JPH07301710A - 偏光子の製造方法および製造装置 - Google Patents

偏光子の製造方法および製造装置

Info

Publication number
JPH07301710A
JPH07301710A JP11386794A JP11386794A JPH07301710A JP H07301710 A JPH07301710 A JP H07301710A JP 11386794 A JP11386794 A JP 11386794A JP 11386794 A JP11386794 A JP 11386794A JP H07301710 A JPH07301710 A JP H07301710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizer
dielectric layer
dielectric
laminate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11386794A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryuji Osawa
隆二 大沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokin Corp filed Critical Tokin Corp
Priority to JP11386794A priority Critical patent/JPH07301710A/ja
Publication of JPH07301710A publication Critical patent/JPH07301710A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄膜よりなる偏光子の製作において、再現
性、量産性の良好な製造方法および製造装置を提供す
る。 【構成】 透明基板の上に物理蒸着によって金属層と誘
電体層の積層膜の形成を行う際に、誘電体層と同一組成
の下地層を設ける。また、誘電体層および誘電体層の各
々の組成を特定のものとし、さらに、偏光子作製のため
に適切な引き延ばし方法および装置を示した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜層の積層体からな
る偏光子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】偏光子は特定の振動方向の光だけを透過
し、他の光は吸収又は反射する機能を持っており、さま
ざまな構成の偏光子が検討され、その一部が実用化され
ている。これら偏光子の用途としては、液晶表示、サン
グラス、スキー用ゴーグル、写真用フィルター、防眩用
(自動車用ヘッドライト、ディスプレイ)の他に光セン
サー、光アイソレータに広く使用されている。特に、近
年では光通信および光ディスク等の分野を中心に、短波
長用の小型で高性能および安価な偏光子の必要性が高ま
りつつある。
【0003】これら高性能偏光子には(1)挿入損失が
少なくて透過率が高いこと、(2)消光比が高いこと、
(3)小型化が可能であること、および(4)大量生産
が可能で安価であることが主として要求されているが、
従来の偏光子はそれらの要求項目をすべて満足できるも
のはなかった。
【0004】この問題を解決するため、図10にその断
面を模式的に示すように、透明な基板1上に、いわゆる
島状構造の金属薄膜層2と透明な誘電体層3とを交互に
積層して積層体を形成した後、図11に示すように、矢
印4で表す方向に引き延ばし処理を行ない、異方性が付
与された島状構造金属薄膜を形成する方法が提案されて
いる。即ち、島状構造の金属薄膜層と誘電体層を繰り返
し重ねて積層体を形成し、積層方向に直角な方向に引き
延ばすことによって、金属の島の形状や分布状態に構造
的な異方性を与え、共鳴吸収特性に偏光依存性を持たせ
た偏光子である。この偏光子は、図12の説明図に示す
ように、積層面に垂直に光を入射して使うため、入射方
向の偏光子の長さ(厚さ)が短かくてすむので、大口径
の素子を容易に作製できるという利点がある。さらに、
金属薄膜層と誘電体層とを積層することによって、偏光
特性の飛躍的な向上を達成している。
【0005】前述の金属薄膜層用としての金属材料の要
件は、導電性が高く、かつ物理蒸着が容易であることで
ある。一方、誘電体層を形成する誘電体材料としては、
以下の理由から、軟化点が金属薄膜材料の融点以下で、
かつ低熱膨張率であることが必要である。すなわち、引
き延ばし処理においては、誘電体層のアニール点以上
で、かつ軟化点以下の温度に加熱して、基板および誘電
体層の粘度を下げ、基板に平行な方向に引き延ばす。こ
の時の加熱温度が金属の融点以上である場合、誘電体層
と共に引き延ばされた金属薄膜層の島状に分布した金属
