JP2002072264A - 光制限材料 - Google Patents

光制限材料

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JP2002072264A JP2000262188A JP2000262188A JP2002072264A JP 2002072264 A JP2002072264 A JP 2002072264A JP 2000262188 A JP2000262188 A JP 2000262188A JP 2000262188 A JP2000262188 A JP 2000262188A JP 2002072264 A JP2002072264 A JP 2002072264A
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圭子 田和
Takeyuki Tanaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強いレーザー光の照射によっても発熱に起因す
る損傷を受けにくく、可逆的であって、且つ優れた光制
限効果を安定に発現し、且つ、簡便・安価に製造できる
新たな高性能の光制限材料を提供することを主な目的と
する。 【解決手段】透明基板とTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Nb,Mo,Ru,In,Sn,Sb,Ta,W,Re,Os,Irお
よびBiからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の
酸化物(但し、VO2 を除く)とから形成される光制限材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強い光に高速応答
する光制限材料(Optical limiting materialまたはOpti
cal power limiting material)に関し、より詳細には、
強いレーザー光に対して肉眼、センサなどを保護するた
めに、或いは種々の光デバイスにおいて過大なレーザー
光が入力された場合にこれを遮断して光デバイス構成部
品の光損傷を防止するために、光シャッターあるいは光
ヒューズ機能を発揮する新規な材料に関する。
【0002】
【従来の技術】強度の弱い光が入射された場合には良く
透過し、強度の強い光が入射された場合にのみ透過光強
度を一定以下に抑制する効果、即ち、光制限効果を示す
材料は、公知である。光制限材料は、可逆な応答特性を
示すものと不可逆な応答特性を示すものの2種類に大別
される。
【0003】可逆な応答特性を示す光制限材料は、入射
光強度を増大後、元の値まで減少させた場合に、透過光
強度も元の値へ回復する特性を示し、繰り返し使用可能
である。一方、不可逆な応答特性を示す材料は、入射光
強度を増大後、元の値まで減少させても透過光強度は低
いまま保持される特性を示し、1度作動させると繰り返
し使用できない。可逆な応答特性を示す光制限材料は、
不可逆な応答を示す材料よりも産業上の利用範囲が広
く、利用価値が高いので、最近活発に研究されている。
【0004】高強度の光入力から肉眼、センサ、光デバ
イス構成部品などを保護するためには、強い光が入力さ
れると直ちに応答するような高速応答性が必要である。
また、弱い光入力の場合には、長時間光を連続照射して
も光透過特性が変化しないことが必要である。この様
に、光制限材料には、上記のような2つの基本的な条件
が要求される。
【0005】比較的大きな光制限効果を高速で発現する
材料として、これまでに、ポルフィリン誘導体、フラー
レン等の有機系材料が、有力候補として見いだされてい
る。
【0006】しかしながら、その性能は、実用には十分
とは言えない。例えば、これらの有機系材料は、耐熱性
があまり高くないので、非常に強い光を吸収した際に起
こる急激な温度上昇によって分子構造が不可逆的に変化
したり、あるいは熱分解等を起こしてしまって、特性が
不可逆的に変化したり、光制限効果を失ってしまう恐れ
がある。また、これらの有機材料は、製造、合成に比較
的複雑な工程を要したり、あるいは、ごく少量ずつしか
製造できないなどの問題点がある。
【0007】一方、代表的な光応答機能材料として、光
に応答して可逆な色変化を起こすフォトクロミック材料
が研究されている。しかしながら、フォトクロミック材
料は、応答速度が遅く、また弱い光にも徐々に応答して
光透過特性が変化していくので、光制限材料に要求され
る条件を満足しない。この点からも、新しい高性能の光
制限材料が要望されている。
【0008】このように、現在までに知られている比較
的良好な光制限特性を可逆的に発現する材料は、強レー
ザー光を照射した際の耐熱性が十分でなく、製造が複雑
あるいは高価であるという問題点があった。このため、
より耐熱性の高い、また、簡便・安価に製造できる高性
能光制限材料が要望されている(参考:光制限材料に関
する第1回国際ワークショップ講演要旨集、カンヌ、フ
ランス、1998年)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な光制限材料の現状に鑑み、強いレーザー光の照射によ
っても発熱に起因する損傷を受けにくく、特性が可逆的
であって、且つ優れた光制限効果を安定に発現し、且
つ、簡便・安価に製造できる新たな高性能の光制限材料
を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、透明基板と特定の金属酸化物から形成される光制
限材料が、上記目的を達成できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、下記の光制限材料および
その用途に係るものである。 1.透明基板とTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,N
b,Mo,Ru,In,Sn,Sb,Ta,W,Re,Os,IrおよびBiか
らなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物
(但し、VO2 を除く)とから形成される光制限材料。 2.透明基板が、SiO2,Al203,ZrO2,ZnSeおよび石英
からなる群から選ばれる1種である上記1記載の光制限
材料。 3.透明基板材料が、SiO2,Al2O3およびZrO2からなる
群から選ばれる1種である上記2記載の光制限材料。 4.透明基板材料が、SiO2を主成分とする多孔質ガラス
である上記3記載の光制限材料。 5.透明基板材料が、アクリル系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびポリビニル系樹脂
からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1記
載の光制限材料。 6.金属酸化物が、TiO,Ti203,TiO2,V0,V203,V
205,CrO,Cr203,CrO2,Cr 205,CrO3,CrO5,MnO,Mn3
O4,Mn2O3,MnO2,MnO3,Mn2O7,FeO,Fe304,Fe203,C
oO,Co2O3,Co3O4,CoO2,NiO,Ni3O4,Ni2O3,NiO2,C
u2O,CuO,ZnO,NbO,Nb2O3,NbO2,Nb2O5,MoO,Mo
203,MoO2,Mo2O5,MoO3,RuO,Ru2O3,RuO2,RuO4,In
2O,In2O3,SnO,SnO2,Sb203,Sb204,Sb205,TaO2,T
a203,Ta205,WO 2,W2O5,WO3,Re2O,ReO,Re2O3,ReO
2,Re205,ReO3,Re207,OsO,Os2O3,Os02,0s03,0s0
4,Ir203,IrO2,BiO,Bi2O3およびBi205からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種である上記1記載の光制限材
料。 7.金属酸化物が、XCr204(X=Mg,Zn,Cu,Mn,Fe,C
o,Ni),Na2SnO3,Pb2SnO4,Bi2Sn2O7,Na3VO4,MVO4(M
=Nd,Sm,Eu,Y,Fe,Cr),VOMo4,MV204(M=Mg,Mn,C
o,Zn,Cu),VM204(M=Mg,Co,Zn),VMn204,V2MoO8,A
