JP2002030145A - 結晶性2,5−ジ置換フェノール酸化重合体 - Google Patents

結晶性2,5−ジ置換フェノール酸化重合体

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JP2002030145A
JP2002030145A JP2000216478A JP2000216478A JP2002030145A JP 2002030145 A JP2002030145 A JP 2002030145A JP 2000216478 A JP2000216478 A JP 2000216478A JP 2000216478 A JP2000216478 A JP 2000216478A JP 2002030145 A JP2002030145 A JP 2002030145A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融−冷却後、−100℃以上150℃未満
に結晶融点をもつ、炭素原子数9以上の炭化水素基が置
換した2,5-ジ置換フェノール化合物の酸化重合体を提供
する。 【解決手段】 一般式(I)で表わされる2,5-ジ置換フ
ェノール化合物を酸化重合させて得られる重合体で、溶
融−冷却後、−100℃以上150℃未満に5J/g以
上の結晶融点をもち、かつ数平均重合度が3以上の2,5-
ジ置換フェノール酸化重合体。 【化1】 (式中、Rは炭素原子数9以上の炭化水素基または炭
素原子数9以上の置換炭化水素基を表わす。RはR
と同じ基であるか、Rと異なる基の場合は炭化水素
基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、アミノ基、置
換アミノ基、メルカプト基、置換メルカプト基またはハ
ロゲン原子である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は結晶性2,5−ジ置
換フェノール酸化重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール類の酸化重合法(特公昭36
−18692号公報)は、ホルマリンフリー・常温反応
・副生成物は水だけという、環境に優しい重合方法であ
る。これまでは、主に2,6-ジ置換フェノール類の酸化重
合体に関心が集まっていたが、最近では、2,5-ジ置換フ
ェノール類の酸化重合体も注目されるようになってきた
(化学と工業、53巻、4号、501-505 (2000))。しか
し、この文献記載の重合体の融点は303℃と、熱可塑
性重合体としては高融点であった。本発明者らは、特願
2000-25621号で溶融−冷却後、150℃以上に結晶融点
をもつ2,5-ジ置換フェノール酸化重合体を、特願2000-3
8797号には炭素原子数8以下の炭化水素基の置換した2,
5-ジ置換フェノール酸化重合体及び共重合体を報告して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
−冷却後、−100℃以上150℃未満に結晶融点をも
つ、炭素原子数9以上の炭化水素基が置換した2,5-ジ置
換フェノール化合物の酸化重合体を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究した結果、以下の手段により上記課題を解
決しうることを見出した。一般式(I)で表わされる2,
5-ジ置換フェノール化合物を酸化重合させて得られる重
合体で、溶融−冷却後、−100℃以上150℃未満に
5J/g以上の結晶融点をもち、かつ数平均重合度が3
以上の2,5-ジ置換フェノール酸化重合体。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Rは炭素原子数9以上の炭化水
素基または炭素原子数9以上の置換炭化水素基を表わ
す。RはRと同じ基であるか、Rと異なる基の場
合は炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、
アミノ基、置換アミノ基、メルカプト基、置換メルカプ
ト基またはハロゲン原子である。)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の2,5-ジ置換フェノール酸
化重合体は、一般式(I)で表わされる2,5-ジ置換フェ
ノール化合物を酸化重合させて得られる重合体で、溶融
−冷却後、−100℃以上150℃未満に5J/g以上
の結晶融点をもち、かつ数平均重合度が3以上の重合体
である。上記一般式(I)において、Rは炭素原子数
9以上の炭化水素基または炭素原子数16以上の置換炭
化水素基である。上記一般式(I)のRにおける炭化
水素基の炭素原子数は9以上であればよいが、好ましく
は9〜100であり、より好ましくは10〜50であ
り、さらに好ましくは12〜30であり、特に好ましく
は12〜22である。該炭化水素基として、好ましくは
炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基またはシ
クロアルキル基であり、さらに好ましくはアルキル基で
あり、特に好ましくは−(CH2)n-1CH3または-CH(CH3)(CH
2)n-3CH3(ただし、nは炭素原子数を表わす。)であ
る。上記一般式(I)のRにおける置換炭化水素基と
して、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ
基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された上記の炭化
水素基である。上記一般式(I)のRとしては、炭化
水素基が好ましい。
【0008】上記一般式(I)において、RはR
同じ基であるか、Rと異なる基の場合は炭化水素基、
