JP2002031905A - 電子写真用光受容部材、電子写真用光受容部材の評価方法ならびに電子写真装置 - Google Patents

電子写真用光受容部材、電子写真用光受容部材の評価方法ならびに電子写真装置

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JP2002031905A
JP2002031905A JP2001115558A JP2001115558A JP2002031905A JP 2002031905 A JP2002031905 A JP 2002031905A JP 2001115558 A JP2001115558 A JP 2001115558A JP 2001115558 A JP2001115558 A JP 2001115558A JP 2002031905 A JP2002031905 A JP 2002031905A
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Hironori Owaki
弘憲 大脇
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Satoshi Furushima
聡 古島
Makoto Aoki
誠 青木
Hiroaki Niino
博明 新納
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Kunimasa Kawamura
邦正 河村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複写プロセスで使用される様々な光源の広い
波長範囲で最大限の特性が得られ、高精細で、ゴースト
現象のない高品位な画像を再現し、かつ生産効率を高め
ることが可能な光受容部材、その評価方法、電子写真装
置を提供する。 【解決手段】 導電性基体と、シリコン原子を母体と
し、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有するアモ
ルファス材料からなる光導電層とを備え、光受容部材表
面の相対的な移動速度を300mm/sec、その光受
容部材の表面温度を室温とし、光の単位面積当たりのエ
ネルギー量が同一で波長が565nmおよび660nm
の2種類の除電光をその光受容部材に照射したときの、
帯電に使用される帯電部材を流れる電流値(以後、帯電
電流値と称す)と光受容部材の表面電位との相関関係を
各除電光に対して求め、帯電電流値ごとに2種類の除電
光間における表面電位の差分を計算したとき、その差分
の最大値を120V以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非結晶物質(主に
非晶質)からなる光受容部材と、その光受容部材特性評
価方法と、その光受容部材を備えた電子写真装置に関
し、特にアモルファスシリコン系感光体(以下、a−S
i感光体と略す)で構成され、露光に使用する光の波長
に依存しにくく、広範囲の波長領域で最大の特性を発揮
することができる光受容部材とその光受容部材諸特性を
評価するための評価方法、ならびにその光受容部材を備
えたレーザビームプリンタ、デジタル複写機等の電子写
真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真などの像形成分野においては、
感光体における感光層を形成する光導電材料に対して、
以下の特性が要求される。先ず、高感度で、SN比〔光
電流(Ip)/暗電流(Id)〕が高く、照射する電磁
波(例えば、露光光)のスペクトル特性に適合した吸収
スペクトルを有することが望まれる。加えて、光応答性
が早く、所望の暗抵抗値を有すること、さらには、使用
時において人体に対して無害であること、等の特性も要
求される。特に、事務機としてオフイスで使用される電
子写真装置では、装置内に組み込まれる感光体の使用時
においての無公害性が、ますます重要な特性として求め
られる。
【0003】これらの要請を満たし、優れた性質を示す
光導電材料には、アモルフアスシリコン(以下、「a−
Si」と表記する)があり、その一つである水素化アモ
ルフアスシリコン(以下、「a−Si:H」と表記する)
について、例えば、特公昭60−35059号公報に電
子写真用感光体に応用した事例が記載されている。
【0004】この光導電材料としてa−Siを利用する
感光体は、一般に、導電性支持体上にa−Siからなる
光導電層を形成した構成をとる。例えば、支持体を50
℃〜350℃に加熱し、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーテイング法、熱CVD法、光CVD
法、プラズマCVD法等の堆積法を利用して、支持体表
面にa−Si層を堆積する。なかでも、プラズマCVD
法、すなわち、原料ガスを高周波あるいはマイクロ波グ
ロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を
形成する方法が、好適な堆積方法として広く実用化され
ている。
【0005】また、ハロゲン原子を構成要素として含む
a−Si(以下、「a−Si:X」と表記する)も光導電
材料に利用され、例えば、特開昭56−83746号公
報には、導電性支持体とa−Si:Xの光導電層とから
なる電子写真用感光体が提案されている。特に、a−S
i中にハロゲン原子を1乃至40原子%含有させること
により、耐熱性が高くなり、電子写真用感光体の光導電
層として良好な電気的、光学的特性を得ることができる
ことが記載されている。
【0006】また、 a−Si堆積膜で構成された光導
電層を有する光導電部材について、その暗抵抗値、光感
度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性、耐湿
性等の使用環境特性、さらには経時安定性などの改善が
進められている。例えば、特開昭57−115556号
公報には、前記の特性改善を図るため、シリコン原子を
母体としたアモルフアス材料で構成された光導電層上
に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモ
ルフアス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記
載されている。更に、特開昭60−67951号公報に
は、アモルフアスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有
してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体
構造が提案され、また、特開昭62−168161号公
報には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41
〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材
料を用いる感光体構造が記載されている。
【0007】上記の光導電材料や感光体構造の改良のみ
でなく、感光体上への露光方法に関しても様々な工夫が
なされている。具体的には、特開昭60−168187
号公報には、画像形成(露光)に近赤外のレーザー光を
用い、除電光に波長600〜800nmの光を用いる組
み合わせにより、光メモリーに伴うゴースト現象を防止
する技術が開示されている。また、特開昭58−102
970号公報には、露光に波長600〜700nmのレ
ーザー光を用いることで、感光体の劣化を防止し、機械
的化学的耐久性を向上させる技術が開示されている。
【0008】これらの技術改良の結果、電子写真用感光
体の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が
向上し、それに伴って画像品質、耐久性がともに向上し
てきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】電子写真装置として
は、従来型のコピー機などのように、光学系を用いて、
複写原稿から反射した光の強度をそのまま光受容部材上
に投影露光し、光受容部材の表面電位に変換して現像す
るアナログ方式に加えて、近年では、原稿の画像情報を
スキヤナで読み取り、適切な画像処理を施し、デジタル
化された画像パターンに変換し、光受容部材上に光ビー
ム照射するデジタル方式も広く利用が進められている。
このデジタル方式は、一旦画像処理を施し、デジタル化
された画像パターンに変換することにより、高画質、高
安定性を図れるという利点から、ますます注目されてき
ている。
【0010】しかし、従来のアナログ方式用の光受容部
材をデジタル方式の複写機に使用しても最大の効果が発
揮できず、デジタル方式専用の光受容部材を開発する必
要があった。デジタル方式では、デジタル化された画像
パターンの露光に光ビーム照射が利用されている。この
光ビーム照射にはレーザ光などが使用されているが、一
般にその波長はアナログ方式にに用いられる露光光波長
よりも光の波長が長いため、光が光受容部材の光導電材
料層の深くまで進入する。その際、露光に用いる光励起
キャリアは、電子と正孔がともに関与する二キャリアと
なる。また、光の単色性が高い。これらの事から、様々
な界面における光の干渉の問題、感度の直線性が悪くな
る問題などが発生し、これらを防止・改善しなければな
らず、アナログ方式用の光受容部材とは根本的に違う設
計を行わなければならなかった。
【0011】しかもデジタル方式になると、光受容部材
の設計が機種毎にすべて異なってくる。すなわち、アナ
ログ方式では像露光にはハロゲンランプを用いており、
除電光の波長もほぼ特定されていたため、層設計の考え
方に違いがなかったのに対し、デジタル方式において
は、機種毎に使用する像露光用レーザーや除電光の波長
を使い分けており、機種毎に層設計に大幅な変更が要求
され、開発には時間がかかる場合が多かった。そこで、
様々な波長を持つ光源に対して常に好適な特性が得られ
るような、波長依存性の少ない光受容部材が望まれてき
た。
【0012】また、生産においては、これまでは多品種
を同時に生産しなければならず、生産効率の点で好まし
くない場合が発生することがあった。そこで、生産性を
向上させ、コストダウンを行う上で、汎用性の高い光受
容部材が切望されてきた。
【0013】また、デジタル方式ではその特徴を生かす
ため、アナログ方式よりもさらに高画質が要求される。
特に前回の複写結果の履歴が次の画像上に現れてしまう
ゴースト現象(光メモリー)に対しては、アナログ方式
に比べて大幅な特性向上が要求される。一方で、前述し
た2キャリアの影響で帯電能は低下する傾向にあるが、
このゴースト現象と帯電能とはこれまではトレードオフ
の関係にあると考えられており、どちらかを改善しよう
とするともう一方は劣化してしまっていた。デジタル方
式では、このトレードオフの関係にあるゴースト現象と
帯電能とを同時に改善しなければならないという課題が
あり、この課題を解決できる光受容部材が望まれてき
た。
【0014】そして、上述のような光の波長依存性が少
なく、デジタル方式からアナログ方式までのプロセス条
件に対して使用可能となるような、汎用性の高い光受容
部材を開発・生産するために、像露光や除電光に使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対して所望の特性が
得られる光受容部材の特性を測定できる評価方法の確立
が切望されている。そのような汎用性に関する光受容部
材の特性は、想定されうるすべての条件において、帯電
特性、感度特性、ゴースト特性などの潜像形成プロセス
に関わる基本特性を測定すれば結果を得ることできる
が、そのような評価方法は、膨大な手間と時間がかかり
現実的でない。
【0015】本発明の目的は、複写プロセスで露光や除
電に使用される様々な光源の波長に対し、広い範囲で最
