JP2002048931A - Awgモジュールおよびその光学特性の調整方法 - Google Patents

Awgモジュールおよびその光学特性の調整方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 波長安定性が良好なAWGモジュールを提供
する。 【解決手段】 複数の導波路の中心を結ぶ線をX軸と
し、AWGチップ1の下に、ペルチェ素子2を積層し、
サーミスタ温度計4のセンサ部を該X軸上に配置するに
おいて、該X軸上のペルチェ素子2の中心X0と前記セ
ンサ部との距離Xtと、該X0とアレイ導波路12との
距離Xaとが、以下の式(1)および式(2)を満足す
るように配置する。 Xt=(Xa2−α/a’)1/2 …(1) Xa >(α/a’)1/2 …(2) (式中、αはAWGチップから温度測定手段への熱の伝
わり易さを示す係数、a’はAWGモジュールの制御温
度と環境温度との温度差とAWGチップの表面温度との
関係から求められる係数。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高密度多重光通信シ
ステムなどにおいて、多重された波長を分波する光分波
器、または波長を合波して多重する光合波器として用い
られるAWG(アレイド・ウェーブガイド・グレーティ
ング)モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】図1はAWGモジュールの一例を示した
ものであり、図中符号1は長方形板状のAWGチップで
ある。AWGチップ1は、一般に基板の上に形成された
ガラスなどの透明材料からなるクラッド層と、このクラ
ッド層内に設けられた導波路1aを備えている。導波路
1aは、中心に設けられた略U字状の複数の導波路12
a、12a…が並列されてなるアレイ導波路12と、そ
の両端部に設けられたスラブ導波路13、14と、これ
らスラブ導波路13、14のそれぞれから外側に伸びる
入出射側導波路15、16とから構成されている。この
例において、入出射側導波路15と入出射側導波路16
は、それぞれ導波路12a、12a…と同数ずつ設けら
れている。
【0003】このAWGチップ1の下にはAWGチップ
1よりも小さい長方形板状のペルチェ素子(加熱および
/または冷却手段)2が設けられている。また、AWG
チップ1とペルチェ素子2との間には、上下面の面積が
AWGチップ1の上下面の面積と等しい均熱板3が設け
られている。均熱板3は例えばアルミニウムなどの金属
からなる。ペルチェ素子2は、そのAWGチップ1との
対向面が発熱または吸熱することによってAWGチップ
1を加熱または冷却するが、均熱板3を介することによ
り、AWGチップ1のペルチェ素子2との対向面全体を
均等に加熱、冷却することができ、温度むらを抑制する
ことができる。また、AWGチップ1の上面にはサーミ
スタ温度計(温度測定手段)4が接着剤などで固定され
ている。これらAWGチップ1、ペルチェ素子2、均熱
板3、およびサーミスタ温度計4とからなる積層体はケ
ース10に収められている。また、ペルチェ素子2とサ
ーミスタ温度計4は、ケース10の外部に設けられた温
度制御回路5に接続されている。
【0004】さらに、AWGチップ1の一組の対向側面
の一方には、導波路1aに光を入射または導波路1aか
ら光を出射する複数のポート1b、1b…が設けられ、
他方にも同様に複数のポート1c、1c…が設けられて
いる。一方のポート1b、1b…は、それぞれ光ファイ
バ20、20…に接続されており、これらの光ファイバ
20、20…は、ポート1b、1b…に近接して設けら
れたファイバ配列部品21に支持されている。他方のポ
ート1c、1c…も同様であって、それぞれが光ファイ
バ22、22…に接続され、これら光ファイバ22、2
2…が、ポート1c、1c…に近接して設けられたファ
イバ配列部品23に支持されている。
【0005】AWGモジュールにおいては、例えば一方
のポート1b、1b…のひとつから入射した波長多重さ
れた光が入出射用導波路16のひとつに入射し、さらに
