JP2002070970A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

摩擦ローラ式変速機

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JP2002070970A
JP2002070970A JP2000259530A JP2000259530A JP2002070970A JP 2002070970 A JP2002070970 A JP 2002070970A JP 2000259530 A JP2000259530 A JP 2000259530A JP 2000259530 A JP2000259530 A JP 2000259530A JP 2002070970 A JP2002070970 A JP 2002070970A
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center
rollers
outer ring
type transmission
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JP2000259530A
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Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Atsushi Ozawa
敦 尾澤
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 両方向の回転力を伝達できる構造で、大きな
回転力を伝達できると共に、高い伝達効率を得られる構
造を実現する。 【解決手段】 それぞれが中心ローラ4aと外輪15a
との間で一方向の回転力のみ伝達自在な、1対の摩擦ロ
ーラ式変速ユニット30a、30b同士を、上記両部材
4a、15a間で伝達し得る回転力の方向を互いに逆に
した状態で軸方向に組み合わせる。これら各摩擦ローラ
式変速ユニット30a、30bを構成するガイドローラ
10a、10b及びウェッジローラ11を、それぞれ3
個以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種機械装置に
組み込んで、減速或は増速しつつ両方向の回転運動を伝
達できる摩擦ローラ式変速機の改良に関し、高い伝達効
率を維持しつつ、大きな回転力の伝達を行なえる構造を
実現するものである。
【0002】
【従来の技術】摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の
歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生す
る騒音が小さい。この為、例えば摩擦ローラ式変速機を
電動モータの出力部に組み付けて減速機として使用し、
この電動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増
大させる構造が、例えば特開平8−210455号公報
に記載されている。この公報等に記載された一般的な摩
擦ローラ式変速機は、各ローラの周面同士の当接圧を、
伝達すべきトルクの変動に拘らず、常に一定のままに保
持している。この為、伝達効率が必ずしも良好とは言え
ない。良好な伝達効率を確保する為には、伝達すべきト
ルクが小さい場合に上記当接圧を低くし、反対に伝達す
べきトルクが大きい場合に上記当接圧を高くする事が考
えられる。一方、遊園地の遊戯具、或は足漕ぎ式のボー
トの如く、ペダルを踏んで駆動する装置で、しかもペダ
ルを両方向に回転させる可能性がある部分に組み込む摩
擦ローラ式変速機は、伝達すべきトルクの方向に拘ら
ず、このトルクの伝達を自在とする必要がある。
【0003】この様に、伝達すべきトルクの方向に拘ら
ず、このトルクの伝達を自在とし、且つ、伝達すべきト
ルクの大きさに応じて、各ローラの周面同士の当接圧を
変化させる構造として、米国特許第4709589号明
細書には、図6〜9に示す様な摩擦ローラ式変速機が記
載されている。この従来の摩擦ローラ式変速機は、有底
円筒状の本体1とこの本体1の基端開口部を塞ぐ蓋体2
とから成る固定のハウジング3内に中心ローラ4の内半
部(図6の右半部)を、上記蓋体2の略中央部に形成し
た通孔5を通じて挿入している。尚、この通孔5は、上
記蓋体2の中心から、少しだけ外れた位置に設けてい
る。又、上記中心ローラ4の外半部(図6の左半部)で
上記蓋体2から突出した部分には、入力軸6の端部を結
合固定している。
【0004】又、上記ハウジング3の内側で上記中心ロ
ーラ4の周囲部分には、3本の支持軸7a、7b、7c
を、それぞれこの中心ローラ4と平行に配置している。
即ち、これら各支持軸7a、7b、7cの一端部(図6
の左端部)を上記蓋体2に支持すると共に、他端部(図
6の右端部)を連結板8に支持している。尚、これら3
本の支持軸7a、7b、7cのうち、図7〜9の上部中
央に位置する1本の支持軸7aは、その両端部を上記蓋
体2及び連結板8に形成した嵌合孔に圧入固定してい
る。従って、この支持軸7aが、上記ハウジング3内で
円周方向或は直径方向に変位する事はない。
【0005】これに対して、図7〜9の下部左右両側に
位置する残り2本の支持軸7b、7cは、両端部を上記
蓋体2及び連結板8に対し、上記ハウジング3の円周方
向及び直径方向に亙る若干の変位自在に支持している。
この為に、上記蓋体2及び連結板8の一部で上記支持軸
7b、7cの両端部に整合する部分には、図8に示す様
に、上記両支持軸7b、7cの外径よりも大きな内径を
有する支持孔9、9を形成し、これら各支持孔9、9
に、上記両支持軸7b、7cの両端部を緩く係合させて
いる。そして、これら各支持軸7a、7b、7cの中間
部周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドローラ1
0及びウェッジローラ11a、11bを、それぞれラジ
アルニードル軸受12により、回転自在に支持してい
る。尚、上記連結板8は、上記蓋体2の内面(上記ガイ
ドローラ10及びウェッジローラ11a、11bを設置
