JP2002053815A - エナメル粒子分散液及びその製造方法ならびに多彩模様塗料組成物 - Google Patents

エナメル粒子分散液及びその製造方法ならびに多彩模様塗料組成物

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JP2002053815A JP2001097818A JP2001097818A JP2002053815A JP 2002053815 A JP2002053815 A JP 2002053815A JP 2001097818 A JP2001097818 A JP 2001097818A JP 2001097818 A JP2001097818 A JP 2001097818A JP 2002053815 A JP2002053815 A JP 2002053815A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トップコートがなくても塗膜の劣化を生じ難
く当初の意匠性を長期にわたって維持することができる
高耐久性の多彩模様塗料組成物を製造しうるエナメル粒
子分散液を提供すること。 【解決手段】 合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶
剤(C)を含有するエナメル組成物(I)が、分散安定
剤を含有する水系分散媒(II)に分散したエナメル粒子
分散液であって、前記水系分散媒(II)中に、第3級ア
ミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩基を有し、
重合体のガラス転移温度が−20〜50℃である水性樹
脂(a)を含有することを特徴とするエナメル粒子分散
液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エナメル粒子分散
液およびその製造方法に関する。さらには当該エナメル
粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗料組成
物に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、建築物の壁面において、多彩感のあ
る塗膜を形成する塗料組成物には各種のものがある。こ
のような塗料組成物のうち、一回の塗付により多彩模様
塗膜を形成する塗料は、多彩模様塗料と呼ばれ、JIS K
5667-1983 に規定されている。この規定によると、多彩
模様塗料は液状またはゲル状の、2色以上の色の粒が分
散した構成となっている。
【0003】このような塗料の構成についての着想は、
P.BUSCHの特許に始まり、J.C.ZOLAによ
って、米国特許第2591904号、日本特許第231
698号として実用化された水中油型の多彩模様塗料に
代表される。その後、国内外の塗料技術者によって、各
種の多彩模様塗料が開発されてきたが、何れも下記の分
類に帰されるものである。
【0004】1)水中油型(以下O/Wタイプという。) 水溶性の分散媒中に、色付けした有機溶剤ベースの塗料
である分散相を、識別できる程度の大きさに不連続相と
して分散したタイプ。 2)油中水型(以下W/Oタイプという。) 分散媒が油性であって、これに色付けした水性の分散相
を不連続相として分散したタイプ。 3)油中油型(以下O/Oタイプという。) 油性の分散媒を用い、これに有機溶剤ベースのエナメル
で、分散媒に相溶しない色付けをしたゾル状物質を不連
続相に分散したタイプ。 4)水中水型(以下W/Wタイプという。) 水性の分散媒中に水性の色付けをしたゲル状物質を不連
続相に分散したタイプ。
【0005】以上の各種多彩模様塗料は、分散相を分散
媒に分散させ、両者が混合しないようにするため、O/
WタイプやW/Oタイプのように疎水性を利用したり、
O/OタイプやW/Wタイプの場合においても、互いに
非相溶性の樹脂を使用したり、分散粒子の表面をゲル化
させたりしている。
【0006】しかしながら、これらの多彩模様塗料は下
地への追従性、密着性が十分に考慮されていない場合が
ある。特に、これらの多彩模様塗料を太陽光や降雨等に
曝される環境下におかれる外装に用いる場合には、耐久
性の高さが要求されるにも拘わらず、充分な物性をもっ
ていないため、経時的に剥がれ、割れを生じ、当初の意
匠性が損なわれるという問題が発生してしまう。特に多
彩模様塗膜の上にクリヤートップコートを塗装しない場
合は、その傾向が顕著であった。そこで、このような多
彩模様塗膜を形成後には、クリヤートップコートを塗装
して塗膜の劣化を防止することが通常行われていた。こ
のような、耐候性を向上させるためのクリヤートップコ
ートの塗装は、塗装工事の工程を増やし、工事費用の増
大や、工期を長期化させる原因となっており、昨今の工
程簡略化の動きから、クリヤートップコートの不要化、
すなわち多彩模様塗膜の高耐久性化が望まれていた。
【0007】また、これら各種の多彩模様塗料は、貯蔵
状態において、各色分散粒子のそれぞれが沈降したり、
分散粒子どうしが合一化してしまうという問題があり、
これを防ぐために分散粒子の表面に分散剤を使用した
り、特定のゲル化膜を形成させたりしているが、何れも
十分でない。そのため、長期貯蔵後に塗装を行うと、ゲ
ル化膜においては、その膜の強度の度合いにより塗付時
の多彩模様意匠感、すなわち模様の広がりや凹凸の度合
い(平滑性)に大きな違いが発生し、安定的に目的の多
彩模様意匠を表現できない場合があった。
【0008】また、多彩模様塗料の製造においては、分
散相を分散媒に撹拌しながら分散させる方法が通常行わ
れているが、分散粒子の強度が弱いと、このような撹拌
により分散粒子が破壊され、目的の粒径を有する分散粒
子が製造できないだけでなく、分散粒子全体が合一化し
て一個の固まりとなってしまう場合もあった。
【0009】さらに、多彩模様塗料はその造膜過程にお
いて、分散粒子同士が融着して連続膜を形成するという
機構を有している。したがって、多彩模様塗料の貯蔵安
定性を向上させるべく、分散粒子の表面に、より強固な
膜を形成すると、そのような多彩模様塗料から形成され
る塗膜は分散粒子の融着が阻害されて、比較的粗いポー
ラス状態の不連続膜となり、塗膜の耐候性や防汚性にお
いても不安な部分を有していた。
【0010】特に最近は、これら多彩模様塗料より形成
される建築物外装塗膜の意匠として、天然石の意匠に見
られるような、各色部分が大柄で、少し距離を置いた場
合にも多彩模様が明確に認識されるものが好まれるよう
になっている。従って、このような大柄の模様を形成す
るには、大きな粒でなければならない。しかしながら、
分散粒子の粒子径を大きくすると、貯蔵中に沈降して粒
子同士が合一化しやすい。また、これを防止するため
に、分散粒子を架橋させ、強固な架橋粒子を形成する方
法が行われているが、このような粒子を使用した多彩模
様塗料を塗装した場合、前述のように形成される塗膜は
粒子の潰れ状態や融着状態が悪く、形成される多彩模様
塗膜の平滑性が不充分となったり、ポーラス状態の不連
続膜が形成され、耐候性や防汚性が劣るものとなってし
まう。
【0011】また、上記多彩模様塗料の架橋形態に注目
すると、分散粒子の内部を架橋させたもの(タイプ
1)、分散粒子の表面を架橋させたもの(タイプ2)に
大別される。
【0012】このうちタイプ1の分散粒子は、粒子自体
の耐候性向上等を目的として、粒子内部の樹脂成分を、
該樹脂成分と架橋可能な成分と反応させたものである。
しかしながら、タイプ1の分散粒子では、塗装時の潰れ
具合が低下するため、形成塗膜において、粒子間に隙間
を生じる場合がある。そのような塗膜は、ポーラス状態
の不連続膜となり、意匠性の点で問題が生じる。特に最
近は、これら多彩模様塗料より形成される塗膜の意匠と
して、天然石の意匠に見られるような、各色部分が大柄
で、少し距離を置いた場合にも多彩模様が明確に認識さ
れるものが好まれるようになっているが、タイプ1の分
散粒子でこのような意匠を得ることは難しい。またタイ
プ1で形成された不連続膜では、下地の保護機能が十分
でなく、耐候性においても不安な部分を有している。
【0013】一方、タイプ2の分散粒子では、タイプ1
に比べて粒子が潰れやすく、粒子間の間隙は生じにく
い。しかしながら、吹き付け塗装時においては、使用す
る塗装機器のエアー圧やガン先チップ口径等の条件の変
動により、色粒表面の隔壁が破壊されやすく、内容物が
撒き散らされた状態となる場合がある。そのようにして
形成された塗膜は、糸引き状の模様となってしまい、美
観性の高い多彩模様を得ることは難しい。したがって、
このような多彩模様塗料は、ごく限られた塗装条件下で
塗装しなければならず、塗装機器の選択の自由度も低い
ものとなる。
【0014】加えて最近は、これら多彩模様塗料の使用
される用途が多岐に亘り、形成される塗膜の意匠も用途
別に要求されるものが多様化している。特に建築物壁面
に対しては、比較的多彩模様が不明瞭で、壁を意識させ
ない控えめな模様でありながら、深みのある豪華な雰囲
気をかもし出すものへの要望も高まりつつある。
【0015】しかしながら、多彩模様塗料はその構成中
の液状またはゲル状の2色以上の分散粒子が潰れて模様
を形成することにより、各分散粒子間の色相の違いが大
きく現れ、コントラストが強くなるため、このような控
えめで、深みのある模様を形成し難いという現実があ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような点
に鑑みされたものであり、本発明が解決しようとする第
一の課題は、下地への追従性、密着性に優れ、太陽光や
降雨等に曝される環境下においても、塗膜に割れ、剥が
れが生じることがなく、トップコートがなくても塗膜の
劣化を生じ難く当初の意匠性を長期にわたって維持する
ことができる高耐久性(耐候性)のエナメル粒子分散液
および多彩模様塗料組成物を提供することを目的とする
ものである。
【0017】また、本発明が第一の課題とともに解決し
ようとする第二の課題は、塗装した場合に大柄で平滑な
多彩模様塗膜を形成するために、分散粒子の粒子径を大
きくしても、貯蔵中に沈降せず、粒子同士が合一化せ
ず、貯蔵安定性に優れ、長期貯蔵した後に塗装を行って
もその意匠性が損なわれることがなく、平滑な塗膜を形
成するエナメル粒子分散液および多彩模様塗料組成物を
提供することを目的とするものである。
【0018】また、本発明が第一の課題とともに解決し
ようとする第三の課題は、塗装においては、塗装機器が
替わった場合の各種条件によっても、形成される模様が
変化を生じ難く、各色の模様が大柄で略円形に形成され
る仕上りを得ることができる自由度の高い、エナメル粒
子分散液および多彩模様塗料組成物を提供することを目
的とするものである。
【0019】さらに、本発明が第一の課題とともに解決
しようとする第四の課題は、各色粒間の色相の違いがあ
まり明瞭ではなく、連続的かつ微妙に色相が変化し、控
えめで深みのある多彩模様意匠を得ることができるエナ
メル粒子分散液および多彩模様塗料組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は鋭意検討を行った結果、以下に示すエナ
メル粒子分散液を用いることにより、上記目的を達成で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は、以下のエナメル粒子分散液、その製造方法、
さらには多彩模様塗料組成物に関する。
【0021】1. 合成樹脂(A)、着色材料(B)及び
溶剤(C)を含有するエナメル組成物(I)が、分散安
定剤を含有する水系分散媒(II)に分散したエナメル粒
子分散液であって、前記水系分散媒(II)中に、第3級
アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩基を有
し、重合体のガラス転移温度(以下、Tgという)が−
20〜50℃である水性樹脂(a)を含有することを特
徴とするエナメル粒子分散液。
【0022】2. 水性樹脂(a)が、第3級アミノ基並
びに第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム
塩基を有し、第3級アミノ基:第3級アミン塩基及び/
または第4級アンモニウム塩基との存在比率が当量比で
90:10〜10:90であり、重合体のガラス転移温
度が−20〜50℃であることを特徴とする上記1記載
のエナメル粒子分散液。
【0023】3.分散安定剤として、ポリビニルアルコ
ール(b)およびその架橋剤(c)を含有してなり、水
系分散媒(II)中のポリビニルアルコール(b)の濃度
が00.1〜5重量%であることを特徴とする上記1ま
たは2記載のエナメル粒子分散液。
【0024】4.ポリビニルアルコール(b)が、重量
平均分子量10000〜100000、ケン化度80〜
100であることを特徴とする上記3に記載のエナメル
粒子分散液。
【0025】5. ポリビニルアルコール(b)が、カチ
オン性ポリビニルアルコールであることを特徴とする上
記3または4記載のエナメル粒子分散液。
【0026】6. 架橋剤(c)が、ホウ酸であり、エナ
メル粒子分散液のpHが6〜11であること特徴とする
上記3〜5のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0027】7. 合成樹脂(A)が、酸価が0〜30の
ビニル系合成樹脂であることを特徴とする上記1〜6の
いずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0028】8. エナメル組成物(I)が、合成樹脂
(A)の固形分100重量部に対して、着色材料(B)
10〜100重量部、溶剤(C)を100〜1000重
量部含有してなること特徴とする上記1〜7のいずれか
に記載のエナメル粒子分散液。
【0029】9. エナメル組成物(I)が、粘性調整剤
(D)を含有してなり、温度20℃において、BH型粘
度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指
針値)が、0.2〜15Pa・s、下記により求められ
るTI値が1.0〜8.0の範囲になるように調整され
たものであること特徴とする請求項1〜8のいずれかに
記載のエナメル粒子分散液。 <TI値> TI値:BH型粘度計を用い、式1により求められる値 TI値=η1/η2 (式1) (但し、η1:2rpmにおける見掛けの粘度(Pa・
s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける見
掛けの粘度(Pa・s:4回転目の指針値))。
【0030】10. 粘性調整剤(D)を、合成樹脂
(A)の固形分100重量部に対して、1〜10重量部
含有してなることを特徴とする上記9記載のエナメル粒
子分散液。
【0031】11.エナメル粒子の最大粒子径が、1〜
10mmであることを特徴とする上記1〜10のいずれ
かに記載のエナメル粒子分散液。
【0032】12. 水系分散媒(II)が、JIS K 5660
「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠蔽率に
おいて0.05〜0.60となる被膜を形成するもので
あることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の
エナメル粒子分散液。
【0033】13.分散安定剤を含有する水溶液に、エ
ナメル組成物(I)を分散した後に、水性樹脂(a)を
添加することを特徴とする上記1〜12のいずれかに記
載のエナメル粒子分散液の製造方法。
【0034】14.分散安定剤としてポリビニルアルコ
ールを含有する水溶液に、エナメル組成物(I)を分散
しながらまたは分散後に、架橋剤(c)を添加した後、
水性樹脂(a)を添加することを特徴とする上記3〜1
2のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の製造方法。
【0035】15.架橋剤(c)がホウ酸の場合には、
pHを6〜11に調整した状態で水性樹脂(a)を添加
することを特徴とする上記14記載のエナメル粒子分散
液の製造方法。
【0036】16.上記1〜12のいずれかに記載のエ
ナメル粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗
料組成物。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに詳細に説明する。本発明のエナメル組成物(I)
は、合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤(C)を
含有してなり、さらに必要に応じて各種添加剤を含有す
るものである。当該エナメル組成物(I)は水系分散媒
(II)中で粒子状に分散している。
【0038】[合成樹脂(A)]エナメル組成物(I)
に使用する合成樹脂(A)としては、着色材料(B)お
よび溶剤(C)と混合してエナメルを形成できるもので