置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換ア
ミノ基、メルカプト基、置換メルカプト基またはハロゲ
ン原子である。上記一般式(I)におけるRがR
異なる場合の炭化水素基として、好ましくは、炭素原子
数1〜30(さらに好ましくは炭素原子数1〜22)の
アルキル基、炭素原子数3〜30(さらに好ましくは炭
素原子数3〜22)のシクロアルキル基、炭素原子数7
〜30(さらに好ましくは炭素原子数7〜22)のアラ
ルキル基または炭素原子数6〜30(さらに好ましくは
炭素原子数6〜22)のアリール基であり、具体的には
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピ
ル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル
基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、2
−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、フェニル
基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基等が
挙げられる。
【0009】上記一般式(I)におけるRがRと異
なる場合の置換炭化水素基として、好ましくは、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置
換された炭素原子数1〜30(さらに好ましくは炭素原
子数1〜22)のアルキル基、炭素原子数3〜30(さ
らに好ましくは炭素原子数3〜22)のシクロアルキル
基、炭素原子数7〜30(さらに好ましくは炭素原子数
7〜22)のアラルキル基または炭素原子数6〜30
(さらに好ましくは炭素原子数6〜22)のアリール基
であり、具体例としては、トリフルオロメチル基、2−
t−ブチルオキシエチル基、3−ジメチルアミノプロピ
ル基等が挙げられる。
【0010】上記一般式(I)のRにおける炭化水素
オキシ基として、好ましくは、炭素原子数1〜30(さ
らに好ましくは炭素原子数1〜20)のアルコシ基、炭
素原子数3〜30(さらに好ましくは炭素原子数3〜2
0)のシクロアルコキシ基、炭素原子数7〜30(さら
に好ましくは炭素原子数7〜20)のアラルキルオキシ
基または炭素原子数6〜30(さらに好ましくは炭素原
子数6〜20)のアリールオキシ基であり、具体的には
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−
プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、
t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオ
キシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、
オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、ベンジルオキシ
基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルエトキシ
基、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、
4−エチルフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0011】上記一般式(I)のRにおける置換炭化
水素オキシ基は、好ましくは、ハロゲン原子、アルコキ
シ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された炭素原子
数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜30(さら
に好ましくは炭素原子数3〜20)のシクロアルコキシ
基、炭素原子数7〜30(さらに好ましくは炭素原子数
7〜20)のアラルキルオキシ基または炭素原子数6〜
30(さらに好ましくは炭素原子数6〜20)のアリー
ルオキシ基であり、具体例としては、トリフルオロメト
キシ基、2−t−ブチルオキシエトキシ基、3−ジメチ
ルアミノプロポキシ基等が挙げられる。
【0012】上記一般式(I)のRにおける置換アミ
ノ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30(さらに好ま
しくは炭素原子数1〜20)のアルキル基、炭素原子数
3〜30(さらに好ましくは炭素原子数3〜20)のシ
クロアルキル基、炭素原子数7〜30(さらに好ましく
は炭素原子数7〜20)のアラルキル基または炭素原子
数6〜30(さらに好ましくは炭素原子数6〜20)の
アリール基で置換されたアミノ基であり、具体的にはメ
チルアミノ基、ジメチルアミノ基ジエチルアミノ基、ジ
-n−プロピルアミノ基、ジ-iso−プロピルアミノ
基、ジ-n−ブチルアミノ基、ジ-iso−ブチルアミノ
基、ジ-t−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジ
シクロペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシク
ロヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルア
ミノ基、ジベンジルアミノ基、ジ-2−フェニルエチル
アミノ基、ジ-1−フェニルエチルアミノ基、ジフェニ
ルアミノ基、ジ-4−メチルフェニルアミノ基、ジ-4−
エチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0013】上記一般式(I)のRにおける置換メル
カプト基は、好ましくは、炭素原子数1〜30(さらに