は、表面張力により再球体化してしまい、形状の異方性
を失って偏光特性を示さなくなるからである。また、誘
電体材料を物理蒸着する際に、最も一般に使用される方
法は、高周波スパッタリング法(RFスパッタリング法
という)であるが、熱膨張率の高い材料をターゲットに
すると、スパッタリング中にターゲットが割れてしま
い、膜作製が不可能となる。このためターゲットは低熱
膨張率の材料でなくてはならない。これらの理由から、
誘電体層の材料として低熱膨張率であるパイレックスガ
ラスが主に使用されている。
【0006】さらに、基板材料は、誘電体層と熱膨張率
を等しくすることによって相互の密着を良くし、島状金
属粒子の引き延ばし効果が良好であるよう、誘電体層と
同一のパイレックスガラスが主に用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パイレ
ックスガラスをターゲットとして作製した積層体のう
ち、スパッタ膜形成後にクラックが存在して、引き延ば
し処理後に偏光特性が得られないものや、クラックは発
見されないが良好な偏光特性が得られないものがあり、
ロット間における再現性に乏しく、量産的ではないとい
う問題があった。
【0008】こうした問題は、偏光子を作製するための
引き延ばし方法にも起因していた。図13は、従来から
使われていた引き延ばし炉の構造を示す。図13におい
て、積層膜を形成した基板(積層体)17は、ドーナッ
ツ型のヒータ8を貫通し、その両端に設けた固定用の穴
によって固定されている。ここで、基板の大きさは10
×90×1.3mmであり、ヒータの内径は15mmで
ある。ヒータの温度はヒータ中心部に固定されている熱
電対9によりモニターされ、昇温・温度保持・降温ともに
温調器11により制御されている。このヒータにより基
板を一定の温度に保持した後、トルクモータ10の先に
固定された両ネジにより、基板を上下同時に引っ張って
引き延ばし処理を行う。
【0009】こうして引き延ばされた積層体17は、図
14に平面図として模式的に示すような形状となる。し
かしながら、この方法で作製された基板のうち、良好な
偏光特性を示す領域12はごく小部分で、その他の部分
は偏光特性を示さず、量産性が悪かった。
【0010】本発明は、かかる課題を解決し、再現性お
よび量産性のある偏光子の製造方法とそのための装置を
提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明は、透明な基板上に物理蒸着法により島状
の金属膜層と誘電体層とを交互に積層して積層体を形成
した後、引き延ばし処理によって島状の金属薄膜層に構
造的な異方性を付与して作製する偏光子の製造方法であ
り、積層膜を形成する際に、基板面に最初に下地層とし
て、誘電体層と同一組成の膜を形成した後、その上に金
属薄膜層および誘電体層を交互に積層することによっ
て、基板と積層膜との密着性を良好とし、引き延ばし処
理の効果を上げる。
【0012】また、本発明は、誘電体層および誘電体下
地層がSi,Al,Be,Ce,Rb,K,Na,L
i,Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Cd,Pd,B
i,Ge,Tl,P,Ag,As,Sb,Te,Y,S
c,Hf,W,Nb,Cr,MnおよびBの少なくとも
1つの酸化物から成ることである。
【0013】また、誘電体層用の材料をSiO2,B2
3およびNa2Oから構成し、その組成範囲を重量比で 0.85≦[SiO2]≦0.95 0.03≦[B23]≦ 0.12 Na2O=1−[SiO2]−[B23] とすることにより、基板と誘電体層との組成が一致し
て、引き延ばし処理により、良好な偏光特性を持つ偏光
子が再現性良く得られる。なお、ここで[]は、各成分
の重量比を示す。
【0014】また、金属薄膜層用の金属材料として、A
u,Ag,Al,Cr,Co,W,Fe,Cu、Be,
MgおよびRhの少なくとも1つを使うことによって、
島状の金属薄膜層が得られて、引き延ばし処理により、
良好な偏光子の製造が可能となる。
【0015】加えて、透明な基板上にスパッタリング法
により金属薄膜層と誘電体層を交互に積層して、積層膜
を形成して積層体とした後、引き延ばし処理によって作
製する偏光子の製造方法で、引き延ばし処理を行う際
に、積層体に一定の張力を印加し、積層体を張力印加方
向と垂直な方向に帯状に加熱する加熱源と、積層体とが
相対的に移動可能なように構成したことを特徴とする偏
光子の製造方法であり、また製造装置である。
【0016】
【作用】引き延ばし法によって偏光子を作製する際に、
最も重要な点の一つに基板と第1層目の誘電体層との間
の密着力がある。この密着力が弱いと、積層膜形成後の
クラック発生の原因になるばかりでなく、引き延ばし工
程中に基板と積層膜が剥離し、積層膜が充分な伸張を受
けなくなり所定の消光比が得られなくなる。
