JP2002080568A - 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物 - Google Patents

新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物

Info

Publication number
JP2002080568A
JP2002080568A JP2000272153A JP2000272153A JP2002080568A JP 2002080568 A JP2002080568 A JP 2002080568A JP 2000272153 A JP2000272153 A JP 2000272153A JP 2000272153 A JP2000272153 A JP 2000272153A JP 2002080568 A JP2002080568 A JP 2002080568A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
substituted
hydrocarbon group
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000272153A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
Shiro Kobayashi
四郎 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Chemical Innovation Institute
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Japan Chemical Innovation Institute
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Chemical Innovation Institute, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Japan Chemical Innovation Institute
Priority to JP2000272153A priority Critical patent/JP2002080568A/ja
Publication of JP2002080568A publication Critical patent/JP2002080568A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素原子数17以上の脂肪族炭化水素基をも
つ、結晶性ハイドロキノン酸化縮合物を提供する。 【解決手段】 一般式(I)で表わされる置換ハイドロ
キノン化合物を酸化重合させて得られる置換ハイドロキ
ノン酸化縮合物。 【化1】 (式中、Qは炭素原子数17以上の脂肪族炭化水素基
または炭素原子数17以上の置換脂肪族炭化水素基を表
わす。QはQと同じであるか、Qと異なる場合は
水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数
1〜9の置換炭化水素基を表わす。R〜Rは互いに
独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭
素原子数1〜9の置換炭化水素基、アミノ基、炭素原子
数1〜9の置換アミノ基、メルカプト基、炭素原子数1
〜9の置換メルカプト基またはハロゲン原子であり、R
とR又はRとRが環を形成していてもよいが、
、R〜Rのいずれか二つの基は水素原子であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な置換ハイドロ
キノン酸化縮合物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族化合物の酸化縮合物は、ホルマリ
ンフリー・常温反応・副生成物は水だけという、環境に
優しい酸化縮合法で製造できるため、最近、特に注目さ
れるようになってきた(高分子、48、729 (1999)や化学
と工業、53巻、4号、501-505 (2000)等)。一方、炭素
原子数の大きな炭化水素基をもつ芳香族ポリマーが開発
され、ポリマーの結晶性、液晶性、粘弾性、溶解性等に
関して様々な特徴が見い出されている。Macromolecule
s, 29, 1337, (1996)には該芳香族ポリエステルが、Mac
romolecules, 27, 7754 (1994)には該ポリアニリンが記
載されている。ハイドロキノン誘導体の酸化縮合物につ
いては、ジエーテル型として、Macromolecules, 25, 51
25 (1992)およびMacromolecules, 29, 7646 (1996)の1,
4-ジブトキシベンゼン酸化重合体をはじめとして、Gaof
enzi Xuebao, 487, (1998)に1,4-ジドデシロキシベンゼ
ン酸化重合体が報告されているが、結晶性の記載はな
い。また、モノエーテル型としては、Ind. Eng. Chem.
Res., 34, 4009 (1995)に4-テトラデシロキシフェノー
ルおよび4-ヘキサデシロキシフェノール酸化重合体が報
告されているが、結晶性に関する記述がなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭素
原子数17以上の脂肪族炭化水素基をもつ、結晶性ハイ
ドロキノン酸化縮合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究した結果、以下の発明により上記課題を解
決しうることを見出した。 (1)一般式(I)で表わされる置換ハイドロキノン化
合物を酸化重合させて得られる置換ハイドロキノン酸化
縮合物。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Qは炭素原子数17以上の脂肪
族炭化水素基または炭素原子数17以上の置換脂肪族炭
化水素基を表わす。QはQと同じであるか、Q
異なる場合は水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素
基、炭素原子数1〜9の置換炭化水素基を表わす。R
〜Rは互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の
炭化水素基、炭素原子数1〜9の置換炭化水素基、アミ
ノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプト
基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロゲ
ン原子であり、RとR又はRとRが環を形成し
ていてもよいが、Q、R〜Rのいずれか二つの基
は水素原子である。) (2)−100℃以上に5J/g以上の結晶融点を示す
ことを特徴とする(1)項記載の置換ハイドロキノン酸
