JP2002079637A - ポリエステルフィルムおよびそのポリエステルフィルムを用いた巻取り型コンデンサー - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびそのポリエステルフィルムを用いた巻取り型コンデンサー

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JP2002079637A
JP2002079637A JP2000272938A JP2000272938A JP2002079637A JP 2002079637 A JP2002079637 A JP 2002079637A JP 2000272938 A JP2000272938 A JP 2000272938A JP 2000272938 A JP2000272938 A JP 2000272938A JP 2002079637 A JP2002079637 A JP 2002079637A
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film
polyester
polyester film
heat
resin layer
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Fumio Nishimura
文男 西村
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐湿熱安定性および耐ブロッキング特性に優
れたポリエステルフィルム、および、そのポリエステル
フィルムを用いたコンデンサーを提供する。 【解決手段】 ポリエステル系樹脂を主成分とするベー
スフィルム1aと、前記ベースフィルム1aの少なくと
も一方の面に積層され、非晶性ポリエステル系共重合樹
脂を主成分とする熱接着性樹脂層1bとからなるポリエ
ステルフィルムであって、前記ベースフィルム1aが、
アンチモン系化合物をアンチモン元素として100〜3
00ppm含有するとともに、前記熱接着性樹脂層1b
中に、球状かつ単分散の二酸化ケイ素粒子を1.0〜1
5重量%含有するポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルフィ
ルム、詳しくはコンデンサー用のポリエステルフィルム
に関し、さらに詳しくは、電子機器の小型化・軽量化お
よびコストダウンの要求を満足させるべく、ポリエステ
ルフィルムに外層機能を付与させるとともに、高温高湿
環境下での接着性すなわち耐湿熱安定性に優れ、しか
も、熱接着性樹脂層の固着性すなわちブロッキング特性
に耐性のあるコンデンサー用のポリエステルフィルムに
関する。また、本発明は、そのポリエステルフィルムを
使用した巻取り型コンデンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエスル系樹脂で形成されたポリエステルフィルム
は、優れた機械的性質、耐熱性、電気的性質を有するこ
とから、フィルムコンデンサーの誘電体として多用され
ている。
【0003】そのようなポリエステルフィルムを使用し
てコンデンサーを作成する場合、まず、ポリエステルフ
ィルムを金属フィルムすなわち金属箔とともに積層させ
て、ポリエステルフィルムと金属成分とが接触した状態
で積層フィルムを形成する。または、ポリエステルフィ
ルムと、金属層を有するメタライズドプラスチックフィ
ルムとを、金属層の金属成分とポリエステルフィルムと
が接触した状態で積層させて積層フィルムを形成する。
【0004】つぎに、コンパクトな形状とするため、形
成した積層フィルムを巻き取ることによってコンデンサ
ー素子を作成する。作成したコンデンサー素子は、通
常、樹脂成分にディピング処理もしくはモールディング
処理される。あるいは、作成したコンデンサー素子は、
金属ケースまたは樹脂ケースに収納される。
【0005】ところで、近年の各種電子機器などの発達
に伴い、ポリエステルフィルムの高特性化が図られてい
る。ポリエステルフィルムの高特性化の要求項目の一つ
として、長期の耐湿熱安定性の要求がある。
【0006】通常、ポリエステルフィルムは金属成分と
の接着性が弱い傾向を有する。特に、高温高湿環境下で
は、ポリエステルフィルムは、金属成分との接着性すな
わち耐湿熱安定性が比較的弱くなる傾向を有する。
【0007】このためフィルムコンデンサーを高温高湿
下に設置させた場合、ポリエステルフィルムと金属成分
との接着界面にて透湿現象が発生して、その結果、ポリ
エステルフィルムと金属フィルムとが剥離する、もしく
は、ポリエステルフィルムとメタライズドプラスチック
フィルムとが剥離することで、コンデンサーの静電容量
が経時的に低下する問題がある。
【0008】そのため、フィルムコンデンサーの耐湿熱
安定性を担保するべく、ポリエステルフィルムと金属成
分との接着性の改良が求められている。たとえば、ポリ
エステルフィルムに対して、塩化ビニリデン塗布層を有
するフィルムコンデンサー、メラミンを必須成分として
配合した塗布層を有するフィルムコンデンサー、尿素樹
脂を必須成分として配合した塗布層を有するフィルムコ
ンデンサーなどが開示されている。
【0009】しかしながら、上述の樹脂組成物を用いた
フィルムコンデンサーは、高温高湿下に設置させた場
合、必ずしも十分にコンデンサーの性能が保持されない
ものであった。
【0010】一方、フィルムコンデンサーのコストダウ
ンを図る目的で、コンデンサーメーカーではコンデンサ
ーの製造過程の条件改善を日々行っている。
【0011】たとえば、巻取り型コンデンサーの製造条
件でリール巻き取り後のプレス工程において、プレス温
度を高く設定したりプレス圧力を高く設定することが行
われた。プレス温度や圧力を高く設定することにより工
程に要する時間が短縮でき、しかもプレスが不十分であ
ることが主原因と考えられるような不良品の割合を低減
させることができるので製造コストの軽減を達成するこ
とができた。
【0012】しかし、プレス後の形状的な不良率は低減
できるが、ポリエステルフィルムから見れば過酷な条件
を採用しているため、コンデンサーの耐電圧や絶縁抵抗
の悪化したものが増加するといった問題が生じた。これ
は、プレス工程において、熱的なストレス受けた結果、
完成したコンデンサーは本来のポリエステルフィルムの
素材として持つ優れた絶縁抵抗や耐電圧性、誘電損失等
から期待されるコンデンサー特性よりも低下したものが
できてしまうと考えられる。このように特性が低下した
コンデンサーは、製造後に電気検査により不合格品とし
て処分されることになり、この不合格率が大きくなると
製造コストが高くなる。
【0013】一方、近年、ベースフィルムと、ベースフ
ィルムの少なくとも一方の面に積層され、非晶性ポリエ
ステル系共重合樹脂を主成分とする熱接着性樹脂層とで
構成される、無外装のコンデンサー用ポリエステルフィ
ルムが使用され始めた。作成したコンデンサー素子の外
装を省略することでコンデンサーの軽量化および製造工
