JP4309633B2 - 水処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、上水道、下水道、工業用水または廃水中に含まれる汚濁物質を分離除去するための、ろ過用の膜モジュールを用いた水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被処理水中の汚濁物質を除去する方法として、ろ過用の膜モジュールを用いた水処理方法がよく知られている。この膜モジュールを用いた膜ろ過を行なう水処理においては、水処理運転の継続に伴い、膜の表面に汚濁物質の付着層が生じ、目詰まり、固形物による流路閉塞等の、所謂、膜ファウリングが起こり、膜モジュールのろ過性能が低下する。これらの原因による膜ろ過性能の低下は、膜モジュールを洗浄することによって回復することができる。
【0003】
膜モジュールの洗浄方法には、物理洗浄と薬品洗浄とがある。物理洗浄には、膜ろ過水を逆流させる逆圧水洗浄(逆洗)、膜の一次側での水流によるフラッシング、空気により膜を振動させるエアースクラビングなどがあり、前述のような物理的な作用によって付着物質を取り除いている。
【0004】
また、被処理水の膜ろ過方式としては、全量ろ過方式(デッドエンド方式)とクロスフローろ過方式とが知られている。クロスフローろ過方式の場合には、膜への供給水を膜面と平行に流すので、供給水中の懸濁物質や粘度粒子等が、膜面に堆積、付着するのを抑制することができる反面、循環するための動力が余分に必要となる欠点がある。なお、前記逆洗を含む膜の洗浄方法やろ過方式等については、非特許文献1に記載されている。
【0005】
一方、前記薬品洗浄は、物理洗浄では除去しきれない物質を、薬品によって分解または溶解させて除去する洗浄方法であり、膜のろ過能力をほぼ初期状態まで回復することができる。しかしながら、薬品洗浄はコストがかかることおよびその排水処理の観点から、できるだけ回数を少なくすることが望まれる。
【0006】
また近年、オゾン含有水またはオゾンガスを利用した膜モジュールの洗浄方法が提案されている。オゾンを利用した膜モジュールの洗浄方法としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1に記載された水処理装置は、「未処理水をろ過装置のろ過膜によってろ過して処理水を得る水処理装置において、前記ろ過装置の逆洗側に逆洗水配管を取り付け、鉄イオン,マンガンイオンを含まない水を前記ろ過装置のろ過膜に逆洗する逆洗水処理系と、前記ろ過装置の逆洗側にオゾン水逆洗配管を取り付け、オゾンの溶解されたオゾン水を前記ろ過装置のろ過膜に逆洗するオゾン水逆洗処理系と、所定のシーケンスに従って前記両系の構成要素に選択的に動作制御信号を与えて前記逆洗水処理およびオゾン水逆洗処理を実行する処理制御部とを備えたこと」を特徴とする。
【0008】
前記特許文献1に記載された膜モジュールの洗浄方法によれば、物理的洗浄に加えて、オゾンの酸化作用により、膜モジュールに付着した物質が剥離し易くなり、ろ過膜性能を効率的に回復させることができる。
【0009】
【非特許文献1】
厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課監修,「水道における膜ろ過法Q&A」,社団法人 水道浄水プロセス協会 平成7年2月28日発行p.114−115およびp.142−143
【特許文献1】
特許第2909282号公報(第2−3頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載されたようなオゾンを利用した膜モジュールの洗浄方法の場合、前記薬品洗浄の問題点は解消するものの、オゾン発生器,オゾン含有水生成装置,排オゾン無害化処理装置等、オゾン洗浄に伴って必要な設備コストが高く、装置全体に占める比重が極めて高くなる問題がある。
【0011】
また、オゾンを利用する場合、オゾンと接触する装置の各部材は、膜モジュールを含めて、耐オゾン仕様とする必要があり、仕様可能材料が限定される。そのため、水処理装置本体の設備コストも増大し、また、メンテナンスコストも増大する問題がある。