【0017】本発明者はこの基板と積層膜との間の密着
力不良の原因について充分な調査を行い、以下の2点に
問題があることを見いだした。まず第一にスパッタ膜の
内部応力により基板と積層膜の界面に応力が発生してい
ることであり、第二にその界面に、例えば金(Au)な
どの金属粒子の存在が、基板と第1層目の誘電体層との
実質的な接触面積を小さくしていることである。基板お
よび誘電体層に同一材料を使用して密着力の確保を図っ
たにもかかわらず、界面に応力が発生し、接触面積が狭
いために積層膜形成後クラックが発生したり、引き延ば
し工程後充分な消光比が得られなかったものと推測され
る。
【0018】これらの問題を解決するためには、二つの
問題を分離し、上述の第二の問題については、図2の断
面図に模式的に示すように、あらかじめ透明な基板と同
一材料からなる誘電体層を下地層7として形成してか
ら、金属薄膜層(島状金属薄膜)2および誘電体層3を
交互に積層し、引き延ばし法によって作製した偏光子
は、良好な偏光特性を示し、かつ製作上の再現性も良好
である。即ち、基板上に下地層としての誘電体層を形成
することにより、充分な接触面積を確保しつつ応力を緩
和し、その上に金属層、誘電体層を交互に積層すれば基
板および積層膜との密着力を確保することができる。
【0019】第一の問題については、以下のように考え
る。基板および誘電体層に使用されるパイレックスガラ
スの組成は、SiO2−B23−Na2Oの3成分系によ
って構成されている。この系では、図5に示すSiO2
−P線(実線)上に膨張係数の極小点が存在し、また、
SiO2−Q線(実線)上に転移点、軟化点、アルカリ
溶出量などの極小値が存在する。このように化学的耐久
性の大きい組成域と膨張係数の小さい組成域とが異なっ
ているので、これらの性質を両立させるために、両直線
が接近しているSiO2含有量の高い組成域A(円で囲
んだ斜線の領域)がパイレックス型組成域として利用さ
れている。
【0020】しかしながら、このパイレックスガラスの
組成域に隣接している図5の組成域Bのガラスは熱処理
によってSiO2に富む相と、よりB23−Na2Oが多
い相に分離するものと推定される。この相分離によって
化学的耐久性および膨張係数がパイレックスガラスとは
大きく異なるガラスとなる。
【0021】本発明者は、上記の点をふまえて鋭意検討
を行った結果、パイレックスガラスをスパッタターゲッ
トとしてRFスパッタを行って得たスパッタ膜は組成ズ
レが組成域B側に起こり、膜形成後又は引き延ばし処理
時の加熱により、SiO2に富む相と、よりB23−N
2Oが多い相に分離していると推論するに至った。そ
こで、誘電体ターゲットの組成を、パイレックス型ガラ
ス領域よりもSiO2含有量の高い領域とすることで良
好な偏光特性が得られることを見いだした。
【0022】さらに、本発明者は、引き延ばし工程後に
充分な消光比が得られない問題について、さらなる検討
の結果、加熱・引き延ばし時における基板の熱履歴に問
題があることを見いだした。すなわち、図15に示すよ
うに、従来の引き延ばし方法において、積層膜を形成し
た基板17のヒータ中心部に位置するb部は、引き延ば
し工程中、常にヒータ8によって加熱されている。
【0023】しかしながら、偏光特性を示すa部は、図
15(b)からわかるように、引き延ばされる以前にお
いてはヒータ内部にあり、粘性低下と共に引き延ばされ
てヒータ外部へ移動し、冷却される。このa部およびb
部における偏光特性出現の相違は、b部においては誘電
体層が加熱によって粘性が低下したまま保持され、島状
金属粒子の表面張力による再球体化を招き、形状の異方
性が消失するので、偏光特性が現れず、a部において
は、誘電体層の粘性低下に伴い基板と共に引き延ばされ
ると同時に、島状金属粒子を引き延ばすが、a部は加熱
ゾーンの外側に移動していくので、島状金属粒子が再球
体化する前に冷却され、形状の異方性が保持されるため
と考えられる。従って、加熱・引き延ばし工程と冷却工
程との連係を系統的に行うことによって、偏光特性が出
現する領域を拡大することができる。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の内容を実施例によって説明
する。
【0025】(実施例1)本発明に使用した薄膜形成装
置の構成の概略図を図3に示す。薄膜形成方法としてR
Fマグネトロンスパッタ法を使用し、島状金属薄膜層用
の材料としてAuを使用した。誘電体ターゲットとして
パイレックスガラスを使用した。真空容器内に直径10
0mmのAuターゲットおよび誘電体ターゲットを配置
し、基板としてパイレックスガラスを使用した。パイレ
ックスガラスの基板1は誘電体ターゲットの真上に固定
し、Auの斜め入射による島状構造の金属薄膜層と、誘
電体ターゲットから垂直に入射して形成される誘電体層
を交互に積層した。この場合の誘電体のスパッタの条件
は、スパッタ圧力が0.1Pa(Ar:14SCCM、O2
