JP2002110447A - コンデンサ用ポリエステル系フィルム及びコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用ポリエステル系フィルム及びコンデンサ

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JP2002110447A
JP2002110447A JP2000303385A JP2000303385A JP2002110447A JP 2002110447 A JP2002110447 A JP 2002110447A JP 2000303385 A JP2000303385 A JP 2000303385A JP 2000303385 A JP2000303385 A JP 2000303385A JP 2002110447 A JP2002110447 A JP 2002110447A
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polyester
film
capacitor
heat
laminated film
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JP2000303385A
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Fumio Nishimura
文男 西村
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な熱接着性と耐ブロッキング性を有し、
導電層との密着性が優れていてコンデンサとしての長期
耐久性を飛躍的に向上させることができるコンデンサ用
ポリエステル系積層フィルムを提供すること及びかかる
コンデンサ用ポリエステル系積層フィルムを用いて得た
電子機器の小型化、軽量化及びコストダウンの要求を満
足することができるコンデンサを提供すること。 【解決手段】 ポリエステル系フィルムの少なくとも一
方の面に、平均粒径が10〜500nm、平均粒径比
(長径/短径)が1.0〜1.2、平均粒径/平均粒径
の標準偏差(d/δ)が0.50〜3.00、比表面積
が20〜250m2/gである不活性粒子を1〜15重
量%含有する非晶性ポリエステル系共重合樹脂を主たる
構成成分とする熱接着性樹脂層を積層してなることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ用ポリ
エステル系積層フィルム及びコンデンサ、特に、特別の
外装を必要とせず、長期の耐湿性及び耐熱性に優れたコ
ンデンサを提供することができるポリエステル系フィル
ム及びかかるフィルムから製造したコンデンサに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルムコンデンサの外装方法と
して、コンデンサ素子を樹脂にディッピング又はモール
ディングして包む方法、あるいは、金属又は樹脂からな
る容器(すなわち、金属ケース又は樹脂ケースによる外
包)にコンデンサ素子を収納して密閉する方法が知られ
ている。近年、コンデンサの軽量化及び製造工程削減に
よる低コスト化を目指して、無外装コンデンサが開発さ
れ、コンデンサ用ポリエステル系積層フィルムが用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のコンデ
ンサ用ポリエステル系積層フィルムを誘電体として無外
装コンデンサに用いるには外包としての十分な熱接着性
がなく、また、外包接着性樹脂を用いるとフィルムロー
ルのブロッキングトラブル及びスリットトラブルが起こ
るという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来のコンデンサ用ポリエ
ステル系積層フィルム及びコンデンサの有する問題点を
解決し、十分な熱接着性と耐ブロッキング性を有し、導
電層との密着性が優れていてコンデンサとしての長期耐
久性を飛躍的に向上させることができるコンデンサ用ポ
リエステル系積層フィルムを提供すること及びかかるコ
ンデンサ用ポリエステル系積層フィルムを用いて得た電
子機器の小型化、軽量化及びコストダウンの要求を満足