程削減による低コスト化が達成できた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無外装のコン
デンサー用ポリエステルフィルムをロール状に一旦巻き
上げ、その後、再度巻き出し使用する際に、ポリエステ
ルフィルムに積層した熱接着性樹脂層により、ブロッキ
ングトラブルが生じるという問題があった。
【0015】ブロッキングトラブルを避けるために、ポ
リエステルフィルムに積層した熱接着性樹脂層の接着性
能を軽減させると、上述したように、耐湿熱安定性の面
で問題がある。
【0016】本発明は上述の問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、電子機器の
小型化、軽量化およびコストダウンの要求を満足させる
べく、外装の寸法および重量を増大させることなく誘電
体であるポリエステルフィルムに外装機能を付与させる
とともに、耐湿熱安定性および耐ブロッキング特性に優
れたコンデンサー用のポリエステルフィルムを提供する
ことにある。また、本発明の目的は、そのポリエステル
フィルムを用いたコンデンサーを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリエステ
ルフィルムは、請求項1に記載のように、ポリエステル
系樹脂を主成分とするベースフィルムと、前記ベースフ
ィルムの少なくとも一方の面に積層され、非晶性ポリエ
ステル系共重合樹脂を主成分とする熱接着性樹脂層とか
らなるポリエステルフィルムであって、前記ベースフィ
ルムが、アンチモン系化合物をアンチモン元素として1
00〜300ppm含有するとともに、前記熱接着性樹
脂層中に、球状かつ単分散の二酸化ケイ素粒子を1.0
〜15重量%含有するポリエステルフィルムである。
【0018】また、本発明に係るポリエステルフィルム
は、請求項2に記載のように、請求項1記載の発明にお
いて、前記熱接着性樹脂層がコーティング処理によりベ
ースフィルムに積層され、乾燥後の塗布量が0.1〜
2.0g/m2であり、熱傾斜測定器による熱接着開始
温度が80〜120℃であるポリエステルフィルムであ
る。
【0019】また、本発明に係るポリエステルフィルム
は、請求項3に記載のように、請求項1または2記載の
発明において、前記ベースフィルムが2軸延伸されてい
るポリエステルフィルムである。
【0020】また、本発明に係るポリエステルフィルム
は、請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれか
に記載の発明において、前記ベースフィルムの厚みが3
〜30μmであるポリエステルフィルムである。
【0021】また、本発明に係る巻取り型コンデンサー
は、請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれか
に記載のポリエステルフィルムと、金属フィルムもくし
は金属層を有するメタライズドプラスチックフィルムと
を、前記熱接着性樹脂層と前記金属フィルムもしくは前
記金属層とが接触する状態で重ねて層状フィルムを形成
し、前記層状フィルムを巻取して加熱圧着することで得
られる巻取り型コンデンサーである。
【0022】前記ベースフィルムの主成分であるポリエ
ステル系樹脂を重合する際には重合を促進するために触
媒として、アンチモン系化合物がアンチモン元素として
所定濃度含有されている必要がある。そのような重合触
媒としては、三酸化アンチモンやアンチモングリコラー
トなどのアンチモン系化合物を使用することができる。
【0023】前記ベースフィルムには、重合触媒として
使用されたアンチモン系化合物がアンチモン元素として
100〜300ppm含有されている。これは、前記ベ
ースフィルムの主成分であるポリエステル系樹脂を重合
する際のポリエステルの極限粘度は大きいほど、耐電圧
性、機械特性、ならびに長期耐湿および耐熱性に優れる
傾向にあるが、重合する際のポリエステルの極限粘度
は、0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以
上が適しているからである。すなわち、重合触媒として
のアンチモン系化合物の含有量がアンチモン元素として
100ppm未満であれば、重合する際のポリエステル
の極限粘度が0.5dl/g以上にならず、押し出し溶
融による製膜が困難となる場合があるからである。一
方、重合触媒としてのアンチモン系化合物の含有量がア
ンチモン元素として300ppm越えるとコンタミ異物
が発生する場合があり、その結果コンデンサー誘電体に
使用された場合にあっては絶縁不良を引き起こすおそれ
が考えられるからである。
【0024】前記ベースフィルムには、重合触媒として
使用されたアンチモン系化合物がアンチモン元素として
110〜250ppm含有されていることがより好まし
い。また、より好ましくは、前記ベースフィルム中のア
ンチモン系化合物はアンチモン元素として120〜24
0ppm含有されていることが好ましい。さらに好まし
くは、前記ベースフィルム中のアンチモン系化合物はア
ンチモン元素として120〜200ppm含有されてい
ることが好ましい。
【0025】また、本発明に係るポリエステルフィルム
は、非晶性ポリエステル系共重合樹脂を主成分とし、球
状かつ単分散の二酸化ケイ素粒子を1.0〜15重量%
含有する熱接着性樹脂層を有する。
【0026】コンデンサー作製時に、熱接着性樹脂層
が、コンデンサーの導体層を形成する金属成分(金属箔
またはメタライズドプラスチックフィルムの金属成分)
に対して非常に優れた接着性を有するのである。前記熱
接着性樹脂層は、非晶性ポリエステル系共重合樹脂を主
成分とするが、非晶性とは分子の並び方が規則正しくな
くまったく不規則な構造をいう。
【0027】また、前記熱接着性樹脂層を少なくとも片
面に塗布したコンデンサー用ポリエステルフィルムは、
フィルム間におけるブロッキングが発生しやすい傾向が
あるから、本発明では、前記熱接着性樹脂層中に、球状
かつ単分散の二酸化ケイ素を添加させて、フィルム間で
のブロッキングを防止するのである。
【0028】前記二酸化ケイ素粒子は、前記熱接着性樹
脂層に1.0〜15重量%含有されている。前記二酸化
ケイ素の前記熱接着性樹脂層に対する含有量が1.0%
未満であれば耐ブロッキング性が不十分になる可能性が
高く、フィルムコンデンサーの巻き取り加工が困難にお
それがあるからであり、一方、前記二酸化ケイ素の前記
熱接着性樹脂層に対する含有量が15%越えると、耐ブ
ロッキング性は優れているものの、耐湿熱安定性の低下
を引き起こす原因になると考えられるからである。
【0029】なお、上記非晶性ポリエステル系共重合樹
脂には、その性能を阻害しない程度にその他の成分を含
有することが可能である。例えば、滑剤とワックス類な
どを非晶性ポリエステル系共重合樹脂に含有させること
ができる。
【0030】前記ベースフィルムが、アンチモン系化合
物をアンチモン元素として100〜300ppm含有す
るとともに、前記熱接着性樹脂層が、粒径0.01〜2
μm(電子顕微鏡法)の不活性粒子を単分散状態で1.
