JP2002030167A - ガスバリア性樹脂成形体 - Google Patents

ガスバリア性樹脂成形体

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JP2002030167A
JP2002030167A JP2000216578A JP2000216578A JP2002030167A JP 2002030167 A JP2002030167 A JP 2002030167A JP 2000216578 A JP2000216578 A JP 2000216578A JP 2000216578 A JP2000216578 A JP 2000216578A JP 2002030167 A JP2002030167 A JP 2002030167A
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Japan
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alkyl group
coating layer
gas barrier
carbon atoms
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Application number
JP2000216578A
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English (en)
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Hiroko Harada
弘子 原田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の使用環境下および過酷な環境下におい
て十分に高いガスバリア性を保持することができるガス
バリア性樹脂成形体を提供する。 【解決手段】 樹脂成形体基板上に、アミノ基を有する
高分子化合物(I)と、一般式(1) 【化1】 (上記式中、R2は、アミノ基と反応し得る官能基を有
するアルキル基である。R1は、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基であり、同一または異なっていても
よいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル基で
ある。nは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化
合物(II)とを含む組成物を加水分解縮合してなる被覆
層を有するガスバリア性樹脂成形体であって、前記被覆
層中のSiOR1基の未反応率が、当量比で、 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なガスバリア
性樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の気体
の透過度が極めて小さいガスバリア材は包装用材料等の
分野において需要が増大している。こうした飲料や食品
用容器などの包装用材料等は、高湿状態で使用される場
合が多く、こうした過酷な環境下での高いガスバリア性
が求められている。かかる要求に対し、過酷な環境下で
も高いガスバリア性をプラスチックフィルムまたはシー
ト等の成形体材料に付与するためには、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、芳
香族系ナイロン等の気体不透過性素材で成形体を形成す
る、これらの気体不透過性素材を他の材料にラミネート
またはコーティングする、アルミ箔をフィルム状材料に
ラミネートする、金属酸化物を蒸着する等の方法がとら
れている。
【0003】しかしながら、これらの気体不透過性素材
のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体や芳香族
系ナイロンは耐湿性に劣り、雰囲気の湿度が大きくなる
に従ってガスバリア性が大幅に低下するという問題があ
り、塩化ビニリデン系共重合体は塩素原子を含んでいる
ため、公害の原因となる恐れがある。また、上記アルミ
箔ラミネートフィルムでは、包装された内容物を外から
見ることができず、金属酸化物蒸着フィルムは可撓性に
劣るため蒸着層にクラックが生じ易く、ガスバリア性の
低下を引き起こすという問題があった。
【0004】このような問題点を解決するため、例え
ば、特開2000−934号では、ポリビニルアルコー
ルの高湿度下での安定化方法が提案されているが、充分
といえるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、通常の使用環境下および過酷な環境下において
十分に高いガスバリア性を保持することができるガスバ
リア性樹脂成形体を提供するものである。
【0006】さらに、本発明の目的は、上記ガスバリア
性を保持し、かつ透明性に優れ、非処理物の物性を損な
わないような可撓性を有するガスバリア性樹脂成形体を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】これらの諸目的は、下記
(1)〜(4)により達成される。
【0008】(1) 樹脂成形体基板上に、アミノ基を
有する高分子化合物(I)と、下記一般式(1)
【0009】
【化3】
【0010】(上記式中、R2は、アミノ基と反応し得
る官能基を有するアルキル基である。R1は、水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基であり、同一または異
なっていてもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4の
アルキル基である。nは1〜3の整数である。)で表さ
れるケイ素化合物(II)と、を含む組成物を加水分解縮
合してなる被覆層を有するガスバリア性樹脂成形体であ
って、前記被覆層中のSiOR1基の未反応率が当量比
で、