することができるコンデンサを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のコンデンサ用ポリエステル系積層フィルム
は、リエステル系フィルムの少なくとも一方の面に、平
均粒径が10〜500nm、平均粒径比(長径/短径)
が1.0〜1.2、平均粒径/平均粒径の標準偏差(d
/δ)が0.50〜3.00、比表面積が20〜250
2/gである不活性粒子を1〜15重量%含有する非
晶性ポリエステル系共重合樹脂を主たる構成成分とする
熱接着性樹脂層を積層してなることを特徴とする。
【0006】上記の構成からなる本発明のコンデンサ用
ポリエステル系積層フィルムは、誘電体としてのポリエ
ステル系フィルムがコンデンサの外装機能をも有すると
ともに、熱接着性樹脂による優れた密着性を有し、か
つ、改善された耐ブロッキング性と優れたスリット性と
を有する。
【0007】この場合、熱接着性樹脂層が、塗布法によ
り形成され、乾燥塗布量が0.1〜2.0g/m2未満
であり、かつ熱接着開始温度が90〜120℃であるこ
とができる。
【0008】ここで、熱接着開始温度とは、熱接着性樹
脂塗布面と非塗布面(両面に熱接着性樹脂を積層した場
合は、一方の面の熱接着性樹脂を溶剤で洗滌除去して非
塗布面とする)とを合わせ、熱傾斜測定機によりエアー
圧2kg/cm2で圧着時間60秒間で50℃から10
℃刻みで120℃まで温度調節を行って、熱圧着を実施
し、熱傾斜測定機から熱圧着されたフィルムを取り出
し、手で熱圧着されたフィルムを剥がして、剥離に抵抗
を示す際の温度をいう。
【0009】また、この場合、ポリエステル系フィルム
が、アンチモン化合物をアンチモン元素として100〜
300ppm含有することができる。
【0010】また、この場合、ポリエステル系フィルム
が、3〜30μmの厚みを有することができる。
【0011】また、この場合、コンデンサ用ポリエステ
ル系積層フィルムのヘイズが5%以下であることができ
る。
【0012】また、この場合、不活性粒子がシリカ系粒
子であることができる。
【0013】また、本発明のコンデンサは、前記記載の
コンデンサ用ポリエステル系積層フィルムと、金属箔又
は金属蒸着プラスチックフィルムとを、コンデンサ用ポ
リエステル系積層フィルムの熱接着性樹脂層と、金属箔
又は金属蒸着プラスチックフィルムの金属蒸着面とが接
するように重ね、巻取り、加熱することにより得られた
ものであることを特徴とする。
【0014】上記の構成からなる本発明のコンデンサ
は、誘電体であるポリエステル系フィルムが外装機能を
有し、熱接着性樹脂による優れた密着性を有し、かつ、
改善された耐ブロッキング性と優れたスリット性とを有
するとともに、電子機器の小型化、軽量化及びコストダ
ウンの要求を満足し、外装部分を別に形成する必要がな
いので寸法及び重量を増大させない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のコンデンサ用ポリ
エステル系積層フィルム及びコンデンサの実施の形態を
説明する。
【0016】本明細書において「ポリエステル」とは、
エステル結合によって高分子化された熱可塑性樹脂化合
物を意味する。このようなポリエステルは、通常、ジカ
ルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合することによ
り得られる。
【0017】本発明のコンデンサ用ポリエステル系積層
フィルムは、ポリエステル系フィルムと該ポリエステル
系フィルムの少なくとも一方の面に積層した熱接着性樹
脂層とを有する熱接着性ポリエステル系積層フィルムで
ある。
【0018】本発明において用いるポリエステル系フィ
ルムは、エステル結合によって高分子化された結晶性熱
可塑性化合物からなる結晶性ポリエステルからなるフィ
ルム(好ましくは、2軸延伸ポリエステルフィルム)で
ある。かかるポリエステルを構成するジカルボン酸成分
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、シクロへキサンジカルボン酸、ジフェニル
メタンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
などが挙げられる。グリコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、テトラメチレング
