JP2002039225A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2002039225A
JP2002039225A JP2000222170A JP2000222170A JP2002039225A JP 2002039225 A JP2002039225 A JP 2002039225A JP 2000222170 A JP2000222170 A JP 2000222170A JP 2000222170 A JP2000222170 A JP 2000222170A JP 2002039225 A JP2002039225 A JP 2002039225A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】回転軸の軸方向がたを無くしてその位置決めを
可能として円滑なクラッチ動作を可能とする。 【解決手段】第2回転軸3がクラッチハウジング1に転
がり軸受6を介して支持されている一方、第1回転軸2
の位置決め機構14が、第2回転軸の凸軸部3bの周溝
3fとこれに装着されて第1回転軸を第2回転軸に相対
回転可能に支持するC形止め輪20で構成されて、第1
回転軸を第2回転軸の方向に引き寄せて軸方向で位置決
めすることで、周溝や止め輪の軸方向幅に寸法公差のば
らつきがあっても、第1回転軸における軸方向に対して
がたつき無く位置決めして円滑なクラッチ動作を可能と
する構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置に関
する。このクラッチ装置は、同軸状に向け合わせて配設
された2つの第1および第2の回転体の間に介装されて
第1回転体に回転動力が入力されたときは両回転体を同
期回転させる状態に、また第2回転体に回転動力が入力
されたときは両回転体を回転不可な状態に切り換えるも
のである。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、図12で示されるクラッ
チ装置を提案している。同図において、1は、クラッチ
ハウジング、2は、第1回転軸、3は、第2回転軸、4
は、カムプレート、5は、円錐コイルばね、6は、転が
り軸受、7は、ボールカム機構である。
【0003】このクラッチ装置は、クラッチハウジング
1に軸方向に挿入した第2回転軸3を転がり軸受6を介
して支持し、第1回転軸2の貫通孔2bに第2回転軸3
の凸軸部3bを貫通させ、この凸軸部3bの周溝3fに
C形止め輪20を装着して第1回転軸2を第2回転軸3
に対して相対回転可能に支持して第1回転軸2の軸方向
上の位置決めを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常、周溝3dに対し
てC形止め輪20は所要の隙間を持つ状態に嵌入される
ので、その隙間分について、第1回転軸2が、クラッチ
ハウジング1内に固定される第2回転軸3に対して軸方
向へがたつくことになる。
【0005】このような第1回転軸2の軸方向に対する
がたつきは、そのフランジ2aとカムプレート4の両対
向面のカム溝8,9の径方向隙間の精度に影響を及ぼし
ボールカム機構7による円滑なクラッチ動作には不都合
となる。
【0006】したがって、本発明は、クラッチ装置にお
いて、例えば周溝や止め輪の軸方向幅に寸法公差のばら
つきがあっても、一方の回転軸を他方の回転軸に対して
軸方向上がたつき無く位置決めさせて円滑なクラッチ動
作を可能とすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のクラッチ装置
は、同軸状に向け合わせて配設された二つの回転体の動
力伝達間に介装され、かつ、第1回転体に回転動力が入
力されたときは両回転体を同期回転可能に結合する一
方、第2回転体に回転動力が入力されたときは第2回転
体を非回転状態とし第1回転体と分離するクラッチ装置
であって、第1回転体に対して軸方向で対向配設される
とともに、第2回転体と同期回転可能でかつ軸方向変位
可能に取り付けられる可動摩擦部材と、可動摩擦部材の
軸方向変位によって当該可動摩擦部材が圧接または離隔
する位置に固定配置される固定摩擦部材と、第1回転体
が回転したときに可動摩擦部材を固定摩擦部材から離隔
