっともよい。これは、アルキル基の鎖状構造が滑り性に影響するものと考えられる。
さらに、通常の2官能型エポキシ化合物のリン酸エステルも使用できる。
リン酸アルキルエステル(c)としては、例えば、ネオネンペンチルグリコールジグリジルエーテルのリン酸付加物であるNPGPO、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CEL−2021)のリン酸付加物であるCEL−2021PO、CEL−2021のモノデシルホスフェート付加物であるCEL−2021POMD(以上、ダイセル化学工業製)、ジブチルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、モノイソデシルホスフェート(MiDPO)、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート(以上、大八化学工業製)などが挙げられる。これらは、1種又は2種以上混合して使用してもよい。
これらリン酸アルキルエステル(c)の樹脂成分に対する配合量は、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)とカチオン種と反応する官能基を持つアクリル樹脂(b)の合計である樹脂分100質量部に対してリン酸アルキルエステル(c)0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部である。
(c)が上記範囲より少なすぎると潤滑性が不足し、上記範囲より多すぎると硬化不良を生じたり、組成物の安定性が低下する。
【0022】
カチオン重合開始剤(d)
カチオン重合開始剤(d)はカチオン重合触媒とも言われ、光又は熱によりカチオン種を発生させるものであるなら特に制限はない。
カチオン重合開始剤(d)としては、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ジアゾニウム塩系、アレン−イオン錯体系等の化合物が使用できる。例えばスルホニウム塩系のUVACURE1590、UVACURE1591(以上、ダイセルUCB社製)、DAICAT11(ダイセル化学社製)、CD−1011(サートマー社製)、SI−60L、SI−80L、SI−100L(以上、三新化学社製)等;ヨードニウム塩系のDAICAT12(ダイセル化学社製)、CD−1012(サートマー社製);ジアゾニウム塩系のSP−150,SP−170(旭電化工業社製)などが挙げられる。
さらに、トリフェニルシラノールなどのシラノール系のカチオン触媒も使用することができる。
上記カチオン重合開始剤(d)の樹脂成分に対する配合量は、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)及びカチオン種と反応する官能基を持つアクリル樹脂(b)の合計である樹脂分100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは、1〜25質量部である。
(d)が上記範囲より少なすぎると硬化不良を生じ、上記範囲より多すぎると硬化物の白化、重合開始剤のブリードアウトが発生し、経済性も低下する。
【0023】
本発明の組成物には、必要に応じて、体質顔料、防錆顔料、着色顔料等の顔料類、反応性希釈剤、有機溶媒、沈降防止剤、タレどめ剤、湿潤剤、反応促進剤、付着性付与剤、脱水剤、消泡剤、レベリング剤などの通常の塗料用添加剤などを適宜含有してもよい。
【0024】
上記、エポキシ化合物(a)、アクリル樹脂(b)、リン酸アルキルエステル(c)及びカチオン重合開始剤(d)の配合の順序や装置には特に制限はなく、従来塗料を製造する方法、装置が使用できる。
【0025】
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、光、熱、又はこれらの併用により硬化させることができる。
たとえば、光硬化させるための光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯などを使用することができる。
熱源としては、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などを使用することができる。
またこれらの光源と熱源を併用も可能である。
【0026】
また、本発明の組成物は、アルミ、鉄、亜鉛処理鋼板、PET、PBT、ポリカーボネート、ナイロン、塩化ビニルなどの樹脂ライニング金属板などの塗料に使用される。上記、塗料の塗装方法には、ロールコート、グラビアコート、グラビアオフセットコート、カーテンフローコート、リバースコート、スクリーン印刷、エアレススプレー、エアスプレー、刷毛塗り、ローラーなどの従来公知の方法が採用できる。上記塗料を乾燥厚膜で5〜200μmとなるように塗布できる。
本発明の組成物は、潤滑性の必要な金属、樹脂などの表面コートに用いることができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、部及び%は、それぞれ質量部及び質量%を示す。
【0028】
[合成例1〜4及び6]
