JP2011104504A - 水処理設備の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスにおいて、洗浄排水廃棄量や薬液使用量を削減することで、薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コスト等の薬液洗浄に関わるコストを抑えるとともに、原水の供給量から得られる生産水の割合(回収率)を向上することができる水処理設備の洗浄方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
被処理水Aを透過水Aと濃縮水Aとに分離する第一の半透膜処理設備1と、第一の半透膜処理設備1を洗浄するために薬液を注入する薬液注入設備A3と、被処理水Aとは異なる原水である被処理水Bから処理水を得る除濁設備2とを備える水処理設備において、第一の半透膜処理設備1の洗浄工程時に発生する洗浄排水を、除濁設備2の薬液洗浄に使用することを特徴とする水処理設備の洗浄方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスにおいて、各水処理プロセスを構成する水処理設備の洗浄方法を提供するものである。さらに詳しくは、上水道における浄水処理分野、工業用水や食品、医療プロセス用水といった産業用水製造分野、下水や工業廃水といった下廃水処理分野などに使用されるろ過媒体を薬液洗浄する際の洗浄コストを低減させることが可能な水処理設備の洗浄方法に関するものである。
近年、水に関わる技術が数多く開発されているが、その中で膜分離法は、省エネルギー、省スペース、省力化および製品の品質向上等の特徴を有するため、様々な分野での使用が拡大している。
水処理で用いられる分離膜は大きくナノろ過膜(NF膜)/逆浸透膜(RO膜)、精密ろ過膜(MF膜)/限外ろ過膜(UF膜)の2つに分けられ、前者は海水やかん水からの脱塩、イオン除去などに用いられ、一方、後者は河川水や地下水、下水処理水から、工業用水や水道水を製造する浄水プロセスで用いられる。さらに、従来、活性汚泥法で処理されていた下水や産業廃水を、活性汚泥槽に直接浸漬させたMF膜またはUF膜で処理する「膜分離活性汚泥法(Membrane Bioreacter;MBR)」と呼ばれる処理も活発に行なわれてきている。
水不足が叫ばれる昨今の状況から、これら膜を用いた水処理法は更なる技術開発が行なわれ、近年ではMF膜/UF膜を用いて海水またはかん水中の有機物や微粒子を除去する、あるいは下水または産業廃水をMBRにて浄化するといった前処理を行なった後に、NF膜/RO膜でろ過して効率的に淡水を生産する「統合型膜利用システム(Integrated Membrane System;IMS)」と呼ばれる手法を採用する造水施設が、水不足に苦しむ中東地域やアジア地域等にて多数建設されている。
このように、膜を利用した水処理技術は近年世界各地で普及が進み、またその技術革新も進み、より省エネルギー、低コスト型の水処理システムが開発されている。
ところで、塩分を除去するためのNF膜/RO膜や濁質を除去するMF膜/UF膜は、所定時間の運転によって膜の細孔閉塞(ファウリング)が起こり、ろ過性能が低下する。そのため運転サイクルにおいて、所定時間のろ過工程後に、膜の洗浄を行い、ファウリングを低減する必要がある。
NF膜/RO膜における透過流束低下の主要因はカルシウムやマグネシウム等の無機塩類が原因となるスケールや微生物によるバイオファウリングであることが多く、硫酸等の酸を原水に規定濃度となるように注入し、薬液を含む原水を一定時間通水することで、膜面や膜内のファウリング物質を分解または溶解させてスケールを除去するとともに、微生物を殺菌することでバイオファウリングを低減する方法や、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリで洗浄し、有機汚染物質を除去することで透過流束を回復する方法が採られている。一方洗浄後の洗浄排水は系外に廃棄されている。
また濁質を除去するためのMF膜/UF膜でも、所定時間の運転によって堆積した濁質やファウリング物質等により除去性能が低下するために洗浄を行う必要がある。通常運転時における洗浄には、膜ろ過水をろ過水側から逆流させる逆圧洗浄(逆洗)、膜の一次側での水流によるフラッシング、空気により膜を振動させるエアースクラビングなどがあり、物理的な作用によって膜面や膜内のファウリング物質を取り除いている。しかしながら、これら物理洗浄を実施していても次第にファウリングは進行するため、ファウリングによりろ過性能が低下した膜は薬液洗浄を行う必要が出てくる。
