JP2002079066A - 多孔質中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

多孔質中空糸膜及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過性能が非常に優れた多孔質中空糸膜及び
それを製造する方法を提供すること。 【解決手段】 分画粒子径が1〜10μmであり、かつ
純水透過速度が30000L/m2/hr/100kP
a以上である多孔質中空糸膜。このような多孔質中空糸
膜は、多孔質中空糸膜を構成する素材のベースポリマ
ー、添加剤、これらの共通溶媒および該共通溶媒に不溶
で液中で均一に分散した平均粒径が1〜20μmの微粉
体からなる原液と中空糸を形成するための注入液を用
い、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法によって中空糸を形
成する工程と、紡糸後の中空糸を該ベースポリマーを溶
解せず、上記微粉体を溶解する抽出液に浸漬して、上記
微粉体を抽出除去する工程とを含む方法により製造する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質中空糸膜及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、選択透過性を有する分離膜を用い
た分離操作の技術がめざましく進展している。超純水の
製造工程、医薬品の製造工程、醸造製品の除菌・仕上
げ、飲料水の製造などに代表される用途で実用化されて
いる。これらの用途は、水のファイン化(高度処理)や
安全性向上、精度向上などの要求から普及したものであ
る。しかし、分離操作システム全体で見ると、主流は現
在でも砂濾過であり、例えば水道水などの製造用システ
ムでは、凝集沈殿と砂濾過とを組み合わせたものが圧倒
的大多数を占める。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水道水の製造用途など
で分離膜を用いたシステムの普及がなかなか進まないの
は、砂濾過であれば単位濾過面積当たりの透過流速が非
常に高く、低コストで水を浄化することができるのに対
して、現在の分離膜では、水の浄化能力は砂濾過に比べ
て圧倒的に優れているものの、単位濾過面積当たりの透
過速度が砂濾過に比べて極めて低いため造水コストが高
いことによる。分離膜は砂濾過と比較して次のような利
点があり、造水コストが改善できれば、砂濾過に変わる
新しい濾過技術として急速に普及するものと思われる。
【0004】 分離精度がシャープなため、原水水質
に左右されず、安定した濾過液が得られ、安全性も高
い。 砂の入れ替えなど煩雑なメンテナンスが少なく廃棄
物も少ない。 砂濾過であれば分画精度を改善させるために凝集沈
殿処理が必要であるが、膜濾過であれば凝集沈殿処理を
省略するか、簡素化することができ、システムの省スぺ
ース化や処理工程の単純化が図れる。 濾過液回収率が高く逆洗排水が少ないため、逆洗廃
液処理が簡単になる。
【0005】膜濾過による透過速度が砂濾過に対して圧
倒的に低い原因として、分画粒子径が0.2μm以下の
精密濾過膜や限外濾過膜が主流である従来の分離膜で
は、分画粒子径が小さいために純水透過速度がもともと
低い上、水中に存在する不純物や懸濁物質のほとんどが
分離膜でトラップされ、不純物等の抵抗でさらに低くな
ってしまうことが推定されている。これに対し、砂濾過
の分画精度は5〜10μm程度であり、もともとの純水
透過速度が高く、さらに水中に不純物や懸濁物質が存在
しても、大きさが5μm以下であれば透過してしまうこ
とから、不純物等の抵抗を受けにくく、高い濾過速度を
維持することができる。砂濾過では、5μm以下の不純
物等を完全に除去することはできないが、大部分の用途
では5〜10μm程度の分画精度があれば十分であり、
精密濾過や限外濾過領域の水質は必ずしも必要であると
はされない。
【0006】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
で、濾過性能が非常に優れ、造水コストが低く、コスト
面から砂濾過などが使用されていた用途へも適用が容易
であり、水質や安全性の点で砂濾過よりも優れた水質を
安定して製造することが可能な多孔質中空糸膜及びそれ
を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明の多孔質中空糸膜は、分画粒子径が1〜10μmで
あり、かつ純粋透過速度が30000L/m2/hr/
100kPa以上、好ましくは、分画粒子径が2〜5μ
mであり、かつ純水透過速度が100000L/m2
hr/100kPa以上であることを特徴とする。ここ
でいう分画粒子径とは、中空糸膜による阻止率が90%