スラブ導波路14、アレイ導波路12、スラブ導波路1
3を介して分波され、入出射用導波路15、15…を経
て他方の複数のポート1c、1c…から波長ごとに出射
する。すなわち、光分波器として動作する。これとは逆
に、他方の複数のポート1c、1c…のそれぞれに入射
した波長の異なる光は、逆のルートをたどることによっ
て合波され、他方のポート1b…のひとつからこの合波
光が出射する。すなわち、光合波器として動作する。
【0006】ところで、AWGモジュールにおいては、
例えば50GHzチャンネルでは±5pm以下、25G
Hzチャンネルでは±2pm以下の波長安定性が要求さ
れる。波長安定性はAWGモジュール、特にアレイ導波
路12の温度変動に大きく依存している。したがって、
AWGモジュールにおいては、一般にAWGモジュール
が用いられる0〜70℃の環境温度条件下において、温
度変動を例えば50GHzチャンネルでは±0.05℃
以下、25GHzチャンネルでは±0.2℃以下になる
ように温度制御を行う必要がある。
【0007】AWGモジュールにおいては、最も一般的
に使用される条件の環境温度を制御温度とし、この制御
温度が一定に維持されるようにすると、温度制御機構の
消費電力を小さくすることができる場合が多い。そのた
め、一般的なAWGモジュールの制御温度は50℃前後
に設定されている。
【0008】すなわち、サーミスタ温度計4によってA
WGチップ1の上面の温度を測定し、これを温度制御回
路5にフィードバックし、制御温度と異なる測定値であ
る場合はペルチェ素子2を作動させることにより、AW
Gチップ1を加熱または冷却して温度制御を行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は
このように温度を制御しても十分な波長安定性が得られ
ない場合があった。また、光学特性が安定せず、製品歩
留まりが低下する場合があった。本発明は前記事情に鑑
みてなされたもので、光学特性、すなわち波長安定性が
良好なAWGモジュールを提供することを課題とする。
特に環境温度変化に対して、波長安定性が良好なAWG
モジュールを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、複数の導波路が並列されてなる
アレイ導波路が設けられたAWGチップと、該AWGチ
ップの加熱および/または冷却手段とが積層され、前記
AWGチップの温度を測定する温度測定手段と、その測
定温度を所定の制御温度に制御する温度制御手段が設け
られたAWGモジュールにおいて、加熱および/または
冷却手段を、アレイ導波路を構成する各導波路の中心を
結んだX軸によって対称に分割されるように配置し、温
度測定手段のセンサ部を該X軸上に配置するにおいて、
該X軸上の加熱および/または冷却手段の中心X0と前
記センサ部との距離Xtと、該X0とアレイ導波路との
距離Xaとが、以下の式(1)および式(2)を満足す
るように配置することにより、光学特性を調整し、波長
安定性が良好なAWGモジュールを提供することを特徴
とする。 Xt=(Xa2−α/a’)1/2 …(1) Xa >(α/a’)1/2 …(2) (式中、αはAWGチップから温度測定手段への熱の伝
わり易さを示す係数、a’はAWGモジュールの制御温
度と環境温度との温度差とAWGチップの表面温度との
関係から求められる係数である。)
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らが検討した結果、環境
温度変化による波長特性の変動は、アレイ導波路12、
ペルチェ素子2、およびサーミスタ温度計4の3つの構
成の位置関係に依存していることがわかった。そこで、
これらアレイ導波路12、ペルチェ素子2、およびサー
ミスタ温度計4を、波長特性が安定する位置に配置する
方法について検討を行った結果、前記式(1)、(2)
を満足するようにこれらの構成を配置することにより、
前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0012】なお、本発明において、加熱および/また
