JP2002048918A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

偏光板およびその製造方法

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JP2002048918A
JP2002048918A JP2000354433A JP2000354433A JP2002048918A JP 2002048918 A JP2002048918 A JP 2002048918A JP 2000354433 A JP2000354433 A JP 2000354433A JP 2000354433 A JP2000354433 A JP 2000354433A JP 2002048918 A JP2002048918 A JP 2002048918A
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Keiichi Taguchi
慶一 田口
Yoji Ito
洋士 伊藤
Yukio Shinagawa
幸雄 品川
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて薄い偏光板、および 非常に歩留まりの
良い偏光板の製造方法を提供する。 【解決手段】(1)長尺の偏光板において、該偏光板の
透過軸が長手方向に平行でも垂直でもないことを特徴と
する偏光板、及び(2)長尺の透明支持体上にポリマー
層を塗設し、ラビング処理した後に、ヨウ素、もしくは
二色性色素を吸着配向させることを特徴とする偏光板の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は極めて薄い偏光板お
よび非常に歩留まりの良い偏光板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置に用いられる偏光板は、従
来ポリビニルアルコールなどの高分子物質からなる配向
制御体に、ヨウ素または染料などの二色性分子を溶解又
は吸着させ、その膜を1方向に引き延ばして二色性分子
を配列させる方法、および1軸方向に延伸したフィルム
に上記の二色性分子を吸着させる方法によって得られる
た偏光素子をトリアセチルセルロースなどの保護フィル
ムにより挟持して得られる。
【0003】しかしながら、上記の方法では二色性分子
を配向させるための配向制御体を必ず延伸しなくてはな
らず、そのために一方向にしか配向していない偏光板し
か製造できないなどの制約を受けていた。また、延伸フ
ィルムを用いる場合は、フィルムの厚みの制約もあり、
通常は延伸後の厚みが30μm程度のものが使用されて
いる。
【0004】これに対して、近年、特開平7−2610
24号公報のように、基板上に設けられた光活性分子を
有する層に二色性を示す分子層を設けることにより、延
伸工程を全く必要とせず、しかも任意の偏光軸を有する
偏光板が報告されているが、光照射により二色性分子を
特定の方向に配向させるため、非常に時間がかかり長尺
の連続処理ができない、また、面内の均一性に乏しいと
いう問題があった。さらに従来の偏光板に比べ、偏光度
が低く、実用化にはほど遠いものであった。
【0005】また、ガラスあるいは高分子膜表面を布や
紙等で1方向に擦るラビング処理を施した後に、二色性
分子をその表面に吸着させる方法が提案されている(ジ
ェー.エフ.ドライヤー(J.F.Dreyer)、ジ
ャーナル・オブ・フィジックス・アンド・コロイドケミ
ストリー(J.Phys.Colloid Che
m.)、52頁、808(1948)参照)。しかし、
この方法も長尺の連続処理に関しては記載がなく、高温
高湿下ではラビングにより配向した高分子膜が緩和し、
二色性分子の整列が乱れ、偏光度が低下する問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、液晶表示装置は
薄型、軽量化が進み、表示体に関わるあらゆる部材が小
型化、薄型化、軽量化されてきた。しかしながら、前述
のように様々な試みがなされているが、従来の偏光板に
代わる性能のものはないのが現状である。従来の配向制
御体としてポリビニルアルコールフィルム等を用いて偏
光板を作成する方法は、延伸されたポリビニルアルコー
ルフィルムが延伸方向に裂けやすいため、さらに両側に
保護層を設けなければならず、液晶表示装置全体の厚み
を増してしまうという問題があった。さらに、従来のポ
リビニルアルコールを延伸して偏光板を作成する方法で
は、延伸されたポリビニルアルコールフィルムが、熱や
湿度により収縮するため、液晶セルのガラス面と偏光板
の間にある粘着剤が剥離してしまうという問題もあっ
た。さらには、長尺の偏光板を作製するには、上述のよ
うにフィルムの長手方向、もしくは幅方向にしかポリビ
ニルアルコールを配向させられず、必ず偏光軸は、長手
方向に平行、あるいは垂直となり、液晶表示装置に貼り
つける際には、偏光軸が45度方向となるように長方形
に加工するため、非常に歩留まりが悪いという問題があ
り、これら問題点の解決が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこのような
状況に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成した。即ち
本発明の課題は下記の態様により解決された。 (1)長尺の偏光板において、該偏光板の透過軸が長手
方向に平行でも垂直でもないことを特徴とする偏光板。 (2)少なくとも透明支持体と偏光能を有するポリマー
層からなり、ポリマー層が架橋されていることを特徴と
する請求項1に記載の偏光板。 (3)該ポリマー層がポリビニルアルコールまたは変性
ポリビニルアルコールであることを特徴とする(2)に
記載の偏光板。 (4)該ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルア
ルコールのケン化度が95%以上であることを特徴とす
る(3)に記載の偏光板。 (5)該ポリマー層がポリマーと架橋剤との反応により
架橋されていることを特徴とする(2)〜(4)のいず
れかに記載の偏光板。 (6)該架橋剤がホウ酸類であることを特徴とする請求
項5に記載の偏光板。 (7)該ポリマー層がヨウ素を含むことを特徴とする
(2)〜(6)のいずれかに記載の偏光板。 (8)該ポリマー層が二色性色素を含むことを特徴とす
る(2)〜(6)のいずれかに記載の偏光板。 (9)長尺の透明支持体上にポリマー層を塗設し、ラビ
ング処理した後に、ヨウ素、または二色性色素を吸着配
向させることを特徴とする偏光板の製造方法。 (10)長尺の透明支持体上にヨウ素、または二色性色
素が含まれたポリマー層を塗設し、ラビングすることを
特徴とする偏光板の製造方法。 (11)該ポリマー層がポリビニルアルコールまたは変
性ポリビニルアルコールであることを特徴とする(9)
または(10)に記載の偏光板の製造方法。 (12)該ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニル
アルコールのケン化度が95%以上であることを特徴と
する(9)〜(11)のいずれかに記載の偏光板の製造
方法。 (13)透明支持体上にポリマー層を有する長尺フィル
ムの該ポリマー層にラビングを施す方法において、ラビ
ングロールを連続搬送工程の進行方向に対し斜めに配置