【0012】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、膜ろ過工程と膜モジュールの逆洗工程とを含む全量ろ過方式の水処理方法において、オゾン洗浄を行なうことなしに膜ファウリングを抑制し、ひいては薬品洗浄回数の低減と設備およびメンテナンスコストの低減を図ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、水ろ過用の膜モジュールを用いた全量ろ過方式の水処理方法において、ろ過膜表面に無機物粒子を含むコーティング層を形成した後、被処理水の膜ろ過を行なう工程と、前記膜モジュールの逆圧洗浄(逆洗)を行なう工程とを含み、前記コーティング層は、それぞれ性状の異なる少なくとも二つの層とし、前記少なくとも二つのコーティング層の内、ろ過膜に接する側のコーティング下層は、前記無機物粒子を含むコーティング溶液をろ過することにより形成した無機物粒子によコーティング層とし、他側のコーティング上層は、前記コーティング溶液に凝集剤を添加して無機物粒子を凝集処理して得られるフロックを含むコーティング溶液をろ過することにより形成した前記フロックによるコーティング層とする(請求項1の発明)。
【0014】
前記発明の水処理方法によれば、原水のろ過に先立ち膜面に形成されたコーティング上層にて、原水中に含まれる溶解成分をも含むファウリング物質が補足されるため、膜自体へのファウリングが大幅に減少されることとなる。
さらに、逆洗によりコーティング下層およびコーティング上層が、容易にろ過膜から剥離し、コーティング層の上に形成されたケーキ層およびコーティング層内に蓄積したファウリング物質がともに洗い流される。従って、ろ過膜面には、ほとんどファウリング物質が蓄積されず、薬品洗浄間隔を大幅に延長することができる。
【0015】
従来、無機物粒子を有する粘土粒子等は、膜の目詰まり物質と考えられており、これら粒子や有機物の堆積を前記クロスフローろ過方式の運転やエアバブリング、さらにはオゾン利用により防止していたが、本発明は、無機物粒子を逆にファウリング防止物質として積極的に利用できることに着眼してなされたものである。
【0016】
さらに、上記発明によれば、オゾンを利用しないので、オゾン洗浄に伴う前述の問題点が解消され、設備コスト等が低減する。
【0017】
また、コーティング層形成頻度を最小限にして、経済的な水処理を行なう観点から、下記請求項の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の水処理方法において、前記被処理水の濁度が所定の上限値に到達した際には、その時点もしくはその時点の運転サイクルにおける前記逆洗工程終了後に、前記少なくとも二つのコーティング層を形成した後、膜ろ過工程と逆洗工程を行う運転サイクルを行い、かつ、前記被処理水の濁度が所定の下限値に到達した際には、前記コーティング層を形成する工程を停止し、膜ろ過工程および逆洗工程の運転サイクルに切り替えて運転を継続する。
【0018】
上記請求項の発明により、例えば、通常の原水濁度が比較的小で、降雨時等の特別の場合において原水汚濁が大となる場合に、原水汚濁が所定の上限値となった際にコーティング層を形成するようにすれば、コーティング層形成頻度が少なくなり、経済的な水処理運転が可能となる。
【0019】
さらに、請求項1または2に記載の水処理方法において、前記凝集剤は、PAC(ポリ塩化アルミニウム)またはFeCl3とする(請求項の発明)。
【0020】
前記発明のように、無機物粒子によるコーティング層を下層として、その上層に凝集剤により凝集処理した性状の異なる第2のコーティング層を形成することにより、溶解性のファウリング物質を補足する割合が高くなり、逆洗によるファウリング防止効果が、より一層向上する。
【0021】
また、前記各発明において使用する無機物粒子の実施態様としては、下記請求項ないしの発明が好ましい。即ち、前記請求項1ないしのいずれか1項に記載の水処理方法において、前記無機物粒子は、カオリン、ゼオライト、ケイソウ土、アルミナのいずれかとする(請求項の発明)。さらに、請求項1ないしのいずれか1項に記載の水処理方法において、前記無機物粒子の直径は、0.5〜100μmとする(請求項の発明)。より好ましくは、1〜20μmとする。
【0022】
【発明の実施の形態】
後述する図5に基づき、この発明の実施例について述べるが、その前にこの発明に関連する予備的な実験例として、無機物粒子によるコーティング層1層の場合の実験例について、以下にのべる。
【0023】
(実験例1)
図1に、コーティング層1層の場合の水処理方法の実験例に関わる装置の模式的システム系統図を示す。図1において、ろ過膜1の表面にコーティング層2を形成するために、コーティング溶液タンク3からコーティング溶液を、ポンプ4により膜モジュール5に供給してろ過する。これにより、コーティング溶液中に含まれる無機物粒子(例えば、カオリン)がろ過膜1の表面にコーティングされて、コーティング層2が形成される。なお、図中、コーティング層2は、説明の便宜上、かなり厚い層として図示したが、実際には、高々100μmであり、より好ましくは、前述のように、1〜20μmである。
【0024】