大限の特性が得られ、そのため使用する波長の異なる様
々な複写プロセスにおいても、高精細で、ゴースト現象
のない高品位な画像を再現し、かつ安定性に優れ、さら
に汎用性に優れ、生産効率を高めることが可能な光受容
部材を提供することと、簡単な方法で、様々な波長の光
に対する汎用性という光受容部材の特性を測定できる評
価方法を提供することと、デジタル電子写真方式を用い
る際にも、帯電能を十分に高い水準に確保し、かつ、ゴ
ースト現象の発生がほとんどない程度に低減されてい
る、高品位な画像が得られる電子写真装置を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為
に、本発明では、以下のような特徴を持つ電子写真用光
受容部材、光受容部材の評価方法、および電子写真装置
を提供する。
【0017】本発明の電子写真用光受容部材は、帯電・
露光・現像・転写・除電の工程を繰り返す複写プロセス
において使用される電子写真用光受容部材であって、導
電性基体と、少なくともシリコン原子を母体とし、水素
原子及び/またはハロゲン原子を含有するアモルファス
材料からなる光導電層とを備え、光受容部材表面の周辺
部材に対する相対的な移動速度を300mm/sec、
その光受容部材の表面温度を室温とし、光の単位面積当
たりのエネルギー量が同一で波長が565nmおよび6
60nmの2種類の除電光をその光受容部材に照射した
ときの、帯電に使用される帯電部材を流れる電流値(以
後、帯電電流値と称す)と光受容部材の表面電位との相
関関係を各除電光に対して求め、帯電電流値ごとに2種
類の除電光間における表面電位の差分を計算したとき、
その差分の最大値が120V以下であることを特徴とす
る。
【0018】また、導電性基体上に形成されている光導
電層は、その導電性基体側から第1の層領域および第2
の層領域の二つの領域で構成され、第2の層領域の厚さ
が、静電潜像の露光を行う光ビーム照射工程に用いる光
波長ならびに除電光照射工程に用いる光波長の何れの照
射においても、照射される光量の90%以上が吸収され
る厚さに設定されていることを特徴とする。
【0019】また、光導電層は、用いられるアモルファ
ス材料中に周期表第13族元素を含有し、第2の層領域
における周期表第13族元素の含有量が、第1の層領域
における周期表第13族元素の含有量に比べて少ないこ
とが好ましく、その場合、光導電層の第1の層領域に用
いられるアモルファス材料において、そのアモルファス
材料母体となるシリコン原子に対する周期表第13族元
素の添加率が0.2ppm以上30ppm以下の範囲で
選択され、光導電層の第2の層領域に用いられるアモル
ファス材料において、そのアモルファス材料母体となる
シリコン原子に対する周期表第13族元素の添加率が
0.005ppm以上3ppm以下の範囲で選択されて
いることが好ましい。
【0020】また、第2の層領域の光学的バンドギャッ
プ値が、第1の層領域の光学的バンドギャップ値よりも
狭く設定され、1.6eV以上1.8eV未満であっても
よく、第2の層領域の水素含有量が、第1の層領域の水
素含有量より少なく、シリコン原子に対して5%以上2
5%未満であってもよい。
【0021】さらに、光導電層の上に、少なくともシリ
コン原子を母体構成原子として含み、水素原子及び/ま
たはハロゲン原子を含有し、炭素原子、酸素原子、窒素
原子の少なくとも一つを他の母体構成原子として含む非
単結晶材料からなる表面層が設けられ、その表面層と光
導電層との間に、両者を構成する材料組成を連続的に変
化させる変移領域が設けられていてもよく、光受容部材
の最表面に、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有
する非単結晶炭素材料からなるオーバーコート層が設け
られ、その下に位置する層との間に両者を構成する材料
組成を連続的に変化させる変移領域が設けられていても
よく、光導電層の上に、水素及び/またはハロゲンを含
む非単結晶炭素からなる表面層が設けられ、かつ、その
光導電層とその表面層との間に、両者を構成する材料組
成を連続的に変化させる変移領域が設けられていてもよ
い。
【0022】本発明の電子写真用光受容部材の評価方法
は、電子写真用光受容部材に対して、少なくとも、除電
光照射、帯電、表面電位測定の各工程を行うことによっ
てその光受容部材の特性を評価する特性評価方法であっ
て、光の単位面積当たりのエネルギー量が同一で波長の
異なる複数の除電光を光受容部材に照射したときに、帯
電に使用される帯電部材を流れる電流値(以後、帯電電
流値と称す)と光受容部材の表面電位との相関関係を、
それぞれの照射された除電光に対して求め、帯電電流値
ごとに波長の異なる除電光間における表面電位の差分を
計算し、その最大値によって光受容部材の特性を評価す
ることを特徴とする。
【0023】また、第2の評価方法では、電子写真用光
受容部材に対して、少なくとも、除電光照射、帯電、表
面電位測定の各工程を行うことによってその光受容部材
の特性を評価する特性評価方法であって、表面電位の差
分を計算し、その最大値によって光受容部材の特性を評
価することを特徴とする。
【0024】また、第3の評価方法では、電子写真用光
受容部材に対して、少なくとも、除電光照射、帯電、表
面電位測定の各工程を行うことによってその光受容部材
の特性を評価する特性評価方法であって、光の単位面積
当たりのフォトン数が同一で波長の異なる複数の除電光
を照射したときの、帯電に使用される帯電部材を流れる
電流値(以後、帯電電流値と称す)と光受容部材の表面
電位との関係を、それぞれの照射された除電光に対して
求め、帯電電流値ごとに波長の異なる除電光間における
表面電位の差分を計算し、その最大値によって光受容部
材の特性を評価することを特徴とする。
【0025】さらに、第4の評価方法では、電子写真用
光受容部材に対して、少なくとも、除電光照射、帯電、
表面電位測定の各工程を行うことによってその光受容部
材の特性を評価する特性評価方法であって、光の単位面
積当たりのフォトン数が同一で波長の異なる複数の除電
光を照射したときの、その帯電工程において光受容部材
に流れこむ電流値(以後、光受容部材電流値と称す)と
光受容部材の表面電位との関係を、それぞれの照射され
た除電光に対して求め、光受容部材電流値ごとに波長の
異なる除電光間における表面電位の差分を計算し、その
最大値によって光受容部材の特性を評価することを特徴
とする。
【0026】また、光受容部材に照射される波長の異な
る複数の除電光において、差分が計算される除電光の波
長間の差が50nm以上であってもよく、光受容部材に
照射される波長の異なる複数の除電光において、最も長
波長となる除電光の波長が630nm以上700nm以
下であってもよい。
【0027】また、各工程を行うときの光受容部材の表
面温度を室温とすることが好ましい。
【0028】さらに、光受容部材は、少なくとも、導電
性基体と、シリコン原子を母体とし、水素原子及び/ま
たはハロゲン原子を含有するアモルファス材料からなる
光導電層とを備えることが好ましい本発明の電子写真装
置は、導電性基体と、少なくともシリコン原子を母体と
し、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有するアモ
ルファス材料からなる光導電層とを備える電子写真用光
受容部材を静電潜像担持体に用い、静電潜像担持体上へ
の静電潜像形成に、少なくとも、除電光照射工程、帯電
工程、及び、画像パターンにしたがって、複数行、複数
列の画素マトリクスの各画素毎に光ビーム照射する工程
を含むデジタル方式を採用する電子写真装置であって、
電子写真用光受容部材が、請求項1から請求項9の何れ
か1項に記載の電子写真用光受容部材であることを特徴
とする。
【0029】以下に課題を解決するに至った経緯を説明
する。
【0030】本発明者らは、露光に使用する光の波長に
依存しにくい光受容部材について、様々な角度から検討
を行ってきた。
【0031】まず、除電光を通常使用される範囲内で光
の単位面積当たりのエネルギー量を一定の値に定め、帯
電工程に先立つ除電光照射工程に用いる除電光の波長を
様々に変えたときに、帯電器を流れる電流(帯電電流)
Ipと、それにより帯電される光受容部材の表面電位V
dとの関係がどのように変化するかを調べた。その結
果、同一の光受容部材に対しても、除電光の波長を変え
ると、図5に模式的に示すように、Ip−Vd特性に差
異が存在することを見出した。具体的には、例えば、異
なった波長を持つ除電光源Aおよび除電光源Bを用いた
場合、それぞれ測定されたIp−Vd(A)とIp−V
d(B)の特性図を模式的に示すと、図5に示す二種の
形状を有していた。
【0032】すなわち、除電光源Aを用いた際には、図
示するIp−Vd(A)特性は、3つの領域に分けるこ
とができる。この3つの領域を、それぞれIpの小さい
方から、過渡領域、直線領域、蝕和領域と呼ぶこ
とにする。一方、除電光源Bを用いた際には、Ip−V
d(B)の特性図には、過渡領域はほとんど見られな
いが、直線領域、蝕和領域は存在している。除電光
源Aと除電光源Bを用いた場合を相互に比較すると、除
電光源Aを用いた時、直線領域に達した後は、同じI
p値における両者の表面電位の差分、ΔVd(B−A)
=Vd(B)−Vd(A)は、ほぼ一定となっている。
すなわち、この除電光の波長の違いによる帯電特性の差
は、過渡領域による部分がほとんどを占めている。
【0033】この観点に立ち、様々な層設計の光受容部
材について、Ip−Vd特性を調べたところ、の過渡
領域が除電光の波長に依って大きく変化するものと、変
化が少ないものとがあることを見出した。このIp−V
d特性が異なる二種の光受容部材を更に比較検討したと
ころ、この二種類の光受容部材間では、他の特性に関し
ても、明確な差異が見出されることが明らかになった。
【0034】本発明者らは、除電光波長に依存する、こ
の過渡領域の振る舞いに注目し、さらに定量的に調べる
ため、横軸に帯電器を流れる電流Ip、縦軸に波長の異
なる除電光を用いた際に出現する表面電位の差分ΔVd
をとり、様々な層設計の差異との相関を調べた。
【0035】その結果、Ip−ΔVd特性は、帯電電流
Ipの増加とともに差分ΔVdの増加は緩やかになり、
おおよそ飽和傾向の特性カーブを示すことがわかった。
また、その飽和値は、光受容部材の層設計の差異に付随
して、比較的大きいものと少ないものに分類が可能であ
ることがわかった。この飽和値は、測定データを適当な
近似曲線でフィッティングしたり、外挿したりする等の
解析手法を用いることで値を特定する事ができるが、よ
り簡易的に特定する為に、測定した帯電電流の範囲内に
おける最大値として表すことができる。そして、複数の
除電光波長に対してIp−Vd特性を測定し、それらの
差分の最大値を指標として用いることで、光受容部材の
波長依存性を最も反映し、光受容部材の汎用性を最も的
確に示した評価結果が得られることが明らかとなった。
【0036】また、上述の評価を行う際に、光受容部材
の表面温度を室温としたほうが、より顕著に光受容部材
の波長依存性を最も反映した結果が得られることがわか
った。
【0037】そして、上述の除電光波長を変えた場合に
おける表面電位の差分の最大値を所望の範囲内となるよ
うな層設計を持つ光受容部材を採用すると、広範囲の波
長領域に対して特性変化を、好ましい範囲内に留めるこ
とができることがわかった。
【0038】そこで、この特性の変化が少ないグループ
に関してさらに詳細な層設計の検討を進めた。すると、
最終的に、光受容部材の回転に伴う表面の相対速度(プ
ロセススピード)を300mm/secとし、室温で測
定したとき、除電光の波長が565nmの時と、660n
mの時との表面電位の差分の最大値が、120V以下で
あるような層設計を行った場合に、広範囲の波長領域に
対して特性変化を最も少なくすることが可能となること