させて第1回転体と可動摩擦部材と第2回転体との三者
を一体にして両回転体を同期回転可能に結合する一方、
第2回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定摩擦部
材に圧接させて第2回転体と可動摩擦部材と固定摩擦部
材との三者を一体にして第2回転体を非回転状態にする
カム機構とを含み、前記いずれか一方の回転体が、固定
摩擦部材に転がり軸受を介して支持され、この一方回転
体に対して他方回転体が、相対回転可能に支持されてお
り、前記一方回転体に対する他方回転体の支持部に、前
記他方回転体を一方回転体の方向に引き寄せて軸方向で
位置決めする位置決め機構が設けられているものであ
る。
【0008】本発明のクラッチ装置によると、一方回転
体に対する他方回転体の支持部において、軸方向の支持
に関して寸法公差のばらつきがあっても、位置決め機構
により他方回転体を一方回転体の方向に引き寄せて軸方
向で位置決めしてそのばらつきが吸収されるから、例え
ばカム機構における対向カム溝間の径方向隙間を常に所
要の状態に高精度に維持することが可能となって、カム
機構による円滑なクラッチ動作が可能となる。
【0009】本発明の好ましい実施態様として、前記ク
ラッチ装置は、いずれかの回転体が有底円筒形に形成さ
れていて、この回転体の底壁部の中心に円筒部内径より
小径の貫通孔が設けられ、また、残りの回転体に前記貫
通孔に対して相対回転可能に貫通挿入される凸軸部が設
けられており、前記位置決め機構が、前記貫通孔に貫通
挿入される凸軸部において貫通孔より円筒部側へ突出さ
れた部分の外周に設けられる周溝と、この周溝にくさび
状に係入されて一側面が前記底壁部の内側面に当接する
とともに他側面の内径部が前記周溝の開口縁に当接する
状態とされるくさび状止め輪とで構成されている。
【0010】この実施態様の場合、周溝や止め輪の軸方
向幅について寸法公差のばらつきがあっても、止め輪と
前記回転体の底壁部の内側面との間に隙間がなくなるか
ら、従来とは異なって、この回転体の軸方向に対するが
たつきがなくなって、この回転体とカムプレートの両対
向面のカム溝の径方向隙間を高精度に維持でき、カム機
構による円滑なクラッチ動作が可能となる。
【0011】本発明の好ましい実施態様として、前記ク
ラッチ装置は、いずれかの回転体が有底円筒形に形成さ
れていて、この回転体の底壁部の中心に円筒部内径より
小径の貫通孔が設けられ、また、残りの回転体に前記貫
通孔に対して相対回転可能に貫通挿入される凸軸部が設
けられており、前記位置決め機構が、前記貫通孔に貫通
挿入される凸軸部において貫通孔より円筒部側へ突出さ
れた部分の外周に設けられる周溝と、この周溝内に所要
の隙間を持つ状態で嵌入される止め輪と、前記周溝内に
おいて前記止め輪と隣り合わせで弾性変形した状態で嵌
入されて周溝内の隙間を詰める弾性体とで構成されてい
る。
【0012】この実施態様の場合、周溝や止め輪の軸方
向幅について寸法公差のばらつきがあっても、周溝内の
隙間は弾性体で詰められて無いから止め輪は周溝内でが
たつきが無くなり、したがって、この回転体の底壁部の
内側面との間に隙間がなくなり、上記実施態様と同様
に、カム機構による円滑なクラッチ動作が可能となる。
【0013】本発明のさらに好ましい実施態様として、
前記クラッチ装置は、いずれかの回転体が有底円筒形に
形成されていて、この回転体の底壁部の中心に円筒部内
径より小径の貫通孔が設けられ、また、残りの回転体に
前記貫通孔に対して相対回転可能に貫通挿入される凸軸
部が設けられており、前記位置決め機構が、前記貫通孔
に貫通挿入される凸軸部において貫通孔より円筒部側へ
突出された部分の外周に設けられる周溝と、この周溝内
に所要の隙間を持つ状態で嵌入される止め輪と、前記周
溝内において前記止め輪と隣り合わせで嵌入されて周溝
内の隙間を詰めるくさび部材とで構成されている。
【0014】この実施態様の場合も、周溝や止め輪の軸
方向幅について寸法公差のばらつきがあっても、周溝内
の隙間はくさび部材で詰められて無いから止め輪は周溝
内でがたつきが無くなり、したがって、この回転体の底
壁部の内側面との間に隙間がなくなり、上記実施態様と
同様に、カム機構による円滑なクラッチ動作が可能とな
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図面に示す
