JP2002069659A - クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板 - Google Patents

クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板

Info

Publication number
JP2002069659A
JP2002069659A JP2001259046A JP2001259046A JP2002069659A JP 2002069659 A JP2002069659 A JP 2002069659A JP 2001259046 A JP2001259046 A JP 2001259046A JP 2001259046 A JP2001259046 A JP 2001259046A JP 2002069659 A JP2002069659 A JP 2002069659A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromate
steel sheet
water
film
organic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001259046A
Other languages
English (en)
Inventor
Takafumi Yamaji
隆文 山地
Kotaro Okamoto
幸太郎 岡本
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2001259046A priority Critical patent/JP2002069659A/ja
Publication of JP2002069659A publication Critical patent/JP2002069659A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、粘着テープ密着性、ロールフォーミ
ング性、耐黒変性等に優れたクロメート処理Al−Zn
系合金めっき鋼板を得る。 【解決手段】 Alを25〜75wt%含有するAl−
Zn系合金めっき皮膜の表面に、添加成分が水溶性クロ
ム酸化合物と水溶性または水分散性の有機樹脂とリン酸
系化合物とからなり、好ましくはpHが3.0未満に調
整された処理液を塗布し、水洗することなく乾燥して形
成されたクロメート皮膜であって、Cr付着量が10〜
40mg/m、有機樹脂付着量が1.0〜3.0g/
、リン酸付着量がCr付着量との重量比でPO
Cr=0.5〜4.0である皮膜を形成する。また好ま
しくは、有機樹脂及びリン酸を含むクロメート皮膜の下
層に少なくとも有機樹脂を含まないクロメート皮膜を形
成し、下層及び上層の合計のCr付着量を10〜40m
g/m、リン酸付着量をPO/Cr=0.5〜4.
0とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材や家電等の用
途に主として無塗装で用いられるAl−Zn系合金めっ
き鋼板の表面処理材、特に、所謂55%Al−Zn系合
金めっき鋼板に代表される高Al−Zn系合金めっき鋼
板に好適な表面処理材に関する。
【0002】
【従来の技術】所謂55%Al−Zn系合金めっき鋼板
に代表される高Al−Zn系合金めっき鋼板はめっき外
観が美麗で且つ耐食性にも優れていることから、建材用
途として建屋の屋根材や外壁材等に、また家電用途とし
て例えば冷蔵庫の裏板等に、いずれも無塗装のままで用
いられている。これらの用途ではめっき鋼板に長期にわ
たる防食性が要求されるだけでなく、めっき表面が直接
目に触れる部分に用いられることから、めっき鋼板の表
面が変色することなく美麗な表面外観が長期間にわたっ
て維持されることが必要である。
【0003】また、建材用途の場合にはめっき鋼板がロ
ールフォーミングにより成形されるため、めっきがロー
ルにピックアップしないこと(すなわち、ロールフォー
ミング性が良好であること)が求められ、また家電用途
の場合には粘着テープによりめっき鋼板表面と部品とを
接着する方法が汎用的に採られているため、めっき鋼板
表面から粘着テープが容易に剥離しないような接着強度
(粘着テープ密着性)が必要とされる。したがって、A
l−Zn系合金めっき鋼板には耐食性、粘着テープ密着
性、ロールフォーミング性に優れ、しかもめっき面が黒
変等の変色を生じることなく長期間にわたって美麗な外
観を維持できることが要求される。
【0004】従来、このようなAl−Zn系合金めっき
鋼板の特性改善を目的として以下のような提案がなされ
ている。 特公平4−2672号公報:ロールフォーミング性
及び耐食性を向上させることを目的として、特定の水溶
性または水分散性樹脂に6価Crを特定の割合で配合
し、且つpHを3〜10に調整した処理液をAl−Zn
