JP2002060500A - ガスバリア性熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

ガスバリア性熱可塑性重合体組成物

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JP2002060500A JP2000253303A JP2000253303A JP2002060500A JP 2002060500 A JP2002060500 A JP 2002060500A JP 2000253303 A JP2000253303 A JP 2000253303A JP 2000253303 A JP2000253303 A JP 2000253303A JP 2002060500 A JP2002060500 A JP 2002060500A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気体、有機液体等に対する遮断性と柔軟性と
の両方に優れた熱可塑性重合体組成物を提供する。 【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール系共重合
体、架橋剤と反応し得る官能基を有するエラストマーお
よび架橋剤を、溶融条件下で動的に架橋処理してなる熱
可塑性重合体組成物によって上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体と架橋されたエラストマーとから
なる熱可塑性重合体組成物、該重合体組成物からなる成
形品および該重合体組成物の用途に関する。本発明の熱
可塑性重合体組成物は、気体、有機液体等に対する遮断
性と柔軟性の両方に優れることから、シート、フィル
ム、飲食品用包装材、容器、容器用パッキングなどとし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール系共重合体
は、気体、有機液体等に対して高度の遮断性を有し、し
かも、塩化ビニリデン樹脂や塩化ビニル樹脂のように焼
却処分時に有害なガスを発生することがないため、食品
包装材等の種々の用途に展開されている。しかしなが
ら、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は柔軟性に
劣るために、ポリオレフィン等の軟質樹脂との組成物
(特開平4−164947号公報参照)または積層体の
形で使用されるのが知られている。
【0003】エチレン−ビニルアルコール系共重合体と
他の樹脂とは、通常、親和性が低く相溶性が不良である
ために、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に軟質
樹脂を配合してなる組成物では、柔軟性、遮断性の両立
が不十分である。また、エチレン−ビニルアルコール系
共重合体の層に対して軟質樹脂の層を積層してなる積層
体においては、該エチレン−ビニルアルコール系共重合
体層単独に比較して柔軟性が向上しているものの、用途
に応じてはまだ柔軟性が不足している場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチ
レン−ビニルアルコール系共重合体の長所である気体、
有機液体等に対する高度の遮断性などを活用し、かつ、
その欠点である柔軟性の不足を改善することによって、
遮断性と柔軟性の両方に優れた熱可塑性重合体組成物を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、架橋剤
と反応し得る官能基を有するエラストマーおよび架橋剤
を溶融条件下で動的に架橋処理することにより、架橋さ
れたエラストマーがエチレン−ビニルアルコール系共重
合体中に分散して、遮断性と柔軟性とを両立し得る熱可
塑性重合体組成物が得られることを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、(i)エチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体(I); (ii)架橋剤と反応し得る官能基を有するエラストマー
(II);および (iii)架橋剤(III); を、溶融条件下で動的に架橋処理することにより得られ
る熱可塑性重合体組成物である。
【0007】また、本発明は、上記の熱可塑性重合体か
らなる成形品およびシートまたはフィルムである。
【0008】さらに、本発明は、上記の熱可塑性重合体
組成物からなる層および他の材料からなる層を有する積
層構造体、並びに上記の熱可塑性重合体組成物からなる
少なくとも1つの層を有する飲食品用包装材、容器およ
び容器用パッキングである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明におけるエチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体(I)は、主としてエチレン単位(−CH
CH−)とビニルアルコール単位(−CH−CH
(OH)−)とからなる共重合体である。本発明において
使用されるエチレン−ビニルアルコール系共重合体とし
ては、特に限定されることなく、例えば、成形用途で使
用されるような公知のものを挙げることができる。ただ
し、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン
単位の含有量は、気体、有機液体等に対する遮断性の高
さと成形加工性の良好さの点から、10〜99モル%で
あることが好ましく、20〜75モル%であることがよ
り好ましく、25〜60モル%であることがさらに好ま
しく、25〜50モル%であることが特に好ましい。エ
チレン−ビニルアルコール系共重合体は、後述するよう
に、代表的にはエチレン−脂肪酸ビニルエステル系共重
合体ケン化物であるが、エチレン−脂肪酸ビニルエステ
ル系共重合体ケン化物の場合、脂肪酸ビニルエステル単
位のケン化度は、得られるエチレン−ビニルアルコール
系共重合体の遮断性と熱安定性の高さの点から、50モ