である粒子の粒子径(S)のことをいい、異なる粒子径
を有する少なくとも2種類の粒子の阻止率を測定し、そ
の測定値を元にして下記の近似式(1)において、Rが
90となるSの値を求め、これを分画粒子径としたもの
である。 R=100/(1−m×exp(−a×log(s))) …(1) 上記の式中、a及びmは中空糸膜によって定まる定数で
あって、2種類以上の阻止率の測定値をもとに算出され
る。また、上記の純水透過速度は、有効長が3cmの片
端開放型の中空糸膜モジュールを用いて、原水として純
水を利用し、濾過圧力が50kPa、温度が25℃の条
件で中空糸膜の外側から内側に濾過(外圧濾過)して時
間当たりの透水量を測定し、単位膜面積、単位時間、単
位圧力当たりの透水量に換算した数値を示す。
【0008】このような多孔質中空糸膜は、多孔質中空
糸膜を構成する素材のベースポリマー、添加剤、これら
の共通溶媒および該共通溶媒に不溶で液中で均一に分散
した平均粒径が1〜20μmの微粉体からなる原液と中
空糸を形成するための注入液を用い、乾湿式紡糸法また
は湿式紡糸法によって中空糸を形成する工程と、紡糸後
の中空糸を該ベースポリマーを溶解せず、上記微粉体を
溶解する抽出液に浸漬して、上記微粉体を抽出除去する
工程とを含む方法により製造することができる。ここ
で、上記原液として、ベースポリマー、添加剤および両
者の共通溶媒のみを溶解した場合には相分離を起こし、
これに微粉体を混合することで相分離が抑えられて紡糸
が可能な均一な原液となるものである組成の原液を用い
ることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の多孔質中空糸膜の素材は
特に限定されず、セルロース系ポリマー、アクリロニト
リル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系
ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリビニルアルコ
ール系ポリマー、塩ビ系ポリマー、フッ素系ポリマーな
どの素材やこれらの変成ポリマーや混合体が用いられ
る。これらの中では、耐熱性、耐酸・アルカリ性、強度
物性、耐酸化剤性に優れた多孔質中空糸膜が得られるた
め、ポリスルホン系ポリマーを用いることが好ましい。
ポリスルホン系ポリマーの代表例として、次の一般式
(I)または(II)で表されるような繰り返しユニッ
トを有するものが挙げられる。
【化1】
【化2】
【0010】ベースとなる膜素材に、例えば水濡れ性や
耐汚染性などの機能性を付与するために親水性高分子を
含有しても良い。親水性高分子の例として、ポリビニル
アルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エ
チレン・酢ビ共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸な
どやこれらの変性ポリマーが挙げられる。該親水性高分
子の中では、変成物が多数存在するポリビニルアルコー
ルが目的に応じた機能性を付与しやすい点で好ましい。
ベースポリマーの特性を阻害せず機能性を付与できる範
囲とするために、親水性高分子の含有量は1〜10wt
%の範囲が好ましい。ポリスルホン系ポリマーであるベ
ースポリマーに1〜10wt%の親水性高分子(特にポ
リビニルアルコール系ポリマー)を含有することが好ま
しい。水濡れ性などの機能性を付与するためにベースポ
リマーに親水性高分子を含有させる場合は、原液に親水
性高分子を添加することができる。
【0011】分離膜には平膜、管状膜、中空糸膜が存在
するが、中空糸膜は単位膜面積当たりのスペースを最も
コンパクトに出来る特徴があり、特に処理量の大きな用
途において有利である。本発明による多孔質中空糸膜の
内径は、一般に0.2〜2mm、外径は0.4〜5mm
である。
【0012】次に本発明の多孔質中空糸膜の製造方法に
ついて説明する。この製造方法は、本件出願人による特
願平5−343558号(特開平7−163849号)
に係る中空糸膜の製造方法の技術を元に、原液組成等を
改良・工夫をすることで実現したものである。この多孔
質中空糸膜の製造方法は、多孔質中空糸膜を構成する素
材のベースポリマー、添加剤、これらの共通溶媒および
該共通溶媒に不溶で液中で均一に分散した平均粒径が1
〜20μmの微粉体からなる原液と中空糸を形成するた
めの注入液を用い、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法によ
って中空糸を形成する工程と、紡糸後の中空糸を該ベー
スポリマーを溶解せず、上記微粉体を溶解する抽出液に
浸漬して、上記微粉体を抽出除去する工程とを含む方法
により製造するものである。
