JP2002057060A - 積層セラミックコンデンサおよびそれに用いる内部電極ペースト - Google Patents
積層セラミックコンデンサおよびそれに用いる内部電極ペーストInfo
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Abstract
陥が生じにくい内部電極ペーストと、それを用いた積層
セラミックコンデンサを得る。 【解決手段】 積層セラミックコンデンサ10の基体1
6を構成する誘電体セラミック層12と内部電極14と
を得るために、誘電体材料と内部電極ペーストとを準備
する。内部電極ペーストには、導電性粉末と、その5〜
20重量%のセラミック粉末とが用いられる。セラミッ
ク粉末の収縮開始温度は、誘電体材料の収縮開始温度に
対して+50℃〜+100℃の範囲である。完成した積
層セラミックコンデンサ10の内部電極14には、内部
電極ペーストに添加したセラミック粉末と同じ組成のも
のが確認される。
Description
ンデンサおよびそれに用いる内部電極ペーストに関し、
特にたとえば、誘電体セラミック層と内部電極とが複数
積層された積層セラミックコンデンサと、それを製造す
るときに用いられる内部電極ペーストに関する。
合、誘電体セラミック材料を用いてセラミックグリーン
シートを作製し、セラミックグリーンシート上に内部電
極ペーストを印刷して積層し、得られた積層体が焼成さ
れる。しかしながら、誘電体セラミック層部分と内部電
極部分とでは、焼成時における収縮開始温度が異なる
と、デラミネーションなどの内部欠陥や、内部電極のカ
バレッジ低下、およびそれに起因する静電容量値の低
下、直列等価抵抗値の増大などの問題が発生しやすい。
ミック粉末を内部電極ペースト中に添加することで、内
部電極部分と誘電体セラミック層部分との収縮開始温度
の差を小さくし、上述のような問題の低減を図ってい
た。
極ペーストに前記セラミック粉末を単に添加しても、誘
電体セラミック層部分と内部電極部分との収縮開始温度
差が±50℃以内という値を得ることができず、問題点
の完全な解決には至っていなかった。
層セラミックコンデンサの製造時に内部欠陥が生じにく
い内部電極ペーストを提供することである。また、この
発明の目的は、このような内部電極ペーストを用いるこ
とにより、内部欠陥の少ない積層セラミックコンデンサ
を提供することである。
ミック層と内部電極とが積層された積層セラミックコン
デンサの内部電極を形成するために用いられる内部電極
ペーストであって、導電性粉末、有機ビヒクルおよび少
なくとも1種のセラミック粉末を含み、セラミック粉末
の収縮開始温度が誘電体セラミック層の材料の収縮開始
温度に比べて+50℃〜+100℃の範囲としたもので
ある。このような内部電極ペーストにおいて、セラミッ
ク粉末が導電性粉末の表面にコーティングされた構造と
することができる。また、セラミック粉末の添加量は、
導電性粉末に対して5〜20重量%の範囲にあることが
好ましい。さらに、この発明は、上述のいずれかに記載
の内部電極ペーストを用いた積層セラミックコンデンサ
であって、内部電極中にセラミック粉末が含まれた積層
セラミックコンデンサである。
粉末の収縮開始温度が、誘電体セラミック層の材料の収
縮開始温度に比べて+50℃〜+100℃の範囲にある
場合に、誘電体セラミック層部分と内部電極部分の収縮
開始温度の差が±50℃以内となることを見出した。そ
れにより、積層体の焼成によって発生する内部欠陥を防
止することができる。セラミック粉末の添加方法とし
て、たとえば内部電極ペーストに含まれる導電性粉末の
表面にコーティングするように添加することができる。
また、セラミック粉末の添加量は、導電性粉末に対して
5〜20重量%の範囲とすることにより、誘電体セラミ
ック層部分と内部電極部分との収縮開始温度の差が小さ
くなり、内部欠陥の少ない積層セラミックコンデンサを
得ることができる。このような内部電極ペーストを用い
