JP2002081467A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2002081467A
JP2002081467A JP2000271297A JP2000271297A JP2002081467A JP 2002081467 A JP2002081467 A JP 2002081467A JP 2000271297 A JP2000271297 A JP 2000271297A JP 2000271297 A JP2000271297 A JP 2000271297A JP 2002081467 A JP2002081467 A JP 2002081467A
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movable friction
clutch device
spring
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JP2000271297A
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English (en)
Inventor
Norio Usuki
功雄 臼杵
Masahiro Inoue
昌弘 井上
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】起動トルクが小さくて、大きな動力伝達が可能
なクラッチ装置を提供する。 【解決手段】第一回転軸2に回転動力が入力されたとき
にこれを第二回転軸3に対して同期回転可能に結合し、
第二回転軸に回転動力が入力されたときに第二回転軸を
非回転状態として第一回転軸と分離するクラッチ装置で
あって、環状プレート4を前進させる方向に弾発付勢す
るバネ5と、環状プレートがバネを圧縮して後退された
ときにバネを受け止めて環状プレートを制止させるスト
ッパ20とを含み、バネのバネ力を小さく設定して起動
トルクを小さくし、また、バネのバネ力を小さく設定し
てもストッパにより環状プレートの後退を制止しカム溝
13,14間のクラッチ用玉12の乗り上げを防止する
ことにより大きな動力伝達を可能とした構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置に関
する。このクラッチ装置は、同軸上に対向配設される第
一回転体と第二回転体とを有し、第一回転体に回転動力
が入力されたときに両回転体を同期回転可能に結合する
一方、第二回転体に回転動力が入力されたときに第二回
転体を非回転状態として第一回転体と分離するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、特願平2000−222
170号でこの種のクラッチ装置を提案している。
【0003】このクラッチ装置について図11を参照し
て説明すると、1は円筒ケース、2は、第一回転軸、3
は、第二回転軸、4は、環状プレート、5は、円錐コイ
ルバネ、6は、転がり軸受である。
【0004】第一回転軸2のフランジ2aと環状プレー
ト4の両対向面にカム溝13,14が振り分けられて設
けられている。両カム溝13,14にはクラッチ用玉1
2が収納されている。環状プレート4は、円錐コイルバ
ネ5により周方向他方へ弾発付勢されている。環状プレ
ート4の外周は、軸方向他方へ漸次縮径するテーパコー
ン面4aを有し、また、円筒ケース1内周の環状プレー
ト4に対応する領域にも軸方向他方へ漸次縮径するテー
パコーン面1aが形成されている。
【0005】このようなクラッチ装置は、クラッチ動作
の安定に必要な円筒ケース1と環状プレート4の両テー
パコーン面1a,4aの接触状態と転がり軸受6の取り
付け強度とを確保可能としつつクラッチ装置の径方向寸
法の小型化を図るために、第一回転軸2を、円筒ケース
1に対して転がり軸受6を介して、また、第二回転軸3
を、C形止め輪10で第一回転軸2に対して相対回転可
能に支持している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記クラッチ装置の場
合、カム溝13,14内に収納したクラッチ用玉12の
転動により、環状プレート4を円錐コイルバネ5のバネ
力に抗して軸方向一方へ変位させ、第一回転軸2と環状
プレート4と第二回転軸3との三者が一体結合して第一