ル%以上であることが好ましく、90モル%以上である
ことがより好ましく、95モル%以上であることがさら
に好ましく、98モル%以上であることが特に好まし
い。エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトフ
ローレート(温度210℃、荷重2.16kgの条件下
に、ASTM D1238に記載の方法で測定)は、成
形加工性の良好さの点から、0.1〜100g/10分
であることが好ましく、0.5〜50g/10分である
ことがより好ましく、1〜20g/10分であることが
特に好ましい。また、エチレン−ビニルアルコール系共
重合体の極限粘度は、フェノール85重量%および水1
5重量%の混合溶媒中、30℃の温度において、0.1
〜5dl/gであることが好ましく、0.2〜2dl/
gであることがより好ましい。
【0011】エチレン−ビニルアルコール系共重合体に
は、エチレン単位およびビニルアルコール単位に加え
て、少量(好ましくは、全構成単位に対して10モル%
以下)であれば、他の構成単位を有していてもよい。他
の構成単位としては、プロピレン、イソブチレン、4−
メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン等の
α−オレフィン;酢酸ビニルエステル、プロピオン酸ビ
ニルエステル、バーサチック酸ビニルエステル、ピバリ
ン酸ビニルエステル、バレリン酸ビニルエステル、カプ
リン酸ビニルエステル、安息香酸ビニルエステル等のカ
ルボン酸ビニルエステル;イタコン酸、メタクリル酸、
アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸また
はその誘導体(例:塩、エステル、ニトリル、アミド、
無水物など);ビニルトリメトキシシラン等のビニルシ
ラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;N−メ
チルピロリドン;等から誘導される単位を挙げることが
できる。またエチレン−ビニルアルコール系共重合体
は、アルキルチオ基などの官能基を末端に有していても
よい。
【0012】エチレン−ビニルアルコール系共重合体の
製造方法としては、特に限定されるものではなく、例え
ば、公知の方法に従って、エチレン−脂肪酸ビニルエス
テル系共重合体を製造し、次いで、これをケン化するこ
とによってエチレン−ビニルアルコール系共重合体を製
造することができる。エチレン−脂肪酸ビニルエステル
系共重合体は、例えば、主としてエチレンと脂肪酸ビニ
ルエステルとからなるモノマーを、メタノール、t−ブ
チルアルコール、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒
中、加圧下に、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロ
ニトリル等のラジカル重合開始剤を用いて重合させるこ
とによって得られる。該脂肪酸ビニルエステルとして
は、酢酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニルエステ
ル、バーサチック酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニル
エステル、バレリン酸ビニルエステル、カプリン酸ビニ
ルエステルなどを使用することができるが、これら中で
も酢酸ビニルエステルが好ましい。エチレン−脂肪酸ビ
ニルエステル系共重合体のケン化には、酸触媒またはア
ルカリ触媒を使用することができる。
【0013】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いられ
る架橋剤と反応し得る官能基を有するエラストマー(I
I)[以下、エラストマー(II)ということがある。]
は、分子中に架橋剤(III)と反応し得る官能基を有す
るものであれば特に制限されず、スチレン系エラストマ
ー、オレフィン系エラストマー、合成ゴム、天然ゴム等
を用いる事が出来る。
【0014】これらのうち、スチレン系エラストマーと
しては、ビニル芳香族モノマー重合体ブロックと共役ジ
エン重合体ブロックとから主としてなるブロック共重合
体を挙げることができる。該ブロック共重合体を構成す
るビニル芳香族モノマー重合体ブロックの形成に用いら
れるビニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、
m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノ
クロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデ
ン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げ
ることができる。ビニル芳香族モノマー重合体ブロック
は、前記したビニル芳香族化合物の1種のみからなる構
造単位を有していても、または2種以上からなる構造単
位を有していてもよい。そのうちでも、ビニル芳香族モ
ノマー重合体ブロックはスチレンに由来する構造単位か
ら主としてなっていることが好ましい。
【0015】ビニル芳香族モノマー重合体ブロックは、
ビニル芳香族化合物からなる構造単位と共に必要に応じ
て他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有してい
てもよく、その場合の他の共重合性単量体からなる構造
単位の割合は、ビニル芳香族モノマー重合体ブロックの
重量に基づいて30重量%以下であることが好ましく、
10重量%以下であることがより好ましい。その場合の
他の共重合性単量体単位としては、例えば1−ブテン、
ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチル
ビニルエーテルなどの単量体単位を挙げることができ
る。
【0016】ビニル芳香族モノマー重合体ブロックと共
役ジエン重合体ブロックとから主としてなるブロック共