実施形態に基づいて説明する。
【0016】図1ないし図6を参照して本発明の実施形
態に係るクラッチ装置について説明する。図1は、動力
遮断状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図2は、
動力伝達状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図3
は、クラッチ装置の要部の拡大図、図4は、クラッチ装
置の要部の分解斜視図、図5(a)は、図1の第1回転
軸とカムプレートとのカム溝を側面から見た要部拡大断
面図、図5(b)は、図2の第1回転軸とカムプレート
とのカム溝を側面から見た要部拡大断面図、図6は、図
5(a)と図5(b)とを合わせた図である。
【0017】これらの図において、Aは、クラッチ装置
の全体を示しており、このクラッチ装置Aは、クラッチ
ハウジング1と、第1回転軸2と、第2回転軸3と、カ
ムプレート4と、円錐コイルばね5と、転がり軸受6
と、ボールカム機構7とを備える。
【0018】クラッチハウジング1は、固定摩擦部材と
して、図外のクラッチ装置取付壁に固定されるととも
に、円錐面形状の固定接触面1aと軸受取り付け面1b
とを備えた筒体構造となっている。
【0019】第1回転軸2は、第1回転体として、有底
円筒形に形成されていてモータ等の動力源により回転駆
動されるものであって、軸方向一方軸端側における外周
面に径方向外向きの環状のフランジ2aが一体に形成さ
れ、また、底壁部2bの中心に円筒部2c内径より小径
の貫通孔2dが設けられている。
【0020】第2回転軸3は、第2回転体として、軸方
向一方側軸部3aがクラッチハウジング1外に延び、第
1回転軸2の貫通孔2dに対して相対回転可能に貫通挿
入される凸軸部3bが設けられている。
【0021】第2回転軸3はまた、外周面にスプライン
歯3cが形成され、転がり軸受6を介してクラッチハウ
ジング1の軸受取り付け面1bに回転可能に支持されて
いる。この場合、第2回転軸3の外周面の周溝3dに止
め輪3eが固定され、これによって、第2回転軸3等が
クラッチハウジング1から抜け出すのが防止されてい
る。
【0022】カムプレート4は、可動摩擦部材として、
外周面が円錐面形状の可動接触面4aとなってクラッチ
ハウジング1の固定接触面1aと対向するようクラッチ
ハウジング1と同心状に配設された環状板構造となって
いる。
【0023】カムプレート4はまた、第2回転軸3の嵌
入穴を有し、その嵌入穴内周壁に第2回転軸3のスプラ
イン歯3cに嵌合するスプライン歯4bを備え、そのス
プライン歯4bと3cとの嵌合で第2回転軸3と同期回
転可能、かつ、軸方向に変位可能となっている。
【0024】転がり軸受6は、単列深溝玉軸受で構成さ
れている。
【0025】ボールカム機構7は、第1回転軸2の径方
向外向きフランジ2aと、カムプレート4と、円錐コイ
ルばね5、ボール10とを構成要素として備える。
【0026】カムプレート4は、第1回転軸2のフラン
ジ2aに対して軸方向変位可能な状態に同軸状に対向配
設される。
【0027】フランジ2aとカムプレート4との互いの
対向面に一対のカム溝8,9が振り分けて設けられてい
る。
【0028】両カム溝8,9それぞれは、周方向中心8
a0,9a0から周方向両側へ向けて深さが浅くなるす
り鉢状斜面8a1,8a2;9a1,9a2に形成され
ている。
【0029】円錐コイルばね5は、カムプレート4をフ
ランジ2a側に弾発付勢する弾発付勢部材となる。
【0030】ボール10は、転動体として両カム溝8,
9間に転動可能に収納されている。
【0031】このようなボールカム機構7において、両
カム溝8,9は、周方向中心8a0,9a0で最深とな
り、そこでの深さは、ボール10の半径より小さい寸法
に設定されている。ボールカム機構7では、第1回転軸
2の回転に伴うフランジ2aとカムプレート4との相対
的な回転に伴い、両カム溝8,9の最も深い位置である
周方向中心8a0,9a0にボール10が位置すること
によりカムプレート4をフランジ2a側に近接させる状
態に、また、前記両カム溝8,9の最も浅い位置にボー
ル10が位置することによりカムプレート4をフランジ
2a側から最も離隔させる状態になる。