コーティング層2が形成された後、原水タンク6から原水をポンプ4により膜モジュール5に供給し、ろ過を実施する。ろ過された水の一部は逆洗水として逆洗水タンク7に貯留され、残りは処理水9として次工程へと供給される。所定時間のろ過が終了したところで、逆洗水タンク7に貯留された膜ろ過水を、逆洗ポンプ8により膜モジュールの二次側から一次側へと流す逆洗を行い、その逆洗排水10は系外へ放出される。逆洗終了後に初期工程に戻り、コーティング形成・原水ろ過・逆洗のサイクルを繰り返す運転を継続して行なう。
【0025】
この運転においては、原水のろ過に先立ち、ろ過膜面に形成されたコーティング層にて、原水中に含まれるフミン質などのファウリング物質が補足されるため、膜自体へのファウリングが大幅に減少する。
【0026】
さらに、コーティングされた無機物粒子は逆洗により容易に膜から剥離し、コーティング層の上に形成されたケーキ層およびコーティング層内に蓄積したファウリング物質と共に洗い流される。したがって、膜面にはほとんどファウリング物質が蓄積されないこととなり、薬品洗浄間隔を延長することが可能となる。
【0027】
次に、本実験例の効果について実験した結果について、従来のろ過水による単なる逆洗の方法による実験結果と比較して、図2に基づいて述べる。図2(a)は前記従来方法の結果を示し、図2(b)は、コーティング溶液として、膜ろ過水中に平均粒径7μmのカオリン100mg/Lを混合した液を使用した場合の実験結果を示す。図2の横軸は、運転時間(分)を示し、縦軸は補正膜差圧(kPa)を示す。なお、補正膜差圧とは、原水の温度によって流体抵抗、即ち膜差圧が異なることを考慮して、温度補正したことを示す。
【0028】
図2の実験において、膜モジュールとしては、膜面積0.006m2の内圧型中空糸膜を使用し、原水はフミン酸をTOC濃度で1mg/L溶解させたものを使用した。膜ろ過流束は加速試験のため、11m3/(m2・日)で行い、逆洗流束はその3倍で、処理水の回収率が90%となるように、即ち、逆洗水として処理水の10%を用いて逆洗を実施した。
【0029】
図2(a)のコーティングしない従来方法の場合、逆洗を行なっても、膜差圧の回復はあまり見られず、6回のサイクル後における膜差圧は47kPaとなったのに対して、カオリンにてコーティングした本発明の図2(b)の場合には、逆洗において膜差圧に回復が見られ、6回のサイクル後における膜差圧は33kPaとなり、図2(a)に比較して明らかな違いが見られ、本実験例によるコーティングの優位性が確認された。
【0030】
なお、コーティングする無機物粒子はカオリンに限らず、ゼオライト、ケイソウ土、アルミナなども使用でき、ろ過膜面からの剥離性が良好で、コーティング層における透水性が確保できれば、他のいかなる無機物粒子でも使用できる。
【0031】
また、好ましいコーティング層の厚さは、コーティングする無機物粒子の性質および原水水質、さらには目標とする膜ろ過流束および薬品洗浄間隔など多くの因子が関与するが、概ね無機物粒子が膜面全てを覆うことと、コーティング層による透水性が確保されること等を考慮して、選定すればよい。効果およびコスト面から、コーティング層の厚さは、コーティングする無機物粒子の粒子径の3〜5倍程度の厚さとすることが望ましい。
【0032】
さらに、運転方法としては、前述のように、コーティング溶液をろ過する際には、原水をろ過する流束よりも高く設定して、コーティング層形成速度をより早くすることが望ましい。
【0033】
(実験例2)
図3に基づき、実験例について述べる。図3の実験例2が前記実験例1と異なる点は、コーティング層形成において、循環ライン11を用いる点にある。即ち、原水のろ過の前に実施されるコーティング層2の形成において、コーティング溶液をポンプ4により膜モジュール5に供給し、循環ライン11を介してコーティング溶液タンク3にコーティング溶液を返送するようにして、無機物粒子を含む溶液を、所定時間、前記膜モジュールの一次側に循環した後ろ過して形成する。
【0034】
これにより、コーティング溶液の膜面への供給流速を上げることができ、また、より高濃度のコーティング溶液を供給することが可能となる。コーティング溶液を膜面に供給した後、実験例1と同様にコーティング形成・原水ろ過・逆洗のサイクルにて運転する。ここで、コーティング層形成に十分な無機物粒子が供給される場合には、原水をポンプ4にて膜モジュール5に供給してろ過工程を始めることにより、十分な無機物粒子がコーティングされ、所望のコーティング層が形成できる。なお、不十分な場合には、不足分を、実験例1と同様にコーティング溶液の供給・ろ過から始めればよい。
【0035】
(実験例3)
