JP2002055226A - 偏光素子及びその製造方法 - Google Patents

偏光素子及びその製造方法

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JP2002055226A
JP2002055226A JP2000238829A JP2000238829A JP2002055226A JP 2002055226 A JP2002055226 A JP 2002055226A JP 2000238829 A JP2000238829 A JP 2000238829A JP 2000238829 A JP2000238829 A JP 2000238829A JP 2002055226 A JP2002055226 A JP 2002055226A
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Mitsuhiro Kawazu
光宏 河津
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3058Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state comprising electrically conductive elements, e.g. wire grids, conductive particles
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで密着性を向上させ、加えて大面積
の偏光素子作製を可能とする偏光素子及びその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 ガラス基板11の基準面11a上に、下
地膜原料化合物群Aおよび/またはBから選択される少
なくとも1種の化合物を主成分として含有する下地膜1
2を形成し、その下地膜12上に、金属化合物と金属分
散膜塗布液原料群から選択される少なくとも1種の元素
の化合物とを主成分として含有する塗布液を塗布して金
属分散膜13を形成した後、加熱または電磁波照射処理
することにより、下地膜12と金属分散膜13との膜界
面16に、形状異方性を有する金属微粒子14を選択的
に析出させる。これにより、下地膜12及び金属分散膜
13の密着性及び耐摩耗性を向上させることができると
ともに、低コストで大面積の偏光素子を作製することが
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信、光記録、
光センサー等に使用される偏光素子及びその製造方法に
関するものである。さらに具体的にいえば、透明基板上
の下地膜と金属分散膜との膜界面に、金属微粒子を選択
的に析出させた偏光素子及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、真空蒸着やスパッタリング等の薄
膜形成プロセスを用いてガラス等の基板上に、金属層と
誘電体層とを交互に複数積層し、次いで、基板の軟化点
以上の温度で基板を引き延ばし、金属層を引き延ばし方
向に配向された不連続の島状金属粒子層に変形させるこ
とにより、偏光特性を発現させた偏光素子およびその製
造方法が知られている。
【0003】また、上記薄膜形成プロセスを用いて、誘
電体薄膜と金属薄膜とを交互に数百層にわたって積層さ
せて偏光特性を発現させた多層膜積層型の偏光素子が知
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記金属層と
誘電体層とからなる交互積層膜を加熱延伸することによ
り偏光特性を発現させた偏光素子においては、基板を引
き延ばして金属粒子層を形成する工程を必要とするた
め、加熱延伸後の交互積層膜表面に変形や面荒れなどが
生じ、偏光特性を低下させたり、散乱などによる損失の
増加を引き起こしたりするという問題があった。また、
誘電体薄膜と金属薄膜とを交互に多層積層させた多層膜
積層型の偏光素子においては、金属薄膜と誘電体薄膜と
の密着性が悪いため、多層膜間での剥離が生じやすいと
いう問題があった。さらに、多層膜積層型偏光子を作製
する場合は、真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成プ
ロセスを用いてガラス等の基板上に金属層を形成する必
要があり、低コスト化に不向きであるという問題があっ
た。
【0005】加えて、従来技術を用いて実用に供される
偏光素子は、いずれも小面積であり、用途が限られる問
題があった。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、低コストで密着性を向上させ、
加えて大面積の偏光素子の作製を可能とする偏光素子及
びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、透明基板上に、金属微
粒子を引きつける作用をもつ成分を含有する下地膜を形
成し、その下地膜上に、金属イオンを含有する塗布液を
塗布して金属分散膜を形成した後、前記下地膜と金属分
散膜との膜界面に、金属微粒子を選択的に析出させるこ
とを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、透明基板上に、
酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ビスマス、
酸化コバルト、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム、酸化マンガン、酸化クロム、酸化インジウム、
酸化バナジウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸
化タングステン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化
バリウム、酸化イッテルビウム、酸化ニオブ、酸化モリ
ブデン、酸化イットリウム、酸化ルテニウム、酸化ゲル
マニウム、酸化鉛、酸化ホウ素からなる群(以下、この
群を下地膜原料化合物群Aとする)から選択される少な
くとも1種の化合物を主成分として含有する下地膜を形
成し、その下地膜上に金属化合物と、珪素、ジルコニウ
ム、チタン、セリウム、スズ、ビスマス、コバルト、
銅、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、クロム、
インジウム、バナジウム、鉄、ニッケル、亜鉛、タング
ステン、タンタル、ハフニウム、バリウム、イッテルビ
ウム、ニオブ、モリブデン、イットリウム、ルテニウ
ム、ゲルマニウム、鉛、ホウ素からなる群(以下、この
群を金属分散膜塗布液原料群とする)から選ばれる少な
くとも1種の元素の化合物と、を主成分として含有する
塗布液を塗布して金属分散膜を形成した後、熱処理また
は電磁波照射を施すことにより、前記下地膜と金属分散
膜との膜界面に、金属微粒子を選択的に析出させること
を特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の偏光素子の製造方法において、前記下
地膜は、酸化珪素、酸化ジルコニウムからなる群(以
下、この群を下地膜原料化合物群Bとする)から選択さ
れる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とす
る。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項1から請
求項3のいずれかに記載の偏光素子の製造方法におい
て、前記下地膜は、質量%で表して、前記下地膜原料化
合物群Aから選択される少なくとも1種の化合物を2〜
100質量%、前記下地膜原料化合物群Bから選択され
る少なくとも1種の化合物を0〜98質量%以下、含有
することを特徴とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項1から請