し、長尺フィルムをラビングロールにラップさせて連続
してラビング処理することを特徴とする(9)〜(1
2)のいずれかに記載の偏光板の製造方法。 (14)該ラビングロールの配置が連続搬送工程の進行
方向に対して45度傾けたことを特徴とする(13)に
記載の偏光板の製造方法。 (15)長尺の透明支持体上に少なくとも1種の変性ポ
リビニルアルコールからなるポリマー層を塗設し、長手
方向に水平でも垂直でもない方向にラビング処理した後
に、ヨウ素、または二色性色素を吸着配向させることを
特徴とする偏光板の製造方法。 (16)長尺の透明支持体上にヨウ素、または二色性色
素を含む、少なくとも1種の変性ポリビニルアルコール
からなるポリマー層を塗設し、長手方向に水平でも垂直
でもない方向にラビング処理することを特徴とする偏光
板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明におけるヨウ素、および二
色性色素は、ポリマー層中で配向することで本発明の偏
光板は偏向性能を発揮する。このヨウ素、および二色性
色素は、ポリマー分子に沿って配向するが、従来の偏光
板と異なり、ポリビニルアルコール等の延伸ではなく、
ラビング、さらには長尺の連続処理によるラビングによ
る配向方法が取られる。さらには、この連続ラビングは
搬送方向に対して斜め方向に施されるため、透過軸が長
手方向に平行でも垂直でもない偏光板が得られる。
【0009】<透明支持体>本発明の透明支持体の材料
としては、透明であるかぎりどのような材料でも使用す
ることができる。光透過率が80%以上を有する材料が
好ましい。このような材料としては、ゼオネックス(日
本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)な
どのオレフィンポリマー及びフジタック(富士写真フイ
ルム(株)製)などのセルロースアシレートフィルム市
販品を使用することができる。さらに、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテル
スルホンなどの素材であってよい。中でも、セルロース
アシレートが好ましく、その詳細は後述する。
【0010】支持体の物性は、用途に応じ任意の値が可
能であるが、通常の透過型LCDに用いる場合の代表的
な好ましい値を以下に示す。膜厚は取り扱い性や耐久性
の観点から5〜500μmが好ましく、20〜200μ
mがより好ましく、20〜100μmが特に好ましい。
レターデーション値は632.8nmにおいて0〜15
0μmが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜
5nmが特に好ましい。支持体の遅相軸は、偏光膜の吸
収軸と実質的に平行または直交させることが、直線偏光
の楕円化を避ける観点から好ましい。但し、支持体に位
相差板等、偏光性を変化させる機能を持たせる場合に
は、この限りではなく、偏光板の吸収軸と支持体の遅相
軸は任意の角度をとることができる。可視光線透過率は
60%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。9
0℃120時間処理後の寸度減少は、0.3〜0.01
%であることが好ましく、0.15〜0.01%である
ことが特に好ましい。フィルムの引っ張り試験による抗
張力値は、50〜1000MPaが好ましく、100〜
300MPaが特に好ましい。フィルムの透湿度は、1
00〜800g/m2・dayが好ましく、300〜60
0g/m2・dayが特に好ましい。
【0011】支持体として好ましいセルロースアシレー
トの詳細について、以下に示す。好ましいセルロースア
シレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式
(I)〜(IV)の全てを満足するものである。
【0012】(I) 2.6≦A+B≦3.0 (II) 2.0≦A≦3.0 (III) 0≦B≦3.0 (IV) 1.9<A−B ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換され
ているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換
度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度であ
る。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基が
あり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を
表すもので、最大の置換度が3.0である。偏光板支持
体として用いるセルロースアシレートは、アシル基が全
部アセチル基のセルローストリアセテート、及びアセチ
ル基が2.0以上で、炭素原子数が3〜5のアシル基が
0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以下のも
のが好ましい。炭素原子数3〜5のアシル基の場合、
0.3以下が物性の点から特に好ましい。なお、置換度
は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数
3〜5の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られ
る。測定方法としては、ASTMのD−817−91に
準じて実施することが出来る。
【0013】アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシ
ル基はプロピオニル基(C25CO−)、ブチリル基
(C37CO−)(n−、iso−)、バレリル基(C
49CO−)(n−、iso−、sec−、tert
−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムにした
時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特にn−
プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置換度
が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原子数
3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶媒への溶解性
は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であれば
良好な物性を示す。
【0014】セルロースアシレートの重合度(粘度平
均)は200〜700が好ましく、特に250〜550
のものが好ましい。粘度平均重合度はオストワルド粘度
計で測定することができ、測定されたセルロースアシレ
ートの固有粘度[η]から下記式により求められる。 DP=[η]/Km (式中DPは粘度平均重合度、Km
は定数6×10-4
【0015】セルロースアシレート原料のセルロースと
しては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、何れ
の原料セルロースから得られるセルロースアシレートで
も使用できるし、混合して使用してもよい。
【0016】上記セルロースアシレートは、通常ソルベ
ントキャスト法により製造される。ソルベントキャスト
