JP6052631B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンスルフィド(PAS)は、N−メチルピロリドンなどのラクタム系溶媒中で、パラジクロロベンゼンとナトリウムスルフィドとを重縮合させることで製造されている。この反応では、炭素−硫黄結合を作る際にNaClを副生しており、アトムエコノミーの観点からすると、必ずしも好ましい方法ではない。また、近年の環境問題から、ポリマー中に残存する塩素も、一部では問題視されている。
また、NaClを副生しないPAS合成方法として、ジスルフィド類の重合によりPASを合成する方法が挙げられる。この重合方法では多くの場合、室温においてジクロロメタンなどの溶媒を使用し、ジスルフィド類からスルフォニウムカチオンを形成させ、フリーデルクラフツ型の付加反応を繰り返すことで、PAS骨格を形成する(例えば、特許文献1〜8及び非特許文献1〜3参照)。
特開昭63−213526号公報 特開昭63−213527号公報 特開昭63−241032号公報 特開平2−169626号公報 特開平4−55434号公報 特開平4−57830号公報 特開平11−12359号公報 特開2008−163223号公報
Macromolecules,1992, 25, 2698-2704 Bull.Chem. Soc. Jpn., 1994, 67, 251-256 Bull.Chem. Soc. Jpn., 1994, 67, 1456-1461
しかしながら、上述したジスルフィド類を用いたPAS合成方法には、得られるPASの分子量が低いという欠点があった。
そこで、本発明は、得られるポリアリーレンスルフィドの分子量を向上させることができる、ポリアリーレンスルフィドの新規な製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)バナジウム化合物、(B)沸点が160℃以上である酸、及び、(C)酸化剤の存在下で、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを含むモノマーを、当該モノマーの融点以上かつ150℃を超える温度で重合する工程を有する、ポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供する。
上記本発明の製造方法では、反応温度をモノマーの融点以上とすることで、溶媒を用いることなくモノマーを溶融重合させることができる。また、反応温度を高くした場合、ある温度よりも高い温度でPASの収率及び分子量が飛躍的に向上することを本発明者らは見出した。その反応温度が150℃を超える温度である。また、この反応温度であれば、反応で副生する水等、反応系内の水分を確実に除去することができる。例えば、室温での溶液重合においては、水分を除去するための酸無水物を使用しないと、重合が進行しなくなるなどの問題が生じる。本発明の製造方法によれば、このような従来の問題を改善でき、ジスルフィド類を用いた従来のPAS合成方法と比較して、得られるPASの分子量を向上させることができる。さらに、上記反応温度での重合反応を、(A)バナジウム化合物、(B)沸点が160℃以上である酸、及び、(C)酸化剤の存在下で行うことにより、反応を効率的に進行させることができ、得られるPASの分子量を向上させることができる。また、本発明の製造方法は、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを原料モノマーとしているため、NaClを副生せず、アトムエコノミー及び環境問題の観点からも好ましい。
また、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法において、上記(A)バナジウム化合物は、オキソバナジウム化合物であることが好ましい。これにより、重合反応をより効率的に進行させることができ、得られるPASの分子量をより向上させることができる。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法において、上記(C)酸化剤は、酸素分子を含むガスであることが好ましい。これにより、重合反応をより効率的に進行させることができ、得られるPASの分子量をより向上させることができる。
また、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法において、上記モノマーは、未置換ジフェニルジスルフィド及び未置換チオフェノールのうちの少なくとも一方と、置換ジフェニルジスルフィド及び置換チオフェノールのうちの少なくとも一方とを含んでいてもよい。この場合、得られるPASの分子量をより向上させることができる。
また、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法において、上記モノマーを重合する工程は、上記モノマーを、150℃以下の温度で重合した後、さらに上記モノマーの融点以上かつ150℃を超える温度で重合する工程であってもよい。
本発明によれば、得られるポリアリーレンスルフィドの分子量を向上させることができる、ポリアリーレンスルフィドの新規な製造方法を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法は、(A)バナジウム化合物、(B)沸点が160℃以上である酸、及び、(C)酸化剤の存在下で、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを含むモノマーを、当該モノマーの融点以上かつ150℃を超える温度で重合する工程(以下、場合により「重合工程」と言う)を有する。
