JP2002037023A - シートベルト巻取り装置 - Google Patents

シートベルト巻取り装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸中心を含む対称中心面を有しない形状の外
歯を有するギアを、スプールに間違って嵌め込むことの
無いような構造のシートベルト巻取り装置を提供する。 【解決手段】 ピニオン２０の内側に設けられた嵌合面
２０ａの凹凸部と、それに嵌合するスプールギア１９の
外周面が、円周方向に傾いており、軸中心を含む対称中
心面を有しない。よって、ピニオン２０のスプール側面
と反スプール側面を裏返しにして嵌め込もうとしても、
ピニオン２０とスプールギア１９が嵌合することが無い
ので、誤った取り付けを防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転するスプール
によりシートベルトを巻き取るシートベルト巻取り装置
であって、当該スプールの軸に、軸中心を含む対称面を
有しない形状の外歯を有するギアが嵌め込まれているも
のに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】乗用車において急激な加減速が発生した
際に乗員を保護するものとしてシートベルトが設けられ
ているが、このシートベルトには、乗用車の衝突等の事
故が予測された場合に、乗員がシートベルトを装着して
いる状態より、さらにシートベルトを巻取り、乗員をシ
ートベルトに強力な力で拘束するためのプリテンショナ
が設けられる場合がある。
【０００３】プリテンショナには、種々の方式のものが
使用されているが、その一つの方式として、パイプの一
端に設けられたガス発生器から発生するガスの圧力によ
り、当該パイプ内に設けられたピストンを介して当該パ
イプ内に設けられたボールを移動させ、当該パイプの他
の一端側に設けられたボール出口から排出されるボール
により、プリテンション用ギアとスプールに結合したギ
アとを係合させてプリテンションギアを回転させること
によりプリテンションをかけるものがある。
【０００４】このような方式のプリテンショナを有する
シートベルト巻取り装置の１例を示す分解斜視図を図３
に示す。図３に示すプリテンショナは、現在開発中のも
のであり、公知のものではない。又、構成部品のうち本
発明の説明に不要と思われるものは図示を省略してい
る。
【０００５】ベースフレーム１の中には、スプール２が
収納されており、スプール２には図示されないシートベ
ルトが巻きつけられている。よって、スプール２の回転
によりシートベルトの巻取り、巻き戻しが行われる。ス
プール２はトーションバー３を軸としており、トーショ
ンバー３の一端は２つのロック機構４、５を介してリテ
ーナ６に支持されている。
【０００６】スプール２の一端にはスプールギア７が設
けられており、リターンスプリングカバー８内のギアと
係合している。よって、スプール２は、リターンスプリ
ングカバー８内のリターンスプリングによって、シート
ベルトを巻き取る方向に付勢されている。
【０００７】このような基本構造を有するシートベルト
巻取り装置に、プリテンショナが設けられている。以
下、プリテンショナの構成を説明する。プリテンショナ
カバー９とプリテンショナープレート１０の間には、パ
イプ１１が設けられており、そのパイプ１１の一端には
ガス発生器１２が取り付けられている。そして、パイプ
１１の内部にはストッパスプリング１３、ピストン１
４、複数のボール１５が設けられている。パイプ１１の
他の端近傍の側方は切り欠かれており、他端にはガイド
ブロック１６が嵌め込まれている。
【０００８】プリテンションカバー９にはそれに形成さ
れた穴に２つのピン１７が嵌め込まれており、それに、
リングギア１８が嵌め込まれて保持されている。すなわ
ち、リングギア１８にも穴が設けられ、それにピン１７
が嵌り込むようになっている。そして、リングギア１８
の外歯とパイプ１１の切り欠かれていない内壁の間にボ
ール１５の最先端のものが挟まって拘束されている。
【０００９】一方、スプール２においては、スプールギ
ア１９にピニオン２０が嵌り込んでいる。通常の状態で
は、リングギア１８とピニオン２０は係合していない
が、後に詳しく説明するように、ガス発生器１２からガ
スが発生した場合には、その圧力により、ピストン１４
を介してボール１５が押され、その力でピン１７が折れ
て、リングギア１８がフリーとなり、ピニオン２０と係
合する。そして、その状態でボール１５に押されてリン
