JP2003142333A - コンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルムおよびコンデンサー - Google Patents

コンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルムおよびコンデンサー

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JP2003142333A
JP2003142333A JP2001342549A JP2001342549A JP2003142333A JP 2003142333 A JP2003142333 A JP 2003142333A JP 2001342549 A JP2001342549 A JP 2001342549A JP 2001342549 A JP2001342549 A JP 2001342549A JP 2003142333 A JP2003142333 A JP 2003142333A
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heat
film
polyester film
capacitor
adhesive
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Fumio Nishimura
文男 西村
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器の小型・軽量化とコストダウンに適
した、外装の寸法・重量を増大させずに誘電体のポリエ
ステルフィルムに外装機能を付与し、優れた密着性と耐
ブロッキング性を有する、環境に優しい水系ドープによ
る、且つ外包の熱接着時間を短縮できる、コンデンサー
用熱接着性ポリエステルフィルムを提供すること。 【解決手段】 ポリエステル樹脂よりなるベースフィル
ムとその少なくとも片面に被覆された水分散性ウレタン
系樹脂よりなる0.1g/m2以上2.0g/m2未満の
熱接着性樹脂層とを有し、該層中に球状且つ単分散の不
活性粒子を樹脂に対して1.0質量%以上15質量%以
下含有した、好ましくは、ポリエステル樹脂の重合触媒
として使用されたアンチモン化合物をアンチモン原子換
算で100ppm以上300ppm以下含有した、熱接
着開始温度が80℃以上120℃以下の、厚さ3μm以
上30μm以下の、コンデンサー用ポリエステル系フィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサー用熱
接着性ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、
外装を必要とせず、長期の耐湿性および耐熱性に優れた
巻き取り型コンデンサーを提供できる熱接着性ポリエス
テルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルムコンデンサーの外装方法
として、コンデンサー素子を樹脂にディッピングまたは
モールディングして包む方法、あるいは、金属または樹
脂よりなる容器にコンデンサー素子を収納して密閉する
方法(すなわち、金属ケースまたは樹脂ケースによる外
包)が知られている。近年、コンデンサーの軽量化およ
び製造工程削減による低コスト化を目指して無外装コン
デンサー用ポリエステルフィルムが開発されているが、
これには、外包接着性樹脂によるフィルムロールのブロ
ッキングトラブルが起こるという問題がある。さらにま
た、コンデンサー外包の熱接着工程での熱接着時間の短
縮も求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するためになされたものであり、その目的と
するところは、電子機器の小型化、軽量化およびコスト
ダウンの要求を満足するよう、外装の寸法および重量を
増大させることなく誘電体であるポリエステルフィルム
に外装機能を付与し、熱接着性樹脂による優れた密着性
を確保し、且つ、改善された耐ブロッキング特性を有す
るコンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルム、及び
このようなフィルムを用いたコンデンサーを提供するこ
とにある。
【0004】さらに、最近この目的で、有機溶剤に溶解
した共重合ポリエステル樹脂塗布液をベースフィルムと
なるポリエステルフィルムに塗工する事により、コンデ
ンサー用熱接着性ポリエステルフィルムを得る技術が開
発されているが、有機溶剤の使用は作業環境上も好まし
く無く、塗工後の乾燥による揮発分は大気汚染の原因に
もなる。従って、本発明はまた、熱接着性樹脂塗布液に
有機溶剤を使用しないコンデンサー用熱接着性ポリエス
テルフィルムの提供も目的とする。本発明はさらに、コ
ンデンサー外包の熱接着工程における熱接着時間の短縮
を可能にすることも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のコンデンサー用