【0032】なお、カムプレート4は、円錐コイルばね
5によりフランジ3a側に弾発付勢されているが、この
円錐コイルばね5は、図12のクラッチ装置で使用され
ている皿ばねと比較して小さいばね定数が設定できるか
ら、ばねのたわみ量に対するカムプレート4に対する押
し付け荷重の変化が少ない。そのため、両カム溝8,9
間の径方向隙間の大小に対してはばねの線径や有効巻数
を変えることで簡単に対応することができる。また、円
錐コイルばね5の場合、その軸方向の組み付け幅を小さ
くすることができるから、軸方向寸法の小型化に貢献す
ることができる。さらに、ばね製造機で任意のばね定数
のものを容易に製造することができる、などの利点が得
られる。
【0033】次に、クラッチ装置Aの動作について図5
および図6を参照して説明する。
【0034】カムプレート4は、円錐コイルばね5で軸
方向他方に付勢され、その接触面4aが、クラッチハウ
ジング1の接触面1aに圧接されているときは、第2回
転軸3は、その回転をロックされて非回転状態となって
いる。この状態では図5で示すように、ボール10は、
カム溝8,9の軸方向最深の周方向中心8a0,9a0
間に位置している。
【0035】この状態から、第1回転軸2が図外のモー
タ等の動力源で回転駆動される(図6で周方向一方へ移
動される)と、フランジ2aとカムプレート4の両対向
面間のカム溝8,9の互いに逆方向のすり鉢状斜面8a
2、9a2間を図5から図6で示すようにボール10が
周方向に転動する。
【0036】このすり鉢状斜面8a2、9a2において
は、一方のすり鉢状斜面8a2は周方向他方へ向けて、
また他方のすり鉢状斜面9a2は周方向一方へ向けてそ
れぞれ深さが浅くなっているので、カムプレート4は、
円錐コイルばね5に抗して、フランジ2aより軸方向一
方に向けて変位させられ、これによって、カムプレート
4の接触面4aが、クラッチハウジング1の接触面1a
から離隔する。
【0037】そして、ボール10が、すり鉢状斜面8a
2、9a2の両側間で軸方向に挟まれた状態になる。こ
のようにボール10がすり鉢状斜面8a2、9a2の両
側間で軸方向に挟まれた状態になると、カムプレート4
は、第1回転軸2の周方向一方の回転動力で、それと同
方向に回転し、これとともに、第2回転軸3も同方向に
回転させられて、第1回転軸2の回転動力が伝達される
ことになる。
【0038】また、第1回転軸2が、上記と逆方向に回
転駆動された場合は、ボール10は、すり鉢状斜面8a
1、9a1間を転動し、そのすり鉢状斜面8a1、9a
1の両側間で軸方向に挟まれた状態になって、カムプレ
ート4は、第1回転軸2の周方向他方の回転動力で、そ
れと同方向に回転し、これとともに、第2回転軸3も同
方向に回転させられて、第1回転軸2の回転動力が伝達
されることになる。このようにして回転動力はいずれの
回転方向にも伝達される。
【0039】本実施形態は、第2回転軸3に対する第1
回転軸2の支持部に、第1回転軸2を第2回転軸3の方
向に引き寄せて軸方向で位置決めする位置決め機構14
を備えたことを特徴とする。
【0040】この位置決め機構14について詳しく説明
する。
【0041】すなわち、この位置決め機構14は、第1
回転軸2の貫通孔2dに貫通挿入される第2回転軸3の
凸軸部3bにおいてその貫通孔2dより円筒部2cへ突
出された部分の外周に設けられる周溝3fと、この周溝
3fにくさび状に係入されて一側面20aが底壁部2b
の内側面2eに当接するとともに他側面20bの内径部
が周溝3fの開口縁3gに当接する状態とされるくさび
状のC形止め輪20とで構成されている。
【0042】周溝3fの開口縁3gと、これに当接する
C形止め輪20の一側面20aはそれぞれテーパ面形状
とされている。
【0043】この場合、周溝3fの開口縁3gの軸方向
幅x0は、C形止め輪20の軸方向幅X1に対してX0
≧X1の関係となっている。
【0044】周溝3fとC形止め輪20の内径側との前
記両テーパ面における当接により、C形止め輪20のテ
ーパ面から周溝3fのテーパ面には反力Fが作用し、こ
の反力Fは、軸方向荷重Faと、径方向荷重Fbとに分
力される。この軸方向荷重Faにより、C形止め輪20
の外径側から第1回転軸2の底壁部2bの内側面2eに
対して軸方向荷重Faが作用する。
【0045】この場合、第2回転軸3には軸方向他方の