リコール、シクロへキサンジメタノールなどが挙げられ
る。好ましいジカルボン酸成分は、テレフタル酸、ナフ
タレン−2,6−ジカルボン酸であり、好ましいグリコ
ール成分は、エチレングリコールである。これらのジカ
ルボン酸成分及びグリコール成分は、後記の熱接着性樹
脂層を構成する非晶性ポリエステル系共重合樹脂の成分
としても使用することができる。
【0019】本発明において用いるポリエステル系フィ
ルムを形成するのに好ましいポリエステルとしてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート、ポリ−1,4−シクロへキサンジメチレンテ
レフタレートなどが挙げられる。このような好ましいポ
リエステルは、単独重合体であるほか、必要に応じて、
該ポリエステル中に30モル%以下、好ましくは15モ
ル%以下の上記酸成分又はグリコール成分を含んで共重
合したものでもよく、あるいは、このようなモル比にな
るように、上記酸成分と上記グリコール成分とを有する
二種又はそれ以上のポリエステルを混合したものでもよ
い。
【0020】本発明において用いるポリエステル系フィ
ルムを形成するのに用いるポリエステルは、極限粘度は
大きいほど耐電圧性、機械特性、ならびに長期耐湿及び
耐熱性に優れるが、その極限粘度は0.5dL/g以
上、好ましくは0.6dL/g以上であるのが適してい
る。
【0021】また、ポリエステルの重合触媒としては、
アンチモン元素として100〜300ppm、好ましく
は120〜240ppmとなる量のアンチモン系触媒を
用いることが好ましい。アンチモン元素量で100pp
m未満であればその極限粘度を0.5dL/g以上にす
るのは困難であり、溶融押出法による製膜性が不良とな
る。一方、アンチモン元素量が300ppmを越えると
ポリエステル中に夾雑する異物の発生量が多くコンデン
サの誘電体として用いる場合には絶縁不良を引き起こす
原因となる。
【0022】また、ポリエステルに耐熱安定剤を含有さ
せることが好ましく、特に耐熱安定剤としてリン酸化合
物を10〜80ppm使用することが好ましい。リン酸
化合物を用いる場合、ポリエステル系フィルム中で10
ppm未満であればポリエステルは熱劣化しやすく、リ
ン酸化合物の量が80ppmを越えればポリエステルの
熱劣化性は改善されるが、リン酸化合物によりポリエス
テル中に夾雑する異物の発生が起こる。
【0023】さらに、前記ポリエステル系フィルムを形
成するポリエステル中にマグネシウム化合物が80〜1
20ppm含有させるのが好ましいのは、ポリエステル
をその融点を越える温度で押出機にて溶融押出しし、ガ
ラス転移温度以下に冷却して未延伸シートとする際、静
電印加冷却法によりチルロール上に、この未延伸シート
を成形するためである。ポリエステル中のマグネシウム
化合物量が80ppm未満であれば、静電印加冷却法を
有効に使用することができず、マグネシウム化合物量が
120ppmを越えれば、静電印加冷却法により容易に
製膜できるが、マグネシウム化合物による夾雑する異物
の発生が起こり、コンデンサの誘電体として絶縁不良を
引き起こす。
【0024】熱接着性樹脂層は、非晶性ポリエステル系
共重合樹脂を主たる構成成分としているが、例えば15
〜25℃と45〜55℃の2つのガラス転移温度をもつ
非晶性ポリエステル系共重合樹脂からなるのが好まし
い。
【0025】この非晶性ポリエステル系共重合樹脂とし
て好ましくは、0〜25℃のガラス転移温度をもつ非晶
性ポリエステル系共重合樹脂Aと45〜100℃のガラ
ス転移温度をもつ非晶性ポリエステル系共重合樹脂Bの
混合により調整する。非晶性ポリエステル系共重合樹脂
Aと非晶性ポリエステル系共重合樹脂Bとの混合によ
り、ガラス転移温度のより低い非晶性ポリエステル系共
重合樹脂Aは熱接着のしやすさに寄与し、ガラス転移温
度のより高い非晶性ポリエステル系共重合樹脂Bは熱接
着性を保持しつつ熱接着性樹脂層を塗布したフィルムの
ブロッキングを防止する効果を出す。
【0026】非晶性ポリエステル系共重合樹脂Aと非晶
性ポリエステル系共重合樹脂Bのジカルボン酸成分は、
ポリエステル系フィルム用ポリエステルについて前記し
