JPH10118471A - 膜モジュールの洗浄方法 - Google Patents

膜モジュールの洗浄方法

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JPH10118471A
JPH10118471A JP19689097A JP19689097A JPH10118471A JP H10118471 A JPH10118471 A JP H10118471A JP 19689097 A JP19689097 A JP 19689097A JP 19689097 A JP19689097 A JP 19689097A JP H10118471 A JPH10118471 A JP H10118471A
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JP
Japan
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membrane module
acid
membrane
cleaning
water
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JP19689097A
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English (en)
Inventor
Nami Hirata
奈美 平田
Yoshinari Fujii
能成 藤井
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属イオンや無機物、とくに鉄とマンガンを
特徴的に含む原水の浄化を目的に膜分離処理を行なうべ
く用いられる膜モジュール使用後の、効率的な洗浄回復
方法を提供する。 【解決手段】 多孔質膜内の廃水を排出した後、塩酸水
溶液に有機酸を混合した混酸をモジュール内で循環させ
て、洗浄することを特徴とする膜モジュールの洗浄方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は膜モジュールの洗浄方法
に関するものであり、さらに詳しくは被処理水中に鉄を
多く含む原水の浄化、あるいは前塩素処理を必要とする
ため鉄あるいはマンガンを析出させる傾向にある水処理
システム中での原水浄化を目的として膜分離処理を行な
うために用いられる膜モジュール使用後の目詰まりに対
する洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、多孔質膜は種々の流体をろ過する
ために広く用いられている。膜ろ過はろ過精度が高く、
かつ流動体処理ラインに組み込み易いため今後も適用範
囲が広がっていくことは必至である。最近になって、家
庭の飲料水を賄う浄水処理場でも膜ろ過による処理方法
が試みられるようになってきた。しかし、流体をろ過す
るうちに、多孔質膜は流体内の不純物および/または流
体成分によって目詰まりまたは閉塞を生じる。このため
一定量の処理液を得ようとすると、結果的に膜にかかる
圧力が大きくなり、差圧の上昇が起こる。規定差圧を越
えると使用不可能になるため、その膜モジュールを廃棄
して交換することも可能であるが、そのために極めて大
きい費用をかけることは全く実用的でない。よって膜モ
ジュールを洗浄し、目詰まりを取り除いて再度使用する
方法が考えられた。しかし目詰まりを取り除く操作が複
雑であったり、煩雑であったりするとそれだけで装置上
または操作上の費用がかさむことになる。また、使用す
る薬液が多孔質膜を損傷したり、モジュール部品や配管
など装置内のその他の部分を損傷したりするものであっ
てはもちろん使用不可能である。従来の膜モジュールの
洗浄方法としては、クエン酸に次いで塩素含有アルカリ
水溶液を膜面を透過させて循環する方法(特公平8−4
728号),通常のろ過方向と逆に膜面を透過して浄水
を流し、目詰まり物質を逆洗する方法(例えば特開平5
−228470),また酸やアルカリ,界面活性剤など
に浸漬して目詰まりを溶解してしまう方法などが考えら
れた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クエン
酸に次いで塩素含有アルカリ水溶液を使用する方法は蛋
白質を主とした目詰まり物質とする場合に効果的である
が、金属イオンおよび無機物を主とした目詰まり物質で
ある場合、効果が低い。また、目詰まり物質を逆洗する
方法は逆洗のための圧力装置やバルブ,コックの切り替
え,別ラインの設置などが必要である。しかも通常は膜
でろ過されて処理水側となる側に薬液を注入することか
ら、逆洗終了後の洗浄に大量の洗浄水と時間がかかる。
これらのことより、特に処理液に薬液が混入してはなら