6SCCM)であり、RFパワーが200Wである。さら
に、Auスパッタの条件はスパッタ圧力が0.5Paで
あり、スパッタパワーが100Wであり、かつスパッタ
時間が1分間である。下地層7を形成するパイレックス
ガラスの膜厚は、スパッタ時間により制御し、その上に
Au膜および誘電体膜(パイレックスガラス膜)を交互
に積層した。Au膜の層数は10層であり、誘電体膜の
層数は11層とした。ここで、一層当たりに形成される
誘電体膜の膜厚は0.4μmであり、Au膜の平均膜厚
は約0.01μmである。なお、先のスパッタ圧力を規
定した文中に記載されたSCCMなる記号は、標準状態
での気体の流量を表し、スタンダードCC/minの略
である。
【0026】誘電体膜とAu膜とからなる積層膜を形成
した後、Auスパッタ粒子の入射方向に対して垂直な方
向(Z方向、図12参照)に引き延ばし処理を行った。
この時の加熱温度を650℃、引き延ばし張力を0.5
kg/mm2、引き延ばし率を2倍として偏光子を作製
した。偏光子のサンプルは、下地層の厚さを0.01μ
mから4μmまで変化させ、各膜厚で10〜20個ずつ
サンプルを用意した。
【0027】このようにして作製された偏光子に対し、
薄膜に平行な偏波面を持つ光を入射し、0.98μmの
入射光における偏光子の消光比を測定した。下地層の厚
さ(μm)と消光比(dB)との関係を図1(尺度は左
側;黒点でプロット)に示す。また、同時に充分な偏光
特性が得られた枚数の割合を良品率(尺度は右側;実線
で示している)として併せて示す。図1は、下地層が
0.05μm以上であれば、高い率で良品の偏光子が得
られることを示している。
【0028】さらに、下地層の厚さが0.1μm以上で
あれば、消光比の優れたものが安定して得られている。
なお、上記例では、島状金属薄膜層の金属をAuとした
が、島状金属薄膜層の材料は、以下に示す金属であれば
よいことが判った。即ち、Au,Ag,Al,、Cr,
Co,W,Fe,Cu,Be,Mg,Rhであれば良
く、また少なくともそのうちの1つを含む合金でも良
い。なお、Ti,Niは島状の金属薄膜層を形成し難
く、この用途の材料としては適さない。
【0029】さらに、本実施例における諸条件は、引き
延ばしの温度を650℃、張力を0.5kg/mm2とし
たが、所定の引き延ばしを行うことができればよく、本
発明の温度、張力等の引き延ばし条件は、本実施例に制
限されない。また、島状構造金属層および誘電体層の層
数についても本実施例に制限されない。
【0030】(実施例2)本実施例において使用した薄
膜形成装置は、実施例1と同じである。薄膜形成方法と
してRFマグネトロンスパッタ法を使用し、金属として
Auを使用した。誘電体ターゲットの組成は、SiO2
−B23−Na2Oの3元系について、図4の黒点で示
す10組成を選んだ。真空容器内に直径100mmのA
uターゲットおよび誘電体ターゲットを配置し、基板と
してパイレックスガラスを使用した。パイレックス基板
は誘電体ターゲットの真上に固定し、Auの斜め入射に
よる島状構造の金属薄膜層と、誘電体ターゲットから垂
直に入射して形成される層を交互に積層した。この場合
の誘電体スパッタの条件は、前述の10組成のすべての
ターゲットについて同一とし、スパッタ圧力が0.1P
a(Ar:14SCCM、O2:6SCCM)であり、RFパワ
ーが200W、かつスパッタ時間が15分である。さら
に、Auスパッタの条件はスパッタ圧力が0.5Paで
あり、RFパワーが100Wであり、かつスパッタ時間
が1分間である。この時の誘電体膜の層数は11層であ
り、Au膜の層数は10層とした。ここで、形成される
誘電体膜の膜厚は0.4μmであり、Au膜の平均膜厚
は約0.01μmである。
【0031】誘電体とAuの積層膜を形成した後、Au
スパッタ粒子の入射方向に対して垂直な方向に引き延ば
し処理を行った。この時の加熱温度は650℃とし、引
き延ばし張力を0.5kg/mm2とし、引き延ばし率を
2倍として偏光子を作製した。作製した偏光子に対して
積層膜に平行な偏波面を持つ光を入射し、偏光子の消光
比を測定した。
【0032】各ターゲットの組成と消光比の測定結果を
図4に示す。図4において、記号(X)は、対応する黒
点で示される組成の誘電体層を有する偏光子が膜形成後
クラックを発生し、引き延ばし後偏光特性が得られなか
ったものを示している。また、その他の組成点での括弧
内の数字は、得られた偏光子の波長0.98μmにおけ
る消光比(単位:dB)を示している。図4に示される
ターゲット組成のうち、(X)を符された組成は、図5
のパイレックス型ガラス組成領域と重なっていることが
わかる。さらに、パイレックス型ガラス組成域よりもS
iO2含有量の多いターゲット組成領域で良好な偏光特
性が得られていることを示している。すなわち、誘電体
用のスパッタターゲットとして好ましい組成は、以下の