あれば、既存の塗料に使用するバインダーを特に制限な
く使用することができる。例えば、アクリル系、アクリ
ルシリコン系、エポキシ系、ウレタン系、アルキド系、
シリコーン系、フッ素系等の溶剤可溶型、溶剤分散型
(エマルション型を含む)のものがあげられる。
【0039】合成樹脂(A)としては、硬化剤や硬化触
媒によって架橋する官能基を含有した、架橋性官能基含
有共重合体を用いることもできる。このような架橋性官
能基含有共重合体の架橋性官能基としては、水酸基、イ
ソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシ
リル基、カルボニル基、カルボキシル基等があげられ
る。
【0040】前記合成樹脂(A)としては、酸価が0〜
30のビニル系合成樹脂を用いるのが好ましい。ビニル
系合成樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルおよび
メタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル等の水
酸基含有ビニル系化合物、アクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸、および無水マレ
イン酸のような酸無水物、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート等のエポキシ化合物、ジエチル
アミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ化
合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、イタコン酸
アミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、
フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルア
ミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミド
化合物、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチ
レン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等
があげられ、ビニル系合成樹脂はこれらの1種または2
種以上を重合させることにより得られる。
【0041】また、前記ビニル系合成樹脂のなかでもア
クリルシリコン樹脂は、多彩模様被膜を形成した場合の
耐急候性の点から好適に用いられる。アクリルシリコン
樹脂としては、たとえば、下記式化1、
【化1】 (式中、Xは加水分解性基、R1 、R2 は水素または炭
素数1から10までのアルキル基、アリール基またはア
ラルキル基を示し、nは1から3までの整数である。)
で示されるような加水分解性シリル基を分子中に少なく
とも1つ以上含有するビニル系樹脂があげられ、通常、
重量平均分子量が10000〜200000程度であ
る。
【0042】このようなビニル系樹脂は、下記式化2、
【化2】 (式中、R3 は炭素数1から10までのアルキル基、ア
リール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素
基、Xはハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキ
シ、フェノキシ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれ
る基、nは1から3までの整数である。)で示されるよ
うなヒドロシラン化合物と炭素−炭素二重結合を有する
ビニル系重合体とを触媒によりヒドロシリル化反応させ
る方法や、
【化3】 (式中、R4 は炭素数1から10までのアルキル基、ア
リール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素
基、R5 は重合性二重結合を有する有機残基、Xはハロ
ゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキシ、フェノキ
シ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれる基、nは1
から3までの整数である。)で示されるシラン化合物と
前述の各種ビニル系化合物をラジカル重合する方法で製
造することにより得られる。
【0043】ビニル系合成樹脂の酸価は特に制限されな
いが酸価0〜30であるのが好適である。酸価0であっ
ても、エナメル粒子の表面に吸着した分散安定剤の保護
コロイド効果によりエナメル粒子どうしの合一は避けら
れる。一方、酸価30より大きい場合は分散安定剤を含
有する水溶液にエナメル組成物(I)を混合する際の粒
子化が困難となる傾向がある。
【0044】[着色材料(B)]着色材料(B)として
は、一般的に塗料に配合するものを使用することがで
き、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、
アルミナ、シリカ、カオリン、カーボンブラック、ラン
プブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロムブ
ラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べ
んがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、
パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレ
ンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイ
エロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエ
ロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシア
ニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシ
アニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジ
ンバイオレット等があげられる。
【0045】[溶剤(C)]溶剤(C)としては、石油
ベンゼン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、ミネラルスピ
リット、ターペン、ケロシン等の脂肪族炭化水素類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シ
クロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ジクロルエタン、
トリクレン、パークレン等の塩素化炭化水素類、メチル
セロソルブ、セロソルブソルベント、ブチルセロソル
ブ、イソブチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノー
ル、iso−プロパノール、n−ブタノール等のアルコー
ル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢
酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、および場合により水も
使用可能である。
【0046】[粘性調整剤(D)]エナメル組成物
(I)は、合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤
(C)を含有してなるが、さらに粘性調整剤(D)を加
えて下記特定の粘性に調整することが好適である。粘性
調整剤(D)としては、ベントナイト、セリサイト、超
微粉シリカ、表面処理炭酸カルシウム等の無機系、アマ
イドワックス、水添ヒマシ油ワックス、ベンリジデンソ
ルビトール、金属石鹸、酸化ポリエチレン、硫酸エステ
ル系アニオン活性剤等の有機系のものがあげられる。
【0047】粘性調整剤(D)を加えて調整したエナメ
ル組成物(I)の粘性とは、20℃において、BH型粘
度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指
針値)が、0.2〜15Pa・s、TI値が1.0〜
8.0の範囲になるものである。このような値を満たす
場合には、エナメル粒子が塗装時のずり応力によっても
破壊されず、被塗面においては大柄の円形模様を形成す
ることが可能となる。特に、粘度が0.3〜10Pa・
s、TI値が2.0〜6.0である場合は、上述のよう
な効果が安定して発揮されるため、好ましい。
【0048】ここで20rpmにおける粘度(4回転目
の指針値)が、0.2Pa・sより低い場合は、ずり応
力によって粒子が大きく変形させられてしまい円形模様
を形成することが不可能となったり、被塗面において形
成される模様が流れてしまったりして意匠性を損ねる結
果となる傾向がある。逆に15Pa・sより高い場合に
は、流動性が悪く、エナメル組成物(I)を分散安定剤
を含有する水溶液に分散する際に球状のエナメル粒子が
形成しにくく、また、被塗面においては円形模様を形成
し難くなる傾向がある。一方、TI値が1.0より小さ
いと、粘度が0.2〜15Pa・sであっても被塗面に
おいて形成された模様が流れてしまう傾向となり、8.
0より大きいと塗装時のずり応力によって、エナメル粒
子が潰れ散らばって塗装されてしまうおそれがある。
【0049】[エナメル組成物(I)]本発明のエナメ
ル組成物(I)は、上記の各構成成分を含有してなり、
その使用量は特に制限されないが、各構成成分の比率と
しては、合成樹脂(A)を固形分で100重量部に対し
て、着色材料(B)を10〜100重量部程度、溶剤を
(C)100〜1000重量部程度とするのが意匠性、
高耐久性の点から望ましい。また、粘性調整剤(D)を
加える場合には、合成樹脂(A)を固形分で100重量
部に対して、粘性調整剤(D)を1〜10重量部程度の
比率となるように添加するのが好適である。
【0050】本発明のエナメル組成物(I)中には、前
記の効果を損なわない程度に、繊維物質や充填材を配合
してもよい。このような繊維物質としては、パルプ繊
維、セルロース繊維、セピオライト、ウオラストナイト
等が、充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレ
ー、ホワイトカーボン、セッコウ、硫酸バリウム、マイ
カ等があげられる。
【0051】その他、通常塗料に配合する各種の添加
剤、例えば、増粘剤、可塑剤、乾燥調整剤、紫外線吸収
剤、艶調整剤、顔料分散剤、消泡剤、酸化防止剤、防黴
剤、防腐剤、造膜助剤等を本発明の効果を損なわない程
度に適宜配合してもよい。
【0052】[エナメル粒子分散液]本発明のエナメル
粒子分散液は、前記エナメル組成物(I)を、分散安定
剤を含有する水系分散媒(II)に分散したものであっ
て、水系分散媒(II)中には、第3級アミン塩基及び/
または第4級アンモニウム塩基を有し、重合体のTgが
−20〜50℃である水性樹脂(a)を含有している。
【0053】[水性樹脂(a)]水性樹脂(a)は、第
3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩基を
有することが必須である。本発明では、これらの官能基
の一方、または両方を有する水性樹脂(a)を水系分散
媒(II)に含有することにより、密着性、割れ防止性に
優れた高耐久性の多彩模様塗料組成物となるエナメル粒
子分散液を得ることができる。特に、第4級アンモニウ
ム塩基を有する場合は、このような効果が高くなり好ま
しい。
【0054】第3級アミン塩基は、たとえば、下記一般
式化4、
【化4】 (R6 ,R7 はH、炭素数1〜5のアルキル基、または
フェニル基、Xは各種酸または塩を示す)に示す構造を
有するものである。
【0055】第4級アンモニウム塩基は、たとえば、下
記一般式化5、
【化5】 (R8 ,R9 ,R10は炭素数1〜5のアルキル基、また
はベンジル基、Y- はハロゲン化物イオン、CH3 SO
3 - 、CH3 CH2 SO3 - 、CH3 OSO3 -、また
はCH3 CH2 OSO3 - を示す)に示す構造を有する
ものである。
【0056】前記第3級アミン塩基及び/または第4級
アンモニウム塩基は、水性樹脂(a)を構成するモノマ
ー中0.1〜10モル%程度であるのが密着性と耐水性
とのバランスの点で好適である。
【0057】本発明に用いる水性樹脂(a)では、官能
基として上述の第3級アミン塩基及び/または第4級ア
ンモニウム塩基の他に、さらに、第3級アミノ基を有す
るものを用いるのが好適である。第3級アミノ基は、た
とえば、下記一般式化6、
【化6】 (R11,R12はH、炭素数1〜5のアルキル基、または
フェニル基を示す)に示す構造を有する。当該第3級ア
ミノ基:第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニ
ウム塩基との存在比率は、当量比(構成モノマーのモル
比)で90:10〜10:90であることが望ましい。
各官能基の存在比率がこのような範囲であることによ
り、密着性、割れ防止性を一層高めることができる。
【0058】本発明における水性樹脂(a)がこのよう
な効果を発揮できる作用機構については、明らかではな
いが、疎水性である第3級アミノ基部分同士が会合して
絡み合い、その周辺に親水性である第3級アミン塩基及
び/または第4級アンモニウム塩基が延びている形態、
所謂コロイダルディスパージョンの形態となり、塗膜形
成後は、親水性官能基間のイオン的相互作用が適度に抑
制されるとともに、疎水性部分の絡み合いによるフレキ
シビリティが発現されるためではないかと推察される。
親水性官能基間のイオン的相互作用が強すぎる場合、即
ち第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩
基の比率が高すぎる場合は、形成塗膜が硬くなる傾向と
なってしまう。
【0059】前記水性樹脂(a)は、重合体のTgが−
20〜50℃(好ましくは10〜45℃、さらに好まし
くは20〜40℃)であるものを使用する。水性樹脂
(a)のTgが上記特定範囲内であることにより、密着
性、割れ防止性の向上を図ることができる。Tgが50
℃より高い場合は、形成塗膜に割れが発生したり、密着
性が低下したりするため好ましくない。Tgが−20℃
より低い場合は、形成塗膜の耐汚染性が極端に低下する
ため実用的でない。
【0060】水性樹脂(a)の原料モノマーとしては、
(a1)アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸
エステル、(a2)第3級アミノ基含有モノマー、(a
3)第3級アミン塩基含有モノマー及び/または第4級
アンモニウム塩基含有モノマー、が用いられる。
【0061】(a1)アクリル酸エステル及び/または
メタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、ア
クリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシペン
チル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロ
キシシクロヘキシル等があげられる。メタクリル酸エス
テルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリ
ル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシペンチ
ル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒ
ドロキシシクロヘキシル、メタクリル酸2エチルヘキシ
ルなどが挙げられる。このようなモノマーは単独で用い
てもよいし2種以上を併用してもよい。
【0062】(a2)第3級アミノ基含有モノマーとし
ては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、N−メチル,N−エチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジフェ
ニルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル
(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらは単独
で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0063】(a3)第3級アミン塩基含有モノマーと
しては、前記(a2)を酸や塩で第3級アミン塩化した
ものを用いることができる。第4級アンモニウム塩基含