て製造した積層セラミックコンデンサは、内部欠陥の少
ないものであり、得られた内部電極にはセラミック粉末
の存在が認められるものである。
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
するために、誘電体セラミック層を得るための誘電体材
料が準備される。誘電体材料としては、たとえばCaZ
rO3 系誘電体材料やBaTiO3 系誘電体材料などが
用いられる。このような誘電体材料および溶剤、バイン
ダなどを調合して、ドクターブレード法などにより、セ
ラミックグリーンシートが作製される。
金属粉末などの導電性粉末が準備される。このような導
電性粉末にバインダ、溶剤などが添加され、上述の誘電
体材料を含むセラミック粉末が添加されて内部電極ペー
ストが作製される。誘電体材料の添加量は、導電性粉末
に対して5〜20重量%の範囲である。内部電極ペース
トに添加されるセラミック粉末の収縮開始温度は、誘電
体セラミック層部分の収縮開始温度に比べて+50℃〜
+100℃の範囲にあるものである。
リーンシートに印刷し、打ち抜き、積み重ね、カットを
行って、グリーンチップが得られる。このグリーンチッ
プが還元雰囲気中で焼成され、外部電極ペーストの塗
布、焼き付け、めっきが行われて、積層セラミックコン
デンサが得られる。
ンデンサ10は、図1に示すように、複数の誘電体セラ
ミック層12と内部電極14とが積層された基体16を
含む。内部電極14の隣接するものが、基体16の対向
する端面に引き出され、その端面に外部電極18が形成
されている。この積層セラミックコンデンサ10では、
内部電極ペーストにセラミック粉末が添加されているた
め、完成した積層セラミックコンデンサ10の内部電極
14を分析すると、添加されたセラミック粉末と同じ組
成のものが認められる。
収縮開始温度に比べて+50℃〜+100℃の範囲にあ
るセラミック粉末を内部電極ペーストに添加することに
より、内部電極部分の収縮開始温度と誘電体セラミック
層部分の収縮開始温度との差を±50℃以内にすること
ができ、グリーンチップを焼成したとき内部欠陥が発生
しにくい。そのため、このような内部欠陥に起因する静
電容量値の低下や、直列等価抵抗値の増大などの問題を
回避することができる。
末の添加量としては、内部電極ペーストに含まれる導電
性粉末に対して5〜20重量%の範囲にあることが好ま
しい。この範囲内でセラミック粉末を添加することによ
り、誘電体セラミック層部分と内部電極部分との収縮開
始温度の差を±50℃以内とすることができ、良好な特
性を有する積層セラミックコンデンサを得ることができ
る。なお、内部電極ペーストにセラミック粉末を添加す
る際に、単に添加するだけでなく、導電性粉末をセラミ
ック粉末でコーティングするようにしてもよい。
て、CaZrO3 ,SiO2 ,MnCO3 ,SrTiO
3 を準備した。これらの材料を溶剤およびバインダなど
で調合し、ドクターブレード法で、約5μmの厚みのセ
ラミックグリーンシートを作製した。また、内部電極用
の材料として、Ni金属粉末、バインダ、溶剤、セラミ
ック粉末を準備した。セラミック粉末としては、CaZ
rO3 およびSiO2 を準備し、Ni金属粉末に対して
15重量%となるように秤量した。これらの材料を調合
して、内部電極ペーストを作製した。このとき、SiO
2 の添加量の比を調整することにより、セラミック粉末
の焼結開始温度の調整を行い、複数の焼結開始温度を有
する内部電極ペーストを作製した。
リーンシートに印刷し、打ち抜き、積み重ね、カットを
行い、グリーンチップを得た。なお、内部電極ペースト
を印刷したセラミックグリーンシートの積層枚数は10
0枚である。得られたグリーンチップを還元雰囲気中で
焼成し、外部電極ペースト塗布、焼き付け、めっきを行
って、積層セラミックコンデンサを得た。得られた積層
セラミックコンデンサについて、静電容量値およびPD