がわかった。検討の結果、除電光が660nmのときに
Ip−Vd特性の過渡領域を最小限に抑え、565nm
での過渡領域に近づけた光受容部材では、特異的に他の
波長においても過渡領域が減少することが見出された。
この現象は660nmという波長から、エネルギー的に
考えてバンド裾の特性エネルギーが関わっていると考え
られるが、詳しい原因は不明である。
【0039】また、上述したようにデジタル方式では、
ゴースト現象に対してさらに厳しい要求がなされるが、
このゴースト現象の大小も、前述したIp−Vd特性に
おける過渡領域の挙動と密接な関連があることが明らか
になった。すなわち、除電光波長を変えた場合における
表面電位の差分の最大値を所望の範囲内にした場合、ゴ
ースト特性が良好であるばかりか、除電光の波長を変え
ても、その良好性は変化しにくいことがわかった。
【0040】また、上述の過渡領域の挙動は、光受容部
材の帯電特性に表れるものであり、上述のIp−Vd特
性の代わりに、帯電工程において光受容部材に流れる電
流値Idと光受容部材の表面電位Vdと相関、すなわ
ち、Id−Vd特性においても観測する事ができた。そ
して、より詳細な検討の結果、Id−Vd特性の方が帯
電工程による影響が少なく、より顕著に光受容部材の特
性差を反映した結果が得られることがわかった。
【0041】更に、除電光の照射光量に関する設定を、
単位面積あたりのエネルギー量を一定として除電光の波
長違いによる表面電位差を算出する上述の方法ではな
く、単位面積あたりのフォトン数を一定として除電光の
波長違いによる表面電位差を算出する方法を用いた場合
においても、同様の過渡領域の挙動を観測する事ができ
た。そして、より詳細な検討の結果、上述の過渡領域の
挙動は、除電光照射によって生成されるキャリアが関与
している事がわかり、キャリアの生成や拡散、再結合す
る過程による僅かな特性差を検出したり、より厳密に膜
質や層構成の優劣を判別したりする場合には、単位面積
あたりのフォトン数を一定とした方が適していることが
わかった。
【0042】本発明の、良質で、且つ波長依存性の少な
い光受容部材が得られた理由に関しては、一部推測に基
づく部分を含むものの、おおよそ次に述べる機構に因る
と考えている。
【0043】除電光照射によって、光導電層内に発生し
たキヤリアが層内に存在している比較的浅い準位にトラ
ップされると、それら比較的浅い準位にトラップされて
いるキヤリアは、帯電器下において電界がかかった時点
で放出されると考えられる。この帯電時に放出される、
トラップされたキャリアの量が多ければ、Ip−Vd特
性に過渡領域が現れることになる。
【0044】これまで本発明者らを含め、多くの研究者
は、除電光が到達する光導電層の上部領域の膜質を向上
させるために、例えば、ガラス基板上に単一組成の薄膜
を様々な堆積条件下で作成し、様々な物性値を測定する
ことで、光受容部材の層設計にフイードバックさせてき
た。しかしながら、これら実験に用いるガラス基板上
と、実際の光受容部材に用いる導電性基体上とでは、下
地の基板の材質の差に起因して、その上に形成する堆積
膜の物性値が微妙に異なる場合がある。
【0045】この僅かな差異の存在により、ガラス基板
上の薄膜サンプルの結果に基づき、導かれた層設計だけ
では、必ずしも所望の特性を示す光受容部材が得られる
とは限らなかった。
【0046】それに対し、本発明の評価方法では、実際
に用いる光受容部材の形態で、従来以上に正確に堆積膜
の物性を把握でき、光受容部材の層設計にフイードバッ
クすることで、より良質な特性の光受容部材が得られた
と考えている。具体的には、例えば、下地となる層との
接触における界面、各層間の変化領域における界面など
の存在は、光受容部材の形態にしないとその影響、良否
を判断することは難しい。
【0047】さらに、各層の堆積速度に差異がある場合
には、それらの膜厚を適切に定めないと、膜厚のムラに
よって、特性が予期せぬ方向にシフトすることもありう
る。また、微量添加元素の量や添加する領域設定の影響
は、光受容部材の様々な特性に敏感に現れるが、ガラス
基板上の薄膜サンプルで得られる物性値から、適切な判
断を下すことは極めて難しい。本発明によって、これら
の従来利用されてきた手法では難しかった層設計の効率
が格段に向上した。
【0048】本発明者らは、一般に、除電光の波長が短
くなるとIp−Vd特性の過渡領域が小さくなることを
確認した。この現象は、波長が短くなると除電光の進入
がほとんど最表面部分に限定されるため、除電光による
光キャリアがトラップされにくいことが原因と考えられ
る。一方、波長の長い除電光を用いた場合には、光の進
入領域が大きく無視できないため、波長に応じた進入深
さから得られる領域のトラップ準位を下げなければなら
ない。このことから、波長に依存して層設計が決まるこ
とになり、これまでは単一の層設計では様々な波長に対
応するのは難しいと考えられてきた。
【0049】また、本発明では、光受容部材の形態でこ
れまで以上に正確に膜の物性を把握でき、層設計にフィ
ードバックすることで良質な特性の光受容部材が得られ
たと考えている。このような総合的な層設計により、光
の到達する領域の膜質を極めて良好にすることができた
ため、Ip−Vd特性に代表される帯電特性以外にも、
光受容部材の様々な特性が向上し、特にゴースト特性が
従来の光受容部材よりもさらに向上したと考えられる。
特に本発明では、これまでの物性測定では得ることがで
きなかった波長依存性に関する新たな知見を得ること
で、光の侵入領域の膜質を適切にコントロールすること
ができ、光キャリアの挙動を極めて良好にすることが可
能となったと考えられる。
【0050】以上の点から、前述した過渡領域の除電光
波長に対する依存性を特定し、総合的な層設計を行う
際、光の単位面積当たりのエネルギー量が同一で波長の
異なる複数の光源を使用した際の表面電位の差分を指標
として用いた場合が、光受容部材の波長依存性を最も反
映し、光受容部材の汎用性を最も的確に示すことが明ら
かとなった。
【0051】なお、上記の室温は、JIS K 005
0に規定する室温の範囲(5〜35℃)、なかでも、常
用の15〜30℃の範囲(25℃前後)を意味する。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って本発明の光受
容部材について詳細に説明する。
【0053】図1(a)は本発明の電子写真用光受容部
材の好適な一例を説明するための模式的断面図である。
図1(a)において、101は導電性基体、103はシ
リコン原子を母体とする光導電層を示している。また、
102に示した電荷注入阻止層、104(a)に示した
表面層を設けてもよい。
【0054】本発明における光導電層103は水素原子
及び/またはハロゲン原子を含有しシリコン原子を主体
とした非単結晶質材料で構成することができる。このシ
リコンを主体とした非単結晶材料には、適宜、導電性制
御物質として、例えば周期表第13族元素を含有させて
もよい。この光導電層103の形成においては、いかな
る周波数の高周波電力、或いはマイクロ波によるグロー
放電プラズマでも好適に使用できる。例えばグロー放電
プラズマによりシリコン原子を含んだ原料ガス等を分解
してこの層を形成できる。
【0055】本発明の電子写真用光受容部材は、図1
(a)に示す構成の他、図1(b)の模式的断面図に示
す構成としたほうが特性改善が容易となり、より好まし
い。図1(b)に示す構成は、図1(a)に示す構成の
変形、すなわち図1(a)の光導電層103を複数構成
にしたものである。また、図(c)には、図1(b)に
加えて表面層104aの上にさらにオーバーコート層1
04bを設けたものである。すなわち、図1(b)及び
図1(c)に示す構成においては、光導電層103は、
少なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成され、
第1の層領域103aと、第2の層領域103bの2層
が順次積層された構成をもつ。この電子写真用光受容部
材に光を照射すると主として第2の領域103bにおい
て、光吸収が起こる。その過程で、第2の層領域103
bで生成された電荷が第1の層領域103aを通って電
荷注入阻止層102に入り、導電性基体101に至る。
このように、光吸収が主として第2の層領域103bに
おいて起こる構成では、電荷注入阻止層102を省略す
ることも可能となる。すなわち、導電性基体101から
の電荷注入による影響は極く僅かとなるので、電荷注入
阻止層102を設けることによる特性改善効果は、光導
電層を単一の層とする構成よりも僅かとなる。
【0056】従って、上述の作用を達成する上で、第2
の層領域103bの膜厚は、電子写真装置(例えば、複
写機)において用いる、潜像形成用露光光源の波長と除
電光光源の波長の双方について、その波長における第2
の層領域103bに用いるアモルファス材料の吸収係数
から吸収率を計算して、ともに第2の層領域103b内
で光照射光の90%以上、特に好ましくは95%以上が
吸収される膜厚範囲に設定するのが望ましい。第2の層
領域103b内での光吸収が90%に満たない膜厚に設
定すると、潜像形成用露光光源の波長と除電光光源の波
長の選択を広い波長領域において行う際、所望の光受容
部材特性がその広い波長領域全体で保持されなくなる場
合もある。特に、ゴースト現象(光メモリー)の発生を
より効果的に抑制するためには、第2の層領域103b
内での光吸収が90%以上となるように膜厚を設定する
ことが好ましい。
【0057】なお、光導電層103に利用する少なくと
もシリコン原子を母体とするアモルファス材料では、一
般にその吸収係数は波長が短くなるにつれ、より大きく
なる。従って、潜像形成用露光光源の波長と除電光光源
の波長とのいずれか長い波長において、第2の層領域1
03b内で光照射光の90%以上が吸収されるならば、
残るより短い波長においても、光照射光の90%以上が
吸収されることになる。
【0058】また、光導電層を二つの層領域で形成する
際、第2の層領域103bおよび第1の層領域103a
の示す導電型を制御するために、同一種の電荷キャリア
を生成する導電性制御物質を添加するとよい。その際、
第2の層領域103bに添加する導電性制御物質の量
は、第1の層領域103aに添加する導電性制御物質の
量よりも少なくする方が好ましい。光導電層を構成する
アモルファス材料が示すべき導電型は、表面の帯電型に
応じて、決められる。具体的には、正帯電の場合には、
導電性制御物質として、周期表第13族元素、すなわ
ち、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、な
どを添加する。
【0059】例えば、第1の層領域103aを構成する
アモルファス材料を形成する際、母体となるシリコン原
子に対して、周期表第13族元素の添加率を0.2pp
m以上30ppm以下の範囲に選択すると好ましい。仮
に、添加率が0.2ppm未満であっても、通常特に問
題を生ずることはない。しかしながら、場合によって、
例えば、黒ベタパターンなどを反復して複写するなどの
残留電位の蓄積が生じ易い動作条件では、除電光照射後
における残留電位の増大が現れてしまうこともある。一
方0.2 ppm以上にすることで、残留電位の増大を
防ぐことができる。また、添加率を30ppmよりも高
く設定すると、添加率を高くするにつれ、徐々に帯電能
が低下することもある。一方30 ppm以下にするこ
とで、帯電能の低下を防ぐことができる。
【0060】また、第2の層領域103bへの周期表第
13族元素の添加率は、第1の層領域103aへの周期
表第13族元素の添加率より低く選択するとよく、例え
ば、第2の層領域103bを構成するアモルファス材料
を形成する際、母体となるシリコン原子に対して、周期
表第13族元素の添加率を0.005ppm以上3pp
m以下の範囲に選択することが好ましい。添加率を0.