重合体における共役ジエン重合体ブロックの形成に用い
られる共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジ
エン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタ
ジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができ
る。共役ジエン重合体ブロックは、これらの共役ジエン
化合物の1種から構成されていてもまたは2種以上から
構成されていてもよい。共役ジエン重合体ブロックが2
種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有して
いる場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、
一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせ
などのいずれであってもよい。
【0017】そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック
は、イソプレン単位とする主体とするモノマー単位から
なるポリイソプレンブロックまたはその不飽和結合の一
部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロ
ック;ブタジエン単位を主体とするモノマー単位からな
るポリブタジエンブロックまたはその不飽和結合の一部
または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロッ
ク;或いはイソプレン単位とブタジエン単位を主体とす
るモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合
体ブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水
素添加された水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロ
ックであることが好ましい。
【0018】共役ジエン重合体ブロックの構成ブロック
となり得る上記したポリイソプレンブロックでは、その
水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メ
チル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−C
(CH)=CH−CH−;1,4−結合のイソプレ
ン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(C
)=CH)−CH−;3,4−結合のイソプレ
ン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−
C(CH)(CH=CH)−CH−;1,2−結
合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくと
も1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定さ
れない。
【0019】共役ジエン重合体ブロックの構成ブロック
となり得る上記したポリブタジエンブロックでは、その
水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル
%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイ
ル基(−CH−CH=CH−CH−;1,4−結合
ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35
〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH
)−CH−;1,2−結合ブタジエン単位]である
ことが好ましい。
【0020】共役ジエン重合体ブロックの構成ブロック
となり得る上記したイソプレン/ブタジエン共重合体ブ
ロックでは、その水素添加前に、イソプレンに由来する
単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イ
ソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニル
エチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基
からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−
ブテン−1,4−ジイル基および/またはビニルエチレ
ン基からなっており、各単位の割合は特に制限されな
い。イソプレン/ブタジエン共重合体ブロックでは、イ
ソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、
ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態になっ
ていてもよい。そして、イソプレン/ブタジエン共重合
体ブロックでは、イソプレン単位:ブタジエン単位のモ
ル比が1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜
7:3であることがより好ましい。
【0021】ビニル芳香族モノマー重合体ブロックと共
役ジエン重合体ブロックとから主としてなるブロック共
重合体は、熱可塑性重合体組成物の耐熱性および耐候性
が良好なものとなる点から、その共役ジエン重合体ブロ
ックにおける不飽和二重結合の一部または全部が水素添
加(以下「水添」ということがある)されていることが
好ましい。その際の共役ジエン重合体ブロックの水添率
は50モル%以上であることが好ましく、60モル%以
上であることがより好ましく、80モル%以上であるこ
とがさらに好ましい。
【0022】該ブロック共重合体において、ビニル芳香
族モノマー重合体ブロックの分子量および共役ジエン重