0〜15重量%含有することでも、耐湿熱安定性および
耐ブロッキング特性に優れたコンデンサー用ポリエステ
ルフィルムを得ることが可能である。ここで、単分散と
は、分散質の形状およびその大きさがそろった粒子から
なる分散系をいい、不活性粒子が単分散状態であると
は、不活性粒子の形状およびその大きさがそろった状態
であることをいう。
【0031】前記熱接着性樹脂層がコーティング処理に
より前記ベースフィルムに積層され、乾燥後の塗布量が
0.1g/m2以上2.0g/m2以下であり、熱傾斜測
定器による熱接着開始温度が80〜120℃である場合
にあっては、さらなる実用上優れた耐ブロッキング性と
十分な耐湿熱安定性を持たせることが可能である。
【0032】熱接着開始温度の温度範囲を80〜120
℃とした理由は、熱接着開始温度が80℃より低い場合
には夏期に上記熱接着性樹脂層を塗布したポリエステル
フィルムがブロッキングしやすい傾向にあるから、コン
デンサー用に加工することが困難になるからであり、一
方、熱接着開始温度が120℃より高い場合には、熱に
よる接着性能が低下し、熱接着性樹脂層とコンデンサー
の導体層を形成する金属とを接着させる際に微小空隙が
できるため、コンデンサーとして絶縁破壊が発生するか
らである。
【0033】また、前記ベースフィルムが2軸延伸され
ている場合にあっては、ベースフィルムとしての耐久性
をより向上させることができてより好適である。なお、
2軸延伸方法には、同時に2軸方向の延伸を行う方法
と、逐次2軸方向の延伸を行う方法とがあるが、いずれ
の延伸方法であっても採用することができる。長手方向
および幅方向の延伸倍率はそれぞれ3〜5倍であること
が好ましく、より好ましくは3.5〜4倍である。
【0034】前記ベースフィルムの厚みが3〜30μm
である場合にあっては、巻取り時の作業効率を上昇させ
ることができてより好適である。すなわち、前記ベース
フィルムの厚みが3μm未満の場合には、巻き取り時に
しわが発生する場合があり、そのため作業性が悪くなる
からであり、一方、前記ベースフィルムの厚みが30μ
mを越える場合には、巻き取り後の径が大きくなりすぎ
て、やはり作業性が悪くなるからである。
【0035】本発明に係る巻取り型コンデンサーは、上
述の請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィ
ルムと、金属フィルムもくしは金属層を有するメタライ
ズドプラスチックフィルムとを重ねて層状フィルムを形
成し、前記層状フィルムを巻取して加熱圧着することで
得られる。ここで、前記層状フィルムは、前記熱接着性
樹脂層と前記金属フィルムもしくは前記金属層とが接触
する状態で重ねて形成されている。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明に係るポリエステルフィル
ム1は、図1に示すように、ベースフィルム1aと、非
晶性ポリエステル系共重合樹脂を主成分とする熱接着性
樹脂層1bとを有する。図1は、本発明に係るポリエス
テルフィルム1を説明する図で、そのうち(A)は概略
図であり、(B)は断面図である。
【0037】前記ベースフィルム1aとは、ポリエステ
ル系樹脂を主構成要素とするフィルム基材であり、ポリ
エステルとは、エステル結合によって高分子化された熱
可塑性樹脂化合物を意味し、ポリエステルは、ジカルボ
ン酸成分とグリコール成分とを重縮合することにより得
られる。
【0038】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカ
ルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシ
ン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタ
ール酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、
アゼライン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸などのシクロへキサンジカルボン酸、1,4−ナ
フタール酸、ジフェニン酸、4,4’−オキシ安息香
酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などを用いること
ができる。なかでも、テレフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸が好ましい。
【0039】また、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、シクロへキサンジメ
タノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタ
ンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナ
ンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメ
チル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペ
ンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−
プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,
3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサン
ジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,
3−シクロヘキサンジメタノールもしくは1,4−シク
ロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノ
ール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロ
ブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフ
ェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,
4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,
4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,および