xV205(O<x<1,A=Li,K,Na,Cu,Ag,Ca,Cd,Pb),ZrV
2O7,MVO3(M=K,Fe,Ti,Cr,Ni,Mg,Ca,La,Y,S
c),H4(PMo11VO40),H5(PMol0V2O40),H6(PMo9V3O40),
H4(PWllVO40),H 6(PW6V3041),Bi203・xMoO3(x=4,3,
2,1,1/2,1/3,1/10),Bi203・xWO3(x=2-3,1,1/2-1
/5,1/10),xBi2O3・Sb205(x=1,3),Bi9PMol2052,Fe
2(MoO4)3,(MoO3)1.0(Cr203)0.75,AxWO3(O<x<1,A=H,
Li,K,Na,Rb,Ca,Cu,Ag,In,Tl,Sn,Pb,希土類
元素),LiTi204,MnCo204,NiCo204およびNiMnCo408
らなる複合酸化物の群から選ばれる少なくとも1種であ
る上記1記載の光制限材料。 8.金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子として、
透明基板表面上に薄膜を形成している上記1〜7のいず
れかに記載の光制限材料。 9.金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子として、
透明基板表面上に薄膜を形成しており、金属酸化物中の
金属原子数と透明基板中の酸化物における非酸素原子数
あるいは高分子を構成する単量体単位数との比が、1:1
〜1:100の範囲にある上記1〜7のいずれかに記載の光
制限材料。 10.金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子とし
て、透明基板中に分散している上記1〜7のいずれかに
記載の光制限材料。 11.金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子とし
て、透明基板中に分散しており、金属酸化物中の金属原
子数と透明基板中の酸化物における非酸素原子数あるい
は高分子を構成する単量体単位数との比が、1:1〜1:1
00の範囲にある上記1〜7のいずれかに記載の光制限材
料。 12.上記1〜11のいずれかに記載の光制限材料から
なる光シャッター。 13.入射光をレンズで集光し、その焦点位置付近に上
記1〜11のいずれかに記載の光制限材料を配置するこ
とを特徴とする光シャッター。 14.上記1〜11のいずれかに記載の光制限材料から
なる光ヒューズ。 15.入射光をレンズで集光し、その焦点位置付近に上
記1〜11のいずれかに記載の光制限材料を配置するこ
とを特徴とする光ヒューズ。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光制限材料は、基本的
に、透明基板とTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,N
b,Mo,Ru,In,Sn,Sb,Ta,W,Re,Os,IrおよびBiか
らなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物
(但し、VO2 を除く)から形成されることを特徴とする。
【0013】本発明による光制限材料は、より具体的に
は、以下の様な構造を有することができる。 (1)透明基板表面に金属酸化物微粒子からなる薄膜が形
成されている。 (2)透明基板表面に金属酸化物微粒子と透明添加成分と
からなる複合薄膜が形成されている。 (3)多孔質透明基板内部に金属酸化物微粒子が分散して
いる。 (4)多孔質透明基板内部に金属酸化物微粒子と透明添加
成分とが分散している。
【0014】本発明において用いる透明基板は、金属酸
化物とともに構成される光制限材料が所望の非線形吸収
係数(β)を示す限り、特に制限されない。透明基板の光
学的な透明度は、厚みを0.1mmとしたときに、通常400〜
2000nm程度の波長の光に対して、光透過度が70〜100%
程度である。本発明において用いる透明基板としては、
例えば、SiO2を主成分とするガラス、石英、Al203から
なるサファイア(Fe2+、Fe3+、Ti4+などを含まない白色
サファイア)、ZnO,ZrO2などの透明な酸化物;アクリル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリビニル系樹脂などの透明な高分子材料;ZnSeな
どの透明な無機物などが挙げられる。
【0015】透明基板は、多孔質ガラス基板、多孔質高
分子基板などの多孔質体であってもよい。基板として用
いる多孔質体は、光制限材料とした時に、所望の透明性
を有する限り、比表面積、気孔率、平均細孔径などの特
性は特に制限されない。比表面積は、通常10〜500m2/g
程度、好ましくは50〜300m2/g程度である。気孔率は、
通常5〜70%程度、好ましくは10〜50%程度である。平
均細孔径は、通常2〜100nm程度、好ましくは2〜50nm程
度である。
【0016】本発明における透明基板の形状は、特に制
限されず、光制限材料の形状に対応して、平板状、導波
路状などを例示できる。
【0017】本発明における透明基板の厚みは、用途な
どに応じて適宜設定することができるが、通常0.05〜3m
m程度であり、より好ましくは0.1〜1mm程度である。
【0018】本発明の光制限材料の非線形吸収係数(β)
は、通常10-7〜10-4cm/W程度、好ましくは10-6〜10-4cm
/W程度である。なお、非線形吸収係数(β)は、下記に示
す微分方程式から求められる。
【0019】dI/dz=-αI-βI2 (ここで、Iは光入射面からの厚み方向の任意の距離にお
ける薄膜中の光強度、zは薄膜の厚み方向の座標軸、α
は線形吸収係数、βは非線形吸収係数である。) 本発明の光制御材料は、透明基板上に、Ti,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Nb,Mo,Ru,In,Sn,Sb,T
a,W,Re,Os,IrおよびBiからなる群から選ばれた少な
くとも1種の金属の酸化物(但し、VO2を除く)からなる
薄膜を直接形成してなるものであってもよく、或いは、
多孔質体からなる透明基板の細孔内に上記金属の酸化物
を固定化してなるものでもよい。
【0020】本発明において用いる金属酸化物は、単一
の金属の酸化物であってもよく、或いは、複数の金属の
酸化物(複合酸化物)であってもよい。本発明において用
いる金属酸化物は、金属の酸化状態に関して特に制限は
ない。本発明では、金属酸化物を単独で用いてもよく、
または2種以上を併用してもよい。
【0021】単一金属の酸化物としては、例えば、Ti
O,Ti203,TiO2,V0,V203,V205,CrO,Cr203,CrO2
Cr205,CrO3,CrO5,MnO,Mn3O4,Mn2O3,MnO2,MnO3
Mn2O7,FeO,Fe304,Fe203,CoO,Co2O3,Co3O4,Co
O2,NiO,Ni3O4,Ni2O3,NiO2,Cu2O,CuO,ZnO,NbO,
Nb2O3,NbO2,Nb2O5,MoO,Mo203,MoO2,Mo2O5,Mo
O3,RuO,Ru2O3,RuO2,RuO4,In2O,In2O3,SnO,Sn
O2,Sb203,Sb204,Sb205,TaO2,Ta203,Ta205,WO2
W2O5,WO3,Re2O,ReO,Re2O3,ReO2,Re205,ReO3,Re
207,OsO,Os2O3,Os02,0s03,0s04,Ir203,IrO2,Bi
O,Bi2O3,Bi205などの種々の酸化状態を有する金属酸
化物を例示することができる。より好ましい金属酸化物
としては、V205,Cr203,Mn3O4,MnO2,Fe304,Fe203
CoO,Co3O4,Cu2O,CuO,ZnO,In2O3,SnO2,WO3,Ir
O2,Bi2O3などが挙げられる。
【0022】複合酸化物としては、例えば、XCr204(X=M
g,Zn,Cu,Mn,Fe,Co,Ni),Na2SnO3,Pb2SnO4,Bi2S
n2O7,Na3VO4,MVO4(M=Nd,Sm,Eu,Y,Fe,Cr),VOM
o4,MV 204(M=Mg,Mn,Co,Zn,Cu),VM204(M=Mg,Co,Z
n),VMn204,V2MoO8,AxV205(O<x<1,A=Li,K,Na,C
