JP2002096064A - 貯水の循環浄化方法 - Google Patents

貯水の循環浄化方法

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JP2002096064A JP2000288586A JP2000288586A JP2002096064A JP 2002096064 A JP2002096064 A JP 2002096064A JP 2000288586 A JP2000288586 A JP 2000288586A JP 2000288586 A JP2000288586 A JP 2000288586A JP 2002096064 A JP2002096064 A JP 2002096064A
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fiber membrane
circulation
filtration
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Kensaku Komatsu
賢作 小松
Shigenobu Ishii
重信 石井
Yoshio Sato
芳雄 佐藤
Ichiro Kawada
一郎 河田
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空糸膜を用いて、貯水を良質な水質に維持
し、かつイニシャルコストを低く抑えることができる貯
水の循環浄化方法を提供すること。 【解決手段】 分画粒子径が1〜10μmの中空糸膜に
よって貯水(例えば、プール用水、浴場用水、温泉用
水、家庭用風呂用水、水族館の水槽用水、水生動物を飼
育する水槽用水、人工池用水、循環温調水、循環冷却
水、循環洗浄水、循環加工水、ボイラー循環水等)を濾
過する工程を含むことを特徴とする。中空糸膜の分画粒
子径は2〜5μmであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プール、浴場、温
泉、水族館、水生動物を飼育する水、工場などで使用さ
れる冷却水、ボイラー水、池等の貯水中の不純物を除去
し浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プール、浴場、温泉、水族館、水
生動物を飼育する水、工場などで使用される冷却水、ボ
イラー水、池等の貯水を浄化する場合には、貯水の一部
を取り出し、取出された水に砂濾過、助剤濾過、凝集沈
殿、加圧浮上などの物理的な分離操作あるいは生物的酸
化処理を施した後に、貯水に戻す循環浄化方法が一般的
である。
【0003】近年、水源の水質汚染に伴って工業用水や
地下水、水道水の水質が悪化していることに加え、水の
リサイクル化や安全性の向上に対する意識が高まってき
ており、砂濾過、助剤濾過、凝集沈殿、加圧浮上などの
従来の物理的な分離操作技術では、要求される貯水の浄
化レベルが達成されない場合が生じてきている。また、
砂濾過や凝集沈殿、加圧浮上などは分離精度が10μm
以上であり、それ以下の大きさの懸濁微粒子を除去する
ことが困難であるという問題がある。助剤濾過は濾布な
どの濾材表面に珪藻土などの濾過助剤のプリコート層を
形成し、この層で濾過を行う方法であるが、濾過助剤の
プリコートや原水中への投入、助剤の入れ替えなどに手
間がかかる上、助剤そのものが廃棄物となるため環境に
対して好ましくないという問題がある。また、生物的酸
化方法を用いて貯水の浄化を行おうとすると、浄化処理
に時間がかかり、それを補うために設置スペースが大き
くなる、メンテナンス・管理が煩雑である、処理後の懸
濁物質の除去装置が必要とされるなど、多くの問題が生
じる。
【0004】ところで、選択透過性を有する分離膜を用
いる分離操作技術がめざましく進展しており、各種の用
途で実用化されている。各種分離膜の中で、中空糸膜は
単位膜面積あたりの設置スペースをコンパクトにするこ
とができるという特徴を有する。中空糸膜を用いた分離
操作技術の代表的な用途の例として、超純水の製造、医
薬品の製造、醸造製品の除菌・仕上げ、水道・飲料水の
製造が挙げられる。これらの用途では、水のファイン化
(高度処理)や安全性向上、精度向上などが要求され
る。
【0005】一方で、従来の砂濾過や助剤濾過などに替
えて、中空糸膜を用いてプール水などの貯水を浄化しよ
うとする技術が知られている(特開昭59−20609