ない装置に至っては、逆洗方法は採りにくい場合が多
い。酸,アルカリ,界面活性剤での浸漬については使用
条件が整えば良好な結果が得られるが、目詰まり物質の
性質を考慮して注意深く使用すしないと意図に反して目
詰まりを起こしてしまう場合がある。これまで、膜モジ
ュールの洗浄に関してはろ過する被処理液と目詰まり物
質とその状態、およびその洗浄方法や使用する薬液につ
いての関係を整理して明らかにされたことはほとんどな
かった。
【0004】また、ろ過する被処理液が水系である場
合、例えば地下水,河川水,海水,下水処理水や工業用
水などの場合であるが、そのまま膜ろ過で直接処理する
とは限らない。これらには、多くのSS成分,微粒子,
ゴミ,細菌類,藻類,金属イオン,無機物などが含まれ
ており、膜ろ過装置にトラブルを起こすこととなる。そ
こで通常これらに凝集剤を添加して凝集沈殿処理を行
い、上澄みを膜ろ過のための原水とすることが多いが、
このような処理によっていっそう膜には目詰まり物質が
増加することがある。最近鉄系凝集剤の使用頻度が飛躍
的に増大していることから、鉄を含む化合物による目詰
まりが懸念される。
【0005】一方、膜面に付着して差圧上昇の一因とな
る細菌類,藻類に代表される有機物を先に分解してしま
うため、膜処理の前に塩素を添加する方法もしばしば採
られる。しかし、この塩素添加により、溶存していた鉄
あるいはマンガンイオンが膜面および膜内部で酸化物と
して析出し、処理水水質に影響を及ぼしたり差圧の上昇
を急速に起こしたりするトラブルが見られることが最近
わかってきた。しかしこれらの方法で膜処理した後のモ
ジュールについて、確実に目詰まり物質を洗浄する方法
が確立されていないのが現状である。
【0006】上記の問題点に鑑みて本発明は、逆洗を必
要とせず、後処理が非常に簡単な薬液を実用的な範囲の
濃度で用いて、とくに問題の大きい鉄・マンガンを多く
含む原水をろ過した膜の目詰まりにたいして良好な洗浄
性を発揮する膜モジュールの洗浄方法を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、基本的には下記の構成を有する。
【0008】「塩酸と有機酸を含有する液体を多孔質膜
モジュール内で循環させることを特徴とする膜モジュー
ルの洗浄方法。」
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明において最も重要であるのは、塩酸
と有機酸を液体、塩酸水溶液に有機酸を混合した混酸で
処理するということである。もちろん、混酸水溶液で処
理する前に膜モジュール内にある廃水を排出し、水洗す
る工程などが前処理として入ることはより好ましい。
【0011】ここで本発明における有機酸は任意であ
り、例えば酢酸などのカルボン酸,フタル酸,フマル酸
などのポリカルボン酸などどんなものでも良いが、目的
とする洗浄性の高さから蓚酸あるいはクエン酸が最も好
ましい。もちろん、これらの有機酸を混合して用いても
良い。
【0012】有機酸の鉄への洗浄力は既知であり安易に
使われかねないが、通常の用水処理の場合、目詰まり物
質が鉄のみである可能性は皆無であり、例えばカルシウ
ムやアルミニウムが混在していた場合は有機酸と不溶性
の塩を形成し、いっそう閉塞が促進されることはほとん
ど知られていない。
【0013】しかしここで、塩酸と混合したことによっ
て、塩酸がアルミニウム,カルシウム,鉄,ケイ素など
の金属・無機物系の目詰まり物質を溶解して、相乗効果
が発揮される。これは例えば、イオンの反応によって塩
化アルミニウム,塩化カルシウムといった水溶性の塩を
作成して溶解することのほかに、通常の薬液では溶解す
ることのできないケイ素化合物、例えばケイ酸カルシウ
ムのような形で目詰まり物質になっていても、塩酸には
溶解性を持つことから可能になるのである。そして強固
に付着した酸化鉄および酸化マンガンについては有機酸
が非常に良好な洗浄効果を示す。この相乗効果により、
懸念された不溶性塩によるトラブルを起こすことがな
い。
【0014】これらの金属・無機系の目詰まり物質を混
酸で溶解した後、耐酸性を持つ有機物が残った場合、塩
素含有アルカリ水溶液例えば次亜塩素酸ナトリウムなど
通常知られている薬液で処理することは何等問題ない。
【0015】ここで、塩酸水溶液の濃度は洗浄効果の点
より0.01Nより高いことが好ましく、より好ましく
は0.05N以上である。膜,モジュール,部材など装
置の材料に耐性があればどんなに高濃度でも良いが、実
用的には2N程度までが安全性の点から好ましい。
【0016】混合する有機酸濃度は洗浄効果の点より
0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.