p−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデ
ンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,
6−ジクロロフェノール)、2,5−ナフタレンジオー
ル、p−キシレンジオール、シクロペンタン−1,2−
ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロ
ヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができ
る。特に、エチレングリコールが好ましい。
【0040】前記ベースフィルム1aとして用いるポリ
エステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−
ジシクロヘキサンンジメチレンテレフタレート(PC
T)、ポリエチレンナフタレートバイベンゾエート(P
ENBB)及びこれらポリマーの混合物を使用すること
ができる。ポリエチレンナフタレート(PEN)として
は、たとえば、ポリエチレン−2,6−ナフタレートな
どを使用することができる。
【0041】なお、前記ポリエステル樹脂中には、必要
に応じて、0〜30モル%、好ましくは0〜15モル%
の上述のジカルボン酸成分またはグリコール成分とは異
なる種類の成分を含ませ、共重合したものでもよい。ま
た、このようなモル比でブレンドしたものでもよい。た
とえば、ジカルボン酸成分、グリコール成分の他にオキ
シカルボン酸などが共重合されていてもよい。オキシカ
ルボン酸としては、たとえばp−オキシ安息香酸を使用
することができる。さらに、これらは線状構造である
が、3価以上のエステル形成成分を用いて分枝状ポリエ
ステルとすることも可能である。
【0042】熱接着性樹脂層1bの主成分となる非晶性
ポリエステル系共重合樹脂のジカルボン酸成分は、ベー
スフィルム用ポリエステルについて上述したところの、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、シクロへキサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジ
カルボン酸など以外にもトリメリット酸などを使用する
ことが可能である。
【0043】また、グリコール成分としては、ベースフ
ィルム用ポリエステルについて上述したところの、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、シクロへキサンジメタノールなど以外に
も、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、グ
リセリンなどを使用することが可能である。
【0044】なお、これらのジカルボン酸成分およびグ
リコール成分はそれぞれ単独で、または任意の適切な2
種以上を任意の適切な量で組み合わせて用いられる。
【0045】また、非晶性ポリエステル系共重合樹脂を
それぞれ2種類以上任意の量混合し組み合わせてもよ
い。かかる場合にあっては、フィルムのブロッキングが
顕著に防止されてより好適である。
【0046】球状かつ単分散粒子としては二酸化ケイ素
を使用するが、さらに酸化チタン、炭酸カルシウム、ケ
イ酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、カオリナイト、タ
ルク、マイカ、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、ZS
M5型ゼオライト、カーボンブラック、アルミナゾル、
ジルコニウムゾル、硫化モリブデン、酸化アンチモンゾ
ルなどの無機粒子あるいは、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸エステ
ル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂架橋体などの有機粒子を併用すること
も可能である。これらの無機粒子もしくは有機粒子を使
用することで、熱接着性樹脂層1bの表面に突起を形成
させることができ、熱接着性樹脂層1bの滑り性を改善
して取扱い作業性を向上させることが可能となるのであ
る。これらの無機粒子もしくは有機粒子は単独で混合し
て使用することも可能であり、それらを適切な割合で混
合して使用することも可能である。
【0047】また、必要に応じて、ベースフィルム1a
もしくは熱接着性樹脂層1bには、消泡剤、塗布性改良
剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子
粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料
などを含有させることが可能である。
【0048】以下、本発明に係るコンデンサー用ポリエ
ステルフィルムの製造方法についてポリエチレンテレフ
タレート(PET)を例にあげ説明する。
【0049】PETを、上述のテレフタル酸とエチレン
グリコールとを、アンチモン系化合物をアンチモン元素
として生成PETに対し100〜300ppm存在下、
重縮合することで得た後、得られたPETを、融点を越
える温度で押出機にて溶融押出し、ガラス転移温度以下
に冷却して未延伸シートとする。
【0050】この未延伸シートを長手方向および幅方向
に2軸延伸する。未延伸シートは、まず第一軸方向に延
伸される。延伸温度範囲は通常70〜130℃、延伸倍
率は通常3〜5倍、好適には3.5〜4倍の範囲とし、
温度と倍率を適宜組み合わせることにより、所望の複屈
折率となるよう設定することができる。延伸は一段階ま
たは二段階以上で行うことができる。
【0051】次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直
交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下
に冷却するか、または冷却することなく予熱して、通常
3〜5倍、好適には3.5〜4倍に延伸を行い、二軸に
配向したフィルムを得る。
【0052】なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行
うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好まし
い。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する