次に、実験例3水処理方法について述べる。システム系統としては実験例1で示した図1と同じであるが、実験例1および2とは異なり、本実験例では、ろ過開始時のコーティング層2の形成を、コーティング溶液を原水に混合することにより行う。即ち、ろ過工程開始から所定時間までは、ろ過膜1の表面にコーティング層2を形成するために、原水タンク6からの原水およびコーティング溶液タンク3からのコーティング溶液を、ポンプ4により膜モジュール6に供給してろ過する。これにより、コーティング溶液中に含まれる無機物粒子が、ろ過膜1の表面にコーティングされて、コーティング層2が形成される。コーティング層2が形成されたところで、コーティング溶液の供給を停止して原水のみを供給しろ過する。
【0036】
本実験例によれば、実験例1または2に比較して、前述のように、ファウリング物質が多少ろ過膜に付着するものの、コーティング層形成に使用する水量を減らすことができるため、装置としての処理水量が増加する利点がある。また、コーティング溶液を高濃度にして保管できるため、コーティング溶液タンク3を小さくできるか、同じ大きさであればその維持期間が長くできる利点がある。
【0037】
なお、前記実験例1ないし3に示したシステムおよび後述する実験例および実施例において、使用されるろ過膜は、濁質成分および細菌類を除去することのできる膜であり、精密ろ過膜または限外ろ過膜が用いられる。精密ろ過膜の場合は、公称孔径0.01〜0.5μmのものが用いられ、限外ろ過膜の場合は、分画分子量1,000〜20万ダルトンのものが用いられる。
【0038】
また、膜モジュールの形式は、中空糸状、スパイラル状、チューブラ状、平膜状等が用いられる。使用する膜材質としては、コーティング粒子との剥離性さえ確保できれば、特に耐オゾン性材料などに限定されることはなく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酢酸セルロースなどの有機膜およびアルミナなどの無機膜を使用することができる。
【0039】
さらに、図1および図3において、膜モジュール5は、単独で用いる例を示したが、複数個の膜モジュールを並列に構成することもできる。また、膜ろ過への通水方式は、外圧型と内圧型があり、どちらの通水方式でもよい。
【0040】
(実験例4)
図4は、請求項の発明の水処理方法に関わる実験例4の装置の模式的システム系統図を示す。図4の実験例4が前記実験例1と異なる点は、原水の供給ラインに原水濁度計13を備え、原水の濁度が所定の上限値に到達した際には、その時点もしくはその時点の運転サイクルにおける逆洗工程終了後に、ろ過膜表面に無機物粒子によるコーティング層を形成した後、膜ろ過工程と逆洗工程を行う運転サイクルを行い、かつ、原水の濁度が所定の下限値に到達した際には、コーティング層を形成する工程を停止し、膜ろ過工程および逆洗工程の運転サイクルに切り替えて運転を継続するようにした点である。なお、水の回収率を問題にしない場合には、逆洗工程終了後に、ろ過膜1の表面にコーティング層2を形成した方がよい。また、原水の濁度の前記所定の上限値や下限値は、濁度の変動の程度などの要因により、好ましい値が異なる。従って、処理プランに応じて、予備実験等に基づきコストミニマムとなるように、異なる値を選定することが望ましい。
【0041】
(実施例1)
図5は、本発明の実施例に関わり、2層のコーティング層を設ける場合の模式的システム系統図を示す。図5において、ろ過膜1の表面にコーティング下層2aを形成するために、コーティング溶液タンク3からコーティング溶液をポンプ4により膜モジュール5に供給してろ過する。これにより、コーティング溶液中に含まれる無機物粒子が膜1の表面にコーティングされて、コーティング下層2aが形成される。
【0042】
コーティング下層2a形成後に、図示しない凝集剤注入ポンプを用いて凝集剤タンク12内の凝集剤、例えばPAC(ポリ塩化アルミニウム)をコーティング溶液3に混合して供給する。これによりコーティング溶液中の無機物粒子を核としたマイクロフロックがコーティング上層2bとして形成される。
【0043】
コーティング上層2bが形成された後、原水タンク6から原水をポンプ4により膜モジュール5に供給し、ろ過を実施する。ろ過された水の一部は逆洗水として逆洗水タンク7に貯留され、残りは処理水9として次工程へと供給される。所定時間のろ過が終了したところで、逆洗水タンク7に貯留された膜ろ過水を逆洗ポンプ8により膜モジュールの二次側から一次側へと流す逆洗を行い、逆洗排水10は系外へ放出される。逆洗終了後は初期工程に戻り、コーティング形成・原水ろ過・逆洗のサイクル運転を継続する。
【0044】
上記実施例においては、原水のろ過に先立ち膜面に形成されたコーティング上層2bにて、原水中に含まれる溶解成分をも含むファウリング物質が補足されるため、膜自体へのファウリングが大幅に減少されることとなる。
【0045】