した空間側の面で、図6の右面)の一部で、上記ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bから外れ
た位置に突設した突部13、13に突き当て、連結ボル
ト14、14により、上記蓋体2に連結固定している。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bを囲む部
分には、円環状の外輪15を、回転自在に設けている。
この外輪15の内周面中央部は直径方向内方に突出させ
る事により、土手状の凸部16とし、この凸部16の内
周面を第二の円筒面17としている。そして、この第二
の円筒面17と、上記ガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、
18とを当接自在としている。又、上記外輪15には、
結合ブラケット19の外径側端部を外嵌固定し、この結
合ブラケット19の中心部に、出力軸20の内端部(図
6の左端部)を結合固定している。この出力軸20は、
前記ハウジング3を構成する本体1の中央部に形成した
第二の通孔21を回転自在に挿通して、このハウジング
3外に突出させている。
【0007】上記ガイドローラ10及びウェッジローラ
11a、11bの外周面である、上記各第三の円筒面1
8、18は、それぞれ前記中心ローラ4の外周面に設け
た第一の円筒面22と、上記外輪15の内周面に設けた
上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ロ
ーラ4の中心と上記出力軸20及び外輪15の中心とは
互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ロー
ラ4を挿通する通孔5は、上記ハウジング3の中心から
少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力
軸20を挿通する第二の通孔21は、上記ハウジング3
の中心に設けている。又、この第二の通孔21の内側に
回転自在に支持した出力軸20と外輪15とは、互いに
同心である。従って、上記中心ローラ4と上記外輪15
及び出力軸20とは、上記通孔5のハウジング3の中心
からのずれ量δ(図6参照)分だけ、互いに偏心してい
る。そして、上記中心ローラ4の外周面に設けた上記第
一の円筒面22と上記外輪15の内周面に設けた上記第
二の円筒面17との間に存在して上記ガイドローラ10
及びウェッジローラ11a、11bが設けられた環状空
間23の幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、
円周方向に関して不同になっている。
【0008】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心して
いる側(図6〜9の下側)に位置するウェッジローラ1
1a、11bの径を、互いに同じとすると共に比較的小
径にしている。これに対し、上記外輪15に対し中心ロ
ーラ4が偏心しているのと反対側(図6〜9の上側)に
位置するガイドローラ10の径を、上記両ウェッジロー
ラ11a、11bよりも大きくしている。そして、これ
ら3個の、それぞれが中間ローラであるガイドローラ1
0及びウェッジローラ11a、11bの外周面である第
三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円筒面2
2、17に当接させている。
【0009】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のガイドローラ10及び2個のウェッジローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ10を支持した支持軸
7aは、前述の様に、上記ハウジング3内に固定してい
る。これに対して、ウェッジローラ11a、11bを支
持した支持軸7b、7cは、やはり前述した様に上記ハ
ウジング3内に、円周方向及び直径方向に亙る若干の変
位を自在に支持している。従って、上記ウェッジローラ
11a、11bも、上記ハウジング3内で円周方向及び
直径方向に亙り若干の変位自在である。そして、前記蓋
体2のシリンダ孔24、24内に装着した圧縮コイルば
ね25、25等の弾性材により、上記各ウェッジローラ
11a、11bを支持した支持軸7b、7cを、これら
各支持軸7b、7cに回転自在に支持したウェッジロー
ラ11a、11bを前記環状空間23の幅の狭い部分に
向け移動させるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0010】上述の様に構成する従来の摩擦ローラ式変
速機の場合、例えば、上記中心ローラ4が、作動状態を
示す図9に矢印イで示す様に、時計方向に回転すると、
上記1対のウェッジローラ11a、11bが、同図に矢
印ロで示す様に、上記各支持軸7b、7cを中心に反時
計方向に回転し、前記外輪15が同じく矢印ハで示す様
に反時計方向に回転する。そして、この様に上記1対の
ウェッジローラ11a、11bが矢印ロで示す様に回転
し、これら各ウェッジローラ11a、11bを挟持した
中心ローラ4及び外輪15がそれぞれ矢印イ、ハに示す
様に回転すると、上記各ウェッジローラ11a、11b
全体が、それぞれ図9に矢印ニで示す様に、時計方向に
変位する傾向となる。
【0011】即ち、上記1対のウェッジローラ11a、
11bは、矢印イ方向に回転する上記中心ローラ4か
ら、上記矢印ニ方向の力を受け、これら各ウェッジロー
ラ11a、11b自身が矢印ロ方向に回転する事で外輪
15の内周面に設けた第二の円筒面17との当接部から
受ける反作用により、やはり上記矢印ニ方向の力を受け
る。この結果、上記1対のウェッジローラ11a、11
bのうち、一方(図7〜9の右方)のウェッジローラ1
1aが前記環状空間23の幅の狭い部分に向けて、他方
(図7〜9の左方)のウェッジローラ11bが前記圧縮
コイルばね25の弾力に抗して上記環状空間23の幅の
広い部分に向けて、それぞれ移動する傾向になる。
【0012】この結果、上記一方のウェッジローラ11