有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクロイルオキ
シエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)
アクロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム
クロライド、(メタ)アクロイルオキシエチルトリエチ
ルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキ
シエチルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリエ
チルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミド
プロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ
アリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエ
チルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキ
シエチルトリメチルアンモニウムサルフェートなどがあ
げられる。このようなモノマーは単独で用いてもよいし
2種以上を併用してもよい。
【0064】水性樹脂(a)は、このようなモノマーを
使用して、以下に示す方法にて製造することができる。 1)(a1)および(a2)を必須成分とし、(a2)の
第3級アミノ基の一部または全部を第3級アミン塩化及
び/または第4級アンモニウム塩化する方法。 2)(a1)および(a3)、または(a1)、(a2)
および(a3)を必須成分とする方法。 3)(a1)、(a2)、(a3)を必須成分とし、(a
2)の第3級アミノ基の一部または全部を第3級アミン
塩化及び/または第4級アンモニウム塩化する方法。
【0065】第3級アミン塩化は、第3級アミノ基に酸
または塩を作用させることにより行われる。この際使用
される酸としては、例えば、塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸、
燐酸、硝酸、次亜燐酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、
エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸等
があげられる。塩としては、硫酸水素ナトリウム、燐酸
二水素ナトリウム等があげられる。
【0066】第4級アンモニウム塩化は、第3級アミノ
基に4級化剤を作用させることにより行われる。4級化
剤としては、例えば、ベンジルクロライド、塩化メチ
ル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、硫酸ジエ
チル、硫酸ジメチル、トルエンスルホン酸メチル、トル
エンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタ
ンスルホン酸エチル等があげられる。
【0067】1)〜3)いずれかの方法により、少なくとも
第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩基
を有する水性樹脂(a)が得られるが、最終的な水性樹
脂(a)において、第3級アミノ基:第3級アミン塩基
及び/または第4級アンモニウム塩基との存在比率が、
当量比(構成モノマーのモル比)で90:10〜10:
90となるようにするのが好適である。
【0068】水性樹脂(a)における各原料モノマーの
構成比率は、(a1)100重量部に対し、(a2)及
び(a3)が合計で3〜20重量部の範囲内含まれるよ
うにすることが好ましい。(a2)及び(a3)の添加
量が3重量部より小さくなると、密着性が低下する傾向
があり好ましくない。(a2)及び(a3)の添加量が
20重量部より大きくなると、形成された塗膜の耐水性
が低下するため、実用的でない。
【0069】なお、水性樹脂(a)における各原料モノ
マーには、前記(a1)、(a2)、(a3)に加え
て、本発明の効果を阻害しない範囲で(a4)その他の
モノマーを用いることができる。(a4)その他のモノ
マーとして、ビニルエステル系単量体やアクリロニトリ
ル系単量体等を使用してもよい。ビニルエステル系単量
体としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、スチレンなど
が挙げられ、アクリルニトリル系単量体としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどが例示できる。
その他、共重合モノマーとして、一官能性のモノマーを
単独又は併用することは可能であるが、水性樹脂(a)
にはカチオン系モノマーを使用するので、重合中又は合
成した樹脂に水を加えた時にゲル化を引き起こさないよ
うに選択することが必要である。このような官能性モノ
マーとして使用できるものは、例えば、グリシジル基、
三級アミンとエピクロルヒドリンのアダクト、アミノ基
等があげられる。
【0070】水性樹脂(a)の製造は、上記のような
(a1)、(a2)、(a3)、(a4)のモノマー類
を適宜に選択し、溶液重合法、水溶液重合法、懸濁重合
法等の従来公知の方法により行うことができる。この際
の重合温度も適宜選択できるが、通常50〜90℃にし
て重合するとよい。このうち、特に、親水性溶媒中で溶
液重合を行った後に、水希釈性化して使用する方法が好
ましく用いられる。
【0071】このとき用いられる親水性溶媒とは、水に
易溶性の有機溶媒である。水に易溶性の有機溶媒として
は、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、
プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール
類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレング
リコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリ
コールエーテル類などが挙げられる。この中でも、水と
適切な比率で混合した際に、溶液が引火点を持たず、実
用上には塗膜の乾燥性の良い、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル又はジエチレングリコールモノブチルエ
ーテルを単独または混合して使用することが望ましい。
さらに、これらの親水性有機溶媒は、本発明のエナメル
粒子分散液中に15重量%以内となるように使用するこ
とが好ましい。
【0072】水性樹脂(a)の重合においては、重合触
媒を用いることができる。使用できる重合触媒として
は、通常のカチオン重合で使用される2,2' −アゾビ
ス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩や、パーオキサイ
ド系の過酸化水素、tert−ハイドロパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパ
ーオキサイドなどが例示できる。その中でも、2,2'
−アゾビス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好適で
ある。また、アスコルビン酸や酒石酸、亜硫酸ソーダな
どの還元剤を添加しても良い。
【0073】[エナメル粒子分散液の製造方法]本発明
のエナメル粒子分散液の製造方法は、特に限定されない
が、例えば、エナメル組成物(I)を、分散安定剤を含
有する水溶液に分散した後、水性樹脂(a)を配合する
ことによって得ることができる。
【0074】エナメル組成物(I)を分散安定剤含有水
溶液に分散する際は、攪拌槽内で分散安定剤含有水溶液
をインペラー等の混合分散装置にて攪拌しながら、予め
製造しておいたエナメル組成物を徐々に加える方法にて
行うことができる。この際に、攪拌槽の大きさやインペ
ラーの形状および大きさ、周速を適宜調整し、エナメル
組成物の配合時間を適宜設定して、エナメル粒子の粒子
径を調整する。
【0075】エナメル粒子の粒子径は0.01〜10m
mとするのが好適である。特にエナメル粒子の最大粒子
径が1〜10mmとなるようにすれば、大柄で美しい多
彩模様塗膜を形成する多彩模様塗料が製造できる。エナ
メル粒子径が0.01mmより小さい場合には、形成さ
れる被膜の多彩感があまり表現されない。逆にエナメル
粒子径が10mmより大きいと、貯蔵安定性の低下、塗
装ムラの発生等の問題が生じやすく、実用性に欠ける傾
向がある。
【0076】分散安定剤含有水溶液とエナメル組成物
(I)の混合比は、(分散安定剤を含有する水溶液/エ
ナメル組成物(I))の重量比が1/0.5〜1/3で
あることが望ましい。また、水性樹脂(a)は、固形分
比率でエナメル組成物(I)に対し0.1〜10重量
%、さらには0.5〜5重量%の範囲で含有することが
望ましい。
【0077】エナメル組成物(I)を分散させ、エナメ
ル粒子の安定化を図るための分散安定剤は、特に限定さ
れないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、メチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、セルロー
スアセテートフタレイト、ベントナイト、ポリメタクリ
ル酸、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴ
ム、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、澱粉等を用
いることができる。また、白土、タルク、珪藻土等を使
用することも可能である。このうち、特にカチオン性の
ものがエナメル粒子の分散性の高さから好ましい。ま
た、分散安定剤を含有する水溶液の濃度は0.01〜5
重量%であることが望ましい。なお、水系分散媒(II)
の媒体としては、主に水が使用されるが、水に易溶性の
有機溶剤を使用することもできる。
【0078】分散安定剤を含有する水溶液においては、
通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、増粘剤、可
塑剤、防腐剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収剤等を
本発明の効果を損なわない程度に適宜配合しても良い。
【0079】[分散安定剤としてポリビニルアルコール
(b)とその架橋剤(c)を組み合わせたエナメル粒子
分散液の製造方法]前記分散安定剤としては、ポリビニ
ルアルコール(b)とその架橋剤(c)を組み合わせて
用いるのが貯蔵安定性の点で好適である。
【0080】[ポリビニルアルコール(b)]ポリビニ
ルアルコール(b)は、特に限定されないが、特にカチ
オン性のポリビニルアルコールを使用した場合は、より
貯蔵安定性の効果が向上するため好ましい。また、カチ
オン性のポリビニルアルコールは防汚性、防カビ性にも
優れている。
【0081】このようなカチオン性ポリビニルアルコー
ルは、その製造方法ごとに例をあげれば、第1にポリビ
ニルアルコール重合体を後変性する方法として、特公昭
30−5563号公報に記載のアミノアセタール化によ
るアミノ基の導入、特公昭57−34842号公報に記
載のグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドをア
ルカリ触媒の存在下にポリビニルアルコールと反応さ
せ、第4級アンモニウム塩を含むカチオン性ポリビニル
アルコールを製造する方法、第2に共重合させる方法と
して、特開昭56−14504号、特開昭56−884
113号、特開昭56−118997号各公報におい
て、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アミノア
ルキル(メタ)アクリレート(又はその第4級アンモニ
ウム塩)と酢酸ビニルとの共重合体をけん化してカチオ
ン性ポリビニルアルコールを得る方法、さらに、特開昭
59−135202号公報に記載のようにN−(3−ア
リルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミ
ン、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロピル)ジメチルアミン、N−(4−アリルオキ
シ−3−ヒドロキシブチル)ジメチルアミンやそれらの
第4級アンモニウム塩等のカチオン性単量体とアルキル
ビニルエステルとの共重合体を部分的または完全にけん
化する方法等によって得られたものなどがあげられる。
【0082】また、ポリビニルアルコール(b)の重量
平均分子量は10000〜100000、ケン化度80
〜100が好適である。重量平均分子量が10000よ
り低い場合には、エナメル粒子表面におけるポリビニル
アルコール(b)の架橋による隔壁の強度が弱すぎて、
貯蔵時に各エナメル粒子同士の合一化を招く傾向があ
る。重量平均分子量が100000より高いとエナメル
粒子表面への吸着が不十分となり、結果として隔壁の強
度が弱くなってしまう傾向がある。また、ポリビニルア
ルコールのケン化度が80より小さいと、架橋により形
成される隔壁の架橋密度が低すぎて、隔壁の強度が弱く
なり、貯蔵時に各エナメル粒子同士が合一化してしまっ
たり、塗装途中にエナメル粒子がばらばらに粉砕されて
しまい明確な意匠のパターンが形成されない場合があ
る。
【0083】ポリビニルアルコール(b)を分散安定剤
として含有する水溶液の濃度は0.01〜5重量%が好
ましい。ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、0.0
1重量%より低い場合は、分散相が互いに合一化してエ
ナメル粒子が大きくなり、安定に分散できず貯蔵安定性
が低下する傾向がある。5重量%より高いとエナメル粒
子の粒径が小さくなりすぎて、分散相が目的粒径で安定
に分散せず、明確な意匠性のパターンを形成することが
困難になる場合がある。
【0084】[架橋剤(c)]架橋剤(c)としては、
ポリビニルアルコールの水酸基と架橋反応を生じるよう
な化合物であれば特に限定されない。例えば、イソシア
ネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、錫化合
物、リン酸系化合物、ホウ酸、アルコキシシラン化合
物、有機チタネート化合物、アルミニウムキレート化合
物、アルミニウムアルコキシド化合物等があげられる。
【0085】このうち有機チタネート化合物は、チタン
を中心金属とする有機化合物であり、例えば、テトラ−
i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン等
のアルコキシドタイプ、ジ−i−プロポキシ・ビス(ア
セチルアセトナト)チタン等のアシレートタイプ、ジ−
n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン
等のキレートタイプが使用可能であるが、特にジ−n−
ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン等の
キレートタイプは、水系の分散媒中において、徐々に加
水分解するため好適に用いられる。
【0086】前記架橋剤(c)としては、ホウ酸を好適
に用いることができる。ホウ酸は、三酸化二ホウ酸が水
化して生ずる酸素酸であり、オルトホウ酸、メタホウ
酸、四ホウ酸がある。また、四ホウ酸ナトリウム(ホウ
砂)を使用することもできる。このホウ酸は、後述する
ように、エナメル粒子の原料エナメルを、水系分散媒に
分散させる際に同時に又は分散後に添加するものであ
る。このホウ酸の添加によって規定の大きさに分散され
たエナメル粒子の表面において、その表面に吸着したポ
リビニルアルコール(b)とホウ酸とが反応してごく薄
いゲル状被膜を形成し、エナメル粒子同士が合一化しな
い強固なものにする。また、同時に水系分散媒中に希薄
に分散しているポリビニルアルコール(b)も、ホウ酸
と反応して緩やかなネットワークを形成する。このネッ
トワークによって、エナメル粒子や水系分散媒中の着色
材料は沈降することなく安定に分散することが可能とな
る。
【0087】架橋剤(c)の添加量はポリビニルアルコ
ール(b)との架橋反応が十分行われる程度であれば特
に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール
(b)の固形分100重量部に対して、0.01〜10
重量部程度とすることが好ましい。
【0088】分散安定剤として、ポリビニルアルコール
(b)とその架橋剤(c)を組み合わせて用いる場合に
は、ポリビニルアルコール(b)を含有する分散安定剤
含有水溶液に、エナメル組成物(I)を分散しながらま
たは分散後に、架橋剤(c)を添加した後、水性樹脂
(a)を添加することによりエナメル粒子分散液を製造