熱接着性ポリエステルフィルムは、上記の要望による有
機溶剤を使用しない水分散性ウレタン系樹脂塗工液の開
発に基づい完成されたもので、ベースフィルムと該ベー
スフィルムの少なくとも片面に被覆された水分散系ウレ
タン樹脂よりなる熱接着性樹脂層とを有する、好ましく
は厚さ3μm以上30μm以下の、コンデンサー用熱接
着性ポリエステルフィルムであって、該熱接着性樹脂層
中に球状且つ単分散の不活性粒子が該熱接着性樹脂に対
して1.0質量%以上15質量%以下含有されており、
且つ、ベースフィルムがポリエステル樹脂からなり、好
ましくは該ポリエステル樹脂の重合触媒として使用され
たアンチモン化合物がアンチモン原子換算で100pp
m以上300ppm以下含有されてなるフィルムであ
る。さらに、熱傾斜測定器により測定される熱接着開始
温度を80℃以上120℃以下とすることにより、上記
目的が一層確実に達成される。
【0006】好適な実施態様においては、上記熱接着性
樹脂層の乾燥後の被覆量が0.1g/m2以上2.0g
/m2未満で、熱傾斜測定器により測定される熱接着開
始温度が80℃以上120℃以下である。
【0007】本発明のコンデンサーは、上記コンデンサ
ー用熱接着性ポリエステルフィルムと金属箔または金属
蒸着プラスチックフィルムとを、上記熱接着性樹脂層と
該金属箔または該蒸着された金属とが接するように重
ね、巻き取り、そして加熱圧着することにより得られ
る、巻き取り型コンデンサーである。
【0008】本発明のコンデンサーの外包の熱接着性樹
脂層は、水分散系ウレタン樹脂塗工液による被覆層であ
るため、外包の熱接着時間の短縮が可能である。このた
め、ベースフィルムの熱収縮が縦方向で1.5〜0.5
%、横方向で1.0〜0.2%のフィルムでも、熱接着
時間が短いため、熱収縮が少なく、実用上、外包フィル
ムとしての変形の問題が無く使用できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、「水分散性ウレ
タン系樹脂」とは、イオン性を有するウレタン系樹脂す
なわち、ウレタンアイオノマーであり、水中に極めて微
細な粒子状に分散したいわゆるコロイド分散型の水性ウ
レタン樹脂である高分子化された熱可塑性樹脂化合物を
意味する。ただし、このウレタンアイオノマーは、末端
のイソシアネート基をイオン性基でブロックした水分散
性ウレタン系樹脂ではない。この水分散性ウレタン系樹
脂をベースフィルムの表面に塗工することにより、熱接
着性樹脂層を被覆する。
【0010】従って、本発明のコンデンサー用熱接着性
ポリエステルフィルムは、ベースフィルムと、該ベース
フィルムの少なくとも片面に被覆された熱接着性樹脂層
とを有する。
【0011】ベースフィルムは、ポリエステルフィルム
(好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルム)であ
る。ポリエステルを構成するジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルエタン
ジカルボン酸などが挙げられる。グリコール成分として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等
が挙げられる。好ましいジカルボン酸成分は、テレフタ
ル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸であり、好ま
しいグリコール成分は、エチレングリコールである。
【0012】本発明において、ベースフィルムの構成成
分であるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど
が挙げられる。前記ポリエステルは、必要に応じて、該
ポリエステル中に0〜30モル%、好ましくは0〜15
モル%の上記酸成分またはグリコール成分を含んで共重
合したものでもよく、あるいは、このようなモル比で、
上記酸成分と上記グリコール成分とから得られるポリエ
ステルとブレンドしたものでもよく、重合触媒として、
アンチモン化合物がアンチモン原子換算で100ppm
以上300ppm以下、好ましくは120ppm以上2
40ppm以下使用されてなる。
【0013】本発明に用いられるポリエステルは、極限
粘度が大きいほど、耐電圧性、機械特性、ならびに長期
耐湿および耐熱性に優れるが、その極限粘度が0.5d
l/g以上、好ましくは0.6dl/g以上が適してい
る。
【0014】重合触媒として、アンチモン化合物がアン
チモン原子換算で100ppm未満であるとその極限粘
度が0.5dl/g以上にならず、溶融押出による製膜
が困難となり、アンチモン原子換算で300ppmを超
えるとコンタミ異物の発生量が多くコンデンサーの誘電
体として絶縁不良を引き起こす。
【0015】熱接着性樹脂層は、水分散性ウレタン系樹
脂よりなるものであり、該熱接着性樹脂層中に球状且つ
単分散の不活性粒子を該熱接着性樹脂に対して1.0質
量%以上15質量%以下含有させることで、フィルムの
ブロッキングを防止する効果が得られる。
