JP2002069754A - 高強度・高伸度炭素繊維及びその成形材料 - Google Patents

高強度・高伸度炭素繊維及びその成形材料

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JP2002069754A JP2000262608A JP2000262608A JP2002069754A JP 2002069754 A JP2002069754 A JP 2002069754A JP 2000262608 A JP2000262608 A JP 2000262608A JP 2000262608 A JP2000262608 A JP 2000262608A JP 2002069754 A JP2002069754 A JP 2002069754A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維強化複合材料の圧力容器用途
等に応用可能な高強度・高伸度の性能を有し、より軽量
化され性能面で信頼性が高く、低価格の炭素繊維を提供
すること。また、炭素繊維の強度発現率が高く、機械的
性質の優れた繊維強化複合材料を提供すること。 【解決手段】 ストランド1本を構成するフ
ィラメント数が3,000〜80,000本、単繊維フィラメント
直径3〜6μmであり、ストランド引張強度500kgf/mm2
上、引張弾性率15×103〜40×103kgf/mm2、引張伸度2.0
%以上であり、炭素繊維中の炭素含有率が95%以上、繊維
表面における酸素量/炭素量の比が0.05〜0.5であり、繊
維軸方向に連続的に下式で表される深さの溝を多数有す
る炭素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】近年、炭素繊維,芳香族ポリアミド繊維等
を強化材として用いた複合材料は、その高い比強度,比
剛性を利用して、航空機等の構造材を始めとして一般産
業、自動車、スポーツ・レジャー、航空宇宙等の各分野
において広く用いられてきている。これらの複合材料
は、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸した中間製品で
あるプリプレグから、加熱,加圧といった成形加工工程
を経て複合材料に仕上げ実際に用いられる場合が多い。
また近年、成形加工技術の進展に伴い、フィラメントワ
インド(FW)成形、プルトルージョン成形、RIM成形
等により、コストダウンされた複合材料が提供されるよ
うになってきた。
【0002】複合材料分野において、その性能や価格の
面で炭素繊維複合材料は機械的性質に優れ、比較的低価
格化が達成できるため、広く一般産業分野に用いられる
ようになり、複合材料の特徴を生かし軽量化等の面で金
属製品に代替されつつある。特に、軽くて強い特徴を生
かし、コンクリート構造物の補修用途、各種圧力容器の
FRP化、風力発電用のFRP羽根、輸送用乗り物のボディー
やシャフトのような構造材、洋上建造物の補強等に開発
が進んできた。
【0003】近年、FRP製の圧力容器は、自動車用天然
ガス貯蔵用ボンベ゛、消防用酸素ボンベ、レジャー用酸
素ボンベ゛等に開発が進み、特に高強度炭素繊維を用い
た圧力容器は小型軽量化が可能なこともあり、フィラメ
ントワインド成形法により広く開発が進み、種々の技術
が開発され公知となっている。例えば、特公平5−88
665号公報では、プラスチック製ライナーの上に強化
繊維を巻き付け補強させ、軽量化された天然ガス貯蔵用
ボンベを提案している。特開平8−216277号、特
開平8−285189号公報ではガスバリアー性のある
ライナーの上に高強度の炭素繊維を巻き付け、より軽量
化されたボンベを提案している。
【0004】最近は、更に軽量化を目的としてライナー
の材質だけでなく、炭素繊維の性能にも着目され軽量化
とコストダウンが検討されている。炭素繊維の性能にお
いては、引張特性の更なる改善が望まれているが、従来
の炭素繊維では引張強度を上げるために原料の選別によ
る歩留まり低下や適正製造条件の煩雑さ等によりコスト
アップとなり、価格的に有利で繊維性能に優れた炭素繊
維が開発できていなかった。また、近年の圧力容器を含
む繊維強化複合材料の市場では、低価格で高強度・高伸
度の炭素繊維の出現のみならず、それを用いた繊維複合
材料の強度レベルをアップさせるべく繊維体積含有率を
高くする要望が出されており、現在までに実用化されて
いる炭素繊維では要求通りの設計ができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
