JP4642921B2 - 偏光素子 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザと光ファイバを用いた光通信分野において用いられる光アイソレータ特にピッグテール型光アイソレータを構成する偏光ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
波長:1.31μm、あるいは1.55μmの半導体レーザを光源とし、石英系ファイバを伝送路とする光通信において、反射による光源への帰還光を遮断し、低エラーレートを達成するために光アイソレータが用いられている。光アイソレータは、ファラデー回転子と二個の偏光素子、及び永久磁石から構成される。
【0003】
光アイソレータ用の偏光素子としては、一般的に、銀あるいは銅からなる針状金属微粒子が、ガラス基体中にその長手方向が特定の方向に配向するように分散された偏光ガラスが用いられている(以下、本明細書において、当該偏光素子を「金属微粒子分散型偏光ガラス」と記す。)。金属微粒子分散型偏光ガラスにおける偏光効果は、針状金属微粒子のプラズモン共鳴波長の異方性に起因するものであり、その偏光特性は、主に針状金属微粒子のアスペクト比(針状微粒子の長手方向の長さを短手方向の長さで除した値)によって決定される。
【0004】
金属微粒子分散型偏光ガラスの製造方法は、例えば特開平5−208844号公報に詳細に記載されており、その製造工程は以下に示すように大別される。
【0005】
〈1〉塩化第1銅を含むガラス材料を所望の組成になるように調合し、それ等を約1450℃で溶融した後室温まで除冷する。〈2〉その後、熱処理を施すことにより、塩化第一銅の微粒子をガラス中に析出させる。〈3〉塩化第一銅の微粒子を析出させた後、機械加工により適当な形状を有するプリフォームを作製する。〈4〉プリフォームを所定の条件で延伸し、塩化第一銅の針状微粒子を得る。〈5〉延伸されたガラスを水素雰囲気中で還元することにより、針状の金属銅微粒子を得る。
【0006】
斯かる製造工程によって製造される金属微粒子分散型偏光ガラスにおいては、針状金属微粒子は、基本的にガラスの表面層近傍にのみ存在することになり、その存在領域のガラス表面からの範囲(以下、表面からの厚さを「還元層厚」と記す。)は、雰囲気温度、還元雰囲気に曝す時間等の還元条件に依存することになる。
【特許文献1】
特開平5−208844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、光通信用の光アイソレータとしては、所謂フリースペース型の光アイソレータが一般的であった。
【0008】
図11は、フリースペース型の光アイソレータの光学系を模式的に示した概略側断面図である。図中、111、112は偏光素子、113はファラデー回転子、114は偏光素子111、112及びファラデー回転子113から構成される光アイソレータ、115、115‘はレンズ、116は光ファイバ、117は半導体レーザー等の光源、118、118‘は光源117に戻る帰還光の光束を模式的に示す線群であり、特に118‘は偏光素子112を透過した後の光束である。図11に示した光アイソレータ114においては、偏光素子111と112の偏光透過軸は互いに45度の角度を成すように配置され、かつファラデー回転子113における偏光面回転角は、45度となるようにその光路長が設定されている。斯かる構成において、光源117から出射された光束(図示せず)は、レンズ115‘によって平行光束に変換され、偏光素子112の偏光透過軸と平行方向の偏光を有する光のみが、ファラデー回転子113に入射する。ファラデー回転子113に入射した光の偏光方向は、永久磁石(図示せず)によるファラデー効果により45度回転する。前述したように、偏光素子111と112の偏光透過軸は互いに45度の角度を成しているため、ファラデー回転子113を透過した光の偏光方向は、偏光素子111の偏光透過軸と一致する。従って、ファラデー回転子113を透過した光は、偏光素子111をほぼ無損失で透過し、レンズ115で収束されて光ファイバ116に入射される。
【0009】
一方、光ファイバ116、あるいはその後段に配設される光学素子等(図示せず)により反射されて光源に戻る帰還光束118は、前述した光源117から出射された光束と逆の光路を経て光源117に帰還することになるが、この場合、ファラデー回転子113の非相反性により、ファラデー回転子113を透過した後の帰還光束118の偏光方向は、偏光ガラス112の偏光透過軸と90度(以下、当該方向の軸を「偏光消光軸」と記す。)の角度を成すため、偏光素子112を透過する際、その光エネルギーは大きく損なわれたことになる。
【0010】
一般的に、光アイソレータの性能は、光源から出射した光に係る透過損失と、帰還光118を遮断する能力であるアイソレーションによって評価される。特に、アイソレーションは以下の数式(1)で与えられ、その量は、通常、デシベルで表現される。
【0011】
【数1】
【0012】
同式において、ISOはアイソレーション、P88’は帰還光束118‘のパワー、P88は帰還光束118のパワーである。
【0013】
アイソレーションは、偏光素子111、112の特性、及びファラデー回転子113における偏光方向の回転角のバラツキ等に依存するが、偏光素子111、112として、前述した従来の銀あるいは銅の針状微粒子が配向分散された金属微粒子分散型偏光ガラスを用いた場合、その値は30dB以上であり、実用上、ほぼ問題の無いレベルが得られていた。
【0014】
ところで、近年、光学部品の小型化等の要請により、所謂、ピッグテール型光アイソレータが主流になりつつある。図14は、ピッグテール型光アイソレータの光学系を模式的に示した概略側断面図である。同図において、141は偏光素子111に含まれる針状金属微粒子、142は散乱光の伝搬方向を模式的に示す矢印、143は帰還光束の光路である。
【0015】
ピッグテール型光アイソレータの光学系は、図11に示したフリースペース型光アイソレータの光学系と、〈1〉光ファイバ116が偏光素子111に直接結合されている点、及び〈2〉レンズが1枚のみである点、において相違する。その結果、帰還光束143の光路は、両者において異なるが、光アイソレータ114の構成は、ほぼ同一である。
【0016】
しかし、従来の銀あるいは銅の針状微粒子が配向分散された金属微粒子分散型偏光ガラス、換言すると、フリースペース型光アイソレータに適用した場合、アイソレーションの値として30dB以上が得られる偏光ガラスをピッグテール型光アイソレータに適用した場合、その値は23〜27dBに低下し、要求仕様値である30dB以上を達成することができない、と言う問題点があった。
【0017】
発明者等は、係る問題点の原因を究明すべく、鋭意検討した結果、当該原因は、フリースペース型光アイソレータとピッグテール型光アイソレータの光学系が異なるため、後者は前者に比べて、金属微粒子分散型偏光ガラスの散乱光の影響を受けやすいことにあり、かつ同散乱光を低減することが、ピッグテール型光アイソレータにおいて、所望のアイソレーションを得るために必要不可欠であることを明らかにした。
金属微粒子分散型偏光ガラスにおける散乱光に関しては、以下に詳述するが、散乱光を低減させるためには、金属微粒子分散型偏光ガラスに含まれる金属微粒子の体積を小さくすることが有効である。
但し、金属微粒子分散型偏光ガラスの偏光特性は、金属微粒子分散型ガラスに含まれる略針状金属微粒子のアスペクト比によって決まることから、金属微粒子はあるアスペクト比を維持しながらその体積を小さくしなければならない。
そのためには、ガラス基体内に体積の小さな金属ハロゲン化物微粒子を析出させた後、次工程の延伸工程で、長手方向により強く延伸し、略針状ハロゲン化物微粒子のアスペクト比を保つ必要がある。
延伸工程でより強く延伸するためには大掛かりな設備が必要と成り、また延伸工程でガラスが破断し歩留まりが悪化する可能性が高くなることから、この方法は適した製造方法とは言えない。
【0018】
すなわち、本発明の解決すべき課題は、従来の金属微粒子分散型偏光ガラスに比べて散乱光強度が低減され、かつピッグテール型光アイソレータにおいても、30dB以上のアイソレーションが達成される金属微粒子分散型偏光ガラスの構造を提供することにある。
【0019】