【0011】
【数3】
【0012】であることを特徴とするガスバリア性樹脂
成形体。
【0013】(2) 前記被覆層に、さらに下記一般式
(2)
【0014】
【化4】
【0015】(上記式中、R4は炭素数1〜4のアルキ
ル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数
1〜4のアルキル基である。R3は、水素原子または炭
素数1〜4のアルキル基であり、同一または異なってい
てもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル
基である。mは1〜4の整数である。)で表されるケイ
素化合物(III)を加水分解縮合した成分が含まれるも
のである上記(1)に記載のガスバリア性樹脂成形体で
あって、前記被覆層中のSiOR5基(R5は、前記R1
またはR3の炭素数1〜4のアルキル基の定義と同じで
ある。)の未反応率が当量比で、
【0016】
【数4】
【0017】であることを特徴とするガスバリア性樹脂
成形体。
【0018】(3) 前記アミノ基を有する高分子化合
物(I)が、ポリアルキレンイミンであることを特徴と
する上記(1)または(2)に記載のガスバリア性樹脂
成形体。
【0019】(4) 前記アミノ基を有する高分子化合
物(I)が、ポリエチレンイミンであることを特徴とす
る上記(3)に記載のガスバリア性樹脂成形体。
【0020】
【発明の実施の態様】本発明のガスバリア性樹脂成形体
は、樹脂成形体基板上に、アミノ基を有する高分子化合
物(I)と、下記一般式(1)
【0021】
【化5】
【0022】(上記式中、R2は、アミノ基と反応し得
る官能基を有するアルキル基である。R1は、水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基であり、同一または異
なっていてもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4の
アルキル基である。nは1〜3の整数である。)で表さ
れるケイ素化合物(II)と、を含む組成物を加水分解縮
合してなる被覆層を有するガスバリア性樹脂成形体であ
って、前記被覆層中のSiOR1基の未反応率が当量比
で、
【0023】
【数5】
【0024】であることを特徴とするものである。本明
細書中において、被覆層中のSiOR 1基および上記数
式中のSiOR1とは、一般式(1)由来の残存SiO
1基をいう。本発明のガスバリア性樹脂成形体は、好
ましくは、前記被覆層に、さらに下記一般式(2)
【0025】
【化6】
【0026】(上記式中、R4は炭素数1〜4のアルキ
ル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数
1〜4のアルキル基である。R3は、水素原子または炭
素数1〜4のアルキル基であり、同一または異なってい
てもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル
基である。mは1〜4の整数である。)で表されるケイ
素化合物(III)を加水分解縮合した成分が含まれるも
のであって、前記被覆層中のSiOR5基(R5は、前記
1またはR3の炭素数1〜4のアルキル基の定義と同じ
である。)の未反応率が当量比で、
【0027】
【数6】
【0028】であることを特徴とするものである。本明
細書中において、被覆層中のSiOR 5基および上記数
式中のSiOR5とは、一般式(1)由来の残存SiO
1基に加え、一般式(2)由来の残存SiOR3基をい
う。
【0029】上記構成を有するガスバリア性樹脂成形体
では、その被覆層中のSiOR1基ないしSiOR5基の
未反応率が極めて低く形成されているために、標準(恒
湿)状態から高湿状態までの幅広い範囲でガスバリア性
を大幅に向上させることができるものである。特に上記
一般式(2)で表されるケイ素化合物(III)を使用す
ることで、被覆層に該ケイ素化合物(III)を加水分解
縮合した成分を持たせることにより、標準(恒湿)状態
から高湿状態までの幅広い範囲でガスバリア性をより一
層高めることができ、飲料や食品用容器など高湿状態で
使用される場合が多い分野にて好適に利用することがで
きる。
【0030】以下、本発明につき詳細に説明する。
【0031】まず、本発明に用いることのできる樹脂成
形体基板としては、ガスバリア性が要求される各種用
途、例えば、液晶表示装置のデイスプレー(パネル)な
どの電子部品、食料・飲料品の容器や包装材(食品包装
用フィルムやラップフィルムなど)、医療機器などの要
求特性(例えば、機械的特性、光学特性、など)に応じ
て、最適な基材を適宜選択されるべきものであり、特に
制限されるものではない。具体的に例示すれば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステル
系樹脂、ポリアミド類、ポリスチレン、ポリ(メタ)ア
クリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリカーボネート、セロファン、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルケト
ン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂
や、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹
脂、アルキド樹脂、珪素樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げ
られる。なお、最適な基材は用途ごとに異なるものであ
るが、例えば、液晶表示素子の表面パネルに利用する
場合には、耐熱性、機械的強度、透明性、成形性、反射
防止性などの観点から、ポリカーボネートが好ましく、
食料・飲料品の容器や包装材(食品包装用フィルムや
ラップフィルムなど)に利用する場合には、機械的強
度、透明性、耐熱性、成形容易性、着色、低燃焼カロリ