回転軸2から第二回転軸3への動力伝達状態とする。
【0007】上記において大きな動力を伝達させる場
合、環状プレート4のカム溝14にはクラッチ用玉12
から大きな転動力が作用して環状プレート4は後退変位
させられるが、その転動力にくらべて円錐コイルバネ5
のバネ力が不足していると、環状プレート4が必要以上
に後退変位されて両カム溝13,14間が広げられてク
ラッチ用玉12が両対向面間に乗り上がってしまうおそ
れがある。
【0008】一方、円錐コイルバネ5のバネ力を大きく
設定した場合、環状プレート4の軸方向一方への必要以
上の変位を制止してクラッチ用玉12の前記乗り上げを
防止して大きな動力を伝達可能とすることができるが、
円筒ケース1と環状プレート4の両テーパコーン面1
a,4aが円錐コイルバネ5のバネ力で強く圧接してお
り、そのため両テーパコーン面1a,4aを離隔させる
のに第一回転体には大きな起動トルクが要求される。
【0009】上記クラッチ装置の場合、円錐コイルバネ
5のバネ力を起動トルクを小さくする一方で、大きな動
力伝達を可能とするように設定することが難しい。
【0010】したがって、本発明は、クラッチ装置にお
いて、バネのバネ力を過不足なく適正に設定する必要な
く、小さい起動トルクでもって起動可能である一方、大
きな動力伝達を可能とすることを解決すべき課題として
いる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のクラッチ装置
は、同軸状に配設された二つの回転体を有し、かつ、第
一回転体に回転動力が入力されたときに両回転体を同期
回転可能に結合する一方、第二回転体に回転動力が入力
されたときに第二回転体を非回転状態として第一回転体
と分離するクラッチ装置であって、第一回転体に対して
軸方向で対向配設されるとともに、第二回転体と同期回
転可能かつ軸方向変位可能に取り付けられた可動摩擦部
材と、前記可動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動
摩擦部材が圧接または離隔する位置に固定配置される固
定摩擦部材と、第一回転体の回転により可動摩擦部材を
後退させて固定摩擦部材から離隔させることにより第一
回転体と可動摩擦部材と第二回転体との三者を一体にし
て両回転体を同期回転可能に結合して動力伝達状態とす
る一方、第二回転体が回転したときに可動摩擦部材を前
進させて固定摩擦部材に圧接させることにより第二回転
体と可動摩擦部材と固定摩擦部材との三者を一体にして
第二回転体を非回転状態とするカム機構と、可動摩擦部
材を前進させる方向に弾発付勢する弾性部材と、前記可
動摩擦部材が前記弾性部材を圧縮して後退されたときに
前記弾性部材を受け止めて前記可動摩擦部材を制止させ
るストッパとを含むことを特徴とする。
【0012】この場合、前記弾性部材はバネが好ましい
が、これに限定されるものではなく弾性を有する部材で
あればよい。
【0013】このクラッチ装置によると、弾性部材例え
ばバネのバネ力を小さく設定すると、小さい起動トルク
で第一回転体を回転させて可動摩擦部材を後退させるこ
とができる。そして、前記により可動摩擦部材が後退し
てバネが圧縮されるが、この弾性部材は、ストッパで受
け止められて可動摩擦部材の後退が制止されるから、カ
ム機構の動作に影響を与えることがなくなり、これによ
って、小さいバネ力の設定でも大きな動力伝達が可能と
なる。
【0014】上記弾性部材を、コイルバネまたは皿バネ
とし、これを可動摩擦部材の後退側で第二回転体の外周
に外装した場合、軸方向に短いバネ長の形態でありなが
ら、可動摩擦部材を前進させる方向に有効に弾発付勢さ
せやすい配置となり、しかも、可動摩擦部材の僅かの軸
方向一方への後退でも圧縮量としては大きくなり、可動
摩擦部材を軸方向他方に変位復帰させやすくクラッチ動
作の感度を高められる。
【0015】上記弾性部材を、円錐コイルバネとした場
合、コイルバネや皿バネとした場合の上述の効果に加え
て、皿バネと比較して小さいバネ定数が設定できるか
ら、バネのたわみ量に対する可動摩擦部材に対する弾発
付勢荷重の変化が少なく済んで好ましい。
【0016】上記バネの巻数を、その内径側から少なく
とも2巻分有したものとし、かつ、軸方向から可動摩擦
部材を受け止める外形寸法とした場合、バネの材料コス
トがその分、低減することができる一方で、そのバネの