系合金めっき鋼板表面に塗布する処理方法が示されてい
る。この方法によれば、めっき表面が樹脂で被覆される
ことで金型とめっき表面との直接接触がなくなるため、
ロールへのめっきの凝着が防止され、ロールフォーミン
グ性が改善される。
【0005】 特公平1−53353号公報:耐食性
と耐黒変性を改善することを目的として、水溶性または
水分散性樹脂とクロム酸化合物とを配合した処理液をA
l−Zn系合金めっき鋼板表面に塗布し、所定のクロム
付着量の樹脂皮膜を形成させる方法が示されている。 特開平4−371585号公報:耐黒変性の改善を
目的として、Al−Zn系合金めっき鋼板の表面にNi
またはCoを含む塗布層を形成し、その上層に6価Cr
を含む樹脂層を形成した表面処理Al−Zn系合金めっ
き鋼板が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の方法は用いられるクロム酸が6価Crで且つ処理液の
pHが3以上であるが故に、めっき皮膜と6価Crとの
反応が十分に進行しないか若しくは反応速度が非常に遅
いために表面処理皮膜中からCrが溶解し易く、例えば
結露等が生じた場合にはCrが著しく溶解して外観ムラ
が生じ易い。この外観ムラの発生を軽減するには、Cr
付着量を少なくしてCrの溶解量を低減することが有効
であるが、耐食性はCr付着量に依存するためCr付着
量を少なくしたのでは十分な耐食性が得られない。ま
た、いずれにしても表面処理皮膜からCrが溶解し易い
傾向があるため、Cr付着量を多くしても耐食性の大幅
な改善は見込めない。
【0007】また、上記の方法については、Al−Z
n系合金めっき鋼板はコイルやシートの状態で屋外に放
置されるケースがあり、屋外で結露等により表面が濡れ
た状態のまま放置された場合には、の方法で皮膜を形
成しても黒変が生じ、実際的な使用環境に耐えられるほ
どの効果は得られない。また、同公報に示されるように
Crに対して樹脂の比率が高い皮膜を家電用途に適用し
た場合、十分な粘着テープ密着性が得られないという問
題もある。また、上記の表面処理Al−Zn系合金め
っき鋼板は、製造に2段階の工程が必要となるため製造
コストの点で不利であり、また、この鋼板は耐黒変性以
外の特性については何ら改善がない。
【0008】このように従来提案されている処理方法で
は、耐食性、粘着テープ密着性、ロールフォーミング
性、耐黒変性等の諸特性を総て満足できるAl−Zn系
合金めっき鋼板の表面処理材は得られない。したがって
本発明の目的は、耐食性、粘着テープ密着性、ロールフ
ォーミング性に優れ、しかも黒変や結露による外観ムラ
が生じにくく、美麗なめっき表面外観を長期間にわたっ
て維持することができるAl−Zn系合金めっき鋼板の
表面処理材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
課題に対し、Al−Zn系合金めっき皮膜の表面に添加
成分が水溶性クロム酸化合物と水溶性または水分散性の
有機樹脂とリン酸系化合物とからなるクロメート処理液
を塗布することで、クロム、有機樹脂及びリン酸を特定
の割合で含有するクロメート皮膜を形成させることによ
り、上述した諸特性を総て満足し得るAl−Zn系合金
めっき鋼板の表面処理材が得られることを見い出した。
【0010】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 (1) Alを25〜75wt%含有するAl−Zn系合金
めっき皮膜の表面に、添加成分が水溶性クロム酸化合物
と水溶性または水分散性の有機樹脂とリン酸系化合物と
からなるクロメート処理液を塗布し、水洗することなく
乾燥して形成されたクロメート皮膜であって、金属Cr
換算でのCr付着量が10〜40mg/m、有機樹脂
付着量が1.0〜3.0g/m、PO換算でのリン
酸付着量が金属Cr換算でのCr付着量との重量比でP
/Cr=0.5〜4.0である皮膜を有することを
特徴とするクロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼
板。
【0011】(2) Alを25〜75wt%含有するAl
−Zn系合金めっき皮膜の表面に、下層として水溶性ク
ロム酸化合物を含み且つ有機樹脂を含まないクロメート
処理液を塗布し、水洗することなく乾燥して形成された
クロメート皮膜を有し、その上層に、添加成分が水溶性
クロム酸化合物と水溶性または水分散性の有機樹脂とリ
ン酸系化合物とからなるクロメート処理液を塗布し、水
洗することなく乾燥して形成されたクロメート皮膜を有
し、前記下層及び上層のクロメート皮膜の金属Cr換算
でのCr付着量が合計で10〜40mg/m、PO
換算での合計のリン酸付着量が金属Cr換算でのCr付
着量との重量比でPO/Cr=0.5〜4.0であ
り、且つ上層のクロメート皮膜の有機樹脂付着量が1.