繊維強化複合材料の圧力容器用途等に応用できる、高強
度・高伸度の性能を有し、より軽量化され性能面で信頼
性が高く、低価格の炭素繊維及びこれらを用いた繊維強
化複合材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、通常の炭素繊
維製造工程にて製造した汎用品に比べてコストアップの
少ない高強度・高伸度の炭素繊維あるいはその中間製品
を使用した成形材料に関するものであり、炭素繊維を構
成する1本のフィラメント直径を細くし、且つ繊維軸方
向に連続的に繋がった多数のしわ(溝)を配し、樹脂含
浸性に優れた炭素繊維を圧力容器等の成形材料に適用す
ることにより、強化複合材料中における炭素繊維の強度
発現率を高め、優れた機械的性質を有する成形体を提供
するものである。
【0007】本発明は、引張伸度2%以上の高強度・高
伸度炭素繊維ストランドを用いるもので、炭素繊維を構
成する1本のフィラメント(単繊維)直径を3〜6μmと
細くすることで(汎用品の直径は7〜8μm)強度・伸度
を高めるだけでなく、成形材料用の熱硬化性樹脂あるい
は熱可塑性樹脂の含浸性を高め、且つ成形時の樹脂を含
浸させた状態でのストランド拡がり性を高めることがで
きる。この結果、高い繊維体積含有率の領域でも強化繊
維と樹脂の濡れ性や分散性(充填状態)が良好で、機械
的性質に優れた複合材料を与えるものである。
【0008】特に本発明に用いる高強度・高伸度の炭素
繊維は、圧力容器等の成形材料に効力を発揮し、工業的
に量産可能で、且つ高強度・高伸度の炭素繊維と樹脂の
馴染み性を良好にすることで機械的性質に優れ、且つ軽
量化された成形材料を提供することができる。例えば、
本発明の炭素繊維で構成された圧力容器では、容器が破
壊するまでの限界の圧力を高めることができる。
【0009】本発明の構成は、以下の通りである。 (請求項1)ストランド1本を構成するフィラメント数
が3,000〜80,000本、単繊維フィラメント直径3〜6μmで
あり、ストランド引張強度500kgf/mm2以上、引張弾性率
15×103〜40×103kgf/mm2、引張伸度2.0%以上であり、
炭素繊維中の炭素含有率が95%以上、繊維表面における
酸素量/炭素量の比が0.05〜0.5であり、繊維軸方向に連
続的に下式で表される深さの溝を多数有する炭素繊維。 △D=0.01〜10 △D=(H/L)の最大値 H:繊維表面上の長さL範囲内における半径方向高さの
最大高低差 L:繊維円周方向の水平長さ(10〜100nmの範囲内) (請求項2)該炭素繊維内部に20〜200ppmの含有率で亜
鉛を有する請求項1の炭素繊維。 (請求項3)ストランド1本を構成するフィラメント数
が3,000〜80,000本、単繊維フィラメント直径3〜6μmで
あり、ストランド引張強度500kgf/mm2以上、引張弾性率
15×103〜40×103kgf/mm2、引張伸度2.0%以上であり、
炭素繊維中の炭素含有率が95%以上、繊維表面における
酸素量/炭素量の比が0.05〜0.5、及び繊維軸方向に連続
的に下式で表される深さの溝を多数有する炭素繊維に、
樹脂を30〜50体積%含浸させた中間製品とし、これを特
定のパターンで巻き付け成形された繊維強化複合材料。 △D=0.01〜10 △D=(H/L)の最大値 H:繊維表面上の長さL範囲内における半径方向高さの
最大高低差 L:繊維円周方向の水平長さ(10〜100nmの範囲内) (請求項4)請求項1記載の炭素繊維に熱硬化性樹脂を
含浸させ、金属あるいはプラスチック製マンドレルに巻
き付けた後に、硬化させて得られた成形体の00引張強度
の強度発現率が、用いた炭素繊維のストランド強度に対
して90%以上である繊維強化複合材料。 (請求項5)請求項1記載の炭素繊維に23℃での粘度1〜
100ポアズの熱硬化性樹脂を含浸させ、金属あるいはプ
ラスチック製マンドレルに巻き付けた時に、フィラメン
トの集合体である炭素繊維の拡がり幅が、単繊維フィラ
メント1本当たり0.1〜10μmの間隔で拡がるように巻き
付け成形して得られた繊維強化複合材料。
【0010】本発明に用いられる炭素繊維とは、ストラ
ンド1本を構成するフィラメント数が3,000〜80,000
本、フィラメント直径も3〜6μmのものであり、ストラ
ンド引張強度500kgf/mm2以上、引張弾性率15×103〜40
×103kgf/mm2、引張伸度2.0%以上、特に好ましくは引張
強度550kgf/mm2以上、引張弾性率22×103〜32×103kgf/