なお、金属微粒子分散型偏光ガラスにおける散乱光に関しては、以下で詳述する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第一の態様によれば、略針状の多数の金属ハロゲン化物微粒子がその長手方向が略一方向に向くように配向分散されたガラス基体を還元性雰囲気中で熱処理して前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することによって、前記還元前に前記個々の金属ハロゲン化物微粒子が占めていた多数の領域内に生成された金属微粒子を有し、前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、前記領域毎に複数個であって、
前記多数の領域の総数の90%以上において、前記多数の領域の個々の体積が、2,500〜2,500,000nmであり、前記多数の領域の総数の90%以上において、前記領域毎に存在する金属微粒子の体積または前記領域毎に存在する複数個の金属微粒子の体積総和が、前記領域の体積の4〜40%であることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第二の態様によれば、第一の態様において、前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、3個以上であることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第三の態様によれば、第二の態様において、前記多数の領域のうち20%以上の領域に存在する前記金属微粒子数が、3個以上であることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第四の態様によれば、第一から第三のいずれか一の態様において、前記金属微粒子の体積が、前記還元により生成される金属微粒子の総数の90%以上において、100,000nm以下であることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第五の態様によれば、第一から第三のいずれか一の態様において、前記金属微粒子は、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と平行方向の寸法を、前記金属ハロゲン化物微粒子の短径方向と平行方向の寸法で除すことにより求められる金属微粒子アスペクト比が、2以下のものを含むことを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第六の態様によれば、第一から第三のいずれか一の態様において、前記金属微粒子は、前記還元により生成される金属微粒子の総数の90%以上において、前記金属微粒子アスペクト比が、9以下のものにより占められることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第七の態様によれば、第一から第三のいずれか一の態様において、測定距離L=15mmにおける近距離消光比が、42dB以上であること特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第八の態様によれば、略針状の多数の金属ハロゲン化物微粒子がその長手方向が略一方向に向くように配向分散されたガラス基体を還元性雰囲気中で熱処理して前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することによって、前記還元前に前記個々の金属ハロゲン化物微粒子が占めていた多数の領域内に生成された金属微粒子を有し、前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、前記領域毎に複数個であって、
前記多数の領域の総数の90%以上において、前記多数の領域の個々の体積が、2,500〜2,500,000nmであり、前記多数の領域の総数の90%以上において、前記領域毎に存在する金属微粒子の体積または前記領域毎に存在する複数個の金属微粒子の体積総和が、前記領域の体積の4〜40%であることを特徴とする偏光素子であって、前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルの形状が、前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することにより生成された金属微粒子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と平行方向の寸法を、前記金属ハロゲン化物微粒子の短径方向と平行方向の寸法で除すことにより求められる金属微粒子アスペクト比の分布から理論的に求められる透過率スペクトルの形状に対して、長波長側に拡張していることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第九の態様によれば、第八の態様において、前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルにおいて透過率が略1%となる波長帯域幅が、前記金属微粒子アスペクト比の分布から理論的に求められる透過率スペクトルにおいて、透過率が略1%となる波長帯域幅に対して広いことを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第十の態様によれば、第八又は第九の態様において、前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルにおいて、少なくとも光の波長が400nmから2500nmの帯域で、透過率が略50%以下となることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
本発明の第十一の態様によれば、第一から第三、第八、第九のいずれか一の態様前記金属ハロゲン化物微粒子が、銀ハロゲン化物、若しくは銅ハロゲン化物であることを特徴とする偏光素子を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、フリースペース型光アイソレータと同様、ピッグテール型光アイソレータにおいても30dB以上のアイソレーションが達成される偏光ガラスの構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本願発明について、金属微粒子分散型偏光ガラスの消光特性、及び散乱光について詳細に説明する。
【0023】
一般的に偏光素子とは、特定の方向に電界振動面を有する直線偏光波を透過せしめ(本明細書において、当該特定の方向を「偏光透過軸」と記している。)、電界振動面が、当該偏光透過軸と直交する方向にある直線偏光波の透過を阻止せしめる機能を有する素子を言う(本明細書において、偏光透過軸と直交する方向を「偏光消光軸」と記している。)。透過損失とは、偏光素子の偏光透過軸に平行な方向に電界振動面を有する直線偏光波が、偏光素子を透過する際に受ける損失を言う。また、消光比とは、偏光透過軸に平行な方向に電界振動面を有する直線偏光波を入射した場合の透過光のパワー(Pt)を偏光消光軸に平行な方向な方向に電界振動面を有する直線偏光波を入射した場合の透過光のパワー(Pe)で除した値を対数でとって10倍したものを言う((2)式)。
【数2】
(2)
【0024】
直線偏光波をガラス母材中に分散された金属微粒子に照射した場合、金属微粒子による光の吸収は、以下の(3)式によって与えられることが知られている(出典:例えば、T.P.Seward,III,J.Non-Cryst.Solid,40(1980)499-513)。
【0025】
【数3】
【0026】
式(3)において、Cabs は光の吸収断面積、V は針状金属微粒子の体積、nはガラス母材の屈折率、λは照射光の真空波長、ε’は針状微粒子を構成する金属の誘電率の実部、ε”は同虚部、Lは針状金属微粒子の形状によって決定される形状因子である。
【0027】
針状金属微粒子の場合、形状因子Lは、その方向によって異なる値をとり、例えば、その形状が回転楕円体、あるいは円柱形状で近似される場合には、その長手方向のLは短手方向のLに比べて小さくなる。その結果、吸収断面積Cabsが極大となる複素誘電率の値が方向によって異なり、かつ複素誘電率は光の波長によって異なることから、吸収断面積Cabsが極大をとる光の波長が方向によって異なることになる(本明細書では、式(3)において吸収断面積Cabsが極大となる光の波長を「プラズモン共鳴波長」と記している。)。
【0028】
すなわち、金属微粒子分散型偏光ガラスにおいては、一般的に、所望の光波長において針状金属微粒子の長手方向の吸収断面積Cabsが最大となるように、形状因子Lが決定され、その形状因子Lが得られるように針状金属微粒子のアスペクト比が制御される。例えば、光の波長:1.55μm、ガラス母材の屈折率:1.5の場合、金属微粒子として銀を用いた場合、Lの値は〜0.018、また針状金属微粒子の長径を短径で除したアスペクト比は〜11となる。