【0016】水分散性ウレタン系樹脂は、ポリエステル
ジオール成分と、鎖延長剤としてジイソシアネート成分
を使用して、ウレタン結合によって高分子化する。この
ようなポリエステルジオール成分は、通常、ジカルボン
酸成分とグリコール成分とを重縮合することにより得ら
れる。
【0017】前記ジカルボン酸成分は、ベースフィルム
用ポリエステルついて上述したもの以外に、アジピン
酸、セバシン酸、トリメリット酸が挙げられる。グリコ
ール成分としては、ベースフィルム用ポリエステルにつ
いて上述したもの以外に、ネオペンチルグリコール、ジ
エチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物、グリセリンなどが挙げられる。これらの
ジカルボン酸成分およびグリコール成分はそれぞれ単独
で、または任意の適切な2種以上を任意の適切な量で組
み合わせて用いられる。
【0018】また、ジイソシアネート成分は、例えばメ
チレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート等のジイソシアネート類からなる。
【0019】上記水分散性ウレタン系樹脂は、その特性
を阻害しない程度にその他の成分を含有してもよい。例
えば、滑剤とワックス類等がある。
【0020】熱接着性樹脂層は、水分散性ウレタン系樹
脂をそれぞれ、2種類以上任意の量混合し組み合わせて
もよい。
【0021】上記のような構成になる熱接着性樹脂層
は、コンデンサー作製に際し、コンデンサーの導体層を
形成する金属(一例として、金属箔または金属蒸着プラ
スチックフィルム)に対して、非常に優れた接着性を有
する。
【0022】ただし、該熱接着性樹脂層を少なくとも片
面に塗布したコンデンサー用ポリエステル系フィルム
は、そのままではフィルム間でブロッキングが起こり易
いが、該熱接着性樹脂層中に球状且つ単分散の不活性粒
子を、該熱接着性樹脂に対して1.0質量%以上15質
量%以下含有させることで、フィルム間での優れた耐ブ
ロッキング性能を発現する。
【0023】球状且つ単分散の不活性粒子の量が該熱接
着性樹脂に対して1.0質量%未満であると、その耐ブ
ロッキング性が不十分であり、フィルムコンデンサー巻
き取り加工が困難となり、15質量%を越えると耐ブロ
ッキング性には優れるものの、熱圧着性の低下を引き起
こす。
【0024】該球状且つ単分散の不活性粒子としては、
透明性の点から二酸化珪素粒子が好ましい。しかし、二
酸化珪素に限らず、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪酸
カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、酸化ア
ルミニウム、酸化マグネシウム、カオリナイト、タル
ク、マイカ、ゼオライトなどの無機粒子あるいは、ベン
ゾグアナミン樹脂架橋体、スチレン樹脂などの有機粒子
を使用することもできる。さらに、これらの粒子の平均
粒径は、好ましくは0.01〜2μmである。
【0025】上記の実用上優れた耐ブロッキング性と十
分な熱接着性を持つには、前記熱接着性樹脂層の乾燥後
の被覆量が0.1g/m2以上2.0g/m2未満になる
ように調整し、且つ、熱傾斜測定器により測定される熱
接着開始温度が80℃以上120℃以下となるようにす
ることが、特に好ましい。
【0026】上記熱傾斜測定器により測定される熱接着
開始温度が、80℃より低い場合には、夏期に上記熱接
着性樹脂層を塗布したポリエステルフィルムがブロッキ
ングしやすく、コンデンサー用に加工することが困難に
なり、120℃より高い場合には熱接着性が低下し、熱
接着性樹脂層とコンデンサーの導体層を形成する金属と
を接着させる際に微小空隙ができるため、コンデンサー
として用いたとき絶縁破壊が起こる。
【0027】以下に本発明のコンデンサー用熱接着性ポ
リエステルフィルムの製造方法の好ましい一例について
説明する。
【0028】まず、ポリエステルをその融点を超える温
度で押出機にて溶融押出し、ガラス転移温度以下に冷却
して未延伸シートとする。この未延伸シートを、長手方
向および幅方向に二軸延伸する。延伸方法には、同時に
二軸方向の延伸を行う方法及び逐次二軸方向の延伸を行
う方法があるが、そのどちらでもよい。長手方向および
幅方向の延伸倍率はそれぞれ、3〜5倍好ましくは、
3.5〜4倍である。こうして、ベースフィルムが得ら
れる。
【0029】次に、水分散性ウレタン系樹脂をアルコー
ル含有水溶液(例えば、アルコールとしてイソプロピル
アルコールおよび/またはメタノール)中に所定の濃度
(例えば、固形分1質量%〜20質量%)で含有する熱
接着性樹脂層形成溶液(ドープ)を得、例えば、平均粒
径0.05μmの球状且つ単分散の二酸化珪素粒子を該
熱接着性樹脂に対して10質量%添加し、このドープを
ロールコーター方式によりベースフィルムに塗布する。
熱接着性樹脂層の乾燥後の塗布量(これは、厚みに対応
する)は、好ましくは0.1g/m2以上2.0g/m2
未満である。ドープをベースフィルムに塗布した後の乾