化縮合物。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の置換ハイドロキノン酸化
縮合物は、一般式(I)で表わされる置換ハイドロキノ
ン化合物を酸化重合させて得られる縮合物である。上記
一般式(I)において、Qは炭素原子数17以上の脂
肪族炭化水素基または炭素原子数17以上の置換脂肪族
炭化水素基である。上記一般式(I)において、Q
おける脂肪族炭化水素基の炭素原子数は17以上であれ
ばよいが、好ましくは17〜100であり、より好まし
くは17〜50であり、さらに好ましくは18〜30で
あり、特に好ましくは18〜22である。該脂肪族炭化
水素基として、好ましくはアルキル基またはシクロアル
キル基であり、より好ましくはアルキル基であり、さら
に好ましくは−(CH2)n-1CH3または−CH(CH3)(CH2)n-3CH
3(ただし、nは炭素原子数を表わす。)である。上記一
般式(I)のQにおける置換脂肪族炭化水素基とし
て、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ
基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された上記の脂肪
族炭化水素基である。上記一般式(I)のQとして
は、脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0008】上記一般式(I)において、QはQ
同じ基であるか、Qと異なる基の場合は水素原子、炭
素原子数1〜9の炭化水素基または炭素原子数1〜9の
置換炭化水素基である。上記一般式(I)におけるQ
がQと異なる場合の炭素原子数1〜9の炭化水素基と
して、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭
素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数7〜9
のアラルキル基または炭素原子数6〜9のアリール基で
あり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、
ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル
基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル
エチル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エ
チルフェニル基等が挙げられる。上記一般式(I)にお
けるQがQと異なる場合の炭素原子数1〜9の置換
炭化水素基として、好ましくは、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された炭素原
子数1〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロア
ルキル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素
原子数6〜9のアリール基であり、具体例としては、ト
リフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、
3−ジメチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0009】上記一般式(I)のQとしては、Q
同じ基、炭素原子数1〜9の炭化水素基または水素原子
が好ましく、水素原子がさらに好ましい。上記一般式
(I)のR〜Rにおける炭素原子数1〜9の炭化水
素基として、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキル
基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数
7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9のアリー
ル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−
ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニ
ル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニ
ルエチル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−
エチルフェニル基等が挙げられる。上記一般式(I)の
〜Rにおける炭素原子数1〜9の置換炭化水素基
は、好ましくは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ
基、置換アミノ基等で置換された炭素原子数1〜9のア
ルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素
原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9の
アリール基であり、具体例としては、トリフルオロメチ
ル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジメチルア
ミノプロピル基等が挙げられる。
【0010】上記一般式(I)のR〜Rにおける炭
素原子数1〜9の置換アミノ基とは、炭素原子数1〜9
の炭化水素基1つまたは2つで置換されたアミノ基であ
り、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素
原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数7〜9の
アラルキル基または炭素原子数6〜9のアリール基で置
換されたアミノ基であり、具体的にはメチルアミノ基、
ジメチルアミノ基ジエチルアミノ基、ジ-n−プロピル
アミノ基、ジ-iso−プロピルアミノ基、ジ-n−ブチ
ルアミノ基、ジ-iso−ブチルアミノ基、ジ-t−ブチ
ルアミノ基、ペンチルアミノ基、シクロペンチルアミノ
基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、オク
チルアミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基、2
−フェニルエチルアミノ基、1−フェニルエチルアミノ
基、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、
4−エチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0011】上記一般式(I)のR〜Rにおける炭
素原子数1〜9の置換メルカプト基とは、炭素原子数1
〜9の炭化水素基で置換されたメルカプト基であり、好
ましくは、炭素原子数1〜9のアルキルメルカプト基、