【0013】ベースポリマーの濃度は、中空糸膜として
十分な強度が得られ、かつ貫通孔が形成されるような範
囲に決められる。ベースポリマーの種類によって異なる
が、一般には、5〜40wt%、好ましくは15〜25
wt%である。
【0014】添加剤を添加することによって、原液の相
分離を促進させることにより大きな孔径の中空糸膜を得
ることができる。添加剤は液体でも固体でも良く、例え
ば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチ
ル、酢酸エチルなどのエステル類、エタノール、プロパ
ノール、グリセリンなどのアルコール類、ブタンジオー
ルなどのジオール類、塩化リチウム、硫酸マグネシウム
などの無機塩類やこれらの混合物を例示することができ
る。添加剤の添加量は添加剤の種類により異なるが、ベ
ースポリマー、添加剤および両者の共通溶媒のみを溶解
した場合には相分離を起こすが、これに微粉体を混合す
ることで相分離が抑えられて紡糸が可能な均一な原液と
なるような添加量であることが好ましい。
【0015】ベースポリマーと添加剤を共に溶解するも
のであれば、共通溶媒の種類に特に制限はなく、例えば
N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを挙げるこ
とができる。
【0016】共通溶媒に不溶な微粉体としては、例えば
酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化
物、珪素、亜鉛、銅、鉄、アルミニウムなどの金属微粒
子、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等の無機化合物
などを例示することができる。ベースポリマー、添加剤
等の種類に応じて、微粉体の種類や添加量を適宜決めれ
ば良い。溶液中で微粉体同士の分子間力が強く、凝集作
用を起こしやすいものを微粉体として選定することが好
ましい。中でも酸化珪素微粉体(シリカパウダー)が、
平均粒径が小さく、かつ各種の粒径のものが市販されて
おり、さらに紡糸原液中に分散させやすく凝集性を有す
る点で最良である。微粉体の平均粒径の大きさは1〜2
0μmの範囲が好ましく、2〜10μmの範囲がより好
ましい。微粉体の平均粒径の大きさが1μm未満では、
大きな分画粒子径を有する中空糸膜を得ることが困難で
ある。平均粒径が5μmを越えるような大きな微粉体を
用いる場合には、平均粒径が大きくなるにつれて微粉体
同士の凝集作用が弱くなるために、ボイドの大きな不均
質な中空糸膜ができやすくなる傾向になる。このため、
平均粒径の小さな粒子を適宜混合したり、添加量を多く
して微粉体の凝集作用をより有効に活用するなどの調製
をする必要がある。
【0017】以上の組成からなる紡糸原液を、通常は脱
泡した後に、2重環構造のノズルから吐出し、次いで凝
固浴に浸漬して中空糸膜を製膜する。製膜方法に関して
は、ノズルから吐出された紡糸原液を、一旦、一定長の
空気中に通し、しかる後に凝固浴中に導入する乾湿式紡
糸法でも、ノズルより吐出された紡糸原液を直接凝固浴
中に導入する湿式紡糸法でもいずれでも良い。乾湿式紡
糸法によることが、中空糸膜の外面構造の制御が容易で
あり、また、透水性の高い中空糸膜を製造することが可
能である点で好適である。
【0018】中空糸膜の紡糸にあたっては、通常、ノズ
ルから吐出された紡糸原液の形状を中空糸状に保持する
目的で、2重環構造ノズルの内側に注入液が導入され
る。注入液の凝固速度を制御することで中空糸膜の内面
構造を制御することができる。注入液は原液の溶媒と混
和し、かつベースポリマーに対して凝固能力を有するも
のであれば特に制限はなく、水、水と溶媒の水溶液、ア
ルコール類、グリコール類、エステル類や水や溶媒との
混合物が挙げられる。また、注入液中にポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性親水性高分
子を添加することによって、凝固段階での拡散によって
親水性高分子を中空糸膜の内表面あるいは中空糸膜全体
にコーティングすることが可能である。凝固液には、注
入液と同様な組成の液が用いられる。
【0019】乾湿式紡糸法では、ドライゾーンの長さ、
温度、湿度などにより得られる中空糸膜の外表面構造が
決定される。ドライゾーンの長さを長くするか、あるい
はドライゾーンの温度又は湿度を高くすると相分離が進
み外表面に形成される微孔の孔径は大きくなる傾向があ
る。ドライゾーンの長さが短く、例えば0.1cmであ
っても、ドライゾーンを経ない湿式紡糸法による場合と
は全く異なった外表面構造の中空糸膜が得られる。な
お、ドライゾーンを長くしすぎると紡糸安定性に影響を
与えるので、通常0.1〜200cm、好ましくは0.