【0029】
斯かる構成において、所望の波長を有する直線偏光波を、その偏光面が針状金属微粒子の長手方向と平行になるように当該偏光ガラスに照射した場合、金属微粒子の共鳴吸収、所謂プラズモン共鳴吸収が発生し、その光の透過は阻止される。つまり、偏光消光軸は、針状金属微粒子の長手方向と一致する。
【0030】
一方、針状金属微粒子の長手方向と直交する方向に偏波された直線偏光波が照射された場合には、共鳴吸収は発生せず、ほぼ無損失で照射光は当該偏光ガラスを透過することになる。
【0031】
このように、針状金属微粒子の長手方向が特定の方向を向くように配向分散された金属微粒子分散型偏光ガラスにおける偏光効果には、金属微粒子のプラズモン共鳴吸収が深く関与しており、当該偏光ガラスが“吸収型の偏光素子”と称される所以である。
【0032】
金属微粒子分散型偏光ガラスに限らず偏光素子の光学特性は、その透過損失と消光比によって評価される。すなわち、良好な偏光素子とは、消光比が高く、かつ透過損失の小さい偏光素子を云い、金属微粒子分散型偏光ガラスの場合、両者は、共に針状金属微粒子のアスペクト比分布とその総個数に依存することになる。
【0033】
例えば、予めガラス母材中に、針状のハロゲン化銀、あるいはハロゲン化第一銅が、一様かつその長手方向が特定の方向を向くように分散され、還元性雰囲気で還元することにより、針状の金属銀、あるいは金属銅を得ると言う方法で製造される金属微粒子分散型偏光ガラスの場合には、針状金属微粒子のアスペクト比分布、及びその還元層厚によって透過損失、及び消光比が決定されることになる。
【0034】
以下、金属微粒子分散型偏光ガラスの透過損失、及び消光比について説明する。
【0035】
図12は、金属微粒子分散型偏光ガラスの透過損失、及び消光比の測定系を示す概略図である。図中、121はレーザ光源、122はグラントムソンプリズム、123は金属微粒子分散型偏光ガラス、124はパワーメータ、125は光源から出射された光線、Lは偏光ガラスとパワーメータのセンサーまでの距離である。グラントムソンプリズム122は、特定方向の直線偏光波を得るために挿入されている。
【0036】
金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比は、還元層厚の増加と共に増大し、一般的には、同厚が30〜40μm程度で飽和する。なお、金属微粒子分散型偏光ガラスの場合、その製造方法に起因して、還元層は当該偏光ガラスの両側面に、ほぼ同一の膜厚で形成される。このことを考慮し、以下、本明細書における「還元層厚」とは、片側に形成された還元層の厚さを言うものとする(前述した「同厚が30〜40μm」の30〜40μmとは片側に形成された還元層の膜厚である。)。
以下、発明者等の系統的な検討により明らかになった金属微粒子分散型偏光ガラスの消光特性とそれに対する散乱光の影響について詳細に説明する。
【0037】
図13に、従来の金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比の距離L依存性の一例を示す(Lについては、図12参照)。この場合、金属微粒子分散型偏光ガラスに含まれる針状金属微粒子は銅であり、還元層厚は〜30μmである。図中●印が測定された消光比で●印間の曲線は、各測定点を結んだものである。本測定に用いたレーザ光の波長は1.55μmで、そのビーム径は約1mmであり、図に示した測定距離Lの範囲内では、図12に示した光源121から出射されたレーザ光自体のビーム径は一定であった。
【0038】
図13に示したように、距離Lが200mm以上と比較的長い領域(以下「遠距離領域」と記す)においては、距離Lに依らず、金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比は〜55dBと一定の値をとるが、距離Lが100mm以下の比較的短い領域(以下、「近距離領域」と記す)では、その値は距離Lのほぼ自乗に逆比例して低下する。斯かる消光比の距離依存性は、従来からよく知られ、かつ金属微粒子分散型偏光ガラスの設計指針として用いられている(3)式を用いて説明することができない現象である。
【0039】
前述した消光比の距離依存性は、定性的に以下のように解釈される。
【0040】
図10に、金属微粒子分散型偏光ガラス中に配向分散された針状金属微粒子と光との相互作用を模式的に示す。図中、101、102は金属微粒子分散型偏光ガラス中に配向分散された針状金属微粒子、103は入射光、104は透過光成分、105は散乱光成分、106はパワーメータのセンサー部、Dは針状金属微粒子102とセンサー部106との距離である。
【0041】
同図において、入射光103は直線偏光波で、その電界振動方向は針状金属微粒子101、102の長手方向と平行で、かつ針状金属微粒子102のプラズモン共鳴波長が、入射光103の波長と略一致するように、そのアスペクト比が設定されているものとする。斯かる構成において、針状金属微粒子102に入射する光は、当該金属微粒子による共鳴吸収のため、その透過光104のパワーは、針状金属微粒子102に入射する光のパワーに比べて激減する(針状金属微粒子102に入射する光は、入射光103の一部)。一方、針状金属微粒子102に共鳴吸収された光の一部は熱エネルギーに変換されるが、その残余は、針状金属微粒子102内の自由電子の電子分極を誘起するために費やされる。当該電子分極は、入射光103の周波数と同一の周波数で振動する分極で、結果として、入射光103と同一波長の光を放射することになる。当該放射光が散乱光105の起源である。散乱光105の伝播方向は、必ずしも入射光103の伝播方向とは平行ではなく、例えば、散乱光105の強度は針状金属微粒子102の長手軸を対称軸とする円筒対称性を有する。
【0042】
すなわち、パワーメータのセンサー部106から観た場合、散乱光103の強度分布はほぼ空間等方的となるため、センサー部106によって検出される散乱光のパワーは、間隔Dのほぼ自乗に逆比例して減少することになる。これに対して、透過光成分104は入射光103と同様の伝播方向を維持するため、結果として、距離Dに依存せず一定のパワーを保持することになる。
【0043】
以上の結果から、近距離領域で測定された消光比の決定要因は散乱光105のパワーであり、遠距離領域で測定された消光比の決定要因は、入射光103と同一の方向に伝播する透過光成分104、及び針状金属微粒子101、102間の隙間を透過し、何ら金属微粒子分散型偏光ガラス中の針状金属微粒子と相互作用をしない、金属微粒子分散型偏光ガラスの透過光成分のパワーであると結論づけることができる。すなわち、遠距離領域で測定された消光比は、針状金属微粒子の吸収特性を反映したものであり、近距離領域で測定された消光比は、針状金属微粒子の散乱特性を反映したものと言うことができる。
【0044】
発明者等は、延伸された金属ハロゲン化物微粒子を還元することにより作製される金属微粒子分散型偏光ガラスについて、針状金属微粒子の形態と消光比あるいは光の透過スペクトルとの関係を、鋭意、系統的に検討した結果、一定の形態においては、その光に対する吸収特性は(3)式では説明できないことを発見し、係る知見に基づき本願発明を完成するに至った。
【0045】
以下、針状金属微粒子の形態と金属微粒子分散型偏光ガラスの光に対する透過特性との関係から、順次説明する。
【0046】
波長λの光を、N個の単一形状の金属微粒子群に照射した場合、その透過光のパワー、S(λ)は、(3)式から以下の式によって与えられる。
【0047】
【数4】
【0048】
また、金属微粒子の体積を一定と仮定し、形状因子のみが分布する場合には、(4)式において、吸収断面積Cabs(λ)を以下の式で与えられるCabstotal(λ)置換することにより、透過光パワー、S(λ)を求めることができる。
【0049】
【数5】
【0050】
(5)式において、S.F.は形状因子の意であり、Ω(S.F.)は形状因子に係る分布関数である。
【0051】
前述したように、金属微粒子分散型偏光ガラスにおいては、一般的に、所望の光の波長において、針状金属微粒子の長手方向の吸収断面積Cabs(λ)が最大となるように、形状因子Lが決定され、その形状因子Lが得られるように針状微粒子のアスペクト比が制御される。例えば、光の波長:1.55μm、ガラス母材の屈折率:1.5の場合、金属微粒子として銀を用いた場合、前述したようにLの値は〜0.018、アスペクト比は〜11となり、また銅を用いた場合には、Lの値は〜0.019、アスペクト比は〜10.3となる。