薬液洗浄方法の一つとして、塩酸や硫酸等の無機酸やクエン酸等の有機酸、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、あるいは水酸化ナトリウムなどのアルカリを含む水で逆洗し、一定時間薬液に浸漬する工程を設けて、膜の洗浄効果を向上させる洗浄方法がある。MF膜/UF膜の薬液洗浄の場合も、通常、薬液を含む洗浄排水は洗浄排水として廃棄される。
上記のようなファウリングによるろ過性能の低下を改善するためには、NF膜/RO膜やMF膜/UF膜それぞれで薬液を使用することになるが、それぞれの洗浄に使用された後の洗浄排水は、中和処理後排水基準に適合すれば放流し、適合しなければ産業廃棄物として処分する。しかしながら、薬液洗浄工程の度に新しい薬液を準備していては薬液の使用量が多量になるとともに、中和処理や産業廃棄物処理にかかるコストが高くなるという問題点がある。先述したIMSのような水処理プロセスでは、NF膜/RO膜や、前処理設備に使用するMF膜/UF膜、MBRといった洗浄工程を必要とする処理設備を多く抱えることになり、それぞれの設備単独で洗浄を行った場合、薬液の使用量が多くなり、洗浄排水の処理コストが高くなるなど、設備の洗浄にかかるコストが大きくなるという問題点がある。また、このような洗浄方法では多量の洗浄排水を系外に排出することになり、システム全体の回収率が低下するという問題点もある。
そこで、特許文献1では、前処理膜の物理洗浄に、後段で使用しているRO膜の濃縮水を利用するという技術が開示されている。通常系外に排出されるRO濃縮水を前処理設備の物理洗浄に使用することにより、回収率を損なうことなく前処理設備の洗浄を行うことが可能となる。さらには、原水よりもpHを低くした濃縮水を逆洗水として使用することで前処理膜の差圧上昇を抑える作用があるとも明記されているが、濃縮水のpHは原水よりも1程度低ければよく、pHは最低でも5程度とほぼ中性に調整されていることから前処理膜の薬液洗浄としての効果を発揮することは難しく、RO膜や前処理設備の薬液洗浄を想定した洗浄方法を提供しているわけではない。
また特許文献2では、塩分を含有する原水をMF膜/UF膜で処理した処理水と、その処理水をRO膜で処理した透過水とを組み合わせてMF膜/UF膜の洗浄排水に用いるという技術、さらにはRO膜で処理した透過水と濃縮水を交互にMF膜/UF膜の洗浄に用いるという技術が開示されている。この洗浄方法により、塩濃度の異なる水を洗浄排水として使用することで、浸透圧ショックにより殺菌効果を高めた洗浄が可能となっている。しかしながら、浸透圧の低い透過水を洗浄排水として利用することにより、回収率を低下させるという問題点がある。
特開平10−263539号公報 特開2006−272136号公報
"神鋼環境ソら4者 経産省のモデル事業 周南市で実証実験"、[online]、平成21年3月5日、日本水道新聞、[平成21年7月2日検索]、インターネット<URL : http://www.suido-gesuido.co.jp/blog/suido/2009/03/post_2780.html> "「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業」の採択について"、[online]、平成21年3月2日、東レ株式会社プレスリリース、[平成21年7月2日検索]、インターネット< http://www.toray.co.jp/news/water/nr090302.html>
本発明は、前記問題点に鑑み、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスにおいて、洗浄排水廃棄量や薬液使用量を削減することで、薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コスト等の薬液洗浄に関わるコストを抑えるとともに、原水の供給量から得られる生産水の割合(回収率)を向上することができる水処理設備の洗浄方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は次の構成をとる。
(1)被処理水Aを透過水Aと濃縮水Aとに分離する第一の半透膜処理設備と、第一の半透膜処理設備を洗浄するために薬液を注入する薬液注入設備Aと、被処理水Aとは異なる原水である被処理水Bから処理水を得る除濁設備とを備える水処理設備において、第一の半透膜処理設備の洗浄工程時に発生する洗浄排水を、除濁設備の薬液洗浄に使用することを特徴とする水処理設備の洗浄方法。