バネ力を小さく設定して起動トルクを小さくする一方
で、大きな動力伝達を可能とすることができるので好ま
しい。
【0017】上記ストッパを第二回転体の外周に対して
固定状態で取り付けられる歯車、軸、軸受などの環状部
材で構成しても、上述と同様の作用効果を有する一方、
クラッチ装置に備わっている環状部材をそのままストッ
パとして利用する形態として、わざわざ専用のストッパ
を設ける必要をなくすことができ、全体の軽量化、材料
コストの低減化を図れて好ましい。
【0018】上記ストッパを、第二回転体の外周に対し
これと一体回転可能に取り付けられた歯車と、この歯車
の外周に固定されて前記バネを軸方向で受ける環状部材
とで構成した場合、歯車の外周を環状部材の取り付けス
ペースとして利用する形態であるから全体のコンパクト
化を図れて好ましい。
【0019】上記環状部材を固定摩擦部材との間で微小
隙間からなる非接触密封部を形成した場合、環状部材に
上記機能に加えて固定摩擦部材内部の密封機能を与えら
れるから、クラッチ性能をより長期に維持できるように
なるとともに、固定摩擦部材の密封のための別部材の付
加が不要になってコスト低減に貢献することができて好
ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図面に示す
実施形態に基づいて説明する。
【0021】図1ないし図4を参照して本発明の実施形
態に係るクラッチ装置について説明する。図1は、動力
遮断状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図2は、
動力伝達状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図3
は、クラッチ装置の分解斜視図、図4(a)は図1の要
部拡大図、図4(b)は図2の要部拡大図である。ただ
し、図3において、転がり軸受の図示は省略されてい
る。
【0022】図例のクラッチ装置Aは、円筒ケース1
と、第一回転軸2と、第二回転軸3と、環状プレート4
と、円錐コイルバネ5と、第一転がり軸受6と、カム機
構7と、第二転がり軸受8とを有する。
【0023】円筒ケース1は、固定摩擦部材の一例とし
て、環状プレート4の外周を囲む形態でこれと同心状に
図外のクラッチ装置取付壁に回転不可能に固定配置さ
れ、その内周面の内周所要領域に第一回転軸2へ向けて
漸次縮径するテーパコーン面1aを、また、この領域と
軸方向他方側で隣接する内周所要領域に軸受取付面1b
を備えた筒体構造となっている。
【0024】第一回転軸2は、第一回転体として、図外
のモータ等の動力源により回転駆動されるものであっ
て、軸方向一方軸端側の外周面に環状のカムプレート2
aが一体に形成され、また、その端面にD形の軸挿入孔
2bが形成されているとともに、転がり軸受6を介して
円筒ケース1に支持されている。
【0025】第二回転軸3は、第二回転体として、第一
回転軸2と同軸状に対向配置されており、その軸方向一
方の軸部3aが円筒ケース1外に延び、軸方向他方の軸
部3bが円筒ケース1内において第一回転軸2の軸挿入
孔2bに嵌入されて相対回転可能に支持されており、C
形止め輪10を介して第一回転軸2に位置決めされてい
る。
【0026】環状プレート4は、可動摩擦部材の一例と
して、径方向の外周面に第一回転軸2へ向けて漸次縮径
するテーパコーン面4aを有しており、円筒ケース1の
テーパコーン面1aと対向する位置において円筒ケース
1と同心状に配設された環状板構造となっている。
【0027】環状プレート4はまた、第二回転軸3の嵌
入穴を有し、その嵌入穴内周壁に第二回転軸3の外周面
に形成されたプライン歯3cに嵌合するスプライン歯4
bを備え、両スプライン歯3c,4bの嵌合で第二回転
軸3の外周に対して同期回転可能で、かつ、軸方向変位
可能に取り付けられている。
【0028】転がり軸受6は、内輪6a、外輪6b、玉
6c、保持器6dおよびシール6eを備えた単列深溝玉
軸受であって、内輪6aが、第一回転軸2の外周面に外
嵌固定され、外輪6bが円筒ケース1の軸受取付面2b
に内嵌されて取り付けられる。つまり、転がり軸受6
は、円筒ケース1の軸受取付面2bと第一回転軸2の外
周との間に締まり嵌めされている。
【0029】カム機構7は、第一回転軸2が非回転時ま
たは所要回転数未満のときにおいて環状プレート4を前