法は、セルロースアシレートおよび各種添加剤を溶媒に
溶解して濃厚溶液(以下、ドープと称する)を調製し、
これをドラムまたはバンドのような無端支持体上に流延
し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成するものである。
ドープは、固形分量が10〜40重量%となるように濃
度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表
面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベ
ントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
2492078号、同2492977号、同24929
78号、同2607704号、同2739069号、同
2739070号、英国特許640731号、同736
892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49
−5614号、特開昭60−176834号、同60−
203430号、同62−115035号の各公報に記
載がある。
【0017】2層以上のドープを流延する方法も好まし
く用いられる。複数のドープを流延する場合、支持体の
進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からドープ
を含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィル
ムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414
号、特開平1−122419号、特開平11−1982
85号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの
流延口からセルロースアシレート溶液を流延することに
よってもフィルム化することができ、例えば特公昭60
−27562号、特開昭61−94724号、特開昭6
1−947245号、特開昭61−104813号、特
開昭61−158413号、特開平6−134933
号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−1
62617号に記載の高粘度ドープの流れを低粘度のド
ープで包み込み、その高、低粘度のドープを同時に押出
す流延方法も好ましく用いられる。
【0018】セルロースアシレートを溶解する有機溶媒
の例には、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン)、ハロ
ゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロベン
ゼン)、アルコール(例、メタノール、エタノール、ジ
エチレングリコール)、ケトン(例、アセトン)、エス
テル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル)およびエーテル
(例、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ)などが
あげられる。炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が
好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく
用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体か
らの剥取り性、フィルムの機械強度等、光学特性の物性
の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1〜
5のアルコールを一種、ないし数種類混合することが好
ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2〜2
5重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
アルコールの具体例としては、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール等があげられるが、メタノール、エタノール、n−
ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いら
れる。
【0019】セルロースアシレートの他に、乾燥後固形
分となる成分としては、可塑剤をはじめ、紫外線吸収
剤、無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、滑剤、油剤、支持体からの剥離促進剤、セルロース
アシレートの加水分解防止剤等を任意に含むことができ
る。
【0020】好ましく添加される可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート
(TPP)およびトリクレジルフォスフェート(TC
P)、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジ
フェニルフォスフェート、ジフェニルビフェニルフォス
フェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルホ
スフェート等があげられる。カルボン酸エステルとして
は、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的
である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレー
ト(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチ
ルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DO
P)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチル
ヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸
エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル
(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル
(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン
酸アセチルトリブチル、が含まれる。その他のカルボン
酸のエステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリメチルト
リメリテート等のトリメリット酸エステルが含まれる。
グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、ト
リブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチ
ルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチル
グリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど
がある。