求項4のいずれかに記載の偏光素子の製造方法におい
て、前記金属分散膜の原料となる塗布液は、固形物とな
ったときの質量%で表して、金属を0.2〜50質量
%、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セ
リウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化
銅、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化マンガ
ン、酸化クロム、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸
化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸
化タンタル、酸化ハフニウム、酸化バリウム、酸化イッ
テルビウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化イット
リウム、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、
酸化ホウ素からなる群(以下、この群を金属分散膜原料
化合物群とする)から選択される少なくとも1種の化合
物を50〜99.8質量%、含有することを特徴とす
る。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項1から請
求項5のいずれかに記載の製造方法により製造された偏
光素子を特徴とする。 <作用>本発明の偏光素子及びその製造方法において、
下地膜と金属分散膜との膜界面に、金属微粒子が析出さ
れる現象は、着色膜被覆ガラス板を作製するゾルゲル法
により説明される。すなわち、ゾルゲル法において、マ
トリックスであるシリカの膜の中に金微粒子が分散され
た着色膜被覆ガラス板を得る場合、例えば、J.Sol
‐Gel.Sci.Techn.1,305〜312
(1994)においては、ゾルの乾燥過程において金微
粒子の成長過程とマトリックスの収縮過程とが同時に起
こるため、シリカマトリックスの網目構造が急激に収縮
し、金微粒子が膜外へはじき出される現象がある。すな
わち、本発明においては、例えば、この現象のような金
属化合物を含むゾルの硬化過程における金属微粒子の析
出挙動に着目して、下地膜と金属分散膜との膜界面に、
金属微粒子を析出させようとしたものである。
【0012】また、下地膜と金属分散膜との膜界面に、
金属微粒子が選択的に析出される理由は、金属分散膜中
の金属と下地膜との間における相互作用(例えば静電的
作用など)により、金属分散膜中の金属が引きつけら
れ、ゾルが硬化する前に金属微粒子が膜界面に集まるた
めと推定される。従って、本発明においてはこのような
現象と、前述したゾルゲル法において説明される金属化
合物を含むゾルの硬化過程における金属微粒子の析出挙
動と、を組み合わせることにより、下地膜と金属分散膜
との膜界面に選択的に金属微粒子を偏析させるという特
異な現象を生じさせたものである。
【0013】以下、下地膜の組成について説明する。前
記、下地膜原料化合物群Aに含まれる物質は、金属化合
物を含有する塗布液が熱処理、あるいは電磁波照射を施
され還元されるときに、金属微粒子を引きつける作用
と、下地膜と金属分散膜との密着性を上げる作用とを発
揮する。そのため、この群から選択された1種以上の化
合物の組成比を調節することにより、金属微粒子が下地
膜界面に析出する挙動、具体的には、析出する金属微粒
子の粒子径を制御することができる。
【0014】この群に含まれる物質のうち、酸化チタ
ン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ビスマスは金属微粒
子を引きつける作用が大きく好適に用いられる。前記下
地膜原料化合物群Aに含まれる物質の含有量は、下地膜
が焼成されたときのそれぞれ酸化チタン(TiO2)、
酸化セリウム(CeO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化
ビスマス(Bi23)、酸化コバルト(CoO)、酸化
銅(CuO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マ
グネシウム(MgO)、酸化マンガン(MnO2)、酸
化クロム(Cr23)、酸化インジウム(In23)、
酸化バナジウム(V25)、酸化鉄(Fe23)、酸化
ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タング
ステン(WO2)、酸化タンタル(Ta23)、酸化ハ
フニウム(HfO2)、酸化バリウム(BaO)、酸化
イッテルビウム(Yb23)、酸化ニオブ(Nb
2)、酸化モリブデン(MoO2)、酸化イットリウム
(Y23)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化ゲルマ
ニウム(GeO2)、酸化鉛(PbO)、酸化ホウ素
(B23)に換算した質量%で表して、2〜100質量
%が好ましく、より好ましくは5〜100質量%であ
る。これらの含有量が2%未満であると、金属微粒子を
引きつける作用が発揮されず、下地膜と金属分散膜との
膜界面に金属微粒子が析出しなくなる。
【0015】また、金属分散膜中の金属と相互作用を示
すその他の化合物、例えば、下地膜原料化合物群Bに含
まれる物質は、前記下地膜原料化合物群Aが金属微粒子
を引きつける作用とは逆の作用を示すので、金属微粒子
が下地膜界面に析出する挙動、具体的には、析出する金
属微粒子の粒子径を制御する成分として適用可能であ
る。これらの物質は、目的に応じて下地膜原料化合物群
Aと適宜、混合して用いられる。
【0016】下地膜原料化合物群Bの含有量は、下地膜
が焼成されたときの、それぞれ酸化珪素(SiO2)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)に換算した質量%で表し
て、0〜98質量%が好ましく、より好ましくは0〜9
5質量%である。含有量が98%を超えると、下地膜界
面に金属微粒子が析出しなくなる。
【0017】また、上述した金属酸化物以外に、金属と
配位する作用を有する有機化合物なども、金属微粒子が
下地膜界面に析出する挙動、具体的には、析出する金属
微粒子の粒子径を制御する下地膜の成分として適用可能
である。前記有機化合物としては、アミノ基、S−S
基、SH基などの官能基を有する有機化合物が好適に用
いられる。
【0018】次に、金属化合物と前記金属分散膜塗布液
原料群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物とを
主成分として含有する塗布液の組成について説明する。
金属化合物は、熱処理あるいは電磁波照射を施されるこ
とにより還元され、金属微粒子として金属分散膜から下
地膜界面へ析出して偏光特性を付与する重要な材料であ
る。従って、金属の含有量を調整することにより、得ら
れる偏光素子の偏光特性を制御することができる。
【0019】前記金属としては、好ましくは貴金属が用
いられ、さらに好ましくは金または銀が用いられる。金
属微粒子の含有量は、質量%で表して0.2〜50質量
%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%であ
る。金属微粒子としての含有量が50質量%を超える
と、下地膜と金属分散膜との膜界面に偏析する金属微粒
子の量が多くなり、下地膜と金属分散膜との密着性が低
下する。0.2質量%未満であると、効果的な偏光特性
が得られない。
【0020】前記熱処理は200℃以上の温度で行われ
ることが好ましい。電磁波照射を行う場合は、エネルギ
の高い紫外線を用いるのが好ましい。金属分散膜原料化
合物群のうち、酸化珪素と酸化ジルコニウムが、塗布液