は冷却手段としては、比較的精密に温度制御を行うこと
ができるため、ペルチェ素子2が好適であるが、同様の
作用が得られれば、これに限定するものではない。ま
た、ペルチェ素子2は通常、加熱と冷却の両方を行うこ
とができるが、用途などによってはどちらか一方を行う
ものを設けることもできる。また、温度測定手段として
は、温度変化に対して非常に敏感であるため、サーミス
タ温度計4が好適である。しかし、精密な温度制御を行
うことができれば、これに限定することはない。
【0013】すなわち、本発明においては、予め後述す
る方法によって前記式(1)中のa’、およびαを求め
ておき、この式(1)および前記式(2)を満足するX
aおよびXtを定める。そして、この数値に従って、機
械的にアレイ導波路12、ペルチェ素子2、およびサー
ミスタ温度計4を配置することにより、環境温度の変動
に対して波長特性が安定なAWGモジュールを提供する
ことができる。したがって、製造途中に光学特性をモニ
ターしながらこれらの構成の配置位置を変更するなどの
操作を省略、または簡略化することができる。また、所
望の特性が得られる配置位置が予め求められているた
め、製造操作が簡単で、製品の光学特性のばらつきを低
減することができる。また、製造したAWGモジュール
が所望の光学特性を備えていないことが判明した場合に
おいても、前記式(1)、(2)を満足するように各構
成の配置を調整することにより、光学特性を調整し、波
長安定性を向上させることができる。
【0014】以下、式(1)、(2)について説明す
る。 1.座標系 前記式(1)および式(2)を求めるにあたって用いる
座標系について、図1を参照しつつ説明する。まず、図
2(a)に示したように、アレイ導波路12を構成する
各導波路12a、12a…の中心を結ぶ線をX軸とす
る。すなわち、図中に示したように、アレイ導波路12
の幅WがX軸によって2分割されるようにX軸を設け
る。そして、アレイ導波路12において、X軸上の導波
路12a、12a…の並列方向の中心点をXaとし、ア
レイ導波路12の位置を示す座標とする。なお、Xaの
数値は、後述するようにX0とXaとの距離とする。ま
た、このXaの温度をT(Xa)とする。
【0015】ペルチェ素子2は、図2(b)、図3
(a)に示したように、ペルチェ素子2がX軸によって
対称に分割された状態に配置する。すなわち、導波方向
Pと平行に配置する辺2a、2aがX軸と直交し、かつ
その幅W1がX軸によって2分割されるように均熱板3
を介してAWGチップ1の下に積層する。このとき、辺
2a、2aに直交する長さL1の辺2b、2bを2分割
し、かつX軸に直交する軸と、X軸とが交わる点をX0
とし、ペルチェ素子2の位置(X軸の中心)を示す座標
とする。なお、このX0をX軸上の位置を示す基準
(零)とし、アレイ導波路12側を正の値とする。そし
て、X軸上の位置はこのX0との距離によって表す。
【0016】サーミスタ温度計4は、図3(b)に示し
たように、棒状の本体の先端に設けられた金属などから
なるセンサ部4aがX軸上に位置するようにAWGチッ
プ1上に配置する。このセンサ部4aのAWGチップ1
上の位置をXtとし、X0との距離によって表す。ま
た、この点の温度をT(Xt)とする。さらに、サーミ
スタ温度計4は、図4(a)、図4(b)に示したよう
に、接着剤層4bを介してAWGチップ1上に固定され
ている。なお、図4(a)は図1に示したA−Aにおけ
る断面図であり、図4(b)は図4(a)の要部を示し
たものである。
【0017】したがって、温度を感知するセンサ部4a
の位置は、AWGチップ1の上面上のXtと一致してい
ない。そこで、このセンサ部4aの温度をTcとする。
なお、このAWGモジュールにおいては、Tcが制御温
度付近に維持されるように、温度制御回路5によってペ
ルチェ素子2が制御されている。よって、AWGチップ
1の周囲の環境温度TaがTcよりも高ければ、ペルチ
ェ素子2はAWGチップ1との対向面において吸熱し、
冷却作用を行っている。したがって、ペルチェ素子2に