1号公報、特開平8−323396号公報、特開平10
−121759号公報などを参照)。
【0006】中空糸膜を用いた分離操作技術には砂濾過
や助剤濾過などと比較して次のような利点がある。 分離精度がシャープであるため、原水の水質に左右
されず、安定した濾過液が得られ、安全性も高い。 砂の入れ替えなど煩雑なメンテナンスが少なく廃棄
物も少ない。 砂濾過であれば分画精度を改善させるために凝集沈
殿処理が必要となるケースが多いが、中空糸膜濾過であ
れば凝集沈殿処理を省略するか、簡素化することがで
き、システムの省スぺース化や処理工程の単純化を図る
ことができる。 濾過液回収率が高く逆洗排水が少ないため、逆洗廃
液処理が簡単である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−2060
91号公報には、限外濾過領域の中空糸膜を用いて貯水
(プール)を浄化することが記載されている。このよう
な分離精度が小さい一般的な中空糸膜を用いると、懸濁
微粒子などの除去は十分に行うことができ安定でかつ良
質な水質を得ることができる。しかし、特開昭59−2
06091号公報の技術に基づくと濾過速度が低いた
め、プール用水のような大容量の貯水を処理するために
は、大きな膜面積をもつ設備を設ける必要があり、設備
コストおよびランニングコスト(膜の交換費用など)が
かかりすぎて実用的ではない。特開平8−323396
号公報および特開平10−121759号公報には、砂
濾過などの粗濾過で貯水の大部分を循環濾過し、その中
の一部を中空糸膜によって浄化する方法が示されてい
る。しかし、この方法では、貯水全体に対する中空糸膜
での濾過量の割合が低いと水質を改善させることができ
ず、逆に、貯水全体に対する中空糸膜での濾過量の割合
を高くすると水質は改善されるものの、設備コストが高
くなるという問題が生じ、必ずしも満足できる結果は得
られない。
【0008】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
で、中空糸膜を用いて、貯水を良質な水質に維持し、か
つ設備コストを低く抑えることができる貯水の循環浄化
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明の貯水の循環浄化方法は、分画粒子径が1〜10μ
mの中空糸膜によって貯水を濾過する工程を含むことを
特徴とする。中空糸膜の分画粒子径は2〜5μmである
ことが好ましい。
【0010】ここでいう貯水とは、槽内または容器内に
貯留され循環される水などの液体であって、槽内また
は容器内で直接所定の目的に使用されるか、またはそ
の一部がポンプなどで槽または容器の外部から取り出さ
れて所定の目的に使用された後に戻されるものである。
例えば、プール用水、浴場用水、温泉用水、家庭用風呂
用水、水族館の水槽用水、水生動物を飼育する水槽用
水、人工池用水、循環温調水、循環冷却水、循環洗浄
水、循環加工水、ボイラー循環水等が挙げられる。
【0011】本発明でいう分画粒子径とは、中空糸膜に
よる阻止率が90%である粒子の粒子径(S)のことを
いい、異なる粒子径を有する少なくとも2種類の粒子の
阻止率を測定し、その測定値を元にして下記の近似式
(1)において、R(%)が90となるSの値を求め、
これを分画粒子径としたものである。 R=100/(1−m×exp(−a×log(s))) …(1) 上記の式中、aおよびmは中空糸膜の透水性能、構造な
どによって定まる定数であって、2種類以上の阻止率の
測定値をもとに算出される。
【0012】一般的な中空糸膜の分画粒子径は0.2μ
m以下であり、もともとの濾過速度が低い上に、貯水中
の不純物や懸濁物質の大部分が中空糸膜で阻止されるた
め、中空糸膜の表面や内部に不純物等が堆積し、不純物
等の抵抗で濾過速度がさらに低くなり、流量低下を起こ
してしまう。これに対し、砂濾過の分画粒子径は10μ
m程度であって高く、さらに水中に不純物や懸濁物質が
存在しても、大きさが5μm以下であれば透過してしま
うことから、不純物等の抵抗を受けにくく、高い濾過速
度を維持することができる。このため、分画粒子径が
0.2μm以下の一般的な中空糸膜を用いた膜濾過によ
る濾過速度は、砂濾過などによる濾過速度に対して圧倒
的に低い。本発明では、分画粒子径が1〜10μmの中
空糸膜を用いることで、もともと純水透過速度が高い上
に通常の中空糸膜では目詰まりの原因になる1μm以下
の微粒子は膜から透過するため、目詰まりが抑制され、