aの外周面に設けた第三の円筒面18が、上記中心ロー
ラ4の外周面に設けた第一の円筒面22と上記外輪15
の内周面に設けた第二の円筒面17とを強く押圧する。
そして、上記一方のウェッジローラ11aの外周面に設
けた第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接
部である内径側当接部26、及び、この第三の円筒面1
8と上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接
部27の当接圧が高くなる。これに対して、上記他方の
ウェッジローラ11bは、上述の様に環状空間23の幅
の広い部分に向けて移動する傾向となる為、この他方の
ウェッジローラ11bに関する内径側、外径側両当接部
26、27の当接圧は喪失する。
【0013】上述の様に一方のウェッジローラ11aに
関する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が高
くなると、それぞれがこの一方のウェッジローラ11a
の外周面に設けた第三の円筒面18により押圧される部
材である、上記中心ローラ4と外輪15とのうちの少な
くとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に
基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位する。こ
の結果、前記ガイドローラ10に関する内径側、外径側
両当接部15、16の当接圧が高くなる。上記一方のウ
ェッジローラ11aを上記環状空間23の幅の狭い部分
に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4から
上記外輪15に伝達するトルクの大きさに応じて変化す
る。そして、この力が大きくなる程、上記ウェッジロー
ラ11a及びガイドローラ10に関する内径側、外径側
両当接部26、27の当接圧が大きくなる。そして、こ
の様な作用に基づき、上記伝達するトルクに応じた当接
圧を自動的に選定して、摩擦ローラ式変速機の伝達効率
を確保する。
【0014】上述の様な摩擦ローラ式変速機の構造は、
円周方向に関して対称である。この為、上記中心ローラ
4が図9の矢印イと反対方向(反時計方向)に回転する
場合に、上記摩擦ローラ式変速機の作動状態並びにトル
クの伝達方向は、円周方向に関して上述した場合(上記
中心ローラ4が矢印イの方向に回転する場合)と逆にな
る。この様に図6〜9に示した摩擦ローラ変速機の場合
には、上記中心ローラ4から上記外輪15への両方向の
トルク伝達を行なえる。
【0015】尚、上述の例は、中心ローラ4を入力側と
し、外輪15を出力側とする事により、摩擦ローラ式変
速機を減速機として利用する場合に就いて示した。これ
に対して、外輪15を入力側とし、中心ローラ4を出力
側とする事により、摩擦ローラ式変速機を増速機として
利用する場合も、入出力の方向が逆になる以外、上述し
た例と同様の作用により、上記外輪15と中心ローラ4
との間で両方向のトルク伝達を行なえる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述した様な従来の摩
擦ローラ式変速機の場合には、上記中心ローラ4(又は
上記外輪15)の回転方向に関係なく、これら中心ロー
ラ4と外輪15との間で両方向のトルク伝達を行なえる
が、大きなトルクを伝達する事が難しい。この理由に就
いて、以下に説明する。上述した通り、上記従来構造の
場合には、上記中心ローラ4と上記外輪15との間で伝
達すべきトルクを、2個の中間ローラ{1個のガイドロ
ーラ10及び何れか一方のウェッジローラ11a(11
b)}に関する内径側、外径側両当接部26、27を介
して伝達する。又、図10に示す様に、上記2個の中間
ローラである、ガイドローラ10と何れか一方のウェッ
ジローラ11a(11b)との各中心軸O10、O11同士
は、上記中心ローラ4の中心軸O4 を挟んで互いに直径
方向に関し180度反対側には存在しない。言い換えれ
ば、上記ガイドローラ10及び何れか一方のウェッジロ
ーラ11a(11b)の各中心軸O10、O11と上記中心
ローラ4の中心軸O4 とを結ぶ1対の線分A、B同士の
なす角度θが、180度よりも大幅に小さい(θ≪
π)。
【0017】この為、上記中心ローラ4及び外輪15に
は、上記ガイドローラ10及び何れか一方のウェッジロ
ーラ11a(11b)から、それぞれ異なる方向の力
F、Fが加わる。そして、これら各力F、Fの合力とし
て、上記中心ローラ4と上記外輪15に、それぞれ同図
の矢印αで示す方向の力が加わる。この様な矢印αで示
した力は、上記中心ローラ4及び外輪15を、それぞれ
上記ガイドローラ10及び何れか一方のウェッジローラ
11a(11b)から退避させる方向に加わる。しかも
この矢印αで示した力の大きさは、上記中心ローラ4と
上記外輪15との間で伝達すべきトルクが大きくなる程
大きくなる。この結果、これら中心ローラ4と上記外輪
15との間で大きなトルクを伝達しようとすると、これ
ら中心ローラ4及び外輪15が上記ガイドローラ10及
び何れか一方のウェッジローラ11a(11b)から退
避する傾向が強くなる。そして、これらガイドローラ1
0及び何れか一方のウェッジローラ11a(11b)に
関する内径側、外径側両当接部26、27の面圧が低下
し、これら各当接部26、27で滑りが発生する様にな
って、上記トルクを伝達できなくなる。又、この様に各
当接部26、27で滑りが発生する為、摩擦ローラ式変
速機によるトルクの伝達効率が低下する。本発明の摩擦
ローラ式変速機は、この様な不都合を解消すべく発明し
たものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の摩擦ローラ式変
速機は、それぞれが所定方向の回転力のみを伝達自在な
1対の摩擦ローラ式変速ユニットを、伝達し得る回転力
の方向を互いに逆にした状態で組み合わせて成る。この
様な本発明の摩擦ローラ式変速機を構成する、上記1対
の摩擦ローラ式変速ユニットはそれぞれ、外周面を第一
の円筒面とした中心ローラと、内周面を第二の円筒面と