【0021】以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェ
ニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェ
ート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニ
ルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレー
ト、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレー
ト、トリメチルトリメリテート等を用いることが好まし
い。特にトリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェ
ニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタ
リルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートが
好ましい。これらの可塑剤は1種でもよいし2種以上併
用してもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレート
に対して5〜30重量%が好ましく、特に8〜16重量
%以下が好ましい。これらの化合物は、セルロースアシ
レート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒
と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加し
てもよい。
【0022】紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種類の
ものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート
系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤
を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベンゾト
リアゾール系、サリチル酸エステル系が好ましい。ベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2′−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2′−ジ−ヒドロキシ−4,4′
−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2
−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾ
フェノン等をあげることができる。ベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤としては、2(2′−ヒドロキシ−3′
−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−ク
ロルベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−5′
−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5
−クロルベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−
5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等をあげることができる。サリチル酸エステル系とし
ては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサ
リシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレー
ト等をあげることができる。これら例示した紫外線吸収
剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2,2'−ジ−ヒドロキシ−4,4′−メト
キシベンゾフェノン、2(2′−ヒドロキシ−3′−t
ert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロル
ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−5′−t
ert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5
−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。吸収波長
の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波
長範囲で高い遮断効果を得ることができ、特に好まし
い。紫外線吸収剤の量はセルロースアシレートに対し
0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%が好
ましい。紫外線吸収剤はセルロースアシレート溶解時に
同時に添加しても良いし、溶解後のドープに添加しても
良い。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にド
ープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が好ましい。
【0023】セルロースアシレートに添加する無機微粒
子としては、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、
石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ア
ルミナなどを目的に応じ、任意に用いることができる。
これら微粒子はドープに添加する前に、高速ミキサー、
ボールミル、アトライター、超音波分散機等、任意の手
段でバインダー溶液中に分散を行うことが好ましい。バ
インダーとしてはセルロースアシレートが好ましい。紫
外線吸収剤等、他の添加物と共に分散を行うことも好ま
しい。分散溶媒は任意であるが、ドープ溶剤と近い組成
であることが好ましい。分散粒子の数平均粒径は0.0
1〜100μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ま
しい。上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に
同時に添加しても良いし、任意の工程でドープに添加で
きるが、紫外線吸収剤同様スタティクミキサ等を用い、
流延直前に添加する形態が好ましい。
【0024】支持体からの剥離促進剤としては、界面活
性剤が有効でありリン酸系、スルフォン酸系、カルボン
酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。
これらは、例えば特開昭61−243837号などに記
載されている。
【0025】上記のセルロースアシレートフィルムを支
持体に用いる場合、PVA系樹脂との密着性を高めるた
め、フィルム表面にケン化、コロナ処理、火炎処理、グ
ロー放電処理等の手段により、親水性を付与することが
好ましい。また、親水性樹脂をセルロースアシレートと
親和性のある溶媒に分散し、薄層塗布しても良い。以上