005ppm未満にしても、通常、特に問題はないが、
まれに正孔の走行性が悪くなって、結果的に残留電位の
増大が引き起こされる場合がある。一方0.005 p
pm以上にすることで、正孔の走行性を良好に保ち、残
留電位の増大を防ぐことができる。また、多くの場合、
添加率を3ppmより多くしても構わないが、上記の第
一の層領域105にむやみに高く添加した場合と同様
に、帯電能を低下させる要因となることもある。加え
て、感光感度がやや劣化する場合もある。一方3ppm
以下にすることで、帯電能の低下や感度の劣化を防ぐこ
とができる。
【0061】また、第2の層領域103bの光学的バン
ドギャップは、第1の層領域103aの光学的バンドギ
ャップよりも狭いバンドギャップを持つ膜に設計する方
がより好ましい。すなわち、このような範囲に設定する
ことで、第2の層領域103bでの光の吸収係数を大き
くでき、加えて第2の層領域103bの膜厚を薄くで
き、最終的にキャリアの発生、輸送を円滑にできるため
より好ましい。特に、第2の層領域での光学的バンドギ
ャップを1.6eV以上1.8eV未満とした場合、膜の
特性が最も向上し、より好ましい。
【0062】また、第2の層領域103bの水素含有量
は、第1の層領域103aの水素含有量と同等かより少
なく、アモルファス材料の母体となるシリコン原子に対
して5%以上25%未満に設定されることが好ましい。
すなわち、この範囲での水素量では、結合のストレスが
少なく、かつSiH2 などのように過剰な水素を含みに
くいため、膜の特性が良好となるためより好ましい。
【0063】また、第1の層領域103aと第2の層領
域103bとの間には、明確な界面を持たなくてもよ
く、層間の組成等を緩やかに変化させた変化領域を設け
てもよい。更に、この変化領域にある程度の厚さを持た
せることで、更に広範囲な波長に対して特性変化の少な
い光受容部材にすることが可能となることがある。
【0064】本発明の光受容部材は、表面層104aを
形成する方が、耐久性、オゾンに対する安定性などを向
上する点でより好ましい。
【0065】表面層104aの材質としては、シリコン
を母体とし、水素及び/またはハロゲンを含み、炭素、
酸素、窒素のうち少なくとも1つを含む非単結晶材料が
好適に使用できる。特に、水素及び/またはハロゲンを
含む非晶質炭化珪素膜が、硬度、生産性、安定性などの
点から好適に使用される。また、水素及び/またはハロ
ゲンを含む非単結晶炭素膜も同様の点から好適に使用さ
れる。
【0066】また、このような表面層104aを形成す
る際、表面層104aと光導電層103とは用いる材料
の組成が異なるので、光導電層103から組成を滑らか
に変化させ、明確な界面をできるだけ作らないように作
成する方が、界面における光の干渉、残留電位の発生を
抑えることができる。加えて、界面にバンドギャップの
ステップ状段差の形成に起因して残留電位を発生させる
要因を回避することもできるためより好ましい。この変
化領域における組成変化は、連続的に緩やかな変化が達
成されるならば、直線的でもよいし、例えば曲線的な変
化でも構わない。
【0067】非単結晶炭素膜は、作成方法によっては吸
収係数が大きくなる場合があるが、その場合には図1
(c)に示したように、表面層104(a)は非晶質炭
化珪素や非晶質窒化珪素等とし、さらにその上にオーバ
ーコート層104(b)として非単結晶炭素膜を作成し
てもよい。図1(c)のような構成にすることで、オゾ
ンに対する安定性やトナーの固着による画像欠陥(以
後、融着と称する)の低減化など、経時的な特性劣化の
抑制を図ることができる。
【0068】このオーバーコート層104(b)として
は、水素及び/またはハロゲンを含む非単結晶炭素膜が
最適に使用でき、光導電層103との間に表面層104
(a)を介在させることでオーバーコート層104
(b)自体の膜厚を薄くすることができ、感度などの特
性を維持したまま、オゾンに対する安定性や融着特性を
向上させることができる。また、このオーバーコート層
104(b)と表面層104(a)とを作成する際に
は、その間に明確な界面を作らないように組成を滑らか
に変化させた領域を設けた方が好ましい。
【0069】また、図1(a)乃至(c)に示すいずれ
の構成においても、光導電層103の膜厚は複写機本体
が要求する帯電能、感度及び堆積膜の作成効率を勘案し
て適宜設定されるが、通常は10〜50μm、好ましく
は15〜45μm、特に好ましくは20〜40μmの範
囲とされる。これらは帯電能、感度の点から10μm以
上とし、一方堆積膜の工業的生産性の観点からは50μ
m以下が望ましいという点に基づいて選択される。加え
て、光受容部材の表面形状は、例えば、JIS規格BO
61で定義される十点平均表面粗さRzが0.05〜4
μmなる光受容部材とすることが、静電気的特性上、な
らびに、電子写真的特性上、好ましい。表面粗さが増す
と、例えば、融着の増加や、帯電時の静電気的特性低下
などが生じ易くなるので上記の平均表面粗さRzの範囲
に留めるとよい。
【0070】図2は、本発明の電子写真光受容部材の製
造に使用することが可能なプラズマCVD法による堆積
装置の好適な構成の一例を模式的に示した図である。
【0071】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガスの供給装置2200、反応容器2101内
を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成され
ている。堆積装置2100中の反応容器2101内には
真空処理の対象物であり、アースに接続された導電性基
体2112、導電性基体2112の加熱用ヒーター21
13を内蔵した基体支持体2123、原料ガス導入管2
114が設置され、さらに高周波マッチングボックス2
115を介して高周波電源2120が反応容器2101
の一部を構成するカソード電極2111に接続されてい
る。カソード電極2111は碍子2121によりアース
電位と絶縁され、基体支持体2113を通してアース電
位に維持されるアノード電極を兼ねた導電性基体211
2との間に高周波電圧が印加可能となっている。
【0072】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4 、H2 、CH4 、B2 6、PH3 等の原料ガ
スのボンベ2221〜2226と原料ガスボンベバルブ
2231〜2236、ガス流入バルブ2241〜224
6、ガス流出バルブ2251〜2256およびマスフロ
ーコントローラー2211〜2216とから構成され、
各原料ガスのボンベは補助バルブ2260を介して反応
容器2101内のガス導入管2114に接続されてい
る。
【0073】本発明に使用されるSi供給用ガスとなり
うる物質としては、SiH4 、Si 2 6 、Si
3 8 、Si4 10等のガス状態、またはガス化しうる
水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして
挙げられ、特に層作成時の取り扱いやすさ、Si供給効
率の良さ等の点でSiH4 、Si2 6 が好ましいもの
として挙げられる。また、場合によっては上記のシラン
類の水素原子をフッ素原子や塩素原子などのハロゲンで
置換したハロゲン化シラン誘導体も同様に使用可能であ
る。
【0074】また、形成される光導電層に水素原子を構
造的に導入し、水素原子の導入割合や光学的バンドギャ
ップの値の制御を一層容易になるように図り、本発明の
目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更
に水素及び/またはヘリウムあるいはそれらを含むガス
を所望量混合して層形成することもできる。また、各ガ
スは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても
差し支えない。
【0075】また、本発明では光導電層にハロゲンを積
極的に導入するためにハロゲン供給用の原料ガスを使用
してもよい。例えばハロゲンガス、ハロゲン化合物、ハ
ロゲンを含むハロゲン間化合物などが挙げられ、これを
単体、あるいは水素や希ガスなどで希釈して使用するこ
とが可能である。
【0076】また、所望の帯電能や感度、ゴースト特性
を実現するために、導電率の調整用に周期表第13族な
どの導電性制御物質を含むガスを供給することもでき
る。例えばB2 6 、B4 10等の水素化硼素、B
3 、BCl3 等のハロゲン化硼素などが挙げられる。
その他AlCl3 、GaCl3 、InCl3 等も挙げることが
できる。
【0077】また、負帯電用の光受容部材を作成する際
には、PH3 やP2 4 等に代表される周期表第15族
の導電性制御物質を用いることができる。
【0078】これらの導電性制御物質を含むガスを導入
する際には、必要に応じてH2 及び/またはHe等の希
ガスにより希釈して使用してもよい。
【0079】本発明に用いる導電性基体 2112 は、
使用目的に応じた材質や形状を有するものであればよ
い。例えば、形状に関しては電子写真用光受容部材を製
造する場合には円筒形が望ましいが、必要に応じて平板
状や、その他の形状であってもよい。また、材質に関し
ては、アルミニウムが最適だが、金属なら好適に用いる
ことができ、またポリ塩化ビニル、ガラス等の絶縁材料
に導電性材料を被覆したものでも好適に使用できる。表
面形状としては、バイト切削、ディンプル加工などを適
宜使用できる。
【0080】以下、図2の装置を用いた光受容部材の形
成方法の手順の一例について説明する。
【0081】まず、反応容器2101内に導電性基体2
112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基
体支持体2123に内蔵された基体加熱用ヒーター21
13により導電性基体2112の温度を20℃〜500
℃の所定の温度に加熱制御する。
【0082】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器210
1に流入させるには、ガスボンベの原料ガスボンベバル
ブ2231〜2236、反応容器のリークバルブ211
7が閉じられていることを確認し、また、ガス流入バル
ブ2241〜2246、ガス流出バルブ2251〜22
56、補助バルブ2260が開かれていることを確認し
て、まずメイン排気バルブ2118を開いて反応容器2
101およびガス配管内2116を排気する。
【0083】次に真空計2119の読みが所定の圧力に
なった時点で補助バルブ2260、ガス流入バルブ22
41〜2246、ガス流出バルブ2251〜2256を
閉じる。
【0084】その後、原料ガスボンベバルブ2231〜
2236を開いてガスボンベ2221〜2226より各
ガスを導入し、圧力調整器2261〜2266により各
ガス圧を2Kg/cm2 に調整する。次に、ガス流入バ
ルブ2241〜2246を徐々に開けて、各ガスをマス
フローコントローラー2211〜2216内に導入す
る。
【0085】以上のようにして堆積準備が完了した後、
以下の手順で導電性基体2112上に光導電層の形成を
行う。まず、導電性基体2112が所定の温度になった
ところでガス流出バルブ2251〜2256のうちの必
要なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガス
ボンベ2221〜2226から所定のガスを原料ガス導
入管2114を介して反応容器2101内に導入する。
次にマスフローコントローラー2211〜2216によ
って各原料ガスが所定の流量になるように調整する。そ
の際、反応容器2101内の圧力が所定の値になるよう
に真空計2119を見ながらメイン排気バルブ2118
の開口を調整する。
【0086】内圧が安定したところで、高周波電源21
20を所望の電力に設定して、高周波マッチングボック
ス2115、カソード電極2111を通じて反応容器2
101内にRF電力を導入し、導電性基体2112をア
ノードとして作用させてグロー放電を生起させる。放電
に用いる周波数は1〜50MHzのRF帯が好適に使用
できる。また、装置形態が異なるが、光導電層の形成に
は2.45GHzに代表されるマイクロ波を用いても構