05重量%以上である。排水の点からはあまり含有率が
高くない方が好ましいため、実用的には5重量%以下程
度が好ましい。
【0017】循環させる時間は1時間以上,5時間以内
が好ましい。それ以下では処理効果が低く、それ以上で
は処理効果に向上が無いからである。
【0018】また、洗浄処理後の塩酸は中和することで
簡単に処理できることが大きなメリットである。通常の
薬液はそのまま流してしまうことはほとんどできない
が、塩酸の場合水酸化ナトリウムとの中和で、全く害の
無い食塩水とすることができ、有機酸濃度が低ければそ
のままろ過濃縮液とともに廃棄することが可能である。
なお、該混酸水溶液の処理前後において、本発明の効果
を妨げない範囲で、浄水あるいはその他の薬液による洗
浄や化学処理、またはスクラビングなどの物理的処理を
施しても良い。特に水洗は必須ではないが、可能な限り
行なわれることが好ましい。
【0019】本発明の多孔質膜の形態は任意であり、平
膜,スパイラル膜,プリーツ膜,中空糸膜など既知のも
ので特に限定は無い。しかし、そのうちでも特に単位体
積あたりの膜面積が大きくてかつモジュール化しやすい
中空糸膜形態が好ましい。膜が中空糸の場合、多数の中
空糸を糸束にまとめ、端部を固定してエレメントとし、
それを容器に収納して流体処理用にパッキングされたも
のを膜モジュールと総称している。すなわち、中空糸束
を容器の端部に接着剤で固定した容器一体型モジュール
と中空糸束の端部を接着剤などで固定した膜エレメント
をタンク型容器に充填したタンク型モジュールのいずれ
の構造の膜モジュールに対しても好ましく使用できる。
【0020】中空糸膜は限外瀘過膜または精密瀘過膜が
好ましい。その細孔径は1nm以上10μm以下である
ことが好ましく、より好ましくは1nm以上1μm以下
であることが好ましい。細孔径は小さすぎると通水圧損
が大きくなり、膜の目詰まりも増えること、大きすぎる
とリークが見られることから上記の範囲が好ましい。ま
た、中空糸膜の外径は100μm以上2000μm以
下、内径は50μm以上1000μm以下、膜厚は20
μm以上500μm以下のものが好ましく適用でき、よ
り好ましくは外径150μm以上1700μm以下、内
径は60μm以上900μm以下、膜厚は20μm以上
400μm以下のものが好ましい。これは外径あるいは
膜厚がこれ以上小さすぎると中空糸膜自体の強度が小さ
くなり、膜の損傷を招くことになる。反対に大きすぎる
と逆洗性が低下したり、単位体積あたりの瀘過面積が低
下するからである。また膜構造においても、対称膜,非
対称膜などの限定はなく、使用方法によって適時選択す
る。
【0021】薬液処理方法としての循環の方法は任意で
あり、装置上可能な限りどんな方法を採ってもよい。こ
こで循環とは薬液を膜モジュールの膜表面に沿って1回
以上繰り返し通過させることをいう。循環の方法として
は、通常のろ過方向に薬液を透過して洗浄しても良い
し、逆洗してももちろん良い。膜の内・外から空気圧を
かけても良いし、エアをバブリングして膜を揺らして
も、振動を与えても良い。
【0022】しかし、装置,操作,後処理が最も簡便で
済むことから、薬液をろ過膜面(被処理液が入る側,汚
れが付着している面)を流動させ、薬液タンクにもどし
てそれを再度モジュールに同様の方法で流動させるだけ
の方法が好ましい。例えば外圧式でろ過するタイプの中
空糸膜ジュールの場合、図1に示すように、ろ過膜表面
に薬液が接触するようにして、繊維軸方向に薬液を流す
方法が最も好ましい。この場合、薬液が実質的に透過し
ないように、圧力は殆どかけずに運転することができ
る。当然、モジュールの形態は様々であり、これに限る
ものでは無い。なお、膜エレメントをタンク型容器に装
填した構造の膜モジュールの場合には、薬液をタンク型
容器の外に取り出して循環させる代わりに、タンク型溶
液内の薬液にエアバブリングで上昇流と下降流とを生じ
させて流動させて洗浄する方法も、薬液の循環方法とし
て、好ましい態様のひとつである。
【0023】このような方法を採ると、薬液は通常被処
理水が通る配管および濃縮水を取り出す配管をそのまま
使用して通水することが可能であり、ろ過水の側に滲み
出る薬液は少量であることから、洗浄も簡単に済ませる
ことができる。
【0024】循環させる流速SV(space velocity)
は、特に限定されるものではないが、遅すぎると洗浄時
間が長くなったり、実用的洗浄時間内では十分清浄にな
らないなどの問題を生じる。また、速すぎると中空糸膜
や循環系の部品に余計な負荷や損傷を与える恐れがある
ので、好ましくない。以上を勘案して、流速の下限は、
おおよそ0.5h-1以上が好ましく、1h-1以上がより
好ましい。流速の上限は、おおよそ100h-1以下が好