0〜3.0g/mであることを特徴とするクロメート
処理Al−Zn系合金めっき鋼板。
【0012】(3) 上記(1)または(2)の鋼板において、A
l−Zn系合金めっき皮膜がAlを50〜60wt%含
有することを特徴とするクロメート処理Al−Zn系合
金めっき鋼板。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかの鋼板において、クロメー
ト皮膜中の有機樹脂付着量が1.2〜2.0g/m
あることを特徴とするクロメート処理Al−Zn系合金
めっき鋼板。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかの鋼板において、クロメー
ト皮膜が、pH:3.0未満に調整されたクロメート処
理液を塗布して形成された皮膜であることを特徴とする
クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板。
【0013】
【発明の実施の形態】本願発明のクロメート処理Al−
Zn系合金めっき鋼板のベースとなるめっき鋼板は、め
っき皮膜中にAlが25〜75重量%含まれるAl−Z
n系合金めっき鋼板であり、所謂55%Al−Zn系合
金めっき鋼板が最も代表的なものとして知られている。
通常、この種のAl−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜中
にはSiがAl量の0.5wt%以上含まれている。ま
た、所謂55%Al−Zn系合金めっき鋼板とは、通
常、めっき皮膜中にAl量が50〜60wt%程度含ま
れるAl−Zn系合金めっき鋼板(以下の説明におい
て、55%Al−Zn系合金めっき鋼板という場合、上
記Al含有量のAl−Zn系合金めっき鋼板を指すもの
とする)を指し、そのめっき皮膜中には通常Siが1〜
3wt%前後含まれている。以下に述べるように、本発
明による特性改善効果はめっき皮膜中のAl量が25〜
75wt%のAl−Zn系合金めっき鋼板において顕著
に得られるものであるが、そのなかでも上記55%Al
−Zn系合金めっき鋼板において特に顕著な特性改善効
果が得られる。
【0014】上記のAl−Zn系めっき鋼板のめっき皮
膜表面には、添加成分が水溶性クロム酸化合物、水溶性
または水分散性の有機樹脂及びリン酸系化合物からなる
クロメート処理液を塗布し、水洗することなく乾燥して
得らるクロメート皮膜であって、金属Cr換算でのCr
付着量が10〜40mg/m、有機樹脂付着量が1.
0〜3.0g/m、PO換算でのリン酸付着量が金
属Cr換算でのCr付着量との重量比でPO/Cr=
0.5〜4.0である皮膜を形成する。また、より優れ
た耐黒変性を得るためには、めっき皮膜表面に下層とし
て水溶性クロム酸化合物を含むクロメート処理液を塗布
し、水洗することなく乾燥して得られるクロメート皮膜
を形成し、その上層に、添加成分が水溶性クロム酸化合
物と水溶性または水分散性の有機樹脂とリン酸系化合物
とを含むクロメート処理液を塗布し、水洗することなく
乾燥して得られるクロメート皮膜を形成し、これら下層
及び上層のクロメート皮膜の金属Cr換算でのCr付着
量を合計で10〜40mg/mとし、且つ上層のクロ
メート皮膜中の有機樹脂付着量を1.0〜3.0g/m
、PO換算でのリン酸付着量を金属Cr換算でのC
r付着量との重量比でPO/Cr=0.5〜4.0と
する。
【0015】本発明においてめっき皮膜表面に形成され
るクロメート皮膜は、皮膜中のCr付着量が増加する程
耐黒変性及び耐食性が向上する。Cr付着量の増加によ
り耐黒変性が向上するのは本発明が素材とする高Al−
Zn系合金めっき鋼板(特に、55%Al−Zn系合金
めっき鋼板)に特有の現象であり、他のめっき鋼板にお
いてはCr付着量増加による耐黒変性の改善効果は認め
られない。ここで、Cr付着量が金属Cr換算で10m