グギア１８が回転し、ピニオン２０を介してスプール２
を回転させる。このようにしてシートベルトにプリテン
ションがかけられる。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】このような構造のシー
トベルト巻取り装置においては、リングギア１８の内歯
とピニオン２０の外歯の係合を容易にするために、両者
の歯を回転方向と逆方向に傾けてある。よって、ピニオ
ン２０の外歯は図４に示すようにピニオン２０の軸（ス
プール２の軸でもある）を含むいかなる面に対しても対
象性を有しない。
【００１１】このようなときに、図４に示すように、ピ
ニオン２０の内側に設けられた、スプールギア１９との
嵌合面２０ａと、スプールギア１９の外形が、これらの
軸を通る所定の面に対して対象であり、かつ、嵌合面２
０ａとスプールギア１９の外形が、これらの中心軸に対
して平行である場合には、ピニオン２０をスプールギア
１９に嵌め込むときにピニオン２０の向きに対して注意
が必要となり、場合によってはピニオン２０を表裏逆と
して嵌め込んでしまう場合がある。このような場合に
は、ピニオン２０の外歯の向きが正規の向きと逆にな
り、リングギア１８の内歯との係合がうまく行われなく
なる。
【００１２】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、特別の注意を払わなくても、この例におけるピ
ニオン２０のような、軸中心を含む対称中心面を有しな
い形状の外歯を有するギアを、スプールに間違って嵌め
込むことの無いような構造のシートベルト巻取り装置を
提供することを課題とする。
【００１３】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第１の手段は、回転するスプールによりシートベルト
を巻き取るシートベルト巻取り装置であって、当該スプ
ールの軸に、軸中心を含む対称中心面を有しない形状の
外歯を有するギアが嵌め込まれており、前記スプールの
軸と前記ギアとの嵌合部は、軸中心を含む対称中心面を
有しない形状とされていることを特徴とするシートベル
ト巻取り装置（請求項１）である。
【００１４】本手段においては、スプールの軸とギアと
の嵌合部は、軸中心を含む対称中心面を有しない形状と
されているので、ギアをスプールに嵌め込む際、ギアの
スプール側と反スプール側を間違えて嵌め込もうとして
も、ギアの穴とスプール軸との形状が一致することが無
く、嵌め込むことができない。よって、特別の注意を払
わなくても取り付け方向を間違えることが無い。
【００１５】前記課題を解決するための第２の手段は、
回転するスプールによりシートベルトを巻き取るシート
ベルト巻取り装置であって、当該スプールの軸に、軸中
心を含む対称面を有しない形状の外歯を有するギアが嵌
め込まれており、前記スプールの軸と前記ギアとの嵌合
部は、スプール側端面と反スプール側端面との中心面に
対して面対称でない形状とされていることを特徴とする
シートベルト巻取り装置（請求項２）である。
【００１６】本手段においても、スプールの軸とギアと
の嵌合部は、スプール側端面と反スプール側端面との中
心面に対して面対称でない形状とされているので、ギア
をスプールに嵌め込む際、ギアのスプール側と反スプー
ル側を間違えて嵌め込もうとしても、ギアの穴とスプー
ル軸との形状が一致することが無く、嵌め込むことがで
きない。よって、特別の注意を払わなくても取り付け方
向を間違えることが無い。
【００１７】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を
図を用いて説明する。図１は本発明の実施の形態の例で
あるピニオン２０（図３におけるピニオン２０に相当す
るものであり、特許請求の範囲及び発明を解決する手段
における「ギア」に相当する）と、スプールギア１９
（図３におけるスプールギア１９に対応するものであ
り、特許請求の範囲及び発明を解決する手段における
「スプールの軸」に対応する）の形状を示したものであ
る。
【００１８】(a)は、ピニオン２０の内側に設けられた
嵌合面２０ａの凹凸部と、それに嵌合するスプールギア
１９の外周面が、円周方向に傾いており、軸中心を含む
対称中心面を有しない。よって、ピニオン２０のスプー
ル側面と反スプール側面を裏返しにして嵌め込もうとし
ても、ピニオン２０とスプールギア１９が嵌合すること
が無いので、誤った取り付けを防止することができる。
【００１９】(b)は、ピニオン２０の内側に設けられた
嵌合面２０ａに１個の凹部２０ｂが設けられている例で