(2)第一の半透膜処理設備のろ過工程時に発生する濃縮水Aを前記被処理水Bに混合し、前記除濁設備で処理して処理水を得ることを特徴とする(1)に記載の水処理設備の洗浄方法。
(3)前記洗浄排水から前記除濁設備へと至る配管内に、薬液Bを注入する薬液注入設備Bを備えていることを特徴とする(1)または(2)に記載の水処理設備の洗浄方法。
(4)前記除濁設備が、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を備える膜処理設備であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の水処理設備の洗浄方法。
(5)前記処理水を透過水Bと濃縮水Bとに分離する第二の半透膜処理設備を備えることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の水処理設備の洗浄方法。
本発明によって、一方の水処理プロセスから排出される洗浄排水を削減することが可能となり、洗浄排水の中和コスト、産業廃棄物処理コストを削減できるとともに、もう一方の水処理プロセスの薬液コストを削減することが可能となる。また、原水の供給量から得られる生産水の割合(回収率)を改善することも可能となる。
本発明の水処理設備の一態様を示すフロー図である。 本発明の水処理設備の別の一態様を示すフロー図である。 本発明の水処理設備のさらに別の一態様を示すフロー図である。 本発明の水処理設備のさらに別の一態様を示すフロー図である。
以下、本発明の望ましい実施の形態を、図面を用いて説明する。ただし、本発明の範囲がこれらに限られるものではない。
まず図1,2を用いて、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスにおける薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コストの削減方法について説明する。
図1に示すように、通常のろ過工程において、水処理プロセスA(被処理水Aを第一の半透膜処理設備1で処理するプロセス)では被処理水Aは第一の半透膜処理設備1により処理され透過水Aと濃縮水Aとに分離される。また水処理プロセスB(被処理水Bを除濁設備2で処理するプロセス)では、被処理水Bは除濁設備2によって処理され処理水が生産される。先述したように第一の半透膜処理設備1や除濁設備2は定期的に洗浄工程を設ける必要があり、従来は各処理設備単独で洗浄を行い、洗浄排水を廃棄していた。
しかし図1に示すように、薬液注入設備A3から薬液Aを注入し第一の半透膜処理設備1を洗浄した後、薬液Aを含んだ洗浄排水を、洗浄排水配管4を介して除濁設備2に供給することにより、第一の半透膜処理設備1から排出された洗浄排水を除濁設備2の洗浄に使用することが可能となる。この時、薬液Aを含んだ洗浄排水は除濁設備2の上流側、下流側どちらに接続しても構わないが、下流側から薬液を流入させた方が洗浄効果も高く、好ましい。
なお、被処理水Aには、海水やかん水、湖水や河川水、下水や産業排水やこれらを前処理した処理水のいずれも適用することができるが、RO膜ファウリング防止のために、前処理した処理水を適用することが好ましい。前処理において、海水やかん水、湖水や河川水はMF膜/UF膜設備や砂ろ過設備で、下水や産業排水にはMBR設備や活性汚泥処理設備で処理するといった方法が適用できる。
また薬液Aについては、塩酸や硫酸、硝酸等の無機酸やクエン酸、シュウ酸等の有機酸、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリが挙げられる。その他に過酸化水素や界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、洗浄効果を高めるために無機酸と有機酸、あるいは次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムといったように複数種の薬液を混合してもよい。

薬液Aの注入については、図1に示したように、被処理水Aに薬液Aを注入し、膜の一次側から流入させ洗浄する方法や、透過水Aに薬液Aを注入し、膜の二次側から流入させ洗浄する方法があるが、二次側から流入させる場合は透過水を洗浄水として使用するために、一次側から流入させる方法が回収率の観点から好ましい。薬液Aの注入量や注入頻度は第一の半透膜処理設備の運転状況に合わせて適宜決定できる。