わない。
【0087】この放電エネルギーによって反応容器21
01内に導入された各原料ガスが分解され、導電性基体
2112上に所定のシリコン原子を主成分とする光導電
層が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、高周
波電力の供給を止め、原料ガス供給装置2200のガス
流出バルブ2251〜2256を閉じて反応容器210
1ヘのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0088】次に同様の過程を用いて、必要に応じて導
電性基体と光導電層との間に、下部からの電荷の注入を
抑え、かつ密着性を向上させる目的で、下部阻止層を設
けてもよい。また、同様の過程を用いて光導電層の上に
表面層を適宜堆積させる。場合によってはさらにこの後
にオーバーコート層を堆積させる。
【0089】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外のガス流出バルブはすべて閉じられていることは言
うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器210
1内、ガス流出バルブ2251〜2256から反応容器
2101に至る配管内に残留することを避けるために、
ガス流出バルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ
2260を開き、さらにメイン排気バルブ2118を全
開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じ
て行う。
【0090】膜形成の均一化を図るために、層形成を行
なっている間は、導電性基体2112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0091】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられること
は言うまでもない。
【0092】図3に、他のプラズマCVD法による電子
写真用光受容部材の製造装置の例を示す。図3(a)は
それぞれの装置における導電性基体を収納し、導電性基
体に堆積膜を形成する反応容器を横から見た図であり、
図3(b)はそれぞれの装置を真上から見た図である。
【0093】この装置は大別すると、ガス供給装置(図
示せず)、導電性基体319が設置される反応容器31
0及び反応容器内を減圧するための排気装置(図示せ
ず)から構成されている。
【0094】図3(a)、図3(b)では、反応容器中
央に、ガス導入管313が配置され、このガス導入管を
中心軸とし、円周上に基体加熱用ヒーター312が配置
され、導電性基体319が設置される放電電極を兼ねた
基体支持体311を、基体加熱用ヒーター312を内包
するように配置されている。さらに基体支持体311の
外側の円周上に、導電性基体319、基体加熱用ヒータ
ー312、基体支持体311及びガス導入管313を内
包するように防着部材317が配置され、さらにその外
側に複数の放電電極318が配置されている。
【0095】図3に示した真空処理装置による従来の堆
積膜形成は、例えば以下のように行われる。
【0096】所定の構成に組み上げられた反応容器31
0を大気開放した状態で、反応容器310内に導電性基
体319が基体支持体311と基体上部キャップ(31
1の一部)により固定される。不図示の排気装置を用い
て反応容器310内を真空引きした後、不図示のガス供
給装置内のHe、N2 、Ar、O2 及びH2 のガスボンベ
から供給されるガス内の必要とされる加熱用ガスが、不
図示のバルブ、圧力調整器およびマスフローコントロー
ラーを介することにより適切な流量に調整されてガス配
管315、ガス導入管313を介して反応容器310内
に送り込まれる。
【0097】加熱用ガス導入後の反応容器310内の圧
力は真空計316によってモニターされ、スロットルバ
ルブ320の開度を調節すること等によって、所定の値
に制御される。導電性基体319の所定の加熱環境が整
ったところで、導電性基体319は基体加熱用ヒーター
312によって間接的に所定の温度にまで加熱される。
導電性基体319が所定の温度まで加熱された後、ガス
供給装置内のSiH4、H2 、CH4 、B2 6 、PH
3 等のガスボンベから供給されるガスの内の必要とされ
る堆積膜形成用ガスが、バルブ、圧力調整器及びマスフ
ローコントローラーを介することにより適切な流量に調
節され、ガス導入管313を介して、反応容器310内
に送り込まれる。
【0098】堆積膜形成用ガス導入後の反応容器310
内の圧力は真空計316によってモニターされ、スロッ
トルバルブ320の開度を調節すること等によって、所
定の値に制御される。所定の堆積膜形成環境が整ったと
ころで、高周波電源(図示せず)よりマッチングボック
ス314及び放電電極318を通じて高周波電力が反応
容器310内に導入されプラズマを生起する。プラズマ
により堆積膜形成用ガスが分解され、導電性基体319
上に堆積膜を形成する。
【0099】図4は電子写真装置における、画像形成プ
ロセスに係わる要部、すなわち、光受容部材ならびにそ
の周囲に配置される各種部材の構成の一例を示す概略図
である。この図4を参照して、本発明の電子写真装置を
用いて画像を形成するプロセスの概略を以下に説明す
る。
【0100】中央に配置される光受容部材401は、図
面に垂直方向に回転軸を持つた回転円筒状の形状となっ
ており、図示するX方向に回転して複写操作を行う。光
受容部材401の周辺には、主帯電器402、現像器4
04、転写紙供給系405、転写帯電器406a、分離
帯電器406b、クリーニングローラ407、搬送系4
08、除電光源409等が配設されている。
【0101】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、光受容部材401は高電圧を印加した主帯
電器402により一様に帯電され、これにレーザーユニ
ット418から発せられてミラー419を経由した光に
よって静電潜像が形成され、この潜像に現像器404か
らネガ極性トナーが供給されてトナー像が形成される。
レーザーユニット418の制御には、CCDユニット4
17からの信号が用いられる。すなわち、ハロゲンラン
プ410から発した光が原稿台ガラス411上に置かれ
た原稿412に反射し、ミラー413、414、415
を経由し、レンズユニット416のレンズによって結像
され、CCDユニット417によって電気信号に変換さ
れた信号が導かれている。
【0102】一方、転写紙供給系405を通って、レジ
ストローラー422によって先端タイミングを調整さ
れ、光受容部材401方向に供給される転写材Pは、高
電圧が印加された転写帯電器406(a)と光受容部材
401との間隙において、背面からトナーとは逆極性の
正電荷を与えられ、これによって光受容部材表面のネガ
極性のトナー像は転写材Pに転写される。次いで、高圧
AC電圧が印加された分離帯電器406(b)により、
転写材Pは転写搬送系408を通って定着装置424に
至り、トナー像が定着されて装着外に搬出される。
【0103】転写部位において転写に寄与せず、光受容
部材401の表面に残留するトナーはクリーニングロー
ラ407とクリーニングブレード421とによって回収
され、残留する静電潜像は除電光源409によって消去
されて、次回の画像形成プロセスに移る。
【0104】除電光源409から光受容部材401に照
射される除電光の単位面積当たりのエネルギー量は、光
受容部材の特性や複写プロセスによって異なるが、主に
帯電能とメモリー(ゴースト現象)とを勘案して決めら
れる。光の単位面積当たりのエネルギー量が小さすぎる
と帯電能が大きくなるがゴースト現象が顕著に表れる可
能性がある。光の単位面積当たりのエネルギー量が大き
すぎるとゴースト現象は抑えられるが帯電能が所望の値
を満足しない可能性がある。通常0.5〜12μJ/c
2 、より好ましくは1〜6μJ/cm2 程度の範囲内
で適宜決定される。
【0105】以下に本発明について、実験例、及び、実
施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに
より何ら限定されるものではない。
【0106】《実験例1》図2に記載のプラズマCVD
装置を用いて表1、2に示した条件により下部阻止層、
光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、A〜E
の5種類の層設計に基づく光受容部材を完成させた。表
1には共通条件として下部阻止層と表面層の作成条件
を、表2にはそれぞれ異なる5種類の光導電層の作成条
件を示した。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】表2において、光導電層を第1の層、第2
の層に分割しているものに関しては、第2の層の層厚は
660nmの光が90%吸収する膜厚に設定した。ま
た、作成条件Eで作成した光受容部材は従来のアナログ
複写機用として用いられていた光受容部材と同等のもの
である。また、表面層に関しては、簡単のため変化領域
を設けなかったが、レーザー光により干渉縞が存在して
も、電位測定には影響を及ぼさないためここでは無視す
る。
【0110】次にキヤノン製複写機NP6750を実験
用として、露光系にレーザーユニット(波長6.55n
m)を搭載したデジタル複写機に改造した機械を用い、
除電光の光源をピーク波長が565nm、660nm、
675nm、700nmの4種類のLEDに順次変更し
て実験を行った。除電光の単位面積当たりのエネルギー
量は、光マルチパワーメータ(アドバンテスト社製、Q
8221)を用い、それぞれ3μJ/cm2 に校正して
使用した。この実験機を用いて、帯電電流値Ipを変化
させたときの表面電位Vdの推移を、現像器の位置に電
位計を配置して測定した。プロセススピードは300m
m/sec、測定時の光受容部材の表面温度は室温(2
5℃)とした。その結果の一例として、表2のA、B、
及び、Eに示した光受容部材の測定結果を図6(a)〜
(c)にそれぞれ示す。
【0111】図6から明らかなように、565nmから
675nmの除電光に対しては、波長が長くなるにつれ
過渡領域が広がる事がわかる。また、そのときの直線領
域における帯電特性、すなわち、直線の傾きは、ほとん
ど同等であり除電光波長依存性は小さい。この結果、除
電光の波長違いによる帯電特性の差は、過渡領域による
部分がほとんど占めている事がわかった。一方、700
nmの除電光を用いた場合は、直線領域における帯電特
性が他の波長の光を用いた場合と異なっており、除電光
照射の影響が直線領域にまで及んでいると推測される。
【0112】そこで、過渡領域の広がり具合に着目し、
その除電光波長依存性について詳細に解析するために、
除電光波長が565nmのときのデータと660nmの
ときのデータとの差分(565nm時の電位−660n
m時の電位)を計算し、よこ軸に帯電電流値Ip、たて
軸に前記差分ΔVdをとり、A〜Eの5種の光受容部材
ごとにグラフ化したものを図7に示す。
【0113】図7から明らかなように、Ip−ΔVd特
性は、すべての光受容部材に対して、帯電電流Ipの増
加とともに差分ΔVdの増加は緩やかになり、おおよそ
飽和傾向の特性カーブを示すことがわかった。また、そ
の飽和値は、光受容部材の光導電層の構成の差異に付随
して、比較的大きいものと少ないものに分類が可能であ
ることがわかった。この飽和値は、測定データを適当な
近似曲線でフィッティングしたり、外挿したりする等の
解析手法を用いることで値を特定する事ができるが、本
実験例ではより簡易的に特定する為に、測定した帯電電
流の範囲内における最大値として表した。その結果を表
3に示す。
【0114】また、図7のグラフを作成する際に、56
5nm時のデータと660nm時のデータを選択した理
由は、アナログ電子写真の除電光に一般的に用いられる
470nm〜610nmの波長帯の光と、デジタル電子
写真でよく用いられる630nm〜700nmの波長帯
の光となるように選択したものである。従って、それ以