ようにパイレックス型ガラス組成よりもSiO2含有量
の多い組成領域である(単位:重量比)。 0.85≦[SiO2]≦0.95 0.03≦[B23]≦ 0.12 Na2O=1−[SiO2]−[B23] ここで、[]は各成分の重量比を示す。
【0033】なお、上記例では、島状金属薄膜層をAu
としたが、島状金属薄膜層の材料は、以下に示す金属で
あればよいことが判った。即ち、Au,Ag,Al,C
r,Co,W,Fe,Cu,Be,Mg,Rhであれば
良く,また少なくともそのうちの1つを含む合金でも良
い。なお、Ti,Niは島状になりにくく、この用途の
材料としては適さないことが判った。
【0034】さらに、本実施例における諸条件は、引き
延ばし時の温度を650℃、張力を0.5kg/mm2
したが、所定の引き延ばしを行うことができればよく、
温度、張力等の引き延ばし条件は、本実施例に制限され
ない。また、島状構造金属層および誘電体層の層数につ
いても本実施例に制限されない。
【0035】(実施例3)図6は、本発明の偏光子製造
装置を示す。積層膜を形成した基板の上部13は固定さ
れており、トルクモータ101に接続されたネジによ
り、基板下部14は下方に張力が印加(矢印Pで示す方
向)されている。ヒータ81はスピードコントロールモ
ータ15に連結されたネジにより、一定速度で基板の上
方に向かって上昇する(矢印Q1で示す方向)。これに
より、ヒータによって加熱された積層体は下方に引き延
ばされ、ヒータ下部からより遠ざかることによって冷却
される。
【0036】この工程を経ることによって、積層体は、
図7に平面図として示すように、偏光特性を示す領域1
21を長く得ることができる。すなわち、積層体の各点
において、加熱・引き延ばし工程と冷却工程が時系列的
に行われる。ここで、基板の上下端およびヒータの運動
は、本実施例のみには限定されず、図8に示す構成のよ
うに、ヒータ82をはじめに積層体上部に設置し、積層
体に張力Pを加えながら加熱し、符号Q2に示すよう
に、積層体下端141の下降速度よりも速く移動させる
ことによっても、同様な効果が得られる。
【0037】さらに、図9に示す構成のように、この場
合は、ヒータ83は固定し、積層体下部142に張力P
を印加しながら、符号Rで示すように、積層体全体を下
方に一定速度で移動させることによっても、同様な効果
が得られる。ただし、積層体上端132を積層体下端1
42の下降速度よりもゆっくりと下降させる。ここで、
図8および図9は、図6における主要部のみを描いたも
のであり、図6,8および9における矢印P,Q1,Q2
およびRの方向は、それぞれの移動の向きを示し、矢印
の長さは相対的な移動の大きさを示す。
【0038】また、図示はしないが、実施例において、
張力の印加の向きおよびヒータ又は基板の移動の向きを
すべて逆にすることによっても、同様な効果が得られる
ことはいうまでもない。また、上、下方向の移動に限定
するものでもない。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、偏光子の
製作において再現性および量産性がある製造方法とその
ための装置を、工業的に意義のある技術として提供し
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によって得られた偏光子の誘電
体下地層膜厚と消光比(dB)・良品率(%)の関係を
示すグラフ。
【図2】本発明を実施して得た偏光子の概略断面を示す
説明図。
【図3】本発明を実施する薄膜形成装置の概略を示す断
面図。
【図4】本発明の実施例による誘電体ターゲットの組成
と消光比(括弧内の数字)との関係を示す三元図。
【図5】SiO2−B23−Na2Oの擬三元系ガラスの
性質を示すグラフ。
【図6】本発明による製造装置の一例を示す概略断面を
示す説明図。
【図7】本発明の実施例により作製された偏光子の平面
図。
【図8】本発明による製造装置の他の例の一部を示す説
明図。
【図9】本発明による製造装置の他の例の一部を示す説
明図。
【図10】積層体の断面を示す図。
【図11】積層体と引き延ばし方向との関係を説明する
図。
【図12】引き延ばし方向と偏光特性との関係を説明す
る図。
【図13】従来の製造装置の概略断面を示す説明図。
【図14】従来の製造装置により作製された偏光子の平
面図。
【図15】従来の偏光子の作製過程を示す説明図。図1
5(a)は引き延ばし前の平面図。図15(b)は引き
延ばし後の平面図。
【符号の説明】
1 基板 2 (島状)金属薄膜層 3 誘電体層 4 (引き延ばし方向を示す)矢印 5 真空容器 6 サブストホルダー 7 下地層 8,81,82,83 ヒータ 9,91,92,93 熱電対 10,101 トルクモータ 11,111,112,113 温調器 12,121 偏光特性を示す領域 13,131,132 積層体上端 14,141,142 積層体下端 15 スピードコントロールモータ 17 積層膜を形成した基板(積層体) 25 入射光を示す矢印 26 透過光を示す矢印 a 偏光特性を示す部分 b 偏光特性を示さない部分 Pz 偏光方向を示す矢印(z方向) Py 偏光方向を示す矢印(y方向) P 張力の方向ならびに積層体端部の移動の方向およ