mm 2、引張伸度2.0%以上のものである。
【0011】本発明に使用される炭素繊維の原料繊維
(プリカーサー)は、ポリアクリロニトリルの濃厚溶液
より通常の紡糸条件によって得られるものが使用でき
る。ポリアクリロニトリルの溶剤としては、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトア
ミド、エチレンカーボネート等の有機溶媒、硝酸、ロダ
ン塩、塩化亜鉛などが主として用いられるが、特に塩化
亜鉛の水溶液を用いたポリマー溶液から紡糸させたプリ
カーサーは繊維中のポリマー分子の配向性が高く、品質
が良好で伸度の高い炭素繊維を得る上で好ましい。
【0012】溶剤に塩化亜鉛を用いたポリアクリロニト
リルを主原料とするプリカーサーの中には、亜鉛の金属
成分が約10〜100ppm残存することが金属分析等の手段に
より確認される。プリカーサー中に10〜100ppm残存した
亜鉛成分は、炭素繊維の製造過程で炭素繊維中の炭素網
面の配向性を乱すことなく、且つ炭素網面の成長を促進
するため、比較的短時間の焼成処理により高強度・高伸
度の炭素繊維を製造することができる。炭素繊維中に少
量の遷移金属が含まれることは公知であるが、本発明で
は特定成分として亜鉛を含ませることで、高強度・高伸
度の炭素繊維とすることに特徴がある。得られた炭素繊
維の中には、約20〜200ppmの亜鉛成分が残存する。亜鉛
成分が500ppmを越えると、炭素繊維の製造過程で炭素網
面の成長が早く進みすぎる他、繊維中に不純物を残存さ
せ、欠陥を生じ強度低下を招くため好ましくない。溶剤
に塩化亜鉛以外の溶剤を使用して、炭素繊維の原料であ
るポリアクリロニトリル繊維のプリカーサーを作製する
場合も、溶剤中に亜鉛あるいは亜鉛イオンを含ませ、紡
糸したプリカーサー中に亜鉛成分を約10〜100ppm含ませ
ると、高強度の炭素繊維を得る上で好ましい。
【0013】プリカーサーは、通常の湿式、乾式、ある
いは乾・湿式紡糸方法により作製され、0.5〜3.0デニー
ルで広角X線回折による配向度90%以上のポリアクリロ
ニトリル繊維が得られる。プリカーサー表面に0.01〜1
%付着させ、プリカーサーの延伸性や集束性に効果を付
与する油剤として、アミノシリコーン系、リン酸エステ
ル系、ポリエチレングリコール変性シリコーン、脂肪族
エステル系、グリシジルエーテル系、芳香族エステル
系、複合エステル系、フッ化リン酸エステル等の単独ま
たは二種類以上の混合物として用いることができる。
【0014】これらのプリカーサーは、公知となってい
る炭素繊維製造工程において、空気中200〜300℃におい
て緊張下で熱処理することで、比重1.3〜1.4の空気中で
燃えない耐炎繊維とした後、一定の張力下、不活性ガス
雰囲気の中で1,000℃〜2,000℃にて炭素化させることに
より、高強度炭素繊維ストランドとすることができる。
特にCFの高強度化を達成するためには、1,000〜2,000℃
の炭素化過程において、CFストランドのテンションバラ
ンスと、炭素化炉通過中の昇温勾配に注意する。炭素化
炉通過中のCFストランドに掛かるテンションは、ストラ
ンドを構成する単繊維フィラメント当たり0.05〜0.5g/
フィラメントに調整するのが好ましい。炉内で連続的に
熱処理するストランドには、10℃/秒以下の昇温速度で
炭素化処理することが、高強度CFを得る上で好ましい。
ストランドに掛かるテンションあるいは昇温勾配の調整
は、連続処理あるいは二段以上に分けて調整・処理して
も構わない。
【0015】本発明の炭素繊維における繊維軸方向の多
数の溝について説明する。炭素繊維の原料となるポリア
クリロニトリル繊維においては、通常の湿式あるいは乾
湿式紡糸の紡糸法により、単繊維フィラメント1本の表
面には多数の溝(しわ)が観察される。これは、繊維を
製造する際の脱溶媒(凝固)過程において、フィラメン
ト断面の半径方向に繊維の収縮が起こり、繊維軸方向に
連続的に繋がった周方向の凹凸が多数できるためであ
る。この溝(しわ)は、プリカーサーを炭素化して炭素
繊維とした後も残存し、結果的に繊維軸方向に連続的に
つながった多数の溝を有する炭素繊維となる。単繊維フ
ィラメント1本に存在する溝の数は、紡糸方法や炭素化
条件等により異なるが、フィラメントの円周方向には周
長さ1μm当たり1〜100個の高低差のある溝が原子
間力顕微鏡や電子顕微鏡等で観察することができる(図
1参照)。
【0016】原子間力顕微鏡で観察する場合は、サイズ
剤を除去した炭素繊維を室温大気中で試料台に固定し、
繊維軸と直角方向にラインをとり、後述する条件で三次