合体ブロックの分子量は特に制限されないが、水素添加
前の状態で、ビニル芳香族モノマー重合体ブロックの数
平均分子量が2,500〜75,000の範囲内にあ
り、共役ジエン重合体ブロックの数平均分子量が10,
000〜150,000の範囲内にあることが、熱可塑
性重合体組成物の力学的特性、成形加工性などの点から
好ましい。なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によ
り、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
【0023】何ら限定されるものではないが、該ブロッ
ク共重合体は、例えば、アニオン重合やカチオン重合な
どのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重
合法などにより製造することができる。アニオン重合法
による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを
重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサ
ンなどの不活性有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共
役ジエン化合物、架橋剤と反応し得る官能基を有する単
量体などを逐次重合させ、所望の分子構造および分子量
を有するジブロック共重合体またはトリブロック共重合
体を製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水など
の活性水素化合物を添加して重合を停止させることによ
り製造することができる。
【0024】本発明において架橋剤と反応し得る官能基
を有するエラストマー(II)として用いることのできる
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピ
レン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−非共
役ジエン共重合体(EPDM)、メタロセン系重合触媒
を用いたエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げら
れる。
【0025】エラストマー(II)として用いることので
きる合成ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合
体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等が
挙げられる。さらに、エラストマー(II)としては、天
然ゴムを用いてもよく、上記の合成ゴムまたは天然ゴム
に含まれる二重結合は、水素添加されていてもてもよ
い。
【0026】エラストマー(II)としては、得られる熱
可塑性重合体組成物が柔軟性に優れ、架橋剤と反応し得
る官能基の導入が容易であること等から、上記した中で
もスチレン系エラストマーが好ましく、ビニル芳香族モ
ノマー重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとか
ら主としてなるブロック共重合体がより好ましい。
【0027】エラストマー(II)の有する架橋剤と反応
し得る官能基としては、水酸基(例:1級水酸基(−C
OH))、アミノ基、アルキルアミノ基、エポキシ
基、エーテル基(例:アルコキシル基)、カルボキシル
基、エステル基(例:アルコキシカルボニル基、アシロ
キシル基)、アミド基(例:カルバモイル基、アルキル
カルバモイル基、アシルアミノ基)、ブロモ基、ジカル
ボン酸無水物の構造を有する基(例:無水マレイン酸
基)、二重結合(例:ビニル基)等が挙げられる。架橋
剤と反応し得る官能基は、用いる架橋剤(III)との反
応性がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(I)の
有する2級水酸基(>CH−OH)に比べて高くなるよ
うに、架橋剤(III)との組合せにおいて適宜選択する
ことが好ましい。
【0028】上記の官能基の中では、反応性に富み、エ
ラストマー(II)の架橋度の調節が容易であることか
ら、無水マレイン酸基などのジカルボン酸無水物の構造
を有する基が好ましい。
【0029】上記の官能基の含有量は、エラストマー
(II)1分子あたり平均0.5個以上であるのが好まし
く、1〜20個の範囲であるのがより好ましい。官能基
のエラストマー(II)への導入方法は特に制限されない
が、例えば、(1)エラストマー(II)を形成する単量
体の重合時に、架橋剤と反応し得る官能基を有する共重
合性単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、停止剤等を併用
させる方法;(2)エラストマー(II)を形成する単量
体の重合時に、保護基の離脱、加水分解等の反応により
架橋剤と反応し得る官能基を生成する共重合性単量体、
重合開始剤、連鎖移動剤、停止剤等を併用し、重合後
に、官能基を生成させる反応を行う方法;(3)官能基
を有しない重合体に酸化剤等を反応させて官能基を導入
する高分子反応による方法;などを挙げることができ
る。エラストマー(II)への官能基の導入位置は、分子
鎖の主鎖上、短鎖分岐上、末端などいずれであってもよ
い。
【0030】本発明に用いられる架橋剤(III)は、エ
ラストマー(II)の有する官能基と反応する2官能以上
の化合物であり、熱可塑性重合体組成物を製造する溶融
混練温度において液体または固体であり、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体(I)を分解しないものであ
れば何ら制限されない。
【0031】例えば、エラストマー(II)の有する官能
基がジカルボン酸無水物の構造を有する基である場合、
架橋剤(III)には、1,9−ノナンジアミン、2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン等のジアミン類;1,