びその大きさを示す矢印 Q1,Q2 ヒータの移動の方向およびその大きさを示
す矢印 R 積層体上端の移動の方向およびその大きさを示す
矢印

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な基板上に物理蒸着法により金属層
    と誘電体層とを交互に積層して積層体を形成し、前記積
    層体に引き延ばし処理を施す偏光子の製造方法におい
    て、前記基板上に前記誘電体層と同一組成の下地層を形
    成した後、前記金属層および誘電体層を交互に積層する
    ことを特徴とする偏光子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の偏光子の製造方法におい
    て、前記下地層の膜厚が0.05μm以上であることを
    特徴とする偏光子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記誘電体層および下地層がSi,A
    l,Be,Ce,Rb,K,Na,Li,Ba,Sr,
    Ca,Mg,Zn,Cd,Pd,Bi,Ge,Tl,
    P, Ag,As,Sb,Te,Y,Sc,Hf,W,
    Nb,Cr,MnおよびBの少なくとも1つの酸化物か
    らなることを特徴とする請求項1又は2記載の偏光子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の偏光子の製造
    方法において、誘電体層形成用のスパッタターゲットの
    組成が、重量%でSiO285〜95、B233〜12
    および残部がNa2Oであることを特徴とする偏光子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属層がAu,Ag,Al,Cr,
    Co,W,Fe,Cu,Be,MgおよびRhの少なく
    とも1つからなる請求項1,2,3又は4記載の偏光子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 透明な基板上にスパッタリング法により
    金属層と誘電体層を交互に積層して積層体を形成し、前
    記積層体に引き延ばし処理を施す偏光子の製造方法にお
    いて、前記積層体に一定の張力を印加しながら、前記積
    層体の特定部位を加熱して前記積層体を引き延ばし、前
    記積層体の被加熱部分を積層体の引き延ばし方向の先端
    部から後端部へ、あるいは後端部から先端部へ移動させ
    て、積層体の全領域を加熱・冷却することを特徴とする
    偏光子の製造方法。
  7. 【請求項7】 透明な基板上にスパッタリング法により
    金属層と誘電体層を交互に積層して形成された積層体に
    引き延ばし処理を施すための製造装置において、前記積
    層体の一端を固定し、他端に一定の張力を印加し、前記
    積層体を張力印加方向と垂直で帯状に加熱する加熱源
    を、前記張力印加方向と同じ方向に、および反対方向に
    特定速度で移動可能に設けたことを特徴とする偏光子の
    製造装置。
  8. 【請求項8】 透明な基板上にスパッタリング法により
    金属層と誘電体層を交互に積層して形成された積層体に
    引き延ばし処理を施すための製造装置において、前記積
    層体を張力の印加方向と垂直で帯状に加熱する加熱源を
    固定し、積層体に一定の張力を印加しつつ該積層体を移
    動せしめる可動機構を設けたことを特徴とする偏光子の
    製造装置。
JP11386794A 1994-04-28 1994-04-28 偏光子の製造方法および製造装置 Pending JPH07301710A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11386794A JPH07301710A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 偏光子の製造方法および製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11386794A JPH07301710A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 偏光子の製造方法および製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07301710A true JPH07301710A (ja) 1995-11-14