炭素原子数3〜9のシクロアルキルメルカプト基、炭素
原子数7〜9のアラルキルメルカプト基または炭素原子
数6〜9のアリールメルカプト基であり、具体的にはメ
チルメルカプト基、エチルメルカプト基、n−プロピル
メルカプト基、iso−プロピルメルカプト基、n−ブ
チルメルカプト基、iso−ブチルメルカプト基、t−
ブチルメルカプト基、ペンチルメルカプト基、シクロペ
ンチルメルカプト基、ヘキシルメルカプト基、シクロヘ
キシルメルカプト基、オクチルメルカプト基、ノニルメ
ルカプト基、ベンジルメルカプト基、2−フェニルエチ
ルメルカプト基、1−フェニルエチルメルカプト基、フ
ェニルメルカプト基、4−メチルフェニルメルカプト
基、4−エチルフェニルメルカプト基等が挙げられる。
【0012】上記一般式(I)のR〜Rにおけるハ
ロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子がより好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好
ましい。上記一般式(I)のR〜Rのうち、R
またはRとRが環を形成する場合は、5〜7員
環が好ましく、RとR及び/又はRとRが−
(CH)−基、−(CH)−基または−CH=C
H−CH=CH−基として環を形成するものであること
がさらに好ましい。
【0013】上記一般式(I)のR〜Rとして、好
ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基ま
たはハロゲン原子である。より好ましくは、水素原子ま
たは炭素原子数1〜9の炭化水素基であり、さらに好ま
しくは、水素原子またはフェノキシ基であり、特に好ま
しくは水素原子である。本発明のポリマーにおいては、
上記一般式(I)で表される置換ハイドロキノン化合物
を単独または混合して酸化重合することにより得てもよ
く、下記一般式(II)で表されるフェノール化合物、
(III)で表されるフェノール化合物及び/又は下記一
般式(IV)で表わされるビスフェノール化合物と混合し
て酸化重合することにより得てもよい。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、Rは互いに独立に、水素原子、
炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の置
換炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基、
アミノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプ
ト基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロ
ゲン原子であり、隣り合う二つのRが環を形成してい
てもよい。Rは酸素原子、硫黄原子、二価の炭化水素
基または二価の置換炭化水素基を表わし、mは1又は0
である。) 上記一般式(II)〜(IV)のRにおける炭化水素基、
置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換ア
ミノ基、メルカプト基、メルカプト基またはハロゲン原
子炭化水素基の具体例は、上記一般式(I)におけるR
〜Rのそれらと同様である。
【0016】上記一般式(II)〜(IV)のRのうち、
隣り合う二つのRが環を形成する場合は、5〜7員環
が好ましく、隣り合う二つのRが−(CH)
基、−(CH)−基または−CH=CH−CH=C
H−基として環を形成するものであることがさらに好ま
しい。上記一般式(II)〜(IV)のRとして、好まし
くは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素
原子数1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子で
ある。より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の
炭化水素基または炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基
であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数
1〜9の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子ま
たは炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
【0017】上記一般式(IV)のRにおける二価の炭
化水素基としては、炭素原子数1〜9のアルキレン基、
炭素原子数7〜9のアラルキレン基、または炭素原子数
6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例としては、メ
チレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、
1,1−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2,2
−プロピレン基、1,1−ブチレン基、2,2−ブチレ
ン基、3−メチル−2,2−ブチレン基、3,3−ジメ
チル−2,2−ブチレン基、1,1−ペンチレン基、3,
3−ペンチレン基、1,1−へキシレン基、1,1−ヘ
プチレン基、1,1−オクチレン基、1,1−ノニレン
基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキ
シレン基、フェニルメチレン基、1−フェニル−1,1
−エチレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニ
レン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0018】上記一般式(IV)のRにおける二価の置
換炭化水素基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、
二置換アミノ基等で置換された、炭素原子数1〜9のア
ルキレン基、炭素原子数7〜9のアラルキレン基、また
は炭素原子数6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例
としては、ヘキサフルオロ−2,2−プロピレン基、ペ
ンタフルオロフェニルメチレン基、4−メトキシフェニ
ルメチレン基、4−ジメチルアミノフェニルメチレン基
等を挙げることができる。上記一般式(IV)のRとし
ては、酸素原子または二価の炭化水素基が好ましく、炭
素原子数1〜9のアルキレン基または炭素原子数7〜9
のアラルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜6の
アルキレン基がさらに好ましい。
【0019】上記一般式(I)で表される置換ハイドロ
キノン化合物と、上記一般式(II)で表されるフェノー