1〜50cmの範囲に設定される。
【0020】凝固浴で凝固した中空糸膜中には、共通溶
媒、添加剤及び多量の微粉体を含有している。これら
は、紡糸工程中、あるいは一旦巻き取られた後に、以下
の操作によって中空糸膜から除去される。まず、中空糸
膜中に残存する共通溶媒及び添加剤を水洗または、40
〜90℃の温水洗によって抽出除去する。中空糸膜中に
親水性高分子を残存させる場合は、上記の洗浄操作の
後、必要に応じて親水性高分子を物理的または科学的に
架橋構造化する。架橋構造化の方法は、親水性高分子の
種類に応じて公知の方法を選択すればよい。例えば、親
水性高分子がポリビニルアルコールの場合には、硫酸触
媒の存在下にグルタルアルデヒド等のアルデヒド類によ
ってアセタール化する方法が簡便である。
【0021】次いで、上記微粉体を溶解するが中空糸膜
のベースポリマーを溶解しない抽出溶媒によって中空糸
膜中に残存する微粉体を抽出除去する。該粉体が抽出除
去された跡に微孔が形成される。微粉体の抽出条件は、
微粉体の95%以上、好ましくは100%が抽出される
ように設定する必要がある。微粉体はポリスルホンのマ
トリックス中に存在しているため、微粉体の種類と抽出
溶媒の溶解性によって異なるが、微粉体単独での溶解条
件よりもかなり厳しく設定され、抽出温度および溶剤濃
度を高くし、しかも抽出時間を長くする必要がある。た
とえば、酸化珪素を抽出する場合であれば、抽出溶媒と
して5〜20重量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用
し、抽出温度は60℃以上、かつ抽出時間は30分以上
という条件で中空糸膜を処理することが必要である。な
お、微粉体の抽出除去は紡糸工程で行っても良く、中空
糸をモジュールとして成形した後、該モジュールの状態
で行っても良い。
【0022】本発明による多孔質中空糸膜は、内部が網
目状構造、ハニカム状構造、微細間隙構造などの微細多
孔質構造を有している。中空糸膜内部には、いわゆるフ
ィンガーライク状構造やボイド構造があっても良い。中
空糸膜内部の微細多孔質構造が、分画粒子径および純水
透過速度を決定する。
【0023】上記のようにして製造された多孔質中空糸
膜は、例えば枠やカセに巻き取った後に乾燥される。乾
燥後の中空糸膜を所定の本数ずつ束ね、所定の形状のケ
ースに収納された後、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等で
端部を固定化することによって中空糸膜モジュールが得
られる。中空糸膜モジュールとしては、中空糸膜の両端
が開口固定されているタイプのもの、中空糸膜の一端が
開口するように固定されており、他端が密封されている
が固定化されていないタイプのもの等、種々の形態のも
のが公知である。
【0024】上記中空糸膜モジュールの一例について図
4に基づいて詳細に説明する。この中空糸膜モジュール
内に収納された多孔質中空糸膜1は分画粒子径が1〜1
0μmであり、かつ純水透過速度が30000L/m2
/hr/100kPa以上である。多孔質中空糸膜の長
さが長くなると液体が多孔質中空糸膜を通過するときに
発生する圧力損失が高くなるため、中空糸膜モジュール
内に収納される多孔質中空糸膜の長さは短いことが好ま
しい。一般に、多孔質中空糸膜の長さが50cm以下で
あることが好ましく、40cm以下であることがより好
ましい。本発明による多孔質中空糸膜は通常の多孔質中
空糸膜に比べて純水透過速度が極めて高いため、所望の
透過量を得るために必要な多孔質中空糸膜の長さを短く
することができ、中空糸膜モジュールを小型化すること
ができる。
【0025】図4に示す中空糸膜モジュールは多孔質中
空糸膜の一端が開口するように固定されたタイプのもの
であり、多数の多孔質中空糸膜がその一端で接着樹脂部
2により集束固定されている。接着樹脂部に充填される
接着剤はエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂など
であり、その種類は特に限定されない。多孔質中空糸膜
の他端は樹脂封止部3であり、上記接着剤と同様の材料
により封止されている。この端部は一本一本がばらばら
になるように封止されていることが好ましいが、いくつ
かのブロック毎に分割されて封止されていてもよい。
【0026】多孔質中空糸膜の保護、ハンドリング性の