g/m未満では耐黒変性及び耐食性の十分な改善効果
が得られない。一方、Cr付着量が金属Cr換算で40
mg/mを超えると、耐黒変性、耐食性の改善効果が
飽和するため付着量に見合う大きな改善効果が得られ
ず、却って経済性を損う。
【0016】また、同じCr付着量であっても、先に有
機樹脂を含まないクロメート処理液(リン酸系化合物は
含んでよい)を塗布して下層のクロメート皮膜を形成
し、その上に有機樹脂とリン酸系化合物を含むクロメー
ト処理液を塗布して上層のクロメート皮膜を形成した場
合の方が、特に耐黒変性については優れた効果が得られ
る。但し、このようにクロメート皮膜を2層に設ける場
合も、上述した理由から上層および下層の合計のCr付
着量を10〜40mg/m、リン酸付着量をCr付着
量との重量比でPO/Cr=0.5〜4.0とする必
要がある。なお、通常の亜鉛めっき鋼板に対して行われ
るクロメート処理と同様に、6価Crの効果が失われな
い範囲で6価Crの一部を3価Crに還元した処理液を
用いることができる。処理液中の6価Crの割合は特に
限定しないが、本発明が前提とする6価Crによる作用
を良好なものとするには、6価Crは重量%で全Crの
50%以上とすることが望ましい。なお、処理液中に含
まれる水溶性クロム酸化合物としては、無水クロム酸、
二クロム酸カリウム、二クロム酸アンモニウム等を用い
ることができる。
【0017】上記クロメート皮膜に含まれる水分散性ま
たは水溶性の有機樹脂は、めっき面を被覆することによ
りロールフォーミング性を向上させる作用がある。Al
−Zn系合金めっき鋼板(特に、55%Al−Zn系合
金めっき鋼板)の表面は、Al主体のα層とZnが多く
含まれるβ層の混在組織であり、この組織のために表面
に凹凸が形成されている。有機樹脂を含むクロメート皮
膜は、このような凹凸を有するめっき皮膜表面において
凹部からめっきを被覆することになる。
【0018】クロメート皮膜中の有機樹脂の付着量が
1.0g/m未満では、めっき表面の被覆が不十分と
なるためロールフォーミング性が劣り、また加工時にめ
っき表面に傷が生じて外観性が損なわれやすい。一方、
有機樹脂の付着量が過剰になるとめっき表面の明度が低
下し、Al−Zn系合金めっき鋼板(特に、55%Al
−Zn系合金めっき鋼板)特有の外観を維持できなくな
る。Al−Zn系合金めっき鋼板(特に、55%Al−
Zn系合金めっき鋼板)特有の意匠性のある外観は、光
がめっき表面の凹凸で散乱することにより得られるもの
と考えられ、有機樹脂の付着量が過剰になると光が樹脂
により吸収されるため、めっきの外観が維持できなくな
るもの考えられる。
【0019】本発明者らの検討によれば、有機樹脂の付
着量が3.0g/m以下であればクロメート皮膜の表
面からめっき面のスパングルが確認され、めっき鋼板が
本来持っている外観性が維持できる。したがって、有機
樹脂の付着量は1.0〜3.0g/mとすることが必
要であり、また、めっき表面の被覆性とめっき面のスパ
ングルによる外観性をより確実に確保するためには、付
着量を1.2〜2.0g/mとすることが好ましい。
【0020】有機樹脂としては水溶性または水分散性の
ものが用いられるが、このなかでも特に、乾燥により水
に対して難溶化する水分散性の樹脂を用いることが望ま
しく、例えば、pH:1.0〜3未満のクロム酸溶液中
に安定して分散可能な水分散性樹脂、例えばアクリル系
樹脂をポリオキシエチレン等のノニオン系乳化剤、硫酸
アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、カルボン酸塩
等のアニオン系乳化剤を用いて分散させたものを用いる
ことができる。また、有機樹脂としては、一般的に用い
られているポリメタクリル酸系ポリマー、或いはこれに
アクリロニトリル系ポリマーを混合、共重合させたもの