ル化合物、上記一般式(III)で表されるフェノール化
合物及び/又は上記一般式(IV)で表わされるビスフェ
ノール化合物を混合して用いる場合、その混合比は目的
のポリマーの物性を損なわない範囲で適宜定められる
が、該置換ハイドロキノン化合物が全フェノールモノマ
ーに対して、好ましくは30モル%以上であり、より好
ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは80
モル%以上である(これらを以下にモノマーと呼ぶこと
がある)。本発明の重合体は、Qが水素原子でない場
合には、下記の基本構造式(V)で表わされる繰り返し
単位を有する構造をもつものである。また、Qが水素
原子の場合には、主として下記の基本構造式(VI)で表
わされる繰り返し単位を有する構造をもつものである
が、下記の基本構造式(VII)で表わされる繰り返し単
位を有する構造を含んでもよい。
【0020】
【化4】
【0021】本発明の重合体の数平均分子量に特に限定
はないが、600〜1,000,000が好ましく、
1,000〜100,000がより好ましく、2,00
0〜50,000がさらに好ましい。
【0022】本発明の重合体は、好ましくは、−100
℃以上に5J/g以上の結晶融点を示す結晶性の重合体
である。該重合体において、結晶融点は以下のようにし
て測定する。すなわち、示差走査熱量分析をアルゴン雰
囲気下で実施し、まず10℃/minで−100℃まで冷
却した後、10℃/minで−100℃から完全に溶融す
る温度まで昇温する。次に、再び−100℃まで冷却し
た後、10℃/minで−100℃から完全に溶融する温
度まで再昇温する際に、−100℃以上に5J/g以上
の吸熱ピークがあれば、そのピークトップ温度を結晶融
点とし、そのピーク面積を結晶融解熱量とする。結晶融
点は−100℃以上300℃未満が好ましく、−50℃
以上150℃未満がより好ましく、0℃以上150℃未
満がさらに好ましく、30℃以上100℃未満が特に好
ましい。また結晶融解熱量は10J/g以上が好まし
く、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上が
さらに好ましく、50J/g以上が特に好ましい。結晶
化の発熱ピーク熱量の上限は通常200J/gである。
本発明の重合体は、好ましくは、実質的にゲル分を含ま
ないものである。ゲル分のないことは、例えば重合体1
mgが1,2−ジクロロベンゼン1mlに150℃で溶
解することで確認できる。「実質的にゲル分を含まな
い」とは、重合体中に含有されるゲル分が好ましくは5
重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下であること
をいい、最も好ましくはゲル分が含有されないことをい
う。
【0023】以下に本発明の重合体の好ましい製造方法
を詳細に説明する。本発明の特徴は、上記一般式(I)
で表される置換ハイドロキノン化合物を原料の酸化重合
モノマーとすることによりはじめて合成しうるというこ
とであり、酸化重合法としては、電解酸化重合法でもよ
いが、化学酸化重合法が好ましい。上記一般式(I)の
が水素でない場合、Macromolecules, 25, 5125 (19
92)に記載されるようにFeCl3、VOCl3、MoCl5等の酸化剤
を当量用いる方法や、Macromolecules, 29, 7645 (199
6)に記載されるようなVO錯体/酸素等の触媒を用いる方
法がさらに好ましい。
【0024】上記一般式(I)のQが水素の場合は、
触媒と酸化剤を用いる方法がさらに好ましい。触媒の例
としては、特公昭36−18692号公報、特開平10
−53649号公報、特願2000−119826号記
載の単座配位子/遷移金属錯体;特開平10−1681
79号公報、特願2000−121512号記載の二座
配位子/遷移金属錯体;特開平9−144449号公
報、特開平10−45904号公報、特開平9−324
040号公報、特許第3035559号公報、特願20
00−25621号記載の三座配位子/遷移金属錯体;
特開平8−53545号公報、特開平9−324042
号公報記載の四座または五座配位子/遷移金属錯体;特
開平9−324043号公報記載の六座以上の配位子/
遷移金属錯体;特開平9−324045号公報記載のメ
タロセン錯体;特開平8-208813号公報記載の金属微粒
子;特開平9-107984号公報記載の酸化酵素等が好まし
い。さらに好ましくは、単座配位子/遷移金属錯体、二
座配位子/遷移金属錯体、三座配位子/遷移金属錯体、
四座配位子/遷移金属錯体であり、特に好ましくは三座
配位子/遷移金属錯体である。これらの触媒の使用量
は、それぞれに記載されるフェノール化合物に対する使
用量を、前記のフェノール性出発原料に対する使用量と
して、そのまま適用できる。また、反応溶媒、反応溶媒
使用量、反応温度等の反応条件についても、それぞれに
記載された反応条件を適用できる。
【0025】酸化剤としては、酸素またはパーオキサイ
ドが好ましい。酸素は不活性ガスとの混合物であっても
よく、空気でもよい。またパーオキサイドの例として
は、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香
酸等を示すことができる。さらに好ましい酸化剤として
は、酸素または過酸化水素である。該酸化剤の使用量に
限定はないが、酸素を用いる場合はフェノールに対して
通常、0.5当量以上大過剰に使用し、パーオキサイド
を用いる場合はフェノールに対して通常、0.5〜3当
量を使用する。
【0026】本発明の置換ハイドロキノン酸化重合体
は、単独でも、また、他のポリマー及び/又は改質剤と
の組成物として用いることができる。組成物のポリマー
成分として、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸
メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル及びそ
れらの共重合体等のポリオレフィン類;ポリオキシメチ
レン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンオキサイド)、ポリ(2,5
−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)及びそれ
らの共重合体等のポリエーテル類;ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレ
ン−2,6−ジナフタレート)、ポリ(4−オキシベン
ゾエート)、ポリ(2−オキシ−6−ナフタレート)及
びそれらの共重合体等のポリエステル類;ナイロン6、
ナイロン66等のポリアミド類;ポリカーボネート;ポ
リフェニレンサルファイド;ポリサルフォン;ポリエー
テルサルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイ
ミド;ポリエーテルイミド;フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性ポリマー
を挙げることができる。組成物の改質剤成分として、具
体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類等の安定
剤;ポリハロゲン化物、リン酸エステル等の難燃剤;界
面活性剤;流動改質剤を挙げることができる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。 (i)モノマー合成及び分析 モノマー合成:使用したモノマーは、J. Am. Chem. So
c., 120, 12274 (1998)を参考にして合成した。 モノマーの転化率(Conv.):内部標準物質としてジフ
ェニルエーテルを含む反応混合物15mgをサンプリン
グし、濃塩酸を若干量加えて酸性とし、メタノール2g
を加え、測定サンプルとした。このサンプルを、高速液
体クロマトグラフィー(東ソー社製SC8020システ
ム、検出器:東ソー社製PD−8020、検出波長:2
78nm、カラム:YMC社製ODS−AM、展開溶
媒:テトラヒドロフラン/メタノール/水)により分析
し、ジフェニルエーテルを内部標準物質として定量し
た。 ポリマーの溶解性(Solubility):ポリマー1mgを1,
2-ジクロロベンゼン(oDCBと略す。)1mlに加え、1
50℃に加熱したときの不溶部(ゲル分とする)の有無
を観察した。
【0028】ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均
分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。
oDCB/140℃条件:Polymer Laboratories社製PL-GPC210
システム(RI検出)により、Polymer Laboratories社製
PLgel 10um MIXED-B 3本をカラムとして、oDCB(2,6-
ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%w/v含有)を展
開溶媒として、140℃で行った。 ポリマーの結晶融点(Tm)および結晶融解熱量(H
m):示差走査熱量分析(MAC SCIENCE社 DSC3200S)を
アルゴン雰囲気下で実施した。まず10℃/minで−1
00℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から
完全に溶融する温度まで昇温する。次に、再び−100
℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から再昇
温する際に、−100℃以上で5J/g以上の吸熱ピー
クを示す場合、そのピークトップ温度を結晶融点(T
m)とし、そのピーク面積を結晶融解熱量(Hm)とし
た。このピークが見られない場合はN.D.とした。
【0029】(ii)酸化重合 実施例1 電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸
素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素
に置換した。これに、Cu(Cl)2(1,4,7−トリイソプ
ロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(J. Am.
Chem. Soc., 120, 8529, (1998).参照、Cu(tacn)と略
す。)0.03mmolを入れ、4-n-オクタデシロキシ
フェノール0.6mmolと、塩基としてピリジン3m
molをトルエン1.2gに溶解したものを加えた。こ
れを40℃に保温し、激しく撹拌した。133時間後
(モノマー転化率:77%)、濃塩酸を加えて酸性にし
た後、メタノール25mlを加え、沈殿した重合体を濾
取した。メタノール10mlで3回洗浄し、減圧乾燥し
た後、重合体を得た(収率:65%)。この重合体はoD
CBに完全に溶解し、分子量はMn=1800、Mw=2500
であり、またTm=47℃、Hm=58J/gと結晶性を示し
た。本重合体の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図1に
示すが、約3500cm-1のO−H伸縮振動ピークがモノ
マーのそれと比較して相当減少していることから、本重
合体は主にオキシフェニレン構造を有していることが分
かった。
【0030】
【発明の効果】本発明の置換ハイドロキノン酸化縮合物
は、炭素原子数17〜100の脂肪族炭化水素基をもつ
新規な重合体であり、結晶性を発現しうる。長鎖アルキ
ル基を利用したポリマーアロイ相溶化剤等の用途、側鎖
結晶性を利用した熱可塑性エラストマー等の用途、光学
特性を利用すれば表示材料、温度センサー等への用途が
期待され、その工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の重合体の赤外吸収スペクトルであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 四郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA21 AA24 AA26 BA00 BB02 4J032 CA03 CA04 CB01 CB04 CB05 CB12 CC01 CD02 CD04 CD07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表わされる置換ハイドロ
    キノン化合物を酸化重合させて得られる置換ハイドロキ
    ノン酸化縮合物。 【化1】 (式中、Qは炭素原子数17以上の脂肪族炭化水素基
    または炭素原子数17以上の置換脂肪族炭化水素基を表
    わす。QはQと同じであるか、Qと異なる場合は
    水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数
    1〜9の置換炭化水素基を表わす。R〜Rは互いに
    独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭
    素原子数1〜9の置換炭化水素基、アミノ基、炭素原子
    数1〜9の置換アミノ基、メルカプト基、炭素原子数1
    〜9の置換メルカプト基またはハロゲン原子であり、R
    とR又はRとRが環を形成していてもよいが、
    、R〜Rのいずれか二つの基は水素原子であ
    る。)
  2. 【請求項2】 −100℃以上に5J/g以上の結晶融
    点を示すことを特徴とする請求項1記載の置換ハイドロ
    キノン酸化縮合物。