A研磨による焼成後の内部欠陥発生率を調べた。そし
て、その結果を表1に示した。
セラミック粉末の収縮開始温度と誘電体セラミック層の
材料の収縮開始温度との差が50℃未満であると、内部
欠陥が発生しており、コンデンサとして使用することが
できない。一方、内部電極ペーストに添加されるセラミ
ック粉末の収縮開始温度と誘電体セラミック層の材料の
収縮開始温度との差が100℃を超えると、内部欠陥は
発生していないが、静電容量値の低下が確認される。こ
れは、セラミック粉末が内部電極の焼結性に影響を及ぼ
しているためであると考えられる。それに対して、この
発明の範囲内の収縮開始温度を有するセラミック粉末を
用いた内部電極ペーストを使用した場合、誘電体セラミ
ック層部分と内部電極部分との収縮開始温度の差が±5
0℃以内となり、内部欠陥の発生は認められず、静電容
量値も大きいものであった。さらに、積層セラミックコ
ンデンサのDPA断面の内部電極部分をエネルギー分散
形X線分析法にて分析を行ったところ、添加したセラミ
ック粉末と同じ組成のものが確認された。
の収縮開始温度差が+75℃のセラミック粉末を添加し
た内部電極ペーストを用いて、グリーンチップを作製
し、これを用いて積層セラミックコンデンサを作製し
た。セラミック粉末の添加量は、表2に示す通りであ
る。そして、静電容量値と内部欠陥発生率を調べ、その
結果を表2に示した。
粉末を添加しない場合、内部欠陥が多く発生しているこ
とがわかる。また、セラミック粉末の添加量が内部電極
ペーストに含まれる金属粉末に対して25重量%になる
と、静電容量値の低下が観測される。これは、セラミッ
ク粉末が内部電極の焼結性に影響を及ぼしているためで
あると考えられる。それに対して、セラミック粉末の添
加量が内部電極ペーストに含まれる金属粉末に対して5
〜20重量%の範囲内にある場合、内部欠陥の発生は認
められず、静電容量値も大きいものであった。
ク粉末を添加することにより、内部欠陥がなく、良好な
特性を有する積層セラミックコンデンサを得ることがで
きる。このような効果は、CaZrO3 系セラミック誘
電体を用いた積層セラミックコンデンサに限らず、Ba
TiO3 系セラミック誘電体を用いた積層セラミックコ
ンデンサにおいても得ることができる。
む内部電極ペーストを用いることにより、内部欠陥の少
ない積層セラミックコンデンサを得ることができる。ま
た、内部欠陥が少ないため、内部欠陥に起因する静電容
量値の低下や直列等価抵抗値の増大などを抑えることが
できる。このような内部電極ペーストを用いた積層セラ
ミックコンデンサにおいては、内部電極ペーストに添加
されたセラミック粉末と同じ組成のものが、完成品の内
部電極にも認められる。
セラミックコンデンサの一例を示す図解図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 誘電体セラミック層と内部電極とが積層
された積層セラミックコンデンサの前記内部電極を形成
するために用いられる内部電極ペーストであって、 導電性粉末、有機ビヒクルおよび少なくとも1種のセラ
ミック粉末を含み、前記セラミック粉末の収縮開始温度
が前記誘電体セラミック層の材料の収縮開始温度に比べ
て+50℃〜+100℃の範囲にある、内部電極ペース
ト。 - 【請求項2】 前記セラミック粉末が前記導電性粉末の
表面にコーティングされた、請求項1に記載の内部電極
ペースト。 - 【請求項3】 前記セラミック粉末の添加量は、前記導
電性粉末に対して5〜20重量%の範囲にある、請求項
1または請求項2に記載の内部電極ペースト。 - 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
載の内部電極ペーストを用いた積層セラミックコンデン
サであって、 内部電極中に前記セラミック粉末が含まれる、積層セラ
ミックコンデンサ。
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