を用いることもできる。なお、クロメート皮膜は経済性
の観点から通常80℃程度の板温での乾燥が行われてお
り、したがって、有機樹脂としては比較的低温で造膜で
きるものを用いることが好ましい。
【0021】クロメート皮膜中に含まれるリン酸は耐黒
変性と粘着テープ密着性を向上させる作用がある。ま
た、このリン酸の作用により、高耐食性と優れた耐黒変
性を得るためにCr付着量を増加してもクロムによる着
色が抑制され、めっき外観が維持される。クロメート皮
膜中へのリン酸の添加による耐黒変性の改善は、本発明
が素材とする高Al−Zn系合金めっき鋼板(特に、5
5%Al−Zn系合金めっき鋼板)に特有の現象であ
り、それ以外のめっき鋼板(例えば、亜鉛系めっき鋼
板)においては、クロメート皮膜中にリン酸を添加する
と耐黒変性が逆に劣化する。
【0022】この理由は必ずしも明らかではないが、リ
ン酸の添加によりめっき表面のエッチング効果が増すた
め、高Al−Zn系合金めっき鋼板以外のめっき鋼板で
は上記エッチング効果の増大が耐黒変性を低下させる方
向に作用するのに対し、高Al−Zn系合金めっき鋼板
の場合には、エッチング効果の増大によってめっき表面
での6価Crとの反応量が増大し、強固な不働態化皮膜
が形成されたほうが耐黒変性の向上に有効であるためで
あると推定される。また、本願発明が対象とする高Al
−Zn系めっき鋼板においては、クロメート皮膜中への
リン酸の添加は粘着テープ密着性を向上させる効果があ
る。
【0023】これらの効果はリン酸のCrに対する添加
比率により大きく左右され、PO換算でのリン酸付着
量が金属Cr換算でのCr付着量に対する重量比でPO
/Cr=0.5未満では十分な効果が得られない。一
方、PO/Cr=4.0超では粘着テープ密着性が再
び低下する傾向を示す。したがって、クロメート皮膜中
でのリン酸付着量は、上記PO/Crの重量比で0.
5〜4.0、好ましくは1.0〜3.0の範囲にするこ
とが必要である。処理液中へのリン酸の添加方法につい
ては特に限定しないが、例えば正リン酸、縮合リン酸ま
たは有機物と結合した状態での添加が可能である。
【0024】クロメート皮膜はpH:3.0未満の処理
液を塗布することにより形成することが好ましい。その
理由は以下の通りである。すなわち、めっき表面にクロ
メート処理液を塗布すると処理液中に含まれる6価Cr
がめっき組成物と反応して3価Crが生成され、これに
よりめっき表面が不働態化されることで耐食性が向上
し、さらにCrが不溶化する。そして、pH:3以上の
クロメート処理液を用いてクロメート皮膜を形成した場
合には、Al−Zn系合金めっき鋼板表面での反応が十
分に生じないために耐食性、結露した場合の耐Cr溶解
性、耐黒変性に劣った皮膜になる。これに対して、p
H:3.0未満、好ましくはpH:2.5未満の処理液
を用いてクロメート皮膜を形成した場合には、めっき鋼
板表面での反応性が良好となり、耐食性、結露した場合
の耐Cr溶解性及び耐黒変性が改善される。
【0025】このようなクロメート処理液のpH調整に
よる効果、特に耐黒変性の改善効果は、本発明が対象と
する高Al−Zn系合金めっき鋼板(特に、55%Al
−Zn系合金めっき鋼板)において顕著であり、その他
の亜鉛系めっき鋼板やAl−Zn系合金めっき鋼板にお
いては同様の効果は得られず、逆に耐黒変性は低下する
傾向が認められる。一方、クロメート処理液のpHが過
剰に低くなると処理液の安定性が低下するのみならず、
処理液とめっき皮膜が過剰に反応し、この結果塗布時に
ムラが生じやすくなる。これはめっき皮膜組織のα層と
β層での反応性の違いにより、反応し易いと推定される
β層で選択的に反応が起きるためであると推定される。
通常、pHが1.0以上であればこのような問題を生じ
ることなく塗布が可能であり、したがってクロメート処
理液のpHは1.0以上、3.0未満、望ましくは1.