重合工程においては、ポリアリーレンスルフィドの原料となるモノマーとして、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを用いる。なお、ジフェニルジスルフィド及びチオフェノールはそれぞれ、置換のものと未置換のものとを併用してもよい。すなわち、ポリアリーレンスルフィドの原料となるモノマーは、置換ジフェニルジスルフィド、未置換ジフェニルジスルフィド、置換チオフェノール、及び、未置換チオフェノールからなる群より選択される一種又は二種以上のモノマーを含む。
置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィドとしては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006052631
[式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。]
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ジフェニルジスルフィド、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,6,6’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,5,5’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジフェニルジスルフィド、2,2’−ジエチルジフェニルジスルフィド、3,3’−ジエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,6,6’−テトラエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’−テトラエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,5,5’−テトラエチルジフェニルジスルフィド、3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサエチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタエチルジフェニルジスルフィド、2,2’−ジプロピルジフェニルジスルフィド、3,3’−ジプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,6,6’−テトラプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’−テトラプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,5,5’−テトラプロピルジフェニルジスルフィド、3,3’,5,5’−テトラプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’−ジイソプロピルジフェニルジスルフィド、3,3’−ジイソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,6,6’−テトライソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’−テトライソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルジスルフィド、3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサイソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサイソプロピルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタイソプロピルジフェニルジスルフィドなどが挙げられる。これらの中でも、原料の入手性の観点から、ジフェニルジスルフィド、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,6,6’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,5,5’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジフェニルジスルフィドが好適に使用できる。
また、これらの置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィドは、置換もしくは未置換のチオフェノールの酸化によっても容易に調製できる。そのため、重合工程においては、上述した置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィドの前駆体として、置換もしくは未置換のチオフェノールも使用することができる。置換もしくは未置換のチオフェノールとしては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006052631
[式(II)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。]