高い濾過速度を発現・維持することができる。プール、
浴場、温泉、水族館、水生動物を飼育する水、工場など
で使用される冷却水、ボイラー水、池等の貯水の多く
は、精密濾過や限外濾過領域までの水質までは必ずしも
必要ではなく、ミクロンオーダーの懸濁微粒子を除去で
きれば良いことが多いことから、分画粒子径が1〜10
μmであっても実用上の問題は小さく、しかも砂濾過な
どよりもはるかに良好な水質を維持することができる。
【0013】本発明において、分画粒子径が1〜10μ
mであって、純水透過速度が30,000L/(m2
hr・100kPa)以上の中空糸膜で濾過することが
好ましい。純水透過速度は100,000L/(m2
hr・100kPa)以上であることがより好ましい。
上記の純水透過速度は、有効長が3cmの片端開放型の
中空糸膜モジュールを用いて、原水として純水を利用
し、濾過圧力が50kPa、温度が25℃の条件で中空
糸膜の外側から内側に濾過(外圧濾過)して時間当たり
の透水量を測定し、単位膜面積、単位時間、単位圧力当
たりの透水量に換算した数値を示す。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において貯水の量に特に限
定はないが、貯水量が多い場合の方が循環浄化(処理)
量を多くする必要性が高いことから、省スペース性や高
いコストパフォーマンスなどという本発明の循環浄化方
法の効果が発揮されやすい。本発明が利用されるプール
等の貯水量は1m3以上であることがより好ましい。
【0015】本発明では、連続的または断続的に貯水の
一部をポンプなどで抜き出し、その液を浄化処理し、処
理液をもとの貯水槽・貯水容器に返す。本発明による循
環浄化方法のフローの一例を図1〜図3に示す。図1は
工場の冷却水などの所定の目的に使用されるラインとは
独立して貯水を循環浄化するラインを設けた例である。
プール、水族館などのように貯水内で所定の目的に使用
される場合も同様なフローで貯水を浄化することができ
る。図2は工場の冷却水などの所定の目的に使用するた
めの送液ライン中で貯水を浄化処理する例である。図3
は工場の冷却水などの所定の目的に使われた後に貯水へ
返液するラインで貯水を浄化処理する例である。
【0016】本発明において、中空糸膜の分画粒子径の
大きさは、目的、用途に応じて適宜選択することができ
る。例えば、原虫類の除去が目的であれば、原虫類の粒
径は4〜5μm以上であるため、2〜3μmの分画粒子
径を有する中空糸膜を使用すれば良い。また、5μm以
上の懸濁微粒子の除去が目的であれば、4〜5μmの分
画粒子径を有する中空糸膜を使用すれば良い。除去しよ
うとする物質にできるだけ近い大きさの分画粒子径を有
する中空糸膜を選定することが、高い濾過速度を得るた
めに効果的である。
【0017】中空糸膜による濾過を長時間継続すると目
詰まりによる濾過速度の低下を引き起こす。砂濾過や助
剤濾過の場合であれば、大量の逆洗水を濾過の流れとは
反対の方向に流して、堆積している懸濁物質を剥離させ
て洗浄することが一般的である。中空糸膜による濾過の
場合もこれと同様に一定時間毎に逆洗処理を行う必要が
あるが、逆洗水の量は砂濾過に比べ遙かに少なくて済
む。逆洗方法としては、例えば透過液を通常の反対方向
に流す透過液逆洗、原水側に空気を送り込んでバブリン
グさせるバブリング洗浄、濾過液側から原水側にガスを
透過させることによって逆洗を行うガス逆洗などが挙げ
られる。これらの中で、ガス逆洗は気体の噴出効果と中
空糸膜が振動してこすれ合う効果とが相まって懸濁物質
を効率的に除去することができる点で好ましい。このよ
うな逆洗操作は、一定時間毎に自動的に開始終了させる
ようシステム化すれば、運転の維持管理が容易となる。
【0018】本発明において用いられる中空糸膜の素材
は特に限定されない。セルロース系ポリマー、アクリロ
ニトリル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリアミ
ド系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリビニルア
ルコール系ポリマー、塩ビ系ポリマー、フッ素系ポリマ
ーなどの素材やこれらの変成ポリマーや混合体が用いら
れる。中空糸膜がポリスルホン系などの耐熱性の高い素
材からなるときは、一定時間毎に60〜99℃の温水ま
たは熱水を用いて循環洗浄、逆洗、濾過洗浄などの洗浄
を行うことで濾過性能を回復させることも可能である。