u,Ag,Ca,Cd,Pb),ZrV2O7,MVO3(M=K,Fe,Ti,C
r,Ni,Mg,Ca,La,Y,Sc),H4(PMo11VO40),H5(PMol0
V2O40),H6(PMo9V3O40),H4(PWllVO40),H6(PW6V
3041),Bi203・xMoO3(x=4,3,2,1,1/2,1/3,1/1
0),Bi203・xWO3(x=2-3,1,1/2-1/5,1/10),xBi2O3
Sb205(x=1,3),Bi9PMol2052,Fe2(MoO4)3,(MoO3)1.0
(Cr203)0.75,AxWO3(O<x<1,A=H,Li,K,Na,Rb,C
a,Cu,Ag,In,Tl,Sn,Pb,希土類元素),LiTi204
MnCo204,NiCo204,NiMnCo408などが例示できる。複合
酸化物に含まれる希土類元素として、Sc,Yおよびラン
タノイド:La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy,
Ho, Er, Tm, Yb, Luを例示することができる。より好ま
しい複合酸化物としては、XCr204,Na3VO4,MVO4,VOMo
4,VM204,VMn204,V2MoO8,AxV205,ZrV2O7,MVO3,Fe
2(MoO4)3, (MoO 3)1.0(Cr203)0.75,AxWO3,MnCo204,Ni
Co204,NiMnCo408などが例示される。
【0023】金属酸化物を用いて薄膜を形成させる場
合、その膜厚は、特に限定されず、用途などに応じて適
宜設定することができる。薄膜が厚くなり過ぎると、セ
ンサや肉眼に損傷を与えない程度の弱い光が入射した場
合でも、光の透過割合が小さくなり過ぎるので、光制限
材料としての有用性が低下する。また、金属酸化物薄膜
の膜厚は、薄膜の緻密度に応じて、適宜設定することが
できる。例えば、スパッタ堆積法、レーザー MBE法等で
形成される薄膜のように緻密な金属酸化物薄膜の場合に
は緻密度(薄膜中において、空隙以外の金属酸化物部分
が占める体積比率)は、0.7〜1程度であり、膜厚は、通
常10nm〜1μm程度、好ましくは10〜500nm程度である。
これに対し、基板上に溶液を塗布した後、熱分解する方
法、金属酸化物微粒子分散液を直接基板上に塗布する方
法等では、形成される薄膜が比較的緻密でないので(緻
密度0.3〜0.9程度)、より厚い薄膜、通常20nm〜5μm程
度、好ましくは20nm〜2μm程度としても、光制限材料と
して用いることができる。薄膜中の金属酸化物微粒子の
大きさは、薄膜の膜厚などに応じて適宜定めれば良く、
特に制限されないが、通常、平均粒径として、1μm以
下、好ましくは2〜100nm程度である。
【0024】なお、本発明において、薄膜中および後記
の多孔質基板の細孔中のいずれの場合においても、金属
酸化物微粒子の粒径分布は、平均粒子径の±50%の範囲
内にある粒子の割合が50〜100%であることが好まし
く、80〜100%であることがより好ましい。平均粒子径
は、走査電子顕微鏡或いは透過電子顕微鏡による観察に
より、或いはX線回折線幅からのScherrerの式による算
出により、確認することができる。
【0025】本発明の光制限材料の形状も、用途などに
応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、導波
路状などの形状を例示することができる。
【0026】金属酸化物を多孔質体からなる基板の細孔
内に固定する場合には、固定重量比(金属酸化物/基板の
重量比)として、通常5〜70重量%程度、好ましくは10〜
50重量%程度である。基板の細孔内に固定された金属酸
化物は、通常粒子状であり、その平均粒子径は、通常2
〜100nm程度、好ましくは2〜50nm程度である。
【0027】本発明においては、基板上に薄膜を形成す
る場合であっても、或いは多孔質基板内に金属酸化物微
粒子を固定する場合であっても、金属酸化物微粒子は、
多結晶体であっても良く、或いは単結晶体であっても良
い。
【0028】本発明の光制限材料は、更に、透明な添加
成分を含んでいても良い。添加成分の光学的な透明度
は、光制限材料を構成した場合に所望の非線形吸収係数
(β)が得られる限り、特に制限されない。
【0029】透明添加成分は、それ自体は大きな光制限
効果を発現する必要はなく、金属酸化物と複合すること
によって、該金属酸化物の薄膜製造を容易にする働き、
該金属酸化物の光制限効果を改善させる働き、あるいは
薄膜の構造安定性、機械的強度などを向上させる働きを
有し、且つ光学的な透明性が高い成分であれば、良い。
透明添加成分としては、金属酸化物と比較して、光吸収
が小さく、かつ光学的な透明性が高い成分が好ましい。
この様な成分を添加することにより、非常に強いレーザ
ー光を照射した場合にも、温度上昇が小さい光制限材料
を得ることができる。
【0030】本発明において用いる透明添加成分は、特
に限定されず、例えば、SiO2を主成分とするガラス、石
英、Al203からなるサファイア、ZrO2などの透明な酸化
物;アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレー
トなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリビニル系樹脂等の透明な有機高分子材料などを
例示できる。
【0031】金属酸化物中の金属原子数と透明添加成分
中の酸化物における非酸素原子数あるいは高分子を構成
する単量体単位数との比は、通常(l:0.01)〜(1:100)
程度であり、好ましくは(1:0.1)〜(1:10)程度であ
る。透明添加成分の比率が小さすぎると十分な複合効果
が得られず、逆に透明添加成分の比率が大きすぎる場合
には、透明添加成分の比率増大に伴う特性改善の度合い
が小さくなる。
【0032】金属酸化物は、微粒子として、透明添加成
分中に分散して、複合薄膜を形成していてもよい。
【0033】添加透明添加成分として有機高分子材料を
併用して、透明基板上に複合薄膜を形成する場合におい
て、薄膜の厚さは、特に限定されず、用途などに応じて
適宜設定することができる。この場合にも、薄膜が厚く
なりすぎると、センサや肉眼に損傷を与えない程度の弱
い光が入射した場合でも、光の透過割合が小さくなりす
ぎるので光制限材料としての有用性が低下する。透明添
加成分との複合薄膜では、好ましい膜厚は、金属酸化物
単独の薄膜と比較して、透明添加成分の含有比率に比例
的に応じて大きくなる。例えば、金属酸化物中の金属原
子数と透明添加成分中の酸化物における非酸素原子数あ
るいは高分子を構成する単量体単位数との比が、1:1の
場合には、金属酸化物単独薄膜の場合の好ましい膜厚の
2倍程度が好ましく、1:10の場合には、金属酸化物単独
薄膜の場合の好ましい膜厚の10倍程度が好ましい。
【0034】本発明の光制限材料が、非線形吸収特性を
有する理由は明確ではないが、以下のような 原理によ
るものであると推測される。本発明において用いる金属
酸化物は、紫外−可視−近赤外におよぶ広い波長範囲に
連続的な吸収帯をもつ。このような幅広い吸収スペクト
ルは、基本的には、金属酸化物が有する半導体的な電子
構造に由来している。半導体的な性質を示す金属酸化物
は、通常紫外波長域に価電子帯上端から伝導帯下端への
バンド間遷移に相当する光吸収帯を有する。より長波長
側には、価電子帯・伝導帯の内部や禁制帯内に多数存在
する準位に起因する光吸収を有する。これらが重なり合
って、可視から近赤外の波長域に幅広い吸収帯が現れ
る。これらの吸収体は、金属酸化物の化学組成・結晶構
造によって決まる。
【0035】更に、金属酸化物薄膜を構成する金属酸化
物微粒子のサイズに分布があることによる吸収スペクト
ルの広がりが加わっていると考えられる。本発明におい
て、金属酸化物が薄膜が形成している場合には、金属酸
化物の微粒子が集まることによって薄膜を形成してい
る。半導体的性質を示す物質は、一般に、数十nm以下の
サイズまで微粒子化すると、微粒子化しないバルク半導
体と比較して禁制帯幅が広がり、吸収スペクトルが短波
長側へシフトすることが知られている。
【0036】本発明の光制限材料において、例えば、金
属酸化物薄膜では、多くの場合、同一の薄膜中に存在す
る金属酸化物微粒子のサイズが、通常2nm〜1μm程度、