してこの中心ローラの周囲に、この中心ローラに対する
相対回転を自在に設けられた外輪と、上記第一の円筒面
と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記中心ロ
ーラと平行に配置された3本以上の支持軸と、これら各
支持軸により回転自在に支持され、それぞれの外周面を
上記第一、第二の各円筒面と当接自在な第三の円筒面と
した3個以上の中間ローラとを備える。そして、上記中
心ローラの中心と上記外輪の中心とを偏心させる事によ
り、上記環状空間の幅寸法を円周方向に関して不同に
し、上記3個以上の中間ローラのうちの1個の中間ロー
ラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に変位自在に
支持してウェッジローラとし、残りの中間ローラをガイ
ドローラとすると共に、上記中心ローラ及び外輪が所定
方向に回転した場合に、上記ウェッジローラとなる中間
ローラを上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動自在と
する事により、上記中心ローラと上記外輪との間で所定
方向の回転力のみ伝達自在としている。そして、本発明
の摩擦ローラ式変速機は、それぞれが上述の様に構成す
る1対の摩擦ローラ式変速ユニットを構成する上記中心
ローラ同士及び上記外輪同士をそれぞれ実質的に同心に
配置すると共に、これら両摩擦ローラ式変速ユニット同
士で上記中心ローラと上記外輪との間で伝達し得る回転
力の方向が互いに逆となる様にして、上記両摩擦ローラ
式変速ユニットを構成する中心ローラ及び外輪の軸方向
端部同士を、それぞれ回転力の伝達自在に結合して成
る。
【0019】
【作用】上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速
機の場合には、入力側の部材{互いに結合した1対の
(若しくは単一の部材により構成した)中心ローラ、又
は互いに結合した1対の(若しくは単一の部材により構
成した)外輪}が何れの方向に回転駆動する場合でも、
1対の摩擦ローラ式変速ユニットのうちの何れか一方の
摩擦ローラ式変速ユニットが、上記入力側の部材の回転
駆動力を出力側の部材{互いに結合した1対の(若しく
は単一の部材により構成した)外輪、又は互いに結合し
た1対の(若しくは単一の部材により構成した)中心ロ
ーラ}に伝達する。
【0020】即ち、本発明の場合、入力側の部材が何れ
かの方向に回転駆動すると、何れか一方の摩擦ローラ式
変速ユニットを構成するウェッジローラとなる中間ロー
ラが、環状空間の幅の狭い部分に向け移動する傾向とな
る。この結果、この何れか一方の摩擦ローラ式変速ユニ
ットを構成する、総ての中間ローラの外周面である第三
の円筒面と中心ローラの外周面である第一の円筒面及び
外輪の内周面である第二の円筒面との当接部の当接圧が
高くなる。この結果、これら各当接部での摩擦係合に基
づき、入力側の部材から出力側の部材への回転力の伝達
が自在となる。特に、本発明の場合、この様に入力側の
部材から出力側の部材への回転力の伝達を行なう際に
は、3個以上の総ての中間ローラの外周面に設けた第三
の円筒面が、それぞれ中心ローラの外周面に設けた第一
の円筒面と外輪の内周面に設けた第二の円筒面とに強く
当接する。この為、入力側の部材の回転駆動力が大きく
なる事に伴い、上記各中間ローラが上記中心ローラ及び
外輪を押圧する力が大きくなった場合でも、前述した従
来構造(2個の中間ローラを介して回転力の伝達を行な
う構造)の様に、上記中心ローラ及び外輪が、上記各中
間ローラから退避する方向に変位する事はない。この
為、上記各当接部の当接圧を十分に確保して、これら各
当接部で滑りが生じるのを防止できる。この為、大きな
回転力を伝達できると共に、高い伝達効率を得られる。
【0021】一方、上記1対の摩擦ローラ式変速ユニッ
トのうちの他方の摩擦ローラ式変速ユニットを構成する
ウェッジローラとなる中間ローラは、環状空間の幅の広
い部分に向け退避する傾向となる。この結果、この他方
の摩擦ローラ式変速ユニットを構成する、総ての中間ロ
ーラの外周面である第三の円筒面と第一の円筒面及び第
二の円筒面との当接部の当接圧が低下若しくは喪失す
る。この結果、この他方の摩擦ローラ式変速ユニット
は、入力側の部材から出力側の部材への回転力の伝達を
行なわない状態となる。逆に言えば、上記他方の摩擦ロ
ーラ式変速ユニットが、前記一方の摩擦ローラ式変速ユ
ニットによる回転力の伝達に対する抵抗にはならない。
【0022】
【発明の実施の形態】図1〜4は、請求項1〜2に対応
する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例
の摩擦ローラ式変速機は、有底円筒状の本体1aとこの
本体1aの端部開口を塞ぐ蓋体2aとから成る固定のハ
ウジング3a内に、単一の部材である中心ローラ4aを
配置している。又、このハウジング3aの内側に入力軸
6の一端部(図1の左端部)を、上記蓋体2aの略中央
部に形成した通孔5を通じて挿入すると共に、この入力
軸6の中間部を上記通孔5の内径側に、玉軸受28によ
り回転のみ自在に支持している。尚、この通孔5は、上
記蓋体2aの中心から少しだけ外れた位置に設けてい
る。そして、互いに同心に配置した上記中心ローラ4a
の基端部(図1、4の右端部)と上記入力軸6の一端部
とを、互いに結合している。
【0023】本例の場合、上記中心ローラ4aは、上記
入力軸6により回転駆動自在としつつ、ラジアル方向に
関する若干の変位自在に設けている。この為に、図示の
例では、上記中心ローラ4aの基端面に係合凹溝31
を、上記入力軸6の一端面に係合突部32を、それぞれ
直径方向に亙って形成すると共に、これら係合凹溝31
と係合突部32とを緩く係合させている。この様に係合
凹溝31と係合突部32とを緩く係合させる為に、この
係合凹溝31の幅寸法をこの係合凸部32の幅寸法より
も少し大きくしている。そして、この様な構成を採用す
る事により、上記中心ローラ4aと上記入力軸6とを、
回転力の伝達を自在に、且つ、ラジアル方向に関する若
干の相対変位自在に結合している。尚、この様に中心ロ