【0052】
すなわち、従来、金属微粒子分散型偏光ガラスの設計は、(3)式に基づいて行われ、例えば、光の波長が1.55μmで動作する偏光ガラスを得ようとする場合には、母材ガラス中に分散される銀、銅等の金属微粒子のアスペクト比が、前述した所望の値を中心に分布するように、製造プロセス条件等が決められていた。
【0053】
一方、発明者等が、延伸された金属ハロゲン化物微粒子を還元せしめることにより生じた金属微粒子の生成態様と消光比、及び光の透過スペクトルとの関係を系統的に、鋭意検討した結果、以下に説明する関係が存在することを新たに見出した。
【0054】
本発明を実施することによって得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果を、図15に示す。黒く粒状に見える部分が金属微粒子であり、金属微粒子と白く見える部分(非金属微粒子部)を合わせた領域が、還元処理する前に金属ハロゲン化物微粒子が存在していた領域、即ち略針状金属ハロゲン化物微粒子の痕跡である。
本発明を実施することによって得られる金属微粒子分散型偏光ガラスは、母材ガラス溶解工程以降、次の工程を経て、金属微粒子分散型偏光ガラスと成る。

(1)金属ハロゲン化物微粒子の析出工程(680〜750℃で熱処理)
↓(冷却)
(2)ガラスの延伸工程(550〜680℃で加熱延伸処理)
↓(冷却)
(3)還元工程(金属微粒子の生成)(300〜450℃の還元性雰囲気下で熱処理)

金属ハロゲン化物は還元工程で金属に還元されるが、金属ハロゲン化物のモル体積は、金属のモル体積に比べて数倍大きいため、金属ハロゲン化物の体積に比べると、還元によって生成した金属の体積は小さくなる(後述する表2参照)。
金属ハロゲン化物がCuClの場合を、各工程の処理温度を下記とし、ガラス基体のガラス転移点温度Tgを480℃として説明する。
CuCl微粒子の析出工程の温度:700℃
ガラスの延伸工程の温度 :650℃
還元工程の温度 :440℃

各工程でのCuClの状態及びガラス基体の構造を表1に示す。
【表1】
(1)CuCl微粒子の析出工程において、700℃保持での析出処理によってガラス基体内のClイオンとCuイオンが凝集して、液体状態のCuCl微粒子が析出する。冷却過程でガラスの温度がTgである480℃付近まで下がるとガラス構造は凍結し、ほぼ変形しなくなる。この温度域は、CuClの融点430℃(後述する表2参照)よりも高いため、CuClは依然液体として存在するが、ガラスの構造は凍結されるため、液体状態のCuClが占めていた領域も固定される。引き続き、ガラスの温度は下がりCuClの融点を下回るとCuClは液体から固体に相変化する。480℃での液体状態のCuClの密度は、3.65g/cm(金属データブック、日本金属学会編、丸善)であり、固体の状態のCuClの密度は、4.14g/cm(表2)であるので、液体状態のCuClが存在していた領域に対して、固体状態のCuCl占める割合は、88.2体積%(3.65g/cm÷4.14g/cm)となる。相変化により生じた体積差の11.8%は、液体状態のCuClが存在していた領域内で空洞となる。
(2)ガラスの延伸工程においては、上述のCuCl析出工程とほぼ同じ熱履歴を経るので、延伸工程を経て冷却後の略針状固体CuClが占めるCuCl微粒子が存在していた領域に対する割合は、(1)とほぼ同じである。
(3)還元処理は、ガラスのTg以下の温度で行われるため、ガラスの構造は凍結されたまま、CuClがCuに還元される。CuClのモル体積は、23.9cm/mol、Cuのモル体積は、7.09cm/mol(表2)であるので、生成するCu金属微粒子の体積は、固体状態のCuClの体積に対して29.7体積%(7.09cm/mol÷23.9cm/mol)となり、ガラス状態が凍結された時点でCuClが占めていた体積に対しては、26.2体積%(88.2体積%×29.7体積%)となる。
金属ハロゲン化物の種類、ガラスの冷却速度、ガラスや金属ハロゲン化物の熱膨張などの影響を受け、金属ハロゲン化物微粒子が占めていた領域に対する金属微粒子の体積が占める割合は、上述のように計算すると概ね15〜40体積%である。
生成された金属微粒子の生成態様は、図1に示す態様に分類される。
図1は、透過型電子顕微鏡で観察された、金属微粒子分散型偏光ガラス中の略針状金属微粒子の生成態様を模式的に示したものである。略針状金属ハロゲン化物が還元されて生成した複数の金属微粒子が、略針状金属ハロゲン化物が存在していた痕跡に存在する態様は、エンドウやインゲンなど実に例えることができる。略針状金属ハロゲン化物が存在していた痕跡がエンドウやインゲンの実の莢に、複数生成した金属微粒子が実の中にある豆に当たる。
図1において、11は延伸された金属ハロゲン化物微粒子が存在した痕跡、12は金属ハロゲン化物微粒子を還元することにより生成された金属微粒子である。また、図1(a)は1個の金属ハロゲン化物微粒子から1個の金属微粒子が生成された場合、図1(b)は同2個が、図1(c)は同3個が生成された場合を模式的に示している。いずれの場合も、金属ハロゲン化物微粒子のモル体積は、金属に比べて大きいために、前述した様に、金属ハロゲン化物微粒子の体積に対する金属微粒子の体積(図1(b)、図1(c)の場合にあっては、その総和)の割合(以下、この割合を「金属充填率」と記す。)は、1より小さくなる。
【0055】
表2は、銅、銀およびそれらのハロゲン化物の物性についてのものである。
【表2】
【0056】
また、図1(a)に示した生成態様において、金属微粒子のアスペクト比分布の中心が8〜9の範囲にある場合には、図1(b)に示した態様においては、その分布の中心が4〜6に、また図1(c)の場合には、2〜3といったように、金属微粒子の生成個数に応じて減少する(以後、アスペクト比とは、延伸された金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と平行な方向の金属微粒子の寸法(図1(a)〜(c)のa、n=1〜6)を、同短手方向と平行な方向の金属微粒子の寸法(図1(a)〜(c)のb、n=1〜6)で除した値a/bを言うものとする。)。
また、図1(a)に示した生成様態で、本発明と同等の体積の金属微粒子を同じ個数生成させた金属微粒子分散型偏光ガラスでは、金属微粒子は、ガラス基体内に無秩序に分散するのに対し、本発明を実施したことによって得られる金属微粒子分散型偏光ガラスでは、金属微粒子が存在するガラス基体内の位置は、金属微粒子の元となる略針状金属ハロゲン化物微粒子の形状に拘束され、ある規則性を持ってガラス基体内に分散される。
【0057】
本現象についての物理的起源は未だ不明であるが、斯かる実験事実は、図1に示したような1個の略針状金属ハロゲン化物微粒子から、複数個の金属微粒子が還元生成される場合、当該金属微粒子のアスペクト比が光の透過特性に与える影響は、(3)式から予測される影響に比べて極めて小さいことを示すものである。換言すると、金属微粒子のアスペクト比が一定の範囲にある場合には、その大小に拘わらず光の透過率と透過スペクトルは、ほぼ一義的に決定されることを示唆しているものと考えられる。
【0058】
更に、アスペクト比が透過特性に及ぼす影響が少ない状況、換言すると、アスペクト比に依らず、金属微粒子の吸収効率がある一定の値が担保される状況下においては、金属微粒子からの再放射に基づく散乱光強度は、その体積の自乗に比例することから、金属微粒子の体積自体を減少せしめれば、散乱光強度を減少せしめることができる。 前述した図―1(a)、(b)、(c)において、その延伸された金属ハロゲン化物微粒子が存在した痕跡11の体積が同じで、そこから還元により生成された金属微粒子12のそれぞれの体積の総和が(a)、(b)、(c)において同じと仮定する。さらに(a)の1個の金属微粒子12の体積を1として、(b)では等量にその体積が半分に分かれ、(c)では等量に3等分されたと仮定する。
すると上述したように、金属微粒子からの再放射に基づく散乱光強度は、その体積の自乗に比例することから、(a)の散乱光強度を1とすると、(b)の散乱光強度は2×(1/2)2で0.5となり、(c)では3×(1/3)2で0.33と低下してゆく。
【0059】
以上のことから、図1(b)及び図1(c)に示したような金属微粒子の生成態様において、近距離消光比が飛躍的に改善された原因は、金属微粒子が分割されたことによる体積減少効果によるものと推定される。 本発明において、還元前の金属ハロゲン化物微粒子の体積が大きすぎると、1個の金属ハロゲン化物微粒子から還元後に生成される金属微粒子の個数が増えたとしても、個々の金属微粒子体積が大きくなってしまうので、複数個に分かれる体積減少の効果が薄まってしまう。