また第一の半透膜処理設備1には、RO膜やNF膜を使用することができ、膜の形状についても平膜、中空糸膜のどちらも使用することが可能である。また、取り扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に収めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いることができる。これらNF膜あるいはRO膜の膜素材としては、酢酸セルロース、セルロース系のポリマー、ポリアミド、及びビニルポリマーなどの高分子材料を用いることができる。代表的なNF膜/RO膜としては、酢酸セルロース系またはポリアミド系の非対称膜、及び、ポリアミド系またはポリ尿素系の活性層を有する複合膜を挙げることができる。
また水処理プロセスBの除濁設備2にはMF膜/UF膜設備やMBR設備、砂ろ過設備、活性炭処理設備などの薬液洗浄を行う設備を含むものであれば特に限定されることはなく、これら単独の設備でもこれらを組み合わせた設備でも使用できる。その他、除濁設備を効率的に稼動させるために凝集剤やpH調整剤、次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤を添加しても構わない。
さらに除濁設備2は、MF/UF膜を使用した膜処理設備であることが好ましい。膜処理設備は省スペースで設置でき、処理水質も安定していることに加え、定期的に薬液洗浄を必要とすることから、薬液再利用に好適である。
膜処理設備で使用される膜についても特に限定されることはなく、平膜、中空糸膜、管状型膜、その他いかなる形状のものも適宜用いることができる。膜の素材については、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースが挙げられるが、耐薬品性の観点からポリフッ化ビニリデン製の膜を使用することが好ましい。
また、除濁設備2によって処理される被処理水Bは、被処理水Aと同様に海水やかん水、湖水や河川水、下水や産業排水やこれらを処理した処理水のいずれも適用することが可能であるが、被処理水Aと異なることが必要である。
さらには、第一の半透膜処理設備1ならびに除濁設備2がそれぞれ複数系列備えられていることが望ましく、1系列が洗浄工程にある場合でも、残りの系列で通常のろ過工程を実施することで透過水Aや処理水を常時製造可能となる。
これにより、従来は第一の半透膜処理設備1と除濁設備2の洗浄を単独で行い、それぞれで薬液を使用、排水していたが、薬液を含む洗浄排水を再利用することで水処理プロセスBにおいて薬液の使用量を削減することが可能となるとともに、水処理プロセスAにおいて排水時の中和処理や産業排水処理にかかるコストも削減されることで、各処理プロセスの薬液洗浄に関わるコストを削減する効果がある。
また、図2に示すような水処理設備においても、第一の半透膜処理設備1の洗浄工程時に発生する洗浄排水を、洗浄排水配管4を介して除濁設備2の洗浄に再利用することも可能である。
すなわち、第一の半透膜処理設備1のろ過工程時に発生する濃縮水Aを、通常運転時は洗浄排水弁7が閉、濃縮水弁8が開となり、濃縮水配管6を介して被処理水Bに混合し、その混合水を除濁設備2で処理して処理水を得るような水処理設備において、第一の半透膜処理設備1の洗浄工程時は洗浄排水弁7が開、濃縮水弁8が閉となり、洗浄排水配管4を介して洗浄排水を除濁設備2の洗浄に再利用する。
ろ過工程時に発生する濃縮水Aは通常系外に廃棄されることになるが、廃棄時に中和や除濁、もしくは生物処理などの処理工程が必要な場合もある。その場合には、上述したように濃縮水Aを被処理水Bに混合させることにより、追加の処理設備を設置することなく、さらには新たな水資源としても利用可能であり、水処理プロセスAでの濃縮水A排水の処理費用が削減可能となる。
このような水処理設備に対して、先述した洗浄方法を実施することで、水処理プロセスBにおいては薬液の使用量を削減することで薬液コストを抑えることが可能になるとともに、水処理プロセスAにおいて排水時の中和処理や産業排水処理にかかるコストも削減されることで、各処理プロセスの運転コストを削減する効果がある。
次に、図1,2に示すように、洗浄排水配管4に薬液Bを注入する薬液注入設備B5を設置することで、洗浄効果を高めることも可能である。
薬液注入設備B5では、例えば薬液Aで硫酸を使用した場合、硫酸を含む洗浄排水のpHを除濁設備2の洗浄に適するよう調整するために、薬液注入設備B5から薬液Bとして硫酸を注入し、pHを調整して除濁設備2の洗浄に使用することも可能であり、一方で薬液Bとして水酸化ナトリウムを添加し、pHを調整することも可能である。