外の波長を用いた場合においても同様の結果が得られる
が、アナログ式とデジタル式の電子写真プロセスにおい
て共通化できる光受容部材の層設計を行うためには、差
分を計算する波長間の差は大きいほうが好ましく、具体
的には、50nm以上である事が好ましい。また、過渡
領域の広がり具合に対する除電光波長依存性は、光受容
部材の層設計やプロセス条件によっても異なるため、3
種類以上の波長に対してIp−Vd特性を測定し、過渡
領域の広がり具合が最も顕著に表れる波長を適宜選択し
ても良い。また、比較する波長のうち最も長波側の光に
は630nm以上の波長の光を用いる事がより好まし
い。更に、これらの傾向は、ドラムヒーターなどよって
温調した状態のほうが表れ難く、室温でしたほうが顕著
に表れるため、測定時の光受容部材の表面温度は室温と
することがより好ましい。また、700nmの光につい
ては、上述のように直線領域にまで影響がおよぶ場合が
あり、Ip−ΔVd特性が上述のようなおおよそ飽和傾
向の特性カーブとならない場合があることからあまり好
ましくない。
【0115】次に、上記の5本の光受容部材に関して、
以下に示す3種類の評価を行った。
【0116】(1)ゴースト電位評価 前記のNP6750改造機を用い、現像器位置に電位計
を取り付け、通常の帯電・露光・除電のプロセスを行
う。この際、未露光時の帯電電位が400Vになるよう
に帯電電流を固定し、1周毎に白レベル→ハーフトーン
レベル→黒レベル→ハーフトーンレベルの露光を行い、
前後の2回のハーフトーンレベルの露光を行ったときの
電位の差をゴースト電位と定義する。
【0117】このような測定を、除電光光源を替え、5
65nm、610nm、630nm、660nmにおい
て行った。除電光の単位面積当たりのエネルギー量はす
べて3μJ/cm2とした。ゴースト電位が小さいほどゴ
ースト特性が良好であることを示している。得られた結
果はEに示した従来の光受容部材での除電光565nm
での結果Vg[V]を基準とし、以下のように判断した。
【0118】 ◎・・・ゴースト電位が1/2Vg[V]以下の範囲(全
くゴースト現象が現れない) ○・・・ゴースト電位が1/2Vg〜Vg[V]の範囲(ほ
とんど画像にゴースト現象がない) △・・・ゴースト電位がVg〜3/2Vg[V]の範囲(実
用上問題がないレベル) ・・・ゴースト電位が3/2Vg[V]以上の範囲(画像
にゴースト現象が現れるレベル) 得られた結果を表3に示す。
【0119】(2)感度評価 前記のNP6750改造機を用い、現像器位置に電位計
を取り付け、通常の帯電・露光・除電のプロセスを行
う。このとき、露光強度を変えたときの光受容部材の表
面電位の変化から感度を算出する。具体的には、表面電
位が400Vになるように帯電器に与える電流量を調整
した後、露光強度を変化させ、表面電位が50Vになる
露光強度Ieを便宜的に感度と定義する。数字が小さい
ほど感度が良好であることを示している。
【0120】このような測定を除電光565nm、61
0nm、630nm、660nmにおいて行った。除電
光の単位面積当たりのエネルギー量はすべて3μJ/c
2とした。得られた結果はEに示した従来の光受容部
材での除電光565nmでの結果 Ie[μJ/cm2]を基
準とし、以下のように判定した。
【0121】 ◎・・・2/3Ie[J/cm2]以下の範囲(非常に良好
な感度) ○・・・2/3Ie〜Ie[J/cm2]範囲(良好な感度) △・・・Ie〜4/3Ie[J/cm2]以下の範囲(実用上
問題がないレベル) ・・・4/3Ie[J/cm2]以上の範囲(感度が悪く、
問題あり) 得られた結果を表3に示す。 (3)暗減衰評価 上記のNP6750改造機を用い、現像器位置に取り付
けた電位計Sdと、帯電器直後にもう一つ電位計Ssを
取り付け、露光は行わずに帯電・除電を繰り返す。この
際、Sd位置での表面電位を400Vとなるように帯電
電流を決めたときの、Ssでの電位とSdでの電位の差
を暗減衰と定義する。この数字が小さいほど暗減衰が良
好であることを示している。
【0122】このような測定を除電光565nm、61
0nm、630nm、660nmにおいて行った。除電
光の単位面積当たりのエネルギー量はすべて3μJ/c
2とした。得られた結果はEに示した従来の光受容部
材での除電光565nmでの結果Vdd[V]を基準と
し、以下のように判定した。
【0123】 ◎・・・Vdd[V]以下の範囲(非常に良好な暗減衰) ○・・・Vdd〜3/2Vdd[V]の範囲(良好な暗減
衰) △・・・3/2Vdd〜2Vdd[V]の範囲(実用上問
題がないレベル) ×・・・2Vdd[V]以上の範囲(暗減衰が大きく、問
題あり) 得られた結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】表3から、Ip−Vd特性の波長差が少な
いA〜Cの光受容部材に関しては、広い波長範囲におい
て光受容部材としての諸特性が優れており、アナログ複
写機でもデジタル複写機でも良好な特性を示すことがわ
かった。またこの結果から、特に660nmでの特性劣
化が少ない場合には、実験したすべての波長領域で良好
な特性を示すことが分かった。
【0126】一方、Ip−Vd特性の波長差が比較的大
きい光受容部材D、Eでは、特に660nmでの結果が
悪く、その他の波長でも結果がよくないことがわかる。
このことから、アナログ複写機には好適に使用できる
が、特にデジタル複写機で用いられる条件下において、
更に改善が必要であることがわかった。
【0127】以上の結果、本発明による光受容部材の評
価方法を用いることにより、電子写真プロセスで使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対する汎用性につい
ての知見が得られることがわかる。更に、その知見は、
光受容部材の帯電特性だけでなく、感度特性、ゴースト
特性、暗減衰特性といった電子写真プロセスにおいて最
も重要な基本特性の優劣とも一致することがわかった。
【0128】次に、好ましい実施例について以下に示
す。
【0129】(実施例1)評価機として、キヤノン製複
写機NP6750をそのままの状態で使用したアナログ
式評価機Aと、キヤノン製複写機NP6750を実験用
として露光系にレーザーユニット(波長655nm)を
搭載したデジタル複写機に改造したデジタル式評価機B
を用意した。光受容部材には、実験例1に示した5種類
(A〜E)の光受容部材を用意した。
【0130】それらの5種類の光受容部材を、評価機B
にセットし、除電光の光源をピーク波長が565nm、
660nmの2種類のLEDに順次変更して、実験例1
に示した手順と同様に、Ip−Vd特性を、現像器の位
置に電位計を配置して測定した。除電光の単位面積当た
りのエネルギー量は、光マルチパワーメータ(アドバン
テスト社製、Q8221)を用い、それぞれ3μJ/c
2 とした。また、プロセススピードは320mm/s
ec、測定時の光受容部材の表面温度は室温(25℃)
とした。このときの、除電光波長が565nmのときの
データと660nmのときのデータとの差分ΔVd(5
65nm時の電位−660nm時の電位)の最大値を表
4に示す。
【0131】次に、それらの5種類の光受容部材を、評
価機A及びBに順次セットし、下記する手順で、帯電能
特性、感度特性、ゴースト特性に関する評価を行った。
その結果、及び、評価時に使用した除電光波長と像露光
光源を表4に示す。 ・帯電能特性評価 像露光オフの状態において、表面電位が400Vになる
よう帯電電流を調整し、調整後の帯電電流値によって帯
電能の評価を行った。この方法では、数値が小さいほど
帯電能が良好であることを示す。得られた値は、光受容
部材Eの評価機Aにおける測定結果IpEを基準とし、
以下のように判定した。
【0132】 ◎・・・2/3IpE [μA]以下の範囲 (非常に良好) ○・・・2/3IpE 〜 IpE [μA]範囲 (良好な感度) △・・・IpE 〜 4/3IpE [μA]以下の範囲 (実用上問題なし ) ×・・・4/3IpE [μA]以上の範囲 (実用上問題となる場合あり ) ・感度特性評価 像露光オフの状態において、表面電位が400Vになる
よう帯電電流を調整し、その後像露光の強度を変化さ
せ、表面電位が50Vになる露光強度によって感度の評
価を行った。この方法では、数字が小さいほど感度が良
好であることを示している。得られた値は、光受容部材
Eの評価機Aにおける測定結果IeEを基準とし、以下
のように判定した。
【0133】 ◎・・・2/3IeE [J/cm2]以下の範囲 (非常に良好) ○・・・2/3IeE 〜 IeE [J/cm2]範囲 (良好) △・・・IeE 〜 4/3IeE [J/cm2]以下の範囲 (実用上問題なし) ×・・・4/3IeE [J/cm2]以上の範囲 (実用上問題となる場合あり) ・ゴースト特性評価 キヤノン製ゴーストテストチャート(部品番号;FY9
−9040)を原稿台の上におき、反射濃度1.1、直
径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その
上にキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9
042)を重ねて置き、コピー画像を反復して作成す
る。このコピー画像において、中間調コピー上に認めら
れるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と
中間調部分の反射濃度との差を測定、評価した。
【0134】 ◎・・・非常に良好 ○・・・良好 △・・・実用上問題なし ×・・・実用上問題となる場合あり
【0135】
【表4】
【0136】表4から、Ip−Vd特性の波長差が少な
いA〜Cの光受容部材に関しては、広い波長範囲におい
て光受容部材としての諸特性が優れており、アナログ複
写機でもデジタル複写機でも良好な特性を示すことがわ
かった。一方、Ip−Vd特性の波長差が比較的大きい
光受容部材D、Eでは、評価機Bにおける結果が悪く、
アナログ複写機には好適に使用できるが、デジタル複写
機で用いられる条件下において、更に改善が必要である
ことがわかった。
【0137】以上の結果、本発明による光受容部材の評
価方法を用いることにより、電子写真プロセスで使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対する汎用性につい
ての知見が得られることがわかる。更に、その知見は、
光受容部材の帯電特性、感度特性、ゴースト特性といっ
た電子写真プロセスにおいて最も重要な基本特性の優劣
とも一致することが示された。
【0138】(実施例2)評価機として、キヤノン製複
写機NP6750を実験用としてプロセススピードを2
40mm/secに改造したアナログ式評価機Cと、同
じくキヤノン製複写機NP6750を実験用としてプロ
セススピードを240mm/secに改造し、更に、露
光系にレーザーユニット(波長630nm)を搭載した
デジタル複写機に改造したデジタル式評価機Dを用意し
た。光受容部材には、実験例1に示した5種類(A〜
E)の光受容部材を用意した。
【0139】それらの5種類の光受容部材を、評価機D
にセットし、除電光の光源をピーク波長が470nm、
630nmの2種類のLEDに順次変更して、実験例1
に示した手順と同様に、Ip−Vd特性を、現像器の位
置に電位計を配置して測定した。除電光の単位面積当た
りのエネルギー量は、光マルチパワーメータ(アドバン
テスト社製、Q8221)を用い、それぞれ3μJ/c
2 とした。また、測定温度は、室温と光受容部材の表
面温度が42℃となるようドラムヒーターによって加熱
した状態との2種類について行った。それぞれの状態
で、除電光波長が470nmのときのデータと630n
mのときのデータとの差分ΔVd(470nm時の電位
−630nm時の電位)の最大値を表5に示す。
【0140】次に、それらの5種類の光受容部材を、評
価機C及びDに順次セットし、実施例1に示した手順
で、帯電能特性、感度特性、ゴースト特性に関する評価
を行った。その結果、及び、評価時に使用した除電光波
長と像露光光源を表5に示す。
【0141】
【表5】
【0142】表5より、ΔVdの最大値に関しては、光