方法も可能である。かくして得られたフィルムを200
℃〜250℃の温度範囲で熱処理する。この際、熱処理
工程内または熱処理後に長手方向または横方向、あるい
は両方向に再延伸を行ってもよい。このようにして、ベ
ースフィルム1aを作製する。
【0053】次に、ポリエステル共重合樹脂が、トルエ
ン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒中に、所定濃度
で含有する熱接着性樹脂層形成溶液(ドープ)を得る。
ポリエステル共重合樹脂は、その固形分が、熱接着性樹
脂層形成溶液中において1重量%〜20重量%含有させ
ることができる。
【0054】そして、平均粒径0.01〜2μmの球状
かつ単分散の二酸化ケイ素粒子を、ポリエステル共重合
樹脂に対して1.0〜15重量%添加して、この熱接着
性樹脂層形成溶液(ドープ)をロールコーター方式によ
りベースフィルム1aに塗布し、コーティング処理を行
なう。コーティング処理は、たとえば、リバースロール
コーターグラビアコーター方式、ロッドコーター方式、
エアドクターコーター方式などを使用することができる
が、ロールコーター方式が好適である。
【0055】なお、熱接着性樹脂層形成溶液(ドープ)
のベースフィルム1aへの塗布性、接着性を改良するた
め、熱接着性樹脂層形成溶液(ドープ)の塗布前にベー
スフィルム1aに化学処理や放電処理を施すことが可能
である。ベースフィルム1aに対する放電処理として
は、処理効率やコスト、処理の簡便さからコロナ放電処
理を行うことが特に好ましい。
【0056】また、ベースフィルム1aの塗布層の接着
性、塗布性などを改良するために、熱接着性樹脂層形成
溶液(ドープ)を塗布して熱接着性樹脂層1bを形成後
に、熱接着性樹脂層1bに放電処理を施すこともでき
る。
【0057】熱接着性樹脂層1bの乾燥塗布量は、好ま
しくは0.1g/m2以上2.0g/m2以下である。な
お、熱接着性樹脂層1bの乾燥塗布量は、熱接着性樹脂
層1bの厚みに対応するものである。
【0058】熱接着性樹脂層形成溶液(ドープ)をベー
スフィルム1aに塗布した後の乾燥は、有機溶媒を十分
に乾燥させ得る任意の適切な温度で、任意の適切な時間
行われる。たとえば、80℃で、0.5分間乾燥させる
ことが可能である。
【0059】このようにして、本発明に係るポリエステ
ルフィルム1が得られる。得られたポリエステルフィル
ム1は、通常採用されている方法により、巻き取りおよ
びスリットを行うことができる。
【0060】以下に、本発明に係る巻取り型コンデンサ
ーの製造方法を説明する。本発明に係る巻取り型コンデ
ンサーは、上述のポリエステルフィルム1と、金属フィ
ルムすなわち金属箔とを、熱接着性樹脂層1bと金属フ
ィルムとが接触する状態で重ねて層状フィルムを形成
し、その層状フィルムを巻取して加熱圧着することで得
ることができる。
【0061】金属箔を形成するための金属成分として
は、アルミニウム、バラジウム、亜鉛、ニッケル、金、
銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタンなどを使用す
ることができるが、好適には、アルミニウムを使用する
ことができる。
【0062】金属箔の厚みは、3μm〜12μmに設定
することが可能であり、たとえば6μmに設定すること
が可能である。
【0063】6μmのアルミニウムの金属箔と、上述し
た熱接着性樹脂層1bを有するポリエステルフィルム1
とを、金属箔のアルミニウム成分と熱接着性樹脂層1b
とが接触するようにしてロール状の積層物を形成する。
ロール状の積層物のロール幅は、20mm〜100mm
になるようにして、重ねて巻き取ることができる。
【0064】そして、得られた巻き取りフィルムリー
ル、すなわち、ロール状の積層物を、例えば、120℃
〜200℃の温度、5〜10kgf/cm2の圧力で、
1〜5時間熱圧着することにより熱接着を行う。
【0065】この巻き取りフィルムの両端面にメタリコ
ンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶
接して巻取り型コンデンサーが得られる。
【0066】また、本発明に係る巻取り型コンデンサー
は、上述のポリエステルフィルム1と、金属層2bを有
するメタライズドプラスチックフィルム2とを、前記熱
接着性樹脂層1bと前記金属層2bとが接触する状態で
重ねて層状フィルムを形成し、前記層状フィルムを巻取
して加熱圧着することで得ることができる。
【0067】図2は、本発明に係る巻取り型コンデンサ
ーの製造工程を示す概略図であり、ポリエステルフィル
ム1と、メタライズドプラスチックフィルム2とを、重
ねて層状フィルムを形成する概略図である。
【0068】メタライズドプラスチックフィルム2は、
プラスチックフィルム2aに対し金属成分を蒸着するこ
とで金属層2bを設け、プラスチックフィルム2aと金
属層2bとが一体的な状態で得ることができる。
【0069】プラスチックフィルム2aの片面に金属層
2bを設ける手法としては、真空蒸着法、スパッタリン
グ法などを使用することができるが特に限定されない。
ただし、経済性から真空蒸着法が好ましく採用される。
真空蒸着法では、真空中で冷却ロールに密着したプラス
チックフィルム2aに蒸発源からの金属を蒸着させ、プ
ラスチックフィルム2a上に金属層2bを形成する。
【0070】なお、この蒸発源としては抵抗加熱方式の
ボート形式や、輻射あるいは高周波加熱によるルツボ形
式や、電子ビーム加熱による方式などを使用することが
可能であるが、特に限定されない。
【0071】図3に示すように、層状フィルムは、ポリ
エステルフィルム1の熱接着性樹脂層1bと、メタライ
ズドプラスチックフィルム2の金属層2bとが接触する
状態で、ポリエステルフィルム1とメタライズドプラス
チックフィルム2とを重ねて形成される。
【0072】メタライズドプラスチックフィルム2の金
属層2bに用いられる金属成分としては、アルミニウ
ム、バラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、銅、インジ
ウム、錫、クロム、チタンなどを使用することができる
が、好適には、アルミニウムを使用することができる。
【0073】メタライズドプラスチックフィルム2の厚
みは、3μm〜12μmに設定することが可能であり、
たとえば厚みを6μmに設定することが可能である。
【0074】プラスチックフィルム2aの基材として