6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のジ
オール類などが好適に用いられる。
【0032】本発明の熱可塑性重合体組成物における上
記の成分(I)〜(III)の配合割合は、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体(I)100重量部、成分
(I)100重量部に対して架橋剤と反応し得る官能基
を有するエラストマー(II)5〜900重量部、および
成分(II)100重量部に対して架橋剤(III)0.0
5〜10重量部の範囲内であるのが好ましい。
【0033】エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(I)100重量部に対して、エラストマー(II)の配
合量が5〜900重量部の範囲内であると、得られる熱
可塑性重合体組成物の柔軟性およびガスバリア性が優れ
たものとなる。
【0034】また、エラストマー(II)100重量部に
対して、架橋剤(III)の配合量が0.05〜10重量
部の範囲内であると、得られる熱可塑性重合体組成物の
ガスバリア性および成形品の表面外観が優れたものとな
る。
【0035】本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記し
た成分(I)〜(III)を、溶融条件下で動的に架橋処
理することにより得られる。この工程は、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体(I)およびエラストマー
(II)とを溶融混練して微細かつ均一に分散させ、さら
に架橋剤(III)によりエラストマー(II)の有する官
能基相互間に架橋結合を生じせしめることからなる。溶
融混練には、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置で
あればいずれの装置を使用してもよく、そのような溶融
混練装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、
ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることがで
き、中でも混練中の剪断力が大きく連続的に運転できる
二軸押出機を使用するのが好ましい。
【0036】本発明の熱可塑性重合体組成物は、具体例
として次のような加工工程を経由して製造することが出
来る。すなわち、エチレン−ビニルアルコール系共重合
体(I)およびエラストマー(II)を混合し、押出機の
ホッパーに投入する。エチレン−ビニルアルコール系共
重合体(I)は、一部を押出機の途中から添加してもよ
い。架橋剤(III)は、エチレン−ビニルアルコール系
共重合体(I)およびエラストマー(II)とともに当初
から添加してもよいし、押出機の途中から添加してもよ
い。さらに、2台以上の押出機を使用し、段階的に順次
溶融混練してもよい。溶融混練温度は約160〜280
℃であるのが好ましく、200℃〜240℃であるのが
より好ましい。溶融混練時間は約30秒〜5分間である
のが好ましい。
【0037】上記のようにして得られる熱可塑性重合体
組成物は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(I)のマトリックス中に、架橋剤(III)により架橋
されたエラストマー(II)が分散した構造を有するもの
であり、架橋されたエラストマーの分散粒子径は、直径
0.1μm〜30μmであるのが好ましく、0.1μm
〜30μmであるのがより好ましい。
【0038】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物で
は、より柔軟化を図るためにパラフィン系オイルを含有
させてもよい。一般に、プロセスオイルなどとして用い
られるオイルは、ベンゼン環やナフテン環などの芳香族
環を有する成分、パラフィン成分(鎖状炭化水素)など
が混合したものであり、パラフィン鎖を構成する炭素数
が、オイルの全炭素数の50重量%以上を占めるものを
「パラフィンオイル」と称している。本発明の熱可塑性
重合体組成物で用いるパラフィン系オイルとしては、パ
ラフィンオイルと称されているものであればいずれも使
用可能であるが、芳香族環を有する成分の含有量が5重
量%以下のものが好ましく用いられる。
【0039】パラフィン系オイルの配合量は、エラスト
マー(II)100重量部に対して200重量部以下であ
るのが好ましい。パラフィン系オイルの40℃における
動粘度は、20×10−6〜800×10−6/秒
であるのが好ましく、50×10−6〜600×10
−6/秒であるのがより好ましい。また、流動点
は、−40〜0℃であるのが好ましく、−30〜0℃で
あるのがより好ましい。さらに、引火点は、200〜4
00℃であるのが好ましく、250〜350℃であるの
がより好ましい。パラフィン系オイルは、熱可塑性重合
体組成物の製造の際に、エラストマー(II)に含浸させ
てから溶融混練してもよいし、溶融混練の途中から添加
してもよいし、含浸と途中添加を併用してもよい。
【0040】本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記し
た成分の他に、必要に応じて、本発明の効果を実質的に
損なわない範囲で、他の重合体を含有していてもよい。
配合し得る他の重合体の例としては、 ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂が
挙げられる。
【0041】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、補強、増量、着色などの目的で、必要に応じて無機
充填剤や染顔料などを含有することができる。無機充填
剤や染顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラッ
ク、硫酸バリウムなどを挙げることができる。無機充填
剤や染顔料の配合量は、熱可塑性重合体組成物の気体、