また洗浄効果を高めるために、硫酸を含む洗浄排水に薬液注入設備B5から薬液Bとしてクエン酸を注入することにより、除濁設備2のろ過媒体を詰まらせているマンガンや鉄等の除去性を向上させることも可能である。
さらには洗浄排水に次亜塩素酸ナトリウムを含む場合、pH調整剤を注入し、次亜塩素酸ナトリウムの酸化力を調整したり、また除濁設備2の洗浄にクロラミンが適する場合には、硫酸アンモニウムを注入することで次亜塩素酸ナトリウムからクロラミンに変質させたりして、除濁設備2の洗浄に使用することも可能である。
また薬液注入設備B5は複数種の薬液を注入する設備を備えていてもよく、例えば薬液注入設備B5にて硫酸とクエン酸を注入してもよい。薬液注入設備B5から注入される薬液Bについては先述の薬液Aと同様に、種々の薬液の中から目的に応じて便宜選択して使用することができる。
この洗浄方法により、除濁設備2の洗浄に適した薬液種、薬液濃度で洗浄を行うことが可能となり、薬液の再利用を行いつつ、各処理設備において最大限の洗浄効果を発揮させることが可能となる。
なお、各薬液注入設備の前後にそれぞれ薬液濃度の計測器を設置することで、薬液を所定の濃度となるよう制御することも可能である。この場合、薬液注入設備の前側の計測器により上流側の薬液濃度を監視し、所定濃度となるよう薬液注入量を制御する。また後側の計測器により、薬液が所定の濃度に調整されているか監視し、所定の濃度に調整されていない場合は薬液注入量を調整する。各計測器については、薬液として酸やアルカリを使用する場合にはpH計、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を使用する場合にはORP計、塩素濃度計が好ましく、これらが使用する薬液の種類に応じて1ないし複数設置されることが好ましい。
以上のような洗浄方法を実施することで、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスにおいて薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コスト等の薬液洗浄に関わるコストを削減することができる。
また本発明においては、水処理プロセスAと水処理プロセスBが近接されていることが好ましい。水処理プロセスAと水処理プロセスBの設置場所が離れている場合、水処理プロセスAの洗浄排水を輸送するのに追加のコストがかかることになり、薬液コストの削減という効果を打ち消すこととなる。そのため本発明が好適であるプロセスには、下水・海水統合型水処理システム(非特許文献1や非特許文献2)のようなプロセスが挙げられる。
そこで、次は図3,4に示したような統合型水処理システムにおいて、本発明を適用した薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コスト等の薬液洗浄に関わるコストの削減方法について説明するとともに、統合型水処理システム全体の回収率の向上について説明する。統合型水処理システム全体の回収率は、次式(1)(2)によって表されるものである。なお、式中の水量の単位はt/dやm/dといった単位が適用される。
回収率[%]=(統合型水処理システムの生産水量)/{(被処理水A水量)+(被処理水B水量)}×100 (1)
(統合型水処理システムの生産水量)=(透過水A水量)+(透過水B水量)―(洗浄等に使用した透過水A水量)―(洗浄等に使用した透過水B水量) (2)
統合型水処理システムとは、図3、4に示すように被処理水Aとして浸透圧の低い水を、被処理水Bとして浸透圧の高い水を適用し、被処理水Aを第一の半透膜処理設備1で透過水Aと濃縮水Aに分離する水処理プロセスAと、被処理水Bを除濁設備2で処理し、処理水を第二の半透膜処理設備9で透過水Bと濃縮水Bに分離する水処理プロセスBにおいて、通常のろ過工程時は、洗浄排水弁7は閉、濃縮水弁8は開となり、濃縮水配管6を介して濃縮水Aを被処理水Bもしくは処理水に混合し、浸透圧を下げることによって第二の半透膜処理設備9の運転エネルギーを下げ、省エネルギーで淡水を製造することが可能となる処理システムである。
そのため、第一の半透膜処理設備1から得られる濃縮水Aの浸透圧が被処理水Bもしくは処理水の浸透圧より低いことが、統合型水処理システムの特徴を生かすという観点から好ましい。さらに濃縮水Aの浸透圧は、第一の半透膜処理設備1の運転条件に依存するため、濃縮水Aの浸透圧が被処理水Bもしくは処理水の浸透圧より低くなるよう第一の半透膜処理設備1の運転条件を調整する必要がある。その条件を満たせば被処理水A、Bには特に限定されることなく、一例として海水、かん水、下水、産業廃水、河川水、あるいはこれらを前処理した後の処理水が挙げられるが、被処理水Aと被処理水Bの好適な組み合わせとしては、下水と海水、下水とかん水といった組み合わせが挙げられる。