進させて円筒ケース1に対して圧接させることにより第
2回転軸3を回転不可能なロック状態にする一方で、第
一回転軸2が所要回転数以上のときに環状プレート4を
後退させて円筒ケース1から離隔させることにより両回
転軸2,3を同期回転可能な動力伝達状態に結合するも
のである。
【0030】カム機構7は、カムプレート2aと、環状
プレート4と、クラッチ用玉12とを含むものであっ
て、カムプレート2aと環状プレート4の両対向面にそ
れぞれ一対のカム溝13,14が設けられており、クラ
ッチ用玉12は、両カム溝13,14間にそれぞれ1つ
ずつ介装されている。
【0031】カム溝13,14は、周方向中心から周方
向両側に向けて深さが浅くなるすり鉢状に形成されてお
り、クラッチ用玉12が、両カム溝13,14内を周方
向に転動することで環状プレート4を軸方向に変位させ
てそのテーパコーン面4aを円筒ケース1のテーパコー
ン面1aに対して圧接または離隔させる。
【0032】円錐コイルバネ5は、弾性部材の一例とし
て、環状プレート4と、第2回転軸3の外周面の周溝3
dに係入されたE形止め輪11との間に圧縮状態で介装
されており、環状プレート4のテーパコーン面4aを円
筒ケース1のテーパコーン面1aに対して圧接させるよ
う、環状プレート4をカム機構7のカムプレート2a側
へ弾発付勢する。
【0033】上記クラッチ装置Aの動作について説明す
る。
【0034】環状プレート4は、円錐コイルバネ5によ
りカム機構7のカムプレート2a側へ弾発付勢されてお
り、そのテーパコーン面4aが、円筒ケース1のテーパ
コーン面1aに圧接されているときは、第二回転軸3
は、その回転をロックされて非回転状態となっている。
この状態では図4(a)で示すように、クラッチ用玉1
2は、カム溝13,14の軸方向最深の周方向中心13
a0,14a0間に位置している。
【0035】この状態から、第一回転軸2が図外のモー
タ等の動力源で回転駆動されると、カムプレート2aと
環状プレート4の両対向面間のカム溝13,14の互い
に逆方向のすり鉢状斜面13a2、14a2間を図4
(a)から図4(b)で示すようにクラッチ用玉12が
周方向に転動する。このすり鉢状斜面13a2、14a
2においては、図4(a)(b)で示すように一方のす
り鉢状斜面13a2は周方向他方へ向けて、また他方の
すり鉢状斜面14a2は周方向一方へ向けてそれぞれ深
さが浅くなっているので、環状プレート4は、円錐コイ
ルバネ5に抗して、カムプレート2aより軸方向一方に
向けて変位させられ、これによって、環状プレート4の
テーパコーン面4aが、円筒ケース1のテーパコーン面
1aから離隔する。そして、クラッチ用玉12が、図4
(b)で示すようにすり鉢状斜面13a2、14a2の
両側間で軸方向に挟まれた状態になる。
【0036】このようにクラッチ用玉12がすり鉢状斜
面13a2、14a2の両側間で軸方向に挟まれた状態
になると、環状プレート4は、第一回転軸2の周方向一
方の回転動力で、それと同方向に回転し、これととも
に、第二回転軸3も同方向に回転させられて、第一回転
軸2の回転動力が伝達されることになる。
【0037】また、第一回転軸2が、上記と逆方向に回
転駆動された場合は、クラッチ用玉12は、すり鉢状斜
面13a1、14a1間を転動し、そのすり鉢状斜面1
3a1、14a1の両側間で軸方向に挟まれた状態にな
って、環状プレート44は、第一回転軸2の周方向他方
の回転動力で、それと同方向に回転し、これとともに、
第二回転軸3も同方向に回転させられて、第一回転軸2
の回転動力が伝達されることになる。このようにして回
転動力はいずれの回転方向にも伝達される。
【0038】次に、本実施の形態のクラッチ装置Aの特
徴について説明する。
【0039】第一回転軸2が回転し、両カム溝13,1
4内のクラッチ用玉12の転動により、環状プレート4
が軸方向一方へ変位してそのテーパコーン面4aが、円
筒ケース1のテーパコーン面1aから離隔した状態にお
いては、円錐コイルバネ5は、環状プレート4により軸
方向に圧縮された状態にある。
【0040】本実施形態では、上述のように環状プレー
ト4が円錐コイルバネ5を圧縮して後退されたときに円
錐コイルバネ5を受け止めて環状プレート4を制止する
ストッパ20を有している。
【0041】この場合、円錐コイルバネ5は、その巻数
がその内径側から少なくとも2巻分有し、軸方向から環