は、任意の適切なプラスチックフィルムを使用すること
が可能であり、例えば、プラスチックフィルム2aの基
材としてポリエステルフィルムを使用することができ
る。
【0075】アルミニウムを金属成分としてポリエステ
ルフィルムに蒸着して金属層2bを設け、メタライズド
プラスチックフィルム2を形成した。そのメタライズド
プラスチックフィルム2の厚みを6μmとし、熱接着性
樹脂層1bと金属層2bとが接触する状態で重ねて層状
フィルムを形成し、その層状フィルムを巻回してロール
状の積層物を形成した。ロール状の積層物のロール幅
は、20mm〜100mmになるようにして、重ねて巻
き取ることができる。
【0076】そして、得られた巻き取りフィルムリー
ル、すなわち、ロール状の積層物を、例えば、120℃
〜200℃の温度、5〜10kgf/cm2の圧力で、
1〜5時間熱圧着することにより熱接着を行う。
【0077】この巻き取りフィルムの両端面にメタリコ
ンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶
接して巻取り型コンデンサーが得られる。本発明のコン
デンサーは、金属化フィルムコンデンサーとして好適で
ある。
【0078】なお、金属フィルムとメタライズドプラス
チックフィルムとを組合わせて、その組み合せた組み合
せフィルムとポリエステルフィルム1とで、層状フィル
ムを形成し、その層状フィルムを巻回してロール状の積
層物を形成することも可能である。
【0079】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0080】(実施例1)ポリエステル共重合樹脂を有
機溶媒による溶解物として、東洋紡績(株)社製バイロ
ンRV20SS(固形分30重量%)とバイロンRV3
0SS(固形分30重量%)とを1:1に配合し、固形
分が5重量%になるようにメチルエチルケトンに溶解さ
せた。なお、バイロンRV20SSは、分子量は150
00〜20000であり、ガラス転位点Tgは67℃で
あり、軟化点は163℃である。また、バイロンRV3
0SSは、分子量は20000〜25000であり、ガ
ラス転位点Tgは6℃であり、軟化点は123℃であ
る。
【0081】さらに球状かつ単分散の二酸化ケイ素とし
て日産化学工業(株)社製MEK−ST(固形分30重
量%で平均粒径15nm)をポリエステル共重合樹脂に
対して、10重量%添加してドープを調整した。
【0082】つぎに、重合触媒としてのアンチモン系化
合物をアンチモン元素として130ppm含有する厚さ
12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績
(株)社製E5107)をベースフィルム1aとして用
意した。
【0083】上述のドープを、厚み12μmの2軸延伸
ポリエステルフィルムの片面にリバースコーターにより
塗工してコーティング処理を行い、その後乾燥温度10
0℃で乾燥し、熱接着性樹脂層1bを設け、乾燥塗工量
が0.5g/m2の熱接着性樹脂を塗工したポリエステ
ルフィルム1を得た。
【0084】そして、アルミニウムを蒸着することでア
ルミの金属層2bを設けた2軸延伸ポリエステルフィル
ムをメタライズドプラスチックフィルム2として用意し
た。
【0085】上述のポリエステルフィルム1と、アルミ
ニウムを蒸着した2軸延伸ポリエステルフィルムとを、
アルミの金属層2bと熱接着性樹脂層1bとが重なるよ
うにして巻き取り、幅40mm、外径15mmφの巻き
取りリールを得た。なお、2軸延伸ポリエステルフィル
ム2の厚みは6μmであった。
【0086】このリールを温度140℃,圧力5kgf
/cm2で1時間プレスし、この両端にメタリコンを溶
射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶射して
巻き取り型コンデンサーを作製した。このコンデンサー
の耐湿熱安定性は良好であった。
【0087】(比較例1)実施例1のドープの調整にお
いて、球状かつ単分散の二酸化ケイ素として日産化学工
業(株)社製MEK−ST(固形分30重量%で平均粒
径15nm)をポリエステル共重合樹脂に対して、0.
5重量%添加した。
【0088】つぎに、重合触媒としてのアンチモン系化
合物をアンチモン元素として130ppm含有する厚さ
12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績
(株)社製E5107)をベースフィルム1aとして用
意した。
【0089】上述のドープを、厚み12μmの2軸延伸
ポリエステルフィルム1aの片面にリバースコーターに
より塗工してコーティング処理を行い、その後乾燥温度
100℃で乾燥し、熱接着性樹脂層1bを設け、乾燥塗
工量が0.5g/m2の熱接着性樹脂層を塗工したポリ
エステルフィルム1を得た。
【0090】そして、アルミニウムを蒸着することでア
ルミの金属層2bを設けた2軸延伸ポリエステルフィル
ムをメタライズドプラスチックフィルム2として用意し
た。
【0091】上述のポリエステルフィルム1と、アルミ
ニウムを蒸着した2軸延伸ポリエステルフィルムとを、
アルミの金属層2bと熱接着性樹脂層1bとが重なるよ
うにして、巻き取り操作を試みたが、ブロッキングの発
生のため、幅40mm、外径15mmφの巻き取りリー
ルを得る歩留まりは50%程度であった。
【0092】(比較例2)実施例1のドープの調整にお
いて、球状かつ単分散の二酸化ケイ素として日産化学工
業(株)社製MEK−ST(固形分30重量%で平均粒
径15nm)をポリエステル共重合樹脂に対して、20
重量%添加した。
【0093】つぎに、重合触媒としてのアンチモン系化
合物をアンチモン元素として130ppm含有する厚さ
12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績
(株)社製E5107)をベースフィルム1aとして用
意した。
【0094】上述のドープを、厚さ12μmの2軸延伸
ポリエステルフィルムの片面にリバースコーターにより
塗工してコーティング処理を行い、その後乾燥温度10
0℃で乾燥し、熱接着性樹脂層1bを設け、乾燥塗工量
が0.5g/m2の熱接着性樹脂塗工したポリエステル
フィルム1を得た。
【0095】そして、アルミニウムを蒸着することでア
ルミの金属層2bを設けた2軸延伸ポリエステルフィル
ムをメタライズドプラスチックフィルム2として用意し
た。
【0096】上述のポリエステルフィルム1と、アルミ