撹拌器、還流冷却管、滴下ろうと、温度計を備えたフラスコにエポキシ化合物としてCEL−2021(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量128〜140、粘度200〜400cP/25℃)(a1)を所定量仕込んだ。エアを吹き込みながら105〜110℃に昇温した後、表1に示すエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e1)〜(e3)、水酸基を含有する共重合モノマー(f1)〜(f4)、その他の共重合成分としての(メタ)アクリル系共重合成分(g1)〜(g3)と開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、安定剤としてパラメトキシフェノール(MEHQ)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間反応を継続させた。
【0029】
[合成例5]
撹拌器、還流冷却管、滴下ろうと、温度計を備えたフラスコにトルエン400質量部を所定量仕込んだ。エアを吹き込みながら105〜110℃に昇温し、表1に示す所定のモノマーと開始剤、安定剤を3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間反応を継続させた。反応終了後、80℃/20Torr(2660Pa)で脱トルエンを行った後、所定量のCEL−2021で希釈した。
【0030】
【表1】
【0031】
[実施例1〜8及び比較例1〜2]
合成例1〜6で得られた樹脂分にリン酸アルキルエステル(c1)〜(c3)およびカチオン重合開始剤(d1)〜(d2)を表2に示す比率で混合し、均一な組成物を得た。
得られた組成物を、実施例1〜6ではPETフィルムに、実施例7〜8ではアルミ板に、比較例1〜2ではPETフィルムに、それぞれバーコーター♯8を用いて塗布し、所定の硬化条件(実施例、比較例とも90mJ/cm2、170℃/1分)で硬化させた。
評価方法
鉛筆硬度:JIS K5400に基づき鉛筆硬度を測定した
潤滑性:塗装されたアルミ板又はPETフィルムを円筒状に巻き、300gの荷重をかけて塗装面同士をこすり合わせ、塗膜に傷が発生するまで擦り回数を測定した。
密着性:JIS K5400に基づき碁盤目テープ剥離試験を行った。
評価結果を表3に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
実施例1〜8では、アクリル樹脂(b)がカチオン種と反応するエポキシ化合物(e)を含んでいるのに対して、比較例1〜2ではカチオン種と反応するエポキシ化合物(e)を含んでおらず硬度及び潤滑性が良くない。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷時にはじきが発生し易く且つ高価なシリコン類を使用することなく、従来品とほぼ同等の塗膜硬度、潤滑性及び密着性を有する塗料が得られ、被覆絞り金属缶表面の塗装などにも使用できる。
Claims (7)
- 1分子中に1〜2個のエポキシ基を持ち、エポキシ基のうち1個以上は脂環式エポキシ基である、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)20〜90質量%、および水酸基、及びグリシジル基及び/又は脂環式エポキシ基を有するアクリル樹脂であって、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)5〜45質量%、水酸基を含有する共重合モノマー(f)0.5〜40質量%及びその他の共重合成分としての(メタ)アクリル系共重合成分(g)((e)と(f)と(g)の合計は100質量%である。)からなるアクリル樹脂(b)80〜10質量%、((a)と(b)の合計は100質量%である。)からなる樹脂分100質量部に対して、リン酸アルキルエステル(c)0.1〜20質量部、およびカチオン重合開始剤(d)0.5〜30質量部を添加してなるカチオン硬化性樹脂組成物。
- 樹脂分中のオキシラン酸素濃度が6〜11質量%であることを特徴とする請求項1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
- リン酸アルキルエステル(c)がリン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル、又はこれらの混合物である請求項1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
- 請求項1記載のカチオン硬化性樹脂組成物の製造方法であって、カチオン重合性を有するエポキシ化合物(a)中で、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(e)、水酸基を含有する共重合モノマー(f)及び(メタ)アクリル系共重合成分(g)を共重合させてアクリル樹脂(b)を得た後、リン酸アルキルエステル(c)及びカチオン重合開始剤(d)を添加することを特徴とするカチオン硬化性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載のカチオン硬化性樹脂組成物を用いた塗料。
- 一液型として使用される請求項5記載の塗料。
- 請求項5又は6に記載の塗料を、金属、樹脂ライニング金属、又は樹脂の表面にコートしてなる塗装物。
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