上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、上記一般式(I)で表される化合物の具体例の前駆体となる化合物が挙げられるが、それらの中でも、原料の入手性の観点から、チオフェノール(ベンゼンチオール)、2−メチルベンゼンチオール、3−メチルベンゼンチオール、2,3−ジメチルベンゼンチオール、2,5−ジメチルベンゼンチオール、2,6−ジメチルベンゼンチオールが好適に使用できる。これらの置換もしくは未置換のチオフェノールは、上述した置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィドと同様に使用することができる。なお、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィドを用いた場合でも、その前駆体である置換もしくは未置換のチオフェノールを用いた場合でも、置換基の有無や種類が同じであれば、PASとしては同等のものが得られる。
また、重合工程において、モノマーとして置換基を有するジフェニルジスルフィド及び/又は置換基を有するチオフェノールを用いた場合、合成されたポリマーのモノマーに対する溶解度が向上し、より高分子量体が得られる傾向がある。特に、置換基が炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基又はアリール基であると、合成されたポリマーがモノマーにより一層溶解しやすくなり、より高分子量化するため好ましい。アラルキル基は炭素数7〜14であることが好ましく、アリール基は炭素数6〜14であることが好ましい。炭素数が上記範囲内であると、合成されたポリマーがモノマーにより一層溶解しやすくなり、より高分子量化するため好ましい。また、置換基を有さないジフェニルジスルフィド及び/又は置換基を有さないチオフェノールを用いた場合、置換基を有するものに比べて原料の入手性が極めて高く、工業的に有利であるとともに、従来のポリフェニレンスルフィドと同じポリマーを合成することができる。本発明の製造方法は、置換基を有さないポリフェニレンスルフィド、及び、置換基を有するポリフェニレンスルフィドのいずれの製造にも適した方法である。上述した置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド及び置換もしくは未置換のチオフェノールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、モノマーは、未置換ジフェニルジスルフィド及び未置換チオフェノールのうちの少なくとも一方(以下、「未置換モノマー」と言う)と、置換ジフェニルジスルフィド及び置換チオフェノールのうちの少なくとも一方(以下、「置換モノマー」と言う)とを含んでいることも好ましい。このように、入手容易な未置換モノマーに置換モノマーを共重合させることにより、工業的に有利でありながら、未置換モノマーを単独で用いた場合と比較して、生成するポリマーの、モノマー及び/又は溶媒に対する溶解度を向上させることができ、より高分子量のポリマーを得ることができる。未置換モノマーと置換モノマーとを併用する場合の両者の比率は特に限定されない。所望の物性を有するポリマーを得るために,未置換モノマーと置換モノマーの割合を適宜決めればよい。
(A)バナジウム化合物は、上記モノマーの酸化重合触媒として機能するものである。(A)バナジウム化合物としては、好ましくは、分子内にV=O結合を有するオキソバナジウム化合物が使用される。オキソバナジウム化合物として具体的には、N,N’−ビスサリチリデンエチレンジアミンオキソバナジウム、フタロシアニンオキソバナジウム、テトラフェニルポルフィリンオキソバナジウムなどが挙げられる。その他に下記一般式(III)で表されるバナジウム化合物も使用される。
Figure 0006052631
[式(III)中、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数6〜8のアリール基を表し、R17及びR18はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数6〜8のアリール基を表す。]
上記一般式(III)で表されるバナジウム化合物としては、4価のオキソバナジウムに、β−ジケトンのアニオンが2分子付加した構造を持つものであれば使用することができる。具体例を示すと、バナジル(IV)アセチルアセトネート、バナジル(IV)ベンゾイルアセトネート(R13=R16=メチル基、R14=R15=フェニル基、R17=R18=水素原子)が挙げられる。
上述した(A)バナジウム化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)バナジウム化合物の添加量は、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び、置換もしくは未置換のチオフェノールの総量100モルに対して、0.001〜100モルであることが好ましく、0.01〜50モルであることがより好ましい。この添加量が少ないと重合反応が進行しにくく、添加量が多いと得られるポリマー中に(A)バナジウム化合物が残存しやすくなる。