好ましくは2〜100nm程度まで分布している。このため、
金属酸化物微粒子のサイズである均一な場合と比較し
て、さらに幅広い吸収スペ クトルが得られているもの
と考えられる。
【0037】入射光強度に依存した透過率変化が生じる
理由として、2光子吸収が考えられる。一般に、物質へ
の入射光が弱い場合には、1光子吸収だけが観測され、
2光子吸収は非常に微小である。しかしながら、2光子
吸収は、入射光強度の2乗に比例するので、入射光が強
い場合には、1光子吸収だけでなく2光子吸収も観測さ
れる。
【0038】本発明の光制限材料においては、2光子吸
収が生じやすいので、入射光強度を増大させると透過率
が減少し、しかもこのような挙動が入射光強度の増減に
対して可逆的に起こる特性、すなわち非線形吸収特性を
示すものと推測される。
【0039】従来から光応答機能材料として用いられて
いるフォトクロミック化合物における光応答吸収変化過
程は、分子構造変化を伴うので、2光子吸収過程に比し
て遅い。本発明の光制限材料は、2格子吸収過程に起因
する非線形吸収特性を示すので、強レーザー光の入射に
対して速やかに応答し、必要な光制限効果を発揮するこ
とができるものと考えられる。
【0040】一般に、光照射に伴う材料の温度上昇の影
響は、光照射開始後百数十ピコ秒まではほぼ無視でき
る。パルス幅がピコ秒オーダーのパルスレーザー光を照
射した場合における本発明の光制限材料の光制限効果
は、主として上記の2光子吸収に起因するものと推測さ
れる。パルス幅がナノ秒以上のパルスレーザーや連続発
振レーザーを照射した場合には、上記の2光子吸収に起
因する光制限効果に加えて、光照射に伴う材料の温度上
昇に起因する光制限効果も発現する。金属酸化物半導体
は温度が高いほど紫外−可視−近赤外域の光吸収を引き
起こすキャリア濃度が増大するものが多いので、入射光
を吸収する際に起こる温度上昇に伴う光吸収の増大を利
用した光制限効果を発現させる上で有利である。
【0041】このような現象は、全ての金属酸化物で現
れるものではなく、(イ)照射レーザー光の波長に吸収帯
をもつこと、(ロ)半導体的性質をもつこと、(ハ)2光
子吸収が大きいか或いは温度上昇による光吸収の増大の
程度が大きいなどの条件を満足する金属酸化物でのみ達
成されるものと考えられる。上記したTi,V,Cr,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn,Nb,Mo,Ru,In,Sn,Sb,Ta,W,
Re,Os,IrおよびBiからなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属の酸化物の薄膜は、いずれも上記の3条件を
満足し、大きな光制限効果を示すものである。
【0042】本発明の光制限材料は、公知の方法を用い
て製造することができる。例えば、金属酸化物、或いは
必要に応じてさらに透明添加成分を併用して、透明基板
上に薄膜を形成する場合には、金属酸化物あるいはその
前駆体(および必要に応じて透明添加成分あるいはその
前駆体を併用)のターゲットを用いて、スパッタ堆積
法、真空蒸着法、レーザーMBE法、CVD法などのいわゆる
気相法を行う方法;金属酸化物前駆体溶液を必要に応じ
て透明添加成分またはその前駆体とともに、基板上に塗
布した後、熱分解する方法(通常、空気などの酸化雰囲
気下、300〜800℃程度、30分〜4時間程度加熱する);金
属酸化物微粒子分散液および必要に応じて透明添加物分
散液(或いは溶液)をスピンコート法、ディップコート
法、スプレー法等で直接基板上に塗布・乾燥・後処理す
る方法などを例示できる。スピンコート法、ディップコ
ート法、スプレー法などにおいて用いる金属酸化物微粒
子の平均粒子径は、特に制限されないが、通常2nm〜1μ
m程度、好ましくは2〜100nm程度である。
【0043】薄膜を構成する金属酸化物微粒子の大きさ
は、通常原料微粒子の大きさと同様であるが、塗布、乾
燥、後処理などの過程で微粒子の凝集、焼結などが起こ
る場合には、原料微粒子よりも大きくなることがある。
この様な場合には、凝集或いは焼結後の平均粒子経が所
定値を超えない様に、粒径のより小さい原料微粒子を使
用すれば、良い。
【0044】或いは、斜め入射スパッタ法、上記の熱分
解法などにより、透明基板上に金属酸化物微粒子からな
る多孔質薄膜を形成し、次いでこの多孔質薄膜表面に透
明添加成分或いはその前駆体の溶液または分散液を塗布
し、必要に応じて、乾燥、焼成などの後処理を行った
後、金属酸化物と透明添加成分とからなる複合薄膜を形
成しても良い。或いは、斜め入射スパッタ法、上記の熱
分解法などにより、透明基板上に透明添加成分の微粒子
からなる多孔質薄膜を形成し、次いで金属酸化物微粒子
分散液或いはその前駆体溶液を塗布し、必要に応じて、
乾燥、焼成などの後処理を行った後、金属酸化物と透明
添加成分とからなる複合薄膜を形成しても良い。
【0045】透明添加成分が有機高分子材料である場合
には、例えば、金属酸化物前駆体の溶液または金属酸化
物微粒子分散液を有機高分子材料あるいはその前駆体の
溶液と混合し、透明基板上に塗布した後、必要に応じて
反応させた後、乾燥させ、溶媒を除去して固体状の複合
薄膜を得ることができる。この場合、透明添加成分溶液
としては、金属酸化物の溶解性、金属酸化物の分散性、
透明有機高分子の溶解性などに応じて、クロロホルムな
どの有機溶媒溶液、水溶液などの任意の形態を適宜選択
して用いることができる。
【0046】多孔質体からなる透明基板(SiO2系ソーダ
石灰ガラス、石英ガラス、アクリル系高分子など)の細
孔内に金属酸化物を固定する方法としては、多孔質体か
らなる透明基板を金属酸化物微粒子分散液、あるいは加
熱により熱分解して金属酸化物を生成するような金属酸
化物前駆体溶液に含浸させ、乾燥した後、酸素を含む雰
囲気中で加熱する方法(通常、300〜800℃程度、30分間
〜4時間程度加熱する。なお、当該方法においては、加
水分解により水素イオンを放出する化合物などの沈殿剤
を用いる必要はない);金属酸化物微粒子分散液あるい
は加熱により熱分解して金属酸化物を生成する金属酸化
物前駆体溶液を多孔質体に塗布し、熱分解する方法(通
常、空気などの酸化雰囲気下、300〜800℃程度、40分〜
4時間程度加熱する);金属酸化物微粒子分散液をスピン
コート法、ディップコート法、スプレー法などにより、
多孔質基板上に直接塗布し、乾燥し、焼成する方法など
を例示することができる。
【0047】本発明の光制限材料の製造方法において用
いる金属酸化物前駆体化合物としては、例えば、バナジ
ルイソプロポキシド、バナジルエトキシド等の金属アル
コキシド、硝酸マンガン、硝酸コバルト、硝酸第1鉄、
硝酸銅等の金属硝酸塩、塩化ニオブ、塩化アンチモン、
塩化タンタル、塩化タングステン、塩化レニウム、塩化
オスミウム、塩化イリジウムなどの金属塩化物、オクチ
ル酸バナジウム(=2-エチルヘキサン酸バナジウム)、オ
クチル酸コバルト、オクチル酸鉄、オクチル酸マンガ
ン、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸クロム、ナフテン
酸銅、アセチルアセトンチタニル、オクチル酸亜鉛、ア
セチルアセトンモリブデニル、アセチルアセトンルテニ
ウム、オクチル酸インジウム、オクチル酸インジウム、
オクチル酸スズ、オクチル酸ビスマス等の有機酸金属
塩、ならびに市販有機タングステン化合物、市販有機イ
リジウム化合物などを例示することができる。
【0048】本発明において用いる金属酸化物またはそ
の前駆体の溶液/分散液における金属酸化物またはその
前駆体の含有比率は、溶液/分散液全体に対して、金属
として、通常0.1〜50重量%程度、好ましくは0.5〜10重
量%程度である。
【0049】本発明の光制限材料の製造方法において用
いるスパッタ堆積法としては、垂直入射によるスパッタ
法および斜め入射によるスパッタ法のいずれをも用いる
ことができる。また、必要に応じて透明添加成分を添加
する場合には、金属酸化物/その前駆体と透明添加成分/
その前駆体との同時または交互スパッタを用いることが
できる。
【0050】多孔質体中に残存する空隙に起因する光の
散乱による入射光の損失を減少させるとともに、光制限
材料として必要な、入射光が弱い場合の高い透過率を達
成するために、必要に応じて後処理を行っても良い。後