さらに、逆洗によりコーティング下層2aおよびコーティング上層2bが、容易にろ過膜1から剥離し、コーティング層上に形成されたケーキ層およびコーティング層内に蓄積したファウリング物質がともに洗い流される。したがって、膜面にはほとんどファウリング物質が蓄積されないこととなり、薬品洗浄間隔をさらに延長することが可能となる。
【0046】
ここで、使用する凝集剤は前記PACに限らず、原水水質に応じて選定するのがよく、FeCl3を用いることもできる。また、本実施例ではコーティング溶液中の無機物粒子を凝集剤の核となるように凝集を行ったが、これに限らず、濁度が高い原水の場合には、原水中の粒子を核として凝集処理を実施してもよい。なお、凝集剤の注入量は、被凝集原水に対して適宜調整することが望ましい。また、コーティング層は、2層の例について説明したが、原水の水質によっては、3層以上の多層とすることもできる。
【0047】
【発明の効果】
上記のとおり、この発明によれば、水ろ過用の膜モジュールを用いた全量ろ過方式の水処理方法において、ろ過膜表面に無機物粒子を含むコーティング層を形成した後、被処理水の膜ろ過を行なう工程と、前記膜モジュールの逆圧洗浄(逆洗)を行なう工程とを含み、前記コーティング層は、それぞれ性状の異なる少なくとも二つの層とし、前記少なくとも二つのコーティング層の内、ろ過膜に接する側のコーティング下層は、前記無機物粒子を含むコーティング溶液をろ過することにより形成した無機物粒子によコーティング層とし、他側のコーティング上層は、前記コーティング溶液に凝集剤を添加して無機物粒子を凝集処理して得られるフロックを含むコーティング溶液をろ過することにより形成した前記フロックによるコーティング層とすることとしたので、
膜ファウリングを抑制し、ひいては薬品洗浄回数の低減と設備およびメンテナンスコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の予備的な実験例に関わる水処理装置の模式的システム系統図
【図2】 図1の実験例の効果について実験した結果について、従来の方法と比較して示す図
【図3】 図1とは異なる実験例に関わる水処理装置の模式的システム系統図
【図4】 図1とはさらに異なる実験例に関わる水処理装置の模式的システム系統図
【図5】 この発明の実施例に関わる水処理装置の模式的システム系統図
【符号の説明】
1:ろ過膜、2:コーティング層、2a:コーティング下層、2b:コーティング上層、3:コーティング溶液タンク、4:ポンプ、5:膜モジュール、6:原水タンク、7:逆洗水タンク、8:逆洗ポンプ、9:処理水、10:逆洗排水、11:循環ライン、12:凝集剤タンク、13:原水濁度計。

Claims (5)

  1. 水ろ過用の膜モジュールを用いた全量ろ過方式の水処理方法において、ろ過膜表面に無機物粒子を含むコーティング層を形成した後、被処理水の膜ろ過を行なう工程と、前記膜モジュールの逆圧洗浄(逆洗)を行なう工程とを含み、前記コーティング層は、それぞれ性状の異なる少なくとも二つの層とし、前記少なくとも二つのコーティング層の内、ろ過膜に接する側のコーティング下層は、前記無機物粒子を含むコーティング溶液をろ過することにより形成した無機物粒子によコーティング層とし、他側のコーティング上層は、前記コーティング溶液に凝集剤を添加して無機物粒子を凝集処理して得られるフロックを含むコーティング溶液をろ過することにより形成した前記フロックによるコーティング層とすることを特徴とする水処理方法。
  2. 請求項1に記載の水処理方法において、前記被処理水の濁度が所定の上限値に到達した際には、その時点もしくはその時点の運転サイクルにおける前記逆洗工程終了後に、前記少なくとも二つのコーティング層を形成した後、膜ろ過工程と逆洗工程を行う運転サイクルを行い、かつ、前記被処理水の濁度が所定の下限値に到達した際には、前記コーティング層を形成する工程を停止し、膜ろ過工程および逆洗工程の運転サイクルに切り替えて運転を継続することを特徴とする水処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の水処理方法において、前記凝集剤は、PAC(ポリ塩化アルミニウム)またはFeCl3とすることを特徴とする水処理方法。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の水処理方法において、前記無機物粒子は、カオリン、ゼオライト、ケイソウ土、アルミナのいずれかとすることを特徴とする水処理方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の水処理方法において、前記無機物粒子の直径は、0.5〜100μmとすることを特徴とする水処理方法。
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