元表面形状の画像を得たのち、溝を測定する。電子顕微
鏡で観察する場合は、サイズ剤を除去した炭素繊維を、
液体窒素で冷却した状態で割断し、その割断面を電子顕
微鏡観察し、繊維輪郭を画像処理し表面の溝を測定す
る。
【0017】溝の深さや形状もランダムであるが、円周
方向の水平長さ(10〜100nmの長さ領域)をL、その間
に存在する溝の最大高低差をHとした場合、△D=(H
/L)の最大値が0.01〜10であることが、好ましくは0.1
〜5であることが、複合材料の強度を高める上で好まし
い。この溝が存在することにより、複合材料とした場合
にマトリックス樹脂との接着性がアンカー効果により高
められ、外力により容易に樹脂と繊維が剥がれることな
く、機械的特性に優れた複合材料を与える。なお、円周
方向の水平長さ10〜100nmは、直径3〜6μmの繊維にお
いて繊維横断面の中心軸に対し4°未満の円弧であり水
平とみなせる範囲に相当する。
【0018】強化繊維は複合材料用マトリックス樹脂と
の接着性を考慮して、物理化学的なエッチング処理、酸
化還元処理、プラズマ処理等も施される。炭素繊維にお
いては、一般に表面処理と呼ばれる薬液を用いた電解酸
化処理、酸化性ガスを用いた気相酸化処理等が施され、
樹脂との接着性や成形加工時の樹脂流動性を考慮した場
合、ESCAによる炭素繊維表面における酸素量/炭素量の
比(O1S/C1S)が0.05〜0.5の範囲内に入るよう、酸
化処理することが好ましい。
【0019】炭素繊維に用いられる集束剤は、無機,有
機物質に限定はなく、一般に市販されているものが使用
できる。特に、炭素繊維用の集束剤としては、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミ
ド樹脂、イミド樹脂、ナイロン樹脂等の単独または二種
以上の組合せで用いられる場合が多く、特にエポキシ樹
脂とウレタン樹脂の単独あるいは二種以上の組合せで用
いた場合に、ストランドの開繊性が良く加工時に拡がり
性の良い炭素繊維ストランドを与える。集束剤の付着量
は、炭素繊維に対して0.5〜3.0%にすることが好まし
い。
【0020】一般の炭素繊維製品は、生産性や取扱い性
を考慮して、単繊維フィラメント12,000本を合わせて1
ストランドとして炭素化処理及びボビンに巻き取り製品
としている場合が多い。用途によっては、ストランドを
分割してフィラメント3,000本を1ストランドとした
り、複数本合わせ絡めて1ストランドとし、ボビンに巻
き取って製品としても良い。
【0021】炭素繊維の形態は、ストランド中のフィラ
メント同士の絡み、ストランドの撚り状態、ボビン上に
ワインドする時のストランドの扁平化などによって微妙
に影響される。このようなストランドの形態は、樹脂を
含浸させる時の樹脂含浸性にも影響する。本発明の炭素
繊維も原料繊維、中間繊維あるいは炭素繊維の段階で、
機械的に撚りをかけて撚りを戻す処理やストランド内に
空気を挿入してフィラメント同士の絡みをかける処理あ
るいは集束剤を付着させた後に熱ローラー処理などによ
ってストランドを扁平化させても構わない。これらは、
成形加工方法や使用目的・用途によって使い分ける。
【0022】FW成形においては一般に、低粘度樹脂を
強化繊維に含浸させながらマンドレルに巻き付けて加工
した後に、加熱硬化させて成形体とする湿式法が多く用
いられている。繊維の巻き付け形式としては、フープ巻
きやヘリカル巻き、インプレーン巻き等を組み合わせて
巻き付ける。使用するマトリックス樹脂としては、エポ
キシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が一般的である。例え
ば、エポキシ樹脂の場合は、室温から徐々に昇温し90〜
180℃で数分〜数時間保持することにより硬化を完結さ
せ、室温まで徐冷して成形体を得るのが一般的である。
加熱硬化処理時に、熱収縮性のフィルムテープをラッピ
ングテープとして巻き付け、フィルムの収縮により加圧
して成形してもよい。
【0023】繊維強化複合材料用のマンドレルとして
は、金属製としてアルミニウムやマグネシウムの単独あ
るいは合金、プラスチック製としてポリエチレン、ポリ
プロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタ
ールの単独または複合物を用いることができ、ライナー
の上に高強度炭素繊維を一般的なフィラメントワインド
法やテープワインド法によって巻き付けていく。炭素繊
維の巻き量は容器の大きさやマンドレルの材質、耐圧度