軸方向荷重Faが作用するが、第2回転軸3は転がり軸
受6を介してクラッチハウジング1に固定されているか
ら、軸方向他方には変位することができない。一方、第
1回転軸2は、その底壁部2bの内側面2eに作用する
軸方向荷重Faにより、第2回転軸3の方向に引き寄せ
られることになる。
【0046】なお、前記両テーパ面のテーパ角度θによ
り軸方向荷重Faの大きさを調整できるようにしてい
る。
【0047】この調整により、円錐コイルばね5の軸方
向荷重をFa’とした場合、C形止め輪20による前記
軸方向荷重Faを、Fa’>>Faとし、軸方向荷重F
a’に対して無視できる程度に小さくし、C形止め輪2
0により第1回転軸2の底壁部2bの内側面2eとの間
に隙間を詰めて、第1回転軸2の軸方向に対するがたつ
きをなくせるようにしている。
【0048】したがって、この実施形態によると、周溝
3fやC形止め輪20の軸方向幅において寸法公差のば
らつきがあっても、周溝3fの軸方向溝幅x0は、C形
止め輪20の軸方向幅X1との差分、前記両テーパ面が
常に、そのばらつきを吸収するような当接関係となって
第1回転軸2に対して所要の軸方向荷重Faを与え、そ
の結果、第1回転軸2にはボールカム機構7における両
カム溝8,9間の径方向隙間をつめるように、軸方向一
方の第2回転軸3側に引き寄せる力が作用している。
【0049】以上のように本実施形態によれば、周溝3
fやC形止め輪20の軸方向幅について寸法公差のばら
つきがあっても、C形止め輪20と第1回転軸2の底壁
部2bの内側面2eとの間に隙間がなくなるから、従来
とは異なって、第1回転軸2の軸方向に対するがたつき
がなくなって、第1回転軸2のフランジ2aとカムプレ
ート4の両対向面のカム溝8,9の径方向隙間を所要の
状態に高精度に維持でき、ボールカム機構7による円滑
なクラッチ動作か可能となる。
【0050】なお、本発明は、上述の実施形態に限定さ
れるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0051】(1)上述の実施形態における位置決め機
構14は、第2回転軸3の凸軸部3bに形成した周溝3
fとこれに装着されるC形止め輪20とで構成されてい
たが、図7および図8で示すように、さらに、第2回転
軸3の周溝3f内において止め輪20と隣り合わせで弾
性変形した状態で弾性体として例えばC形金属製波形ワ
ッシャ21を嵌入して、周溝3fとC形止め輪20との
軸方向幅の差によって発生する周溝3f内の軸方向隙間
をそのワッシャ21で詰めるようにしてもよい。この場
合、周溝3fとC形止め輪2とには前記テーパ面は形成
されていない。
【0052】この実施形態の場合、周溝3fやC形止め
輪20の軸方向幅について寸法公差のばらつきがあっ
て、C形止め輪20と第1回転軸2の底壁部2bの内側
面2eとの間に隙間があっても、その隙間がワッシャ2
1で詰められ、その弾性力で第1回転軸2を第2回転軸
3の方向に引き寄せる力が作用している結果、従来とは
異なって、第1回転軸2の軸方向に対するがたつきがな
くなって、第1回転軸2のフランジ2aとカムプレート
4の両対向面のカム溝8,9の径方向隙間を常に所要の
状態に高精度に維持できボールカム機構7による円滑な
クラッチ動作が可能となる。
【0053】(2)上述の実施形態における位置決め機
構14は、第2回転軸3の凸軸部3bに形成した周溝3
fとこれに装着されるC形止め輪20とで構成されてい
たが、図9および図10で示すように、さらに、第2回
転軸3の周溝3f内において止め輪20と隣り合わせで
嵌入されて、周溝3fとC形止め輪20との軸方向幅の
差によって発生する周溝3f内の軸方向隙間をくさび部
材として例えばC形シム22で詰めるようにしてもよ
い。この場合、周溝3fとC形止め輪2とには前記テー
パ面は形成されていない。
【0054】この実施形態の場合、周溝3fやC形止め
輪20の軸方向幅について寸法公差のばらつきがあっ
て、C形止め輪20と第1回転軸2の底壁部2bの内側
面2eとの間に隙間があっても、その隙間がシム21で
詰められ、第1回転軸2を第2回転軸3の方向に引き寄
せる力が作用している結果、従来とは異なって、第1回
転軸2の軸方向に対するがたつきがなくなって、第1回
転軸2のフランジ2aとカムプレート4の両対向面のカ