好ましくは炭素原子数1〜20)のアルキルメルカプト
基、炭素原子数3〜30(さらに好ましくは炭素原子数
3〜20)のシクロアルキルメルカプト基、炭素原子数
7〜30(さらに好ましくは炭素原子数7〜20)のア
ラルキルメルカプト基または炭素原子数6〜30(さら
に好ましくは炭素原子数6〜20)のアリールメルカプ
ト基であり、具体的にはメチルメルカプト基、エチルメ
ルカプト基、n−プロピルメルカプト基、iso−プロ
ピルメルカプト基、n−ブチルメルカプト基、iso−
ブチルメルカプト基、t−ブチルメルカプト基、ペンチ
ルメルカプト基、シクロペンチルメルカプト基、ヘキシ
ルメルカプト基、シクロヘキシルメルカプト基、オクチ
ルメルカプト基、ノニルメルカプト基、ベンジルメルカ
プト基、2−フェニルエチルメルカプト基、1−フェニ
ルエチルメルカプト基、フェニルメルカプト基、4−メ
チルフェニルメルカプト基、4−エチルフェニルメルカ
プト基等が挙げられる。
【0014】上記一般式(I)のRにおけるハロゲン
原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が
より好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好まし
い。上記一般式(I)のRは、Rと異なる場合、好
ましくは、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数
1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子である。
より好ましくは、炭素原子数1〜9の炭化水素基または
炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基であり、さらに好
ましくは、炭素原子数1〜9の炭化水素基であり、特に
好ましくは、炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
【0015】本発明のポリマーにおいては、上記一般式
(I)で表される2,5-ジ置換フェノール化合物を単独ま
たは混合して酸化重合することにより得てもよく、下記
一般式(II)で表されるフェノール化合物、(III)で
表されるフェノール化合物及び/又は下記一般式(IV)
で表わされるビスフェノール化合物と混合して酸化重合
することにより得てもよい。
【0016】
【化3】
【0017】(式中、Rは互いに独立に、水素原子、
炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の置
換炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基、
アミノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプ
ト基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロ
ゲン原子であり、隣り合う二つのRが環を形成してい
てもよく、すべてのRが同じでも異なっていてもよ
い。Rは酸素原子、硫黄原子、二価の炭化水素基また
は二価の置換炭化水素基を表わし、mは1又は0であ
る。)
【0018】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
炭化水素基として、好ましくは、炭素原子数1〜9のア
ルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素
原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9の
アリール基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n
−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、i
so−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペ
ンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1
−フェニルエチル基、フェニル基、4−メチルフェニル
基、4−エチルフェニル基等が挙げられる。
【0019】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
置換炭化水素基は、好ましくは、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された炭素原
子数1〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロア
ルキル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素
原子数6〜9のアリール基であり、具体例としては、ト
リフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、
3−ジメチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0020】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
炭化水素オキシ基として、好ましくは、炭素原子数1〜
9のアルコキシ基、炭素原子数3〜9のシクロアルコキ
シ基、炭素原子数7〜9のアラルキルオキシ基または炭
素原子数6〜9のアリールオキシ基であり、具体的には
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−
プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、