たもの以外に、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット
酸などが挙げられる。グリコール成分としては、ポリエ
ステル系フィルム用ポリエステルについて前記したもの
以外に、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、グ
リセリンなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分
及びグリコール成分はそれぞれ、単独で又は任意の適切
な2種以上を任意の適切な量で組み合わせて用いられ
る。
【0027】熱接着性樹脂層は、非晶性ポリエステル系
共重合樹脂AとBをそれぞれ、30〜70:70〜30
重量%、好ましくは40〜60:60〜40重量%含む
のが好ましい。熱接着性樹脂が上記ガラス転移温度の異
なる非晶性ポリエステル系共重合樹脂AとBをこのよう
な範囲で組み合わせて含有することにより、ポリエステ
ル系フィルムのブロッキングが顕著に防止され、かつコ
ンデンサ製造時に、熱接着性樹脂層がコンデンサの導体
層を形成する金属(例えば、金属箔又は金属蒸着プラス
チックフィルムの金属)に対して非常に優れた接着性を
有する。非晶性ポリエステル系共重合樹脂Aと非晶性ポ
リエステル系共重合樹脂Bは、その性能を阻害しない程
度でその他の成分、例えば、滑剤とワックス類などを含
有してもよい。
【0028】また、本発明においては、熱接着性樹脂層
中に、1〜15重量%の不活性粒子を含有する。この不
活性粒子は、平均粒径が10〜500nm、平均粒径比
(長径/短径)が0.8〜1.2、かつ、平均粒径/平
均粒径の標準偏差(d/δ)が0.50〜3.00であ
り、その粒子の比表面積が20〜250m2/gであ
る。かかる不活性粒子を含有する熱接着性樹脂層をフィ
ルムの少なくとも一方の面に積層することにより、耐ブ
ロッキング性とスリット性が優れたコンデンサ用ポリエ
ステル系積層フィルムが得られる。
【0029】本発明において用いる不活性粒子として
は、二酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ
酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、酸化
アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、カオリナイ
ト、タルク、マイカ、ゼオライトなどの無機粒子あるい
は、ベンゾグアナミン樹脂架橋体、スチレン樹脂などの
有機粒子が挙げられるが、好ましくは、不活性粒子がシ
リカ系粒子である。これらの不活性粒子を含有する熱接
着性樹脂層をポリエステル系フィルムの少なくとも一方
の面に被覆されたコンデンサ用ポリエステル系積層フィ
ルムは耐ブロッキング性とスリット性は優れているが、
熱接着性樹脂層とコンデンサの導電層を形成する金属と
を接着させる際に微小空隙が多くできるため、熱接着性
が不十分となる傾向があり、コンデンサの絶縁破壊の原
因となるので前記で特定した範囲の特性を有する必要が
ある。不活性粒子は、熱接着性樹脂層中に含有させる
他、ポリエステル系フィルムにも含有させてもよい。
【0030】本発明において用いる前記不活性微粒子
は、好ましくは、球状かつ単分散の不活性粒子であっ
て、その屈折率がポリエステル系フィルムを形成するポ
リエステルに非常に近い二酸化珪素であり、この組み合
わせがコンデンサ用ポリエステル系積層フィルムとして
透明性に優れたものとなり、フィルムヘイズが5%以下
のコンデンサ用ポリエステル系積層フィルムを得ること
ができる。フィルムヘイズが5%以下であると、塗布時
の塗布斑・塗布筋などの塗布欠点を見つけやすく、ま
た、その欠点の修正を行いやすい長所がある。
【0031】本発明のコンデンサ用ポリエステル系積層
フィルムが実用上優れた耐ブロッキング性と十分な熱接
着性を持つには、前記熱接着性樹脂層の乾燥塗布量が
0.1〜2.0g/m2に調整され、熱接着開始温度が
80〜120℃で、かつ、熱接着性樹脂層面同士を合わ
せて熱接着したシールエネルギー強度が20〜100g
f・cm/15mmであることが好ましい。
【0032】上記熱接着開始温度が80℃より低い場合
には、夏期に上記熱接着性樹脂層を塗布したポリエステ