状プレート4を受け止める外形寸法を有していればよ
い。
【0042】ストッパ20は、E形止め輪11と、歯車
21と、環状部材22とを備えて構成されている。
【0043】歯車21は、外周に歯車面を備えた大径部
分21aとこの大径部分21aに対して環状プレート4
側に隣接する小径部分21bとを備えて第二回転軸3の
外周に対しこれと一体回転可能に取り付けられている。
【0044】環状部材22は、歯車21の小径部分21
bの外周に圧入により固定されて円錐コイルバネ5を軸
方向で受け止める。環状部材22は、円筒ケース1との
間で微小隙間からなる非接触密封部を形成している。
【0045】この場合、E形止め輪11および歯車21
は、必ずしもストッパ20における必須要素とはならな
い。なお、歯車21は、第二回転軸3外周面とスプライ
ン結合して第二回転軸3と一体回転可能になっている。
【0046】上記構成により、カム溝13,14内に介
装したクラッチ用玉12の転動により、環状プレート4
が円錐コイルバネ5のバネ力に抗して後退させられ、第
一回転軸2と環状プレート4と第二回転軸3との三者が
一体結合して第一回転軸2から第二回転軸3へ動力が伝
達されている状態においては、円錐コイルバネ5にスト
ッパ20が密着するから、円錐コイルバネ5のバネ力が
小さくても、環状プレート4は、ストッパ20により制
止されてそれ以上に軸方向一方へ変位できない。この場
合、クラッチ用玉12が、両カム溝13,14外に抜け
出てカムプレート2aと環状プレート4の両対向面間に
乗り上げるには、環状プレート4が円錐コイルバネ5を
軸方向一方へ圧縮するよう後退して両対向面間にクラッ
チ用玉12が入り込む隙間が生じることが必要となる。
しかしながら、環状プレート4は、ストッパ20の制止
により両対向面間にクラッチ用玉12が入り込む隙間を
生じさせるように後退することができず、クラッチ用玉
12の乗り上げが防止されることになる。
【0047】したがって、本実施形態の場合、円錐コイ
ルバネ5のバネ力を小さく設定しても、環状プレート4
の後退をストッパ20により制止して、クラッチ用玉1
2の乗り上げを防止し大きな動力伝達が可能となり、ま
た、バネ力を小さく設定することで、円筒ケース1と環
状プレート4の両テーパコーン面1a,4aのロック力
が小さくて済むから、環状プレート4を円筒ケース1か
ら離隔させるために起動トルクも小さくて済む。
【0048】なお、本発明は、上述の実施形態に限定さ
れるものではなく、種々な応用や変形が可能である。
【0049】(1)上述の実施形態の環状部材22の場
合、軸方向肉厚がほぼ均等な比較的薄肉のプレート構造
であったが、図5の環状部材22aで示すように、外径
側にくらべて内径側における軸方向肉厚を厚肉にして歯
車21の小径部分21bの外周に対する環状部材22a
の圧入力を増大してその固定状態を高めてもよい。
【0050】(2)上述の実施形態の場合、環状部材2
2は、歯車21の小径部分21bの外周に対して圧入で
固定されているが、図6で示すようにその小径部分21
bに環状の凸部21cを設け、この凸部21cで環状部
材22を受け止めるようにして当該環状部材22をその
小径部分21bに突き当てた形態とし、これによって、
円錐コイルバネ5を介して環状プレート4からの軸方向
一方への押し込みに抗し得る形態にして環状部材22の
固定状態を高めて環状プレート4に対する制止機能を増
大させるようにしてもよい。
【0051】(3)上述の実施形態の場合、環状部材2
2aは、歯車21の小径部分21bに対して圧入で固定
されているが、図7で示すように環状部材22aの内径
側を歯車21の大径部分21aと小径部分21bとの段
差壁21dに当接させた形態とすることで円錐コイルバ
ネ5を介して環状プレート4からの軸方向一方への押し
込みに抗し得る形態にして前記(2)と同様の作用効果
を得るようにしてもよい。
【0052】(4)上述の実施形態の場合、バネとして
円錐コイルバネ5を用いているが、図8で示すように、
皿バネ5aを用いてもよく、また、通常のコイルバネを
用いても同様に実施できる。
【0053】(5)上述の実施形態のストッパ20と異
なり,図9で示すような大径の環状部材からなるストッ
パ20aを第二回転軸3の周溝3dに嵌着してもよい。
【0054】このストッパ20aとしては、例えば歯車
またはE形止め輪または転がり軸受で構成してもよい。