処理としては、多孔質ガラス基板を用いた場合には、製
造した材料を空気などの酸化雰囲気下、約600℃以上の
高温で30分〜4時間程度熱処理する方法など例示するこ
とができる。
【0051】本発明の光制限材料は、光シャッター、光
ヒューズなどとして好適に用いることができる。例え
ば、光を直接入射して、光シャッター、光ヒューズなど
として使用することができる。或いは入射光をレンズで
集光し、その焦点位置付近に本発明の光制限材料を配置
して、使用しても良い。入射光をレンズで集光すること
により、材料の配置位置での入射光強度を、集光前の入
射光強度よりも大きくすることができるので、入射光を
直接薄膜に入射する場合と比較して、より弱い入射光に
対しても大きな光制限効果を得ることができる。さら
に、レンズによる入射光の集光度合いを調節することに
より、同一の光制限材料を用いた場合においても、光制
限効果の大きさを調節することができ、また、光制限効
果が顕著に起こり始める入射光強度しきい値を調節する
ことができる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、入射光強度の増減に対
して可逆的に大きな光制限効果を発現し、非常に強いレ
ーザー光の入射によっても損傷を受けにくく、長期間光
制限効果を保持し、かつ熱的安定性、化学的安定性、機
械的強度にも優れ、簡便・安価に製造可能な優れた光制
限材料が得られる。
【0053】本発明の光制限材料は、レーザー光のよう
な強い光の照射下において、照射光強度を増大させるに
つれて光吸収率が増大する性質、言い換えれば光透過率
が減少する性質をもち、その結果、弱い光の入射に対し
てはこれをあまり弱めずに良く透過するが、強い光の入
射に対してはこれを著しく弱める働きを有する。
【0054】本発明の光制限材料は、このような働きに
よって、種々の強度の光が入射した場合に、透過光強度
を一定強度以下に制限する効果、いわゆる光制限効果を
発現するものである。
【0055】金属酸化物半導体は、温度が高いほど紫外
−可視−近赤外域の光吸収を引き起こすキャリア濃度が
増大するものが多いので、本発明の光制限材料は、入射
光を吸収する際に起こる温度上昇に伴う光吸収の増大を
利用した光制限効果を発現させる上で有利である。
【0056】透明基板と金属酸化物に加えて、透明な添
加成分を併せて含有する光制限材料は、強いレーザー光
を照射した場合にも、金属酸化物において発生した熱が
透明な添加成分に速やかに伝導・拡散し、金属酸化物が
高温に曝される時間を短くすることができるので、パル
ス幅の長いパルスレーザーや連続発振レーザー照射を受
けた場合にも、金属酸化物の昇華や基板からの剥離をも
たらすような過度の温度上昇が抑制される。その結果、
透明添加成分との複合薄膜は、金属酸化物だけからなる
薄膜と比較して、より強いレーザー光の照射に対しても
薄膜が損傷を受けにくく、熱安定性により一層優れてい
る。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0058】実施例1 SiO2を主成分とし、Na、Caなどを含むソーダ石灰ガラス
基板(厚さ0.1mm)の片面にオクチル酸バナジウム膜をス
ピンコート法で形成し(溶媒:トルエン、溶液における
オクチル酸バナジウムの含有比率:溶液全体に対する金
属の重量比率として、2%)、空気雰囲気下において、38
0℃で2時間焼成し、橙褐色を呈する酸化バナジウム(V2O
5)薄膜(膜厚:約600nm)を調製した。この酸化バナジウ
ム薄膜に、波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入
射し、集光レンズとNDフィルターを用いて入射レーザー
光強度(Io)を変化させながら、レーザー入射直後から数
十ps後までに起きる酸化バナジウム薄膜の透過率変化
を、ストリークカメラを用いて測定した。Ioと透過率と
の関係から、非線形吸収係数(β)を見積もった。その
結果、Ioを増大させると特にIo>1MW/cm2で酸化バナジウ
ム薄膜の透過率が顕著に低下することがわかった(図1
参照)。
【0059】図1において、縦軸に示した相対的な透過
率は、測定範囲内で最も弱い光を入射した場合(Io=160W
/cm2)の透過率を1として規格化している。透過率の低下
は、パルスレーザーの照射回数を増加させても、常に同
一であり、一方、Io=約100kW/cm2前後以下の比較的弱い
上記パルスレーザー光の場合には、透過率の低下は非常
に小さかった。
【0060】上記で得られた酸化バナジウム薄膜のβ
は、2.5×10-5cm/Wであり、光制限材料として高い性能
を有していることがわかった。この光制限材料として高
い性能は、108W/cm2という非常に強い上記パルスレーザ
ー光を1000回照射した場合にも、保持され、この酸化バ
ナジウム薄膜が、非常に強いレーザー光の入射によって
も損傷を受けにくいことが明らかである。また、この酸
化バナジウム薄膜の性能は、製膜から6ヶ月後にも保持
されていることから、長期安定性に優れていることも明
らかとなった。さらに、この酸化バナジウム薄膜を300
℃で2時間加熱処理した後にも、性能低下は認められ
ず、熱的安定性に優れていることが確認された。さら
に、約1%のH2またはCOを含む空気中において、この酸
化バナジウム薄膜を100℃で1時間保持した後にも、性能
の変化は認められず、化学的安定性にも優れていること
が明らかである。また、製造に使用した上記原料溶液の
価格は、1g当たり40円以下であるので、製造コストのみ
ならず、原料コストも低い。
【0061】実施例2 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にオクチル酸鉄膜をスピンコート法で
形成し(溶媒:トルエン、溶液におけるオクチル酸鉄の
含有比率:溶液全体に対する金属の重量比率として、6
%)、空気雰囲気下において、380℃で2時間焼成し、赤
橙色を呈する酸化鉄(Fe2O3)薄膜(膜厚:約800nm)を調製
した。この酸化鉄薄膜に、波長532nm、パルス幅35ps の
レーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用い
て入射レーザー光強度(Io)を変化させながら、レーザー
入射直後から数十psまでに起こる酸化鉄薄膜の透過率変
化を、ストリークカメラを用いて測定した。Ioと透過率
との関係から、非線形吸収係数(β)を見積もった。そ
の結果、Ioを増大させると特にIo>10MW/cm2で酸化鉄薄
膜の透過率が顕著に低下することがわかった(図2参
照)。
【0062】図2において、縦軸に示した相対的な透過
率は、測定範囲内で最も弱い光を入射した場合(Io=3.1k
W/cm2)の透過率を1として規格化している。透過率の低
下は、パルスレーザーの照射回数を増加させても、常に
同一であり、一方、Io=約100kW/cm2前後以下の比較的弱
い上記のパルスレーザー光の場合には、透過率の低下は
非常に小さかった。
【0063】上記で得られた酸化鉄薄膜のβは、1.8×1
0-5cm/Wであり、光制限材料として高い性能を有してい
ることがわかった。この光制限材料として高い性能は、
108W/cm2という非常に強い上記のパルスレーザー光を10
00回照射した場合にも、保持され、この酸化鉄薄膜が、
非常に強いレーザー光の入射によっても損傷を受けにく
いことが明らかである。また、この酸化鉄薄膜の性能
は、製膜から6ヶ月後にも保持されていることから、長
期安定性に優れていることも明らかとなった。さらに、
この酸化鉄薄膜を300℃で2時間加熱処理した後にも、性
能低下は認められず、熱的安定性に優れていることが確
認された。さらに、約1%のH2またはCOを含む空気中に
おいて、この酸化鉄薄膜を100℃で1時間保持した後に
も、性能の変化は認められず、化学的安定性にも優れて
いることが明らかである。また、製造に使用した上記原
料溶液の価格は、1g当たり20円以下であるので、製造コ
ストのみならず、原料コストも低い。
【0064】実施例3 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にオクチル酸コバルト膜をスピンコー
ト法で形成し(溶媒:トルエン:ブタノール=1:1、溶液に
おけるオクチル酸コバルトの含有比率:溶液全体に対す