ー化などの観点から、ポリカーボネート(PC)、耐衝
撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体
(EVOH)、ガスバリヤー性樹脂、ポリエチレンやポ
リプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリ
ロニトリル、ポリアミド、セロハンが好ましく、特に加
工のし易さから、ポリプロピレン、ポリアミド、PET
などの熱可塑性樹脂がより好ましい。これらは、1種単
独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ま
た、これらの基板自身も単一材料では得られない要求特
性を得るために性質の異なる材料により多層にしてもよ
い。
【0032】上記樹脂成形体基材の形状としては、特に
制限されるものではなく、使用用途に応じて適宜選択さ
れるべきものである。具体的に例示すれば、フィルム
状、シート状、ボトル状などが挙げられる。
【0033】上記樹脂成形体基材の厚さは、使用用途に
より異なるため一義的に規定することは困難であり、用
途に応じて適宜選択されるべきものである。例えば、
液晶表示素子の表面パネルに利用する場合には、通常5
0〜500μm、好ましくは100〜300μmの範囲
である。基材の厚さが、50μm未満の場合には、表面
平滑性に劣り、画像不良の原因となるほか、表面パネル
として十分な強度を保持できない場合があるなど好まし
くない。一方、500μmを越える場合には、画像の乱
れのほか、いわゆる携帯機器に求められる軽薄短小の要
求を満足するのが困難となる場合があるなど好ましくな
い。また、食料・飲料品の容器や包装材(食品包装用
フィルムやラップフィルムなど)に利用する場合には、
通常7〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲
である。基材の厚さが、7μm未満の場合には、ピンホ
ールが発生する可能性のほか、機械的強度不足であるな
ど好ましくない。一方、100μmを越える場合には、
被覆成形体の生産性に劣るほか、容器や包装材に求めら
れる薄膜化の要求を満足するのが困難となる場合がある
など好ましくない。
【0034】次に、上記樹脂成形体基板上には、上記高
分子化合物(I)とケイ素化合物(II)と、を含む組成
物を加水分解縮合してなる被覆層を有するものである。
【0035】このうち、上記アミノ基を有する高分子化
合物(I)としては、特に制限されるものではないが、
好ましくは、ポリアルキレンイミンである。これは、高
分子化合物(I)が、主として上記被覆層に可とう性、
樹脂成形体基板への密着性を付与する目的で用いること
からであり、ポリエチレンイミンであることがより好ま
しい。
【0036】上記アミノ基を有する高分子化合物(I)
としては、具体的には、ポリアルキルイミン類、ポリア
リルアミン類、アミノ基含有(メタ)アクリレートのホ
モポリマー、これらのアミノ基含有(メタ)アクリレー
トと他の(メタ)アクリレート類または(メタ)アクリ
ル酸とのコポリマー、陽イオン交換樹脂などが挙げられ
る。なかでも、被覆層の透明性の観点から、ポリアルキ
レンイミン類が好ましく、特にポリエチレンイミンが好
適である。
【0037】ここで、上記ポリアルキレンイミン類とし
ては、例えば、既に市販されてなる株式会社日本触媒製
のエポミンシリーズ;エポミンSP−003、エポミン
SP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−
018、エポミンSP−103、エポミンSP−11
0、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エ
ポミンSP−1000、エポミンSP−1020(いず
れも商品名である)等のポリエチレンイミンなどが挙げ
られるが、これらに制限されるべきものではないことは
言うまでもない。
【0038】また、上記ポリアリルアミン類としては、
例えば、既に市販されてなる日東紡績株式会社製のPA
A−L、PAA−H(いずれも商品名である)などが挙
げられるが、これらに制限されるべきものではない。
【0039】上記アミノ基含有(メタ)アクリレートと
しては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートな
どがが挙げられる。
【0040】上記他の(メタ)アクリレート類として
は、アミノ基含有(メタ)アクリレートと共重合可能な
モノマーのほか、アミノ基含有(メタ)アクリレートと
共重合可能なモノマーと共重合した高分子化合物であっ
てもよい。
【0041】上記高分子化合物(I)の数平均分子量
は、250〜20万、好ましくは250〜10万、より
好ましくは300〜1万の範囲である。分子量が250
より小さいと形成された被覆層の可撓性に劣ったり、樹
脂成形体基板に被覆する際の成膜性に劣る一方、20万
より大きいと、形成された被覆層の透明性に劣ることが
あるほか、被覆層の可とう性に劣ることがある。ただ
し、本発明に使用することのできる高分子化合物(I)
のなかには、上記に規定する数平均分子量では計測でき
ない複雑な構造を持つものも含まれるものであり、ここ
に規定する数平均分子量によって、本発明からこれらの
ものを排除するものではない。
【0042】また、上記ケイ素化合物(II)としては、
一般式(1)
【0043】
【化7】
【0044】(上記式中、R2は、アミノ基と反応し得
る官能基を有するアルキル基である。R1は、水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基であり、同一または異
なっていてもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4の
アルキル基である。nは1〜3の整数である。)で表さ
れるものである。
【0045】上記式中のR2は、アミノ基と反応し得る
官能基を有するアルキル基であればよい。ここで、アミ
ノ基と反応し得る官能基としては、特に制限されるもの