発明者らが、系統的に調査した結果、その体積が2,500〜2,500,000nm3である金属ハロゲン化物微粒子の個数が、総金属ハロゲン化物微粒子個数の90%以上を占める場合に、図1(b)、(c)の金属微粒子分割の効果があり、測定距離15mmにおける近距離消光比が向上し42dB以上になることが判明した。
金属ハロゲン化物微粒子の体積が2,500nm3未満である場合には、その体積が小さすぎて、加熱延伸後の金属ハロゲン化物微粒子の必要なアスペクト比が得られず、ほとんど消光比特性が得られない。
ここで、本発明並びに本明細書における金属ハロゲン化物微粒子の体積、還元前に金属ハロゲン化物微粒子の占めていた領域の体積、及び金属微粒子等の体積は次に示す算定方法にて算出することとした。
すなわち、ガラス母材を熱処理することによって析出した略球状のハロゲン化物微粒子は、その後の延伸工程でガラスが延伸されることによって、変形し、その形状は略針状となる。このことから、ガラス基体内に存在する略針状ハロゲン化微粒子の形状は、円錐と円柱から成ると見なすことができる。
このことから、ガラス基体内に存在しているハロゲン化物微粒子の痕跡の体積は、痕跡が円錐と円柱から成るとして計算した。
透過型電子顕微鏡写真に写っているハロゲン化物微粒子の痕跡に三角形と長方形を当てはめ、円錐部分の体積は、前記三角形の底辺を直径とする円を底面とし、三角形の高さを円錐の高さとする円錐として計算した。一方、円柱部分の体積は、前記長方形のハロゲン化物微粒子の痕跡の短手方向の長さを直径とする円を底面とし、長手方向の長さを高さとする円柱として計算した。
略針状ハロゲン化物微粒子の痕跡の体積は、得られた円錐の体積と円柱の体積を足し合わせることによって求めた。
略針状ハロゲン化物微粒子を還元処理することによって生成する金属微粒子の体積も、略針状ハロゲン化微粒子の痕跡の体積を求めるのと同様、金属微粒子が円錐と円柱から成るとして、算出した。
また、1個の金属ハロゲン化物微粒子から生成した金属微粒子の体積、金属微粒子が複数個生成した場合の体積の総和を金属ハロゲン化物微粒子の体積で割った金属充填率が40%を超える場合、該金属ハロゲン化物微粒子の還元が不十分と考えられ、還元後に還元途中の金属ハロゲン化物微粒子が還元により生成された金属と混ざって存在する状態で、透過型電子顕微鏡写真では濃淡がありながら黒く映っていると考えられる。この様な場合、本来還元で収縮すべき金属ハロゲン化物微粒子の体積が還元後も残ることになり、還元された金属微粒子と還元途中の金属ハロゲン化物微粒子が一体型金属物となって体積が大きくなり、入射光に対してこの一体型金属物が作用するので、その体積増加によって再放出による散乱光を強く発生する。またこの様な、一体型金属物となっている態様では、金属微粒子も複数個に分割されない傾向にあるので、本発明の金属微粒子が分割されて散乱光強度が低下することによる近距離消光比の向上の効果が期待できない(なお、前述した様に該金属ハロゲン化物微粒子の還元が不十分で、還元後に還元途中の金属ハロゲン化物微粒子が還元により生成された金属と混ざって一体型金属物として存在する状態であっても、透過型電子顕微鏡写真で濃淡がありながら黒く映っている部分の体積の総和を、それらの元となる金属ハロゲン化物微粒子の体積で割った値を金属充填率と呼ぶ。)。金属充填率が4%未満の場合には、温度、還元雰囲気等の何らかの還元条件の不足により還元反応が起こっていないか、相当に未達であると考えられ、消光比特性がほとんど得られない。
よって、本発明における好ましい金属充填率の範囲は4〜40%である。透過型電子顕微鏡写真では、写真の撮り方によっても金属部分の濃淡が生じるので、金属充填率が4〜40%である金属ハロゲン化物微粒子の個数が総金属ハロゲン化物微粒子個数の90%以上を占める状態が好ましい。
【0060】
本発明において、1個の金属ハロゲン化物微粒子から3個の金属微粒子が生成されると、2個の金属微粒子の場合に比べて金属微粒子の分割が進み、散乱光強度が低下することによって近距離消光比がより向上する。さらに3個以上の金属微粒子に分割された金属ハロゲン化物微粒子の個数が、総金属ハロゲン化物微粒子個数の20%以上あると顕著に近距離消光比が向上することが確認された。この態様における構造の偏光ガラスの近距離消光比は、おおむね45dB以上である。
なお、斯かる1個の延伸金属ハロゲン化物微粒子から複数個の金属微粒子が還元生成されることによる効果は、図1に示したような、生成される金属微粒子の数が2あるいは3個の場合に限定されず、それ以上の個数においても発現する効果であることは、あらためて言及するまでもない。
また、還元により生成された個々の金属微粒子の体積はできるだけ小さいことが望ましく、発明者らが、系統的に調査した結果、体積が100,000nm3以下の金属微粒子の個数が、総金属微粒子の個数の90%以上であると、本発明の金属微粒子分割による散乱光低減の効果が現れやすい。
本発明の特徴である金属微粒子が分割することによって、近距離消光比を向上させた偏光ガラスでは、金属微粒子のアスペクト比は金属分割によって比較的小さな値になる。これまで偏光ガラスの光吸収を表すと考えられてきた(3)式では、例えば該金属微粒子アスペクト比が2以下では、光通信の波長帯である、1.31μmや1.55μmでは、ほとんど光吸収が生じない。しかしながら、本発明では、1個の金属ハロゲン化物微粒子から3個の金属微粒子が生成する態様においては、金属微粒子アスペクト比が2以下のものが含まれる。さらに金属微粒子が5〜10個に分割される場合では、該金属微粒子アスペクト比は2以下であるものが大部分になる。
また(3)式からは、前述のようにおよそ金属微粒子アスペクト比は11を中心に分布することが期待されるが、1個の金属ハロゲン化物微粒子から3個の金属微粒子が生成する態様においては、金属微粒子アスペクト比が9以下のものが、全金属微粒子の90%以上を占める。
上記3つの場合のいずれでも、その偏光ガラスの近距離消光比を調べてみると42dB以上と高く、ピッグテール型アイソレーターに組み込んでも、31dB以上の使用可能なアイソレーションが得られたのである。
前述の金属ハロゲン化物微粒子の体積および金属充填率、1個の金属ハロゲン化物微粒子から生成される金属微粒子の数とその割合、金属微粒子の体積、金属微粒子アスペクト比などの数値算出は、透過型電子顕微鏡写真で50個程度の金属ハロゲン化物微粒子について解析を行うとほぼ正確に数値が限定される。
【0061】
以下、本願発明について実施例を用いて、更に詳細に説明する。
【比較例】
【0062】
組成が、SiO:57.5wt%、B:19.5wt%、Al:8.9wt%、AlF:2.0wt%、NaO:9.8wt%、NaCl:1.4wt%、CuCl:0.8wt%、SnO:0.1wt%のガラスを、原料として SiO、HBO、Al(OH)、NaCO、NaCl 、AlF、CuCl、SnOを用いて、3リットルの白金ルツボに入れ約1450℃で溶解した後、グラファイトの型に流し込んで成形し室温まで除冷することにより製造した。
【0063】
このガラスを700℃で6時間熱処理し、CuCl微粒子を析出させた。このガラスを5×50×100mmのサイズに切り出しプリフォームを形成した。当該プリフォームを加熱して約600℃で延伸することにより、厚さが約0.7mmのガラスフィルムを得た。
得られたガラスフィルムを透過型電子顕微鏡で観察した結果、略針状の多数の金属ハロゲン化物微粒子が、その長手方向が略一方向に向くように配向分散されていることを確認した。
当該ガラスフィルムを0.3mm厚に機械研磨で薄肉化した後、水素雰囲気中、440℃で約7時間の熱処理を施すことにより、針状に延伸されたCuCl微粒子を金属銅に還元し、金属微粒子分散型偏光ガラスを作製した。 得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微で観察したところ、還元処理前に略針状金属ハロゲン化物微粒子が存在していた痕跡は、還元処理後も配向分散の状態は変わらず、その長手方向が略一方向に向くように配向分散されていることが判った。
また、還元処理前に存在していたCuCl微粒子の痕跡から、析出したCuCl微粒子の総数に対する、体積が2,500〜2,500,000nmのCuCl微粒子の個数の占める割合は86%であった。
また、銅微粒子の生成態様は、全てが図1(a)に模式的に示された態様で、図1(b)に模式的に示されたような、延伸された1個のCuCl微粒子から2個の銅微粒子が生成する態様は認められなかった。また、金属充填率が4〜40%の銅微粒子の割合は67%であり、生成した銅微粒子の総数に対する、体積が100,000nm以下の銅微粒子の個数が占める割合は85%であった。なお、このとき得られた還元層厚は約35μmであった。