近いT(Xt)の温度はTcの温度よりも低くなる。逆
にTaがTcよりも低ければ、ペルチェ素子2の発熱に
よる加熱作用により、T(Xt)の温度はTcの温度よ
りも高くなる。
【0018】なお、後述する式(7)が成立するために
は、ペルチェ素子2の発熱または吸熱が、アレイ導波路
12を介してサーミスタ温度計4のセンサ部4aに作用
する必要がある。すなわち、アレイ導波路12がペルチ
ェ素子2によって加熱、または冷却された後、センサ部
4aが加熱、冷却されるようになっている必要がある。
ペルチェ素子2の発熱、吸熱がセンサ部4aに直接伝わ
ると、ペルチェ素子2とサーミスタ温度計4との熱のや
りとりのみで温度制御が行われるため、アレイ導波路1
2の温度T(Xa)を正確に制御することができない。
【0019】そのためには、図4(b)に示したよう
に、サーミスタ温度計4がAWGチップ1の表面に実質
的に接触しており、かつAWGチップ1の周囲の空気と
接触していることが必要とされる。なお、実質的に接触
しているとは空気を介在させないこととし、図4(b)
に示したように接着剤層4bなどを介して接触していて
もよい。また、本実施例において、サーミスタ温度計4
はAWGチップ1の上面に接着されているが、AWGチ
ップ1の裏面に配置することもできる。この場合は均熱
板3とAWGチップ1との間にサーミスタ温度計4を配
置することになるため、例えばAWGチップ1の裏面に
AWGチップ1周囲の空気が流通する溝などを形成し、
この溝にサーミスタ温度計4を配置し、その上に均熱板
3を被せることにより、AWGチップ1との接触と、そ
の周囲の空気との接触を確保するなどの工夫が必要とな
る。
【0020】2.式(1)の求め方 式(1)は、前記1.で設定した座標系を用い、以下の
ようにして求めることができる。AWGモジュールの光
学特性にアレイ導波路12の温度が大きく影響すること
は上述の通りである。したがって、温度制御を行うにお
いて、理想的には、アレイ導波路12の温度とサーミス
タ温度計4にて制御される温度が一致していることであ
る。すなわち、以下の式(3)を満足する必要がある。 T(Xa)=Tc …(3)
【0021】ここで、AWGチップ1の上面上のX軸上
の位置Xにおける温度は以下の式(4)で近似的に表す
ことができる。 T(X)=a・X2 +b …(4) 式中、aはAWGチップ1の上面のX軸上の温度分布の
状態を示す係数であり、aの値が大きい程、AWGチッ
プ1の中心部と周辺部との温度差が大きいことを意味す
る。aはTaとTcとの差に近似的に比例し、正の比例
係数a’を用いて以下の式(4−1)で表される。 a=a’(Ta−Tc)…(4−1) また、bはX0の温度である。a’の測定方法について
は後述する。
【0022】したがって、前記式(4)より、T(X
a)は以下の式(5)で表される。 T(Xa)=a・Xa2 +b …(5) この式(5)を前記式(3)に代入して変形すると、以
下の式(6)のようになる。 a・Xa2 +b−Tc=0 …(6)
【0023】ここで、T(Xt)とTcとの温度差は、
TaとTcとの温度差に近似的に比例し、正の比例係数
αを用いて以下の式(7)のように表される。 T(Xt)−Tc=−α(Ta−Tc)…(7) αはAWGチップ1からサーミスタ温度計4のセンサ部
4aへの熱の伝わり易さを示す係数である。αの測定方
法については後述する。
【0024】また、T(Xt)は、前記式(4)より、 T(Xt)=a・Xt2 +b …(8) で表される。したがって、この式(8)を前記式(7)
に代入すると、以下の式(9)のようになる。 a・Xt2 +b−Tc=−α(Ta−Tc)…(9)
【0025】ついで、前記式(6)から前記式(9)を
差し引くと、以下の式(10)のようになる。 a(Xa2 −Xt2)=α(Ta−Tc)…(10) ここで、この式(10)に式(4−1)を代入すると、
以下の式(11)のようになる。 a’(Ta−Tc)(Xa2 −Xt2)=α(Ta−Tc)…(11)
【0026】温度制御が必要な場合はTa≠Tcである