としてのゾルの調整のしやすさと、以下に述べる特性を
利用できるので、好適に用いられる。
【0021】酸化珪素は、金属微粒子が下地膜と金属分
散膜との膜界面に偏析したときに、下地膜と結合して、
下地膜と金属分散膜との密着性を向上させる作用を示
す。また、金属微粒子が下地膜と金属分散膜との膜界面
へ偏析するのを補助する役割をも有している。特に、金
の場合、上述したように、ゾルの乾燥過程において金微
粒子の成長過程とマトリックスの収縮過程とが同時に起
こるため、シリカマトリックスの網目構造が急激に収縮
し、金微粒子を膜外へはじき出す作用を示す。
【0022】酸化ジルコニウムは、酸化珪素と同様に、
下地膜と結合して、下地膜と金属分散膜との密着性を向
上させる作用を示す。また、金属微粒子が下地膜と金属
分散膜との膜界面へ偏析するのを補助する役割をも有し
ているほか、屈折率調整剤としての役割も有している。
従って、光学素子として下地膜との屈折率を合わせる必
要がある場合などは、酸化ジルコニウムの含有量を調整
することにより、屈折率の制御が可能である。
【0023】金属分散膜原料化合物の含有量は、偏光特
性を発現させる金属微粒子の含有量を考慮すると、塗布
液が焼成され酸化物となったときの質量%で表して、5
0〜99.8質量%が好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明においては、図1,図2に
示すように、上記のようにガラス基材11の基準面11
a上に、下地膜原料化合物群Aおよび/またはBから選
ばれる少なくとも1種の化合物を主成分として含有する
下地膜12を形成し、その下地膜12上に金属化合物と
金属分散膜塗布液原料群から選ばれる少なくとも1種の
元素の化合物とを主成分として含有する塗布液を塗布し
て金属分散膜13を形成した後、加熱または電磁波照射
処理することにより、前記下地膜12と金属分散膜13
との膜界面16に形状異方性を有する金属微粒子14が
選択的に析出される。なお、形状異方性を有するとは、
1を超えるアスペクト比を有することを意味する。
【0025】次に、下地膜や金属分散膜を形成するため
の原料について以下に具体的に説明する。特に膜を形成
する方法のうち、溶液を出発材料として使用する熱分解
法、ロールコート法、スピンコート法など塗布法を採用
する場合の原料について説明する。
【0026】まず、下地膜原料化合物群に含まれる化合
物のうち、好適に用いられる酸化チタン、酸化セリウ
ム、酸化スズ、酸化ビスマスの原料について述べる。酸
化チタンの原料としては、チタンアルコキシド、チタン
アセチルアセトナート、チタンカルボキシレートなどの
チタン有機化合物が好適に使用される。チタンアルコキ
シドとしては、一般にチタン(OR)4(Rは炭素数4
までのアルキル基)で表わされるが、反応性から考え
て、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシドが望ま
しい。また、チタンの場合にはアセチルアセトナートな
どでキレート化したβ−ジケトン錯体を用いた方が、そ
の安定性から好ましいことも従来から知られている。こ
の場合には一般式として、チタン(OR)mn(m+n
=4,n≠0)で表わされるが、Lがアセチルアセトン
である。この場合には、アセチルアセトナートなどのβ
−ジケトン錯体などでキレート化しても構わないし、市
販のチタンアセチルアセトナートを使用しても構わな
い。更には、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸塩などの
有機酸塩を使用することも考えられる。
【0027】他には酸化チタン微粒子を用いてもよく、
例えば石原産業株式会社製光触媒酸化チタン微粒子(商
品名「STS−01」(粒径(X線粒径)7nm)、
「STS−02」(粒径(X線粒径)7nm)、「CS
−N」)、多木化学株式会社製チタニアゾル「M−6」
(結晶子サイズ5nm)などの市販水分散ゾルの他、石
原産業株式会社製「ST−K01」、「ST−K03」
のような、バインダーを含んだ市販水アルコール混合溶
剤分散チタニアゾルなどが挙げられる。
【0028】酸化セリウムの原料としては、セリウムア
ルコキシド、セリウムアセチルアセトナート、セリウム
カルボキシレートなどのセリウム有機化合物が好適に使
用することができる。その他、硝酸塩、硫酸塩、塩化物
等のセリウム無機化合物も使用することができるが、安
定性、入手の容易さからセリウムの硝酸塩及びセリウム
アセチルアセトナートが好ましい。
【0029】酸化スズの原料としてはSnCl4(Cn
2n+1)(ただし、n=1〜4)、C 49SnCl3
(CH32SnCl2、(C492Sn(OCOC
3)、などの有機スズやスズテトラブトキシドなどの
有機スズアルコキシドなどを使用することができる。
【0030】酸化ビスマスの原料としては硝酸ビスマ
ス、硫酸ビスマス、塩化ビスマスなどのほかにビスマス
をアセチルアセトンなどのβ−ジケトンでキレート化し
た錯体やビスマス(III)t−ペントキサイドなどが好
ましい。
【0031】金属分散膜原料化合物群に含まれる化合物
のうち特に好適に用いられる酸化珪素と酸化ジルコニウ
ムの原料について述べる。酸化珪素の原料としては、金
属アルコキシドが好適で、例えばテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
テトラブトキシシランなどが挙げられる。また、これら
の縮合体(n≧2)、もしくは縮合体の混合物も好便に
用いられる。具体的な縮合体としては、たとえば、ヘキ
サエトキシジシロキサン(n=2)、オクタエトキシト
リシロキサン(n=3)、デカエトキシテトラシロキサ
ン(n=4)、エトキシポリシロキサン(n≧5)など
が使用できる。単量体(n=1)と縮合体(n≧2)の
混合物からなるエチルシリケート40〔組成は、J.C
ihlarの文献、Colloids and Sur
faces A:Physicochem.Eng.A
spects 70 (1993年)253頁〜268
頁に記載されており、質量分率で単量体(n=1):1
2.8質量%、2量体(n=2):10.2質量%、3
量体(n=3):12.0質量%、4量体(n=4):
7.0質量%、多量体(n≧5):56.2質量%、エ
タノール:1.8質量%)である〕などが好適に使用で
きる。また、上記化合物のアルコキシ基が、アルキル基
と置換されたアルキルトリアルコキシシランなども使用
可能である。例えば、アルコキシ基がメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オク
チル基などの直鎖状、あるいは分岐状のアルキル基、シ
クロペンチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル
基、ビニル基、アリル基、γ−メタクリロキシプロピル
基、γ−アクリロキシプロピル基などのようなアルケニ
ル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基などのアリ
ール基、ベンジル、フェネチル基などのアラルキル基ま
たはγ−メルカプトプロピル基、γ−クロロプロピル
基、γ−アミノプロピル基などに置換されたものが例示
できる。
【0032】酸化ジルコニウムの原料としては、テトラ
メトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、
テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−プロポ
キシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム
イソプロパノール錯体、テトライソブトキシジルコニウ
ム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−
ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウ
ムなどが好便に使用できる。また、上記のジルコニウム
アルコキシドをβ−ケトエステル化合物でキレート化し
たジルコニウムアルコキシドも好適に用いられる。キレ
ート剤としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチ
ル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチルのような、
CH3COCH3COOR、(ここでRはCH3、C
25、C37、またはC49)で表されるアセト酢酸エ
ステルを列挙することができ、これらのなかでは、アセ
ト酢酸アルキルエステル、特にアセト酢酸メチルおよび
アセト酢酸エチルが、比較的安価に入手できるので好適
である。ジルコニウムアルコキシドのキレート化の程度
は、一部または全部でもよいが、モル比で(β−ケトエ
ステル)/(ジルコニウムアルコキシド)=2の割合で
キレート化させるのが、キレート化合物が安定であるの
で好ましい。β−ケトエステル化合物以外のキレート
剤、例えば、アセチルアセトンでキレート化したジルコ
ニウムアルコキシドはアルコール等の溶媒に不溶である
ため、沈殿してしまって塗布溶液を調整することができ
ない。さらに、上記のジルコニウムアルコキシドのアル
コキシ基のうちの少なくとも一つが酢酸、プロピオン
酸、ブタン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン
酸などの有機酸類で置き換わったアルコキシジルコニウ
ム有機酸塩類を用いることも可能である。
【0033】下地膜12の形成方法は、特に限定される
ものではない。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の
薄膜形成プロセスを利用して直接、ガラス基材11上に
成膜することができる。また、熱分解法、スピンコート
法、ロールコート法などを用いる場合には、前記下地膜
原料を有機溶媒に溶解させて下地膜塗布液を作製し、こ
れを透明基材上に塗布した後、200℃〜800℃の温
度で5〜200分間加熱して成膜する方法などにより、
好適にガラス基材11上に形成される。
【0034】金属分散膜13は、前記金属分散膜原料を
有機溶媒に溶解させて作製した塗布液を下地膜上に塗布
した後、200℃〜800℃の温度で5〜200分間加
熱または、波長1〜400nmの紫外線を1μw以上で
0.01秒〜30分間照射することにより下地膜12上
に形成される。
【0035】塗布液の塗布方法としては、特に限定され
るものではないが、例えば、キャスト法、ディップコー
ト法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコー
ト法、スプレー法、スピンコート法などが好適に使用さ
れる。
【0036】塗布液に用いられる有機溶媒は、各膜の形
成方法に依存する。例えば、キャスト法やディップコー
ト法で用いられる有機溶媒としては、蒸発速度の速い溶
媒が好適である。蒸発速度が遅い溶媒を用いると、塗布
膜の乾燥が遅くなるため塗布した塗布液の流動性が高く
なり均一な塗膜が形成されない場合がある。キャスト法
やディップコート法で用いられる好適な有機溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、tert−ブトキシアルコールなどの蒸発速
度の速いアルコール系の溶媒などが挙げられる。一方、
グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法な
どに使用される有機溶媒は、蒸発速度の遅い溶媒が好適
である。蒸発速度が速い溶媒を用いると、十分にレベリ
ングが行われないうちに溶媒が蒸発してしまうため、塗
布外観が汚くなる場合がある。ここで、溶媒の蒸発速度
は、酢酸ブチルのそれを100とした相対蒸発速度指数
で、一般的に評価されている。この値が40以下の溶媒
は、きわめて遅い蒸発速度をもつ溶媒として分類されて
いる。グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコー
ト法で用いられる好適な有機溶媒としては、例えば、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテ
ート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキ
シレングリコール、ジエチレングリコール、エチレング
リコール、トリプロピレングリコール、ジアセトンアル
コール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどが挙げ
られる。そして、塗布液の溶媒は、このような溶媒を少
なくとも一種含むことが望ましいが、コーティング方法
や塗布液の特性、金属微粒子の偏析挙動などに応じて上
記の溶媒を複数用いても構わない。
【0037】本発明における偏光素子は、金属微粒子1
4の偏析現象により特定の偏光面の光が選択的に吸収さ
れ、偏光特性が発現される。ここで、金属微粒子14
は、図1に示すように、下地膜12に対して平行な方向
に等方的に下地膜12界面に析出するため、本発明にお
ける偏光素子の偏光特性は方向依存性を呈することとな
る。
【0038】以下、本発明を具体化した各実施形態につ
いて説明する。 (第1実施形態)図3に示すように、本実施形態におけ
る偏光素子は、ガラス基材11の光の入射方向に対して
略垂直な基準面11a上に、基準面11aに対し略垂直
に間隔を置いて突出するように下地膜原料化合物群Aお
よび/またはBから選択される少なくとも1種の化合物
を主成分として含有する複数の板状下地膜12がパター
ン形成されている。下地膜12のパターン構造の形成方
法は、特に限定されるものではなく、例えば、下地膜塗
布液をそのままパターン成膜できるフレキソパターニン
グ、フォトリソグラフィなどの露光技術、リフトオフ技
術、電子線描画技術、レーザー描画技術、レーザーの二
光束干渉露光技術、レーザーアブレージョン、プレスに
よるパターン転写などが好適に使用される。なお、本実
施形態においては、下地膜は、線幅0.1〜2.0μ
m、線間隔0.1〜2.0μm、深さ0.1〜20μm
の凹凸構造のパターン構造が形成されている。そして、
その複数の板状下地膜12間に、金属化合物と金属分散
膜原料化合物群から選択される少なくとも1種の化合物
とを主成分として含有する金属分散膜13が形成され、
下地膜12と金属分散膜13との膜界面16に、金属微
粒子14が析出形成されている。
【0039】従って、本実施形態における偏光素子は、
図3に示すように、基準面11aに対して垂直方向から
の光に対して、S偏光成分を吸収し、P偏光成分を透過
させるという偏光特性を示す。
【0040】以上のことから、金属微粒子14は下地膜
12に対して平行な方向に等方的に下地膜12界面に析
出するため、下地膜12のパターン構造を種々変更する
ことにより、種々の偏光特性を有する偏光素子を作製す
ることができる。たとえば、図3のように基板表面から
見たときの凹凸構造が、ストライプ状のものに限らず、
長円形、ひし形など、用途や必要な特性によって、選択
可能である。
【0041】(第2実施形態)図4に示すように、この
実施形態における偏光素子は、ガラス基材11の光の入
射方向に対して傾いた基準面11a上に、下地膜原料化
合物群Aおよび/またはBから選択される少なくとも1
種の化合物を主成分として含有する下地膜12と、金属
化合物と金属分散膜原料化合物群から選ばれる少なくと
も1種の化合物とを主成分として含有する金属分散膜1
3と、を一組とする積層体が複数積層され、下地膜12
と金属分散膜13との膜界面16に、金属微粒子14が
析出形成されている。
【0042】従って、この実施形態における偏光素子
は、基準面11aに対して傾いた方向からの光に対し
て、S偏光成分を吸収し、P偏光成分を透過及び反射さ
せるという偏光特性を示す。