温水を用いることで、中空糸膜表面などに堆積された有
機物、バクテリア、カビなどを殺菌、洗浄し、中空糸膜
表面をきれいにする効果がある。原水にバクテリアなど
の有機性の懸濁物質が多く含まれており、しかも殺菌剤
などの投入ができない用途においては、温水による循環
洗浄は有効な手段である。
【0019】中空糸膜の素材としては、耐熱性、耐酸・
アルカリ性、強度物性、耐酸化剤性に優れた多孔質中空
糸膜が得られる点で、ポリスルホン系ポリマーを用いる
ことが好ましい。ポリスルホン系ポリマーの代表例とし
て、次の一般式(I)または(II)で表されるような
繰り返しユニットを有するものが挙げられる。
【化1】
【化2】
【0020】例えば水濡れ性や耐汚染性などの性質を付
与するため、ベースとなる膜素材に親水性高分子を含有
させても良い。親水性高分子の例として、ポリビニルア
ルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチ
レン・酢ビ共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチ
レンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸など
やこれらの変性ポリマーが挙げられる。該親水性高分子
の中では、変成物が多数存在するポリビニルアルコール
が目的に応じた性質を付与しやすい点で好ましい。ベー
スポリマーの特性を阻害せず機能性を付与できる範囲と
するために、親水性高分子の含有量は1〜10wt%の
範囲が好ましい。ポリスルホン系ポリマーであるベース
ポリマーに1〜10wt%の親水性高分子(特にポリビ
ニルアルコール系ポリマー)を含有させることが好まし
い。水濡れ性などの性質を付与するためにベースポリマ
ーに親水性高分子を含有させる場合は、原液に親水性高
分子を添加することができる。
【0021】分画粒子径が1〜10μmの中空糸膜は、
例えば、多孔質中空糸膜を構成する素材のベースポリマ
ー、原液の相分離を促進させるために添加される添加
剤、これらの共通溶媒および該共通溶媒に不溶で液中で
均一に分散した平均粒径が1〜20μmの微粉体からな
る原液と中空糸を形成するための注入液を用い、乾湿式
紡糸法または湿式紡糸法によって中空糸を形成する工程
と、紡糸後の中空糸を該ベースポリマーを溶解せず、上
記微粉体を溶解する抽出液に浸漬して、上記微粉体を抽
出除去する工程とを含む方法によって製造することがで
きる。ここで、ベースポリマー、添加剤および両者の共
通溶媒のみを溶解した場合には相分離を起こし、これに
微粉体を混合することで相分離が抑えられて紡糸が可能
な均一な原液となるものである組成の原液を用いること
ができる。また、微粉体として酸化珪素微粉体を用いる
ことができる。
【0022】上記の製造方法に基づく、中空糸膜の製造
例の一例は次のとおりである。 (製造例)ポリスルホン(アモコジャパン(株)製UD
EL―P1800。以下、これをPSfと略称する。)
20重量%、エチレングリコール(以下、これをEGと
略称する。)6重量%、酸化珪素(平均粒径4.5μ
m)18重量%およびN,N―ジメチルアセトアミド
(以下、これをDMAcと略称する。)54重量%から
なる紡糸原液を以下の手順により作製した。すなわち、
EGをDMAcに溶解した後、シリカパウダーをホモジ
ェッターを用いてDMAc中に均一に分散させ、得られ
た分散液にPSfを添加し、次いで、60℃にて8時間
撹拌することによりPSfを溶解させ、酸化珪素が均一
に分散した白色のスラリー状の紡糸原液を得た。上記の
方法で得られた紡糸原液を脱泡した後、50℃に保ち、
外径1.65mm、内径0.8mmの2重環構造ノズル
から、N、N−ジメチルホルムアミド80重量%、水1
9重量%およびポリビニルアルコール((株)クラレ製
PVA205。以下、これをPVAと略称する。)1重
量%からなる注入液と共に50℃で吐出した。これを5
0℃・90%の加湿雰囲気のドライゾーン中を10cm
走行させた後、凝固浴である50℃の水中に導入して中
空糸膜を得た。紡糸速度は4.5m/minとした。次
いで、得られた中空糸膜を98℃の温水で2時間洗浄し
て、中空糸膜中のDMAcおよびEGを抽出した後、グ
ルタルアルデヒドを3g/lの割合で含有し、かつ硫酸
を30g/lの割合で含有する60℃の水溶液に1時間
浸漬してPVAを架橋させた。次に、中空糸膜を13重