5〜2.5に調整することが好ましい。
【0026】クロメート処理液の塗布方法に特別な制約
はなく、例えばロールコーター等をはじめとする任意の
方法を用いて塗布することが可能である。また、塗布後
の乾燥方法は電気炉、熱風炉、誘導加熱炉等を用いるこ
とができ、処理液中に添加した有機樹脂の最低造膜温度
以上で乾燥することによりクロメート皮膜を形成でき
る。乾燥温度も特に限定されないが、過剰に高い温度で
乾燥すると耐食性や耐黒変性が低下する傾向があるた
め、通常到達板温60〜150℃、炉内乾燥時間120
秒以内で乾燥することが望ましい。なお、本発明のクロ
メート皮膜を得るに当り、処理液を塗布した後、水洗す
ることなく乾燥させるのは、乾燥直後のクロメート皮膜
は溶解し易い状態にあり、水洗すると6価Crが溶出す
るため排水処理が必要になること、また、本処理液で処
理した場合、乾燥後間もなく難溶性の皮膜が形成される
ため、水洗を特に必要としないことによる。
【0027】
【実施例】めっき皮膜中にAlをそれぞれ0.3wt
%、5wt%、55wt%含有する溶融Zn系めっき鋼
板または溶融Al−Zn系合金めっき鋼板に、表1及び
表2に示す組成のクロメート処理液をロールコーターを
用いて塗布した後、熱風乾燥炉を用いて到達板温80℃
で乾燥し、供試材を得た。クロメート処理液中に添加し
た有機樹脂としては、一般的に用いられているポリメタ
クリル酸系樹脂を主としてノニオン系乳化剤を用いて水
分散性としたものを用いた。クロメート皮膜中のCrお
よびPOの付着量は、蛍光X線を用いて皮膜中のP及
びCrの強度を測定することにより求めた。同じく有機
樹脂の付着量は、EPMAを用いてCの強度を測定する
ことにより求めた。
【0028】各供試材について以下のような特性試験を
実施した。 (a) 耐食性 塩水噴霧試験を240時間実施し、錆発生の程度に応じ
て下記の評価基準により評価した。 10:錆発生なし 8:錆発生面積が10%未満 6:錆発生面積が10%以上、25%未満 4:錆発生面積が25%以上、50%未満 1:錆発生面積が50%以上
【0029】(b) 耐黒変性、耐結露性 50℃,湿度98%以上の湿潤試験器(HCT)に15
0mm×150mmの供試材を鋼板表面が濡れた状態に
なるようにスタック状態で6日間放置し、黒変による変
色の程度またはCr溶解による外観異常の程度にに応じ
て下記の評価基準により評価した。 ・耐黒変性の評価基準 10:外観の変化なし 8:斜めから見て若干の変色有り 6:直視して10%未満の面積で変色有り 4:直視して10%以上、25%未満の面積で変色有り 1:直視して25%以上の面積で変色有り ・耐結露性の評価基準 ○:サンプル表面の結露水に黄色い着色なし △:サンプル表面の結露水に若干黄色い着色有り(乾く
と殆どムラ無し) ×:サンプル表面の結露水に黄色い着色有り(乾くと黄
色いムラ発生)
【0030】(c) Cr溶解性 供試材を沸騰水中に120秒間浸漬し、浸漬前後でのC
r付着量を比較することにより溶出したCr量を測定し
た。 (d) 粘着テープ密着性 気温20℃以上の雨天の日に供試材を直接濡れない場所
に24時間放置し、供試材表面に粘着テープ( Scotch
Brand Tape Core Series 2-0300 )を貼着し、その引き
剥がし強度を測定した。 (e) ロールフォーミング性 先端径5Rのビードを用いて幅30mmの供試材に対し
て100kgfの荷重で押し付けた状態でビード引き抜
き試験を行い、外観の状態に応じて下記の評価基準によ
り評価した。 ○:目視では傷を確認できないレベル △:うっすらと傷が入っているのが確認できるが、実用
上問題ないレベル ×:明らかな傷が生じているレベル
【0031】表1及び表2に、クロメート処理液及び各
供試材の構成と上記特性試験により得られた皮膜特性を
示す。表1及び表2に示される各実施例のうち、No.