図8に、透過型電子顕微鏡観察の結果から求めた、銅針状微粒子のアスペクト比の分布を示す。金属微粒子アスペクト比が2未満の銅微粒子は認められなかった。また、平均の金属微粒子アスペクト比は、7.9であった。
図8に示した81は銅針状微粒子のアスペクト比分布、82はアスペクト比分布81の近似分布曲線で、以下に示す(6)式によって与えられる曲線である。なお、銅針状微粒子のアスペクト比分布81を求めた際の母数は約200個であった。
【数6】
(6)式において、xはアスペクト比である。
【0064】
前述した方法で製造された金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比を、図12に示した測定系を用いて測定した結果、測定波長:1.55μmで距離(L):15mmのときの消光比は37dBであった。また、本実施例の金属微粒子分散ガラスを用いて、図14に示したピッグテール型光アイソレータを作製し、アイソーレーションを測定したところ、27dBと目標とする30dBよりも3dB低い結果であった。
消光比ほかの得られた結果を後述する表3にまとめて示す。
【0065】
図9に、延伸されたCuCl微粒子の長手方向と平行な方向を電界振動方向とする直線偏光波に対する透過スペクトルの実測値と図8に示したアスペクト比分布を基に、(3)式〜(6)式を用いて計算された透過スペクトルとを比較して示す。図中91は計算により求めた透過スペクトル、92は実測された透過スペクトルである。透過スペクトルの実測は分光器を用いて行ったが、使用した装置では1%以下の透過率は測定できないため、図9には、透過率が1%以下となる950〜1730nmの波長域については実測の透過率が示されていない。
【0066】
計算に際しては、銅微粒子の体積は一定であると仮定し、(5)式におけるΩ(S.F.)として、(6)式を用い、かつ銅微粒子の形状は葉巻型の回転楕円体であると仮定して、形状因子、L、を以下に示す(7)式(出典:例えばR.Becker,Electromagnetic fierld and interaction, Blaisdell,(1961),102-107)を用いて算出した。
【0067】
【数7】
【0068】
また、透過スペクトルの計算に際して、(5)式中のNと分布関数、Ω(S.F.)(若しくはΩ(x)の規格化因子との積の値が必要となるが、係る値については、波長:2000nmにおける実測された透過率と計算による透過率が一致するとして求めた。
【0069】
図9に示したように、実測された透過スペクトルと計算された透過スペクトルは、波長が1000nm以下の短波長側では若干の相違が認められるものの、波長が1700nm以上の長波長側では良い一致を示す。
【0070】
なお、特許請求の範囲に記載された「理論的に求められる透過率スペクトルの形状」とは、金属微粒子のアスペクト比の実測値から、前述した方法で求められる透過率スペクトルの形状を意味するものである。
【実施例1】
【0071】
本実施例においては、組成が、 SiO:56.0wt%、B:17.5wt%、Al:6.0wt%、AlF:4.0wt%、NaO:10.0wt%、NaCl:2.0wt%、CuCl:1.2wt%、SnO:0.3wt%のガラスを用いて金属微粒子分散型偏光ガラスを作製した。ガラスの溶解方法等のその他の条件は比較例と同様にして、金属微粒子分散型偏光ガラスを作製した。 この金属微粒子分散型偏光ガラスは、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡が、その長手方向が略一方向に向くように配向分散され、多数の痕跡内には、銅微粒子が生成されていた。
さらに詳細には、得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡(本実施例における観察数は、略200である)のうち、総数の略18%の痕跡において、図1(b)に模式的に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から2個の銅微粒子が生成されていることが確認された。さらに、観察した痕跡のうち、略82%の痕跡については、図1(a)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から1個の銅微粒子が生成される態様であり、図1(c)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から3個の銅微粒子が生成される態様は、本実施例においては確認されなかった。
さらに、これら多数の痕跡の体積を、透過型電子顕微鏡による観察像から、段落0059に示した算出方法により集計したところ、観察した痕跡の略90%以上は、その体積が、2,500〜2,500,000nmの範囲であった。
また、これら多数の痕跡に生成された1つの銅微粒子の体積又は2つの銅微粒子の体積総和は、それらの略90%以上は、前記した痕跡の体積の4〜40%の範囲に分布していた。さらに、個々の銅粒子の体積は、その略90%以上が、100,000nm以下の範囲に分布していることが確認された。
【0072】
図2に、透過型電子顕微鏡観察の結果から求めた、銅針状微粒子のアスペクト比の分布を示す。金属微粒子アスペクト比が2未満の銅微粒子の割合は、生成した銅微粒子の総数に対して17%であり、平均の金属微粒子アスペクト比は、4.1であった。
図2に示した21は銅針状微粒子のアスペクト比分布、22はアスペクト比分布21の近似分布曲線で、以下に示す(8)式によって与えられる曲線である。なお、銅針状微粒子のアスペクト比分布21を求めた際の母数は約200個であった。
【0073】
【数8】
【0074】
本実施例により成る金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比を、図12に示した測定系を用いて測定した結果、測定波長:1.55μmで距離(L):15mmのときの消光比は42dBであった。また、本実施例の金属微粒子分散ガラスを用いて、比較例と同様、ピッグテール型光アイソレータを作製し、アイソーレーションを測定したところ、目標とする30dBを越えた31dBであった。
消光比ほかの得られた結果を後述する表3にまとめて示す。
【0075】
図3に、図2に示したアスペクト比分布から、比較例と同様の方法で計算された透過スペクトルと実測されたスペクトルとを比較して示す。図中、31は計算により求めた透過スペクトル、32は実測されたスペクトルである。なお、計算に際して、(5)式中のNと分布関数の規格化因子との積は、波長:800nmにおける実測された透過率と計算による透過率が一致するとして求めた。
【0076】
図3に示したように、比較例の場合に比べて、実測された透過スペクトルと計算されたスペクトルとは大きく異なり、計算された透過スペクトルの形状は長波長側に拡張された形状、換言すると、透過率が約1%以下となる領域が長波長域にまで及んでいることが判る。また、少なくとも、今回測定された500〜2500nmの帯域に亘って、本実施例により成る偏光ガラスの透過率は50%以下であった。
【実施例2】
【0077】
本実施例においては、以下の点を除き、実施例1に記載した方法と同様の方法(すなわち、比較例記載の方法)で金属微粒子分散型偏光ガラスを作製した。すなわち、本実施例においては、プリフォームの板厚を2mmとして、当該プリフォームを延伸することにより0.25mm厚のガラスフィルムを作製した。その後、機械研磨で薄肉化することなく、実施例1(比較例と同様)に記載された条件で還元処理を施した。
この金属微粒子分散型偏光ガラスは、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡が、その長手方向が略一方向に向くように配向分散され、多数の痕跡内には、銅微粒子が生成されていた。
さらに詳細には、得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡(本実施例における観察数は、略300である)のうち、総数の略48%の痕跡において、図1(b)に模式的に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から2個の銅微粒子が生成されていることが確認され、略20%の痕跡については、図1(c)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から3個以上の銅微粒子が生成される態様であることが確認された。図1(a)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から1個の銅微粒子が生成される態様は、略32%の痕跡において確認された。