等によって異なるが、成形物の厚さが2〜100mm程度とな
るように巻くのが一般的である。炭素繊維の巻き方も、
通常のFW成形で用いられる巻きパターンに従って本発明
の特定のパターンは、フープ層は回転軸方向に対して80
〜100度の角度で、疑似フープ層は40〜75度に巻くこと
である。
【0024】FW成形のような、低粘度の熱硬化性樹脂
をストランドに含浸させながら成形型に巻き付ける工程
においては、フィラメント数あたりのストランド拡がり
幅が大きく取れ、適度な樹脂含有率となるように繊維形
態や工程条件を工夫し、最終的に得られる成形材料の特
性が適正化されるように設計する。この際、基本的な繊
維特性だけでなく、表面処理レベル、使用するサイズ剤
の種類と量、繊維ストランドの形態安定化の他に、前述
のストランドの機械的処理やフィラメント同士の絡み等
にも影響され、反面フィラメント同士の絡みが多すぎる
と、成形時のストランド拡がり性が不良となる場合もあ
り、適度な形態上の処理を施すことが必要である。
【0025】現在、複合材料において汎用に用いられて
いる炭素繊維は、ストランド1本を構成するフィラメン
ト数が10,000〜50,000本、フィラメント直径6〜8μm、
繊度(イールド)0.6〜3.5 g/mのものが一般的である。
本発明の炭素繊維は、フィラメント数は同じであるがフ
ィラメント直径が3〜6μmと細くなるため、繊度(イー
ルド)は0.4〜2.6 g/m程度に低下する。このため、FW
等の成形加工時の樹脂含浸工程において、フィラメント
1本当たりの保持する見掛けの樹脂量が増え、フィラメ
ント単位で動きやすくなる傾向となり、結果としてスト
ランドの拡がり性が良好となる。更に、フィラメント直
径が細いため、同一重量に仕上げる上で複合材料を構成
する全フィラメント数が、フィラメント直径6〜8μmの
汎用タイプの炭素繊維を用いた場合と比較して多くな
り、単位体積当たりのフィラメント数が増加し、マトリ
ックス樹脂と接着する炭素繊維の全表面積が増加する。
結果として、炭素繊維の優れた強度・弾性率を効率よく
発現させることができる他、70%近い繊維体積含有率
の高い領域でも機械的性質において強度発現率の高いも
のとなり、成形体を薄く且つ軽く仕上げることが可能と
なる。
【0026】FW成形において、エポキシ樹脂のような熱
硬化性樹脂を主成分とした1〜100ポアズの溶液に、本発
明の炭素繊維ストランドを浸しマンドレルに巻き付けた
時、例えば12,000本のフィラメントで構成された1本の
ストランド当たりの拡がり幅は5〜15mmとなる。他のフ
ィラメント数の炭素繊維ストランドにおいても、同様の
拡がりを見せ、フィラメントの集合体である炭素繊維の
拡がり幅(拡がり幅をフィラメント数で割った値が)
は、単繊維フィラメント1本当たり0.1〜10μmの間隔で
拡がるものとなり、樹脂含浸性に優れ結果的に品質が良
好な複合材料を与える。
【0027】本発明では、ストランドの引張弾性率が15
×103kgf/mm2未満の低弾性率炭素繊維あるいは引張弾性
率40×103kgf/mm2以上の高強度・高弾性率の炭素繊維を
併用することができる。また炭素繊維の他に、以下の強
化繊維を高伸度炭素繊維と併用して用いることができ
る。他の強化繊維としては無機,有機繊維に限定はな
く、天然高分子,合成高分子の繊維の他、ガラス繊維、
芳香族アラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ボロン繊
維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維を併用して用いるこ
とができる。いずれも引張伸度が2.0%以上のものが好ま
しい。
【0028】本発明に用いられる炭素繊維は、ホットメ
ルト法と呼ばれるマトリックス樹脂を含浸させる工程を
経て、中間製品であるシート状のプリプレグに用いるこ
とができる。また、1本の繊維に熱硬化性樹脂を含浸さ
せた中間製品、つまりロービングプリプレグとして提供
することができる。ロービングプリプレグは、主に未硬
化の熱硬化性樹脂を強化繊維に含浸させて、ホットメル
ト法あるいは湿式法(溶媒に樹脂を溶かした溶液を繊維
に含浸させた後に、溶媒を乾燥除去させる方法)と呼ば
れる通常のプリプレグ製造方法によって作製される。
【0029】プリプレグ用のマトリックス樹脂として
は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、ビスマレイミド
樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の単独または二種以