ではなく、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、イソ
シアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリニル
基、(メタ)アクリル基、アルデヒド基、ケトン基、ア
ルキルハライド基などが挙げられる。好ましくは、アミ
ノ基との反応容易性の観点からエポキシ基である。これ
らの官能基を有する「アルキル基」としては、特に制限
されるものではないが、通常、炭素数1〜5、好ましく
は炭素数2〜3のアルキル基である。具体的には、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの分岐鎖アル
キル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペ
ンチル基などの環状(脂環式)アルキル基などが挙げら
れる。
【0046】上記式中のR1は、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基であり、同一または異なっていても
よいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル基で
ある。好ましくは、加水分解縮合の反応性の観点からメ
チル基、エチル基である。
【0047】上記nは1〜3の整数であればよい。好ま
しくは被覆層の耐熱性、耐水性の観点からnは3であ
る。
【0048】上述したような一般式(1)で表されるケ
イ素化合物(II)としては、例えば、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン等のエポキシ基とSi(OR1)基を有するシランカ
ップリング剤(以下、エポキシ基含有シランカップリン
グ剤と省略することがある);γ−イソシアノプロピル
トリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエト
キシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシラ
ン等のイソシアネート基およびSi(OR1)基含有シ
ランカップリング剤(以下、イソシアネート基含有シラ
ンカップリング剤と省略することがある)が挙げられ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。好
ましくは、汎用性、取扱い性の観点から、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシランである。
【0049】また、上記ケイ素化合物(III)として
は、下記一般式(2)
【0050】
【化8】
【0051】(上記式中、R4は炭素数1〜4のアルキ
ル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数
1〜4のアルキル基である。R3は、水素原子または炭
素数1〜4のアルキル基であり、同一または異なってい
てもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル
基である。mは1〜4の整数である。)で表されるもの
である。ケイ素化合物(III)を用いることにより、高
湿状態でのガスバリア性をより一層高めることができる
ため好適である。
【0052】上記式中のR4は、炭素数1〜4のアルキ
ル基、またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素
数1〜4のアルキル基であればよい。ここで、アミノ基
と反応しない官能基としては、特に制限されるものでは
なく、例えば、アミノ基、ビニル基などが挙げられる。
好ましくは耐熱性の観点からビニル基である。
【0053】上記式中のR3は、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基であり、同一または異なっていても
よいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル基で
ある。好ましくは、加水分解縮合の反応性の観点からメ
チル基、エチル基である。
【0054】上記mは1〜4の整数であればよい。好ま
しくは被覆層の耐熱性、耐水性の観点からmは4であ
る。
【0055】上述したような一般式(2)で表されるケ
イ素化合物(III)としては、例えば、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシ
シラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロ
ポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルト
リイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブト
キシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエ
チルジブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシ
ラン、ビニルトリブトキシシランなどのアルコキシシラ
ン類が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いる
ことができる。好ましくは汎用性、被覆層の耐熱性、耐
水性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランである。
【0056】被覆層の形成においては、;上記ガスバ
リア性樹脂組成物、または;の加水分解縮合物、さ
らには;これら〜のいずれかにケイ素化合物(II
I)を配合したもの、または;の加水分解縮合物
(以下、これら〜を総称して、単に被覆層形成原料
ともいう)には、さらに必要に応じて、本発明の効果を
損なわない範囲で、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、