燥は、用いた溶剤を十分に乾燥させ得る任意の適切な温
度(例えば、80℃)で、任意の適切な時間(例えば、
0.5分)行われる。
【0030】こうして、本発明のコンデンサー用熱接着
性ポリエステルフィルムが得られる。得られたフィルム
は、常法により巻き取りおよびスリットを行う。
【0031】このようにして得られる本発明のコンデン
サー用熱接着性ポリエステルフィルムは、例えば、3μ
m〜30μmの厚みを有する。フィルムの厚みが3μm
未満の場合には、巻き取り時に皺が入り作業性が悪く、
30μmを超える場合には、巻き取り後の径が大きくな
りすぎる欠点がある。
【0032】本発明のコンデンサーは、上記のような熱
接着性ポリエステルフィルムを用いて得られる。本発明
のコンデンサーは、例えば、熱接着性ポリエステルフィ
ルムと金属箔または金属蒸着プラスチックフィルムと
を、上記熱接着性樹脂層と金属箔または蒸着された金属
とが接するように重ね巻き取り、そして加熱圧着するこ
とにより得られる巻き取り型コンデンサーである。
【0033】金属箔および金属蒸着プラスチックフィル
ムに用いられる金属としては、アルミニウム、パラジウ
ム、亜鉛、ニッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、ク
ロム、チタンなどが挙げられる。代表的には、アルミニ
ウムが用いられる。
【0034】金属箔の厚みは、好ましくは3μm〜12
μm(例えば、6μm)である。金属蒸着プラスチック
フィルムの厚みは、好ましくは3μm〜12μm(例え
ば、6μm)である。金属蒸着プラスチックフィルムの
基材としては、任意の適切なプラスチックフィルム(例
えば、ポリエステルフィルム)が用いられる。
【0035】例えば、6μmのアルミ金属箔および/ま
たはアルミ蒸着ポリエステルフィルムと上記熱接着性ポ
リエステルフィルムとを、該熱接着性樹脂層とアルミ箔
または蒸着アルミ面とを接触させるようにして、かつ、
ロールが幅20mm〜100mmになるようにして、重
ねて巻き取る。
【0036】得られた巻き取りフィルムリールを、例え
ば、120℃〜200℃の温度、5〜10kgf/cm
2の圧力で、1〜5時間熱圧着することにより熱接着を
行う。この巻き取りフィルムの両端面にメタリコンを溶
射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接し
て、巻き取り型コンデンサー素子が得られる。
【0037】このように、本発明のコンデンサーは、金
属化フィルムコンデンサーとして好適である。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。な
お、実施例および比較例で用いられた物性測定方法およ
び評価方法は以下の通りである。
【0039】(1)熱接着開始温度 2枚の試料フィルムのおもて面と裏面が互いに接触する
ように重ね合わせ、熱傾斜測定器(TOYOSEIKI
社製 GRADIENT TYPE HG−100)に
よりエアー圧2kgf/cm2、圧着時間60秒間で5
0℃から10℃刻みで120℃まで温度調節を行い、熱
圧着を実施する。熱傾斜測定器から熱圧着されたフィル
ムを取り出し、手で熱圧着されたフィルムを剥がすが、
このとき剥離に抵抗を示すようになる温度を熱圧着開始
温度とする。
【0040】(2)耐ブロッキング性 2枚の試料フィルムを5cm×5cmにカットし、おも
て面と裏面が互いに接触するように重ね合わせ、25k
gfの荷重をかけ、60℃で24時間熱風乾燥機に放置
した後、おもて面と裏面を合わせたフィルムを取り出
し、手で熱圧着されたフィルムを剥がす。このとき剥離
に音を立てて剥がれるものは評価×とし、剥離に音を立
て無いが抵抗を示し剥がれるものを評価△とし、剥離に
抵抗を示さず容易に剥がれるものを評価○とする。
【0041】(3)コンデンサーの長期耐久性 コンデンサーに65℃×95%RH雰囲気下で20kV
のDCを印加した後、エージングを行い、その際静電気
容量変化率を測定した。1000時間後の静電気容量変
化率ΔC/Cが±8%以内であるものを長期耐久性が良
好、±8%よりも大きいものを長期耐久性が不良と判定
した。
【0042】(4)熱接着性樹脂層の塗布量 A4サイズ(縦29.7cm、横4.0cm)に切断し
た試料を4枚用意し、夫々の質量を測定後、そのうち2
枚の試料の熱接着性樹脂層をメチルエチルケトンで拭い
て除去し、再度試料の質量を測定する。熱接着性樹脂層
を除去する前後の質量差を試料の表面積で除して単位面
積(1m2)あたりに換算し、熱接着性樹脂層の塗布量
とする。残分をポリエステルベースフィルムとする。
【0043】(5)熱接着性樹脂層中の不活性粒子(二
酸化珪素)の含有量 別々の白金ルツボに、上記のポリエステルベースフィル
ムおよび熱接着性樹脂層が被覆されたポリエステルフィ
ルムを入れ、550℃で灰化後、重炭酸ナトリウムを加
えて700〜800℃で溶融する。この際、不活性粒子
がナトリウム化合物となる。冷却後、水に溶解させて取
り出し、塩酸を加えて1.2モル/L弱酸性溶液とす
る。この中から一定量分取し、JIS−K−0101に