さらに、これら多数の痕跡の体積を、透過型電子顕微鏡による観察像から、段落0059に示した算出方法により集計したところ、観察した痕跡の略93%は、その体積が、2,500〜2,500,000nmの範囲であった。
また、これら多数の痕跡に生成された1つの銅微粒子の体積、若しくは2つ又は3つ以上の銅微粒子の体積総和は、それらの略99%において、前記した痕跡の体積の4〜40%の範囲に分布していることが確認された。さらに、個々の銅粒子の体積は、その略96%が、100,000nm以下の範囲に分布していることが確認された。
【0078】
図4に、透過型電子顕微鏡観察の結果から求めた、銅針状微粒子のアスペクト比の分布を示す。金属微粒子アスペクト比が2未満の銅微粒子の割合は、生成した銅微粒子の総数に対して53%であり、平均の金属微粒子アスペクト比は、2.5であった。
図4に示した41は銅針状微粒子のアスペクト比分布、42はアスペクト比分布41の近似分布曲線で、以下に示す(9)式によって与えられる曲線である。なお、銅針状微粒子のアスペクト比分布41を求めた際の母数は約300個であった。
【0079】
【数9】
【0080】
本実施例により成る金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比を、図12に示した測定系を用いて測定した結果、測定波長:1.55μmで距離(L):15mmのときの消光比は45dBであった。
また、本実施例の金属微粒子分散ガラスを用いて、ピッグテール型光アイソレータを作製し、アイソーレーションを測定したところ、目標とする30dBを越えた32dBであった。
消光比ほかの得られた結果を後述する表3にまとめて示す。
【0081】
図5に、図4に示したアスペクト比分布から、比較例と同様の方法で計算された透過スペクトルと実測されたスペクトルとを比較して示す。図中、51は計算により求めた透過スペクトル、52は実測されたスペクトルである。なお、計算に際して、(5)式中のNと分布関数の規格化因子との積は、波長:800nmにおける実測された透過率と計算による透過率が一致するとして求めた。
【0082】
図5に示したように、比較例の場合に比べて、実測された透過スペクトルと計算されたスペクトルとは大きく異なり、計算された透過スペクトルの形状は長波長側に拡張された形状、換言すると、透過率が約1%以下となる領域が長波長域にまで及んでいることが判る。また、少なくとも、今回測定された500〜2600nmの帯域に亘って、本実施例により成る偏光ガラスの透過率は50%以下であった。
【実施例3】
【0083】
本実施例においては、以下の点を除き、実施例1に記載した方法と同様の方法(すなわち、比較例記載の方法)で金属微粒子分散型偏光ガラスを作製した。すなわち、本実施例においては、還元処理を水素雰囲気圧力:100気圧、処理温度:355℃、及び処理時間:30分の条件で行った。
この金属微粒子分散型偏光ガラスは、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡が、その長手方向が略一方向に向くように配向分散され、多数の痕跡内には、銅微粒子が生成されていた。
さらに詳細には、得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、還元処理前に個々のCuCl微粒子が占めていた多数の痕跡(本実施例における観察数は、略300である)のうち、総数の略92%の痕跡において、図1(c)に模式的に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から3個以上の銅微粒子が生成されていることが確認され、略6%の痕跡については、図1(b)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から2個の銅微粒子が生成される態様であることが確認された。図1(a)に示すような、還元処理前の1つのCuCl微粒子から1個の銅微粒子が生成される態様は、略2%の痕跡において確認された。
さらに、これら多数の痕跡の体積を、透過型電子顕微鏡による観察像から、段落0059に示した算出方法により集計したところ、観察した痕跡の略97%は、その体積が、2,500〜2,500,000nmの範囲であった。
また、これら多数の痕跡に生成された1つの銅微粒子の体積、若しくは2つ又は3つ以上の銅微粒子の体積総和は、それらの略100%において、前記した痕跡の体積の4〜40%の範囲に分布していることが確認された。さらに、個々の銅粒子の体積は、その略99%が、100,000nm以下の範囲に分布していることが確認された。
【0084】
図4に示した41は銅針状微粒子のアスペクト比分布、42はアスペクト比分布41の近似分布曲線で、以下に示す(8)式によって与えられる曲線である。なお、銅針状微粒子のアスペクト比分布41を求めた際の母数は約300個であった。
図6に、透過型電子顕微鏡観察の結果から求めた、銅針状微粒子のアスペクト比の分布を示す。金属微粒子アスペクト比が2未満の銅微粒子の割合は、生成した銅微粒子の総数に対して83%であり、平均の金属微粒子アスペクト比は、1.4であった。
図6に示した61は銅針状微粒子のアスペクト比分布、62はアスペクト比分布61の近似分布曲線で、以下に示す(10)式によって与えられる曲線である。なお、銅針状微粒子のアスペクト比分布61を求めた際の母数は約300個であった。
【0085】
【数10】
【0086】
本実施例により成る金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比を、図12に示した測定系を用いて測定した結果、測定波長:1.55μmで距離(L):15mmのときの消光比は47dBであった。
また、本実施例の金属微粒子分散ガラスを用いて、ピッグテール型光アイソレータを作製し、アイソーレーションを測定したところ、目標とする30dBを越えた34dBであった。
消光比ほかの得られた結果を表3にまとめて示す。
【0087】
表3は、実施例1〜3、比較例で得られた偏光素子の特性についてのものである。
【表3】
【0088】
本発明に基づく実施例1〜3による、還元処理により生成された銅微粒子は、それぞれの実施例における銅微粒子のアスペクト比の分布を示す、図2、図4、図6からも明らかなとおり、これらのアスペクト比は、9以下のものが、90%以上を占めて構成されるものである。
これら構成に基づく偏光素子は、前述したとおり、何れも高い消光比を実現しており、このような作用効果を示す理論は、必ずしも明らかではないが、金属微粒子の吸収効率がある一定の値が担保される状況下においては、金属微粒子アスペクト比が(3)式から予想される値より小さくとも、金属ハロゲン化物微粒子内で還元により金属微粒子が複数個生成されることによる、金属微粒子体積が小さくなる影響で再放射光が減少し、近距離消光比が向上するものと考えられる。
【0089】
図7に、図6に示したアスペクト比分布から、比較例と同様の方法で計算された透過スペクトルと実測されたスペクトルとを比較して示す。図中、71は計算により求めた透過スペクトル、72は実測されたスペクトルである。なお、本実施例の場合には、比較例あるいは前述した実施例のように、(5)式中のNと分布関数の規格化因子との積を、計算された透過率と実測された透過率とを合わせることにより求めることができないため、計算された透過率の最小値が約0.004%となるように計算された透過スペクトルを示している。
【0090】
図7に示したように、比較例の場合に比べて、実測された透過スペクトルと計算されたスペクトルとは大きく異なり、計算された透過スペクトルの形状は長波長側に拡張された形状、換言すると、透過率が約1%以下となる領域が長波長域にまで及んでいることが判る。また、少なくとも、今回測定された500〜2600nmの帯域に亘って、本実施例により成る偏光ガラスの透過率は50%以下であった。
【0091】