ル系フィルムがブロッキングしやすく、コンデンサ用に
加工するのにトラブルを生ずる方向になり、また、12
0℃より高い場合には熱接着性が低下し、熱接着性樹脂
層とコンデンサの導電層を形成する金属とを接着させる
際に微小空隙を生じやすく、コンデンサとして絶縁破壊
が発生しやすくなる。
【0033】熱接着性樹脂層は、ポリエステル系フィル
ムの少なくとも一方の面に積層され、熱接着性樹脂層の
面とポリエステル系フィルム面の滑性が優れ、かつ耐ブ
ロッキング性が優れたコンデンサ用ポリエステル系積層
フィルムであり、コンデンサ用の小幅スリットに適した
滑性をもつ。
【0034】さらに、該熱接着性樹脂層を被覆したコン
デンサ用ポリエステル系積層フィルムが、優れた耐ブロ
ッキング性と実用上十分な熱接着性をもつには、熱傾斜
測定器により測定した熱接着開始温度を90〜120℃
となることが好ましい。
【0035】以下、本発明のコンデンサ用ポリエステル
系フィルムの製造方法の好ましい一例について説明す
る。
【0036】まず、ポリエステルをその融点を越える温
度で押出機にて溶融押出しし、ガラス転移温度以下に冷
却して未延伸シートとする。この未延伸シートを長手方
向及び幅方向に2軸延伸する。延伸方法には同時に2軸
方向の延伸を行う方法、逐次2軸方向の延伸を行う方法
があるが、そのいずれでもよい。また、延伸は各方向に
一段あるいは多段に分けて延伸することもできる。長手
方向及び幅方向の好ましい延伸倍率はそれぞれ、3〜5
倍好ましくは、3.5〜4倍である。このようにして、
ポリエステル系フィルムを製造する。
【0037】次に、非晶性ポリエステル系共重合樹脂を
有機溶媒(例えば、トルエン及び/又はメチルエチルケ
トン)中に所定の濃度(例えば、固形分1〜20重量
%)で含有する熱接着性樹脂層形成溶液(ドープ)を
得、前記の特定の不活性微粒子、特に、球状かつ単分散
の不活性粒子(例えば平均粒径10〜500nmの二酸
化珪素)を熱接着性樹脂層を形成したときに1〜15重
量%(乾燥量)になるように添加し、このドープをロー
ルコーター方式によりポリエステル系フィルムに塗布す
る。熱接着性樹脂層の乾燥塗布量(これは、厚みに対応
する)は、好ましくは0.1〜2.0g/m2である。
ドープをポリエステル系フィルムに塗布した後の乾燥
は、有機溶媒を十分に乾燥させ得る任意の適切な温度
(例えば、60〜150℃)で、任意の適切な時間(例
えば、0.2〜5分)行う。
【0038】このようにして、本発明のコンデンサ用ポ
リエステル系積層フィルムを得ることができる。得られ
たフィルムは、常法により巻取り及びスリットを行う。
【0039】このようにして得られた本発明のコンデン
サ用ポリエステル系積層フィルムは、好ましくは3〜3
0μmの厚みを有する。コンデンサ用ポリエステル系積
層フィルムの厚みが3μm未満の場合には、巻取り時に
皺が入り作業性が悪く、コンデンサ用ポリエステル系積
層30μmを越える場合には、巻取り後の径が大きくな
りすぎる欠点がある。
【0040】本発明のコンデンサは、上記のようなコン
デンサ用ポリエステル系積層フィルムを用いて製造する
ことができる。本発明のコンデンサは、例えば、ポリエ
ステル系積層フィルムと金属箔又は金属蒸着プラスチッ
クフィルムとを、上記熱接着性樹脂層と金属箔又は金属
蒸着面とが接するように重ね、巻取り、そして加熱、好
ましくは加熱と同時に圧力をかけることによる加圧熱着
を行うことにより得られる巻取り型コンデンサである。
【0041】金属箔及び金属蒸着プラスチックフィルム
を形成するのに用いられる金属としては、アルミニウ
ム、バラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、銅、インジ
ウム、錫、クロム、チタンなどが挙げられる。代表的に
は、アルミニウムが用いられる。
【0042】金属箔の厚みは、好ましくは3〜12μm
(例えば、4〜8μm)である。また、金属蒸着プラス
チックフィルムの厚みは、好ましくは3〜12μm(例
えば、4〜8μm)、金属蒸着層の厚みは通常300〜
800Åである。金属蒸着プラスチックフィルムの基材
としては、任意の適切なプラスチックフィルム(例え
ば、ポリエステルフィルム)が用いられる。
【0043】例えば、3〜12μmのアルミニウム箔及