ため、この式(11)から、以下の式(12)を経て式
(1)を求めることができる。 (Xa2 −Xt2)=α/a’…(12) Xt=(Xa2−α/a’)1/2…(1) ここで、サーミスタ温度計4のセンサ部4aは、X0
りもアレイ導波路12側に配置する必要がある。すなわ
ち、Xtは正の値である。したがって、前記式(1)よ
り、以下の式(2−1)が導かれる。 (Xa2−α/a’)1/2>0…(2−1) そして、この式(2−1)より、式(2)が導かれる。 Xa >(α/a’)1/2 …(2)
【0027】したがって、上述のようにこれらの式
(1)、(2)を満足するようにアレイ導波路12、ペ
ルチェ素子2、およびサーミスタ温度計4を配置するこ
とにより、環境温度変化に対して波長安定性が良好なA
WGモジュールを得ることができる。
【0028】3. 式(1)中の係数α、a’の求め方
3.1 αの求め方前記式(7)を変形すると、αは以
下の式(13)のように表すことができる。 α=−(T(Xt)−Tc)/(Ta−Tc)…(13) この式の中で、Taは環境温度、Tcは制御温度の設定
値を代入する。T(Xt)は一般に測定することはでき
ないが、以下の方法によって求めることができる。すな
わち、図4(a)からわかるように、サーミスタ温度計
4をアレイ導波路12の真上に設置するとXtとXaは
一致する。したがって、この条件において、T(Xa)
とT(Xt)は等しい。このT(Xa)はAWGモジュ
ールの温度依存性を利用して測定することができる。そ
こで、この条件下でT(Xa)を測定することにより、
T(Xt)を求め、αの値を導くことができる。
【0029】アレイ導波路12の温度は、例えばポート
1bのひとつから合波光を入射し、他方のポート1c、
1c…から波長毎の光を出射する光分波器として動作す
る際に、各ポート1c、1cから出射する光の波長帯域
の中心波長を測定することによって求めることができ
る。中心波長は温度依存性を有するためである。アレイ
導波路12の温度T(Xa)とひとつのポート1cから
出射する光の中心波長λとの関係は、温度T0のときの
中心波長をλ0とすると、比例係数cを用いて以下の式
(14)のように表される。 λ−λ0=c・(T(Xa)−T0)…(14) なお、以下、中心波長というときは、ひとつの一定のポ
ート1cから出射する光の中心波長をいうものとする。
【0030】この式(14)を変形すると以下の式(1
5) T(Xa)=(λ−λ0)/c+T0…(15) が求められ、予め温度T0、λ0、およびcを求めてお
くことにより、中心波長λを測定すれば、アレイ導波路
12の温度T(Xa)を測定することができる。cは、
所定の温度に設定した恒温槽内にAWGチップ1のみを
設置し、AWGチップ1全体が恒温槽内の温度と等し
く、均一になった後、中心波長を測定する操作を温度を
変更して繰り返し、温度と中心波長との関係をグラフに
プロットした直線から求めることができる。AWGチッ
プ1のみを用いるのは、温度制御を行わない状態での中
心波長の変動を測定するためである。なお、石英系のA
WGモジュールの場合、cは一般に0.011nm/℃
とされている。
【0031】3.2 a’の求め方 前記式(4−1)を変形すると、以下の式(4−2)が
求められる。 a’=a/(Ta−Tc)…式(4−2) aは所定のTc、Taの設定条件下で、AWGチップ1
の表面の温度分布を測定し、前記式(3)から求めるこ
とができる。このaの値と、上述のようにTa、Tcの
設定値を代入することにより、a’を求めることができ
る。
【0032】
【実施例】以下、実施例を示して本発明のAWGモジュ
ールについて詳細に説明する。 (実施例)以下のような手順にしたがって、本発明に係
るAWGモジュールを製造した。 アレイ導波路の温度と中心波長の関係の測定 AWGチップ1のみを恒温槽に設置して光分波器として
動作させたときのひとつのポートから出射する光の中心
波長を測定することにより、アレイ導波路の温度と中心
波長の関係を求めた。その結果を図5にグラフとして示
した。グラフ中には得られた直線を表す式が示されてい