あり、これに対応してスプールギア１９の外周面には嵌
合凸部１９ａが設けられている。これらの凹部２０ｂと
嵌合凸部１９ａは、その左右の端面が、中心軸を通る平
面に対して面対象になっておらず、それ故、軸中心を含
む対称中心面を有しない。よって、ピニオン２０のスプ
ール側面と反スプール側面を裏返しにして嵌め込もうと
しても、ピニオン２０とスプールギア１９が嵌合するこ
とが無いので、誤った取り付けを防止することができ
る。
【００２０】(c)は、ピニオン２０の内側に設けられた
嵌合面２０ａに２個の凹部２０ｃ、２０ｄが設けられて
いる例であり、これに対応してスプールギア１９の外周
面には嵌合凸部１９ｂ、１９ｃが設けられている。そし
て、凹部２０ｃ、嵌合凸部１９ｂの幅ａと、凹部２０
ｄ、嵌合凸部１９ｃの幅ｂとは異なっているので、軸中
心を含む対称中心面を有しない。よって、ピニオン２０
のスプール側面と反スプール側面を裏返しにして嵌め込
もうとしても、ピニオン２０とスプールギア１９が嵌合
することが無いので、誤った取り付けを防止することが
できる。
【００２１】図２は、本発明の実施の形態の他の例であ
るピニオン２０の断面形状を示す図である。ピニオン２
０の内側に設けられた嵌合面２０ａが、軸に対して平行
になっていない例を示すものである。このように、ピニ
オン２０のスプールギア１９との嵌合面を、スプール側
端面と反スプール側端面との中心面に対して面対称でな
い形状とし、スプールギア１９の外面もこれに対応する
形状とすることにより、ピニオン２０のスプール側面と
反スプール側面を裏返しにして嵌め込もうとしても、ピ
ニオン２０とスプールギア１９が嵌合することが無いの
で、誤った取り付けを防止することができる。
【００２２】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、ギアをスプールに嵌め込む際、ギアのスプール側と
反スプール側を間違えて嵌め込もうとしても、ギアの穴
とスプール軸との形状が一致することが無く、嵌め込む
ことができない。よって、特別の注意を払わなくても取
り付け方向を間違えることが無い。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の例であるピニオンと、ス
プールギアの形状を示す図である。
【図２】本発明の実施の形態の他の例であるピニオン２
０の断面形状を示す図である。
【図３】プリテンショナを有するシートベルト巻取り装
置の１例を示す分解斜視図である。
【図４】従来のピニオンとスプールギアの形状を示す図
である。
【符号の説明】 １…ベースフレーム、２…スプール、３…トーションバ
ー、４、５…ロック機構、６…リテーナ、７…スプール
ギア、８…リターンスプリングカバー、９…プリテンシ
ョナカバー、１０…プリテンショナープレート、１１…
パイプ、１２…ガス発生器、１３…ストッパスプリン
グ、１４…ピストン、１５…ボール、１６…ガイドブロ
ック、１７…ピン、１８…リングギア、１９…スプール
ギア、１９ａ、１９ｂ、１９ｃ…嵌合凸部、２０…ピニ
オン、２０ａ…嵌合面、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ…凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金森 靖 東京都港区六本木一丁目４番30号 タカタ 株式会社内 Ｆターム(参考） 3D018 MA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 回転するスプールによりシートベルトを
    巻き取るシートベルト巻取り装置であって、当該スプー
    ルの軸に、軸中心を含む対称中心面を有しない形状の外
    歯を有するギアが嵌め込まれており、前記スプールの軸
    と前記ギアとの嵌合部は、軸中心を含む対称中心面を有
    しない形状とされていることを特徴とするシートベルト
    巻取り装置。
  2. 【請求項２】 回転するスプールによりシートベルトを
    巻き取るシートベルト巻取り装置であって、当該スプー
    ルの軸に、軸中心を含む対称面を有しない形状の外歯を
    有するギアが嵌め込まれており、前記スプールの軸と前
    記ギアとの嵌合部は、スプール側端面と反スプール側端
    面との中心面に対して面対称でない形状とされているこ
    とを特徴とするシートベルト巻取り装置。
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