量%・80℃の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し
て、中空糸膜中の酸化珪素を抽出除去した。さらに90
℃の温水で2時間洗浄し、次いで45℃で16時間以上
乾燥することにより、外径1.3mm、内径0.8mm
の中空糸膜を得た。このようにして得られた中空糸膜
は、純水透過速度が135,000L/(hr・m2
100kPa)、分画粒子径が2.4μmであった。
【0023】本発明で用いられる中空糸膜は、網目状構
造、ハニカム状構造、微細間隙構造などの微細多孔質構
造を内部に有している。中空糸膜内部には、フィンガー
ライク状構造やボイド構造があっても良い。中空糸膜内
部の微細多孔質構造が、分画粒子径および純水透過速度
を決定する。中空糸膜の内径は、一般に0.2〜3m
m、外径は0.4〜5mmである。
【0024】なお、本発明において、一定時間毎に酸化
剤を用いて中空糸膜を洗浄することも可能である。酸化
剤は有機物が多い貯水を浄化する場合に中空糸膜の性能
回復手段として有効である。酸化剤としては、次亜塩素
酸ソーダ、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、過酸化水
素、過酢酸などが挙げられる。酸化剤の種類やその濃度
は中空糸膜の目詰まりの状況、中空糸膜の材質などによ
り適宜決定される。また、酸化剤を用いた洗浄方法とし
ては、浸漬洗浄、循環洗浄、濾過洗浄、濾過液側から酸
化剤を流す逆液洗浄などが挙げられる。また、本発明に
おいて、アルカリや酸、洗剤による化学洗浄を行うこと
も可能である。
【0025】本発明において、中空糸膜を用いた循環濾
過処理の前または後に粗濾過、凝集処理、オゾン処理、
活性炭処理、塩素殺菌処理のいずれか1つ以上の処理を
行っても良い。あるいは、これらの処理を中空糸膜の循
環浄化ラインと独立させて循環処理を行っても良い。有
機物を分解させたり細菌類を死滅させたりする必要があ
る場合にはオゾン処理を利用すればよく、有機物を吸着
除去する必要がある場合には活性炭を使用すればよい。
細菌類を死滅させる必要がある場合には、塩素殺菌処理
をしても良い。これらの処理を組み合わせることによっ
て、水質の優れた浄水を得ることができるだけでなく、
濾過速度が向上することもある。
【0026】オゾン処理、活性炭処理、塩素殺菌処理を
組み合せた貯水の循環浄化方法の工程例を以下に示す。 貯水→オゾン処理→活性炭処理→中空糸膜濾過→塩素
殺菌→貯水 貯水→凝集処理→中空糸膜濾過→活性炭処理→塩素殺
菌→貯水 貯水→塩素殺菌→中空糸膜濾過→貯水
【0027】貯水の循環処理量は貯水量に対して循環処
理量を多くすれば貯水の水質は向上するが処理設備のコ
ストが大きくなり、逆に処理量を少なくすればコストは
小さくて済むが貯水の水質は悪くなる。従って、循環処
理量は設備コスト、貯水の容量や貯水中の懸濁物質の
量、要求される水質により、適宜設定される。なお、プ
ールの場合は法令による基準が設けられており、1日に
処理量がプールの容量の4倍以上処理するよう定められ
ている。
【0028】
【実施例】
【0029】以下、実施例により本発明を具体的に説明
する。
【0030】(実施例1)PVAで親水化された(PV
Aの含有量:2重量%)ポリスルホンを膜素材として用
いて、外径が1.3mm、内径が0.8mmであり、分
画粒子径が2.4μm、純水透過速度が135,000
L/(hr・m2・100kPa)の中空糸膜を用い、
有効長が97cmの片端開放型のモジュール(有効膜面
積7m2)を19本使用して、次に示すフローおよび運
転条件によって、温水プール(貯水量360m3)の循
環浄化処理を行った。 処理フロー プール→次亜塩素酸ソーダ注入(0.6mg/L)→プレフィルター(分画粒子 径100μm)→中空糸膜濾過→プール 運転条件 濾過方式:外圧全量濾過方式(定流量濾過) 濾過速度−100m3/hr(750L/(m2・hr)) 逆洗方法:エアー逆洗(逆洗圧力 0.17MPa) 逆洗時間 30秒 逆洗サイクル 15分毎(ただし、逆洗ドレン排出は3時間毎) 試験結果を図4に示す。
【0031】(比較例1、2)PVAで親水化された
(PVAの含有量:2重量%)ポリスルホンを膜素材と
して用いた、外径が1.0mm、内径が0.6mmであ
り、分画粒子径が0.1μm、純水透過速度が2,40
0L/(hr・m2・100kPa)の中空糸膜(比較
例1)、PVAで親水化された(PVAの含有量:2重
量%)ポリスルホンを膜素材として用いた、外径が1.