消泡剤、増粘剤などの無機・有機系各種添加剤を使用し
ても良い。この場合の配合量に関しても、本発明の効果
を損なわない範囲で、かつそれぞれの添加剤の特性を有
効かつ効果的に発揮できる範囲であれば特に制限される
べきものではなく、また、添加剤を配合する時期に関し
ても、それぞれの添加剤の持つ特性を勘案して、被覆層
を形成するまでのいずれか最適な時期に、一時にあるい
は分割して添加しても良いし、連続的であっても断続的
であってもよいなど特に制限されるべきものではない。
【0057】被覆層の形成においては、被覆層形成成分
を溶解し得る溶剤が使用されていてもよい。該溶剤とし
ては、例えば、被覆層形成成分を溶解し得るものであれ
ば、いずれも使用できるが、一例を挙げると、メタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペン
タノール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の
アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ト
リエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メチルア
セテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブ
チルアセテート等のアセテート類;その他エチルフェノ
ールエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン
等が挙げられ、これらの1種以上を混合して用いること
ができる。これらの中でもアルコール類が好ましく用い
られる。
【0058】本発明の被覆層は、:高分子化合物
(I)およびケイ素化合物(II)を含む組成物を加水分
解縮合して得られてなるもの、または:上記で得ら
れた被覆層に、さらにケイ素化合物(III)を加水分解
縮合した成分が含まれるものである。この被覆層は、上
記ケイ素化合物(II)が高分子化合物(I)との反応前
か反応後に加水分解縮合して得られてなるものであって
もよいし、さらに上記ケイ素化合物(II)が加水分解性
縮合基と共加水分解縮合して得られてなるものであって
もよい。
【0059】上記の場合には、高分子化合物(I)と
ケイ素化合物(II)との反応前にケイ素化合物(II)の
加水分解縮合を行っても良いし、あるいは高分子化合物
(I)とケイ素化合物(II)との反応後に、ケイ素化合
物(II)の加水分解縮合を行ってもよい。上記の場合
には、高分子化合物(I)とケイ素化合物(II)との反
応前に、ケイ素化合物(II)とケイ素化合物(III)と
の共加水分解縮合を行っても良いし、あるいは高分子化
合物(I)とケイ素化合物(II)との反応後に、ケイ素
化合物(III)を加えてケイ素化合物(II)とケイ素化
合物(III)との共加水分解縮合を行っても良いなど、
加水分解縮合を行う時期や各成分の添加時期に関しては
特に制限されるものではない。さらに、基板上に被覆層
を形成する時期との関係においても、加水分解縮合を行
って得られた加水分解縮合物を基板上に被覆し、硬化乾
燥後、さらに後述する未反応のSiOR1基ないしSi
OR5基を反応(縮合)させる処理を行っても良いし、
あるいは加水分解縮合させる前に基板上に被覆し、硬化
乾燥と同時に加水分解縮合させ、さらに後述する未反応
のSiOR1基ないしSiOR5基を反応(縮合)させる
処理を行っても良いなど、特に制限されるべきものでは
ない。
【0060】さらに、下記に規定する被覆層中のSiO
1基ないしSiOR5基の未反応率をクリアするために
は、高分子化合物(I)、ケイ素化合物(II)、さらに
はケイ素化合物(III)、溶剤、水の各成分量を上記に
規定する配合量を満足するように調整する必要がある
が、さらには上記樹脂成形体基材にこれらを適当な被覆
方法により被覆した後に、皮膜の硬化および乾燥を行
い、その後に被覆層中の未反応のSiOR1基ないしS
iOR5基を反応(縮合)させる処理を行うのが好まし
い。
【0061】ここで、上記被覆方法としては特に制限さ
れるべきものではなく、基板の形状に適した方法を利用
することができ、例えば、ロールコーティング法、ディ
ップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーテ
ィング法等やこれらを組み合わせた方法を利用すること
ができる。なかでも、ダイコーティング法は、被覆用組
成物の安定性を増す理由で好ましい。
【0062】硬化および乾燥では、より早く硬化・乾燥
させたい場合には樹脂成形体基板の耐熱温度以下で加熱
することが好ましい。また、加熱に加えて加湿を行え
ば、さらに速やかに硬化・乾燥を完了させることができ
る。なお、乾燥の際にケイ素化合物(III)の蒸発を防
ぐため、ケイ素化合物(III)は予め加水分解縮合を行
うことが好ましい。この加水分解縮合反応は公知の触媒
を用いることができ、また溶剤中で反応させるのが有利
である。とりわけケイ素化合物(II)と予め共加水分解
縮合を行うことが好ましい。ケイ素化合物(III)は、
形成された被覆層の耐湿性を向上させる効果もある。
【0063】上記硬化および乾燥後に、未反応のSiO
1基ないしSiOR5基を反応(縮合)させる処理方法
としては、例えば、コロナ放電による処理法や加熱する
処理法などが利用できるが、未反応のSiOR1基ない
しSiOR5基の反応(縮合)を促進させることができ
るものであれば、特にこれらに制限されるべきものでは
ない。
【0064】本発明の被覆層中のSiOR1基の未反応
率は、(1)ケイ素化合物(III)を用いない場合、被
覆層中のSiOR1基の未反応率は、当量比で、
【0065】
【数7】
【0066】好ましくは、
【0067】
【数8】
【0068】より好ましくは、
【0069】
【数9】
【0070】である。被覆層中のSiOR1基の未反応
率が、当量比で、
【0071】
【数10】
【0072】の場合、ガスバリア性に劣り好ましくな
い。