以上、実施例を用いて本願発明について詳細に説明した。なお、本願発明の効果は実施例に記載された方法、条件により製造された金属微粒子分散型偏光ガラスに特有のものではなく、1個の金属ハロゲン化物微粒子から複数個の金属微粒子が生成するような態様の金属微粒子分散型偏光ガラスに発現する効果である。この意味で金属種として銅に限定されるものではなく、銀等を用いた場合にも同様の効果が発現する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明により成る微粒子分散型偏光ガラスは、ピッグテール型光アイソレータ等の偏光ガラスが用いられる光アイソレータ、あるいはその他、偏光素子が用いられる光学装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】金属微粒子分散型偏光ガラス中の針状金属微粒子の生成態様を示す模式図である。
【図2】銅針状微粒子のアスペクト比の分布である。
【図3】透過スペクトルの実測値と計算された透過スペクトルである。
【図4】銅針状微粒子のアスペクト比の分布である。
【図5】透過スペクトルの実測値と計算された透過スペクトルである。
【図6】銅針状微粒子のアスペクト比の分布である。
【図7】透過スペクトルの実測値と計算された透過スペクトルである。
【図8】銅針状微粒子のアスペクト比の分布である。
【図9】透過スペクトルの実測値と計算された透過スペクトルである。
【図10】金属微粒子分散型偏光ガラス中に配向分散された針状金属微粒子と光との相互作用を示す図である。
【図11】はフリースペース型の光アイソレータの光学系を模式的に示した概略即断面図である。
【図12】金属微粒子分散型偏光ガラスの透過損失、及び消光比の測定系を示す概略図である。
【図13】従来の金属微粒子分散型偏光ガラスの消光比の距離L依存性の一例である。
【図14】ピッグテール型光アイソレータの光学系を模式的に示した概略側断面図である。
【図15】本発明を実施することにより得られた金属微粒子分散型偏光ガラスを透過型電子顕微鏡によって観察した画像である。
【符号の説明】
【0094】
11 延伸された金属ハロゲン化物微粒子が存在した痕跡
12 金属ハロゲン化物微粒子を還元することにより生成された金属微粒子
21 銅針状微粒子のアスペクト比分布
22 アスペクト比分布21の近似分布曲線
31 計算により求めた透過スペクトル
32 実測されたスペクトル
41 銅針状微粒子のアスペクト比分布
42 アスペクト比分布41の近似分布曲線
51 計算により求めた透過スペクトル
52 実測されたスペクトル
61 銅針状微粒子のアスペクト比分布
62 アスペクト比分布61の近似分布曲線
71 計算により求めた透過スペクトル
72 実測されたスペクトル
81 銅針状微粒子のアスペクト比分布
82 アスペクト比分布81の近似分布曲線
91 計算により求めた透過スペクトル
92 実測された透過スペクトル
101、102 金属微粒子分散型偏光ガラス中に配向分散された針状金属微粒子
103 入射光
104 透過光成分
105 散乱光成分
106 パワーメータのセンサー部
111、112 偏光素子
113 ファラデー回転子
114 光アイソレータ
115、115‘ レンズ
116 光ファイバ
117 光源
118、118‘ 光源117に戻る帰還光の光束を模式的に示す線群
121 レーザ光源
122 グラントムソンプロズム
123 金属微粒子分散型偏光ガラス
124 パワーメータ
125 光源から出射された光線
141 偏光素子111に含まれる針状金属微粒子
142 散乱光の伝搬方向を模式的に示す矢印
143 帰還光束の光路
L 偏光ガラスとパワーメータのセンサーまでの距離
D 針状金属微粒子72とセンサー部106との距離

Claims (11)

  1. 略針状の多数の金属ハロゲン化物微粒子がその長手方向が略一方向に向くように配向分散されたガラス基体を還元性雰囲気中で熱処理して前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することによって、前記還元前に前記個々の金属ハロゲン化物微粒子が占めていた多数の領域内に生成された金属微粒子を有し、
    前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、前記領域毎に複数個であって、
    前記多数の領域の総数の90%以上において、前記多数の領域の個々の体積が、2,500〜2,500,000nmであり、
    前記多数の領域の総数の90%以上において、前記領域毎に存在する金属微粒子の体積または前記領域毎に存在する複数個の金属微粒子の体積総和が、前記領域の体積の4〜40%であることを特徴とする偏光素子。
  2. 前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、3個以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光素子。
  3. 前記多数の領域のうち20%以上の領域に存在する前記金属微粒子数が、3個以上であることを特徴とする請求項2に記載の偏光素子。
  4. 前記金属微粒子の体積が、前記還元により生成される金属微粒子の総数の90%以上において、100,000nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の偏光素子。
  5. 前記金属微粒子は、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と平行方向の寸法を、前記金属ハロゲン化物微粒子の短径方向と平行方向の寸法で除すことにより求められる金属微粒子アスペクト比が、2未満のものを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の偏光素子。
  6. 前記金属微粒子は、前記還元により生成される金属微粒子の総数の90%以上において、前記金属微粒子アスペクト比が、9以下のものにより占められることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の偏光素子。
  7. 測定距離L=15mmにおける近距離消光比が、42dB以上であること特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の偏光素子。
  8. 略針状の多数の金属ハロゲン化物微粒子がその長手方向が略一方向に向くように配向分散されたガラス基体を還元性雰囲気中で熱処理して前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することによって、前記還元前に前記個々の金属ハロゲン化物微粒子が占めていた多数の領域内に生成された金属微粒子を有し、
    前記多数の領域のうち少なくとも一部の領域に存在する前記金属微粒子数が、前記領域毎に複数個であって、
    前記多数の領域の総数の90%以上において、前記多数の領域の個々の体積が、2,500〜2,500,000nmであり、
    前記多数の領域の総数の90%以上において、前記領域毎に存在する金属微粒子の体積または前記領域毎に存在する複数個の金属微粒子の体積総和が、前記領域の体積の4〜40%であることを特徴とする偏光素子であって、
    前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルの形状が、前記金属ハロゲン化物微粒子を還元することにより生成された金属微粒子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と平行方向の寸法を、前記金属ハロゲン化物微粒子の短径方向と平行方向の寸法で除すことにより求められる金属微粒子アスペクト比の分布から理論的に求められる透過率スペクトルの形状に対して、長波長側に拡張していることを特徴とする偏光素子。
  9. 前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルにおいて透過率が略1%となる波長帯域幅が、前記金属微粒子アスペクト比の分布から理論的に求められる透過率スペクトルにおいて、透過率が略1%となる波長帯域幅に対して広いことを特徴とする請求項8に記載の偏光素子。
  10. 前記偏光素子の、前記金属ハロゲン化物微粒子の長手方向と略平行な方向に電界振動方向を有する直線偏光波に対する透過率スペクトルにおいて、少なくとも光の波長が400nmから2500nmの帯域で、透過率が略50%以下となることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の偏光素子。
  11. 前記金属ハロゲン化物微粒子が、銀ハロゲン化物、若しくは銅ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜3、請求項8、請求項9の何れか一項に記載の偏光素子。
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