このストッパ20aの場合、円錐コイルバネ5に対して
その内径側から径方向1/2以上の外径寸法を有してい
るのが好ましい。
【0055】(6)上述の実施形態の場合、図10
(a)のクラッチ装置Aの要部拡大図で示すように、第
二回転軸3の周溝3dに対して円錐コイルバネ5を受け
止めるE形止め輪11が係入されていて、歯車21の軸
方向一方の端面21dは周溝3dの一方の内壁面と径方
向に面一に合わせた状態で取り付けられている。このよ
うな場合、仮に歯車21の第二回転軸3に対する位置決
め精度が低くて歯車21が仮想線で示される位置に取り
付けられてしまうと、E形止め輪11が、円錐コイルバ
ネ5で軸方向一方に押されて仮想線で示すように外径側
が軸方向一方へ曲がるように変形する可能性がある。こ
のようにE形止め輪11が変形すると、環状プレート4
に対する円錐コイルバネ5の弾発付勢力が変化して好ま
しくない。
【0056】そこで、図10(b)で示すように、歯車
21の端面21dを周溝3dの軸方向両内壁面間に位置
付けるとともに、その端面21dに対してE形止め輪1
1を当接させるように設定する。なお、図10(a)
(b)に示されている第二転がり軸受8において、8a
は内輪、8bは外輪であってこの外輪8bは固定部位B
に固定されている。
【0057】こうした場合、歯車21の第二回転軸3に
対する位置決め精度が低くて歯車21の端面21dが軸
方向一方へずれても、歯車21の端面21dが周溝3d
の軸方向両内壁面間に位置している限り、E形止め輪1
1は前記端面21dに当接するから、円錐コイルバネ5
によりE形止め輪11が軸方向一方に曲げられて変形す
るおそれがなくなり、環状プレート4に対する円錐コイ
ルバネ5の弾発付勢力をほぼ一定に維持させることが可
能となって好ましい。
【0058】(7)上述の実施形態のクラッチ装置は、
例えば、無断変速機や、電動パワーステアリング、その
他の機械装置類に応用することができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によると、同軸状に
配設された二つの回転体を有し、かつ、第一回転体に回
転動力が入力されたときに両回転体を同期回転可能に結
合する一方、第二回転体に回転動力が入力されたときに
第二回転体を非回転状態として第一回転体と分離するク
ラッチ装置であって、第一回転体に対して軸方向で対向
配設されるとともに、第二回転体と同期回転可能かつ軸
方向変位可能に取り付けられた可動摩擦部材と、前記可
動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動摩擦部材が圧
接または離隔する位置に固定配置される固定摩擦部材
と、可動摩擦部材を前進させる方向に弾発付勢するバネ
と、可動摩擦部材がバネを圧縮して後退されたときに前
記バネを受け止めて可動摩擦部材を制止させるストッパ
とを含むから、そのバネ力を小さく設定しても可動摩擦
部材が後退して圧縮されたバネをストッパで受け止めて
可動摩擦部材の後退を制止できるから、小さいバネ力設
定でも大きな動力伝達が可能となる一方、前記バネのバ
ネ力を小さく設定することにより小さい起動トルクで第
一回転体を回転させて可動摩擦部材を後退させられる。
【0060】したがって、本発明の場合、起動トルクが
小さくて、大きな動力伝達が可能なクラッチ装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る動力非伝達状態のクラ
ッチ装置の側面断面図
【図2】本発明の実施形態に係る動力伝達状態のクラッ
チ装置の側面断面図
【図3】クラッチ装置の分解斜視図
【図4】(a)図1の要部拡大図、(b)図2の要部拡
大図
【図5】本発明の他の実施形態に係るクラッチ装置の側
面断面図
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るクラッチ装
置の側面断面図
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るクラッチ装
置の側面断面図
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るクラッチ装
置の側面断面図
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係るクラッチ装