有機液体等への遮断性が損なわれない範囲であることが
好ましく、一般にはエチレン−ビニルアルコール系共重
合体(I)とエラストマー(II)の合計100重量部に
対して50重量部以下であるのが好ましい。
【0042】また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、
上記した成分以外に、必要に応じて架橋助剤、滑剤、光
安定剤、難燃剤、帯電防止剤、シリコンオイル、ブロッ
キング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発
泡剤、香料などの他の成分の1種または2種以上を含有
していてもよい。
【0043】本発明の熱可塑性重合体組成物は、ペレッ
ト、粉末などの任意の形態にしておいて、成形材料とし
て使用することができる。さらに本発明の重合体組成物
は、熱可塑性を有するので、一般の熱可塑性重合体に対
して用いられている通常の成形加工方法や成形加工装置
を用いて成形加工することができる。成形加工法として
は、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成
形、カレンダー成形、真空成形などの任意の方法を採用
することができる。このような方法で製造される本発明
の重合体組成物からなる成形品にはパイプ、シート、フ
ィルム、円板、リング、袋状物、びん状物、紐状物、繊
維状物などの多種多様の形状のものが包含され、また、
他の素材との積層構造体または複合構造体も包含され
る。他の素材との積層構造を採用することによって、成
形品に、耐湿性、機械的特性など、他の素材の有する特
性を導入することが可能である。
【0044】本発明の熱可塑性重合体組成物からなる少
なくとも1つの層と他の素材からなる少なくとも1つの
層との積層構造を有する成形品において、該他の素材
は、要求される特性、予定される用途などに応じて適切
なものを選択すればよい。該他の素材としては、例え
ば、ポリオレフィン(例:高密度ポリエチレン、中密度
ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピ
レン等)、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体
(EEA)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル樹脂
(PVC)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)などの熱
可塑性重合体などを挙げることができる。
【0045】該積層構造を有する成形品においては、本
発明の熱可塑性重合体組成物からなる層と他の素材から
なる基材層との間に接着剤層を介在させてもよい。接着
剤層を介在させることによって、その両側の本発明の熱
可塑性重合体組成物からなる層と他の素材からなる基材
層とを強固に接合一体化させることができる。接着剤層
において使用される接着剤としては、ジエン系重合体の
酸無水物変性物;ポリオレフィンの酸無水物変性物;高
分子ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のグリコール化合物とアジピン酸等の
二塩基酸とを重縮合して得られるポリエステルポリオー
ル;酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体の部分ケン化
物など)とポリイソシアネート化合物(例えば、1,6
−ヘキサメチレングリコール等のグリコール化合物と
2,4−トリレンジイソシアネート等のジイソシアネー
ト化合物とのモル比1対2の反応生成物;トリメチロー
ルプロパン等のトリオール化合物と2,4−トリレンジ
イソシアネート等のジイソシアネート化合物とのモル比
1対3の反応生成物など)との混合物等を使用すること
ができる。なお、積層構造形成のために、共押出、共射
出、押出コーティング等の公知の方法を使用することも
できる。
【0046】本発明の重合体組成物からなる成形品は、
多くの気体、有機液体等に対する優れた遮断性と優れた
柔軟性とを兼備しているので、これらの性質が要求され
る日用品、包装材、機械部品などとして使用することが
できる。本発明の重合体組成物の特長が特に効果的に発
揮される用途の例としては、飲食品用包装材、容器、容
器用パッキングなどが挙げられる。これらの用途に供す
るための成形品においては、該重合体組成物は少なくと
も1つの層を形成していればよく、該重合体組成物から
なる単層構造のもの、および該重合体組成物からなる少
なくとも1つの層と他の素材からなる少なくとも1つの
層との積層構造のものの中から適宜選ぶことができる。
上記の飲食品用包装材、容器、および容器用パッキング
では、大気中の酸素ガスの透過と内容物の揮発性成分の
透過を阻止できることから、内容物の長期保存性に優れ
る。
【0047】なお、本発明の重合体組成物からなる成形
品は、廃棄の際に、溶融させて再使用することができ
る。
【0048】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。ま
た、下記の実施例、比較例で得られた熱可塑性重合体組
成物のペレットを用いて、以下のようにして成形品(試
験片)をつくり、それらの物性、すなわち、酸素透過係
数、弾性率、100%モジュラス、引張破断強度、引張
破断伸び、エラストマー分散粒子径を次のようにして測
定した。
【0049】(1)酸素透過係数の測定:以下の実施
例、比較例で製造した熱可塑性重合体組成物のペレット
を用いて、そのペレットを圧縮成形機により加熱下に圧
縮成形し、厚さ100μmのシート状試験片を作製し、
これらを用いて酸素透過係数の測定を行った。酸素透過
係数の測定はガス透過率測定装置(柳本製作所製「GT
R−10」)を用いて、酸素圧0.34MPa、温度3
5℃、湿度0%RHの条件で行った。
【0050】(2)弾性率の測定:以下の実施例、比較
例で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットを用い