の手段の中では、フィルムの平面性、物性が損なわれな
いため、ケン化処理が特に好ましい。ケン化処理は、例
えば苛性ソーダのようなアルカリ水溶液にフィルムを浸
漬することで行われる。処理後は過剰のアルカリを除く
ため、低濃度の酸で中和し、水洗を十分行うことが好ま
しい。
【0026】本発明の偏光板の支持体表面には、特開平
4−229828、特開平6−75115、特開平8−
50206等に記載のLCDの視野角補償のための光学
異方層や、ディスプレイの視認性向上のための防眩層や
反射防止層、あるいはLCD輝度向上のための異方性散
乱や異方性光学干渉によるPS波分離機能を有する層
(高分子分散液晶層、コレステリック液晶層等)、偏光
板の耐傷性を高めるためのハードコート層、水分や酸素
の拡散を抑えるガスバリア層、偏光膜あるいは接着剤、
粘着剤との密着力を高める易接着層、スベリ性を付与す
る層等、任意の機能層を設けることができる。機能層は
偏光膜側に設けても良いし、偏光膜と反対面に設けても
良く、目的に応じ適宜に選択できる。本発明の偏光膜に
は、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼
合することができる。機能膜の側としては、λ/4板、
λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に
導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性
光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射膜、半透過機能
を持つ反射板等があげられる。
【0027】偏光板保護膜としては、上に述べた好まし
い支持体を一枚、または複数枚積層して用いることがで
きる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、
両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合し
てもよい。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対
面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接
設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合
粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設
けることが好ましい。
【0028】透明支持体を液晶セル側に用いる場合、複
屈折をコントロールすることが好ましい。面内の主屈折
率をnx、ny、厚み方向の主屈折率をnz、フイルム
の厚さをdとしたとき、三軸の主屈折率の関係がnz<
ny<nx(二軸性)を満足し、式{(nx+ny)/
2−nz}×dで表されるレタデーションが、20nm
から400nm(好ましくは30〜200nm)である
ことが好ましい。|nx−ny|×dで表される正面レ
ターデーションは、100nm以下であることが好まし
く、60nm以下であることがさらに好ましい。透明支
持体がポリマー層を挟んで液晶セルの反対側に位置する
際は、複屈折の制限を受けない。
【0029】また、下塗層を透明支持体上に、透明支持
体とポリマー層との接着強度を増大させるために設ける
ことが好ましい。一般にゼラチンが使用される。
【0030】<ポリマー層>本発明に使用されるポリマ
ーは、特に制限はなく、それ自体架橋可能なポリマーで
あっても、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも
使用することができる。ポリマー層は、官能基を有する
ポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、
光、熱、pH変化等により、ポリマー間で反応させて形
成するか;あるいは、反応活性の高い化合物である架橋
剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入
して、ポリマー間を架橋することにより形成することが
できる。
【0031】このような架橋は、通常上記ポリマーまた
はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持
体上に塗布したのち、加熱等を行なうことにより実施さ
れるが、最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いの
で、ポリマーを透明支持体上に塗設した後から、最終の
偏光板を得るまでのいずれの段階で架橋させる処理を行
なっても良い。すなわち、透明支持体上に、ポリマー及
び該ポリマーを架橋することができる架橋剤を含む塗布
液を塗布した場合、加熱乾燥した後、ラビング処理を行
なってポリマー層を配向させ、次いでヨウ素、あるいは
二色性色素がポリマー分子に吸着配向することで、偏光
板が形成できる。
【0032】本発明に使用されるポリマーは、それ自体
架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポ
リマーのいずれも使用することができる。勿論両方可能
なポリマーもある。上記ポリマーの例としては、ポリメ
チルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合
体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルア
ルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メ
チロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン
共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセル
ロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリ
エステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチル
セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカ
ーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の
化合物を挙げることができる。ポリマーの例として好ま
しくは、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カル
ボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー
であり、さらに好ましくゼラチン、ポリビニルアルコー
ル及び変性ポリビニルアルコールであり、特に好ましく
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールで
ある。
【0033】上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコー
ル又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニ
ルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%の
ものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであ
り、より好ましくは鹸化度95%以上のものである。重
合度としては、100〜5000の範囲が好ましい。変
性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの
(変性基として、例えば、COONa、Si(OH)
3 、N(CH3)3 ・Cl、C919COO、SO3Na、
1225等が導入される)、連鎖移動により変性したも
の(変性基として、例えば、COONa、SH、C12
25S等が導入されている)、ブロック重合による変性を
したもの(変性基として、例えば、COOH、CONH
2 、COOR(アルキル)、C65 等が導入される)
等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができ
る。重合度としては、100〜3000の範囲が好まし
い。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性乃至
変性ポリビニルアルコールであり、より好ましくは鹸化
度85乃至95%の未変性ないしアルキルチオ変性ポリ
ビニルアルコールである。また、ポリマー層に用いるポ
リビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール単独
で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0034】変性ポリビニルアルコールとして、特に、
特開平8−338913号公報、同平9−152509
号公報、および同平9−316127号公報に記載の化
合物が好ましく用いられる。
【0035】<架橋剤>架橋剤としては、特に限定はな
く、添加量は、耐湿熱性を向上させるためには、多く添
加した方が良化傾向にある。しかし、ポリマーに対して
50重量%以上添加した場合には、ラビングによる配向
性が低下することから、0.1〜20重量%が好まし
く、特に0.5〜15重量%が好ましい。本発明の配向
膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋
剤をある程度含んでいるが、その架橋剤の量は、ポリマ
ー層中に1.0重量%以下であることが好ましく、特に
0.5重量%以下であることが好ましい。ポリマー層中
に1.0重量%を超える量で架橋剤が含まれていると、
充分な耐久性が得られない。即ち、液晶表示装置に使用
した場合、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長
期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがあ
る。架橋剤の具体例としては、米国再発行特許第23,
297号に記載のものが使用できるが、ホウ酸類(ホウ
素、硼砂)などが好ましく用いられる。
【0036】本発明のポリマー層は、基本的に、上記ポ
リマー、架橋剤を含む塗布液を透明支持体上に塗布した
後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することに
より形成することができ、架橋反応は、前記のように、
透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なっても良
い。そして、前記のポリビニルアルコール等の水溶性ポ
リマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液
は消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒と水の混合溶
媒とすることが好ましく、その比率は重量比で水:メタ
ノールが0:100〜99:1が一般的であり、0:1
00〜91:9であることが好ましい。これにより、泡
の発生が抑えられ、偏光板としての欠陥が著しく減少す
る。塗布方法としては、スピンコーティング法、ディッ
プコーティング法、カーテンコーティング法、エクスト
ルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE
型塗布法を挙げることができる。特にE型塗布法が好ま
しい。また、膜厚は0.1〜100μmが好ましい。加
熱乾燥は20℃ないし110℃で行なうことができる。
充分な架橋を形成させるためには60℃〜100℃が好
ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は
1分〜36時間で行なうことができる。好ましくは5分
間乃至30分間である。pHも、使用する架橋剤に最適
な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを
使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ま
しい。
【0037】<ヨウ素および二色性色素>二色性分子の
具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色
素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キ
ノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、ア
ントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることがで
きる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。
又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水
酸基などの親水性置換基が導入されていることが好まし
い。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.
ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.
オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ7
2、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.ア
イ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレク
ト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド8
3、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.ア
イ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイ
レクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー
90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.
アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開
平1−161202号、特開平1−172906号、特