ニウムを蒸着した2軸延伸ポリエステルフィルムとを、
アルミの金属層2bと上記熱接着性樹脂層1bとが重な
るようにして巻き取り、幅40mm、外径15mmφの
巻き取りリールを得た。なお、2軸延伸ポリエステルフ
ィルム2の厚みは6μmであった。
【0097】このリールを温度140℃,圧力5kgf
/cm2で1時間プレスし、この両端にメタリコンを溶
射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶射して
巻き取り型コンデンサーを作製した。このコンデンサー
の耐湿熱安定性は不良であった。
【0098】(比較例3)実施例1のドープの調整にお
いて、球状かつ単分散の二酸化ケイ素として日産化学工
業(株)社製MEK−ST(固形分30重量%で平均粒
径15nm)の代わりに、不定形二酸化ケイ素粒子とし
て富士シリシア社製サイリシア310をメチルエチルケ
トンに分散後、0.5重量%添加してドープを調整し
た。
【0099】つぎに、重合触媒としてのアンチモン系化
合物をアンチモン元素として130ppm含有する厚さ
12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績
(株)社製E5107)をベースフィルム1aとして用
意した。
【0100】上述のドープを、厚さ12μmの2軸延伸
ポリエステルフィルムの片面にリバースコーターにより
塗工してコーティング処理を行い、その後乾燥温度10
0℃で乾燥し、熱接着性樹脂層1bを設け、乾燥塗工量
が0.5g/m2の熱接着性樹脂塗工したポリエステル
フィルム1を得た。
【0101】そして、アルミニウムを蒸着することでア
ルミの金属層2bを設けた2軸延伸ポリエステルフィル
ムをメタライズドプラスチックフィルム2として用意し
た。
【0102】上述のポリエステルフィルム1と、アルミ
ニウムを蒸着した2軸延伸ポリエステルフィルムとを、
アルミの金属層2bと上記熱接着性樹脂層1bとが重な
るようにして巻き取り、幅40mm、外径15mmφの
巻き取りリールを得た。なお、2軸延伸ポリエステルフ
ィルム2の厚みは6μmであった。
【0103】このリールを温度140℃,圧力5kgf
/cm2で1時間プレスし、この両端にメタリコンを溶
射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶射して
巻き取り型コンデンサーを作製した。このコンデンサー
の耐湿熱安定性は不良であった。
【0104】一方、上述の実施例および比較例で得られ
たポリエステルフィルムの評価を下記に示す方法で行な
った。
【0105】(1)熱傾斜測定器による熱接着開始温度 上述の実施例および比較例で得られたポリエステルフィ
ルム1において、熱接着性樹脂層1bと、ベースフィル
ム1aの熱接着性樹脂層1bが塗布されている面の裏面
とを合わせて、熱傾斜測定(TOYO SEIKI社製
GRADIENT TYPE HG−100)によりエ
アー圧2kgf/cm2で圧着時間60秒間において5
0℃から10℃刻みで120℃まで温度調節を行い、熱
圧着を実施した。
【0106】上記8点の熱圧着されたフィルムを取り出
し、手で熱圧着されたフィルムを剥がす。このとき剥離
に抵抗を示す際の温度を熱接着開始温度とした。
【0107】(2)耐ブロッキング性評価 上述の実施例および比較例で製造されたポリエステルフ
ィルム1を5cm×5cmにカットした。熱接着性樹脂
層1bと、ベースフィルム1aの熱接着性樹脂層1bが
塗布されている面の裏面とを合わせて、25kgfの荷
重をかけ、60℃で24時間熱風乾燥機に放置後取り出
し、手で熱圧着されたフィルムを剥がすことで耐ブロッ
キング性評価を行なった。
【0108】このとき剥離に音を立てて剥がれるものは
評価×とし、剥離に音を立て無いが抵抗を示し剥がれる
ものを評価△とし、剥離に抵抗を示さず容易に剥がれる
ものを評価○とした。
【0109】(3)コンデンサーの耐湿熱安定性 上述の実施例および比較例で製造されたコンデンサーに
65℃,95%RH雰囲気下で20KVDCを印加し、
エージングを行い、その際静電気容量変化率を測定し
た。
【0110】1000時間後の静電気容量変化率ΔC/
Cが±8%以内であるものを耐湿熱安定性が良好、±8
%よりも大きいものを耐湿熱安定性が不良と判定した。
【0111】なお、エージングは、コンデンサーの絶縁
抵抗と耐電圧性を安定化させるために行なわれる。エー
ジングを行なう理由は、定かではないが、エージングに
よりフィルム中の非晶鎖の自由体積が緩和され、絶縁欠
陥が減少するからではないかと考えられる。エージング
を行う時間は、10時間以上であった。それは絶縁抵抗
を良化する点から好ましいからである。
【0112】(4)熱接着性樹脂層中の二酸化ケイ素粒
子の平均粒径および含有量 a)平均粒径 試料(熱接着性樹脂層)の表面をカーボン蒸着し、走査
型電子顕微鏡(日立製作所製、FE−SEM S−45
00)を用い、加速電圧2kVおよび試料傾斜角30°
の条件下で、二酸化ケイ素粒子の大きさに合わせ1,0
00〜20,000倍で少なくとも200個以上の粒子
(突起径)が観察できるよう視野を変え写真撮影を必要
枚数行なった。なお、写真には必ずスケールを入れた。
写真をコピーし、OHPシートにトレースし、各粒子の
粒径を求め、その平均値を平均粒径とした。この際、ベ
ースのポリエステルフィルムにも粒子が含有されている
場合には、熱接着性樹脂層を積層していない表面も同様
に測定し、ベースフィルムに含有している粒子によるも
のは除外した。
【0113】b)含有量 A4サイズ(縦29.7cm、横4.0cm)に切断し
た試料を4枚用意し、それぞれの重量を測定後、そのう
ち2枚の試料の熱接着性樹脂層をメチルエチルケトンで
拭いて除去し、再度試料の重量を測定した。熱接着性樹
脂層を除去する前後の重量差を単位面積(1m2に換
算)当りで除したものを熱接着性樹脂層の塗布量とし
た。残分をベースフィルムとして分析に供した。
【0114】別々の白金ルツボに、ベースのポリエステ
ルフィルムおよび熱接着性樹脂層を積層したポリエステ
ルフィルムを入れ550℃で灰化後、重炭酸ナトリウム
で溶融し、次いで1.2M塩酸で弱酸性溶液とし、この
中から一定量分取し、JIS−K−0101に準じて吸
光光度法により不活性粒子を定量分析し、熱接着性樹脂
層当りの含有量に換算した。
【0115】(5)ポリエステル中のアンチモン元素の
含有量 ケイ光X線分析装置(理学電機工学製、システム327
0型)を用い、下記測定条件でポリエステル中のアンチ