準じて吸光光度法により不活性粒子を定量分析し、熱接
着性樹脂層中の含有量を算出する。
【0044】(6)ポリエステルフィルム中のアンチモ
ン原子の含有量 蛍光X線分析装置(理学電機工学製、システム3270
型)を用い、下記測定条件で予め作成した検量線をもと
にポリエステルベースフィルム中のアンチモン原子を定
量する。 イ)X線管球:ロジウム ロ)X線出力:50kV×50mA ハ)X線照射面積:直径30mmの円 二)分光結晶:LiF
【0045】(実施例1)水分散性ウレタン系樹脂(大
日本インキ化学工業(株)、ハイドランHW−340
(固形分25質量%)を、固形分が5質量%になるよう
に水:イソプロピルアルコールの60:40(質量比)
の混合液に希釈し、さらに球状且つ単分散の不活性粒子
として日産化学工業(株)製コロイダルシリカ スノー
テックスOL(固形分20質量%、平均粒径40nm)
を水分散性ウレタン系樹脂に対して5質量%添加してド
ープを調製した。このドープを12μmの二軸延伸ポリ
エステルフィルム(東洋紡績(株)製E5107、アン
チモン化合物をアンチモン原子換算で130ppm含
有)の片面にリバースコーターにより塗工し、乾燥温度
120℃で乾燥し、乾燥後の塗工量が0.5g/m2
熱接着性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムと
6μmのアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルムと
を、アルミ蒸着面と上記塗工面が重なるようにして巻き
取り、幅40mm、外径15mmφの巻き取りリールを
得た。このリールを温度140℃、圧力5kgf/cm
2で1時間プレスし、この両端にメタリコンを溶射して
外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻き取
り型コンデンサー素子を作製した。このコンデンサーの
外包の熱接着性及び長期耐久性はすべて良好であった。
【0046】(比較例1)2種類の水分散性共重合ポリ
エステル(東洋紡績(株)製、バイロンRV20SS
(固形分30質量%)、バイロンRV30SS(固形分
30質量%))を50:50(質量比)となるように配
合し、固形分が5質量%になるようにメチルエチルケト
ンに溶解した。別に、球状且つ単分散の二酸化珪素粒子
(日産化学工業(株)製、MEK−ST)をホモジナイ
ザーを用いてメチルエチルケトン中に分散させ(固形分
30質量%、平均粒径15nm)、これを上記水分散性
共重合ポリエステル樹脂に対して固形分換算で5質量%
添加しドープを調製した。このドープを12μmの二軸
延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製E510
7、アンチモン化合物をアンチモン原子換算で130p
pm含有)の片面にリバースコーターにより塗工し、乾
燥温度100℃で乾燥し、乾燥後の塗工量が0.5g/
2の熱接着性ポリエステルフィルムを得た。このフィ
ルムと6μmのアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィル
ムとを、アルミ蒸着面と上記塗工面が重なるようにして
巻き取り、幅40mm、外径15mmφの巻き取りリー
ルを得た。このリールを温度140℃、圧力5kgf/
cm2で1時間プレスし、この両端にメタリコンを溶射
して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻
き取り型コンデンサー素子を作製した。このコンデンサ
ーは、熱圧着後の外包の熱接着性が良くなく、長期耐久
性も不良であった。
【0047】(比較例2)水分散性共重合ポリエステル
樹脂(東洋紡績(株)製、バイロンRV30SSを、固
形分が5質量%になるようにトルエンとメチルエチルケ
トンの50:50(質量比)の混合液に溶解し、滑剤と
しての無定形二酸化珪素として富士シリシア(株)製サ
イリシア430(平均粒径2.5μm)を上記溶剤に分
散させ、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂に対し
2.0質量%添加してドープを調製し、後は比較例1と
同様にして、幅40mm、外径15mmφの巻き取りリ
ールを得た。このリールを温度140℃、圧力5kgf
/cm2で4時間プレスし、この両端にメタリコンを溶
射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して
巻き取り型コンデンサー素子を作製した。このコンデン
サーは、熱接着後の外包の熱接着性が良く、長期安定性
も良好であった。
【0048】(比較例3)水分散性共重合ポリエステル
樹脂(東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1250
(固形分30質量%))を、固形分が5質量%になるよ
う水とイソプロピルアルコールの50:50(質量比)
の混合液に希釈分散した。別に、球状且つ単分散の二酸