【0043】(第3実施形態)図5に示すように、この
実施形態における偏光素子は、ガラス基材11の基準面
11a上に、下地膜原料化合物群Aおよび/またはBか
ら選択される少なくとも1種の化合物を主成分として含
有する下地膜12と、金属化合物と金属分散膜原料化合
物群から選択される少なくとも1種の化合物とを主成分
として含有する金属分散膜13と、を一組とする積層体
が複数積層され、下地膜12と金属分散膜13との膜界
面16に、金属微粒子14が析出形成されている。
【0044】そして、この実施形態における偏光素子
は、基板面に対して平行な方向からの光に対してS偏光
成分を吸収し、P偏光成分を透過させるという偏光特性
を示す。
【0045】(第4実施形態)図6に示すように、この
実施形態における偏光素子は、ガラス基材11の基準面
11a上に、下地膜原料化合物群Aおよび/またはBか
ら選択される少なくとも1種の化合物を主成分として含
有する下地膜12と、金属化合物と金属分散膜原料化合
物群から選択される少なくとも1種の化合物とを主成分
として含有する金属分散膜13と、が積層され、下地膜
12と金属分散膜13との膜界面16に、金属微粒子1
4が析出形成されている。また、ガラス基材11及び金
属分散膜13の外側面には、入射光を偏光素子内部で繰
り返し反射させるための増反射膜15がそれぞれ設けら
れている。
【0046】そして、この実施形態における偏光素子
は、同素子の一端側から基準面11aに対して斜めに入
射し、素子内部で繰り返し反射される光に対して、S偏
光成分を吸収し、P偏光成分を透過させるという偏光特
性を示す。したがって、この実施形態の偏光素子によれ
ば、入射光のうちのP偏光成分の光のみを取り出し、そ
の光を各増反射膜15の内面で繰り返し反射させて所望
の場所まで導くことができる。以下、上記各実施形態か
ら把握される技術的思想について、以下に記載する。 (1)透明基板上に、金属を含有する金属分散膜を形成
した後、金属微粒子を金属分散膜から金属分散膜表層に
選択的に析出させることを特徴とする偏光素子の製造方
法。
【0047】ゾルゲル法におけるゾルの硬化過程におけ
る金属微粒子の析出挙動に着目し、金属微粒子を金属分
散膜から金属分散膜表層に選択的に析出させることによ
り、大面積の偏光素子を製造することが可能となる。
【0048】(2)前記透明基板上に下地膜を形成し、
前記金属分散膜を当該下地膜上に形成した後、前記金属
微粒子を当該下地膜と金属分散膜との膜界面に選択的に
析出させることを特徴とする上記(1)に記載の偏光素
子の製造方法。透明基板上に下地膜を形成し、金属分散
膜を当該下地膜上に形成した後、下地膜と金属分散膜と
の膜界面に金属微粒子を選択的に析出させることによ
り、下地膜と金属分散膜との密着性を向上させた偏光素
子を製造することが可能となる。 (3)前記下地膜は、前記金属微粒子と相互作用を呈す
る化合物を含有することを特徴とする上記(2)に記載
の偏光素子の製造方法。下地膜に、金属微粒子と相互作
用を呈する化合物を含有させることにより、金属微粒子
の析出挙動、具体的には、析出する金属微粒子の粒子径
を制御することが可能となる。 (4)前記金属微粒子は、熱処理または電磁波照射を施
すことにより、前記金属分散膜から金属分散膜表層に選
択的に析出されることを特徴とする上記(1)から
(3)のいずれかに記載の偏光素子の製造方法。熱処理
または電磁波照射を施すことにより、金属分散膜から金
属分散膜表層に金属微粒子を容易に析出させることがで
きる。
【0049】
【実施例】以下、前記実施形態を実施例により更に具体
的に説明するが、この発明はこれらの実施例により何ら
制限を受けるものではない。 (実施例1〜3)基材としてガラス基材を用い、10c
m×10cmのガラス基材状に酸化チタン下地膜と偏析
金(Au)含有酸化珪素膜を構成する。ガラス基材をス
パッタリング装置内に配し、ターゲットとして純度9
9.99%の酸化チタンターゲットを使用した。スパッ
タリングは、蒸着速度40nm/minで膜厚1μmの
酸化チタン膜を形成した。形成された酸化チタン下地膜
に対して、フォトリソグラフィ技術を用いて、図3に示
すような0.2μmのライン&スペースのパターン形成
を行った。
【0050】エチルシリケート(コルコート社製「エチ
ルシリケート40」)50gに、0.1mol/l
(0.1規定)塩酸9gとエチルセロソルブ(EC)4
4gを加え、室温で2時間攪拌して塗布液を作製した。
そして、表1に示すように、この塗布液2.5gにエチ
ルセロソルブを7.3g加えた後、塩化金酸を0.2g
添加して金属分散膜原料塗布液1を作製した。実施例
2、3に用いた金属分散膜原料塗布液2、3も表1に示
す量で調合、作製した。
【0051】次いで、パターン形成を行った酸化チタン
下地膜上に、金属分散膜原料塗布液を回転数1500m
in-1でスピンコーティングした。風乾後、250℃で
2時間熱処理し、金微粒子を酸化チタン膜界面に析出さ
せ、さらに580℃で30分焼成を行った。
【0052】表2、3には酸化物となったときの各組成
の質量%を示した。透過型電子顕微鏡(以下、TEMと
略す)により、得られたガラス基材の構造観察を行った
ところ、金(Au)が酸化チタンと酸化珪素の膜界面に
偏析していることが確認された。
【0053】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長900nmの
入射光に対して金属微粒子が並ぶ方向の偏光成分(S偏
光成分)の吸収が、金属微粒子の並ぶ方向に対して垂直
な偏光成分(P偏光成分)の吸収よりも大きくなり、表
4に示すように消光比が最大53dBの偏光特性が発現
されたことが確認された。
【0054】偏光特性の評価は、次式で定義される消光
比を用いた。消光比は直線偏光を試料に照射し、粒子の
長軸と照射光の偏光面が平行な場合の透過率(Ts
%)、粒子の長軸と照射光の偏光面が垂直な場合の透過
率(Tp%)を測定し、次の式により算出した。
【0055】消光比=10Log10(Tp/Ts) また、密着性は膜表面を紙製ワイパーで拭いたとき、剥
離が認められない場合を合格とした。 表1.金属分散膜原料塗布液の調合表 ================================ 実施例 酸化珪素原料 塩化金酸 EC ―――――――――――――――――――――――――――――――― 1 2.5g 0.2g 7.3g 2 2.5g 0.056g 7.4g 3 2.5g 0.0053g 7.495g ================================ 表2.酸化物になったときの各組成の質量%(下地膜の組成) =========================== 実施例 SiO2 TiO2 CeO2 ――――――――――――――――――――――――――― 1〜3 0% 100% 0% =========================== 表3.酸化物になったときの各組成の質量%(金属分散膜) ======================= 実施例 SiO2 Au ――――――――――――――――――――――― 1 84% 16% 2 95% 5% 3 99.5% 0.5% ======================= 表4.金(Au)濃度を変えたときの入射光の消光比の変化と特性表 ================================= 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 1 900nm 53dB 0.4dB ○ 2 900nm 30dB 0.1dB ○ 3 900nm 10dB 0.3dB ○ ================================= (実施例4)基材としてガラス基材を用い、10cm×
10cmのガラス基材上に酸化チタン下地膜と偏析金
(Au)含有酸化珪素膜を構成する。ガラス基材をスパ
ッタリング装置内に配し、ターゲットとして純度99.