するのが好適である。
【0089】上記分散安定剤として、ポリビニルアルコ
ール(b)とその架橋剤(c)を組み合わせて用いるエ
ナメル粒子分散液の製造において、架橋剤(c)として
ホウ酸を用いる場合には、pHを6〜11に調整した状
態で水性樹脂(a)を添加する。具体的には、ポリビニ
ルアルコール水溶液を攪拌しつつエナメル組成物(I)
を分散しながらホウ酸を添加し、水性樹脂(a)を混合
する方法、または、ポリビニルアルコール水溶液にエナ
メル組成物(I)を分散し、更にホウ酸を添加し、水性
樹脂(a)を混合する方法等を採用することができる。
pH調整を行うタイミングは特に限定されず、ホウ酸の
添加前でも添加後でもよい。ポリビニルアルコール
(b)とホウ酸との反応は、系のpHが6〜11の範囲
において安定に進行する。
【0090】pHを6〜11に調整するpH調整剤は、
特に限定されるものではないが、たとえば、アンモニ
ア、1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1
−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパ
ノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−
2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)
−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエ
タノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、
N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチ
ルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンな
どをあげることができる。
【0091】pHを前記範囲内とすることにより、エナ
メル粒子分散液の貯蔵安定性が十分に確保される。pH
が6より小さくなると、ホウ酸とポリビニルアルコール
(b)との反応が進まなくなる。pHが11より大きく
なると、ポリビニルアルコール(b)が凝集ゲル化して
しまい、ホウ酸との反応によるエナメル粒子の補強や水
系分散媒中でのネットワーク形成ができなくなる。特に
カチオン性ポリビニルアルコールの場合には、この傾向
が顕著である。結果として、pHが6〜11の範囲外の
場合は、エナメル粒子や着色材料の分散安定性が確保で
きなくなる。エナメル粒子分散液は、貯蔵時に変質する
ことがなく、前述のポリビニルアルコールの緩やかなネ
ットワークを維持し、多彩模様塗料の塗膜形成時におい
ては、被塗面への密着性や被塗面の変位に追従する効果
を発揮する。
【0092】[水系分散媒(II)]本発明のエナメル粒
子分散液を形成する水系分散媒(II)は、水系媒体に上
記水性樹脂(a)、ポリビニルアルコール(b)、架橋
剤(c)を含む他に、消泡剤、増粘剤、分散剤、防黴
剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等
公知の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添
加することもできる。また、合成樹脂エマルションを含
むこともできる。
【0093】本発明における水系分散媒(II)は、JIS
K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠
蔽率において0.05〜0.60となる被膜を形成する
ものが好適である。水系分散媒(II)の隠蔽率を前記範
囲に調整するには、たとえば、水系分散媒(II)中に着
色材料を含有させる方法がある。着色材料としては、前
述のエナメル粒子と同様の着色材料(B)を使用するこ
とができる。その配合量は水系分散媒(II)によって形
成される被膜が、前述の隠蔽率の範囲となるように適宜
決定される。また、着色材料(B)のうち、その粒子径
が1μm以下のものは、エナメル粒子の色相が深みのあ
る豪華な雰囲気のものに仕上るため、より好ましく用い
ることができる。
【0094】隠蔽率が0.05より小さい場合には、分
散媒色相とエナメル粒子色相との複合効果が得られず、
エナメル粒子の斑点模様のみが形成される。隠蔽率が
0.60より大きい場合には、エナメル粒子の色相が不
明瞭となり、分散媒色相の単色被膜が形成されてしま
う。
【0095】[多彩模様塗料組成物]本発明の多彩模様
塗料組成物は、2色以上のエナメル粒子分散液から形成
されるものである。このような2色以上の多彩模様塗料
とするためには、まず、単色のエナメル粒子が上述のよ
うに分散したエナメル分散液を適宜製造しておく。そし
て、同様の方法で製造した各色のエナメル分散液を混合
することにより、多彩模様塗料を得ることができる。
【0096】また、本発明の多彩模様塗料においては、
比較的粒子径の大きなエナメル粒子と、比較的粒子径の
小さな、異色のエナメル粒子の混合した多彩模様塗料組
成物とすることにより、大柄模様が際立って見える効果
がある。これは多彩模様塗膜を形成した際に、粒子径の
大きなエナメル粒子が大柄模様を形成し、その模様の間
を、粒子径の小さなエナメル粒子が充填するように塗膜
を形成して、背景色となるためである。
【0097】[塗装方法]本発明の多彩模様塗料組成物
を適用する部位は特に限定されるものではないが、例え
ば、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、モルタ
ル、サイディングボード、ALC板、押出成形板、プラ
スチック板等各種基材の表面仕上げ材として用いること
ができる。主として、建築物、土木構造物等の躯体の保
護に使用するものである。
【0098】本発明の多彩模様塗料組成物は、基材に対
し必要に応じ適宜表面処理を施した後、塗装を行う。そ
の塗付量は通常0.2〜1.0kg/m2 程度である。
また、塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷
毛等公知のものを使用することができる。
【0099】本発明の多彩模様塗料組成物は、本来トッ
プコートは必要としない高耐久性のものであり、その塗
膜は被塗面の最表層塗膜として使用することができるも
のであるが、さらに、機能性の付与、美装性の向上のた
めに、必要に応じてさらに、透明トップコートを積層し
ても良い。このような透明トップコートは、必ずしも無
色である必要はなく、若干の色相を有するカラークリヤ
ーならば、多彩模様塗膜の色相とあいまってより美観を
高めることが可能となる。クリヤー塗料は、特に限定さ
れず公知のものが使用できる。若干着色を施したものも
使用できる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹
脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン系、フッ素系
等があげられる。耐久性を考慮すると、アクリルシリコ
ン系、フッ素系等が望ましい。クリヤー塗料による塗装
は、公知の塗装によればよく、例えば吹き付け塗装、ロ
ーラー塗装、刷毛塗り等の各種の塗装方法により実施す
ることができる。クリヤー塗料の塗付量は、適用する部
位等に応じて適宜設定すればよく、通常0.1〜0.4
kg/m2 程度である。
【0100】
【発明の効果】本発明の多彩模様塗料組成物の調製に用
いるエナメル粒子分散液は、水系分散媒(II)中に特定
の水性樹脂(a)を含有する。水性樹脂(a)は、疎水
性である第3級アミノ基部分を有している場合には、そ
れら同士が会合して絡み合い、その周辺に親水性である
第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩基
が延びている形態、所謂コロイダルディスパージョンの
形態になる。これにより、塗膜形成後は、親水性官能基
間のイオン的相互作用が適度に抑制されるとともに、疎
水性部分の絡み合いによるフレキシビリティが発現され
る。また、第3級アミン塩基及び/または第4級アンモ
ニウム塩基は、密着性向上にも大きく寄与する。その結
果、下地への追従性、密着性に優れ、太陽光や降雨等に
曝される環境下においても、塗膜に割れ、剥がれが生じ
ることがなく、トップコートがなくても塗膜の劣化を生
じ難く当初の意匠性を長期にわたって維持することがで
きる高耐久性の多彩模様塗料組成物を提供できる。
【0101】また、本発明のエナメル粒子分散液の水系
分散媒(II)に含まれる分散安定剤としてポリビニルア
ルコール(b)と架橋剤(c)を用いた場合には貯蔵安
定性が良好である。その機構は明らかではないが、エナ
メル粒子表面に吸着されたポリビニルアルコール(b)
が架橋を生じ、エナメル粒子を包む隔壁を形成する。特
に、ポリビニルアルコール(b)の重合度、ケン化度、
濃度を規定することによって、エナメル粒子表面に吸着
するポリビニルアルコール分子の量を制御し、その上で
架橋剤(c)を用いる場合には、隔壁の厚みやその架橋
密度に起因する強度を制御できる。このようにして得ら
れる粒子の隔壁は適度に柔らかい性質をもつことができ
る。
【0102】また、本発明では、エナメル組成物(I)
として、特定の粘性に調整されたものを用いることによ
り、分散粒子の粒子径を大きくしても貯蔵中に分散粒子
の沈降や合一化が生じ難く、貯蔵安定性に優れ、長期貯
蔵した後に塗装を行ってもその意匠性が損なわれること
がなく、平滑な塗膜を形成する多彩模様塗料組成物を提
供することができる。こうした多彩模様塗料組成物は、
エナメル粒子の表面架橋性と内部の粘性との複合作用に
よって、吹付け塗装時にずり応力がはたらいた場合にお
いても、エナメル粒子は潰れて破裂することなく、変形
するのみであり、塗装機器が替わった場合の各種条件に
よっても、形成される塗膜の変化を生じ難い。また、被
塗面に衝突した場合には、容易に粒子が潰れて、内部の
エナメル組成物が広範囲に広がり、その後、流動するこ
となく円形の模様を保つことになる。このようにして形
成された塗膜は、各色の模様が大柄かつ円形で隙間なく
重なり合い、美観性の高い仕上りとなる。
【0103】また、本発明のエナメル粒子分散液の水系
分散媒(II)として、特定の隠蔽率のものを用いること
により各色粒間の色相の違いがあまり明瞭ではなく、連
続的かつ微妙に色相が変化し、控えめで深みのある多彩
模様意匠を得ることができる多彩模様塗料組成物を提供
することができる。
【0104】
【実施例】以下に試験例1〜8を示し、それぞれに実施
例及び比較例によって、本発明の特徴をより明確にす
る。各例の部および表中の数値はすべて重量部、重量%
である。
【0105】表1に、実施例及び比較例で用いる材料を
示す。
【表1】 なお、表1中、水性樹脂(a)である水性樹脂1〜4は
下記合成例1〜4により製造したものである。
【0106】(合成例1:水性樹脂1)攪拌機と温度計
がセットされたガラス製の重合容器を、窒素置換した
後、エチレングリコールモノブチルエーテルを200重
量部仕込み、80℃に昇温した。その後、メチルメタク
リレート65重量部、ブチルアクリレート35重量部、
及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロライド5重量部と、重合開始剤として2,2' −ア
ゾビス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩1.0重量部
を、6時間かけて滴下し、2時間熟成させ溶液重合を行
った。このようにして合成した樹脂を、水で希釈して固
形分15%に調整し、水性樹脂1を得た。
【0107】(合成例2:水性樹脂2)攪拌機と温度計
がセットされたガラス製の重合容器を、窒素置換した
後、エチレングリコールモノブチルエーテルを200重
量部仕込み、80℃に昇温した。その後、メチルメタク
リレート65重量部、ブチルアクリレート35重量部、
及びジエチルアミノエチルメタクリレート10重量部
と、重合開始剤として2,2' −アゾビス−(2−アミ
ジノプロパン)塩酸塩1.0重量部を、6時間かけて滴
下し、2時間熟成させ溶液重合を行った。このようにし
て合成した樹脂に対し、第3級アミノ基と第4級アンモ
ニウム塩基とのモル比率が30:70となるように硫酸
ジメチルを加え、その後水で希釈して固形分15%に調
整し、水性樹脂2を得た。
【0108】(合成例3:水性樹脂3)第3級アミノ基
と第4級アンモニウム塩基とのモル比率が70:30と
なるように硫酸ジメチルを加えた以外は、合成例2と同
様にして水性樹脂3を得た。
【0109】(合成例4:水性樹脂4)攪拌機と温度計
がセットされたガラス製の重合容器を、窒素置換した
後、エチレングリコールモノブチルエーテルを200重
量部仕込み、80℃に昇温した。その後、メチルメタク
リレート84重量部、ブチルアクリレート16重量部、
ジエチルアミノエチルメタクリレート9重量部、及びメ
タクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロラ
イド6重量部と、重合開始剤として2,2' −アゾビス
−(2−アミジノプロパン)塩酸塩1.0重量部を、6
時間かけて滴下し、2時間熟成させ溶液重合を行った。
その後水で希釈して固形分15%に調整し、水性樹脂4
を得た。
【0110】
【表2】 水性樹脂(a)のモノマー構成比率等は表2に示す通り
である。
【0111】試験例1 試験例1は耐久性を確認するための試験であり、これを
実施例と比較例により明確にする。耐久性試験は以下に
示す通りである。
【0112】(耐久性試験)スレート板(縦60mm×
横50mm×厚み4mm)の表面に、オート化学(株)
製ポリウレタン系シーリング材を6mm厚にて塗付し、
1週間常温にて乾燥養生した。次に、このシーリング材
塗付スレート板のシーリング材面に、湿気硬化形ウレタ
ン樹脂プライマーを、所要量0.15kg/m2 にて刷
毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K 5663に規定す
る合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg
/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間乾燥養生し、
その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗
料をリシンガンにて、所要量0.6kg/m2 で吹付け
塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。
【0113】続いてこの試験体を促進耐候性試験機とし
て、スーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用
い、光照射6時間、結露2時間(合計8時間)を1サイ
クルとして100サイクル行い、塗膜の劣化状態を確認
した。このとき、塗膜表面に異常のないものを○、割れ
もしくは剥がれの生じたものを×として目視にて判断し
評価した。
【0114】(分散安定剤含有水溶液の調製)
【表3】 表1に示す原料を使用して、表3に示す配合例にて、分
散安定剤含有水溶液を製造した。ここで、配合例1はポ
リビニルアルコールを使用した例、配合例2はカチオン
性ポリビニルアルコールを使用した例である。
【0115】(エナメル組成物の調製)
【表4】 表1に示す原料を使用して、表4に示した配合例3から
配合例11にて(但し架橋剤は除く)、各エナメル組成
物を製造した。ここで、配合例3、配合例6、配合例9
は白色、配合例4、配合例7、配合例10はクリーム
色、配合例5、配合例8、配合例11はピンク色であっ
た。
【0116】(多彩模様塗料の製造)
【表5】 表1に示した原料を使用して、表3、表4に示した各配
合例を用いて、表5に示した分散安定剤含有水溶液とエ
ナメル組成物と水性樹脂の組み合わせにて、エナメル粒
子分散液を製造した。製造手順としては、分散安定剤含
有水溶液を攪拌しながら、各エナメル組成物を分散させ
た後に、架橋剤を混合した。次に、pH調整剤としてア
ミノメチルプロパノールを使用して、pHが9となるよ
うに調整を行ない、その後に水性樹脂を混合した。この
時、分散安定剤含有水溶液と各エナメル組成物は、重量
比で1:1.5となるようにした。また、エナメル粒子
分散液中の水性樹脂は、固形分比率で1.0重量%にな
るように混合した。
【0117】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表5の各実施例、比較
例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合
し、多彩模様塗料組成物を製造した。得られた多彩模様
塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表6に示
す。
【0118】