【0073】(2)ケイ素化合物(III)を用いた場
合、被覆層中のSiOR5基(R5は、前記R1またはR3
の炭素数1〜4のアルキル基の定義と同じである。)の
未反応率は、当量比で、
【0074】
【数11】
【0075】好ましくは、
【0076】
【数12】
【0077】より好ましくは、
【0078】
【数13】
【0079】である。被覆層中のSiOR5基の未反応
率が、当量比で、
【0080】
【数14】
【0081】の場合には、ガスバリア性に劣り好ましく
ない。
【0082】ここで、SiOR1基ないしSiOR5基の
未反応率は、例えば、以下により求めることができる。
【0083】被覆層をアルカリ水で処理し、処理水中に
溶解したアルコール量を定量する。定量にはガスクロマ
トグラフ質量分析(GC−MS)法を用いることができ
る。ここでいうアルコールとは、被覆層中の未反応のS
iOR1基ないしSiOR5基がアルカリ水で加水分解し
たものをいう。使用することのできるアルカリ水として
は、特に制限されるものではない。
【0084】本発明の被覆層の厚さは、使用用途により
異なるため一義的に規定することはできないが、通常
0.01〜20μm、好ましくは0.1〜15μm、よ
り好ましくは0.5〜10μmの範囲である。被覆層の
厚さが0.01μm未満の場合には、被覆層にピンホー
ルが発生しやすくなる。一方、20μmを越える場合に
は、被覆層にクラックが生じることがあるなど好ましく
ない。
【0085】また、本発明のガスバリア性樹脂成形体
は、樹脂成形体基板上に、少なくとも上記被覆層を有す
るものであればよく、さらに、上記被覆層以外にも他の
特性を有する被覆層を有していてもよく、例えば、偏光
層、反射防止層、アルミニウム蒸着層などが必要に応じ
て積層されていてもよい。これらはその使用用途に応じ
て、積層順序や積層厚みなどを適宜決定すればよい。
【0086】以上の構成を有する本発明のガスバリア性
樹脂成形体のガスバリア性としては、20℃40%Rh
および20℃80%Rhでの酸素透過度が、いずれも5
0ml/m2・24hrs・atm以下、好ましくは2
0ml/m2・24hrs・atm以下、より好ましく
は10ml/m2・24hrs・atm以下である。2
0℃40%Rhおよび20℃80%Rhでの酸素透過度
のいずれか一方でも50ml/m2・24hrs・at
mを越える場合には、標準状態ないし高湿状態における
ガスバリア性が十分でなく、幅広い用途への利用が制限
されるなど好ましくない。
【0087】本発明のガスバリア性樹脂成形体では、被
覆層中のSiOR1基ないしSiOR5基の未反応率をよ
り低くすることが極めて重要である。そのためのガスバ
リア性樹脂成形体の製造方法については、制限されるべ
きものではなく、ガスバリア性樹脂成形体として上記構
成要件を満足するものであれば、いかなる製造方法であ
ってもよいが、後述する実施例に示すように基板上に上
記化合物(I)、(II)を含む組成物、さらには化合
物(III)を加水分解縮合してなる被覆用組成物を塗
布乾燥後に、未反応率を低下させる上で有効な加熱処理
(例えば、40℃で3日間程度)やコロナ処理を行う方
法などが好ましい。
【0088】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0089】また、以下の実施例での酸素透過度および
アルコールの定量は、いずれも下記に方法により行っ
た。
【0090】・酸素透過度の測定方法:温度20℃40
%Rhおよび20℃80%Rhの条件下で、MOCON
社製の酸素透過度測定装置により測定した。
【0091】・定量方法:30cm角の大きさの被覆フ
ィルムを5%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬
し、水酸化ナトリウム水溶液中のアルコール濃度をGC
−MSにより測定した。
【0092】GC−MSの条件 カラム:DB−WAX0.53mm内径×30m長さ、
膜厚1.0μm 注入温度:250℃ カラム温度(昇温条件):40℃(9分)→昇温12℃
/min→160℃→昇温30℃/min→220℃
(5分) 参考例1 エポミンSP−018(ポリエチレンイミン:株式会社
日本触媒の商品名)40g、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン70g、エタノール400gを混合
して、70℃で3時間反応した。室温まで冷却後、水8
gとエタノール300gの混合液を加えて24時間反応
し、被覆用組成物1を得た。
【0093】参考例2 エポミンSP−018(ポリエチレンイミン:株式会社
日本触媒の商品名)40g、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン35g、エタノール600gを混合
して、70℃で3時間反応した。室温まで冷却後、水1
6gとエタノール80gの混合液を加え、1時間反応後
さらにテトラメトキシシランオリゴマー(Mシリケート
51:多摩化学株式会社の商品名)170gとエタノー
ル350gの混合液を加えて24時間反応し、被覆用組
成物2を得た。
【0094】参考例3 参考例2のエポミンSP−018をジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、メチルメタクリレーおよびブチルア
クリレート(40:30:30、質量比)の共重合体に
変更した以外は参考例2と同様にして、被覆用組成物3
を得た。
【0095】参考例4 参考例2のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンをγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに
変更した以外は参考例2と同様にして、被覆用組成物4
を得た。
【0096】参考例5 エポミンSP−018(ポリエチレンイミン:株式会社
日本触媒の商品名)40g、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン200g、エタノール400gを混