置の側面断面図
【図10】(a)図1のクラッチ装置の要部拡大図、
(b)本発明のさらに他の実施形態に係るクラッチ装置
の要部拡大図
【図11】従来例に係るクラッチ装置の側面断面図
【符号の説明】
1 円筒ケース(固定摩擦部材) 1a 円筒ケースのテーパコーン面 1b 軸受取付面 2 第一回転軸(第一回転体) 3 第二回転軸(第二回転体) 4 環状プレート(可動摩擦部材) 4a 環状プレートのテーパコーン面 5 円錐コイルバネ 6 転がり軸受 11 E形止め輪 20 ストッパ 21 歯車 22 環状部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸状に配設された二つの回転体を有
    し、かつ、第一回転体に回転動力が入力されたときに両
    回転体を同期回転可能に結合する一方、第二回転体に回
    転動力が入力されたときに第二回転体を非回転状態とし
    て第一回転体と分離するクラッチ装置であって、 第一回転体に対して軸方向で対向配設されるとともに、
    第二回転体と同期回転可能かつ軸方向変位可能に取り付
    けられた可動摩擦部材と、 前記可動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動摩擦部
    材が圧接または離隔する位置に固定配置される固定摩擦
    部材と、 第一回転体の回転により可動摩擦部材を後退させて固定
    摩擦部材から離隔させることにより第一回転体と可動摩
    擦部材と第二回転体との三者を一体にして両回転体を同
    期回転可能に結合して動力伝達状態とする一方、第二回
    転体が回転したときに可動摩擦部材を前進させて固定摩
    擦部材に圧接させることにより第二回転体と可動摩擦部
    材と固定摩擦部材との三者を一体にして第二回転体を非
    回転状態とするカム機構と、 可動摩擦部材を前進させる方向に弾発付勢する弾性部材
    と、 可動摩擦部材が前記弾性部材を圧縮して後退されたとき
    に前記弾性部材を受け止めて前記可動摩擦部材を制止さ
    せるストッパと、 を含むことを特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1のクラッチ装置において、 前記弾性部材が、可動摩擦部材の後退側で第二回転体の
    外周に外装されるコイルバネまたは皿バネからなる、こ
    とを特徴とするクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1のクラッチ装置において、 前記弾性部材が、可動摩擦部材の後退側で第二回転体の
    外周に外装される円錐コイルバネからなる、ことを特徴
    とするクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3または4のクラッチ装置におい
    て、 前記バネからなる弾性部材が、その巻数がその内径側か
    ら少なくとも2巻分有したものとされ、かつ、軸方向か
    ら可動摩擦部材を受け止める外形寸法を有している、こ
    とを特徴とするクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4いずれかのクラッチ装
    置において、 前記ストッパが、第二回転体の外周に対して固定状態で
    取り付けられた、歯車、軸受および止め輪の少なくとも
    いずれか1つの環状部材からなる、ことを特徴とするク
    ラッチ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4いずれかのクラッチ装
    置において、 前記ストッパが、第二回転体の外周に対しこれと一体回
    転可能に取り付けられた歯車と、この歯車の外周に固定
    されて前記バネを軸方向で受ける環状部材とを含む、こ
    とを特徴とするクラッチ装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6のクラッチ装置におい
    て、 前記環状部材が、固定摩擦部材との間で微小隙間からな
    る非接触密封部を形成する、ことを特徴とするクラッチ
    装置。
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