ム溝8,9の径方向隙間を常に所要の状態に高精度に維
持できボールカム機構7による円滑なクラッチ動作が可
能となる。
【0055】なお、このC形シム22の組み込みは、ま
ず、C形止め輪20だけの場合の軸方向のがたを計測
し、その計測に対応して1枚ないし複数枚のC形シム2
2を組み込む。
【0056】(3)上述の実施形態におけるクラッチハ
ウジング1は、そのクラッチ装置Aを相手部品に取り付
けるためのフランジ1cを外周面に設けているが、この
フランジ1cを、図11で示すように省略し、相手部品
に対してその外周面を圧入結合させる形態としてもよ
い。この場合、フランジ1cの削除により内径円錐面の
加工基準となる第1回転軸2外周面の研削にセンタレス
研削盤の使用が可能となり、また、第1回転軸2として
通常の安価なパイプ材の使用が可能となり、さらに、第
1回転軸2の加工に際してそれを保持しやすい、さらに
またころ軸受の外輪の製造設備など既存設備で第1回転
軸2を製造できるなど、により加工コストの大幅な低減
が可能となって好ましい。
【0057】(4)本発明のクラッチ装置は、例えば、
無断変速機や、電動パワーステアリング、その他の機械
装置類に応用することができる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明による場合、いずれ
か一方の回転体が、固定摩擦部材に転がり軸受を介して
支持され、この一方回転体に対して他方回転体が、相対
回転可能に支持されており、前記一方回転体に対する他
方回転体の支持部に、前記他方回転体を一方回転体の方
向に引き寄せて軸方向で位置決めする位置決め機構が設
けられているから、一方回転体に対する他方回転体の支
持部において、軸方向の支持に関して寸法公差のばらつ
きがあっても、位置決め機構により他方回転体を一方回
転体の方向に引き寄せて軸方向で位置決めして、例えば
カム機構における対向カム溝間の径方向隙間を常に所要
の状態に詰めることが可能となって、カム機構による円
滑なクラッチ動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力非伝達状態にある本発明の実施形態のクラ
ッチ装置の側面断面図
【図2】動力伝達状態にある本発明の実施形態のクラッ
チ装置の側面断面図
【図3】図1のクラッチ装置の要部拡大図
【図4】図1の要部斜視図
【図5】(a)図1の第1回転軸とカムプレートとのカ
ム溝を側面から見た要部拡大断面図、(b)図2の第1
回転軸とカムプレートとのカム溝を側面から見た要部拡
大断面図
【図6】図5(a)と図5(b)とを合わせた図
【図7】動力非伝達状態にある本発明の他の実施形態の
クラッチ装置の側面断面図
【図8】図7の要部拡大図
【図9】動力非伝達状態にある本発明の他の実施形態の
クラッチ装置の側面断面図
【図10】図9の要部拡大図
【図11】動力非伝達状態にある本発明のさらに他の実
施形態のクラッチ装置の側面断面図
【図12】動力非伝達状態にある従来のクラッチ装置の
側面断面図
【符号の説明】
1 クラッチハウジング 1a 固定接触面 1b 軸受取り付け面 2 第1回転軸 2a フランジ 2b 底壁部 2c 円筒部 2d 貫通孔 2e 内側面 3 第2回転軸 3a 一方側軸部 3b 凸軸部 3c スプライン歯 3f 周溝 4 カムプレート 4a 可動接触面 4b スプライン歯 5 円錐コイルばね 7 ボールカム機構 8 カム溝 9 カム溝 14 位置決め機構 20 止め輪 20a 一側面 20b 他側面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸状に向け合わせて配設された二つの
    回転体の動力伝達間に介装され、かつ、第1回転体に回
    転動力が入力されたときは両回転体を同期回転可能に結
    合する一方、第2回転体に回転動力が入力されたときは
    第2回転体を非回転状態とし第1回転体と分離するクラ
    ッチ装置であって、 第1回転体に対して軸方向で対向配設されるとともに、
    第2回転体と同期回転可能でかつ軸方向変位可能に取り
    付けられる可動摩擦部材と、 可動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動摩擦部材が