1とNo.2はクロメート皮膜中にリン酸が添加されて
いない比較例であり、耐食性、耐黒変性、耐結露性、耐
Cr溶解性、粘着テープ密着性のいずれの特性にも劣っ
ている。特にNo.1は、高pHの処理液でクロメート
皮膜を形成しているため諸特性が著しく劣っている。N
o.3はクロメート皮膜中にリン酸は添加されているも
のの、その付着量が本発明条件を下回る比較例であり、
耐黒変性、耐結露性、耐Cr溶解性、粘着テープ密着性
に劣っている。これらの比較例に対し、No.22とN
o.23の本発明例では、クロメート皮膜中へのリン酸
の添加によって粘着テープ密着性が明かに向上してい
る。また、No.4はさらにpH:3.0未満に調整し
た処理液でクロメート皮膜を形成した本発明例であり、
リン酸添加とpH調整の効果によって、耐食性、耐黒変
性、耐結露性、耐Cr溶解性、粘着テープ密着性の全て
において優れた性能が得られている。
【0032】No.5、No.6、No.7、No.2
4、No.25は処理液中に3価Crを含有させた処理
液でクロメート皮膜を形成した本発明例であり、これら
は上記の本発明例に較べて耐Cr溶解性がさらに向上し
ており、このなかでも特に、pH:3.0未満に調整し
た処理液でクロメート皮膜を形成したNo.5、No.
6、No.7がより優れた耐Cr溶解性を示している。
また、No.6、No.7はPO/Crの値が大きい
ため、耐食性、耐黒変性、耐Cr溶解性、粘着テープ密
着性がさらに向上している。No.8は、クロメート皮
膜中にリン酸が過剰に含まれた比較例であり、粘着テー
プ密着性に劣っている。No.11、No.13はクロ
メート皮膜中の有機樹脂付着量が本発明条件外である比
較例であり、耐ロールフォーミング性に劣っている。
【0033】No.16はクロメート皮膜中のCr付着
量が過剰な比較例であり、耐結露性、耐Cr溶解性に劣
っている。No.17、No.25、No.26は、下
層にCr付着量10mg/mのクロメート皮膜を形成
させた後、上層に有機樹脂を含むクロメート皮膜を形成
した例であり、上層のクロメート皮膜にリン酸を含むN
o.17、No.25はテープ密着性に優れ、且つ耐C
r溶解性も良好である。No.18、19は、本発明条
件外のめっき鋼板に本発明条件を満足するクロメート皮
膜を形成した比較例であり、No.20、No.21と
の比較から、クロメート皮膜中へのリン酸の添加により
耐黒変性が逆に低下していることが判る。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、耐食
性、耐黒変性、ロールフォーミング性、粘着テープ密着
性、耐Cr溶解性に優れ、しかも、長期間にわたってめ
っきの外観が損なわれないクロメート処理Al−Zn系
合金めっき鋼板を安価に提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA09 AA13 AA22 BA06 BA07 BA12 BB01 BB07 BB08 BB09 BB10 CA13 CA20 CA26 CA39 DA02 DA11 DA15 DA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを25〜75wt%含有するAl−
    Zn系合金めっき皮膜の表面に、添加成分が水溶性クロ
    ム酸化合物と水溶性または水分散性の有機樹脂とリン酸
    系化合物からなるクロメート処理液を塗布し、水洗する
    ことなく乾燥して形成されたクロメート皮膜であって、
    金属Cr換算でのCr付着量が10〜40mg/m
    有機樹脂付着量が1.0〜3.0g/m、PO換算
    でのリン酸付着量が金属Cr換算でのCr付着量との重
    量比でPO/Cr=0.5〜4.0である皮膜を有す
    ることを特徴とするクロメート処理Al−Zn系合金め
    っき鋼板。
  2. 【請求項2】 Alを25〜75wt%含有するAl−
    Zn系合金めっき皮膜の表面に、下層として水溶性クロ
    ム酸化合物を含み且つ有機樹脂を含まないクロメート処
    理液を塗布し、水洗することなく乾燥して形成されたク
    ロメート皮膜を有し、その上層に、添加成分が水溶性ク
    ロム酸化合物と水溶性または水分散性の有機樹脂とリン
    酸系化合物からなるクロメート処理液を塗布し、水洗す
    ることなく乾燥して形成されたクロメート皮膜を有し、
    前記下層及び上層のクロメート皮膜の金属Cr換算での
    Cr付着量が合計で10〜40mg/m、PO換算
    での合計のリン酸付着量が金属Cr換算でのCr付着量
    との重量比でPO/Cr=0.5〜4.0であり、且
    つ上層のクロメート皮膜の有機樹脂付着量が1.0〜
    3.0g/mであることを特徴とするクロメート処理
    Al−Zn系合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 Al−Zn系合金めっき皮膜がAlを5
    0〜60wt%含有することを特徴とする請求項1また
    は2に記載のクロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼
    板。
  4. 【請求項4】 クロメート皮膜中の有機樹脂付着量が
    1.2〜2.0g/mであることを特徴とする請求項