合して、70℃で3時間反応した。室温まで冷却後、水
8gとエタノール300gの混合液を加えて24時間反
応し、被覆用組成物5を得た。
【0097】参考例6 エポミンSP−018(ポリエチレンイミン:株式会社
日本触媒の商品名)40g、メチルトリメトキシシラン
70g、エタノール400gを混合して、70℃で3時
間撹拌した。室温まで冷却後、水8gとエタノール30
0gの混合液を加えて24時間反応し、被覆用組成物6
を得た。
【0098】参考例7 参考例2のエポミンSP−018をポリビニルアルコー
ルに変更した以外は参考例2と同様にして、被覆用組成
物7を得た。
【0099】実施例1 参考例1で得られた被覆用組成物1を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥後、40℃で3
日間処理して塗布厚1.6g/m2の被覆フィルム1を
得た。
【0100】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、11.8ml/m2・24hrs・atm、
20℃80%Rhでの酸素透過度は、17.9ml/m
2・24hrs・atmであった。
【0101】被覆フィルム1から生成したメタノールは
0.082mg、エタノール量は0.035mgであっ
た。従って、アルコキシシリル基の未反応率は0.32
6%であった。参考までに未反応率の計算式を下記に示
す。
【0102】未反応率の計算式:式(1)の分母は、R
E2SiO3/2(RE2はγ−グリシドキシプロピル)×3
従って、{(0.082/32+0.035/46)/(80×3/236)}×100=
0.326% 32:メタノールの分子量 46:エタノールの分子量 80:被覆膜に含まれるRE2SiO3/2を仕込みから算
出 236:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
の分子量。
【0103】実施例2 参考例2で得られた被覆用組成物2を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥後、40℃で3
日間処理して塗布厚1.6g/m2の被覆フィルム2を
得た。
【0104】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、1.2ml/m2・24hrs・atm、2
0℃80%Rhでの酸素透過度は、1.3ml/m2
24hrs・atmであった。
【0105】被覆フィルム2から生成したメタノールは
0.0063mg、エタノール量は0.0009mgで
あった。従って、アルコキシシリル基の未反応率は0.
009%であった。
【0106】実施例3 参考例3で得られた被覆用組成物3を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥後、40℃で3
日間処理して塗布厚1.6g/m2の被覆フィルム3を
得た。
【0107】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、3.7ml/m2・24hrs・atm、2
0℃80%Rhでの酸素透過度は、3.5ml/m2
24hrs・atmであった。
【0108】被覆フィルム3から生成したメタノールは
0.054mg、エタノール量は0.008mgであっ
た。従って、アルコキシシリル基の未反応率は0.07
6%であった。
【0109】実施例4 参考例4で得られた被覆用組成物4を、15μmナイロ
ンフィルムに塗布し、100℃で1分乾燥後、コロナ処
理して塗布厚1.6g/m2の被覆フィルム4を得た。
【0110】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、5.2ml/m2・24hrs・atm、2
0℃80%Rhでの酸素透過度は、6.1ml/m2
24hrs・atmであった。
【0111】被覆フィルム4から生成したメタノールは
0.066mg、エタノール量は0.007mgであっ
た。従って、アルコキシシリル基の未反応率は0.09
0%であった。
【0112】比較例1 参考例1で得られた被覆用組成物1を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥して塗布厚1.
6g/m2の比較被覆フィルム1を得た。
【0113】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、57.9ml/m2・24hrs・atm、
20℃80%Rhでの酸素透過度は、87.9ml/m
2・24hrs・atmであった。
【0114】比較被覆フィルム1から生成したメタノー
ルは0.59mg、エタノール量は0.084mgであ
った。従って、アルコキシシリル基の未反応率は1.9
9%であった。
【0115】比較例2 参考例5で得られた被覆用組成物5を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥後、40℃で3
日間処理して塗布厚1.6g/m2の比較被覆フィルム
2を得た。
【0116】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、154.9ml/m2・24hrs・at
m、20℃80%Rhでの酸素透過度は、245.6m
l/m 2・24hrs・atmであった。
【0117】比較被覆フィルム2から生成したメタノー
ルは0.81mg、エタノール量は0.061mgであ
った。従って、アルコキシシリル基の未反応率は1.8
7%であった。
【0118】比較例3 参考例6で得られた被覆用組成物6を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥したが、被覆層
は白濁して、OPPフィルムから剥がれ落ちて被覆フィ
ルムを得ることはできなかった。
【0119】比較例4 参考例7で得られた被覆用組成物7を、20μmOPP
フィルムに塗布し、100℃で1分乾燥して塗布厚1.