ましく、50h-1以下がより好ましい。
【0025】本発明の方法を用いる多孔質膜は、当然の
ことながら実用レベルで耐酸性を備えている必要がある
が、そうであれば任意の材料からなって良く、特に限定
は無い。例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリス
ルホン,ポリエーテルスルホン,ポリビニルアルコー
ル,ポリアクリロニトリル,酢酸セルロース、三酢酸セ
ルロース、その他の材料から選択することができる。そ
のうちでも特にビニルポリマからなるものが好ましく、
特にアクリロニトリルを少なくとも一成分とする重合体
であることが好ましい。アクリロニトリル系重合体の中
でも最も好ましいものとして、アクリロニトリルを少な
くとも50モル%以上,好ましくは60モル%以上と、
そのアクリロニトリルに対して共重合性を有するビニル
化合物一種または二種を50モル%以下,好ましくは0
〜40モル%からなるアクリロニトリル共重合体であ
る。また、これらアクリロニトリル系重合体二種以上、
さらに他の重合体との混合物でも良い。
【0026】つぎに、上記の膜でろ過する被処理液が水
系である場合、例えば地下水,河川水,海水,下水処理
水や工場排水などであるが、これらには、多くのSS成
分,微粒子,ゴミ,細菌類,藻類,金属イオン,無機物
などが含まれており、通常、これらに凝集剤を添加して
凝集沈殿処理を行い、上澄みを膜ろ過のための原水とし
ていることが多い。凝集剤は無機凝集剤,高分子凝集剤
など様々なものが挙げられる。その選択は任意であり、
被処理水によって選択可能である。通常の水処理におい
ては凝集効果と価格のバランスから現状は無機凝集剤が
用いられることが多い。無機凝集剤は鉄系,マンガン
系,アルミニウム系がしばしば用いられるが、最近鉄系
凝集剤の使用頻度が飛躍的に増大している。凝集沈殿後
の上澄み液を原水とする被処理水は、通常硬度分として
含まれるカルシウム,マグネシウムに加えて、この工程
により鉄が多く含まれたものとなってしまう。ケイ素は
通常の状態では不純物としてほとんどどこにも存在して
いる。これら金属・無機系の物質はしばしば目詰まり物
質の核となり、ろ過膜使用において障害となる。本発明
の方法は問題となるカルシウム,マグネシウム,ケイ素
などともに鉄とマンガンを合わせて0.05ppm以上
含む被処理水を膜ろ過して目詰まりした多孔質膜におい
て、特に良好な効果を示す。
【0027】また、膜面に付着して差圧上昇の一因とな
る細菌類,藻類に代表される有機物を先に分解してしま
うため、膜処理の前に塩素を添加する方法もしばしば採
られる。一般的には原水に次亜塩素酸ナトリウムを注入
し、そのままもしくは曝気などを施し、適度な滞留時間
をとってから膜処理を行なう。しかし、この塩素による
酸化により、溶存していた鉄イオンおよびマンガンイオ
ンが膜面および膜内部で酸化鉄として析出し、処理水水
質に影響を及ぼしたり差圧の上昇が急速に起こったりす
るトラブルも見られるが、このような強固な酸化鉄・酸
化マンガンの付着に対しても本発明は非常に良好な効果
を示す。
【0028】本発明の用途は任意であり、膜ろ過を用い
る様々な場面で利用できる。例えば、浄水場で使用され
ている大型膜処理装置などには最適である。
【0029】以下に実施例を示すが本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0030】
【実施例】本発明の実施例および比較例において、膜性
能は透過水量の評価で判定した。透過水量は、温度25
℃,ろ過差圧=0.5Kgf/cm2 の条件で、外圧全
ろ過で超純水を通水し、その透過水量を単位時間
(h),単位面積(cm2 )で換算して求めた値であ
る。
【0031】実施例1 本発明に用いた中空糸膜は平均外径626μm,内径4
14μm、平均ポアサイズ0.01μmのポリアクリロ
ニトリル多孔質中空糸膜である。この中空膜を測定用ミ
ニモジュールにして、測定した初期透過水量は約0.3
5m3 /m2 ・h・0.5気圧であった。次に、これと
同様の中空糸膜を8000本束ねてU字型にし、端部を
接着剤で固定して有効繊維長95cmで作成したモジュ
ールを用いて外圧型で浄水処理を行なった。被処理水は
自然井水をそのまま用いた。その液をICP原子吸光法
で測定したところ、鉄とマンガンの合計濃度は0.1p
pmであった。この被処理水を上記U字型モジュールに
流束1.0m3 /m2 /日で通水ろ過した。そして通水
差圧が初期差圧の3倍になったところで通水を中止し、
中空糸膜を取り出して純水を用いて十分に洗浄後、測定
用ミニモジュールにして測定した透過水量は約0.05
3 /m2 ・h・0.5気圧と低下していた。また、こ