る金属の重量比率として、4%)、空気雰囲気下におい
て、380℃で2時間焼成し、褐色を呈する酸化コバルト(C
o3O4)薄膜(膜厚:約800nm)を調製した。この酸化コバル
ト薄膜に、波長532nm、パルス幅35ps のレーザー光を入
射し、集光レンズとNDフィルターを用いて入射レーザー
光強度(Io)を変化させながら、レーザー入射直後から数
十psまでに起こる酸化コバルト薄膜の透過率変化を、ス
トリークカメラを用いて測定した。Ioと透過率との関係
から、非線形吸収係数(β)を見積もった。その結果、I
oを増大させると、特にIo>50MW/cm2で酸化コバルト薄膜
の透過率が顕著に低下することがわかった(図3参照)。
【0065】図3において、縦軸に示した相対的な透過
率は、測定範囲内で最も弱い光を入射した場合(Io=60.8
kW/cm2)の透過率を1として規格化している。透過率の低
下は、パルスレーザーの照射回数を増加させても、常に
同一であり、一方、Io=60.8kW/cm2前後の比較的弱い上
記のパルスレーザー光の場合には、透過率の低下は非常
に小さかった。
【0066】上記で得られた酸化コバルト薄膜のβは、
1.5×10-5cm/Wであり、光制限材料として高い性能を有
していることがわかった。この光制限材料として高い性
能は、108W/cm2という非常に強い上記のパルスレーザー
光を1000回照射した場合にも、保持され、この酸化コバ
ルト薄膜が、非常に強いレーザー光の入射によっても損
傷を受けにくいことが明らかである。また、この酸化コ
バルト薄膜の高性能は、製膜から6ヶ月後にも保持され
ていることから、長期安定性に優れていることも明らか
となった。さらに、この酸化コバルト薄膜を300℃で2時
間加熱処理した後にも、性能低下は認められず、熱的安
定性に優れていることが確認された。さらに、約1%のH
2またはCOを含む空気中において、この酸化コバルト薄
膜を100℃で1時間保持した後にも、性能の変化は認めら
れず、化学的安定性にも優れていることが明らかであ
る。また、製造に使用した上記原料溶液の価格は、1g当
たり20円以下であるので、製造コストのみならず、原料
コストも低い。
【0067】実施例4 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にマグネトロンRFスパッタリング法
(ターゲット:Co3O4)により、褐色を呈する酸化コバル
ト(Co3O4)薄膜(膜厚:約400nm)を調製した。この酸化コ
バルト薄膜に、波長532nm、パルス幅35psのレーザー光
を入射し、集光レンズとNDフィルターを用いて入射レー
ザー光強度(Io)を変化させながら、酸化コバルト薄膜の
透過率変化を、ストリークカメラを用いて測定した。Io
と透過率との関係から、非線形吸収係数(β)を見積も
った。その結果、Ioを増大させると特にIo>50MW/cm2
酸化コバルト薄膜の透過率が顕著に低下することがわか
った(図4参照)。
【0068】図4において、縦軸に示した相対的な透過
率は、測定範囲内で最も弱い光を入射した場合(Io=112k
W/cm2)の透過率を1として規格化している。透過率の低
下は、パルスレーザーの照射回数を増加させても、常に
同一であり、一方、Io=112kW/cm2前後の比較的弱い上記
パルスレーザー光の場合には、透過率の低下は非常に小
さかった。
【0069】上記で得られた酸化コバルト薄膜のβは、
2.5×10-5cm/Wであり、光制限材料として高い性能を有
していることがわかった。この光制限材料として高い性
能は、108W/cm2という非常に強い上記パルスレーザー光
を1000回照射した場合にも、保持され、この酸化コバル
ト薄膜が、非常に強いレーザー光の入射によっても損傷
を受けにくいことが明らかである。また、この酸化コバ
ルト薄膜の高性能は、製膜から6ヶ月後にも保持されて
いることから、長期安定性に優れていることも明らかと
なった。さらに、この酸化コバルト薄膜を300℃で2時間
加熱処理した後にも、性能低下は認められず、熱的安定
性に優れていることが確認された。さらに、約1%のH2
またはCOを含む空気中において、この酸化コバルト薄膜
を100℃で1時間保持した後にも、性能の変化は認められ
ず、化学的安定性にも優れていることが明らかである。
【0070】実施例5 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にナフテン酸銅膜をスピンコート法で
形成し(溶媒:トルエン、溶液におけるナフテン酸銅の
含有比率:溶液全体に対する金属の重量比率として、5
%)、空気雰囲気下において、380℃で2時間焼成し、褐
色を呈する酸化銅(Cu0)薄膜(膜厚:約800nm)を調製し
た。この酸化銅薄膜に、波長532nm、パルス幅35ps のレ
ーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用いて
入射レーザー光強度(Io)を変化させながら酸化銅薄膜の
透過率変化を測定した。Ioと透過率との関係から、非線
形吸収係数(β)を見積もった。その結果、Ioを増大さ
せると、特にIo>10MW/cm2で酸化銅薄膜の透過率が顕著
に低下することがわかった(図5参照)。
【0071】図5において、縦軸に示した相対的な透過
率は、測定範囲内で最も弱い光を入射した場合(Io=6.08
kW/cm2)の透過率を1として規格化している。透過率の低
下は、パルスレーザーの照射回数を増加させても、常に
同一であり、一方、Io=6.08kW/cm2前後の比較的弱い上
記パルスレーザー光の場合には、透過率の低下は非常に
小さかった。
【0072】上記で得られた酸化銅薄膜のβは、1.8×1
0-5cm/Wであり、光制限材料として高い性能を有してい
ることがわかった。この光制限材料として高い性能は、
108W/cm2という非常に強い上記パルスレーザー光を1000
回照射した場合にも、保持され、この酸化コバルト薄膜
が、非常に強いレーザー光の入射によっても損傷を受け
にくいことが明らかである。また、この酸化銅薄膜の高
性能は、製膜から6ヶ月後にも保持されていることか
ら、長期安定性に優れていることも明らかとなった。さ
らに、この酸化銅薄膜を300℃で2時間加熱処理した後に
も、性能低下は認められず、熱的安定性に優れているこ
とが確認された。さらに、約1%のH2またはCOを含む空
気中において、この酸化銅薄膜を100℃で1時間保持した
後にも、性能の変化は認められず、化学的安定性にも優
れていることが明らかである。また、製造に使用した上
記原料溶液の価格は、1g当たり20円以下であるので、製
造コストのみならず、原料コストも低い。
【0073】実施例6 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)に市販の有機イリジウム化合物溶液を
用いて薄膜を形成し(溶媒:アルコール混合物、溶液に
おける有機イリジウム化合物の含有比率:溶液全体に対
する金属の重量比率として、2%)、空気雰囲気下におい
て、550℃で2時間焼成し、青灰色を呈する酸化イリジウ
ム(IrO2)薄膜(膜厚:約1.2μm)を調製した。この酸化イ
リジウム薄膜に、波長532nm、パルス幅35ps のレーザー
光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用いて入射レ
ーザー光強度(Io)を変化させながら、レーザー入射直後
から数十ps後までに起こる酸化イリジウム薄膜の透過率
変化を、ストリークカメラを用いて測定した。Ioを増大
させると特にIo>10MW/cm2で酸化イリジウム薄膜の透過
率が、顕著に低下したので、光制限材料として使用でき
る特性を有することがわかった。
【0074】実施例7 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にオクチル酸カルシウムとオクチル酸
バナジウムとの混合膜をスピンコート法で形成し(溶
媒:トルエン:ブタノール=1:1、溶液におけるオクチル
酸カルシウム+オクチル酸バナジウムの含有比率=2%(溶
液全体に対する金属の重量比率として)、オクチル酸カ
ルシウム:オクチル酸バナジウムのモル比=1:2(金属のモ
ル比として))、空気雰囲気下において、380℃で1時間
焼成し、橙褐色を呈するCaV2O5薄膜(膜厚:約1μm)を調