化珪素粒子(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ
スノーテックスOL(固形分20質量%、平均粒径4
0nm))を上記水分散性共重合ポリエステル樹脂に対
して、固形分換算で5質量%添加してドープを調製し、
後は実施例1と同様にしてコンデンサー素子を作製すべ
く、このフィルムと6μmのアルミ蒸着二軸延伸ポリエ
ステルフィルムとを、アルミ蒸着面と上記塗工面が重な
るようにして巻き取り、実施例1と同様にしてコンデン
サー素子を得た。このフィルムは耐ブロッキング性は良
好であったが、コンデンサーの熱圧着後の熱接着性が良
くなく、コンデンサーの耐久性は不良であった。
【0049】(比較例4)比較例3と同様にして、幅4
0mm、外径15mmφの巻き取りリールを得た。この
リールを温度140℃、圧力5kgf/cm2で4時間
プレスし、後は比較例3と同様にしてコンデンサー素子
を得た。このコンデンサーは、熱圧着後の熱接着性が良
くなく、コンデンサーの長期耐久性は不良であった。
【0050】上記結果を以下の表1及び2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明のコンデンサー用熱接着性ポリエ
ステルフィルムは、無外装コンデンサーとして十分な熱
接着性と耐ブロッキング性を有し、導電層との密着性に
優れ、しかも塗工樹脂液が水溶性であるため作業環境上
好ましく且つ塗工時の塗工液の取扱性にも優れる。更に
は、コンデンサー外包の熱接着工程での熱接着時間の短
縮を可能とし、このため生産性を飛躍的に向上させるこ
とができることから、小型軽量の巻き取り型コンデンサ
ー用途に最適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB37 AB67 BA01 CA08 DA04 4F100 AA20B AA20H AA29A AB01C AB33C AK01B AK01C AK41A AK51B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C CA23B DE01B EH66C EJ37A GB41 JB06B JB06H JK06 JL00 JL03 JL12B YY00B 5E082 AB04 EE07 FG36 LL04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル樹脂からなるベースフィル
    ムの少なくとも片面に熱接着性樹脂層が被覆された熱接
    着性ポリエステルフィルムであって、該熱接着性樹脂層
    が水分散性ウレタン系樹脂よりなり、該熱接着性樹脂層
    中に球状且つ単分散の不活性粒子が該熱接着性樹脂に対
    して1.0質量%以上15質量%以下含有されており、
    且つ、該被覆層の被覆量が0.1g/m2以上2.0g
    /m2未満であることを特徴とする、コンデンサー用熱
    接着性ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 前記ベースフィルムに被覆された該熱接
    着性樹脂層の熱接着開始温度(熱傾斜測定器により測
    定)が80℃以上120℃以下である、請求項1に記載
    のコンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 前記ベースフィルムを構成するポリエス
    テル樹脂中にアンチモン原子が100ppm以上300
    ppm以下含有されており、且つ該ベースフィルムが二
    軸延伸されたものである、請求項1または2に記載のコ
    ンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 前記ベースフィルムの厚みが3μm以上
    30μm以下である、請求項1ないし3のいずれかに記
    載のコンデンサー用ポリエステル系フィルム。
  5. 【請求項5】 前記不活性粒子が二酸化珪素粒子であ
    る、請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサー
    用熱接着性ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 前記請求項1ないし5のいずれかに記載
    のコンデンサー用熱接着性ポリエステルフィルムと金属
    箔または金属蒸着プラスチックフィルムとを、前記熱接
    着性樹脂層と該金属箔または該蒸着された金属とが接す
    るように重ね、巻き取り、そして加熱圧着することによ
    り得られる、巻き取り型コンデンサー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013175658A (ja) * 2012-02-27 2013-09-05 Kyocera Corp コンデンサ

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