上の熱硬化性樹脂、あるいはナイロン樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹
脂を使用することができる。プリプレグの樹脂含有率は
30〜50体積%が適当である。何れの樹脂を用いた場
合も、得られたシート状あるいはストランド状のプリプ
レグをFW法等の成形加工技術によってマンドレル等に
巻き付けた後、加圧・加熱して成形材料を得ることがで
きる。いずれの場合も、得られた複合材料は、その優れ
た耐熱性、機械的特性、寸法安定性、耐薬品性、耐候性
を特徴としている。本発明の成形体は、ストランド繊維
の開きが良く樹脂含浸性に優れた炭素繊維及びマトリッ
クス樹脂から成形されるため、低圧成形、例えば常圧
(無加圧)成形でもコンポジット性能に優れた複合材料
を与えるものである。
【0030】圧力容器等の成形材料において、構成する
炭素繊維の繊維体積含有率は45〜75%、特に好ましくは5
5〜70%である。繊維体積含有率が45%より低いと、複合
材料としての絶対強度レベルが低くなり、強化材料とし
ての特徴がなくなり好ましくない。繊維体積含有率が75
%を越えると、炭素繊維と接着する樹脂量が少なくなる
ため、単繊維間に樹脂が充分に回らなくなりボイド等の
欠陥を生じ、炭素繊維の持つ優れた強度・弾性率を充分
に発揮できなくなる。結果的に複合材料の強度を低める
こととなり好ましくない。本発明の炭素繊維を用いて成
形された複合材料において、プリプレグ用エポキシ樹脂
で固められた成形体の00引張強度は、別の評価法で測定
される炭素繊維ストランド引張強度に対して、90%以
上の強度発現率を示すものである。
【0031】本発明の高強度・高伸度の炭素繊維を織
物、組み紐等に加工して、樹脂を含浸して複合材料に成
形加工しても構わない。
【0032】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。
【実施例】
【0033】<広角X線回折による結晶配向度>X線源
としてNiフイルターで単色化されたCuのKα線を使
用し、2θ=17°付近に観察される面指数(400)
のピークを円周方向にスキャンして得られたピークの半
値幅H(°)より次式から求めた。 配向度(%)={(180-H)/180}×100
【0034】<炭素繊維表面溝の測定方法>原子間力顕
微鏡NanoScope3a/D3100(デジタルインスツルメンツ社
製)を用いタッピングモードにて測定。炭素繊維のサイ
ズ剤をアセトンで除去したのち、炭素繊維(単繊維フィ
ラメント)を試料台に固定し、繊維軸と直角方向にライ
ンをとり、下記条件下にて三次元表面形状の画像を得た
のち、炭素繊維表面溝(L及びH)を測定した。 《測定条件》 探針種類:Siカンチレバー 走査速度:1Hz 走査範囲:繊維軸方向2μm×直角方向4μm 測定環境:室温大気中
【0035】<ストランド引張強度の測定方法>ストラ
ンド引張強度の測定は、JIS R 7601に準じ、
樹脂はエピコート828,無水メチルハイミック酸を主成
分とするエポキシ樹脂を用いて実施した。
【0036】<成形体引張強度>成形体引張強度は、A
STM D 3039に準じて実施した。
【0037】<実施例1>塩化亜鉛水溶液中でアクリロ
ニトリルを主成分とするモノマーを室温で重合反応さ
せ、極限粘度[η]が1.8のポリアクリロニトリル重合体
を得た。これを紡糸原液として通常の湿式紡糸法にてフ
ィラメント数12,000本のポリアクリロニトリル繊維を得
た。単繊維繊度は0.6デニール、油剤付着量は0.05%、Z
n含有率70ppm、広角X線回折による配向度は91.5%であ
り、単繊維表面には繊維軸方向に連続した多数のしわを
有する繊維形態であった。これをプリカーサーとして用
い炭素繊維を連続製造する工程において、第一段階とし
て空気中240〜250℃の温度で10%収縮させながら連続的
に約60分間滞留させ、繊維比重1.36の耐炎繊維とした。
引き続き、窒素雰囲気下において工程内での昇温勾配が
1℃/秒、ストランドに掛かるテンションが0.08g/フィラ
メントとなるように300℃〜600℃の温度で処理し、更に
昇温勾配及びテンションを維持させながら600℃〜1600
℃にて処理し、炭素化を行った。炭素化処理により得ら
れた繊維は、硫酸塩水溶液中で電解酸化処理された後、
水洗、乾燥、集束処理、再度乾燥され、炭素繊維ストラ
ンドとなった。この炭素繊維ストランドの炭素含有率は
96%、単繊維フィラメント直径は5.0μm、イールド0.