3mm、内径が0.8mmであり、分画粒子径が0.8
5μm、純水透過速度が22,000L/(hr・m2
・100kPa)の中空糸膜(比較例2)をそれぞれ用
いた以外は実施例1と同様にしてプール用水の循環処理
を行った。なお、比較例1の中空糸膜はエアー逆洗する
ことができないので、比較例1では、透過液逆洗とバブ
リング洗浄とを組み合せて逆洗を行った。試験結果を図
4に示す。
【0032】図4に示すように、比較例1、2において
は循環浄化処理開始から1〜7日で中空糸膜の目詰まり
による差圧上昇が生じたのに対して、実施例1において
は循環浄化処理の開始から2ヶ月が経過しても差圧上昇
が少なく、安定に処理することができた。
【0033】プール水を用いて、実施例1に用いた中空
糸膜で濾過された濾過液のFI(ファウリング・インデ
ックス)を測定した。比較のため、珪藻土(昭和化学工
業製ラジオライト#600)をプリコート層とした濾材
を用いて助剤濾過した濾過液のFIも測定した。測定結
果を表1に示す。実施例1に用いた中空糸膜の濾過液の
FIは助剤濾過の濾過液のFIよりも低い結果となり水
質が優れていることが判った。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例2)PVAで親水化された(PV
Aの含有量:2重量%)ポリスルホンを膜素材として用
いて、外径が1.3mm、内径が0.8mmであり、分
画粒子径が3.8μm、純水透過速度が320,000
L/(hr・m2・100kPa)の中空糸膜を用い、
有効長が20cmの片端開放型のモジュール(有効膜面
積1m2)を使用して、図1に示す循環浄化方法を用
い、以下の運転条件によって、クーリングタワー冷却水
(貯水量8m3)の循環浄化処理を行った。 濾過方式:外圧全量濾過方式(定流量濾過) 濾過速度−1m3/hr(1000L/(m2・hr)) 逆洗方法:エアー逆洗(逆洗圧力 0.17MPa) 逆洗時間 30秒 逆洗サイクル 30分毎 補給水 :工業用水(濁度2〜5度) 初期および1ヶ月の連続処理後の膜間差圧、処理水水質
データを表2に示す。1ヶ月間運転後の差圧上昇も少な
く、また貯水の濁度も1度以下であり、良好な水質を維
持していた。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】分画粒子径の大きな中空糸膜を用いた本
発明の貯水の循環浄化方法によれば、高い濾過速度と安
定した水質を得ることができる。また、高い濾過速度を
有しているため、少ない膜面積の設備でも高い処理能力
を実現することができ、設備のコンパクト化が図られ、
コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による循環浄化方法のフローの一例を示
す図である。
【図2】本発明による循環浄化方法のフローの他の一例
を示す図である。
【図3】本発明による循環浄化方法のフローの他の一例
を示す図である。
【図4】実施例1・比較例1〜2の試験結果を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河田 一郎 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4D006 GA01 HA01 KB13 KB14 KB21 KC03 KC14 KE03Q KE03R MA01 MA22 MB02 MC62X PB02 PB07 PC55 4D064 AA09 BE02 BE12 BE15 BF31 BK03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分画粒子径が1〜10μmの中空糸膜に
    よって貯水を濾過する工程を含むことを特徴とする貯水
    の循環浄化方法。
  2. 【請求項2】 中空糸膜の分画粒子径が2〜5μmであ
    る請求項1に記載の貯水の循環浄化方法。
  3. 【請求項3】 中空糸膜の純水透過速度が30,000
    L/(m2・hr・100kPa)以上である請求項1
    または2に記載の貯水の循環浄化方法。
  4. 【請求項4】 中空糸膜の純水透過速度が100,00
    0L/(m2・hr・100kPa)以上である請求項
    3に記載の貯水の循環浄化方法。
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