開平1−172907号、特開平1−183602号、
特開平1−248105号、特開平1−265205
号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等
が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいは
アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として
用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合する
ことにより、各種の色相を有する偏光子を製造すること
ができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交さ
せた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するよ
うに各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏
光率とも優れており好ましい。
【0038】ヨウ素および二色性色素をポリマー層に塗
布する場合、塗布液はヨウ素および二色性色素を溶剤に
溶解することにより作製することができる。溶剤の例と
しては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジ
メチルスルフォキシド(DMSO)及びピリジン等の極
性溶剤;ベンゼン及びヘキサン等の無極性溶剤;クロロ
ホルム及びジクロロメタン等のアルキルハライド類;酢
酸メチル及び酢酸ブチル等のエステル類;アセトン及び
メチルエチルケトン等のケトン類;及びテトラヒドロフ
ラン及び1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類を挙
げることができる。ポリマー層の配向を緩和させずに吸
着配向させられる溶剤が好ましく、使用するポリマーの
種類により適宜選択できる。溶剤は単独でも、組合わせ
て使用してもよい。ヨウ素および二色性色素の使用量と
しては、0.01g/m2〜10g/m2、好ましくは
0.05g/m2〜1g/m2が適当である。
【0039】上記溶液の塗布方法としては、カーテンコ
ーティング、押出コーティング、ロールコーティング、
ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コー
ティング、スプレーコーティング及びスライドコーティ
ングを挙げることができる。本発明では、ディスコティ
ック化合物のみの混合物の場合は蒸着法も使用すること
ができる。本発明では、連続塗布が好ましい。従ってカ
ーテンコーティング、押出コーティング、ロールコーテ
ィング及びスライドコーティングが好ましい。
【0040】<保護層>ヨウ素、もしくは二色性色素を
吸着配向させたポリマー層上に保護層を設けても良い。
保護層としては、前述の透明支持体同様、透明性の高い
ポリマーであれば、いかなるものでも使用できる。この
ようなフィルムを保護層として用いる場合は、接着剤、
もしくは粘着剤により貼り合わせることが好ましい。ま
た、ポリマー層上に、重合性のモノマーを塗設し、重合
させることもできる。貼り合わせ法に比べ、薄くできる
ため、好ましく用いることができる。重合性モノマーと
しては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、
およびメタアクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0041】<ラビング>ラビング処理は、LCDの液
晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利
用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガー
ゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊
維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方
法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが
均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度
ラビングを行うことにより実施される。また、好ましく
は本発明のラビング処理方法は、ロール自身の真円度、
円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラ
ビングロールを備えていることを特徴とする。ラビング
ロールへのフィルムのラップ角度は、0.1度乃至90
度が好ましいが、特開平8−160430号公報に記載
されているように360度以上巻き付けることで安定な
ラビング処理が得られることもある。長尺なフイルムを
ラビングする場合は、フィルムが搬送装置によって、一
定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送され
ることが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング
角度設定のためフイルム進行方向に対し水平方向に回転
自在とされることが好ましく、0〜60度の適切な角度
が選ばれ、特に45度が好ましい。液晶表示装置に使用
される場合は、40度乃至50度とすることが好まし
い。
【0042】<応用>本発明の偏光板は、塗布型の光学
部材(光学補償フィルム、輝度アップフィルム)と組み
合わせることで、偏光板透過軸と各光学部材の遅相軸を
精度良くコントロールできることで、より機能性を発揮
する。塗布型の光学部材の具体例としては、ディスコテ
ィック液晶性分子を用いた光学補償シートについて特開
平6−214116号公報、米国特許5583679
号、同5646703号、ドイツ特許3911620A
1号の各明細書に記載がある。また、棒状液晶性分子を
用いた光学補償シートについては特開平7−35924
号公報に記載がある。さらに輝度アップフィルムに関し
ては、特開平11−149015号公報に記載がある。
【0043】
【実施例】<実施例1>片面にゼラチン層を設けた平均
酢化度60.9%のセルロースアセテート(富士写真フ
イルム(株)社製、厚み80μm)のゼラチン層上に、
下記組成からなる10μのポリマー層を塗設した。ポリ
マー層の厚みは、従来の延伸フィルムの厚みが約30μ
mであるのに対し約1/3の厚みである。 下記変性ポリビニルアルコール(化1) 4重量部 グルタルアルデヒド 0.05重量部 水 96重量部
【0044】
【化1】
【0045】このポリマー層上を、図1のラビング方法
でラビング処理を行った。ラビングロール外形300m
m、フィルム搬送速度15m/min、ラビングロール
回転周速度300m/min、フィルム基板張力2Kg
f/cm基板幅、ラップ角度30゜、ラビングロールの
傾き角45゜の条件でラビング処理を行った。このラビ
ング処理を施したポリマー層付きフィルム基板を40℃
のヨウ素雰囲気下にしばらく放置し、ヨウ素を吸着させ
るとともに、ポリマー層の架橋反応を進行させた。この
ようにして、透過軸がフィルムの長手方向に対し、45
゜傾いた長尺偏光板(CHB−1)を得た。
【0046】<実施例2>片面にゼラチン層を設けた平