ーラ4aと入力軸6とを回転力の伝達を自在に、且つ、
ラジアル方向に関する若干の相対変位自在に結合する為
の構造は、図示の様なものに限らず、緩いスプライン係
合、或は緩いキー係合でも良い。
【0024】又、前記ハウジング3aの内側で軸方向
(図1、4の左右方向)に隣接した2個所位置には、そ
れぞれ上記中心ローラ4aの周囲部分に3本ずつ、合計
6本の支持軸7a、7b、7c(図4では図示省略)
を、この中心ローラ4aと平行に配置している。即ち、
軸方向片側(図1、4の右側)に配置した3本の支持軸
7a、7b、7cの一端部(図1の右端部)を前記蓋体
2aに支持すると共に、同じく他端部(図1の左端部)
を上記中心ローラ4aの中間部周囲に配置した第一の連
結板33に支持している。又、軸方向他側(図1、4の
左側)に配置した3本の支持軸7a、7b、7cの一端
部(図1の右端部)を上記第一の連結板33に支持する
と共に、同じく他端部(図1の左端部)を上記中心ロー
ラ4aの先端部(図1、4の左端部)周囲に配置した第
二の連結板34に支持している。尚、上記軸方向片側に
配置した3本の支持軸7a、7b、7cと上記軸方向他
側に配置した3本の支持軸7a、7c、7bとの円周方
向に関する配置の位相は、互いに一致させている。
【0025】又、本例の場合、上記軸方向片側に設けた
3本の支持軸7a、7b、7cのうち、図2の下部及び
上部右側に位置する2本の支持軸7a、7bと、上記軸
方向他側に設けた3本の支持軸7a、7b、7cのう
ち、図3の下部及び上部左側に位置する2本の支持軸7
a、7bとは、それぞれの両端部を上記蓋体2a及び第
一の連結板33及び第二の連結板34に形成した嵌合孔
に圧入固定している。一方、後述する様に、上記第一、
第二の各連結板33、34は、上記蓋体2aに対し結合
固定している。従って、上記2本ずつの支持軸7a、7
bが、上記ハウジング3a内で円周方向或は直径方向に
変位する事はない。
【0026】これに対して、上記軸方向片側に設けた3
本の支持軸7a、7b、7cのうち、図2の上部左側に
位置する残り1本の支持軸7cと、上記軸方向他側に設
けた3本の支持軸7a、7b、7cのうち、図3の上部
右側に位置する残り1本の支持軸7cとは、それぞれの
両端部を上記蓋体2a及び第一の連結板33及び第二の
連結板34に対し、上記ハウジング3aの円周方向及び
直径方向に関する若干の変位自在に支持している。この
為に、上記蓋体2a及び第一の連結板33及び第二の連
結板34の一部で上記1本ずつの支持軸7c、7cの両
端部に整合する部分には、これら各支持軸7c、7cの
外径よりも大きな内径を有する支持孔9、9を形成し、
これら各支持孔9、9に、上記各支持軸7c、7cの両
端部を緩く係合させている。
【0027】そして、上述の様に支持した各支持軸7
a、7b、7cの中間部周囲に、それぞれが中間ローラ
であるガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ
11を、それぞれラジアルニードル軸受12により、回
転自在に支持している。尚、上記第一の連結板33は、
上記蓋体2aの内面(図1の左面)の一部で、上記軸方
向片側に配置したガイドローラ10a、10b及びウェ
ッジローラ11から外れた位置に突設した突部13a、
13aに突き当て、連結ボルト14、14により、上記
蓋体2aに連結固定している。又、上記第二の連結板3
4は、上記第一の連結板33の側面(図1の左面)の一
部で、上記軸方向他側に配置したガイドローラ10a、
10b及びウェッジローラ11から外れた位置に突設し
た突部13b、13bに突き当て、連結ボルト14、1
4により、上記第一の連結板33に連結固定している。
【0028】又、前記ハウジング3aの内側で、軸方向
片側と軸方向他側とにそれぞれ3個ずつ設けた上記各ガ
イドローラ10a、10b及びウェッジローラ11を囲
む部分には、単一の部材である円筒状の外輪15aを、
回転自在に設けている。そして、この外輪15aの内周
面である第二の円筒面17と、上記各ガイドローラ10
a、10b及びウェッジローラ11の外周面である第三
の円筒面18、18とを当接自在としている。又、上記
外輪15aの端部(図1、4の左端部)は、この外輪1
5aと同心に配置した出力軸20の一端部(図1の右端
部)に結合固定している。この為に、図示の例では、こ
の出力軸20の一端部に固設した結合板部35の外周縁
部分を上記外輪15aの端部に、図示しないボルト等に
より結合固定している。又、上記出力軸20は、上記ハ
ウジング3aを構成する本体1aの中央部に形成した第
二の通孔21を挿通して、このハウジング3a外に突出
させると共に、玉軸受29により、この第二の通孔21
の内側に回転のみ自在に支持している。
【0029】上記各ガイドローラ10a、10b及びウ
ェッジローラ11の外周面である、上記第三の円筒面1
8、18は、それぞれ前記中心ローラ4aの外周面であ
る第一の円筒面22と上記外輪15aの内周面である上
記第二の円筒面17とに当接させている。又、この状態
で、前記入力軸6及び中心ローラ4aの中心と上記出力
軸20及び外輪15aの中心とは互いに偏心している。
即ち、前述の様に、上記中心ローラ4aと同心の入力軸
6を挿通支持する通孔5は、上記ハウジング3aの中心
から少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記
外輪15aと同心の出力軸20を挿通支持する第二の通
孔21は、上記ハウジング3aの中心に設けている。従
って、上記中心ローラ4aと上記外輪15aとは、上記
通孔5のハウジング3aの中心からのずれ量δ分だけ、
互いに偏心している。そして、上記中心ローラ4aの外
周面である上記第一の円筒面22と上記外輪15aの内
周面である上記第二の円筒面17との間に存在して上記
各ガイドローラ10a、10b及び各ウェッジローラ1
1、11が設けられた環状空間23aの幅寸法が、この
δ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向に関して不同に
なっている。
【0030】この様に、上記環状空間23aの幅寸法を