(B)沸点が160℃以上である酸としては、硫酸、酢酸、メタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸などの酸のほか、下記一般式(IV)で表される有機酸を使用することができる。
Figure 0006052631
[式(IV)中、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。]
上記一般式(IV)で表される有機酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルフォン酸、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルフォン酸、ペンタフルオロエタンスルフォン酸、ヘプタフルオロプロパンスルフォン酸、ヘプタフルオロイソプロパンスルフォン酸、ノナフルオロブタンスルフォン酸、ナフィオン(登録商標)などが挙げられる。これらの中でも、入手性の観点から、トリフルオロメタンスルフォン酸、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルフォン酸を用いることが好ましい。
(B)沸点が160℃以上である酸は、反応温度が150℃を超える条件下で使用するために、160℃以上という高い沸点が必要である。沸点が160℃未満の酸を使用すると、酸化重合に必要な酸素、あるいは空気を流通させる際に、酸が揮散して反応が進行しにくくなるので、好ましくない。
上述した(B)沸点が160℃以上である酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)沸点が160℃以上である酸の添加量は、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び、置換もしくは未置換のチオフェノールの総量100モルに対して、0.001〜100モルであることが好ましく、0.01〜50モルであることがより好ましい。この添加量が少ないと反応が進行しにくく、添加量が多いとポリマー中に(B)沸点が160℃以上である酸が残存しやすくなる。
(C)酸化剤は、(A)バナジウム化合物を酸化重合触媒として有効に機能させるために用いられる。(C)酸化剤として具体的には、ジシアノジクロロベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、1,4−ジフェノキノン、テトラメチルジフェノキノン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、四酢酸鉛、酸酢酸タリウム、セリウム(IV)アセチルアセトネート、マンガン(III)アセチルアセトネート、及び、酸素ガスや空気などの酸素分子を含むガスなどが挙げられる。これらの中でも酸素分子を含むガスが好ましい。酸素分子を含むガスとして具体的には、空気、酸素ガスの他、酸素と、窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合物などが挙げられる。これらの中でも酸素ガス、空気のほか、酸素と窒素との混合物が好ましく使用される。酸素と窒素との混合物を使用する場合、酸素濃度は任意である。
上述した(C)酸化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合工程において、反応温度は、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを含むモノマーの融点以上かつ150℃を超える温度であることが必須である。反応温度が150℃以下である場合、得られるポリマーの分子量の向上効果が十分でなく、また、その収率も必ずしも高いものとはならない。得られるポリマーの分子量を十分に向上させることができ、かつ良好な収率を得る観点から、反応温度は151℃以上であることが好ましく、153℃以上であるより好ましく、155℃以上であることが特に好ましい。また、反応温度の上限は特に限定されないが、得られるポリマーの劣化を抑制する観点から、反応温度は300℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。なお、反応温度が上記モノマーの融点未満である場合、モノマーを溶融重合させることができず、反応を進行させることが困難となる。
また、従来のポリアリーレンスルフィドの合成方法では、反応で副生する水を除去するため、上記一般式(IV)で表される有機酸等の無水物を使用することが必要であった。特に、室温での溶液重合の場合、水が存在していると、すなわち酸無水物を使用しないと、重合が進行しないという問題がある。これに対し、本発明においては、150℃を超える温度で反応を行うため副生する水は十分に蒸発除去され、上記のような有機酸の無水物は必ずしも必要ではない。特に、150℃を超える温度での反応の場合、酸無水物の使用により、得られるポリアリーレンスルフィドの構造に分岐が現れるなどの乱れが生じることがあるため、重合工程では上記のような有機酸の無水物を添加しないことが好ましい。
本発明において、(C)酸化剤として酸素分子を含むガスなどの気体を使用する場合、圧力は特に限定はなく、常圧〜10MPaまでが好ましく選定される。過度の圧力は肉厚の装置が必要となり、コストを上昇させるため、好ましくない。また、特に圧力を高く、かつ温度を高くした場合、得られるポリアリーレンスルフィドのスルフィド部位を酸素が酸化して、スルフォキシドやスルフォンを与えるので、注意を要する。その点を考慮すると、圧力は常圧〜1MPa程度が好適である。なお、ガスの供給方法は、連続式でもバッチ式でもよい。