製した。このCaV2O5薄膜に、波長532nm、パルス幅35ps
のレーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用
いて入射レーザー光強度を変化させながら、レーザー入
射直後から数十ps後までに起こるCaV2O5薄膜の透過率変
化を、ストリークカメラを用いて測定した。その結果、
入射レーザー光強度を増大させるとCaV2O5薄膜の透過率
が低下したので、光制限材料として高い性能を有するこ
とがわかった。
【0075】実施例8 SiO2のみからなる厚さ1mmの石英ガラス基板上(片面)に
オクチル酸ビスマスとオクチル酸バナジウムとの混合膜
をスピンコート法で形成し(溶媒:トルエン、溶液にお
けるオクチル酸ビスマス+オクチル酸バナジウムの含有
比率=2%(溶液全体に対する金属の重量比率として)、オ
クチル酸ビスマス:オクチル酸バナジウムのモル比=1:1
(金属のモル比として))、空気雰囲気下において、380℃
で2時間焼成し、黄色を呈するBiVO4薄膜(膜厚:約1μm)
を調製した。このBiVO4薄膜に、波長532nm、パルス幅35
psのレーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを
用いて入射レーザー光強度を変化させながら、レーザー
入射直後から数十ps後までに起こるBiVO4薄膜の透過率
変化を、ストリークカメラを用いて測定した。入射レー
ザー光強度を増大させると、BiVO4薄膜の透過率が低下
したので、光制限材料として使用できる特性を有するこ
とがわかった。
【0076】実施例9 1辺が約2cmのZnSe三角柱プリズムの底面上(1面のみ)
にマグネトロンRFスパッタリング法(ターゲット:Co
304)により、褐色を呈する酸化コバルト(Co304)薄膜(膜
厚:約1.5μm)を調製した。この酸化コバルト薄膜に、
波長1064nm、パルス幅7nsのレーザー光を入射し、入射レ
ーザー光強度を変化させながら、レーザー入射直後から
十数ns後までに起こる酸化コバルト薄膜の透過率変化
を、フォトダイオードを用いて測定した。入射レーザー
光強度を増大させると、酸化コバルト薄膜の透過率が低
下したので、光制限材料として使用できる特性を有する
ことがわかった。
【0077】実施例10 オクチル酸コバルトのトルエン・ブタノール(1:1)混合
溶液(溶液濃度=1%:溶液全体に対する金属の重量比率
として)を、厚さ1mm、平均細孔径4nm、気孔率28%、比
表面積200m2/gの多孔質ソーダ石灰ガラス基板(組成は、
実施例1で使用したガラス基板に同じ)に含浸させ、乾
燥させた後、空気雰囲気下において、380℃で2時間焼成
し、酸化コバルトを多孔質ガラス基板の細孔内に固定化
した褐色の材料を調製した(酸化コバルトの平均粒径:2
〜4nm、固定量:約20重量%)。この酸化コバルト微粒子
含有多孔質ガラス板に、波長532nm、パルス幅35psのレ
ーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用いて
入射レーザー光強度を変化させながら、レーザー入射直
後から数十ps後までに起こる酸化コバルト微粒子含有多
孔質ガラス板の透過率変化を、ストリークカメラを用い
て測定した。入射レーザー光強度を増大させると酸化コ
バルト微粒子含有多孔質ガラス板の透過率が低下したの
で、光制限材料として使用できる特性を有することがわ
かった。
【0078】実施例11 5%硝酸マンガンのエタノール溶液と5%硝酸コバルトの
エタノール溶液との混合物(金属のモル比として、2:1)
を、多孔質ソーダ石灰ガラス基板(厚さ、組成、平均細孔
径、気孔率、比表面積は、実施例10で使用したものと
同様)に含浸させ、乾燥させた後、空気雰囲気下におい
て、380℃で2時間焼成し、マンガン・コバルト複合酸化
物(MnCo2O4)を多孔質ガラス基板の細孔内に固定化した
褐色の材料を調製した(MnCo2O4の平均粒径:2〜4nm、固
定量:約20重量%)。このマンガン・コバルト複合酸化
物微粒子含有多孔質ガラス板に、波長532nm、パルス幅3
5psのレーザー光を入射し、集光レンズとNDフィルター
を用いて入射レーザー光強度を変化させながら、レーザ
ー入射直後から数十ps後までに起こるマンガン・コバル
ト複合酸化物含有多孔質ガラス板の透過率変化を、スト
リークカメラを用いて測定した。入射レーザー光強度を
増大させるとマンガン・コバルト複合酸化物微粒子含有
多孔質ガラス板の透過率が低下したので、光制限材料と
して使用できる特性を有することがわかった。
【0079】実施例12 実施例1で使用したものと同様の組成と厚さを有するガ
ラス基板上(片面)にナフテン酸銅膜をスピンコート法で
形成し(溶媒:トルエン、溶液におけるナフテン酸銅の
含有比率:溶液全体に対する金属の重量比率として、5
%)、空気雰囲気下において、380℃で2時間焼成し、褐
色を呈する酸化銅(Cu0)多孔質薄膜(粒径20〜40nm程度の
微粒子からなり、膜厚約1μm)を調製した。この多孔質
酸化銅薄膜の表面に、オクチル酸ジルコニウムをスピン
コート法で塗布し(溶媒:トルエン、溶液におけるオク
チル酸ジルコニウムの含有比率:溶液全体に対する金属
の重量比率として、1%)、空気雰囲気下において、380
℃で2時間焼成することにより、酸化銅(Cu0)微粒子間が
酸化ジルコニウム(ZrO2)により充填された、褐色の酸化
銅・酸化ジルコニウム複合薄膜(膜厚約1μm)を調製し
た。この複合薄膜に波長532nm、パルス幅35ps のレーザ
ー光を入射し、集光レンズとNDフィルターを用いて入射
レーザー光強度(Io)を変化させながら、レーザー入射直
後から数十ps後までに起こる複合薄膜の透過率変化を、
ストリークカメラを用いて測定した。Ioと透過率との関
係から、非線形吸収係数(β)を見積もった。その結
果、Ioを増大させると、複合薄膜の透過率が顕著に低下
するので、この複合薄膜は光制限材料として、優れた特
性を有していることがわかった。
【0080】上記の酸化銅・酸化ジルコニウム複合薄膜
の光制限材料として高い性能は、約1010W/cm2という非
常に強い上記パルスレーザー光を連続的に照射した場合
にも、保持され、この複合薄膜が、非常に強いレーザー
光の入射によっても損傷を受けにくいことが明らかとな
った。
【0081】これに対し、酸化ジルコニウムと複合させ
なかった酸化銅薄膜は、約1010W/cm 2という非常に強い
上記パルスレーザー光を連続的に照射した場合には、徐
々に損傷を受けて、光制限材料としての性能が次第に低
下した。
【0082】以上の結果から、酸化銅薄膜を透明な酸化
ジルコニウムと複合化させることにより、酸化銅薄膜の
光制限材料としての特性が著しく改善されることが明ら
かである。
【0083】また、上記と同様にして得られた酸化銅微
粒子多孔質薄膜を形成したガラス基板をポリメチルメタ
クリレートのクロロホルム溶液に含浸し、乾燥すること
により、酸化銅・ポリメチルメタクリレート複合薄膜を
形成させた。この酸化銅・ポリメチルメタクリレート複
合薄膜も、上記の酸化銅・酸化ジルコニウム複合薄膜と
同様に、非常に強いレーザー光に対する高度の耐久性を
示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例で作製した薄膜に対し、
波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入射した際
の、入射レーザー光強度と薄膜の透過率との関係を示す
図である。
【図2】本発明の第2の実施例で作製した薄膜に対し、
波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入射した際
の、入射レーザー光強度と薄膜の透過率との関係を示す
図である。
【図3】本発明の第3の実施例で作製した薄膜に対し、
波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入射した際
の、入射レーザー光強度と薄膜の透過率との関係を示す
図である。
【図4】本発明の第4の実施例で作製した薄膜に対し、
波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入射した際
の、入射レーザー光強度と薄膜の透過率との関係を示す
図である。
【図5】本発明の第5の実施例で作製した薄膜に対し、