向上のため、多孔質中空糸膜は外側壁に孔が設けられた
中空糸膜モジュール本体4に収納される。接着樹脂部と
モジュール本体の接合は、樹脂などで接着して固定して
も、ネジなどで接着樹脂部と本体が脱着可能ようにして
も良い。さらに中空糸膜モジュールの本体4はハウジン
グ5に収納されて使用される。中空糸膜モジュール本体
とハウジングとは図4に示すようにO−リング6を介し
て接合しても良く、ねじ込みで接合しても、ガスケット
を介して接合してもよい。中空糸膜モジュール本体の他
端はハウジング5内部の押さえ7で止められている。中
空糸膜モジュールは所定期間の使用の後に交換する必要
があるから、中空糸膜モジュールを容易に装脱着できる
ような構造をハウジングが有していることが好ましい。
図4に示す例では、エアー抜き構造を持つ部分と濾過水
出口を持つ部分とを容易に分割させることができるよう
に、両者がVバンド8で接合されている。Vバンドに替
えて、フランジ、へルールなどで固定しても良い。この
ように各部材毎に容易に分解することできる構造にして
おくことで、使用済みのモジュールの廃棄する場合に本
体、接着樹脂部、中空糸膜などのように廃棄物の種類ご
との分別処理が容易となるだけでなく、部材のリサイク
ルも容易となる。
【0027】中空糸膜モジュールは、図4に示すよう
に、樹脂接着部が下側、端部封止部が上側になるように
設置して使用しても、これとは逆に、樹脂接着部が上
側、端部封止部が下側になるように設置して使用しても
良い。図4に示す前者の場合、原水入口から導入された
原水は、中空糸膜の外表面側から内表面側に向けて通過
することによって濾過され、接着樹脂部を通って濾過水
出口より取り出される。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0029】実施例1 ポリスルホン(アモコジャパン(株)製UDEL―P1
800。以下、これをPSfと略称する。)20重量
%、エチレングリコール(以下、これをEGと略称す
る。)6重量%、酸化珪素(平均粒径4.5μm)18
重量%およびN,N―ジメチルアセトアミド(以下、こ
れをDMAcと略称する。)54重量%からなる紡糸原
液を以下の手順により作製した。すなわち、EGをDM
Acに溶解した後、シリカパウダーをホモジェッターを
用いてDMAc中に均一に分散させ、得られた分散液に
PSfを添加し、次いで、60℃にて8時間撹拌するこ
とによりPSfを溶解させ、酸化珪素が均一に分散した
白色のスラリー状の紡糸原液を得た。
【0030】上記の方法で得られた紡糸原液を脱泡した
後、50℃に保ち、外径1.65mm、内径0.8mm
の2重環構造ノズルから、N、N−ジメチルホルムアミ
ド(以下これをDMFと略称する)80重量%、水19
重量%およびポリビニルアルコール((株)クラレ製P
VA205。以下、これをPVAと略称する。)1重量
%からなる注入液と共に50℃で吐出した。これを50
℃・90%の加湿雰囲気のドライゾーン中を10cm走
行させた後、凝固浴である50℃の水中に導入して中空
糸膜を得た。紡糸速度は4.5m/minとした。
【0031】次いで、得られた中空糸膜を98℃の温水
で2時間洗浄して、中空糸膜中のDMAc、EGを抽出
した後、グルタルアルデヒドを3g/lの割合で含有
し、かつ硫酸を30g/lの割合で含有する60℃の水
溶液に1時間浸漬してPVAを架橋させた。次に、中空
糸膜を13重量%・80℃の水酸化ナトリウム水溶液に
2時間浸漬して、中空糸膜中の酸化珪素を抽出除去し
た。さらに90℃の温水で2時間洗浄し、次いで45℃
で16時間以上乾燥することにより、外径1.3mm、
内径0.8mmの中空糸膜を得た。
【0032】得られた中空糸膜は、純水透過速度が13
5000L/hr・m2・100kPa、分画粒子径が
2.4μmであった。この膜の外表面、内表面および断
面の電子顕微鏡写真をそれぞれ図1、図2、図3に示
す。
【0033】実施例2 紡糸原液をPSf20重量%、EG6重量%、酸化珪素
(平均粒径11μm)20重量%、酸化珪素(平均粒径
4.5μm)2重量%、DMAc52重量%とする以外
は実施例1と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空
糸膜は、純水透過速度が520000L/hr・m2
100kPa、分画粒子径が5.0μmであった。