び/又はアルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリ
エステル系フィルムに積層された熱接着性樹脂層面とを
アルミニウム面を向き合わせて接触させるようにして、
かつ、ロールが幅20〜100mmになるようにして、
重ねて巻取る。
【0044】得られた巻取りフィルムリールを、例え
ば、120〜200℃の温度、5〜10kg/cm2
圧力で、1〜5時間熱圧着することにより熱接着を行
う。この巻取りフィルムの両端面にメタリコンを溶射し
て外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻取
り型コンデンサ素子が得られる。
【0045】このような本発明のコンデンサは、金属化
フィルムコンデンサとして好適である。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されない。本明細
書中で用いられた物性値の測定方法及び評価方法は以下
の通りである。
【0047】(1)不活性粒子の平均粒径比(長径/短
径)、平均粒径(d)及びその標準偏差(δ)の測定 不活性粒子の粉体を走査型電子顕微鏡用試料台に固定
し、白金スバッターを施し、走査型電子頭微鏡にて1
0,000〜50,000倍で観察し、ニレコ社製ルー
ゼックス2Dにて3,000〜5,000箇の粒子の画
像解析を行い、不活性粒子の平均粒径比(長径/短
径)、平均粒径(d)及びその標準偏差(δ)を求め
る。
【0048】(2)不活性粒子の比表面面積 カンタクローム社製オートソープ−1を使用し、BET
法による比表面面積を測定する。
【0049】(3)耐ブロッキング性 熱接着性樹脂層が積層されたポリエステル系フィルムを
5cm×5cmにカットし、塗布面と非塗布面(両面に
熱接着性樹脂を積層した場合は、一方の面の熱接着性樹
脂を溶剤で洗滌除去して非塗布面とする)とを合わせ、
25kgfの荷重をかけ、60℃で24時間熱風乾燥機
に放置した。その後、塗布面と非塗布面を合わせたフィ
ルムを取り出し、フィルム幅2.5cmに短冊状に切り
出した。該短冊状サンプルをテンシロン(東洋ボールド
ウィン社製、RTM−100)を用い、200mm/分
の速度で剥離し、剥離強度を測定した。測定は5回行
い、平均剥離強度が1gf/2.5cm未満を○、1g
f/2.5cm以上10gf/2.5cm未満を△、1
0gf/2.5cm以上を×とした。
【0050】(4)熱接着開始温度 熱接着性樹脂層が積層されたポリエステル系フィルムの
塗布面と非塗布面(両面に熱接着性樹脂を積層した場合
は、一方の面の熱接着性樹脂を溶剤で洗滌除去して非塗
布面とする)とを合わせ、熱傾斜測定機(TOYOSEIKI社
製GRADIENT TYPEHG-100)によりエアー圧2kgf/c
2で圧着時間60秒間で50℃から10℃刻みで12
0℃まで温度調節を行い、熱圧着を実施した。熱傾斜測
定機から熱圧着されたフィルムを取り出し、手で熱圧着
されたフィルムを剥がすが、このとき剥離に抵抗を示す
際の温度を熱接着開始温度とした。
【0051】(5)シールエネルギー強度 熱接着性樹脂層が積層されたポリエステル系フィルムの
熱接着性樹脂塗布面同士を重ね合わせて、熱傾斜測定機
(TOYOSEIKI社製GRADIENT TYPE HG-100)によりエアー
圧2kgf/cm2で圧着時間2秒間、120℃で熱圧
着を実施する。熱接着したフィルム(ヒートシール長さ
10mm)を幅15mmの短冊にして、温度20℃、湿
度65%RHの雰囲気中に24時間放置後、東洋ボール
ドウィン社製テンシロンを用い一方向に200mm/分
の速度で剥離し、チャート上の面積をシールエネルギー
強度(gf・cm/15mm)とした。
【0052】(6)フィルムヘイズ JIS−K−6714に準じてヘイズメーター(東京電
色社製、MODELTC−H3DP)を用いて測定し
た。
【0053】 (7)フィルムを小幅スリットする際の加工性 後記の実施例及び比較例に記載のようにして製造された
コンデンサにするために、フィルムをスリット速度10
0m/分、幅40mm、巻長8000mで小幅サイズに
スリットし、ロール状に巻き取った際に、歩留まりが7
5%未満を評価×とし、歩留まりが75〜90%を評価
△とし、歩留まりが90%以上を評価○として判定し