波長532nm、パルス幅35psのレーザー光を入射した際
の、入射レーザー光強度と薄膜の透過率との関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01G 31/02 C01G 31/02 49/06 49/06 Z 51/00 51/00 A 51/04 51/04 55/00 55/00 C03C 17/25 C03C 17/25 A (72)発明者 角野 広平 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 太田 浩二 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 田和 圭子 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 田中 丈幸 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 Fターム(参考) 2K002 AA07 AB40 BA01 CA02 DA04 DA11 EA08 FA06 FA07 FA08 HA13 4F100 AA17B AA19A AA20A AA21B AA22B AA23B AA24B AA25B AA27A AA28B AA29B AA33A AA33B AG00A AK02A AK12A AK25A AK45A BA01 BA02 BA41 DE01B DJ00A JJ03 JK01 JL00 JL02 JM02B JN01A JN30 YY00B 4G002 AA03 AB07 AD02 AE05 4G048 AA02 AA03 AA05 AB01 AB02 AC08 AD02 AE07 AE08 4G059 AA11 AC07 EA01 EA02 EA03 EA04 EA06 EA07 EB05

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板とTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
    u,Zn,Nb,Mo,Ru,In,Sn,Sb,Ta,W,Re,Os,Irお
    よびBiからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の
    酸化物(但し、VO2 を除く)とから形成される光制限材
    料。
  2. 【請求項2】透明基板が、SiO2,Al203,ZrO2,ZnSeお
    よび石英からなる群から選ばれる1種である請求項1記
    載の光制限材料。
  3. 【請求項3】透明基板材料が、SiO2,Al2O3およびZrO2
    からなる群から選ばれる1種である請求項2記載の光制
    限材料。
  4. 【請求項4】透明基板材料が、SiO2を主成分とする多孔
    質ガラスである請求項3記載の光制限材料。
  5. 【請求項5】透明基板材料が、アクリル系樹脂、ポリカ
    ーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびポリビニ
    ル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である
    請求項1記載の光制限材料。
  6. 【請求項6】金属酸化物が、TiO,Ti203,TiO2,V0,V2
    03,V205,CrO,Cr203,CrO2,Cr205,CrO3,CrO5,Mn
    O,Mn3O4,Mn2O3,MnO2,MnO3,Mn2O7,FeO,Fe304,Fe
    203,CoO,Co2O3,Co3O4,CoO2,NiO,Ni3O4,Ni2O3,N
    iO2,Cu2O,CuO,ZnO,NbO,Nb2O3,NbO2,Nb2O5,Mo
    O,Mo203,MoO2,Mo2O5,MoO3,RuO,Ru2O3,RuO2,RuO
    4,In2O,In2O3,SnO,SnO2,Sb203,Sb204,Sb205,Ta
    O2,Ta203,Ta205,WO2,W2O5,WO3,Re2O,ReO,Re
    2O3,ReO2,Re205,ReO3,Re207,OsO,Os2O3,Os02,0
    s03,0s04,Ir203,IrO2,BiO,Bi2O3およびBi205から
    なる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載
    の光制限材料。
  7. 【請求項7】金属酸化物が、XCr204(X=Mg,Zn,Cu,M
    n,Fe,Co,Ni),Na2SnO3,Pb2SnO4,Bi2Sn2O7,Na3V
    O4,MVO4(M=Nd,Sm,Eu,Y,Fe,Cr),VOMo4,MV 204(M=
    Mg,Mn,Co,Zn,Cu),VM204(M=Mg,Co,Zn),VMn204
    V2MoO8,AxV205(O<x<1,A=Li,K,Na,Cu,Ag,Ca,C
    d,Pb),ZrV2O7,MVO3(M=K,Fe,Ti,Cr,Ni,Mg,C
    a,La,Y,Sc),H4(PMo11VO40),H5(PMol0V2O40),H6(P
    Mo9V3O40),H4(PWllVO40),H6(PW6V3041),Bi203・xMoO
    3(x=4,3,2,1,1/2,1/3,1/10),Bi203・xWO3(x=2-
    3,1,1/2-1/5,1/10),xBi2O3・Sb205(x=1,3),Bi9P
    Mol2052,Fe2(MoO4)3,(MoO3)1.0(Cr203)0.75,AxWO3(O
    <x<1,A=H,Li,K,Na,Rb,Ca,Cu,Ag,In,Tl,Sn,
    Pb,希土類元素),LiTi204,MnCo204,NiCo204およびNi
    MnCo408からなる複合酸化物の群から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1記載の光制限材料。
  8. 【請求項8】金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子
    として、透明基板表面上に薄膜を形成している請求項1
    〜7のいずれかに記載の光制限材料。
  9. 【請求項9】金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒子
    として、透明基板表面上に薄膜を形成しており、金属酸
    化物中の金属原子数と透明基板中の酸化物における非酸
    素原子数あるいは高分子を構成する単量体単位数との比
    が、1:1〜1:100の範囲にある請求項1〜7のいずれか
    に記載の光制限材料。
  10. 【請求項10】金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒
    子として、透明基板中に分散している請求項1〜7のい
    ずれかに記載の光制限材料。
  11. 【請求項11】金属酸化物が、平均粒径1μm以下の微粒
    子として、透明基板中に分散しており、金属酸化物中の
    金属原子数と透明基板中の酸化物における非酸素原子数
    あるいは高分子を構成する単量体単位数との比が、1:1
    〜1:100の範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の
    光制限材料。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載の光制
    限材料からなる光シャッター。
  13. 【請求項13】入射光をレンズで集光し、その焦点位置
    付近に請求項1〜11のいずれかに記載の光制限材料を
    配置することを特徴とする光シャッター。
  14. 【請求項14】請求項1〜11のいずれかに記載の光制
    限材料からなる光ヒューズ。
  15. 【請求項15】入射光をレンズで集光し、その焦点位置
    付近に請求項1〜11のいずれかに記載の光制限材料を
    配置することを特徴とする光ヒューズ。
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