    圧接または離隔する位置に固定配置される固定摩擦部材
    と、 第1回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定摩擦部
    材から離隔させて第1回転体と可動摩擦部材と第2回転
    体との三者を一体にして両回転体を同期回転可能に結合
    する一方、第2回転体が回転したときに可動摩擦部材を
    固定摩擦部材に圧接させて第2回転体と可動摩擦部材と
    固定摩擦部材との三者を一体にして第2回転体を非回転
    状態にするカム機構と、 を含み、 前記いずれか一方の回転体が、固定摩擦部材に転がり軸
    受を介して支持され、この一方回転体に対して他方回転
    体が、相対回転可能に支持されており、 前記一方回転体に対する他方回転体の支持部に、前記他
    方回転体を一方回転体の方向に引き寄せて軸方向で位置
    決めする位置決め機構が設けられている、ことを特徴と
    するクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1のクラッチ装置において、 いずれかの回転体が有底円筒形に形成されていて、この
    回転体の底壁部の中心に円筒部内径より小径の貫通孔が
    設けられ、また、残りの回転体に前記貫通孔に対して相
    対回転可能に貫通挿入される凸軸部が設けられており、 前記位置決め機構が、 前記貫通孔に貫通挿入される凸軸部において貫通孔より
    円筒部側へ突出された部分の外周に設けられる周溝と、 この周溝にくさび状に係入されて一側面が前記底壁部の
    内側面に当接するとともに他側面の内径部が前記周溝の
    開口縁に当接する状態とされるくさび状止め輪と、 で構成されている、ことを特徴とするクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1のクラッチ装置において、 いずれかの回転体が有底円筒形に形成されていて、この
    回転体の底壁部の中心に円筒部内径より小径の貫通孔が
    設けられ、また、残りの回転体に前記貫通孔に対して相
    対回転可能に貫通挿入される凸軸部が設けられており、 前記位置決め機構が、 前記貫通孔に貫通挿入される凸軸部において貫通孔より
    円筒部側へ突出された部分の外周に設けられる周溝と、 この周溝内に所要の隙間を持つ状態で嵌入される止め輪
    と、 前記周溝内において前記止め輪と隣り合わせで弾性変形
    した状態で嵌入されて周溝内の隙間を詰める弾性体と、 で構成されている、ことを特徴とする構成クラッチ装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1のクラッチ装置において、 いずれかの回転体が有底円筒形に形成されていて、この
    回転体の底壁部の中心に円筒部内径より小径の貫通孔が
    設けられ、また、残りの回転体に前記貫通孔に対して相
    対回転可能に貫通挿入される凸軸部が設けられており、 前記位置決め機構が、 前記貫通孔に貫通挿入される凸軸部において貫通孔より
    円筒部側へ突出された部分の外周に設けられる周溝と、 この周溝内に所要の隙間を持つ状態で嵌入される止め輪
    と、 前記周溝内において前記止め輪と隣り合わせで嵌入され
    て周溝内の隙間を詰めるくさび部材と、 で構成されている、ことを特徴とする構成クラッチ装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007533930A (ja) * 2004-04-21 2007-11-22 ボーグワーナー・インコーポレーテッド 波形の止め輪付きパワー伝達装置
CN103994158A (zh) * 2014-06-09 2014-08-20 北京航空航天大学 一种双向离合器
CN112805485A (zh) * 2018-08-08 2021-05-14 C法尔克远程遥控公司 包括释放触发机构的转矩限制离合器
CN114704544A (zh) * 2022-03-28 2022-07-05 安徽孺子牛轴承有限公司 一种耐轴向冲击的深沟球轴承及其工作方法

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