【表6】
【0119】(試験例1:実施例1〜4)本発明の多彩
模様塗料組成物であり、割れや剥がれが生じることな
く、優れた耐久性を示した。
【0120】(試験例1:比較例1〜3)比較例1は水
性樹脂を含まない例、比較例2は水性樹脂が本発明に規
定したTgの範囲外である例、比較例3は水性樹脂とし
てアクリル−スチレン系合成樹脂エマルションを使用し
た例であり、いずれの場合も塗膜に割れや剥がれが生じ
てしまった。
【0121】試験例2 試験例2は耐久性に加えて塗膜外観を確認するための試
験であり、これを実施例(参考例)と比較例により明確
にする。塗膜外観および耐久性試験は以下に示す通りで
ある。
【0122】(塗膜外観)製造した多彩模様塗料組成物
をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/m2でスプ
レー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、その塗膜外観
を目視にて評価した。評価は、○:色調が連続かつ微妙
に変化する外観、×:色粒のコントラストが明瞭な外
観、または単色で単調な外観、とした。
【0123】(耐久性試験)スレート板(縦60mm×
横50mm×厚み4mm)の表面に、オート化学(株)
製ポリウレタン系シーリング材を6mm厚にて塗付し、
1週間常温にて乾燥養生した。次に、このシーリング材
塗付スレート板のシーリング材面に、湿気硬化形ウレタ
ン樹脂プライマーを、所要量0.15kg/m2 にて刷
毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K 5663に規定す
る合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg
/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間乾燥養生し、
その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗
料をリシンガンにて、所要量0.6kg/m2 で吹付け
塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。
【0124】続いてこの試験体を促進耐候性試験機とし
て、スーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用
い、光照射6時間、結露2時間(合計8時間)を1サイ
クルとして100サイクル行い、塗膜の劣化状態を確認
した。このとき、塗膜表面に異常のないものを○、割れ
もしくは剥がれの生じたものを×として目視にて判断し
評価した。
【0125】(分散安定剤含有水溶液の調製)
【表7】 表1に示す原料を使用して、表7に示す配合例にて、分
散安定剤含有水溶液を製造した。なお、表2の数値は濃
度を除きすべて重量部で示した。
【0126】(エナメル組成物の製造)
【表8】 表1に示す原料を使用して、表8に示す配合にて(但し
架橋剤は除く)、各エナメル組成物を製造した。なお、
表8の数値はすべて重量部で示した。
【0127】(多彩模様塗料の製造)
【表9】 表1に示した原料を使用して、表7、表8に示す各配合
例を用いて、表9に示す組み合わせにて、エナメル粒子
分散液を製造した。製造手順としては、分散安定剤含有
水溶液を攪拌しながら、各エナメル組成物を分散させた
後に、架橋剤を混合した。次に、pH調整剤としてアミ
ノメチルプロパノールを使用して、pHが9となるよう
に調整を行ない、その後に水性樹脂を混合した。この
時、分散安定剤含有水溶液と各エナメル組成物は、重量
比で1:1.5となるようにした。また、エナメル粒子
分散液中の水性樹脂は、固形分比率で1.0重量%にな
るように混合した。表9中の、隠蔽率は分散安定剤含有
水溶液(ポリビニルアルコール水溶液)、架橋剤、水性
樹脂を別途混合し、本発明で規定する方法にて測定した
値である。
【0128】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表9の各実施例、比較
例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合
し、多彩模様塗料組成物を製造した。得られた多彩模様
塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表10に
示す。
【0129】
【表10】
【0130】(試験例2:実施例1〜2)白色系エナメ
ル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様
塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が
連続的かつ微妙に変化する外観となった。また耐久性試
験においても異常は認められなかった。
【0131】(試験例2:実施例3)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散
した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜
は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観
となった。また耐久性試験においても異常は認められな
かった。
【0132】(試験例2:実施例4)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連
続的かつ微妙に変化する外観となった。また耐久性試験
においても異常は認められなかった。
【0133】(試験例2:参考例1)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であるが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形
成塗膜は、白色系の単調な外観となってしまった。
【0134】(試験例2:参考例2)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散
媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形
成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外
観となってしまった。
【0135】(試験例2:比較例1〜3)比較例1は水
性樹脂を含まない例、比較例2は水性樹脂が本発明に規
定したTgの範囲外である例、比較例3は水性樹脂とし
てアクリル−スチレン系合成樹脂エマルションを使用し
た例であり、いずれの場合も塗膜に割れや剥がれが生じ
てしまった。
【0136】試験例3 試験例3は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0137】(塗料の初期状態)多彩模様塗料を製造直
後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状
態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目
視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり
(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0138】(貯蔵安定性試験)多彩模様塗料を50℃
の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっく
りとかきまぜた際に、塗料の状態を目視にて確認した。
評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル
化、異常増粘等)、とした。
【0139】(塗膜外観試験、耐久性試験)スレート板
(縦60mm×横50mm×厚み4mm)の表面に、オ
ート化学(株)製ポリウレタン系シーリング材を6mm
厚にて塗付し、1週間常温にて乾燥養生した。次に、こ
のシーリング材塗付スレート板のシーリング材面に、湿
気硬化形ウレタン樹脂シーラーを、所要量0.15kg
/m2 にて刷毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K
5663に規定する合成樹脂エマルションペイントを、所要
量0.2kg/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間
乾燥養生し、その後、フレキシブル板を垂直に保持し、
各多彩模様塗料をリシンガンにて、所要量0.6kg/
2 で吹付け塗付し、24時間乾燥養生したものを試験
体とした。この試験体の形成された模様において、塗膜
外観の確認を行った。このとき各エナメル粒子の色彩が
大柄かつ円形となり、明瞭であるものを◎、若干、小さ
な柄のものを○として目視にて判断し評価した。続いて
この試験体を促進耐候性試験機として、スーパーUVテ
スター(岩崎電気株式会社製)を用い、光照射6時間、
結露2時間(合計8時間)を1サイクルとして100サ
イクル行い、塗膜の劣化状態を確認した。このとき、塗
膜表面に異常のないものを○、割れもしくは剥がれの生
じたものを×として目視にて判断し評価した。
【0140】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表11】 表1に示す原料を使用して、表11に示した配合例に
て、ポリビニルアルコール水溶液を製造した。ここで、
配合例1、配合例4、配合例7はポリビニルアルコール
を使用した例、配合例2、配合例3、配合例8はカチオ
ン性ポリビニルアルコールを使用した例、配合例5はポ
リビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定する
範囲より低いものを使用した例、配合例6はカチオン性
ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定す
る範囲より高いものを使用した例である。表11の数値
は濃度を除き、すべて重量部で示した。
【0141】(エナメル組成物の製造)
【表12】 表1に示す原料を使用して、表12に示した配合例9か
ら配合例17にて(但し架橋剤は除く)、各エナメル組
成物を製造した。ここで、配合例9、配合例12、配合
例15は白色、配合例10、配合例13、配合例16は
クリーム色、配合例11、配合例14、配合例17はピ
ンク色であった。表12の数値はすべて重量部で示し
た。
【0142】(多彩模様塗料の製造)
【表13】 表1に示した原料を使用して、表11、表12に示した
各配合例を用いて、表13に示したポリビニルアルコー
ル水溶液もしくはカチオン性ポリビニルアルコール水溶
液と、エナメル組成物と水性樹脂の組み合わせにて、エ
ナメル粒子分散液を製造した。製造手順としては、ポリ
ビニルアルコール水溶液もしくはカチオン性ポリビニル
アルコール水溶液を攪拌しながら、各エナメル組成物を
分散させた後に、架橋剤を混合した。その後にpH調整
剤として、実施例1から実施例4、参考例1、参考例
2、参考例4、参考例5、比較例1、比較例2について
は、アミノメチルプロパノールを、参考例3について
は、乳酸を使用してpH調整を行ない、その後に水性樹
脂を混合した。この時、ポリビニルアルコール水溶液も
しくはカチオン性ポリビニルアルコール水溶液と、各エ
ナメル組成物は、重量比で1:1.5となるように混合
した。また、エナメル粒子分散液中の水性樹脂は、固形
分比率で1.0重量%になるように混合した。
【0143】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表13の各実施例、比
較例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混
合し、多彩模様塗料組成物を製造した。尚、多彩模様塗
料組成物の最終pHは、表13のようになった。得られ
た多彩模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果
を表14に示す。
【0144】
【表14】
【0145】(試験例3:実施例1)ポリビニルアルコ
ールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲である
ため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態で
あっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子
の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールもしくは
カチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の反応によ
り、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中
でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されて
いることがわかった。また、水系分散媒中の水性樹脂も
本発明に規定した第4級アンモニウム塩基を有し、Tg
も規定範囲内のため、この多彩模様塗料を塗装すると、
塗膜外観試験において、アクリル酸エステル−メタクリ
ル酸エステル共重合物系の白色、クリーム色、ピンク色
の入り混じった非常に大柄の多彩模様被膜を形成し、耐
久性試験においても、形成された多彩模様塗膜に異常を
生じなかった。
【0146】(試験例3:実施例2)カチオン性ポリビ
ニルアルコールの濃度と、系のpHが本発明の規定する
範囲であるため、製造された多彩模様塗料は、製造後の
初期状態であっても、貯蔵安定性試験後であっても、エ
ナメル粒子の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコー
ルもしくはカチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の
反応により、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系
分散媒中でのネットワーク形成による沈降防止効果が発
揮されていることがわかった。また、水系分散媒中の水
性樹脂も本発明に規定した第3級アミノ基と第4級アン
モニウム塩基とをモル比率で30:70で有し、Tgも
規定範囲内のため、この多彩模様塗料を塗装すると、塗
膜外観試験において、アクリル酸エステル−メタクリル
酸エステル共重合物系の白色、クリーム色、ピンク色の
入り混じった非常に大柄の多彩模様被膜を形成し、耐久
性試験においても、形成された多彩模様塗膜に異常を生
じなかった。
【0147】(試験例3:実施例3)カチオン性ポリビ
ニルアルコールの濃度と、系のpHが本発明の規定する
範囲であるため、製造された多彩模様塗料は、製造後の
初期状態であっても、貯蔵安定性試験後であっても、エ
ナメル粒子の合一化や沈降がなく、カチオン性ポリビニ
ルアルコールとホウ酸の反応により、エナメル粒子表面
に形成された膜と、水系分散媒中でのネットワーク形成
による沈降防止効果が発揮されていることがわかった。
また、水系分散媒中の水性樹脂も本発明に規定した第3
級アミノ基と第4級アンモニウム塩基とをモル比率で7
0:30で有し、Tgも規定範囲内のため、この多彩模
様塗料を塗装すると、塗膜外観試験において、アクリル
シリコン樹脂系の白色、クリーム色、ピンク色の入り混
じった多彩模様被膜を形成し、耐久性試験においても、
形成された多彩模様塗膜に異常を生じなかった。
【0148】(試験例3:実施例4)ポリビニルアルコ
ールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲である
ため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態で
あっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子
の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールとホウ酸
の反応により、エナメル粒子表面に形成された膜と、水
系分散媒中でのネットワーク形成による沈降防止効果が
発揮されていることがわかった。また、水系分散媒中の
水性樹脂も本発明に規定した第4級アンモニウム塩基を
有し、Tgも規定範囲内のため、この多彩模様塗料を塗
装すると、塗膜外観試験において、アクリルシリコン樹
脂系の白色、クリーム色、ピンク色の入り混じった多彩
模様被膜を形成し、耐久性試験においても、形成された
多彩模様塗膜に異常を生じなかった。
【0149】(試験例3:参考例1)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分
散媒を用いた結果、エナメル粒子の最大粒子径が15.