JP2000272153A 2000-09-07 2000-09-07 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物 Pending JP2002080568A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000272153A JP2002080568A (ja) 2000-09-07 2000-09-07 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000272153A JP2002080568A (ja) 2000-09-07 2000-09-07 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002080568A true JP2002080568A (ja) 2002-03-19

Family

ID=18758318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000272153A Pending JP2002080568A (ja) 2000-09-07 2000-09-07 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002080568A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007291041A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Osaka Organic Chem Ind Ltd アダマンチル(メタ)アクリレート類化合物の製造方法
CN111073550A (zh) * 2019-12-23 2020-04-28 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 一种氧化石墨烯-氨-对苯二酚导电粘结剂的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007291041A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Osaka Organic Chem Ind Ltd アダマンチル(メタ)アクリレート類化合物の製造方法
CN111073550A (zh) * 2019-12-23 2020-04-28 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 一种氧化石墨烯-氨-对苯二酚导电粘结剂的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ueda et al. Synthesis of aromatic poly (ether ketone) s by nickel-catalyzed coupling polymerization of aromatic dichlorides
JP5713263B2 (ja) (2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)ブロック共重合体、その製造方法および樹脂組成物
JP3787902B2 (ja) ポリ−1,4−フェニレンエーテルの製造方法
Nava et al. Functional polymers and sequential copolymers by phase transfer catalysis. 18. Synthesis and characterization of α, ω‐bis (2, 6‐dimethylphenol)–poly (2, 6‐dimethyl‐1, 4‐phenylene oxide) and α, ω‐bis (vinylbenzyl)–poly (2, 6‐dimethyl‐1, 4‐phenylene oxide) oligomers
JP2002080568A (ja) 新規な置換ハイドロキノン酸化縮合物
JP4638001B2 (ja) 結晶性2,5−ジ置換フェノール酸化重合体
US6576800B2 (en) Oxidation polymer of a substituted phenol
JP4807900B2 (ja) 新規なカテコールモノエーテル酸化縮合物
JP4621343B2 (ja) 新規な置換レゾルシン酸化縮合物
JP4783494B2 (ja) 新規な置換フェノール酸化重合体
JP6052630B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3431561B2 (ja) 非晶性2,5−ジ置換フェノール酸化重合体
JP3431560B2 (ja) 結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)
JP4827280B2 (ja) 新規な2,6−ジ置換フェノール酸化重合体
JP4601135B2 (ja) 高融点2,5−ジ置換フェノール酸化重合体
JP4977293B2 (ja) (2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)ブロック共重合体およびグラフト共重合体
JP6286773B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
Okada et al. Synthesis of polyethers by oxovanadium-catalyzed oxidative coupling polymerization of di (1-naphthoxy) compounds
JP4377026B2 (ja) 結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の製造方法とそれに用いる触媒
JP6052631B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3729558B2 (ja) ポリ−1,4−フェニレンエーテルの製造方法
JP6179946B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP4991185B2 (ja) ポリアリールスルホン系重合体及びその製造方法
JP4925629B2 (ja) スルホンアミド化合物
JP2001302788A (ja) 結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081217

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20081128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090818

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091015

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100518