た。なお、歩留まりとは、スリットロール100本中で
端面のズレが2mm以内、スリットロール表面のニキビ
状凹凸が目視観察で3ヶ以下、及びスリットロールにシ
ワが全く入らなかったスリットロールを良品とした時に
下記式で示されるパラメータである。 歩留まり(%)=(良品ロール数/100本)×100
【0054】(実施例1)非晶性ポリエステル系共重合
樹脂(東洋紡績社製バイロン樹脂RV300とバイロン
樹脂RV200とを9:11(重量比)に配合し、固形
分が5重量%になるようにトルエンとメチルエチルケト
ン1:1(重量比)に溶解し、さらに不活性粒子(球状
かつ単分散の二酸化珪素:日産化学工業社製MEK−S
T(固形分30重量%で平均粒径15nm)))をポリ
エステル共重合樹脂に対して、12重量%添加してドー
プを調整した。このドープを12μmの2軸延伸ポリエ
ステルフィルム(東洋紡績社製E5107:アンチモン
元素を130ppm含有、リン元素を58ppm含有、
及びマグネシウム元素を97ppm含有)の片面にリバ
ースコーターにより塗布し、乾燥温度100℃で乾燥
し、乾燥塗布量が0.5g/m2の熱接着性樹脂塗布ポ
リエステルフィルムを得た。このフィルムと6μmのア
ルミニウム蒸着2軸延伸ポリエステルフィルムのアルミ
ニウム蒸着面と上記塗布面が重なるようにし巻取り、幅
40mm、外径15mmφの巻取りリールを得た。得ら
れたポリエステル系積層フィルムのヘイズ値は低く、透
明性もよく、小幅スリット性もよかった。このリールを
温度140℃、圧力5kgf/cm 2で1時間プレス
し、この両端にメタリコンを溶射して外部電極とし、メ
タリコンにリード線を溶射して巻取り型コンデンサ素子
1000個を製造した。このコンデンサの熱圧着後の熱
接着性は良好であった。
【0055】(実施例2)実施例1で用いた非晶性ポリ
エステル系共重合樹脂のバイロン樹脂RV300の代わ
りに、同じく東洋紡績社製バイロン樹脂RV500をバ
イロン樹脂RV200と3:4(重量比)に配合し、固
形分が5重量%になるようにトルエンとメチルエチルケ
トン1:1(重量比)に溶解し、さらに不活性粒子(球
状かつ単分散の二酸化珪素:日産化学工業社製MEK−
ST(固形分30重量%で平均粒径15nm))を非晶
性ポリエステル系共重合樹脂に対して、8重量%添加し
てドープを調整し、実施例1と同様にしてコンデンサ素
子を製造した。得られたポリエステル系フィルムのヘイ
ズ値も低く、透明性も良好であった。また、小幅スリッ
ト性もよく、コンデンサにした際の熱圧着時の熱接着性
は良好であった。
【0056】(比較例1)実施例1で用いた非晶性ポリ
エステル系共重合樹脂のバイロン樹脂を使い固形分が5
重量%になるようにトルエンとメチルエチルケトン1:
1(重量比)に溶解し、不活性粒子としての無定型の二
酸化珪素(富士シリシア社製サイリシア310(平均粒
径1.4μm))を上記溶剤に分散させ、非晶性ポリエ
ステル系共重合樹脂に対し、2.0重量%添加してドー
プを調整し、ポリエステル系フィルム(東洋紡績社製E
5107)の片面にリバースコーターにより塗布し、乾
燥温度100℃で乾燥し、乾燥塗布量が0.5g/m2
の熱接着性樹脂塗布ポリエステル系フィルムを得た。こ
のようにして実施例1と同様にしてコンデンサ素子を製
造しようとしたが、耐ブロッキング性及び小幅スリット
性は良好であったが、フィルムヘイズが高く、透明性は
良くなかった。また、このコンデンサの熱圧着後の熱接
着性は良くなく、コンデンサ素子が作れなかった。
【0057】(比較例2)実施例2で用いた非晶性ポリ
エステル系共重合樹脂のバイロン樹脂を使い固形分が5
重量%になるようにトルエンとメチルエチルケトン1:
1(重量比)に溶解し、不活性粒子として無定型の二酸
化珪素(富士シリシア社製サイリシア430(平均粒径
2.5μm))を上記溶剤に分散させ、非晶性ポリエス
テル系共重合樹脂に対し、2.0重量%添加してドープ
を調整し、後は実施例2と同様にしてコンデンサ素子を
製造しようとしたが、耐ブロッキング性及び小幅スリッ
ト性は良好であったが、このフィルムのヘイズ値は実施
例のものより高く、透明性は良くなかった。また、コン
デンサの熱圧着後の熱接着性は良くなく、コンデンサ素
子が作れなかった。
【0058】(比較例3)実施例1の非晶性ポリエステ