99%の酸化チタンターゲットを使用した。
【0056】スパッタリングは蒸着速度2nm/min
で行ない、膜厚200nmの酸化チタン下地膜を形成し
た。上記酸化チタン下地膜上に、実施例1で用いた金属
分散膜原料塗布液を回転数1500min-1でスピンコ
ーティングした。風乾後、250℃で2時間熱処理し
て、金微粒子を酸化チタン膜界面に析出させた後、さら
に580℃で30分焼成を行った。これらの工程を10
回繰り返し、酸化チタン膜と偏析金(Au)微粒子含有
酸化珪素膜の交互層からなる積層体が形成されたガラス
基材を得た。X線光電子分光分析により、得られたガラ
ス基材の深さ方向の組成分析を行ったところ金(Au)
が酸化チタンと酸化珪素の膜界面に偏析していることが
確認された。
【0057】得られたガラス基板に10°〜60°の入
射角で光を照射すると、膜面方向に平行な方向の光の成
分(S偏光成分)の吸収が、膜面方向に垂直な方向の光
の成分(P偏光成分)の吸収より大きくなり、偏光特性
が発現されたことが確認された。また、波長610nm
〜800nmの入射光に対して、光の入射角を変えるこ
とで吸収波長が長波長側にシフトすることは、見かけ上
の金微粒子のアスペクト比が大きくなっていることを反
映しているものと考えられる。
【0058】上記入射角は、基板に平行な面を基準面と
し、基準面と光が透過する角度を入射角とした。 表5.入射角を変えたときの膜面に平行な光の波面の吸収波長の変化と特性表 =============================== 実施例 入射角 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――――― 4 60° 610nm 12dB 0.1dB ○ 4 45° 650nm 14dB 0.2dB ○ 4 30° 730nm 11dB 0.4dB ○ 4 10° 800nm 13dB 0.1dB ○ =============================== (実施例5〜8)エチルシリケート(コルコート社製
「エチルシリケート40」)50gに、0.1mol/
l(0.1規定)塩酸6gとエチルセロソルブ(EC)
を44gを加え、室温で2時間攪拌して酸化珪素原液を
作製した。酸化珪素原液に対する酸化珪素固形分は20
質量%となる。
【0059】次に、攪拌しているチタンイソプロポキシ
ド1モルに、アセチルアセトン2モルを滴下ロートで滴
下し、酸化チタン原液を作製した。酸化チタン原液に対
する酸化チタン固形分は16.5質量%となる。
【0060】硝酸セリウム6水和物1モルに対し3モル
のアセチルアセトンを加え、攪拌しながら90℃で1時
間処理し、硝酸セリウム原液を作製した。硝酸セリウム
原液に対する酸化セリウム固形分は23.2質量%とな
る。
【0061】上記のように作製した各原液からそれぞれ
表6、7に示すように下地膜原料塗布液5〜8を作製し
た。表6は各原料液の調合量を、表7は原料が酸化物と
なったときの質量%を示す。 表6.下地膜原料塗布液の調合量 ==================================== 実施例 酸化珪素原料 酸化チタン原料 酸化セリウム原料 EC ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5 0.99g 1.59g 1.68g 5.74g 6 2.02g 1.09g 1.15g 5.74g 7 2.56g 0.82g 0.87g 5.75g 8 2.89g 0.66g 0.70g 5.75g ==================================== 表7.酸化物になったときの各組成の質量%(下地膜の組成) ============================== 実施例 SiO2 TiO2 CeO2 ―――――――――――――――――――――――――――――― 5 23.2% 30.8% 46.0% 6 47.5% 21.1% 31.4% 7 60.2% 16.0% 23.8% 8 67.9% 12.9% 19.2% ============================== ガラス基板上に上記下地膜原料塗布液5〜8を、膜厚1
μmになるように、グラビアコーティングした。風乾
後、250℃で2時間熱処理して、さらに500℃で3
0分焼成を行ない、下地膜を形成した。形成された下地
膜に対して、フォトリソグラフィ技術を用いて図3に示
すような0.20μmのライン&スペースのパターン形
成を行った。
【0062】次いで、パターン形成を行った前記下地膜
上に、実施例1で用いた金属分散膜原料塗布液を回転数
1500min-1でスピンコーティングした。風乾後、
250℃で2時間熱処理して、金微粒子を下地膜界面に
析出させた後、さらに580℃で30分焼成を行った。
【0063】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長1000nm
から1500nmの入射光に対して金属微粒子が並ぶ方
向の偏光成分の吸収が、金属微粒子の並ぶ方向に対して
垂直な偏光成分の吸収よりも大きくなり、消光比が最大
48dBの偏光特性が発現されたことが確認された。表
8に偏光特性を示す。 表8.偏光の特性表 =================================== 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5 1500nm 48dB 0.3dB ○ 6 1300nm 43dB 0.4dB ○ 7 1200nm 45dB 0.3dB ○ 8 1000nm 42dB 0.2dB ○ ================================== 下地膜のSiO2成分が増えるにつれ、吸収波長が短波
長側にシフトするのは下地膜との界面に析出する金属微
粒子の粒子径が小さくなり、粒子の析出面に平行な方向
と厚み方向との比(アスペクト比)が小さくなっていく
ためと考えられる。
【0064】これらの結果は、下地膜の組成を変化させ
ることにより、下地膜界面に析出する微粒子のアスペク
ト比を制御することができることを示唆しており、幅広
い領域での偏光性能を発現させることができることを示
している。 (実施例9〜11)実施例1で用いた、パターン形成を
行った酸化チタン下地膜上に、表9に示すように調合さ
れた金属分散膜原料塗布液を回転数1500min-1
スピンコーティングした。
【0065】酸化ジルコニウム原料として、テトラブト
キシジルコニウム38.7gにエチルアセチルアセテー
ト26.0gを加えて2時間攪拌し、ジルコニウム原液
を作製した。ジルコニウム原液に対する酸化ジルコニウ
ム固形分は19.0質量%となる。
【0066】塗布された金属分散膜原料塗布液は、風乾
後、250℃で2時間熱処理し、金微粒子を下地膜界面
に析出させ、さらに580℃で30分焼成を行った。T
EMにより、得られたガラス基材の構造観察を行ったと
ころ、金(Au)が酸化チタン下地膜と酸化珪素/酸化
ジルコニウム膜との膜界面に偏析していることが確認さ
れた。
【0067】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長850nm〜
750nmの入射光に対して、最大消光比55dBの偏
光特性が発現されたことが確認された。表11に偏光特
性を示す。 表9.金属分散膜原料塗布液の調合量 ==================================== 実施例 酸化珪素原料 酸化ジルコニウム原料 塩化金酸 EC ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 9 2.25g 0.26g 0.2g 7.3g 10 1.25g 1.31g 0.2g 7.2g 11 0.75g 1.83g 0.2g 7.2g ==================================== 表10.酸化物になったときの各組成の質量%(金属分散膜の組成) ============================ 実施例 SiO2 ZrO2 Au ―――――――――――――――――――――――――――― 9 75.6% 8.4% 16.0% 10 42.0% 42.0% 16.0% 11 8.4% 75.6% 16.0% ============================ 表11.偏光特性表 =============================== 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――――― 9 850nm 43dB 0.4dB ○ 10 800nm 45dB 0.3dB ○ 11 750nm 55dB 0.2dB ○ =============================== 以上の結果は、酸化ジルコニウムの金属微粒子を下地膜
界面へ析出させる能力と、酸化珪素の金属微粒子を下地
膜界面へ析出させる能力との差違を明らかにしており、
具体的には、酸化ジルコニウムは酸化珪素と比較して、
下地膜界面に析出する金属微粒子の粒子サイズを小さく
する傾向にあることを示している。すなわち、酸化ジル
コニウムの含有量が多くなるにしたがって吸収波長が短
波長側にシフトするのは、下地膜界面に析出する金属微
粒子サイズが小さくなり、これにより、見かけ上のアス
ペクト比が小さくなることによるものと考えられる。こ
のことは酸化ジルコニウムの量を調節することで析出す
る金属微粒子のアスペクト比を制御できることを示して
いる。
【0068】(実施例12)基材としてガラス基材を用
い、10cm×10cmのガラス基材上に酸化チタン膜
と偏析銀(Ag)含有酸化珪素膜を構成する。
【0069】実施例1と同様の方法で、0.20μmの
ライン&スペースのパターン形成を行った酸化チタン下
地膜を形成した。エチルシリケート(コルコート社製
「エチルシリケート40」)50gに、0.1mol/
l(0.1規定)硝酸9gとエチルセロソルブ(EC)
44gとを加え、室温で2時間攪拌して塗布液を作製し
た。そして、この塗布液2.5gに、エチルセロソルブ
6.5g加えた後、硝酸銀が20質量%のエチレングリ
コール溶液を1.0g添加して金属分散膜原料塗布液を
作製した。
【0070】次いで、前記パターン形成された酸化チタ
ン下地膜上に、金属分散膜原料塗布液を回転数1500
min-1でスピンコーティングした。風乾後、USHI
O社製紫外線(UV)照射装置を用いて、中心波長36
5nm、被照射面における紫外線強度が10mW/cm
2の紫外光を約30秒間照射して、銀(Ag)微粒子を
酸化チタン下地膜界面に析出させた。
【0071】紫外光を照射した後、300℃で20分間
の加熱処理を行った。TEMにより、得られたガラス基
材の構造観察を行ったところ、銀(Ag)が酸化チタン
下地膜と酸化珪素膜との膜界面に偏析していることが確
認された。
【0072】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長800nmの
入射光に対して、金属微粒子が並ぶ方向の偏光成分の吸
収が、金属微粒子の並ぶ方向に対して垂直な偏光成分の
吸収よりも大きくなり、消光比が51dBの偏光特性が
発現されたことが確認された。
【0073】表12に金属分散膜の組成、表13に偏光
特性を示す。 表12.酸化物になったときの各組成の質量%(金属分散膜) ===================== 実施例 SiO2 Ag ――――――――――――――――――――― 12 80.6% 19.4% ===================== 表13.偏光特性表 =============================== 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――――― 12 800nm 51dB 0.2dB ○ =============================== 以上の結果は、銀でも金と同様に、下地膜界面に銀微粒
子が選択的に析出することにより、偏光特性が発現され
ることを示している。また、金と同様に、下地膜の組成
や金属分散膜原料塗布液の組成を変えることにより、偏
光特性を制御できることは容易に想像できる。
【0074】さらに、金属分散膜原料塗布液から、金属
原料を分解還元し、金属微粒子を下地膜界面に偏析させ
る手段として、加熱による手段以外に、紫外線のような
電磁波を照射させる手段も有効に使用できることが、本
実施例から示された。 (実施例13)硝酸ビスマス10gをアセチルアセトン
19.0gで溶解させて硝酸ビスマス原液を作製した。
硝酸ビスマス原液に対する酸化ビスマス固形分は25.