円周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10
a、10b及びウェッジローラ11の外径を異ならせて
いる。即ち、軸方向片側と軸方向他側とにそれぞれ3個
ずつ設けた上記ガイドローラ10a、10b及びウェッ
ジローラ11のうち、それぞれ上記外輪15aに対し中
心ローラ4aが偏心している側(図1〜4の上側)に位
置するウェッジローラ11及びガイドローラ10bの外
径を、互いに同じにすると共に比較的小径にしている。
これに対し、上記外輪15aに対し中心ローラ4aが偏
心しているのと反対側(図1〜4の下側)に位置するガ
イドローラ10aの外径を、上記ウェッジローラ11及
びガイドローラ10bの外径よりも大きくしている。そ
して、上記軸方向片側と軸方向他側とにそれぞれ3個ず
つ設けたガイドローラ10a、10b及びウェッジロー
ラ11の外周面である第三の円筒面18、18を、それ
ぞれ上記第一、第二の円筒面22、17に当接させてい
る。
【0031】尚、上記軸方向片側と軸方向他側とにそれ
ぞれ3個ずつ設けたガイドローラ10a、10b及びウ
ェッジローラ11のうち、各ガイドローラ10a、10
bを支持した支持軸7a、7bは、前述の様に、上記ハ
ウジング3a内に固定している。これに対して、上記ウ
ェッジローラ11、11を支持した支持軸7c、7c
は、やはり前述した様に上記ハウジング3内に、円周方
向及び直径方向に亙る若干の変位を自在に支持してい
る。従って、上記ウェッジローラ11、11も、上記ハ
ウジング3内で円周方向及び直径方向に亙り若干の変位
自在である。そして、前記蓋体2a及び第一、第二の各
連結板33、34のシリンダ孔24a、24a内に嵌挿
した押圧ピン36、36により、上記各ウェッジローラ
11、11を支持した支持軸7c、7cを、これら各支
持軸7c、7cに回転自在に支持したウェッジローラ1
1、11を前記環状空間23aの幅の狭い部分に向け移
動させるべく、弾性的に軽く押圧している。尚、上記押
圧ピン36の押圧力は、この押圧ピン36の先端部に形
成した鍔部と上記シリンダ孔24aの奥面との間に設け
た圧縮コイルばね25aにより発生させている。
【0032】特に、本発明の場合、図2〜3に示す様
に、上記環状空間23a内で上記各押圧ピン36、36
により上記各支持軸7c、7cを押圧する方向、即ち、
上記各ウェッジローラ11、11が上記環状空間23a
の幅の狭い部分に向け移動する方向を、円周方向に関し
て互いに逆方向としている。又、本例の場合、前記中心
ローラ4aの基半部及び軸方向片側に設けた各ローラ1
0a、10b、11、各支持軸7a〜7c、各ラジアル
ニードル軸受12、12、押圧ピン36を含んで構成す
る押圧装置及び前記外輪15aの片半部(図1、4の右
半部)と、上記中心ローラ4aの先半部及び軸方向他側
に設けた各ローラ10a、10b、11、各支持軸7a
〜7c、各ラジアルニードル軸受12、12、押圧ピン
36を含んで構成する押圧装置及び上記外輪15aの他
半部(図1、4の左半部)とが、それぞれ上記中心ロー
ラ4aと上記外輪15aとの間で一方向の回転力のみ伝
達自在な、摩擦ローラ式変速ユニット30a、30bを
構成する。そして、これら両摩擦ローラ式変速ユニット
30a、30b同士の間で、伝達可能な回転力の方向が
互いに逆となる。
【0033】上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式変
速機の場合には、入力軸6及び中心ローラ4aが何れの
方向に回転駆動される場合でも、上記1対の摩擦ローラ
式変速ユニット30a、30bのうちの何れか一方(本
例の場合、図2〜3で上記中心ローラ4aが時計方向に
回転する場合には図1、4の右方、同じく反時計方向に
回転する場合には図1、4の左方)の摩擦ローラ式変速
ユニットが、上記入力軸6及び中心ローラ4aの回転駆
動力を外輪15a及び出力軸20に伝達する。即ち、上
記入力軸6及び中心ローラ4aが何れかの方向に回転駆
動すると、上記1対の摩擦ローラ式変速ユニット30
a、30bのうちの何れか一方の摩擦ローラ式変速ユニ
ットを構成するウェッジローラ11が、上記中心ローラ
4aの外周面である第一の円筒面22及び上記外輪15
aの内周面である第二の円筒面17から、前記押圧ピン
36による押圧力と同方向の力を受けて、上記環状空間
23aの幅の狭い部分に向け移動する傾向となる。
【0034】この結果、上記ウェッジローラ11の外周
面である第三の円筒面18が、上記第一の円筒面22と
上記第二の円筒面17とを強く押圧する。そして、この
第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接部で
ある内径側当接部26、及び、この第三の円筒面18と
上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接部2
7の当接圧が高くなる。この様に上記ウェッジローラ1
1に関する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧
が高くなると、それぞれがこのウェッジローラ11の外
周面に設けた第三の円筒面18により押圧される部材で
ある、上記中心ローラ4aと外輪15aとのうちの少な
くとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に
基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位する。こ
の結果、上記何れか一方の摩擦ローラ式変速ユニットを
構成する、各ガイドローラ10a、10bに関する内径
側、外径側両当接部26、27の当接圧が高くなる。そ
して、上記各内径側、外径側両当接部26、27での摩
擦係合に基き、前記入力軸6及び中心ローラ4aの回転
力を、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジロ
ーラ11を介して前記外輪15a及び出力軸20へ伝達
自在となる。
【0035】尚、上記ウェッジローラ11を上記環状空
間23aの幅の狭い部分に向け移動させようとする力
は、上記中心ローラ4aから上記外輪15aに伝達する