0mmと非常に大きくなり、多彩模様塗料の製造直後は
若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験
の後にはゲル化してしまった。
【0150】(試験例3:参考例2)カチオン性ポリビ
ニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも
高い水系分散媒を用いた結果、エナメル最大粒子の最大
粒子径が0.2mmと小さくなり、多彩模様塗料の製造
直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定
性試験の後には異常増粘してしまった。
【0151】(試験例3:参考例3)系のpHが本発明
で規定する範囲よりも小さいため、ポリビニルアルコー
ルとホウ酸の反応が生じ難くなり、エナメル粒子表面で
の膜形成と水系分散媒中でのネットワーク形成ができな
くなり、エナメル粒子の製造直後から沈降とゲル化が発
生した。
【0152】(試験例3:参考例4)系のpHが本発明
で規定する範囲よりも大きいため、カチオン性ポリビニ
ルアルコールがゲル化してしまい。エナメル組成物を分
散して粒子化することができなかった。
【0153】(試験例3:参考例5)架橋剤として、ア
ルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を使用した
以外は、実施例1と同様にしてエナメル粒子を製造した
が、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が加
水分解反応を生じるため、貯蔵安定性試験においてゲル
化してしまった。
【0154】(試験例3:比較例1)ポリビニルアルコ
ールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲である
ため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態で
あっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子
の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールもしくは
カチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の反応によ
り、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中
でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されて
いることがわかった。しかしながら、水系分散媒中の水
性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外のため、この多
彩模様塗料を塗装すると、塗膜外観試験において、アク
リル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物系の白
色、クリーム色、ピンク色の入り混じった非常に大柄の
多彩模様被膜を形成したが、耐久性試験においては、形
成された多彩模様塗膜に割れを生じた。
【0155】(試験例3:比較例2)ポリビニルアルコ
ールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲である
ため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態で
あっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子
の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールもしくは
カチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の反応によ
り、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中
でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されて
いることがわかった。しかしながら、水系分散媒中の水
性樹脂として、アクリル−スチレン系合成樹脂エマルシ
ョンを使用したため、この多彩模様塗料を塗装すると、
塗膜外観試験において、アクリル酸エステル−メタクリ
ル酸エステル共重合物系の白色、クリーム色、ピンク色
の入り混じった非常に大柄の多彩模様被膜を形成した
が、耐久性試験においては、形成された多彩模様塗膜に
割れを生じた。
【0156】試験例4 試験例4は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0157】(塗料の初期状態)多彩模様塗料を製造直
後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状
態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目
視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり
(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0158】(貯蔵安定性試験)多彩模様塗料を50℃
の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっく
りとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評
価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、
異常増粘等)、とした。
【0159】(塗膜外観)貯蔵前及び貯蔵後の多彩模様
塗料組成物をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/
2 でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、そ
の塗膜外観を目視にて評価した。評価は、○:色調が連
続かつ微妙に変化する外観、×:色粒のコントラストが
明瞭な外観、または単色で単調な外観、とした。
【0160】(耐久性試験)スレート板(縦60mm×
横50mm×厚み4mm)の表面に、オート化学(株)
製ポリウレタン系シーリング材を6mm厚にて塗付し、
1週間常温にて乾燥養生した。次に、このシーリング材
塗付スレート板のシーリング材面に、湿気硬化形ウレタ
ン樹脂プライマーを、所要量0.15kg/m2 にて刷
毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K 5663に規定す
る合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg
/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間乾燥養生し、
その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗
料をリシンガンにて、所要量0.6kg/m2 で吹付け
塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。
【0161】続いてこの試験体を促進耐候性試験機とし
て、スーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用
い、光照射6時間、結露2時間(合計8時間)を1サイ
クルとして100サイクル行い、塗膜の劣化状態を確認
した。このとき、塗膜表面に異常のないものを○、割れ
もしくは剥がれの生じたものを×として目視にて判断し
評価した。
【0162】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表15】 表1に示す原料を使用して、表15に示す配合例にて、
ポリビニルアルコール水溶液を製造した。なお、表15
の数値は濃度を除きすべて重量部で示した。
【0163】(エナメル組成物の製造)
【表16】 表1に示す原料を使用して、表16に示す配合にて(但
し架橋剤は除く)、各エナメル組成物を製造した。な
お、表16の数値はすべて重量部で示した。
【0164】(多彩模様塗料の製造)
【表17】 表15、表16に示す各配合例を用いて、表17に示す
組み合わせにて、エナメル粒子分散液を製造した。製造
手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しな
がら各エナメル組成物を分散させた後に、表16に示す
架橋剤を混合した。その後にpH調整剤として実施例1
〜4、参考例1〜4、参考例6〜7、比較例1〜2につ
いてはアミノメチルプロパノールを、参考例5について
は乳酸を使用してpH調整を行ない、さらに水性樹脂を
混合した。この時、水系分散媒と各エナメル組成物は、
重量比で1:1.5となるようにした。また、エナメル
粒子分散液中の水性樹脂は、固形分比率で1.0重量%
になるように混合した。表17中の、隠蔽率は分散安定
剤含有水溶液(ポリビニルアルコール水溶液)、架橋
剤、水性樹脂を別途混合し、本発明で規定する方法にて
測定した値である。
【0165】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表17の各実施例、比
較例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混
合し、多彩模様塗料組成物を製造した。得られた多彩模
様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表18
に示す。
【0166】
【表18】
【0167】(試験例4:実施例1〜2)白色系エナメ
ル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様
塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が
連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定
性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様
の外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験において
も異常は認められなかった。
【0168】(試験例4:実施例3)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散
した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜
は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観
となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗
装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができ
た。耐久性試験においても異常は認められなかった。
【0169】(試験例4:実施例4)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連
続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性
にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の
外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験においても
異常は認められなかった。
【0170】(試験例4:参考例1)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であるが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形
成塗膜は、白色系の単調な外観となってしまった。
【0171】(試験例4:参考例2)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散
媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形
成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外
観となってしまった。
【0172】(試験例4:参考例3)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分
散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増
粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には
沈降し、合一化してしまった。
【0173】(試験例4:参考例4)カチオン性ポリビ
ニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも
高い水系分散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後
は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試
験の後には異常増粘してしまった。
【0174】(試験例4:参考例5)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも小さく、エナメル粒子の製造直
後から沈降し、合一化した。
【0175】(試験例4:参考例6)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも大きく、カチオン性ポリビニル
アルコールがゲル化してしまい、エナメル組成物を分散
して粒子化することができなかった。
【0176】(試験例4:参考例7)架橋剤として、ア
ルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を使用した
ところ、貯蔵安定性試験においてゲル化してしまった。
【0177】(試験例4:比較例1、2)比較例1は水
性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外である例、比較
例2は水性樹脂としてアクリル−スチレン系合成樹脂エ
マルションを使用した例であり、いずれの場合も塗膜に
割れや剥がれが生じてしまった。
【0178】試験例5 試験例5は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0179】(貯蔵安定性試験)塗料を20℃の室内に
1か月放置し、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器
の中での状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の状態
を確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊
発生、ゲル化、異常増加粘度等)、とした。結果を表
7、表8に示す。
【0180】(塗膜外観試験、耐久性試験)JIS K 5667
「多彩模様塗料」5.11「耐候性」に基づき、フレキシブ
ル板(900×900×6mm)に、JIS K 5663に規定
する合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2k
g/m2 にて刷毛で塗装した後に、24時間乾燥養生
し、その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模
様塗料をリシンガンにて、所要量0.4kg/m2 で吹
付け塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とし
た。試験体は各2部作製した。この試験体の形成された
模様において、その外観を目視にて確認した。評価は、
○:模様が明瞭で各エナメル粒子の色彩が大柄かつ円
形、×:模様が不明瞭、とした。
【0181】続いて、アクリルシリコン樹脂を用いた各
試験体については、各試験体から300mm×150m
mの試験片を各2枚切り出し、その内1枚を見本板と
し、他の1枚を12か月の暴露試験に供した。評価は、
○:異常なし、×:白亜化発生または割れもしくは剥が
れ発生、とした。
【0182】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表19】 表1に示した原料を使用して、表19に示した配合例に
て各ポリビニルアルコール水溶液を製造した。ここで、
配合例2は重量平均分子量が、本発明の規定する範囲よ
り低いものを使用した例、配合例3はけん化度が、本発
明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例4
はポリビニルアルコールの濃度が、本発明の規定する範
囲より低いものを使用した例、配合例5はポリビニルア
ルコールの濃度が、本発明の規定する範囲より高いもの
を使用した例である。なお、表19の数字は重量部で示
した。
【0183】(エナメル組成物の製造)
【表20】
【表21】 表1に示した原料を使用して、表20および表21に示
した配合例にて各エナメル組成物を製造した。ここで、
配合例6から配合例9は、それぞれ青色、黄色、赤色、
白色であり、何れも本発明の規定範囲内のエナメル組成
物である。一方、配合例10は、白色であるが、その酸
価が本発明の規定範囲より大きいものである。配合例1
1から配合例13は、それぞれ白色、青色、黄色であ
り、何れもアクリル樹脂を用いた。配合例14から配合
例16は、それぞれ白色、青色、赤色であるが、その内
で配合例15は、20rpmの粘度が、本発明の規定範
囲より小さいものである。配合例17から配合例19
は、白色、黄色、赤色であるが、その内で配合例17お
よび配合例19は、TI値が本発明の規定範囲より大き
いものである。配合例20から配合例22は、白色、黄
色、赤色であるが、何れもTI値が本発明の規定範囲よ
り小さいものである。なお、表20、表21の数字は、
粘度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0184】(多彩模様塗料の製造)
【表22】 表19〜表21に示した各配合例を用いて、表22に示
した組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製
造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌し
ながら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤1
(ホウ酸)を混合した。このとき、架橋剤1(ホウ酸)
はポリビニルアルコールの固形分に対し0.5重量%の
比率で混合した。その後にpH調整剤として、実施例1
から実施例4、参考例1から参考例8、及び比較例1、
2についてはアミノメチルプロパノールを、参考例9に
ついては、乳酸を使用してpH調整を行なった。ポリビ
ニルアルコール水溶液と各エナメル組成物は、重量比で
1:1.5となるように混合した。
【0185】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表22の各組み合わせ
にて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗
料組成物を製造した。なお、配合例10は、エナメル粒
子分散液を製造することができなかった。得られた多彩
模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表2
3、表24に示す。
【0186】
【表23】
【表24】
【0187】(試験例5:実施例1から実施例4)実施
例1は青色、黄色、赤色、実施例2は青色、赤色、白
色、実施例3は、青色、黄色、白色、実施例4は、白
色、青色、黄色の三色がそれぞれ独立し、また交互に重
なりあった多彩模様を形成していた。また、各色のエナ
メル粒子は、大柄の円形模様を形成し、遠距離において
も明瞭に多彩模様が認識できた。実施例1,2,3は、
耐久性試験においても良好な結果となった。
【0188】(試験例5:参考例1)ポリビニルアルコ
ールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低
いものを用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不
十分となり、貯蔵安定性試験に劣る結果となった。
【0189】(試験例5:参考例2)ポリビニルアルコ
ールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いもの
を用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分と
なり、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0190】(試験例5:参考例3)ポリビニルアルコ
ール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より低いものを