6g/m2の比較被覆フィルム4を得た。
【0120】このフィルムの20℃40%Rhでの酸素
透過度は、45.7ml/m2・24hrs・atm、
20℃80%Rhでの酸素透過度は、120.8ml/
2・24hrs・atmであった。
【0121】比較被覆フィルム4から生成したメタノー
ルは1.20mg、エタノール量は0.092mgであ
った。従って、アルコキシシリル基の未反応率は1.6
0%であった。
【0122】
【表1】
【0123】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるガスバ
リア性樹脂成形体は、過酷な環境下、具体的には20℃
80%Rhとする高湿下においても十分に高いガスバリ
ア性を保持することができるため、例えば、液晶表示装
置のデイスプレーなどの電子部品、食料・飲料品の容器
や包装材(食品包装用フィルムやラップフィルムな
ど)、医療機器などの幅広い用途に適用できるものであ
る。携帯端末ないしモバイル機器(携帯電話、携帯情報
端末(PDA)、携帯用パソコン、ポケベル、自動車電
話など)の場合、携帯性および消費電力の小電力化の観
点から機器の小型軽量化が重要な技術開発のテーマにな
っており、その一環として、液晶表示素子についても従
来のガラス製の表面パネルでは重く、また落とした際に
割れるなどの問題から、軽くて丈夫な透明樹脂製の表面
パネル(フィルム)の開発がなされている。しかしなが
ら、カバンなどに入れているときや操作時に液晶の表面
パネル(フィルム)に押すか押されるかして荷重がかか
った後に荷重が取り去られた際に、表面パネルが元の状
態に戻るスピード(復元速度)と内部の液晶が元の状態
に戻るスピードとに差があり、液晶の方が復元速度が遅
いため、液晶側が負圧になり、表面パネル(フィルム)
をガスが透過して液晶内部に気泡ができるトラブルがあ
った。そのため、こうした表面パネル(フィルム)にお
いては、軽くて丈夫な以外にさらに高いガスバリア性も
必要であることがわかってきた。本発明によるガスバリ
ア性樹脂成形体では、こうした要求にも十分に応えられ
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA11 AA12 AA15 AA19 AA31 AA33 AA34 AA35 AA36 AA38 AA39 AB33 AB39 BA05 CA05 CA07 DA04 4F100 AH06B AH06J AK01A AK07 AK49B AK49J AL08B AT00A BA02 GB16 GB23 JD02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成形体基板上に、 アミノ基を有する高分子化合物(I)と、 下記一般式(1) 【化1】 (上記式中、R2は、アミノ基と反応し得る官能基を有
    するアルキル基である。R1は、水素原子または炭素数
    1〜4のアルキル基であり、同一または異なっていても
    よいが、少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル基で
    ある。nは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化
    合物(II)と、を含む組成物を加水分解縮合してなる被
    覆層を有するガスバリア性樹脂成形体であって、 前記被覆層中のSiOR1基の未反応率が当量比で、 【数1】 であることを特徴とするガスバリア性樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 前記被覆層に、さらに下記一般式(2) 【化2】 (上記式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基またはア
    ミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアル
    キル基である。R3は、水素原子または炭素数1〜4の
    アルキル基であり、同一または異なっていてもよいが、
    少なくとも1つは炭素数1〜4のアルキル基である。m
    は1〜4の整数である。)で表されるケイ素化合物(II
    I)を加水分解縮合した成分が含まれるものである請求
    項1に記載のガスバリア性樹脂成形体であって、 前記被覆層中のSiOR5基(R5は、前記R1またはR3
    の炭素数1〜4のアルキル基の定義と同じである。)の
    未反応率が当量比で、 【数2】 であることを特徴とするガスバリア性樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 前記アミノ基を有する高分子化合物
    (I)が、ポリアルキレンイミンであることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のガスバリア性樹脂成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008512273A (ja) * 2004-09-13 2008-04-24 シルク・ディスプレイズ プラスチック基板用の高性能複合体材料

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