4g/m、サイズ量1.3%、引張強度640kgf/mm2、引張弾性
率30×103kgf/mm2、引張伸度2.1%、O1S/C1Sは0.1
5、Zn含有率200ppm、ΔDは0.8(L:100nm、H:
80nm)であった。単繊維フィラメント数が12,000本(12
K)の、同条件で製造した炭素繊維ストランド5本を一組
として、フィラメントワインド装置にてワインド速度10
0m/分、ストランドに掛かるテンションが1000g/ストラ
ンド条件で、成形後の厚さが1mmの疑似一方向CFRP積層
板となるように、マンドレルに一方向に巻き付けた。FW
用の樹脂はエポキシ樹脂組成物で、巻き付け時25℃での
樹脂組成物の粘度は5ポアズであった。FW巻き付け時の
炭素繊維ストランド拡がり幅は10mm/12K(0.83μm/単
繊維フィラメント1本)、仕上がりの樹脂含有率は32%で
あった。一方向CFRP積層板の硬化条件は125℃で3時間の
無加圧成形とした。得られた積層板より成形体の引張強
度を測定するために、繊維軸方向と平行方向に幅10mmと
なるように試験片を切り出し、00引張強度を測定した。
試験片の繊維体積含有率は61%であった。この成形体の0
0引張強度は359kgf/mm2となり、強度発現率は92%であっ
た。
【0038】<実施例2>塩化亜鉛水溶液中でアクリロ
ニトリルを主成分とするモノマーを室温で重合反応さ
せ、極限粘度[η]が2.5のポリアクリロニトリル重合体
を得た。これを紡糸原液として通常の湿式紡糸法にてフ
ィラメント数24,000本のポリアクリロニトリル繊維を得
た。単繊維繊度は0.6デニール、油剤付着量は0.1%、Zn
含有率100ppm、広角X線回折による配向度は91.5%であ
り、単繊維表面には繊維軸方向に連続した多数のしわを
有する繊維形態であった。これをプリカーサーとして用
い炭素繊維を連続製造する工程において、第一段階とし
て空気中240〜250℃の温度で15%収縮させながら連続的
に約50分間滞留させ、繊維比重1.36の耐炎繊維とした。
引き続き、窒素雰囲気下において工程内での昇温勾配が
2℃/秒、ストランドに掛かるテンションが0.08g/フィラ
メントとなるように300℃〜600℃の温度で処理し、更に
昇温勾配及びテンションを維持させながら600℃〜1300
℃にて処理し、炭素化を行った。炭素化処理により得ら
れた繊維は、硫酸水溶液中で電解酸化処理された後、水
洗、乾燥、集束処理、再度乾燥され、炭素繊維ストラン
ドとなった。この炭素繊維ストランドの炭素含有率は96
%、単繊維フィラメント直径は5.5μm、イールド0.95g/
m、サイズ゛量1.0%、引張強度550kgf/mm2、引張弾性率26
×103kgf/mm2、引張伸度2.1%、O1S/C1Sは0.12、Z
n含有率150 ppm、ΔDは1.2(L:80nm、H:96nm)で
あった。単繊維フィラメント数が24,000本の、同条件で
製造した炭素繊維ストランド5本を一組として、実施例
1と同様の条件でフィラメントワインド装置にて成形
し、同様の測定法にて物性を測定した。試験片の繊維体
積含有率は60%であった。この成形体の00引張強度は310
kgf/mm 2となり、強度発現率は94%であった。
【0039】<比較例1>純度99%以上のジメチルホル
ムアミド(DMF)溶液中でアクリロニトリルを主成分と
するモノマーを室温で重合反応させ、極限粘度[η]が2.