このようなシステムにおいては、先述したように水処理プロセスAと水処理プロセスBが近接していることから、第一の半透膜処理設備1の洗浄に使用した洗浄排水を除濁設備2の洗浄に再利用することにかかる追加のコストを抑えることができる。
洗浄工程時には、洗浄排水弁7は開、濃縮水弁8は閉となり、第一の半透膜処理設備1の洗浄に使用された洗浄排水を、洗浄排水配管4を介して除濁設備2に供給し、洗浄水として再利用することにより、除濁設備2に必要な薬液使用量ならびに第一の半透膜処理設備1の洗浄排水量を削減することが可能となるため、薬液コスト、中和コスト、産業廃棄物処理コストを削減することができる。
さらには、洗浄のために従来のように生産水である各半透膜処理設備の透過水や除濁設備2の処理水を使用することなく洗浄することが可能となるため、式(2)の(洗浄に利用した透過水量)が削減できることによって式(1)の分子である(統合型水処理システムの生産水量)が結果として増加することから、システム全体の回収率も向上させることができる。
また、浸透圧の低い洗浄排水を用いて浸透圧の高い原水を処理する除濁設備2の洗浄を行うことで、浸透圧ショックにより浸透圧の高い環境で生息する微生物に対して殺菌効果を高めた洗浄を行うことも可能となる。
また、第一の半透膜処理設備1および第二の半透膜処理設備9で使用する半透膜について説明する。RO膜には低圧RO膜と呼ばれるものがあり、被分離混合液中の一部の成分、例えば溶媒を透過させ他の成分を透過させない、実質的に逆浸透膜分離が可能な半透性の膜であって、4.2MPaまでの耐圧性を有し、その実質的な使用圧力が2MPa以下で、かん水淡水化、超純水製造などで使用される塩濃度の低い溶液を分離対象とした逆浸透膜である。一方で、それ以上の耐圧性を有するものを高圧RO膜と呼ぶ。被処理水Aが活性汚泥処理や膜分離活性汚泥処理された下水処理水のような浸透圧の低い被処理水である場合、第一の半透膜処理設備1に用いるRO膜には低圧RO膜を用いるのが好ましく、運転圧力も低く抑えることが可能である。また被処理水Bが海水やかん水といったような浸透圧の高い被処理水である場合には第二の半透膜処理設備9には高圧RO膜を使用することが好ましい。
以上のような洗浄方法を実施することで、統合型水処理システムにおいて、薬液コスト、中和コスト、産業排水処理コスト等の薬液洗浄に関わるコストを削減するとともに、システム全体の回収率を改善することが可能となる。
本発明は、2種類の異なる原水を処理する各水処理プロセスに好適に用いることが可能である。
1:第一の半透膜処理設備
2:除濁設備
3:薬液注入設備A
4:洗浄排水配管
5:薬液注入設備B
6:濃縮水配管
7:洗浄排水弁
8:濃縮水弁
9:第二の半透膜処理設備

Claims (5)

  1. 被処理水Aを透過水Aと濃縮水Aとに分離する第一の半透膜処理設備と、第一の半透膜処理設備を洗浄するために薬液を注入する薬液注入設備Aと、被処理水Aとは異なる原水である被処理水Bから処理水を得る除濁設備とを備える水処理設備において、第一の半透膜処理設備の洗浄工程時に発生する洗浄排水を、除濁設備の薬液洗浄に使用することを特徴とする水処理設備の洗浄方法。
  2. 第一の半透膜処理設備のろ過工程時に発生する濃縮水Aを前記被処理水Bに混合し、前記除濁設備で処理して処理水を得ることを特徴とする請求項1に記載の水処理設備の洗浄方法。
  3. 前記洗浄排水から前記除濁設備へと至る配管内に、薬液Bを注入する薬液注入設備Bを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の水処理設備の洗浄方法。
  4. 前記除濁設備が、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を備える膜処理設備であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水処理設備の洗浄方法。
  5. 前記処理水を透過水Bと濃縮水Bとに分離する第二の半透膜処理設備を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の洗浄方法。
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