受容部材の温度を高くすると小さくなる事がわかる。し
かしながら、それらの値が光受容部材A、B、C、D、
Eの順に大きくなる傾向は、光受容部材の温度に依存し
ない事がわかる。
【0143】また、室温測定時におけるIp−Vd特性
の波長差が少ないA〜Cの光受容部材に関しては、広い
波長範囲において光受容部材としての諸特性が優れてお
り、アナログ複写機でもデジタル複写機でも良好な特性
を示すことがわかった。一方、室温測定時におけるIp
−Vd特性の波長差が比較的大きい光受容部材D、Eで
は、評価機Dにおける結果が悪く、アナログ複写機には
好適に使用できるが、デジタル複写機で用いられる条件
下において、更に改善が必要であることがわかった。
【0144】以上の結果、本発明による光受容部材の評
価方法を用いることにより、電子写真プロセスで使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対する汎用性につい
ての知見が得られることがわかる。更に、その知見は、
光受容部材の帯電特性、感度特性、ゴースト特性といっ
た電子写真プロセスにおいて最も重要な基本特性の優劣
とも一致することが示された。
【0145】(実施例3)評価機として、キヤノン製複
写機NP6750を実験用としてプロセススピードを4
50mm/secに改造したアナログ式評価機Eと、同
じくキヤノン製複写機NP6750を実験用としてプロ
セススピードを450mm/secに改造し、更に、露
光系にレーザーユニット(波長675nm)を搭載した
デジタル複写機に改造したデジタル式評価機Fを用意し
た。光受容部材には、図3に記載のVHF電源(電源周
波数105MHz)を用いたプラズマCVD装置を用
い、表6、7に示した条件により下部阻止層、光導電
層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、F〜Jの5種
類の層設計に基づく光受容部材を成膜した。表6には共
通条件として下部阻止層と表面層の作成条件を、表7に
はそれぞれ異なる5種類の光導電層の作成条件を示し
た。表7において、光導電層を第1の層、第2の層に分
割しているものに関しては、第2の層の層厚は680n
mの光を90%吸収する膜厚に設定した。
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】これらの5種類の光受容部材を、評価機F
にセットし、除電光の光源をピーク波長が610nm、
680nmの2種類のLEDに順次変更して、実験例1
に示した手順と同様に、Ip−Vd特性を、現像器の位
置に電位計を配置して測定した。除電光の単位面積当た
りのエネルギー量は、光マルチパワーメータ(アドバン
テスト社製、Q8221)を用い、それぞれ3μJ/c
2 とした。また、測定温度は、室温と光受容部材の表
面温度が42℃となるようドラムヒーターによって加熱
した状態の2種類行った。それぞれの状態で、除電光波
長が610nmのときのデータと680nmのときのデ
ータとの差分ΔVd(610nm時の電位−680nm
時の電位)の最大値を表8に示す。
【0149】次に、それらの5種類の光受容部材を、評
価機E及びFに順次セットし、実施例1に示した手順
で、帯電能特性、感度特性、ゴースト特性に関する評価
を行った。その結果、及び、評価時に使用した除電光波
長と像露光光源を表8に示す。
【0150】
【表8】
【0151】表8より、ΔVdの最大値に関しては、光
受容部材の温度を高くすると小さくなる事がわかる。し
かしながら、それらの値が光受容部材F、G、H、I、
Jの順に大きくる傾向は、光受容部材の温度に依存しな
い事がわかる。
【0152】また、室温測定時におけるIp−Vd特性
の波長差が少ないF〜Hの光受容部材に関しては、広い
波長範囲において光受容部材としての諸特性が優れてお
り、アナログ複写機でもデジタル複写機でも良好な特性
を示すことがわかった。一方、室温測定時におけるIp
−Vd特性の波長差が比較的大きい光受容部材I、Jで
は、評価機Fにおける結果が悪く、アナログ複写機には
好適に使用できるが、デジタル複写機で用いられる条件
下において、更に改善が必要であることがわかった。
【0153】以上の結果、本発明による光受容部材の評
価方法を用いることにより、電子写真プロセスで使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対する汎用性につい
ての知見が得られることがわかる。更に、その知見は、
光受容部材の帯電特性、感度特性、ゴースト特性といっ
た電子写真プロセスにおいて最も重要な基本特性の優劣
とも一致することが示された。
【0154】(実施例4)評価機として、キヤノン製複
写機NP6750を実験用としてプロセススピードを4
00mm/secに改造したアナログ式評価機Gと、同
じくキヤノン製複写機NP6750を実験用としてプロ
セススピードを400mm/secに改造し、更に、露
光系にレーザーユニット(波長655nm)を搭載した
デジタル複写機に改造したデジタル式評価機Hを用意し
た。光受容部材には、実施例3に示した5種類(F〜
J)の光受容部材を用意した。
【0155】それらの5種類の光受容部材を、評価機H
にセットし、除電光の光源をピーク波長が565nm、
660nmの2種類のLEDに順次変更して、帯電時に
光受容部材に流れこむ電流値Id(以後、光受容部材電
流値と称す)を変化させたときの表面電位の推移を、現
像器の位置に電位計を配置して測定し、Id−Vd特性
を測定した。また、除電光の光量は、単位面積当たりの
フォトン数が一定となるよう、565nmのLEDのと
きは、3.3[μJ/cm2 ]、660nmのLEDのと
きは、2.8[μJ/cm2 ]とした。この条件で、単位面
積当たりのエネルギー量を光のフォトンエネルギーで除
した値が、どちらの光源についても1.5となる。光の
エネルギー量の測定には、光マルチパワーメータ(アド
バンテスト社製、Q8221)を用いた。また、測定温
度は、室温と光受容部材の表面温度が42℃となるよう
ドラムヒーターによって加熱した状態の2種類行った。
それぞれの状態で、除電光波長が565nmのときのデ
ータと660nmのときのデータとの差分ΔVd(56
5nm時の電位−660nm時の電位)の最大値を表9
に示す。
【0156】次に、それらの5種類の光受容部材を、評
価機G及びHに順次セットし、実施例1に示した手順
で、帯電能特性、感度特性、ゴースト特性に関する評価
を行った。その結果、及び、評価時に使用した除電光波
長と像露光光源を表9に示す。
【0157】
【表9】
【0158】表9より、ΔVdの最大値に関しては、光
受容部材の温度を高くすると小さくなる事がわかる。し
かしながら、それらの値が光受容部材F、G、H、I、
Jの順に大きくなる傾向は、光受容部材の温度に依存し
ない事がわかる。
【0159】また、室温測定時におけるId−Vd特性
の波長差が少ないF〜Hの光受容部材に関しては、広い
波長範囲において光受容部材としての諸特性が優れてお
り、アナログ複写機でもデジタル複写機でも良好な特性
を示すことがわかった。一方、室温測定時におけるId
−Vd特性の波長差が比較的大きい光受容部材I、Jで
は、評価機Hにおける結果が悪く、アナログ複写機には
好適に使用できるが、デジタル複写機で用いられる条件
下において、更に改善が必要であることがわかった。
【0160】以上の結果、本発明による光受容部材の評
価方法を用いることにより、電子写真プロセスで使用さ
れうる広範囲におよぶ波長帯の光に対する汎用性につい
ての知見が得られることがわかる。更に、その知見は、
光受容部材の帯電特性、感度特性、ゴースト特性といっ
た電子写真プロセスにおいて最も重要な基本特性の優劣
とも一致することが示された。
【0161】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光受容部
材は、導電性基体と、少なくともシリコン原子を母体と
し、水素原子及び/またはハロゲン原子を含有するアモ
ルファス材料からなる光導電層とを具えており、各帯電
電流値Ipに対する、除電光波長565nmにおける表
面電位Vdと除電光波長660nmにおける表面電位V
dの差分の最大値が120V以下とすることにより、広
い波長領域にわたって常に良好な電位特性をもつ汎用性
の高い光受容部材が提供できる。この事により、様々な
光源をもつ複写機に共用可能な光受容部材が実現可能で
あり、開発対象の削減による開発効率の大幅向上、多品
種生産から単一機種生産への転換による生産性の飛躍的
な向上が図れる。
【0162】加えて、帯電特性以外にも、様々な特性改
善が得られ、特にゴースト現象がほとんどなく、高品位
な画像が再現性よく得られ、且つその高品位な画像が長
期間にわたって安定して得られる光受容部材を提供でき
る。
【0163】また、本発明の光受容部材の測定方法を用
いることにより、像露光や除電光に使用されうる広範囲
におよぶ波長帯の光に対して所望の特性が得られる光受
容部材特性の測定が可能となる。この結果、デジタル方
式からアナログ方式までの様々な電子写真プロセス条件
に対して共用可能となるような、汎用性の高い光受容部
材が実現可能となる。
【0164】また、本発明の電子写真装置は、本発明の
光受容部材を用いて装置が構成されているので、デジタ
ル方式による鮮明な画像形成ができ、例えば、ドット再
現性、解像力、階調性といった画質の向上も図ることが
できる。加えて、このような高い画質品位は、長期間の
使用後においても維持され、高耐久性を有する装置とも
なり、総合的に非常に高品質な画像を得ることができ、
耐久性にも優れたデジタル方式の電子写真装置を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光受容部材の層構成を説明する
ための模式的断面図である。(a)は単層型である。
(b)は積層型である。(c)更にオーバーコート層を
有するものである。
【図2】本発明の光受容部材を形成するための装置の一
例で、RF帯の高周波電源を用いたグロー放電法による
光受容部材の製造装置の模式的断面図である。
【図3】本発明の光受容部材を形成するための装置の一
例で、VHF帯の高周波電源を用いたグロー放電法によ
る光受容部材の製造装置の模式的断面図である。
【図4】本発明の光受容部材を好適に使用するための本
発明の電子写真装置の模式的断面図である。
【図5】Ip−Vd特性の波長依存性をあらわした模式
的説明図である。
【図6】波長の異なる除電光を同一の光受容部材に照射
したときのIp−Vd特性の除電光波長依存性をあらわ
した図である。(a)は表2のAに示した光受容部材の
図である。(b)は表2のBに示した光受容部材の図で
ある。(c)は表2のEに示した光受容部材の図であ
る。
【図7】565nm及び660nmの波長をもつ除電光
を用いた際の表面電位の差分の、帯電電流に対する依存
性を示した図である。
【符号の説明】
101 導電性基体 102 電荷注入阻止層 103 光導電層 103(a) 第1の層領域 103(b) 第2の層領域 104(a) 表面層 104(b)オーバーコート層 2100 堆積装置 2101 反応容器 2111 カソード電極 2112 導電性基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 ガス導入管 2115 高周波マッチングボックス 2116 原料ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メイン排気バルブ 2119 真空計 2120 高周波電源 2121 碍子 2123 基体支持体 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ボンベ 2231〜2236 バルブ 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 310 反応容器 311 基体支持体 312 基体加熱用ヒーター 313 ガス導入管 314 マッチングボックス 315 ガス配管 316 真空計 317 防着部材 318 放電電極 319 導電性基体 320 スロットルバルブ 401 光受容部材 402 主帯電器 403 静電潜像形成部位 404 現像器 405 転写紙供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 407 クリーニングローラー 408 搬送系 409 除電光源 410 ハロゲンランプ 411 原稿台 412 原稿 413 ミラー 414 ミラー 415 ミラー 416 レンズユニット 417 CCDユニット 418 レーザーユニット 419 ミラー 420 ブランク露光LED 421 クリーニングブレード 422 レジストローラー 424 定着装置