回転駆動力の大きさに応じて変化する。そして、この力
が大きくなる程、上記内径側、外径側両当接部26、2
7の当接圧が高くなる。従って、この様な作用に基づ
き、上記伝達する回転駆動力に応じた当接圧を自動的に
選定して、摩擦ローラ式変速機の伝達効率を確保でき
る。
【0036】又、本例の摩擦ローラ式変速機の場合に
は、上記回転駆動力の伝達を行なう何れか一方の摩擦ロ
ーラ式変速ユニットを構成する各ガイドローラ10a、
10bの外径や取付位置が多少ずれたり、構成各部材が
弾性変形したり、更には上記外輪15aが熱膨張した場
合でも、これら各ガイドローラ10a、10bに関する
内径側、外径側両当接部26、27の当接圧を、設計値
通りに規制できる。即ち、上記各ガイドローラ10a、
10bの外径や取付位置がずれた場合には、上記ウェッ
ジローラ11が上記環状空間23aの幅寸法が狭い部分
に変位するのに伴って、上記中心ローラ4aがラジアル
方向に変位する。そして、上記ガイドローラ10a、1
0b及びウェッジローラ11(総ての中間ローラ)に関
する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧を設計
値通りにする。従って、上記外径や取付位置が多少ずれ
た場合でも、高い伝達効率を得られる。尚、この様な効
果をより効果的に得る為に、好ましくは、前記外輪15
aと前記出力軸20の一端部に固設した結合板部35と
を、回転力の伝達を自在に、且つ、ラジアル方向に関す
る若干の相対変位自在に結合し、上記回転駆動力の伝達
時に上記外輪15aもラジアル方向に変位自在とする。
但し、上記中心ローラ4aと上記外輪15aとのうちの
少なくとも一方の部材のラジアル方向の変位を自在とす
れば、上述の様な効果が得られる。
【0037】更に、本例の摩擦ローラ式変速機の場合、
上記入力軸6及び中心ローラ4aから上記外輪15a及
び出力軸20への回転駆動力の伝達を行なう際には、上
記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11
(3個の中間ローラ)の外周面である第三の円筒面18
が、それぞれ上記中心ローラ4aの外周面である第一の
円筒面22と上記外輪15aの内周面である第二の円筒
面17とに強く当接する。即ち、上記入力軸6及び中心
ローラ4aの回転駆動力が大きくなる事に伴い、上記ガ
イドローラ10a、10b及びウェッジローラ11が上
記中心ローラ4a及び外輪15aを押圧する力が大きく
なった場合でも、前述した従来構造(2個の中間ローラ
を介して回転力の伝達を行なう構造)の様に、上記中心
ローラ4a及び外輪15aが上記ガイドローラ10a、
10b及びウェッジローラ11から退避する方向に変位
する事はない。この為、上記ガイドローラ10a、10
b及びウェッジローラ11に関する各内径側、外径側両
当接部26、27の当接圧を十分に確保して、これら各
当接部で滑りが生じるのを防止できる。この結果、大き
な回転力を伝達できると共に、高い伝達効率を得られ
る。
【0038】一方、前記1対の摩擦ローラ式変速ユニッ
ト30a、30bのうちの他方の摩擦ローラ式変速ユニ
ットを構成するウェッジローラ11は、前記第一の円筒
面22及び第二の円筒面17から、前記押圧ピン36の
押圧力に抗する方向の力を受けて、前記環状空間23a
の幅の広い部分に向け退避する傾向となる。この結果、
この他方の摩擦ローラ式変速ユニットを構成する、ガイ
ドローラ10a、10b及びウェッジローラ11(総て
の中間ローラ)に関する内径側、外径側両当接部26、
27の当接圧が低下若しくは喪失する。この結果、この
他方の摩擦ローラ式変速ユニットは、上記入力軸6及び
中心ローラ4aから上記外輪15a及び出力軸20への
回転力の伝達を行なわない状態となる。言い換えれば、
上記他方の摩擦ローラ式変速ユニットが、前記一方の摩
擦ローラ式変速ユニットによる回転力伝達に対する抵抗
となる事はない。
【0039】次に、図5は、請求項1、3に対応する、
本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場
合、1対の摩擦ローラ式変速ユニット30a、30b同
士で、中心ローラ4b、4cと外輪15b、15cと
を、それぞれ別体とすると共に、これら両中心ローラ4
b、4c同士及び両外輪15b、15c同士を、それぞ
れ回転力の伝達自在に、且つ、ラジアル方向に関する若
干の相対変位自在に結合している。
【0040】この為に、図示の例では、一方(図5の右
方)の中心ローラ4bの先端部(図5の左端部)に係合
凸部37を、他方(図5の左方)の中心ローラ4cの基
端部(図5の右端部)に係合凹溝38を、それぞれ直径
方向に亙って形成すると共に、これら係合突部37と係
合凹溝38とを緩く係合させている。この様に係合突部
37と係合凹溝38とを緩く係合させる為に、この係合
突部37の幅寸法をこの係合凹溝38の幅寸法よりも少
し大きくしている。
【0041】又、上記各外輪15b、15cの互いに対
向する軸方向端面同士で円周方向に関し互いに整合する
複数個所に、それぞれ係合孔39、39を形成してい
る。そして、これら互いに整合する各係合孔39、39
同士のうち、一方の係合孔39にノックピン40の片半
部を圧入すると共に、他方の係合孔39にこのノックピ
ン40の他半部を、緩く挿入している。この様にノック
ピン40の他半部を他方の係合孔39に緩く挿入する為
に、この他方の係合孔39の内径をこのノックピン40
の外径よりも少し大きくしている。そして、この様な構
成を採用する事により、上記両中心ローラ4b、4c同
士及び両外輪15b、15c同士を、それぞれ回転力の
伝達自在に、且つ、ラジアル方向に関する若干の相対変
位自在に結合している。尚、上記両中心ローラ4b、4
c同士及び両外輪15b、15c同士を、それぞれ回転
力の伝達自在に、且つ、ラジアル方向に関する若干の相
対変位自在に結合する為の構造は、それぞれ図示の様な
ものに限らず、緩いキー係合、或は緩いスプライン係合
等でも良い。
【0042】上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式変
速機の場合、1対の摩擦ローラ式変速ユニット30a、