の膜の表面をSIMSで分析したところ、顕著にアルミ
ニウム,カルシウム,ケイ素,マグネシウム,鉄,マン
ガンが不純物として認められた。
【0032】この目詰まりした中空糸膜をミニモジュー
ルとし、0.1Nの塩酸水溶液中に0.3重量%の蓚酸
を混合した混酸を図1で示すように、ろ過膜表面に薬液
が接触するようにして、繊維軸方向に2時間通水した。
処理薬液は循環式で繰り返し用いた。終了後超純水で簡
単に洗浄し、透過水量を測定した。初期透過水量に対す
る回復性を次のように表わす。
【0033】回復率(%) = (測定された透過水量
/初期透過水量)×100 サンプル個体間のバラツキを考慮して同様の手法で3サ
ンプルについて行ない、平均を結果とした。その結果を
表1に示す。
【0034】実施例2 実施例1と全く同様に混酸処理して水洗後、加えて10
00ppm次亜塩素酸ナトリウムで1時間同様の処理を
おこなって透過水量を測定した。その結果を表1に示
す。
【0035】実施例3 通水方法を逆洗法にした(図2に示す)以外は実施例1
と全く同様の実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0036】実施例4 蓚酸をクエン酸に代えた以外は実施例1と全く同様の実
験を行なった。その結果を表1に示す。
【0037】実施例5 被処理水を実施例1に用いた井水に次亜塩素酸ナトリウ
ム注入し残留塩素濃度0.4ppmに調整したものに代
えた以外は実施例1と全く同様の通水実験を行なった。
その結果、通水差圧が初期差圧の3倍になる時間は実施
例1よりも早く、また同様の方法で測定した透過水量は
約0.03m3 /m2 ・h・0.5気圧とより低下して
いた。このミニモジュールについて実施例1と同様に混
酸で処理した結果を表1に示す。
【0038】実施例6 実施例1に用いた井水にポリ塩化第二鉄を凝集剤として
30ppm投入して凝集沈殿処理を行なって上澄み液を
取り、ICP原子吸光法で測定したところ、鉄とアルミ
ニウムの合計濃度が22ppmであった。この水を被処
理水として用いた以外は実施例1と全く同様の通水実験
を行なった。その結果、通水差圧が初期差圧の3倍にな
る時間は実施例1と同等であったが、同様の方法で測定
した透過水量は約0.02m3 /m2 ・h・0.5気圧
とより低下していた。このミニモジュールについて実施
例1と同様に混酸で処理した結果を表1に示す。
【0039】比較例1 塩酸を用いず、蓚酸0.3重量%を溶解させた水溶液を
用いて実施例1と全く同様の実験を行なった。その結果
を表1に示す。なお、念のため、これに0.1N−塩酸
と同じ当量の蓚酸を加えた(即ち、酸の当量としては実
施例1と同じ)水溶液を調製して同様の実験も行った
が、殆ど変化はなかった。
【0040】比較例2 塩酸を用いず、クエン酸0.3重量%を溶解させた水溶
液を用いて実施例1と全く同様の実験を行なった。その
結果を表1に示す。なお、念のため、これに0.1N−
塩酸と同じ当量のクエン酸を加えた(即ち、酸の当量と
しては実施例4と同じ)水溶液を調製して同様の実験も
行ったが、殆ど変化はなかった。
【0041】比較例3 蓚酸を用いず、0.1N−塩酸水溶液のみを用いて実施
例1と全く同様の実験を行なった。その結果を表1に示
す。なお、念のため、これに蓚酸0.3重量%と同じ当
量の塩酸を加えた(即ち、酸の当量としては実施例1と
同じ)水溶液を調製して同様の実験も行ったが、殆ど変
化はなかった。
【0042】比較例4 0.1N−塩酸水溶液で2時間処理した後、蓚酸0.3
重量%水溶液で2時間処理するというように、別々に薬
洗を行なった以外は実施例1と全く同様の実験を行なっ
た。その結果を表1に示す。
【0043】比較例5 混酸の処理方法を循環型で行なわず、モジュール内に混
酸を入れて2時間浸漬する方法を採った以外は実施例1
と全く同様の実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】これらの結果より、塩酸水溶液に有機酸を
混合した混酸で膜のろ過面を流動させる処理方法は、逆
洗と変わらず良好な薬洗効果を示し、その簡便さは比較
にならないほどであることがわかった。また、それぞれ
の酸を単独で用いる系に比べて混酸の系には相乗効果が
あることがわかった。
【0046】
【発明の効果】本発明により、逆洗を必要とせず、後処
理が非常に簡単な薬液を実用的な範囲の濃度で用いて、
良好な洗浄性を発揮する膜モジュールの洗浄方法を提供
することが可能になった。これは、これまで逆洗のため
装置上様々になされていた機械的・工程的工夫を必要と
せず、トータルとしてコストの低い優れた洗浄方法であ
る。しかも薬液自体も低価格でかつ有効性が高く、これ