フロントページの続き (72)発明者 古島 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 青木 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新納 博明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 土田 伸史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河村 邦正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA12 DA24 DA28 DA37 DA41 2H134 QA02

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電・露光・現像・転写・除電の工程を
    繰り返す複写プロセスにおいて使用される電子写真用光
    受容部材であって、 導電性基体と、少なくともシリコン原子を母体とし、水
    素原子及び/またはハロゲン原子を含有するアモルファ
    ス材料からなる光導電層とを備え、 前記光受容部材表面の周辺部材に対する相対的な移動速
    度を300mm/sec、該光受容部材の表面温度を室
    温とし、光の単位面積当たりのエネルギー量が同一で波
    長が565nmおよび660nmの2種類の除電光を該
    光受容部材に照射したときの、前記帯電に使用される帯
    電部材を流れる電流値(以後、帯電電流値と称す)と前
    記光受容部材の表面電位との相関関係を各除電光に対し
    て求め、帯電電流値ごとに2種類の除電光間における表
    面電位の差分を計算したとき、その差分の最大値が12
    0V以下であることを特徴とする電子写真用光受容部
    材。
  2. 【請求項2】 前記導電性基体上に形成されている前記
    光導電層は、該導電性基体側から第1の層領域および第
    2の層領域の二つの領域で構成され、 前記第2の層領域の厚さが、静電潜像の露光を行う光ビ
    ーム照射工程に用いられる光波長ならびに前記除電光照
    射工程に用いられる光波長の何れの照射においても、照
    射される光量の90%以上が吸収される厚さに設定され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用光
    受容部材。
  3. 【請求項3】 前記光導電層は、用いられるアモルファ
    ス材料中に周期表第13族元素を含有し、前記第2の層
    領域における周期表第13族元素の含有量が、前記第1
    の層領域における周期表第13族元素の含有量に比べて
    少ないことを特徴とする請求項2に記載の電子写真用光
    受容部材。
  4. 【請求項4】 前記光導電層の第1の層領域に用いられ
    るアモルファス材料において、該アモルファス材料母体
    となるシリコン原子に対する周期表第13族元素の添加
    率が0.2ppm以上30ppm以下の範囲で選択され
    ていることを特徴とする請求項3に記載の電子写真用光
    受容部材。
  5. 【請求項5】 前記光導電層の第2の層領域に用いられ
    るアモルファス材料において、該アモルファス材料母体
    となるシリコン原子に対する周期表第13族元素の添加
    率が0.005ppm以上3ppm以下の範囲で選択さ
    れていることを特徴とする請求項3または請求項4に記
    載の電子写真用光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記第2の層領域の光学的バンドギャッ
    プ値が、前記第1の層領域の光学的バンドギャップ値よ
    りも狭く設定され、1.6eV以上1.8eV未満である
    ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に
    記載の電子写真用光受容部材。
  7. 【請求項7】 前記第2の層領域の水素含有量が、前記
    第1の層領域の水素含有量より少なく、シリコン原子に
    対して5%以上25%未満であることを特徴とする請求
    項2から請求項4の何れか1項に記載の電子写真用光受
    容部材。
  8. 【請求項8】 前記光導電層の上に、少なくともシリコ
    ン原子を母体構成原子として含み、水素原子及び/また
    はハロゲン原子を含有し、炭素原子、酸素原子、窒素原
    子の少なくとも一つを他の母体構成原子として含む非単
    結晶材料からなる表面層が設けられ、該表面層と前記光
    導電層との間に、両者を構成する材料組成を連続的に変
    化させる変移領域が設けられていることを特徴とする請
    求項1から請求項7の何れか1項に記載の電子写真用光
    受容部材。
  9. 【請求項9】 前記光受容部材の最表面に、水素原子及
    び/またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素材料か
    らなるオーバーコート層が設けられ、その下に位置する
    層との間に両者を構成する材料組成を連続的に変化させ
    る変移領域が設けられていることを特徴とする請求項1
    から請求項8の何れか1項に記載の電子写真用光受容部
    材。
  10. 【請求項10】 前記光導電層の上に、水素及び/また
    はハロゲンを含む非単結晶炭素からなる表面層が設けら
    れ、かつ、該光導電層と該表面層との間に、両者を構成
    する材料組成を連続的に変化させる変移領域が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか
    1項に記載の電子写真用光受容部材。
  11. 【請求項11】 電子写真用光受容部材に対して、少な
    くとも、除電光照射、帯電、表面電位測定の各工程を行
    うことによって該光受容部材の特性を評価する特性評価
    方法であって、 光の単位面積当たりのエネルギー量が同一で波長の異な
    る複数の除電光を前記光受容部材に照射したときに、前
    記帯電に使用される帯電部材を流れる電流値(以後、帯
    電電流値と称す)と前記光受容部材の表面電位との相関
    関係を、それぞれの照射された除電光に対して求め、帯
    電電流値ごとに波長の異なる除電光間における表面電位
    の差分を計算し、その最大値によって前記光受容部材の
    特性を評価することを特徴とする電子写真用光受容部材
    の特性評価方法。
  12. 【請求項12】 電子写真用光受容部材に対して、少な
    くとも、除電光照射、帯電、表面電位測定の各工程を行
    うことによって該光受容部材の特性を評価する特性評価
    方法であって、 光の単位面積当たりのエネルギー量が同一で波長の異な
    る複数の除電光を照射したときに、前記帯電工程におい
    て前記光受容部材に流れこむ電流値(以後、光受容部材
    電流値と称す)と前記光受容部材の表面電位との関係
    を、それぞれの照射された除電光に対して求め、光受容
    部材電流値ごとに波長の異なる除電光間における表面電
    位の差分を計算し、その最大値によって前記光受容部材
    の特性を評価することを特徴とする電子写真用光受容部
    材の特性評価方法。
  13. 【請求項13】 電子写真用光受容部材に対して、少な
    くとも、除電光照射、帯電、表面電位測定の各工程を行
    うことによって該光受容部材の特性を評価する特性評価
    方法であって、 光の単位面積当たりのフォトン数が同一で波長の異なる
    複数の除電光を照射したときの、前記帯電に使用される
    帯電部材を流れる電流値(以後、帯電電流値と称す)と
    前記光受容部材の表面電位との関係を、それぞれの照射
    された除電光に対して求め、帯電電流値ごとに波長の異
    なる除電光間における表面電位の差分を計算し、その最
    大値によって前記光受容部材の特性を評価することを特
    徴とする電子写真用光受容部材の特性評価方法。
  14. 【請求項14】 電子写真用光受容部材に対して、少な
    くとも、除電光照射、帯電、表面電位測定の各工程を行
    うことによって該光受容部材の特性を評価する特性評価
    方法であって、 光の単位面積当たりのフォトン数が同一で波長の異なる
    複数の除電光を照射したときの、該帯電工程において前
    記光受容部材に流れこむ電流値(以後、光受容部材電流
    値と称す)と前記光受容部材の表面電位との関係を、そ
    れぞれの照射された除電光に対して求め、光受容部材電
    流値ごとに波長の異なる除電光間における表面電位の差
    分を計算し、その最大値によって前記光受容部材の特性
    を評価することを特徴とする電子写真用光受容部材の特
    性評価方法。
  15. 【請求項15】 前記光受容部材に照射される波長の異
    なる前記複数の除電光において、前記差分が計算される
    除電光の波長間の差が50nm以上であることを特徴と
    する請求項11から請求項14の何れか1項に記載の電
    子写真用光受容部材の特性評価方法。
  16. 【請求項16】 前記光受容部材に照射される波長の異
    なる前記複数の除電光において、最も長波長となる除電
    光の波長が630nm以上700nm以下であることを
    特徴とする請求項11から請求項15の何れか1項に記
    載の電子写真用光受容部材の特性評価方法。
  17. 【請求項17】 前記各工程を行うときの前記光受容部
    材の表面温度を室温とすることを特徴とする請求項11
    から請求項16の何れか1項に記載の電子写真用光受容
    部材の特性評価方法。
  18. 【請求項18】 前記光受容部材は、少なくとも、導電
    性基体と、シリコン原子を母体とし、水素原子及び/ま
    たはハロゲン原子を含有するアモルファス材料からなる
    光導電層とを備えることを特徴とする請求項11から請
    求項17の何れか1項に記載の電子写真用光受容部材の
    特性評価方法。
  19. 【請求項19】 導電性基体と、少なくともシリコン原
    子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子を含
    有するアモルファス材料からなる光導電層とを備えた電
    子写真用光受容部材を静電潜像担持体に用い、 前記静電潜像担持体上への静電潜像形成に、少なくと
    も、除電光照射工程、帯電工程、及び、画像パターンに
    したがって、複数行、複数列の画素マトリクスの各画素
    毎に光ビーム照射する工程を含むデジタル方式を採用す
    る電子写真装置であって、 前記電子写真用光受容部材が、請求項1から請求項10
    の何れか1項に記載の電子写真用光受容部材であること
    を特徴とする電子写真装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10054816B2 (en) 2009-11-12 2018-08-21 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using same
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