用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分とな
り、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0191】(試験例5:参考例4)ポリビニルアルコ
ール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より高いものを
用いたため、エナメル粒子が微小化して、結果として形
成された塗膜の模様が不明瞭となり、遠距離より目視す
ると多彩模様が区別できなかった。
【0192】(試験例5:参考例5)青色エナメル組成
物(配合例15)の20rpm粘度が、本発明の規定す
る範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜におい
て、青色部分が流れて円形模様にはならず、意匠性を低
下させることになった。
【0193】(試験例5:参考例6)白色エナメル組成
物(配合例17)、赤色エナメル組成物(配合例19)
のTI値が、本発明の規定する範囲よりも高いため、こ
のエナメル組成物の粘性が非常にチクソトロピックにな
り、吹付け塗装時におけるずり応力で、粒子がばらばら
に粉砕され、細かく散らばって塗装されたため、大柄模
様を形成することができず、多彩模様が不明瞭となって
しまった。
【0194】(試験例5:参考例7)白色エナメル組成
物(配合例20)、黄色エナメル組成物(配合例2
1)、赤色エナメル組成物(配合例22)のTI値が、
本発明の規定する範囲よりも低いため、このエナメル組
成物の粘性が非常にダイラタントになり、被塗面に多彩
模様塗料中のエナメル粒子が衝突した後に流動してしま
い、円形の大柄模様を形成することができず、多彩模様
が不明瞭となってしまった。また、エナメル粒子間に隙
間があり、下塗りが透ける部分が見られた。その結果、
耐久性試験において透ける部分での白亜化が発生した。
【0195】(試験例5:参考例8)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも大きいため、ポリビニルアルコ
ールがゲル化してしまい。エナメル組成物を分散して粒
子化することができなかった。
【0196】(試験例5:参考例9)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも小さいため、エナメル粒子の製
造直後から沈降し、合一化した。
【0197】(試験例5:比較例1、2)比較例1は水
性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外である例、比較
例12は水性樹脂としてアクリル−スチレン系合成樹脂
エマルションを使用した例であり、いずれの場合も塗膜
に割れや剥がれが生じてしまった。
【0198】試験例6 試験例6は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0199】(塗料の初期状態)多彩模様塗料を製造直
後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状
態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目
視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり
(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0200】(貯蔵安定性試験)多彩模様塗料を50℃
の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっく
りとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評
価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、
異常増粘等)、とした。
【0201】(塗膜外観)貯蔵前及び貯蔵後の多彩模様
塗料組成物をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/
2 でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、そ
の塗膜外観を目視にて評価した。評価は、○:色調が連
続かつ微妙に変化する外観、×:色粒のコントラストが
明瞭な外観、または単色で単調な外観、とした。
【0202】(耐久性試験)スレート板(縦60mm×
横50mm×厚み4mm)の表面に、オート化学(株)
製ポリウレタン系シーリング材を6mm厚にて塗付し、
1週間常温にて乾燥養生した。次に、このシーリング材
塗付スレート板のシーリング材面に、湿気硬化形ウレタ
ン樹脂プライマーを、所要量0.15kg/m2 にて刷
毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K 5663に規定す
る合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg
/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間乾燥養生し、
その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗
料をリシンガンにて、所要量0.6kg/m2 で吹付け
塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。
【0203】続いてこの試験体を促進耐候性試験機とし
て、スーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用
い、光照射6時間、結露2時間(合計8時間)を1サイ
クルとして100サイクル行い、塗膜の劣化状態を確認
した。このとき、塗膜表面に異常のないものを○、割れ
もしくは剥がれの生じたものを×として目視にて判断し
評価した。
【0204】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表25】 表1に示す原料を使用して、表25に示す配合例にて各
ポリビニルアルコール水溶液を製造した。なお、表25
の数字は濃度を除き重量部で示した。
【0205】(エナメル組成物の製造)
【表26】 表1に示す原料を使用して、表26に示す配合例にて各
エナメル組成物を製造した。なお、表26の数字は、粘
度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0206】(多彩模様塗料の製造)
【表27】 表25、表26に示す各配合例を用いて、表27に示す
組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製造手
順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しなが
ら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤1(ホウ
酸)を混合した。このとき、架橋剤1(ホウ酸)はポリ
ビニルアルコールの固形分に対し0.5重量%の比率で
混合した。次にpH調整剤として、実施例1〜4、参考
例1〜6、参考例8〜11、比較例1、2についてはア
ミノメチルプロパノールを使用し、参考例7については
乳酸を使用して、pH調整を行ない、その後に水性樹脂
を混合した。ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル
組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。
また、エナメル粒子分散液中の水性樹脂は、固形分で
1.0重量%となるように混合した。表27中の、隠蔽
率は分散安定剤含有水溶液(ポリビニルアルコール水溶
液)、架橋剤、水性樹脂を別途混合し、本発明で規定す
る方法にて測定した値である。
【0207】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表5の各組み合わせに
て、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料
組成物を製造した。なお、配合例15は、エナメル粒子
分散液を製造することができなかった。得られた多彩模
様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表28
に示す。
【0208】
【表28】
【0209】(試験例6:実施例1〜2)白色系エナメ
ル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様
塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が
連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定
性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様
の外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験において
も良好な結果となった。
【0210】(試験例6:実施例3)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散
した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜
は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観
となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗
装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができ
た。耐久性試験においても良好な結果となった。
【0211】(試験例6:実施例4)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連
続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性
にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の
外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験においても
良好な結果となった。
【0212】(試験例6:参考例1)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であるが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形
成塗膜は、白色系の単調な外観となってしまった。
【0213】(試験例6:参考例2)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散
媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形
成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外
観となってしまった。
【0214】(試験例6:参考例3)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分
散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増
粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後に沈
降し、合一化してしまった。
【0215】(試験例6:参考例4)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも高い水系分
散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増
粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には
異常増粘してしまった。
【0216】(試験例6:参考例5)ポリビニルアルコ
ールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低
いものを用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0217】(試験例6:参考例6)ポリビニルアルコ
ールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いもの
を用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0218】(試験例6:参考例7)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも小さく、エナメル粒子の製造直
後から沈降し、合一化してしまった。
【0219】(試験例6:参考例8)系のpHが、本発
明で規定する範囲よりも大きく、ポリビニルアルコール
がゲル化してしまい、エナメル組成物を分散して粒子化
することができなかった。
【0220】(試験例6:参考例9)白色系エナメル粒
子(配合例16)の20rpm粘度が、本発明の規定す
る範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜におい
て、白色部分が流れて意匠性が低下してしまった。
【0221】(試験例6:参考例10)白色系エナメル
粒子(配合例17)のTI値が、本発明の規定する範囲
よりも高いため、吹付け塗装時に粒子がばらばらに粉砕
され、細かく散らばって塗装されたため、意匠性が低下
してしまった。
【0222】(試験例6:参考例11)白色系エナメル
粒子(配合例18)のTI値が、本発明の規定する範囲
よりも低いため、被塗面で白色粒子が流れて、意匠性が
低下してしまった。
【0223】(試験例6:比較例1、2)比較例1は水
性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外である例、比較
例2は水性樹脂としてアクリル−スチレン系合成樹脂エ
マルションを使用した例であり、いずれの場合も塗膜に
割れや剥がれが生じてしまった。
【0224】試験例7 試験例7は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0225】(貯蔵安定性試験)塗料を20℃の室内に
1か月放置し、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器
の中での状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の状態
を確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊
発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0226】(塗膜外観試験、耐久性試験)JIS K 5667
「多彩模様塗料」5.11「耐候性」に基づき、フレキシブ
ル板(900×900×6mm)に、JIS K 5663に規定
する合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2k
g/m2 にて刷毛で塗装した後に、24時間乾燥養生
し、その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模
様塗料をリシンガンにて、所要量0.4kg/m2 で吹
付け塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とし
た。試験体は各2部作製した。この試験体の形成された
模様において、その外観を目視にて確認した。評価は、
○:模様が明瞭で各エナメル粒子の色彩が大柄かつ円
形、×:模様が不明瞭、とした。
【0227】続いて、アクリルシリコン樹脂を用いた各
試験体については、各試験体から300mm×150m
mの試験片を各2枚切り出し、その内1枚を見本板と
し、他の1枚を12か月の暴露試験に供した。評価は、
○:異常なし、×:白亜化発生または割れもしくは剥が
れ発生、とした。
【0228】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表29】 表1に示した原料を使用して、表29に示した配合例に
て各ポリビニルアルコール水溶液を製造した。ここで、
配合例2は重量平均分子量が、本発明の規定する範囲よ
り低いものを使用した例、配合例3はけん化度が、本発
明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例4
はポリビニルアルコールの濃度が、本発明の規定する範
囲より低いものを使用した例、配合例5はポリビニルア
ルコールの濃度が、本発明の規定する範囲より高いもの
を使用した例である。なお、表29の数字は重量部で示
した。
【0229】(エナメル組成物の製造)
【表30】
【表31】 表1に示した原料を使用して、表30および表31に示
した配合例にて各エナメル組成物を製造した。ここで、
配合例6から配合例9は、それぞれ青色、黄色、赤色、
白色であり、何れも本発明の規定範囲内のエナメル組成
物である。一方、配合例10は、白色であるが、その酸
価が本発明の規定範囲より大きいものである。配合例1
1から配合例13は、それぞれ白色、青色、黄色であ
り、何れもアクリル樹脂を用いた。配合例14から配合
例16は、それぞれ白色、青色、赤色であるが、その内
で配合例15は、20rpmの粘度が、本発明の規定範
囲より小さいものである。配合例17から配合例19
は、白色、黄色、赤色であるが、その内で配合例17お
よび配合例19は、TI値が本発明の規定範囲より大き
いものである。配合例20から配合例22は、白色、黄
色、赤色であるが、何れもTI値が本発明の規定範囲よ
り小さいものである。なお、表30、表31の数字は、
粘度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0230】(多彩模様塗料の製造)
【表32】 表29〜表31に示した各配合例を用いて、表32に示
した組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製
造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌し
ながら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤3
(テトラ−i- プロポキシチタン)を混合した。このと
き、架橋剤3(テトラ−i- プロポキシチタン)はポリ
ビニルアルコールの固形分に対し0.5重量%の比率で
混合した。ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル組
成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。こ
のように、それぞれ単色のエナメル粒子分散液を製造し
た上で、最終的に表32の各組み合わせにて、単色のエ
ナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料組成物を製造
した。なお、配合例10は、エナメル粒子分散液を製造
することができなかった。得られた多彩模様塗料組成物
の上記評価項目に係わる評価結果を表33、表34に示
す。
【0231】
【表33】
【表34】
【0232】(試験例7:実施例1から実施例4)実施
例1は青色、黄色、赤色、実施例2は青色、赤色、白
色、実施例3は、青色、黄色、白色、実施例4は、白
色、青色、黄色の三色がそれぞれ独立し、また交互に重
なりあった多彩模様を形成していた。また、各色のエナ
メル粒子は、大柄の円形模様を形成し、遠距離において
も明瞭に多彩模様が認識できた。実施例1,2,3は、
耐久性試験においても良好な結果となった。
【0233】(試験例7:参考例1)ポリビニルアルコ
ールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低
いものを用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不
十分となり、貯蔵安定性試験に劣る結果となった。
【0234】(試験例7:参考例2)ポリビニルアルコ
ールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いもの
を用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分と
なり、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0235】(試験例7:参考例3)ポリビニルアルコ
ール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より低いものを
用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分とな
り、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0236】(試験例7:参考例4)ポリビニルアルコ