Family

ID=14623092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11386794A Pending JPH07301710A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 偏光子の製造方法および製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07301710A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0833173A2 (en) * 1996-09-30 1998-04-01 Kyocera Corporation A polarizer and a production method thereof
WO2002012929A1 (fr) * 2000-08-07 2002-02-14 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Element de polarisation et son procede de preparation
CN102681073A (zh) * 2011-03-18 2012-09-19 精工爱普生株式会社 偏光元件的制造方法
WO2013132813A1 (ja) * 2012-03-07 2013-09-12 日本電気株式会社 光学素子、光学装置および表示装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0833173A2 (en) * 1996-09-30 1998-04-01 Kyocera Corporation A polarizer and a production method thereof
EP0833173A3 (en) * 1996-09-30 1998-05-06 Kyocera Corporation A polarizer and a production method thereof
US6252709B1 (en) 1996-09-30 2001-06-26 Kyocera Corporation Polarizer and a production method thereof
WO2002012929A1 (fr) * 2000-08-07 2002-02-14 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Element de polarisation et son procede de preparation
CN102681073A (zh) * 2011-03-18 2012-09-19 精工爱普生株式会社 偏光元件的制造方法
WO2013132813A1 (ja) * 2012-03-07 2013-09-12 日本電気株式会社 光学素子、光学装置および表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5864427A (en) Polarizer and production method thereof
JPH1073722A (ja) 偏光光学素子及びその製造方法
JP2018040888A (ja) 無機偏光板及びその製造方法
JPH07301710A (ja) 偏光子の製造方法および製造装置
JPH0756018A (ja) 偏光子の製造方法
JPH08304625A (ja) 偏光素子及びその製造方法
JPH10105915A (ja) ガラス封着体及びその製造方法
JPH11248935A (ja) 偏光子及びその製造方法
JP3784198B2 (ja) 光アイソレータ
JPH06273621A (ja) 偏光子およびその製造方法
JPH09178939A (ja) 偏光子およびその製造方法
JPH10274711A (ja) 偏光素子及びそれを用いた光アイソレータ
JP3722603B2 (ja) 偏光子の製造方法
JPH09318813A (ja) 偏光素子
JPH11133229A (ja) 偏光子
JPH09265009A (ja) 偏光子
JPH1152129A (ja) 偏光子及びその製造方法
JP2000249834A (ja) 偏光子及びその製造方法
JP7185035B2 (ja) 近赤外(nir)バンドパスフィルタ、nirバンドパスフィルタの製造方法およびその使用
JP3740248B2 (ja) 偏光素子の製造方法および光アイソレータの製造方法
JPH1020116A (ja) 偏光素子及びその製造方法
JPH11344616A (ja) 偏光子
JPH10160931A (ja) 偏光素子及びその製造方法
JPH11248936A (ja) 高消光比偏光子
JP3670482B2 (ja) 偏光子の作製方法