    1、2または3に記載のクロメート処理Al−Zn系合
    金めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 クロメート皮膜が、pH:3.0未満に
    調整されたクロメート処理液を塗布して形成された皮膜
    であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記
    載のクロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板。
JP2001259046A 2001-08-29 2001-08-29 クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板 Pending JP2002069659A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001259046A JP2002069659A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001259046A JP2002069659A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21964595A Division JP3271485B2 (ja) 1995-08-04 1995-08-04 クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002069659A true JP2002069659A (ja) 2002-03-08

Family

ID=19086476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001259046A Pending JP2002069659A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002069659A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3954731B2 (ja) 耐熱性、耐加熱変色性および耐食性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
JP3271485B2 (ja) クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板
JP3136683B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板のクロメート処理方法
JPH11140665A (ja) 端面耐食性に優れた塗装鋼板およびその製造方法
JP2002069659A (ja) クロメート処理Al−Zn系合金めっき鋼板
JP4038001B2 (ja) 耐熱性、耐加熱変色性および耐食性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
JPH0533157A (ja) 耐黒さび性に優れたクロメート処理亜鉛または亜鉛系合金めつき鋼板の製造方法
JP3183138B2 (ja) 耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製造方法
JP3845445B2 (ja) 高耐食表面処理鋼板およびその製造方法
JP3282498B2 (ja) ロールフォーミング加工性に優れた表面処理Al−Zn系合金めっき鋼板及びその製造方法
JP3845444B2 (ja) 高耐食表面処理鋼板およびその製造方法
JP2925211B2 (ja) 亜鉛系めつき鋼板のクロメート処理方法
JP3478210B2 (ja) 樹脂クロメート処理金属板
JP2959705B2 (ja) 亜鉛系めっき鋼板のリン酸塩処理方法
JP2000119864A (ja) クロメート処理溶融めっき鋼板の製造方法
JP2950563B2 (ja) 亜鉛系めつき鋼板のクロメート処理方法
JP3329241B2 (ja) 耐黒点性、耐黒変性および耐食性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3643475B2 (ja) 耐食性に優れた表面処理鋼板
JP2945046B2 (ja) 亜鉛系めつき鋼板のクロメート処理方法
JPH11315386A (ja) 耐食性、加工性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JP3845442B2 (ja) 高耐食表面処理鋼板およびその製造方法
JP2004197143A (ja) 亜鉛系めっき鋼板
JPH07300683A (ja) 低温焼付性に優れたクロメート処理方法
JP2579487B2 (ja) 表面特性の優れた白色クロメ−ト処理方法
JP2576724B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板のクロメート処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050607

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051101