ル系共重合樹脂のバイロン樹脂を使い固形分が5重量%
になるようにトルエンとメチルエチルケトン1:1(重
量比)に溶解してドープを調整し、実施例1と同様にし
てコンデンサ素子を製造した。このフィルムのヘイズ値
は実施例と同様に低く、透明性はよかったが、耐ブロッ
キング性及び小幅スリット性は実施例より劣った。ま
た、このコンデンサの熱圧着後の熱接着性はよく、コン
デンサ素子は作れたが、コンデンサ製造の歩留まりは実
施例1の約2/3しかなかった。上記結果を、以下の表
1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明のコンデンサ用ポリエステル系積
層フィルムによれば、十分な熱接着性と耐ブロッキング
性を有し、導電層との密着性が優れていてコンデンサと
しての長期耐久性を飛躍的に向上させることができる。
また、本発明のポリエステル系積層フィルムからなるコ
ンデンサによれば、電子機器の小型化、軽量化及びコス
トダウンの要求を満足することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC032 CC192 CF051 CF061 CF081 DE076 DE136 DE146 DE236 DG046 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 FA082 FA086 FD012 FD016 5E082 AB04 AB05 BC32 BC39 EE03 EE07 EE37 FF15 FG06 FG36 MM24 PP03 PP06 PP09 PP10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系フィルムの少なくとも一
    方の面に、平均粒径が10〜500nm、平均粒径比
    (長径/短径)が1.0〜1.2、平均粒径/平均粒径
    の標準偏差(d/δ)が0.50〜3.00、比表面積
    が20〜250m2/gである不活性粒子を1〜15重
    量%含有する非晶性ポリエステル系共重合樹脂を主たる
    構成成分とする熱接着性樹脂層を積層してなることを特
    徴とする耐ブロッキング性とスリット性が優れたコンデ
    ンサ用ポリエステル系積層フィルム。
  2. 【請求項2】 熱接着性樹脂層が、塗布法により形成さ
    れ、乾燥塗布量が0.1〜2.0g/m2未満であり、
    かつ熱接着開始温度が90〜120℃であることを特徴
    とする請求項1記載のコンデンサ用ポリエステル系積層
    フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系フィルムが、アンチモン
    化合物をアンチモン元素として100〜300ppm含
    有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンデン
    サ用ポリエステル系積層フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系フィルムが、3〜30μ
    mの厚みを有することを特徴とする請求項1、2又は3
    記載のコンデンサ用ポリエステル系積層フィルム。
  5. 【請求項5】 ヘイズが5%以下であることを特徴とす
    る請求項1、2、3又は4記載のコンデンサ用ポリエス
    テル系積層フィルム。
  6. 【請求項6】 不活性粒子がシリカ系粒子であることを
    特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のコンデン
    サ用ポリエステル系積層フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    コンデンサ用ポリエステル系積層フィルムと、金属箔又
    は金属蒸着プラスチックフィルムとを、コンデンサ用ポ
    リエステル系積層フィルムの熱接着性樹脂層と、金属箔
    又は金属蒸着プラスチックフィルムの金属蒸着面とが接
    するように重ね、巻取り、加熱することにより得られた
    ものであることを特徴とするコンデンサ。
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