0のポリアクリロニトリル重合体を得た。これを紡糸原
液として通常の湿式紡糸法にてフィラメント数12,000本
のポリアクリロニトリル繊維を得た。単繊維繊度は0.6
デニール、油剤付着量は0.5%、Zn含有率5ppm、広角X線
回折による配向度は91.0%であり、単繊維表面には繊維
軸方向に連続した多数のしわを有する繊維形態であっ
た。これをプリカーサーとして用い炭素繊維を連続製造
する工程において、実施例1と同じ条件で処理し、炭素
繊維ストランドを得た。この炭素繊維ストランドの炭素
含有率は96%、単繊維フィラメント直径は5.2μm、イー
ルド0.4g/m、サイズ量1.3%、引張強度540kgf/mm2
引張弾性率30×103kgf/mm2、引張伸度1.8%、O1S/C
1Sは0.15、Zn含有率5ppm、ΔDは1.0(L:100n
m、H:80nm)であった。実施例1と同様に積層板を成形
し、成形体特性を評価した。結果は、表1に示す通りで
あった。
【0040】<比較例2>実施例1と同じ原料ポリマー
及び紡糸方法で、かつ繊度が0.95dの原料繊維を使用
し、炭素繊維の単繊維直径が8μm、ストランドの引張強
度が480kgf/mm2となるような条件で炭素繊維を製造し、
同様に試験を行った。結果はストランドの拡がり幅が小
さく、成形体特性の強度発現率も低くなった。
【0041】<比較例3>実施例1と同じ原料ポリマー
を用い、紡糸方法を乾湿式紡糸法にて表面溝(皺)の小
さい炭素繊維を製造し、実施例1と同様の後処理をして
炭素繊維製品とした。評価結果は、成形体特性の強度発
現率が低いものとなった。
【0042】
【表1】
【0043】*1:00積層板の特性(樹脂はエポキシ系
FW用、硬化条件は125℃で3時間、無加圧成形) *2:繊維体積含有率100%時の成形体引張強度(計算
値)/ストランド゛引張強度
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、高強度・高伸度の炭素
繊維、及びそれを用いた成形材料を提供することができ
る。このような炭素繊維は樹脂含浸性、成形時のストラ
ンド拡がり性に優れ、またそれを用いた成形材料は炭素
繊維の強度発現率が高く機械的特性の優れた成形材料と
なる。その成形材料は圧力容器などの繊維強化複合材料
用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素繊維の単繊維断面における外周の模式図
【符号の説明】
【L】繊維円周方向水平長さ
【H】半径方向高さの差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 晃一 静岡県駿東郡長泉町上土狩234 東邦レー ヨン株式会社研究所内 (72)発明者 龍田 浩之 静岡県駿東郡長泉町上土狩234 東邦レー ヨン株式会社研究所内 (72)発明者 武藤 進一 静岡県駿東郡長泉町上土狩234 東邦レー ヨン株式会社研究所内 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AB10 AB22 AD23 AK03 AK11 AL07 4L037 AT02 CS03 FA03 FA05 FA08 FA09 FA11 PA53 PC10 PC11 PC12 PS00 PS03 PS19 UA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストランド1本を構成するフィラメント数
    が3,000〜80,000本、単繊維フィラメント直径3〜6μmで
    あり、ストランド引張強度500kgf/mm2以上、引張弾性率
    15×103〜40×103kgf/mm2、引張伸度2.0%以上であり、
    炭素繊維中の炭素含有率が95%以上、繊維表面における
    酸素量/炭素量の比が0.05〜0.5であり、繊維軸方向に連
    続的に下式で表される深さの溝を多数有する炭素繊維。 △D=0.01〜10 △D=(H/L)の最大値 H:繊維表面上の長さL範囲内における半径方向高さの
    最大高低差 L:繊維円周方向の水平長さ(10〜100nmの範囲内)
  2. 【請求項2】該炭素繊維内部に20〜200ppmの含有率で亜
    鉛を有する請求項1の炭素繊維。
  3. 【請求項3】ストランド1本を構成するフィラメント数
    が3,000〜80,000本、単繊維フィラメント直径3〜6μmで
    あり、ストランド引張強度500kgf/mm2以上、引張弾性率
    15×103〜40×103kgf/mm2、引張伸度2.0%以上であり、
    炭素繊維中の炭素含有率が95%以上、繊維表面における
    酸素量/炭素量の比が0.05〜0.5、及び繊維軸方向に連続
    的に下式で表される深さの溝を多数有する炭素繊維に、
    樹脂を30〜50体積%含浸させた中間製品とし、これを特
    定のパターンで巻き付け成形された繊維強化複合材料。 △D=0.01〜10 △D=(H/L)の最大値 H:繊維表面上の長さL範囲内における半径方向高さの
    最大高低差 L:繊維円周方向の水平長さ(10〜100nmの範囲内)
  4. 【請求項4】請求項1記載の炭素繊維に熱硬化性樹脂を
    含浸させ、金属あるいはプラスチック製マンドレルに巻
    き付けた後に、硬化させて得られた成形体の00引張強度
    の強度発現率が、用いた炭素繊維のストランド引張強度
    に対して90%以上である繊維強化複合材料。
  5. 【請求項5】請求項1記載の炭素繊維に23℃での粘度1
    〜100ポアズの熱硬化性樹脂を含浸させ、金属あるいは
    プラスチック製マンドレルに巻き付けた時に、フィラメ
    ントの集合体である炭素繊維の拡がり幅が、単繊維フィ
    ラメント1本当たり0.1〜10μmの間隔で拡がるように巻
    き付け成形して得られた繊維強化複合材料。
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