【0034】実施例3 紡糸原液をPSf20重量%、EG4重量%、酸化珪素
(平均粒径1.5μm)14重量%、DMF62重量%
とする以外は実施例1と同様にして中空糸膜を得た。得
られた中空糸膜は、純水透過速度が39000L/hr
・m2・100kPa、分画粒子径が1.2μmであっ
た。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、分画粒子径が大きく、
透過性能が非常に優れた多孔質中空糸膜が得られる。こ
れにより、造水コストの面から一般的なフィルター(砂
濾過、珪藻土、糸巻きフィルターなど)が使用されてい
た用途へも膜濾過装置を適用することが容易となり、水
質や安全性の点で砂濾過等よりも優れた水質を安定して
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による中空糸膜の外表面の電子顕微鏡写
真(600倍)である。
【図2】本発明による中空糸膜の内表面の電子顕微鏡写
真(600倍)である。
【図3】本発明による中空糸膜の断面の電子顕微鏡写真
(250倍)である。
【図4】本発明による中空糸膜が用いられる中空糸膜モ
ジュールの一例の概略断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 芳雄 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4D006 MA01 MA21 MB09 MC33X MC62X NA04 NA05 NA13 NA16 PA02 PC02 PC12 PC42 4L035 AA09 BB02 BB04 DD03 FF01 JJ05 KK01 MF01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分画粒子径が1〜10μmであり、かつ
    純水透過速度が30000L/m2/hr/100kP
    a以上であることを特徴とする選択透過性を有する多孔
    質中空糸膜。
  2. 【請求項2】 分画粒子径が2〜5μmであり、かつ純
    水透過速度が100000L/m2/hr/100kP
    a以上である請求項1に記載の多孔質中空糸膜。
  3. 【請求項3】 多孔質中空糸膜がポリスルホン系の素材
    からなる請求項1又は2に記載の多孔質中空糸膜。
  4. 【請求項4】 多孔質中空糸膜が1〜10wt%の親水
    性高分子を含有するポリスルホン系の素材からなる請求
    項3に記載の多孔質中空糸膜。
  5. 【請求項5】 親水性高分子がポリビニルアルコール系
    ポリマーである請求項4に記載の多孔質中空糸膜。
  6. 【請求項6】 多孔質中空糸膜を構成する素材のベース
    ポリマー、原液の相分離を促進させるために添加される
    添加剤、これらの共通溶媒および該共通溶媒に不溶で液
    中で均一に分散した平均粒径が1〜20μmの微粉体か
    らなる原液と中空糸を形成するための注入液を用い、乾
    湿式紡糸法または湿式紡糸法によって中空糸を形成する
    工程と、紡糸後の中空糸を該ベースポリマーを溶解せ
    ず、上記微粉体を溶解する抽出液に浸漬して、上記微粉
    体を抽出除去する工程とを含むことを特徴とする多孔質
    中空糸膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 ベースポリマー、添加剤および両者の共
    通溶媒のみを溶解した場合には相分離を起こし、これに
    微粉体を混合することで相分離が抑えられて紡糸が可能
    な均一な原液となるものである組成の原液を用いた請求
    項6に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 微粉体が酸化珪素微粉体である請求項6
    又は7に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 中空糸を形成する注入液として、ポリビ
    ニルアルコール系ポリマーが1〜10wt%含有する溶
    液を使用する請求項6〜8のいずれか1項に記載の多孔
    質中空糸膜の製造方法。
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