2質量%となる。
【0075】上記硝酸ビスマス原液16.9gと、実施
例5〜8で用いた酸化チタン原液6.5gとを混合し、
エチルセロソルブ76.5g加えて下地膜原料塗布液を
作製した。
【0076】ガラス基板上に、前記下地膜原料塗布液
を、膜厚が1/6μmになるように、グラビアコーティ
ングした。風乾後、250℃で加熱乾燥を行った。グラ
ビアコーティングと加熱乾燥とを1組の処理として、こ
の処理を合計6回繰り返し、膜厚が1μmになるように
した。さらに500℃で30分焼成を行ない、酸化チタ
ンと酸化ビスマスとからなる下地膜を形成した。
【0077】形成された下地膜に対して、フォトリソグ
ラフィ技術を用いて図3に示すような0.2μmのライ
ン&スペースのパターン形成を行った。次いで、パター
ン形成を行った、前記下地膜上に、実施例1で用いた金
属分散膜原料塗布液を回転数1500min-1でスピン
コーティングした。風乾後、250℃で2時間熱処理し
て、金微粒子を下地膜界面に析出させた後、さらに58
0℃で30分焼成を行った。
【0078】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長630nmの
入射光に対して金属微粒子の並ぶ方向の偏光成分の吸収
が金属微粒子の並ぶ方向に対して垂直な偏光成分の吸収
よりも大きくなり、消光比が45dBの偏光特性が発現
されたことが確認された。表14に下地膜の組成、表1
5に偏光特性を示す。 表14.酸化物になったときの下地膜の各組成の質量% ====================== 実施例 TiO2 Bi25 ―――――――――――――――――――――― 13 15% 85% ====================== 表15.偏光特性表 ============================= 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ――――――――――――――――――――――――――――― 13 630nm 45dB 0.1dB ○ ============================= (実施例14)基材としてガラス基材を用い、10cm
×10cmのガラス基材上に酸化スズ下地膜と偏析金
(Au)含有酸化珪素膜を構成する。ガラス基材をCV
D(化学的気相析出法)装置内に配し、原料として、モ
ノブチルティントリクロライドを用い、膜厚2μmの酸
化スズ膜を形成した。
【0079】形成された酸化スズ膜に対して、リフトオ
フ技術を用いて、図3に示すような0.5μmのライン
&スペースのパターン形成を行った。次いで、パターン
形成を行った前記酸化スズ下地膜上に、実施例1で用い
た金属分散膜原料塗布液を回転数1500min-1でス
ピンコーティングした。風乾後、250℃で2時間熱処
理して、金微粒子を下地膜界面に析出させた後、さらに
580℃で30分焼成を行った。
【0080】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射すると、波長800nmの
入射光に対して金属微粒子が並ぶ方向の偏光成分の吸収
が金属微粒子の並ぶ方向に対して垂直な偏光成分の吸収
よりも大きくなり、消光比が55dBの偏光特性が発現
されたことが確認された。表16に偏光特性を示す。 表16.偏光特性表 ============================== 実施例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ―――――――――――――――――――――――――――――― 14 800nm 55dB 0.1dB ○ ============================== (比較例1)基材としてガラス基材を用い、10cm×
10cmのガラス基材上に酸化珪素下地膜と偏析金(A
u)含有酸化珪素膜層とを構成する。ガラス基材をスパ
ッタリング装置内に配し、ターゲットとして純度99.