モン元素を予め作成した検量線をもとに定量した。a)
X線管球:Rh(ロジウム)、b)X線出力:50kV
×50mA、c)X線照射面積:直径30mmの円、
d)分光結晶:LiF 上記の結果を、以下の表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】本願発明に係るポリエステルフィルムは、
耐ブロッキング性能に優れており、そのポリエステルフ
ィルムを使用して作成したコンデンサーの耐湿熱安定性
は良好であった。一方、比較例1に係るポリエステルフ
ィルムは、耐ブロッキング性能が良好ではなく、熱接着
開始温度が90℃と比較的低温であった。また、比較例
2に係るポリエステルフィルムは、熱接着開始温度が1
30℃と比較的高温であり、そのポリエステルフィルム
を使用して作成したコンデンサーの耐湿熱安定性は不良
であった。また、比較例3に係るポリエステルフィルム
は、耐ブロッキング性能に優れているものの、そのポリ
エステルフィルムを使用して作成したコンデンサーの耐
湿熱安定性は不良であった。
【0118】なお、今回開示された実施の形態および実
施例はすべての点で例示であって制限的なものではない
と考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明
ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の
範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含ま
れることが意図される。
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、高温高湿環境下であっ
ても、耐湿熱安定性に優れたコンデンサー用のポリエス
テルフィルムを得ることができた。また、耐ブロッキン
グ特性においても優れたコンデンサー用のポリエステル
フィルムを得ることができた。
【0120】また、本発明によれば、誘電体として使用
されるポリエステルフィルムに外装機能を付与させるこ
とができた。したがって、外装の寸法および重量を増大
させることはないので、本発明に係るポリエステルフィ
ルムを使用して巻取り型コンデンサーを作成すること
で、小型軽量の巻き取り型コンデンサーを得ることがで
きるとともに、コンデンサーのコストダウンの要求を満
足させることができた。さらに、本発明に係る巻取り型
コンデンサーを使用して電子機器を作成した場合にあっ
ては、電子機器の小型化、軽量化およびコストダウンの
要求を満足させることもできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るポリエステルフィルムを説明す
る図で、そのうち(A)は概略図であり、(B)は断面
図である。
【図2】 本発明に係るポリエステルフィルムを用いた
巻取り型コンデンサーの製造過程を説明する図である。
【図3】 本発明に係る巻取り型コンデンサーに使用さ
れる層状フィルムの断面図である。
【符号の説明】
1a ベースフィルム、1b 熱接着性樹脂層、1 ポ
リエステルフィルム、2a プラスチックフィルム、2
b 金属層、2 メタライズドプラスチックフィルム。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/18 324 H01G 4/18 324Z Fターム(参考) 4F071 AA44X AA45 AA45X AA46 AA46X AF36 AH12 BA01 BB06 BB08 BC12 4F100 AA02A AA20B AB01C AB10 AB22A AK01B AK41A AK41B AL01B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C BA13 BA16 CC00 DE04B EH46 EH66 EJ17 EJ38A EJ42 EK17 GB41 JA12B JJ03 JL00 JL03 JL12B YY00A YY00B 4J002 CF011 CF031 DJ016 GF00 GQ00 GQ01 5E082 AB05 BC19 BC23 BC40 EE05 EE24 EE37 FF14 FF15 FG06 FG22 FG36 GG04 GG27 JJ04 JJ22 MM22 MM24 PP03 PP06 PP09 PP10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系樹脂を主成分とするベー
    スフィルムと、前記ベースフィルムの少なくとも一方の
    面に積層され、非晶性ポリエステル系共重合樹脂を主成
    分とする熱接着性樹脂層とからなるポリエステルフィル
    ムであって、 前記ベースフィルムが、アンチモン系化合物をアンチモ
    ン元素として100〜300ppm含有するとともに、 前記熱接着性樹脂層中に、球状かつ単分散の二酸化ケイ
    素粒子を1.0〜15重量%含有するポリエステルフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 前記熱接着性樹脂層がコーティング処理
    により前記ベースフィルムに積層され、乾燥後の塗布量
    が0.1〜2.0g/m2であり、熱傾斜測定器による
    熱接着開始温度が80〜120℃である請求項1記載の
    ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 前記ベースフィルムが2軸延伸されてい
    る請求項1または2記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 前記ベースフィルムの厚みが3〜30μ
    mである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル
    フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエ
    ステルフィルムと、金属フィルムもくしは金属層を有す
    るメタライズドプラスチックフィルムとを、前記熱接着
    性樹脂層と前記金属フィルムもしくは前記金属層とが接
    触する状態で重ねて層状フィルムを形成し、前記層状フ
    ィルムを巻取して加熱圧着することで得られる巻取り型
    コンデンサー。
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