て、そのペレットを圧縮成形機により加熱下に圧縮成形
し、厚さ1mmのシート状試験片を作製し、これから幅
5mmの短冊を作製し、引張での動的粘弾性測定を行っ
た。動的粘弾性の測定は粘弾性解析測定装置(レオロジ
社製「DVE−V4」)を用いて、周波数1Hzの条件
で行なった。
【0051】(3)引張破断強度、引張破断伸びおよび
100%モジュラスの測定:以下の実施例、比較例また
は参考例で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットを
用いて、15トン射出成形機[FANUC社製「ROB
OSHOT−α15」]を用いて、シリンダー温度21
0℃、金型温度40℃の条件下で成形し、厚み2mm、
幅5mmのダンベルを製造した。これにより得られたダ
ンベル試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所社
製)を使用して、JIS−K6301に準じて、500
mm/分の条件下で引張破断強度、引張破断伸びおよび
100%モジュラスを測定した。
【0052】(4)エラストマーの平均分散粒子径の測
定:以下の実施例、比較例で製造した熱可塑性重合体組
成物の切断面を電子染色し、走査電子顕微鏡で観察する
ことにより求めた。なお、下記の表2において、エラス
トマーが分散相にならずマトリックス相となっているも
の、または単一相からなるものは、「―」で示した。
【0053】また、以下の実施例、比較例および参考例
で用いたエチレン−ビニルアルコール系共重合体
(I)、エラストマー(II)および架橋剤(III)の内
容は次のとおりである。
【0054】[エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(I)]エチレン単位含有量率が47モル%であるエチ
レン−酢酸ビニルエステル共重合体のケン化物:クラレ
社製「エバールEP−G110A」。
【0055】[エラストマー(II−1)]ポリスチレン
ブロック−水添ポリブタジエンブロック−ポリスチレン
ブロックからなり無水マレイン酸により変性されたトリ
ブロック共重合体(スチレン単位含有量20重量%、酸
価10mgCHONa/g):旭化成工業社製「タフ
テックM1943」。
【0056】[架橋剤(III)]1,9−ノナンジアミ
ン。
【0057】《実施例1〜4》 (1) 上記したエチレン−ビニルアルコール系共重合
体(I)、エラストマー(II)および架橋剤(III)
を、下記の表1に示す割合で予備混合した後、二軸押出
機(Krupp Werner & Pfleider
er社製「ZSK−25WLE」)に供給して、シリンダ
ー温度200℃およびスクリュー回転数350rpmの
条件下に溶融混練し、押出し、切断して熱可塑性重合体
組成物のペレットをそれぞれ製造した。なお、実施例4
においては、プロセスオイル(IV)として出光興産社製
「PW−380」を用いた。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物の
ペレットを用いて、上記した方法でプレスフィルムおよ
び成形品(試験片)を製造し、その酸素透過係数、20
℃での弾性率、引張破断強度、引張破断伸びおよび10
0%モジュラスを上記した方法で測定したところ、下記
の表1に示すとおりであった。
【0058】
【表1】
【0059】《比較例1、2》 (1) 上記したエチレン−ビニルアルコール系共重合
体(I)およびエラストマー(II)を、下記の表2に示
す割合で予備混合した後、架橋剤(III)を添加せず
に、二軸押出機(Krupp Werner&Pfle
iderer社製「ZSK−25WLE」)に供給して、
シリンダー温度200℃およびスクリュー回転数350
rpmの条件下に溶融混練し、押出し、切断して熱可塑
性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した。なお、
比較例2においては、エラストマーとして、架橋剤と反
応し得る官能基をもたないスチレン系エラストマー(II
−2):クラレ社製「セプトン2002」を使用した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物の
ペレットを用いて、上記した方法でプレスフィルムおよ
び成形品(試験片)を製造し、その酸素透過係数、弾性
率、引張破断強度、引張破断伸びおよび100%モジュ
ラスを上記した方法で測定したところ、下記の表2に示
すとおりであった。
【0060】《比較例3、4》 (1) ペレットを単独で用いて、上記した方法でプレ
スフィルムおよび成形品(試験片)を製造した。 (2) 酸素透過係数、弾性率引張破断強度、引張破断
伸びおよび100%モジュラスを上記した方法で測定し
たところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0061】
【表2】
【0062】上記の表1の結果から、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体(I)、エラストマー(II)およ
び架橋剤(III)を用いて製造した実施例1〜4の熱可
塑性重合体組成物を用いると、酸素透過係数において約
17〜約2000ml・20μm/m・day・at
m(1.9〜230fm・20μm/Pa・s)の値を
示したようにガスバリア性が良好であり、力学的特性、
柔軟性、弾性などの各種物性に優れる高品質の成形品が
円滑に得られることがわかる。
【0063】上記の表2の結果から、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体(I)、エラストマー(II)を含
有し、架橋剤を添加しない比較例1の熱可塑性重合体組
成物を用いると、酸素透過係数において約20000m
l・20μm/m・day・atm(=2300fm
・20μm/Pa・s)の値を示したようにガスバリア
性に劣っており、且つ力学的特性の点でも十分には良好