30b同士で、これら各摩擦ローラ式変速ユニット30
a、30bを構成する各ガイドローラ10a、10bの
外径若しくは取付位置がずれていたり、構成各部材の弾
性変形量若しくは熱膨張量が互いに異なった場合には、
回転力の伝達時に、互いの中心ローラ4b、4c同士及
び外輪15b、15c同士が、互いに独立してラジアル
方向に変位する。この為、上記各摩擦ローラ式変速ユニ
ット30a、30b共に、それぞれ内径側、外径側各当
接部26、27の当接圧を設計値通りにする機能を、安
定して得られる。その他の構成及び作用は、上述した第
1例の場合と同様である。
【0043】尚、上述の各例は、中心ローラを入力側と
し、外輪を出力側とする事により、摩擦ローラ式変速機
を減速機として利用する場合に就いて示した。これに対
して、外輪を入力側とし、中心ローラを出力側とする事
により、摩擦ローラ式変速機を増速機として利用する場
合も、入出力の方向が逆になる以外、上述した各例の場
合と同様の作用により、上記外輪と上記中心ローラとの
間で両方向の回転駆動力の伝達を行なえる。
【0044】
【発明の効果】本発明の摩擦ローラ式変速機は、以上に
述べた通り構成され作用する為、両方向の回転力を伝達
できる構造で、大きな回転力を伝達できると共に、高い
伝達効率を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同B−B断面図。
【図4】互いに結合した1対の摩擦ローラ式変速ユニッ
ト部分の大略構成を、一部を切断した状態で示す斜視
図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す、図4と同
様の図。
【図6】従来構造の1例を示す断面図。
【図7】図6のC−C断面図。
【図8】同D−D断面図。
【図9】動力伝達時の各構成部材の作動状態を説明する
為の、図7〜8と同方向から見た状態で示す略図。
【図10】動力伝達時に中心ローラ及び外輪に加わる力
を説明する為の、図7〜8と同方向から見た状態で示す
略図。
【符号の説明】
1、1a 本体 2、2a 蓋体 3、3a ハウジング 4、4a、4b、4c 中心ローラ 5 通孔 6 入力軸 7a、7b、7c 枢軸 8 連結板 9 支持孔 10、10a、10b ガイドローラ 11、11a、11b ウェッジローラ 12 ラジアルニードル軸受 13、13a、13b 突部 14 連結ボルト 15、15a、15b、15c 外輪 16 凸部 17 第二の円筒面 18 第三の円筒面 19 結合ブラケット 20 出力軸 21 第二の通孔 22 第一の円筒面 23、23a 環状空間 24、24a シリンダ孔 25、25a 圧縮コイルばね 26 内径側当接部 27 外径側当接部 28 玉軸受 29 玉軸受 30a、30b 摩擦ローラ式変速ユニット 31 係合凹溝 32 係合凸部 33 第一の連結板 34 第二の連結板 35 結合板部 36 押圧ピン 37 係合凸部 38 係合凹溝 39 係合孔 40 ノックピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 AA01 AA08 BA03 BB08 BC02 BC03 BD01 BE03 BE04 EA02 EB03 EC02 EC03 EC04 EC06 ED03 ED20 FA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面を第一の円筒面とした中心ローラ
    と、内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲
    に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設けられ
    た外輪と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間
    の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置された3
    本以上の支持軸と、これら各支持軸により回転自在に支
    持され、それぞれの外周面を上記第一、第二の各円筒面
    と当接自在な第三の円筒面とした3個以上の中間ローラ
    とを備え、上記中心ローラの中心と上記外輪の中心とを
    偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向
    に関して不同にし、上記3個以上の中間ローラのうちの
    1個の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方
    向に変位自在に支持してウェッジローラとし、残りの中
    間ローラをガイドローラとすると共に、上記中心ローラ
    及び外輪が所定方向に回転した場合に、上記ウェッジロ
    ーラとなる中間ローラを上記環状空間の幅の狭い部分に
    向け移動自在とする事により、上記中心ローラと上記外
    輪との間で所定方向の回転力のみ伝達自在とした摩擦ロ
    ーラ式変速ユニットを1対、これら両摩擦ローラ式変速
    ユニットを構成する上記中心ローラ同士及び上記外輪同
    士をそれぞれ実質的に同心に配置した状態で、且つ、こ
    れら両摩擦ローラ式変速ユニット同士で上記中心ローラ
    と上記外輪との間で伝達し得る回転力の方向が互いに逆
    となる様に設け、上記両摩擦ローラ式変速ユニットを構
    成する中心ローラ及び外輪の軸方向端部同士を、それぞ
    れ回転力の伝達自在に結合して成る摩擦ローラ式変速
    機。
  2. 【請求項2】 各中心ローラと各外輪とのうちの少なく
    とも一方の部材同士を単一の部材により構成した、請求
    項1に記載した摩擦ローラ式変速機。
  3. 【請求項3】 各中心ローラと各外輪とのうちの少なく
    とも一方の部材同士が、互いに独立したラジアル方向の
    変位自在に結合されている、請求項1〜2の何れかに記
    載した摩擦ローラ式変速機。
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