t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオ
キシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、
オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、ベンジルオキシ
基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルエトキシ
基、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、
4−エチルフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0021】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
置換炭化水素オキシ基は、好ましくは、ハロゲン原子、
アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された
炭素原子数1〜9のアルコキシ基、炭素原子数3〜9の
シクロアルコキシ基、炭素原子数7〜9のアラルキルオ
キシ基または炭素原子数6〜9のアリールオキシ基であ
り、具体例としては、トリフルオロメトキシ基、2−t
−ブチルオキシエトキシ基、3−ジメチルアミノプロポ
キシ基等が挙げられる。上記一般式(II)〜(IV)のR
における置換アミノ基は、好ましくは、炭素原子数1
〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル
基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数
6〜9のアリール基で置換されたアミノ基であり、具体
的にはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基ジエチルアミ
ノ基、ジ-n−プロピルアミノ基、ジ-iso−プロピル
アミノ基、ジ-n−ブチルアミノ基、ジ-iso−ブチル
アミノ基、ジ-t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ
基、シクロペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シク
ロヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ
基、ベンジルアミノ基、2−フェニルエチルアミノ基、
1−フェニルエチルアミノ基、フェニルアミノ基、4−
メチルフェニルアミノ基、4−エチルフェニルアミノ基
等が挙げられる。
【0022】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
置換メルカプト基は、好ましくは、炭素原子数1〜9の
アルキルメルカプト基、炭素原子数3〜9のシクロアル
キルメルカプト基、炭素原子数7〜9のアラルキルメル
カプト基または炭素原子数6〜9のアリールメルカプト
基であり、具体的にはメチルメルカプト基、エチルメル
カプト基、n−プロピルメルカプト基、iso−プロピ
ルメルカプト基、n−ブチルメルカプト基、iso−ブ
チルメルカプト基、t−ブチルメルカプト基、ペンチル
メルカプト基、シクロペンチルメルカプト基、ヘキシル
メルカプト基、シクロヘキシルメルカプト基、オクチル
メルカプト基、ノニルメルカプト基、ベンジルメルカプ
ト基、2−フェニルエチルメルカプト基、1−フェニル
エチルメルカプト基、フェニルメルカプト基、4−メチ
ルフェニルメルカプト基、4−エチルフェニルメルカプ
ト基等が挙げられる。
【0023】上記一般式(II)〜(IV)のRにおける
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子がより好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに
好ましい。上記一般式(II)〜(IV)のRのうち、隣
り合う二つのRが環を形成する場合は、5〜7員環が
好ましく、隣り合う二つのRが−(CH)−基、
−(CH)−基または−CH=CH−CH=CH−
基として環を形成するものであることがさらに好まし
い。上記一般式(II)〜(IV)のRとして、好ましく
は、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原
子数1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子であ
る。より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭
化水素基または炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基で
あり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1
〜9の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子また
は炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
【0024】上記一般式(IV)のRにおける二価の炭
化水素基としては、炭素原子数1〜9のアルキレン基、
炭素原子数7〜9のアラルキレン基、または炭素原子数
6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例としては、メ
チレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、
1,1−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2,2