ではないことがわかる。上記の表2の結果から、エチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体(I)、官能基を有し
ないエラストマー(II−2)を含有する比較例2の熱可
塑性重合体組成物を用いると、酸素透過係数において約
43000ml・20μm/m・day・atm(=
4900fm・20μm/Pa・s)の値を示したよう
にガスバリア性に劣っており、且つ力学的特性の点でも
十分には良好ではないことがわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、気
体、有機液体等に対する遮断性に優れ、しかも柔軟性も
良好であるため、これらの性質が要求される飲食品用包
装材、容器、容器用パッキングなどの用途において有効
に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 C08J 5/18 4F100 5/18 C08K 5/053 4J002 C08K 5/053 5/17 5/17 C08L 21/00 C08L 21/00 23/16 23/16 29/04 S 29/04 53/02 53/02 101/02 101/02 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 BA30 BB04 CA16 3E067 AB01 BB14A CA04 FC01 GD01 GD02 3E086 AB01 BA02 BA15 BB01 BB66 BB74 4F070 AA08 AA13 AA28 AB01 AB08 AB16 AC36 AC46 AE08 4F071 AA12 AA12X AA13 AA15 AA15X AA20 AA20X AA21 AA22 AA22X AA28 AA28X AA29 AA34 AA34X AA75 AA76 AC05 AC12 AE02 AF08 AH04 AH05 BB03 BB04 BB05 BB06 BC01 BC04 BC07 4F100 AH02A AH03A AK11A AK11J AK28A AK28J AK69A AK69J AK73A AK73J AL01A AL05A AL09A AT00B BA02 BA07 CA02A DE01A EJ05A GB23 JD02 JK01 JK17 YY00A 4J002 AC03X AC06X AC07X AC08X AC09X BB14X BB18X BE03W BP01X EC046 EN036 FD146 GG00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)エチレン−ビニルアルコール系共重
    合体(I); (ii)架橋剤と反応し得る官能基を有するエラストマー
    (II);および (iii)架橋剤(III); を、溶融条件下で動的に架橋処理することにより得られ
    る熱可塑性重合体組成物。
  2. 【請求項2】 (i)エチレン−ビニルアルコール系共
    重合体(I)100重量部; (ii)架橋剤と反応し得る官能基を有するエラストマー
    (II)5〜900重量部;および (iii)エラストマー(II)100重量部に対して架橋
    剤(III)0.05〜10重量部; を、溶融条件下で動的に架橋処理することにより得られ
    る請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体
    (I)のマトリックス中に、架橋剤(III)により架橋
    されたエラストマー(II)が直径0.1μm〜30μm
    の粒子径で分散した構造を有する請求項1または2に記
    載の熱可塑性重合体組成物。
  4. 【請求項4】 エラストマー(II)の有する架橋剤と反
    応し得る官能基が、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ
    基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、エステ
    ル基、アミド基、ブロモ基、ジカルボン酸無水物の構造
    を有する基および二重結合からなる群から選ばれる少な
    くとも1種の官能基である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. 【請求項5】 エラストマー(II)が、架橋剤と反応し
    得る官能基を有し、ビニル芳香族モノマー重合体ブロッ
    クと共役ジエン重合体ブロックとから主としてなるブロ
    ック共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の熱可塑性重合体組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱
    可塑性重合体組成物からなる成形品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱
    可塑性重合体組成物からなるシートまたはフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱
    可塑性重合体組成物からなる層および他の材料からなる
    層を有する積層構造体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱
    可塑性重合体組成物からなる少なくとも1つの層を有す
    る飲食品用包装材。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    熱可塑性重合体組成物からなる少なくとも1つの層を有
    する容器。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    熱可塑性重合体組成物からなる少なくとも1つの層を有
    する容器用パッキング。
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