ール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より高いものを
用いたため、エナメル粒子が微小化して、結果として形
成された塗膜の模様が不明瞭となり、遠距離より目視す
ると多彩模様が区別できなかった。
【0237】(試験例7:参考例5)青色エナメル組成
物(配合例15)の20rpm粘度が、本発明の規定す
る範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜におい
て、青色部分が流れて円形模様にはならず、意匠性を低
下させることになった。
【0238】(試験例7:参考例6)白色エナメル組成
物(配合例17)、赤色エナメル組成物(配合例19)
のTI値が、本発明の規定する範囲よりも高いため、こ
のエナメル組成物の粘性が非常にチクソトロピックにな
り、吹付け塗装時におけるずり応力で、粒子がばらばら
に粉砕され、細かく散らばって塗装されたため、大柄模
様を形成することができず、多彩模様が不明瞭となって
しまった。
【0239】(試験例7:参考例7)白色エナメル組成
物(配合例20)、黄色エナメル組成物(配合例2
1)、赤色エナメル組成物(配合例22)のTI値が、
本発明の規定する範囲よりも低いため、このエナメル組
成物の粘性が非常にダイラタントになり、被塗面に多彩
模様塗料中のエナメル粒子が衝突した後に流動してしま
い、円形の大柄模様を形成することができず、多彩模様
が不明瞭となってしまった。また、エナメル粒子間に隙
間があり、下塗りが透ける部分が見られた。その結果、
耐久性試験において透ける部分での白亜化が発生した。
【0240】(試験例7:比較例1、2)比較例1は水
性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外である例、比較
例2は水性樹脂としてアクリル−スチレン系合成樹脂エ
マルションを使用した例であり、いずれの場合も塗膜に
割れや剥がれが生じてしまった。
【0241】試験例8 試験例8は耐久性に加えて貯蔵安定性、塗膜外観を確認
するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較
例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐久
性試験は以下に示す通りである。
【0242】(塗料の初期状態)多彩模様塗料を製造直
後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状
態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目
視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり
(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0243】(貯蔵安定性試験)多彩模様塗料を50℃
の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっく
りとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評
価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、
異常増粘等)、とした。
【0244】(塗膜外観)貯蔵前及び貯蔵後の多彩模様
塗料組成物をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/
2 でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、そ
の塗膜外観を目視にて評価した。評価は、○:色調が連
続かつ微妙に変化する外観、×:色粒のコントラストが
明瞭な外観、または単色で単調な外観、とした。
【0245】(耐久性試験)スレート板(縦60mm×
横50mm×厚み4mm)の表面に、オート化学(株)
製ポリウレタン系シーリング材を6mm厚にて塗付し、
1週間常温にて乾燥養生した。次に、このシーリング材
塗付スレート板のシーリング材面に、湿気硬化形ウレタ
ン樹脂プライマーを、所要量0.15kg/m2 にて刷
毛で塗付し、3時間乾燥養生後に、JIS K 5663に規定す
る合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg
/m2 にて刷毛で塗付した後に、24時間乾燥養生し、
その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗
料をリシンガンにて、所要量0.6kg/m2 で吹付け
塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。
【0246】続いてこの試験体を促進耐候性試験機とし
て、スーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用
い、光照射6時間、結露2時間(合計8時間)を1サイ
クルとして100サイクル行い、塗膜の劣化状態を確認
した。このとき、塗膜表面に異常のないものを○、割れ
もしくは剥がれの生じたものを×として目視にて判断し
評価した。
【0247】(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表35】 表1に示す原料を使用して、表35に示す配合例にて各
ポリビニルアルコール水溶液を製造した。なお、表35
の数字は濃度を除き重量部で示した。
【0248】(エナメル組成物の製造)
【表36】 表1に示す原料を使用して、表36に示す配合例にて各
エナメル組成物を製造した。なお、表36の数字は、粘
度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0249】(多彩模様塗料の製造)
【表37】 表35、表36に示す各配合例を用いて、表37に示す
組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製造手
順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しなが
ら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤3(テト
ラ−i- プロポキシチタン)を混合した。このとき、架
橋剤3(テトラ−i- プロポキシチタン)はポリビニル
アルコールの固形分に対し0.5重量%の比率で混合し
た。次に、pH調整剤としてアミノメチルプロパノール
を使用して、pHを約9に調整し、その後に水性樹脂を
混合した。 ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル
組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。
また、エナメル粒子分散液中の水性樹脂は、固形分で
1.0重量%となるように混合した。表37中の、隠蔽
率は分散安定剤含有水溶液(ポリビニルアルコール水溶
液)、架橋剤、水性樹脂を別途混合し、本発明で規定す
る方法にて測定した値である。
【0250】このように、それぞれ単色のエナメル粒子
分散液を製造した上で、最終的に表37の各組み合わせ
にて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗
料組成物を製造した。なお、配合例15は、エナメル粒
子分散液を製造することができなかった。得られた多彩
模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表3
8に示す。
【0251】
【表38】
【0252】(試験例8:実施例1〜2)白色系エナメ
ル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様
塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が
連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定
性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様
の外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験において
も良好な結果となった。
【0253】(試験例8:実施例3)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散
した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜
は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観
となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗
装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができ
た。耐久性試験においても良好な結果となった。
【0254】(試験例8:実施例4)グレー系エナメル
粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗
料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連
続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性
にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の
外観の塗膜を得ることができた。耐久性試験においても
良好な結果となった。 (試験例8:参考例1)グレー系エナメル粒子が、白色
系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であ
るが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形成塗膜は、白
色系の単調な外観となってしまった。
【0255】(試験例8:参考例2)白色系エナメル粒
子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散
媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形
成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外
観となってしまった。
【0256】(試験例8:参考例3)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分
散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増
粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後に沈
降し、合一化してしまった。
【0257】(試験例8:参考例4)ポリビニルアルコ
ールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも高い水系分
散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増
粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には
異常増粘してしまった。
【0258】(試験例8:参考例5)ポリビニルアルコ
ールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低
いものを用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0259】(試験例8:参考例6)ポリビニルアルコ
ールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いもの
を用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0260】(試験例8:参考例7)白色系エナメル粒
子(配合例16)の20rpm粘度が、本発明の規定す
る範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜におい
て、白色部分が流れて意匠性が低下してしまった。
【0261】(試験例8:参考例8)白色系エナメル粒
子(配合例17)のTI値が、本発明の規定する範囲よ
りも高いため、吹付け塗装時に粒子がばらばらに粉砕さ
れ、細かく散らばって塗装されたため、意匠性が低下し
てしまった。
【0262】(試験例8:比較例9)白色系エナメル粒
子(配合例18)のTI値が、本発明の規定する範囲よ
りも低いため、被塗面で白色粒子が流れて、意匠性が低
下してしまった。
【0263】(試験例8:比較例10、11)比較例1
0は水性樹脂が本発明に規定したTgの範囲外である
例、比較例11は水性樹脂としてアクリル−スチレン系
合成樹脂エマルションを使用した例であり、いずれの場
合も塗膜に割れや剥がれが生じてしまった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 101:00 C08L 101:00 (31)優先権主張番号 特願2000−152513(P2000−152513) (32)優先日 平成12年5月24日(2000.5.24) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−157637(P2000−157637) (32)優先日 平成12年5月29日(2000.5.29) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−157638(P2000−157638) (32)優先日 平成12年5月29日(2000.5.29) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−161544(P2000−161544) (32)優先日 平成12年5月31日(2000.5.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−161546(P2000−161546) (32)優先日 平成12年5月31日(2000.5.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 石田 芳一 大阪府茨木市清水1丁目25番10号 エスケ ー化研株式会社研究所内 Fターム(参考) 4F070 AA29 AA32 AA34 AA36 AE04 CB03 4J038 BA212 CB022 CB182 CC011 CD021 CE022 CF011 CG001 GA03 GA06 GA07 GA09 HA026 HA206 HA216 HA446 HA476 HA506 JA01 JA07 JA19 JA26 JA33 JA56 JC13 KA03 KA06 KA07 KA08 KA09 LA06 MA08 MA10 MA12 MA13 MA14 MA15 NA01 NA03 NA12 PB05

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶
    剤(C)を含有するエナメル組成物(I)が、分散安定
    剤を含有する水系分散媒(II)に分散したエナメル粒子
    分散液であって、 前記水系分散媒(II)中に、第3級アミン塩基及び/ま
    たは第4級アンモニウム塩基を有し、重合体のガラス転
    移温度が−20〜50℃である水性樹脂(a)を含有す
    ることを特徴とするエナメル粒子分散液。
  2. 【請求項2】 水性樹脂(a)が、第3級アミノ基並び
    に第3級アミン塩基及び/または第4級アンモニウム塩
    基を有し、第3級アミノ基:第3級アミン塩基及び/ま
    たは第4級アンモニウム塩基との存在比率が当量比で9
    0:10〜10:90であり、重合体のガラス転移温度
    が−20〜50℃であることを特徴とする請求項1記載
    のエナメル粒子分散液。
  3. 【請求項3】 分散安定剤として、ポリビニルアルコー
    ル(b)およびその架橋剤(c)を含有してなり、水系
    分散媒(II)中のポリビニルアルコール(b)の濃度が
    0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のエナメル粒子分散液。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール(b)が、重量平
    均分子量10000〜100000、ケン化度80〜1
    00であることを特徴とする請求項3に記載のエナメル
    粒子分散液。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアルコール(b)が、カチオ
    ン性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求
    項3または4記載のエナメル粒子分散液。
  6. 【請求項6】 架橋剤(c)が、ホウ酸であり、エナメ
    ル粒子分散液のpHが6〜11であること特徴とする請
    求項3〜5のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  7. 【請求項7】 合成樹脂(A)が、酸価が0〜30のビ
    ニル系合成樹脂であることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  8. 【請求項8】 エナメル組成物(I)が、合成樹脂
    (A)の固形分100重量部に対して、着色材料(B)
    10〜100重量部、溶剤(C)を100〜1000重
    量部含有してなること特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載のエナメル粒子分散液。
  9. 【請求項9】 エナメル組成物(I)が、粘性調整剤
    (D)を含有してなり、温度20℃において、BH型粘
    度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指
    針値)が、0.2〜15Pa・s、下記により求められ
    るTI値が1.0〜8.0の範囲になるように調整され
    たものであること特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載のエナメル粒子分散液。 <TI値> TI値:BH型粘度計を用い、式1により求められる値 TI値=η1/η2 (式1) (但し、η1:2rpmにおける見掛けの粘度(Pa・
    s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける見
    掛けの粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
  10. 【請求項10】 粘性調整剤(D)を、合成樹脂(A)
    の固形分100重量部に対して、1〜10重量部含有し
    てなることを特徴とする請求項9記載のエナメル粒子分
    散液。
  11. 【請求項11】 エナメル粒子の最大粒子径が、1〜1
    0mmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれ
    かに記載のエナメル粒子分散液。
  12. 【請求項12】 水系分散媒(II)が、JIS K 5660「つ
    や有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠蔽率におい
    て0.05〜0.60となる被膜を形成するものである
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のエ
    ナメル粒子分散液。
  13. 【請求項13】 分散安定剤を含有する水溶液に、エナ
    メル組成物(I)を分散した後に、水性樹脂(a)を添
    加することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記
    載のエナメル粒子分散液の製造方法。
  14. 【請求項14】 分散安定剤としてポリビニルアルコー
    ルを含有する水溶液に、エナメル組成物(I)を分散し
    ながらまたは分散後に、架橋剤(c)を添加した後、水
    性樹脂(a)を添加することを特徴とする請求項3〜1
    2のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の製造方法。
  15. 【請求項15】 架橋剤(c)がホウ酸の場合には、p
    Hを6〜11に調整した状態で水性樹脂(a)を添加す
    ることを特徴とする請求項14記載のエナメル粒子分散
    液の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜12のいずれかに記載のエ
    ナメル粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗
    料組成物。
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