−プロピレン基、1,1−ブチレン基、2,2−ブチレ
ン基、3−メチル−2,2−ブチレン基、3,3−ジメ
チル−2,2−ブチレン基、1,1−ペンチレン基、3,
3−ペンチレン基、1,1−へキシレン基、1,1−ヘ
プチレン基、1,1−オクチレン基、1,1−ノニレン
基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキ
シレン基、フェニルメチレン基、1−フェニル−1,1
−エチレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニ
レン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0025】上記一般式(IV)のRにおける二価の置
換炭化水素基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、
二置換アミノ基等で置換された、炭素原子数1〜9のア
ルキレン基、炭素原子数7〜9のアラルキレン基、また
は炭素原子数6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例
としては、ヘキサフルオロ−2,2−プロピレン基、ペ
ンタフルオロフェニルメチレン基、4−メトキシフェニ
ルメチレン基、4−ジメチルアミノフェニルメチレン基
等を挙げることができる。上記一般式(IV)のRとし
ては、酸素原子または二価の炭化水素基が好ましく、炭
素原子数1〜9のアルキレン基または炭素原子数7〜9
のアラルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜6の
アルキレン基がさらに好ましい。
【0026】上記一般式(I)で表される2,5-ジ置換フ
ェノール化合物と、上記一般式(II)で表されるフェノ
ール化合物、上記一般式(III)で表されるフェノール
化合物及び/又は上記一般式(IV)で表わされるビスフ
ェノール化合物を混合して用いる場合、その混合比は目
的のポリマーの物性を損なわない範囲で適宜定められる
が、該2,5-ジ置換フェノール化合物が全フェノールモノ
マーに対して、好ましくは30モル%以上であり、より
好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは8
0モル%以上である(これらのフェノール類を以下にフ
ェノール性出発原料と呼ぶことがある)。本発明の重合
体は、主として、下記の基本構造式(V)で表わされる
繰り返し単位を有するポリ(1,4-フェニレンオキサイド)
構造をもつものである。
【0027】
【化4】
【0028】本発明の重合体の数平均重合度は3以上で
ある。なお、数平均分子量の値をA、フェノール性出発
原料の分子量(混合物の場合は、平均分子量)の値をB
としたとき、数平均重合度はA / (B-2) から求められる
値である。該数平均重合度として、3〜10,000が
好ましく、4〜1,000がより好ましく、5〜500
がさらに好ましい。
【0029】本発明の重合体は、溶融−冷却後、−10
0℃以上150℃未満に5J/g以上の結晶融点を示す
重合体である。該重合体において、該結晶融点は以下の
ようにして測定する。すなわち、示差走査熱量分析をア
ルゴン雰囲気下で実施し、まず10℃/minで−100
℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から完全
に溶融する温度まで昇温する。次に、再び−100℃ま
で冷却した後、10℃/minで−100℃から完全に溶
融する温度まで再昇温する際に、−100℃以上に5J
/g以上の吸熱ピークがあれば、そのピークトップ温度
を結晶融点とし、そのピーク面積を結晶融解熱量とし
た。該ポリマーの結晶融点は−50℃以上150℃未満
が好ましく、0℃以上120℃未満がより好ましく、0
℃以上100℃未満がさらに好ましい。また結晶融解熱
量は10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより
好ましく、40J/g以上がさらに好ましい。結晶化の
発熱ピーク熱量の上限は通常200J/gである。本発
明の重合体は、好ましくは実質的にゲル分を含まないも
のである。ゲル分のないことは、例えば重合体1mgが
1,2−ジクロロベンゼン1mlに150℃で溶解する
ことで確認できる。「実質的にゲル分を含まない」と
は、重合体中に含有されるゲル分が好ましくは5重量%
以下、さらに好ましくは2重量%以下であることをい
い、最も好ましくはゲル分が含有されないことをいう。
【0030】以下に本発明の重合体の好ましい製造方法
を詳細に説明する。前記のフェノール性出発原料の酸化
重合は、電解酸化重合でもよいが、省エネルギーの観点
からは、触媒と酸化剤を用いる酸化重合が好ましい。触
媒の例としては、特公昭36−18692号公報、特開
平10−53649号公報、特願2000−11982
6号記載の単座配位子/遷移金属錯体;特開平10−1
68179号公報、特願2000−121512号記載
の二座配位子/遷移金属錯体;特開平9−144449
号公報、特開平10−45904号公報、特開平9−3
24040号公報、特許第3035559号公報、特願
2000−25621号記載の三座配位子/遷移金属錯
体;特開平8−53545号公報、特開平9−3240
42号公報記載の四座または五座配位子/遷移金属錯
体;特開平9−324043号公報記載の六座以上の配
位子/遷移金属錯体;特開平9−324045号公報記
載のメタロセン錯体;特開平8-208813号公報記載の金属
微粒子;特開平9-107984号公報記載の酸化酵素等が好ま
しい。より好ましくは、単座配位子/遷移金属錯体、二
座配位子/遷移金属錯体、三座配位子/遷移金属錯体、
四座配位子/遷移金属錯体であり、さらに好ましくは三
座配位子/遷移金属錯体である。これらの触媒の使用量