が最も有効な手段であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ろ過膜表面に薬液が接触するようにして、繊
維軸方向に薬液を流して循環洗浄する方法の一例を示す
図面である。
【図2】 外圧式で使用する中空糸膜モジュールの逆洗
方法の一例を示す図面である。
【符号の説明】
1:薬液タンク 2:配管チューブ 3:駆動ポンプ 4:モジュール管入り口 5:中空糸端口止め 6:モジュール管 7:中空糸束 8:モジュール管出し口 9:ジュール管口止め 10:中空糸端入り口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/64 C02F 1/64 Z

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸と有機酸を含有する液体を多孔質膜
    モジュール内で循環させることを特徴とする膜モジュー
    ルの洗浄方法。
  2. 【請求項2】 該有機酸が蓚酸あるいはクエン酸である
    ことを特徴とする請求項1に記載の膜モジュールの洗浄
    方法。
  3. 【請求項3】 該循環が濾過膜面上に循環させるもので
    あることを特徴とする請求項1または2記載の膜モジュ
    ールの洗浄方法。
  4. 【請求項4】 該塩酸水溶液の濃度が0.01Nよりも
    高いものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか
    に記載の膜モジュールの洗浄方法。
  5. 【請求項5】 該有機酸の濃度が0.001重量%より
    高いことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の膜
    モジュールの洗浄方法。
  6. 【請求項6】 該多孔質膜が中空糸膜であることを特徴
    とする請求項1〜5いずれかに記載の膜モジュールの洗
    浄方法。
  7. 【請求項7】 該多孔質膜がビニル系ポリマからなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の膜モジュールの洗浄方
    法。
  8. 【請求項8】 該多孔質膜がポリアクリロニトリル、ポ
    リエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエー
    テルスルホン、酢酸セルロース、三酢酸セルロースから
    選ばれるものからなることを特徴とする請求項1〜6い
    ずれかに記載の膜モジュールの洗浄方法。
  9. 【請求項9】 該膜モジュールが、少なくとも鉄とマン
    ガンを合わせて0.05ppm以上含む水溶液を処理す
    る膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜8い
    ずれかに記載の膜モジュールの洗浄方法。
  10. 【請求項10】 該膜モジュールが、下水処理水,地下
    水,河川水,海水,上水および工業用水のいずれかを処
    理する膜モジュールであることを特徴とする請求項1に
    記載の膜モジュールの洗浄方法。
  11. 【請求項11】 該膜モジュールが、下水処理水,地下
    水,河川水,海水,上水および工業用水のいずれかに凝
    集剤を添加して凝集沈殿処理を行なった後の処理水を処
    理する膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜
    9いずれかに記載の膜モジュールの洗浄方法。
  12. 【請求項12】 該凝集剤が無機系の凝集剤であるとこ
    ろの請求項11に記載の膜モジュールの洗浄方法。
  13. 【請求項13】 該凝集剤が鉄系の凝集剤であるところ
    の請求項11に記載の膜モジュールの洗浄方法。
  14. 【請求項14】 該膜モジュールが、地下水,河川水,
    海水,上水,下水処理水に塩素添加を行なった後の処理
    水を処理する膜モジュールであることを特徴とする請求
    項1〜9に記載の膜モジュールの洗浄方法。
  15. 【請求項15】 該塩素添加が次亜塩素酸ナトリウムの
    注入によるものでああるところの請求項14に記載の膜
    モジュールの洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020026857A1 (ja) * 2018-08-02 2020-02-06 王子ホールディングス株式会社 膜ろ過装置の洗浄方法および水処理方法

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