る。この式を変形し、T(Xa)(℃)と中心波長λ
(nm)の関係を求めると、以下の式(16)のような
結果となった。 T(Xa)=90.909×λ+141031.8 …(16)
【0033】α、a’の測定 以下のような条件でα、a’測定用のAWGモジュール
を製造した。 AWGチップ:サイズ40mm×50mm×1mm(厚
み) ペルチェ素子:サイズ20mm×20mm×4mm(厚
み) 均熱板:サイズ40mm×50mm×1mm(厚み)の
アルミ板 ケース:サイズ100mm×60mm×12mmのアル
ミケース Xt、Xa:共に5mm Tc:43.0℃ Ta:23.0℃
【0034】このAWGモジュールの中心波長λの測定
値は1551.825nmであった。この値を前記式
(16)に代入した結果、T(Xa)は43.2℃であ
り、この条件においては、T(Xt)とT(Xa)は等
しいため、T(Xt)も43.2℃であった。この値
と、Tc、Taの設定値を前記式(13)に代入したと
ころ、αは0.01であった。
【0035】このAWGモジュールのAWGチップ1の
表面のX軸上の温度分布を測定し、結果を図6にグラフ
で示した。得られた曲線について、前記式(4)を求め
た結果、aは−0.007(℃/mm2)であった。こ
の値とTaとTcの設定値を前記式(4−2)に代入し
た結果、a’は0.00035(1/mm2)であっ
た。
【0036】Xa、Xtの算出およびAWGモジュー
ルの作製 前記で求めたα、およびa’の値を前記式(2)に代
入すると、 Xa≧5.3mm という条件が設定された。そこで、Xaを5.3mmに
設定し、前記式(1)に代入すると、Xtは0であっ
た。そこで、Xa:5.3mm、Xt:0に設定した以
外は、前記で製造したAWGモジュールと同様の条件
でAWGモジュールを製造した。このAWGモジュール
について、環境温度を0〜70℃に変化させながら中心
波長を測定し、温度特性を評価した結果を図7にグラフ
で示した。環境温度変化に伴う中心波長の変動は1pm
程度であり、良好は波長安定性を示した。
【0037】(比較例)Xaを8mmとした以外は実施
例と同様にしてAWGモジュールを作製し、温度特性を
測定し、結果を図8に示した。中心波長の変動は10p
m程度と大きかった。したがって前記式(1)、(2)
を満足するように構成することにより、環境温度変化に
対する波長安定性を備えたAWGモジュールを製造でき
ることが明らかとなった。
【0038】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明においては、
前記式(1)、(2)を満足するように、アレイ導波
路、加熱および/または冷却手段、および温度測定手段
を配置して光学特性を調整することにより、環境温度の
変動に対して波長特性が安定なAWGモジュールを提供
することができる。したがって、製造途中に光学特性を
モニターしながらこれらの構成の配置位置を変更するな
どの操作を省略、または簡略化することができる。ま
た、所望の特性が得られる配置位置が予め求められてい
るため、製造操作が簡単で、製品の光学特性のばらつき
を低減することができる。また、製造したAWGモジュ
ールが所望の光学特性を備えていないことが判明した場
合においても、前記式(1)、(2)を満足するように
各構成の配置を調整することにより、光学特性を調整
し、波長安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AWGモジュールの一例を示した平面図であ
る。
【図2】 図2(a)はX軸とアレイ導波路に係る座標
を示した平面図、図2(b)はペルチェ素子の座標を示
した平面図である。
【図3】 図3(a)はアレイ導波路とペルチェ素子を
積層した状態での座標を示した平面図、図3(b)はサ
ーミスタ温度計の座標を示した平面図である。
【図4】 図4(a)はサーミスタ温度計の座標を示し
た断面図、図4(b)は図4(a)の要部を示した拡大
図である。
【図5】 実施例のアレイ導波路の温度と中心波長の関