均酢化度60.9%のセルロースアセテート(富士写真
フイルム(株)社製、厚み80μm)のゼラチン層上
に、下記組成からなる10μのポリマー層を塗設した。 ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA117) 4重量部 グルタルアルデヒド 0.05重量部 水 96重量部 このポリマー層上を、実施例1と同じ条件及び装置で図
1のラビング方法でラビング処理を行った。このラビン
グ処理を施したポリマー層付きフィルム基板を実施例1
と同様に40℃のヨウ素雰囲気下にしばらく放置し、ヨ
ウ素を吸着させるとともに、ポリマー層の架橋反応を進
行させた。このようにして、透過軸がフィルムの長手方
向に対し、45゜傾いた長尺偏光板(CHB−2)を得
た。
【0047】<実施例3>市販のアートンフィルム(J
SR製)の片側をコロナ処理し、下記組成からなる5μ
のポリマー層を塗設した。 ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA110) 4重量部 黒色混合染料(C.I.Direct Orenge72,同Blue67,同Green 51)1重量部 ノニオン系界面活性剤(エマルゲン108;花王製) 0.1重量部 グリオキザール 0.05重量部 メタノール 16.7重量部 水 78重量部 このポリマー層上を下記の条件で実施例1と同じ装置で
ラビング処理し、透過軸がフィルムの長手方向に対し、
45゜傾いた長尺偏光板(CHB−3)を得た。 ラビングロール外径300mm、 フィルム搬送速度15m/min、 ラビングロール回転周速度400m/min、 フィルム基板張力2Kgf/cm基板幅、 ラップ角度45゜ ラビングロールの傾き角45゜
【0048】<偏光度評価>実施例で作製した偏光板の
極大吸収波長における光学特性をMCPD(島津製作所
製)で測定し、表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】液晶表示装置用チップとしての加工 従来の偏光板は、フィルムの幅方向に透過軸があるた
め、図2に示すように45゜方向にカットしてチップを
作製していた。本発明の偏光板は45°方向に透過軸が
ある。そのため図2に示したように、従来の45°傾け
て矩形を切り出す方式では切り出す枚数が少ないのに対
して、本発明では矩形板を効率的に切り出すことがで
き、チップ化の際のロスを小さくすることができる。
【0051】
【発明の効果】上記の通り、本発明によれば、極めて薄
い偏光板、および歩留まりの良い偏光板の製造方法が提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラビング処理時のラビングロ−ル傾き角および
ラップ角度を示す。
【図2】長尺の偏光板から偏光板のチップを作成する形
態を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品川 幸雄 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA26 BA27 BA28 BA37 BB13 BB43 BB63 BC04 BC22 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB06 FC07 FD06 LA30

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺の偏光板において、該偏光板の透過
    軸が長手方向に平行でも垂直でもないことを特徴とする
    偏光板。
  2. 【請求項2】 少なくとも透明支持体と偏光能を有する
    ポリマー層からなり、ポリマー層が架橋されていること
    を特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 【請求項3】 該ポリマー層がポリビニルアルコールま
    たは変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする
    請求項2に記載の偏光板。
  4. 【請求項4】 該ポリビニルアルコールまたは変性ポリ
    ビニルアルコールのケン化度が95%以上であることを
    特徴とする請求項3に記載の偏光板。
  5. 【請求項5】 該ポリマー層がポリマーと架橋剤との反
    応により架橋されていることを特徴とする請求項2〜4
    のいずれかに記載の偏光板。
  6. 【請求項6】 該架橋剤がホウ酸類であることを特徴と
    する請求項5に記載の偏光板。
  7. 【請求項7】 該ポリマー層がヨウ素を含むことを特徴
    とする請求項2〜6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 【請求項8】 該ポリマー層が二色性色素を含むことを
    特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の偏光板。
  9. 【請求項9】 長尺の透明支持体上にポリマー層を塗設
    し、ラビング処理した後に、ヨウ素、または二色性色素
    を吸着配向させることを特徴とする偏光板の製造方法。
  10. 【請求項10】 長尺の透明支持体上にヨウ素、または
    二色性色素が含まれたポリマー層を塗設し、ラビングす
    ることを特徴とする偏光板の製造方法。
  11. 【請求項11】 該ポリマー層がポリビニルアルコール
    または変性ポリビニルアルコールであることを特徴とす
    る請求項9または10に記載の偏光板の製造方法。
  12. 【請求項12】 該ポリビニルアルコールまたは変性ポ
    リビニルアルコールのケン化度が95%以上であること
    を特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の偏光板
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 透明支持体上にポリマー層を有する長
    尺フィルムの該ポリマー層にラビングを施す方法におい
    て、ラビングロールを連続搬送工程の進行方向に対し斜
    めに配置し、長尺フィルムをラビングロールにラップさ
    せて連続してラビング処理することを特徴とする請求項
    9〜12のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  14. 【請求項14】 該ラビングロールの配置が連続搬送工
    程の進行方向に対して45度傾けたことを特徴とする請
    求項13に記載の偏光板の製造方法。
  15. 【請求項15】 長尺の透明支持体上に少なくとも1種
    の変性ポリビニルアルコールからなるポリマー層を塗設
    し、長手方向に水平でも垂直でもない方向にラビング処
    理した後に、ヨウ素、または二色性色素を吸着配向させ
    ることを特徴とする偏光板の製造方法。
  16. 【請求項16】 長尺の透明支持体上にヨウ素、または
    二色性色素を含む、少なくとも1種の変性ポリビニルア
    ルコールからなるポリマー層を塗設し、長手方向に水平
    でも垂直でもない方向にラビング処理することを特徴と
    する偏光板の製造方法。
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