99%の酸化珪素ターゲットを使用した。スパッタリン
グは、蒸着速度40nm/minで膜厚1μmの酸化珪
素膜を形成した。
【0081】形成された酸化珪素下地膜に対して、フォ
トリソグラフィ技術を用いて、図3に示すような0.2
μmのライン&スペースのパターン形成を行った。次い
で、パターン形成を行った酸化珪素下地膜上に、実施例
1で用いた金属分散膜原料塗布液を回転数1500mi
-1でスピンコーティングした。風乾後、250℃で2
時間熱処理したところ金(Au)微粒子は膜界面に偏析
しなかった。
【0082】TEMにより、得られたガラス基材の構造
観察を行ったところ、金は金属分散膜中の深さ方向に対
して均一に分散していることが確認された。得られたガ
ラス基板に図3に示すように光を基準面に対して垂直に
照射しても、明瞭な偏光特性は確認できなかった。表1
8に偏光特性を示す。 (比較例2)基材としてガラス基材を用いる。実施例5
〜8で使用した酸化珪素原液2.45gに、酸化チタン
原液0.06gを加えた後、エチルセロソルブを7.4
9gを加えて下地膜原料塗布液を作製した。
【0083】ガラス基材上に上記下地膜原料塗布液を、
膜厚1μmになるようにグラビアコーティングした。風
乾後、250℃で2時間熱処理し、さらに500℃で3
0分間焼成し、下地膜を形成した。
【0084】形成された下地膜に対して、フォトリソグ
ラフィ技術を用いて図3に示すような0.2μmのライ
ン&スペースのパターン形成を行った。次いで、パター
ン形成を行った前記下地膜上に、実施例1で用いた金属
分散膜原料塗布液を回転数1500min-1でスピンコ
ーティングした。風乾後、250℃で2時間熱処理した
ところ、金(Au)微粒子は膜界面に偏析せず発色はピ
ンク色を呈していた。
【0085】TEMにより、得られたガラス基材の構造
観察を行ったところ、金は金属分散膜中に深さ方向に対
して均一に分散していることが確認された。表17に下
地膜の組成表(酸化物換算)を示す。
【0086】得られたガラス基板に図3に示すように光
を基準面に対して垂直に照射しても、明瞭な偏光特性は
確認できなかった。表18に偏光特性を示す。 表17.下地膜が酸化物になったときの各組成の質量%(下地膜の組成) ======================= 比較例 SiO2 TiO2 ――――――――――――――――――――――― 1 100% 0% 2 98.05% 1.95% ======================= 表18.偏光特性表 ============================== 比較例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ―――――――――――――――――――――――――――――― 1 550nm 0.8dB 0.1dB ○ 2 560nm 0.9dB 0.3dB ○ ============================== 以上の結果より、下地膜が酸化珪素のみであったり、酸
化チタンの含有量がTiO2換算で2質量%未満である
場合には、金属微粒子が下地膜界面へ選択的に析出され
ず、このことから、金属微粒子を下地膜界面へ選択的に
析出させるためには、少なくとも酸化チタンの含有量が
TiO2換算で2質量%以上必要であることが確認され
た。 (比較例3,4)基材としてガラス基材を用い、10c
m×10cmのガラス基材上に酸化チタン下地膜と偏析
金(Au)含有酸化珪素膜とを構成する。ガラス基材を
スパッタリング装置内に配し、ターゲットとして純度9
9.99%の酸化チタンターゲットを使用した。スパッ
タリングは、蒸着速度40nm/minで膜厚1μmの
酸化チタン膜を形成した。
【0087】形成された下地膜に対して、フォトリソグ
ラフィ技術を用いて図3に示すような0.2μmのライ
ン&スペースのパターン形成を行った。金属分散膜の塗
布液として、表19に示すような原料塗布液を作製し
た。次いで、パターン形成された前記下地膜上に、金属
分散膜原料塗布液を回転数1500min-1でスピンコ
ーティングした。風乾後、250℃で2時間熱処理し
た。
【0088】表20に金属分散膜の組成表(酸化物換
算)を示す。得られたガラス基板に、図3に示すように
光を基準面に対して垂直に照射したところ、比較例3で
は、明瞭なプラズモン吸収を観察できなかった。
【0089】また、比較例4では、熱処理によって、下
地膜界面に金微粒子が析出したときに酸化珪素原料の縮
重合体が基板から剥離してしまい、均一な膜が形成でき
なかった。偏光特性を表21に示す。
【0090】以上の結果から、金(Au)濃度が低すぎ
ると下地膜界面に析出する金属微粒子サイズが小さくな
るため、十分な偏光特性が発現されず、また、金(A
u)濃度が高すぎても下地膜との密着性が低くなり、均
一な膜形成ができなくなることが確認された。 表19.金属分散膜原料塗布液の調合量 ============================ 比較例 酸化珪素原料 塩化金酸 EC ―――――――――――――――――――――――――――― 3 2.5g 0.0020g 7.5g 4 2.5g 1.10g 6.4g ============================ 表20.酸化物になったときの各組成の質量%(金属分散膜) =========================== 比較例 SiO2 Au ――――――――――――――――――――――――――― 3 99.81% 0.19% 4 49.3% 50.7% =========================== 表21.偏光特性表 ============================== 比較例 吸収波長 消光比 透過損 密着性 ―――――――――――――――――――――――――――――― 3 ― 0.001dB 0.002dB ○ 4 ― 評価不可 評価不可 × ==============================
【0091】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、透明基
板上に下地膜原料化合物群Aおよび/またはBを主成分
として含有する下地膜を形成し、その下地膜上に、金属
化合物と金属分散膜塗布液原料群から選ばれる少なくと
も一種の元素の化合物とを主成分として含有する塗布液
を塗布して金属分散膜を形成した後、熱処理または電磁
波照射を施すことにより、下地膜と金属分散膜との膜界
面に金属微粒子を選択的に析出させることができ、これ
により、偏光特性を有する素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光素子の製造方法を示す説明図。
【図2】 下地膜と金属分散膜との膜界面に析出する金
属微粒子の状態を示す簡略図。
【図3】 第1の実施形態の偏光素子を示す簡略図。
【図4】 第2の実施形態の偏光素子を示す簡略図。
【図5】 第3の実施形態の偏光素子を示す簡略図。
【図6】 第4の実施形態の偏光素子を示す簡略図。
【符号の説明】
11…ガラス基材、11a…基準面、12…下地膜、1
3…金属分散膜、14…金属微粒子、15…増反射膜、
16…膜界面。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に、金属微粒子を引きつける
    作用をもつ成分を含有する下地膜を形成し、その下地膜
    上に、金属イオンを含有する塗布液を塗布して金属分散
    膜を形成した後、前記下地膜と金属分散膜との膜界面
    に、金属微粒子を選択的に析出させることを特徴とする
    偏光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 透明基板上に、酸化チタン、酸化セリウ
    ム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化銅、
    酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化マンガン、
    酸化クロム、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化
    鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化
    タンタル、酸化ハフニウム、酸化バリウム、酸化イッテ
    ルビウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化イットリ
    ウム、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸
    化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1種の化
    合物を主成分として含有する下地膜を形成し、その下地
    膜上に金属化合物と、珪素、ジルコニウム、チタン、セ
    リウム、スズ、ビスマス、コバルト、銅、アルミニウ
    ム、マグネシウム、マンガン、クロム、インジウム、バ
    ナジウム、鉄、ニッケル、亜鉛、タングステン、タンタ
    ル、ハフニウム、バリウム、イッテルビウム、ニオブ、
    モリブデン、イットリウム、ルテニウム、ゲルマニウ
    ム、鉛、ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種
    の元素の化合物と、を主成分として含有する塗布液を塗
    布して金属分散膜を形成した後、熱処理または電磁波照
    射を施すことにより、前記下地膜と金属分散膜との膜界
    面に金属微粒子を選択的に析出させることを特徴とする
    偏光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記下地膜は、酸化珪素、酸化ジルコニ
    ウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    偏光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記下地膜は、質量%で表して、酸化チ
    タン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化コ
    バルト、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
    ム、酸化マンガン、酸化クロム、酸化インジウム、酸化
    バナジウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化タ
    ングステン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化バリ
    ウム、酸化イッテルビウム、酸化ニオブ、酸化モリブデ
    ン、酸化イットリウム、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニ
    ウム、酸化鉛、酸化ホウ素からなる群から選択される少
    なくとも1種の化合物を2〜100質量%、酸化珪素、
    酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも
    1種の化合物を0〜98質量%以下、含有することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属分散膜の原料となる塗布液は、
    固形物となったときの質量%で表して、金属を0.2〜
    50質量%、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタ
    ン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化コバ
    ルト、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
    酸化マンガン、酸化クロム、酸化インジウム、酸化バナ
    ジウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化タング
    ステン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化バリウ
    ム、酸化イッテルビウム、酸化ニオブ、酸化モリブデ
    ン、酸化イットリウム、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニ
    ウム、酸化鉛、酸化ホウ素からなる群から選択される少
    なくとも1種の化合物を50〜99.8質量%、含有す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏
    光素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法により製造されたことを特徴とする偏光素子。
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