係の測定結果を示したグラフである。
【図6】 実施例において、α、a’を求めるために、
AWGモジュールのAWGチップ1の表面のX軸上の温
度分布を測定した結果を示したグラフである。
【図7】 実施例のAWGモジュールについて、環境温
度変化を中心波長との関係を示したグラフである。
【図8】 比較例のAWGモジュールについて、環境温
度変化を中心波長との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1…AWGチップ、2…ペルチェ素子(加熱および/ま
たは冷却手段)、4…サーミスタ温度計(温度測定手
段)、5…温度制御回路(温度制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 健一郎 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 細谷 英行 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Fターム(参考) 2H047 LA19 TA12 TA43

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の導波路が並列されてなるアレイ導
    波路が設けられたAWGチップと、該AWGチップの加
    熱および/または冷却手段とが積層され、前記AWGチ
    ップの温度を測定する温度測定手段と、その測定温度を
    所定の制御温度に制御する温度制御手段が設けられたA
    WGモジュールにおいて、 加熱および/または冷却手段が、アレイ導波路を構成す
    る各導波路の中心を結んだX軸によって対称に分割され
    るように配置され、温度測定手段のセンサ部が該X軸上
    に配置され、 該X軸上の加熱および/または冷却手段の中心X0と前
    記センサ部との距離Xtと、該X0とアレイ導波路との
    距離Xaとが、以下の式(1)および式(2)を満足し
    ていることを特徴とするAWGモジュール。 Xt=(Xa2−α/a’)1/2 …(1) Xa >(α/a’)1/2 …(2) (式中、αはAWGチップから温度測定手段への熱の伝
    わり易さを示す係数、a’はAWGモジュールの制御温
    度と環境温度との温度差とAWGチップの表面温度との
    関係から求められる係数である。)
  2. 【請求項2】 複数の導波路が並列されてなるアレイ導
    波路が設けられたAWGチップと、該AWGチップの加
    熱および/または冷却手段とが積層され、前記AWGチ
    ップの温度を測定する温度測定手段と、その測定温度を
    所定の制御温度に制御する温度制御手段が設けられたA
    WGモジュールの光学特性の調整方法であって、 加熱および/または冷却手段を、アレイ導波路を構成す
    る各導波路の中心を結んだX軸によって対称に分割され
    るように配置し、温度測定手段のセンサ部を該X軸上に
    配置するにおいて、 該X軸上の加熱および/または冷却手段の中心X0と前
    記センサ部との距離Xtと、該X0とアレイ導波路との
    距離Xaとが、以下の式(1)および式(2)を満足す
    るように配置することを特徴とするAWGモジュールの
    光学特性の調整方法。 Xt=(Xa2−α/a’)1/2 …(1) Xa >(α/a’)1/2 …(2) (式中、αはAWGチップから温度測定手段への熱の伝
    わり易さを示す係数、a’はAWGモジュールの制御温
    度と環境温度との温度差とAWGチップの表面温度との
    関係から求められる係数である。)
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JP2000131539A (ja) * 1998-10-22 2000-05-12 Hitachi Cable Ltd 導波路型光モジュール

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