は、それぞれに記載されるフェノール化合物に対する使
用量を、前記のフェノール性出発原料に対する使用量と
して、そのまま適用できる。また、反応溶媒、反応溶媒
使用量、反応温度等の反応条件についても、それぞれに
記載された反応条件を適用できる。
【0031】酸化剤としては、酸素またはパーオキサイ
ドが好ましい。酸素は不活性ガスとの混合物であっても
よく、空気でもよい。またパーオキサイドの例として
は、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香
酸等を示すことができる。さらに好ましい酸化剤として
は、酸素または過酸化水素である。該酸化剤の使用量に
限定はないが、酸素を用いる場合はフェノールに対して
通常、0.5当量以上大過剰に使用し、パーオキサイド
を用いる場合はフェノールに対して通常、0.5〜3当
量を使用する。
【0032】本発明の2,5-ジ置換フェノール酸化重合体
は、単独でも、また、他のポリマー及び/又は改質剤と
の組成物として用いることができる。組成物のポリマー
成分として、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸
メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル及びそ
れらの共重合体等のポリオレフィン類;ポリオキシメチ
レン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンオキサイド)、ポリ(2,5
−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)及びそれ
らの共重合体等のポリエーテル類;ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレ
ン−2,6−ジナフタレート)、ポリ(4−オキシベン
ゾエート)、ポリ(2−オキシ−6−ナフタレート)及
びそれらの共重合体等のポリエステル類;ナイロン6、
ナイロン66等のポリアミド類;ポリカーボネート;ポ
リフェニレンサルファイド;ポリサルフォン;ポリエー
テルサルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイ
ミド;ポリエーテルイミド;フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性ポリマー
を挙げることができる。組成物の改質剤成分として、具
体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類等の安定
剤;ポリハロゲン化物、リン酸エステル等の難燃剤;界
面活性剤;流動改質剤を挙げることができる。
【0033】
【実施例】以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。 (i)モノマー合成及び分析 モノマー合成:使用したモノマーは、J. Am. Chem. So
c., 114, 1790 (1992)またはJ. Am. Chem. Soc. 94, 43
74 (1972)を参考にして合成した。 モノマーの転化率(Conv.):内部標準物質としてジフ
ェニルエーテルを含む反応混合物15mgをサンプリン
グし、濃塩酸を若干量加えて酸性とし、メタノール2g
を加え、測定サンプルとした。このサンプルを、高速液
体クロマトグラフィー(東ソー社製SC8020システ
ム、検出器:東ソー社製PD−8020、検出波長:2
78nm、カラム:YMC社製ODS−AM、展開溶
媒:メタノール/水またはテトラヒドロフラン/メタノ
ール/水)により分析し、ジフェニルエーテルを内部標
準物質として定量した。 ポリマーの溶解性(Solubility):ポリマー1mgを1,
2-ジクロロベンゼン(oDCBと略す。)1mlに加え、1
50℃に加熱したときの不溶部(ゲル分とする)の有無
を観察した。
【0034】ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均
分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。
oDCB/140℃条件:Polymer Laboratories社製PL-GPC210
システム(RI検出)により、Polymer Laboratories社製
PLgel 10um MIXED-B 3本をカラムとして、oDCB(2,6-
ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%w/v含有)を展
開溶媒として、140℃で行った。
【0035】ポリマーの結晶融点(Tm)および結晶融
解熱量(Hm):示差走査熱量分析(MAC SCIENCE社 DS
C3200S)をアルゴン雰囲気下で実施した。まず10℃/
minで−100℃まで冷却した後、10℃/minで−10
0℃から完全に溶融する温度まで昇温した。次に、再び
−100℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃
から再昇温する際に、−100℃以上150℃未満で5
J/g以上の吸熱ピークを示す場合、そのピークトップ
温度を結晶融点(Tm)とし、そのピーク面積を結晶融
解熱量(Hm)とした。
【0036】(ii)酸化重合 実施例1 電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸
素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素
に置換した。これに、Cu(Cl)2(1,4,7−トリイソプ
ロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(J. Am.
Chem. Soc., 120, 8529, (1998).参照、Cu(tacn)と略
す。)0.03mmolを入れ、2-n-オクタデシル-5-
メチルフェノール0.6mmolと、塩基として2,6-ジ
フェニルピリジン0.3mmolをトルエン1.2gに
溶解したものを加えた。これを40℃に保温し、激しく
撹拌した。52時間後、濃塩酸を加えて酸性にした後、
メタノール25mlを加え、沈殿した重合体を濾取し
た。メタノール10mlで3回洗浄し、減圧乾燥した
後、重合体を得た。この重合体の分析結果を表1に示
す。本重合体をoDCB-d4中、60℃でNMR分析(JEOL社製
LA600)した。1H-NMR(600MHz)より、0.87ppm(3H)、
1.27〜1.64ppm(32H)、2.28ppm(3H)、2.73ppm(2H)
のピークが見られた。13C-NMR(150MHz)より、14.1pp
m、15.7ppm、22.9ppm、29.6〜30.4ppm(15本)、32.1pp
m、119.7ppm、120.2ppm、128.6ppm、132.3ppm、150.8pp
m、151.3ppmがメインピークとして観測され、115〜160p
pmに若干の微小な不明ピークも検出された。これらか
ら、本実施例で得られた重合体は、ほぼ2-n-オクタデシ
ル-5-メチル-1,4-フェニレンオキサイド構造を有してい
ることが判明した。また、本重合体の粉末X線分析(理
学電機社製RINT2500V、X線:Cu-Kα、50kV-300mA、測角
範囲:2〜140°、スリット:DS-0.5°、RS-0.15m
m、SS-0.5°)したところ、2θ=20.7°(面間隔4.3Å)
に最も大きなピークが観測された。ルーランド法により
結晶化度を求めたところ、28%を示した。
【0037】実施例2 モノマー及び反応時間を表1のように変え、トルエンの
量を3.6とした以外は、実施例1と同様にして重合体
を得た。この重合体の分析結果を表1に示す。
【0038】参考例1 特願2000-25621号の実施例2のポリ(2,5-ジメチル-1,4-
フェニレンオキサイド)には、−100℃以上150℃
未満にはTm及びHmは検出されなかった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の新規な2,5-ジ置換フェノール酸
化重合体は、炭素原子数9以上の炭化水素基をもち、か
つ−100℃以上150℃未満に結晶融点をもつもので
あり、溶融成形後も結晶性を発現できる。側鎖基の相溶
性を利用すればポリマーアロイ相溶化剤等へ、側鎖基の
結晶性を利用すれば熱可塑性エラストマー等へ、さらに
光学特性を利用すれば表示材料、温度センサー等への用
途が期待され、その工業的意義は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 四郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA26 BB02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表わされる2,5-ジ置換フ
    ェノール化合物を酸化重合させて得られる重合体で、溶
    融−冷却後、−100℃以上150℃未満に5J/g以
    上の結晶融点をもち、かつ数平均重合度が3以上の2,5-
    ジ置換フェノール酸化重合体。 【化1】 (式中、Rは炭素原子数9以上の炭化水素基または炭
    素原子数9以上の置換炭化水素基を表わす。RはR
    と同じ基であるか、Rと異なる基の場合は炭化水素
    基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、アミノ基、置
    換アミノ基、メルカプト基、置換メルカプト基またはハ
    ロゲン原子である。)
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