本発明において、重合工程での反応時間は特に限定されないが、通常、0.1〜240時間である。反応時間が0.1時間よりも短い場合には、所望の重合が進行しない傾向がある。一方、反応時間が240時間を越えると、スルフォキシドやスルフォンが形成される可能性が高くなる。適切な反応時間は1〜50時間であり、より好ましくは2〜48時間である。
本発明においては、必要に応じて反応に溶媒を使用することができる。反応には強酸を使用することから、酸に影響を与えるような溶媒、例えばN−メチルピロリドンなどは好ましくない。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどが挙げられる。これらの溶媒の沸点が反応温度以下である場合には、密閉容器を使用しての反応が好ましい。
本発明においては、原料として使用するモノマーの融点以上の温度で反応を行うため、モノマーを溶融状態で重合することができる。そのため、反応に溶媒を使用することなく重合することが可能である。例えば、ジフェニルジスルフィドを原料モノマーとする場合、その融点は61℃であるから、その温度以上の反応温度とすることで、溶融重合することが可能となる。
重合工程では、重合反応中に、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを含むモノマーを逐次的に添加することも可能である。反応後期には触媒である(A)バナジウム化合物が活性を維持しているにもかかわらず、反応するモノマー濃度が減少するため、重合反応が進行しにくくなるという問題がある。モノマーを適宜追加することで、重合停止を阻止することができる。
重合工程で得られたポリマーには、(A)バナジウム化合物や(B)酸が残存している可能性があるため、得られたポリマーの洗浄を行うことが好ましい。洗浄方法に特に限定はない。例えば、得られたポリマーを粉砕して、有機溶媒で未反応モノマーやオリゴマー成分を抽出することができる。残ったポリマーは、水、酸、塩基などで洗浄することができる。また、得られたポリマーを溶媒に完全に、あるいは一部溶解し、水、酸、塩基などで洗浄することも可能である。その際使用できる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどに加え、N−メチルピロリドンなども挙げることができる。そのような溶媒には未反応モノマーやオリゴマーが溶出してくるので、必要に応じて精製をすることで、回収したオリゴマーやモノマーを原料として再利用することが可能である。一般にポリアリーレンスルフィドは溶媒に対する溶解度が低いため、少なくともポリマーの4質量倍の溶媒を加え、150℃以上に加熱することが必要である。その溶液状態で、水、酸、塩基などで洗浄することが好ましい。これらの洗浄剤として水系のものを使用する場合は、水の沸点以上の温度の溶液と接触させるため、圧力容器中で洗浄することが肝要である。実験室的には得られたポリマーを乳鉢などですりつぶし、ジクロロメタンに分散させて、メタノールと塩酸の混合液で洗浄する。このような方法で洗浄を行ってもよい。
また、重合工程で得られたポリマーを、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレンなどの溶媒で抽出することも可能である。上記抽出を行うことによって、ポリマー中の低分子量成分が抽出・除去され、結果的に残ったポリマーの平均分子量を向上させることができる。
また、本発明においては、温度条件等の種々条件を変えて複数段で重合を行う多段重合を行ってもよい。多段重合は、二段重合又は三段重合であることが好ましい。多段重合を行う場合、反応器はそのままで温度条件を変えたり触媒などを追加する方法を採用してもよいし、内容物を別の容器に移送し、そこで別途条件を設定する方法を採用してもよい。特に、反応温度を変えることがポリマーの分子量に影響を与え、例えば二段重合では、一段目を低温に、二段目を高温にすることが重要である。その際、二段目はモノマーの融点以上かつ150℃を超える温度にすることが必須であり、一段目の温度は0℃以上であれば特に限定はない。具体的には一段目を160℃、二段目を180℃としてもよい。しかしながら分子量向上のためには、一段目を150℃以下で、比較的短時間とし、二段目をモノマーの融点以上かつ150℃を超える温度とすることが極めて好ましい。
二段目の条件などは、先の記載のとおりである。一段目に関しては、反応温度を室温以上150℃以下、好ましくは室温以上140℃以下、より好ましくは室温以上130℃以下の範囲に設定する。また、一段目の反応時間は温度にもよるが、1分〜24時間、好ましくは10分〜12時間、より好ましくは30分〜9時間、さらに好ましくは30分〜6時間である。
三段重合又はそれ以上の多段重合を行う場合は、一段目を二段重合の時の一段目と同様の条件とし、最終段目を二段重合の時の二段目と同様の条件とすればよい。それ以外の段では、二段重合での一段目の条件の範囲内でも二段目の条件の範囲内でもよいが、後段にいくほど徐々に反応昇温を高くすることが好ましい。なお、多段重合を行う場合、150℃を超える温度で重合した後、150℃を超える違う温度で重合してもよい。
以上説明した本発明の製造方法によれば、分子量及び融点の高いポリアリーレンスルフィドを効率的に得ることができる。具体的には、分子量はポリスチレン換算で、重量平均分子量Mwが3000以上、融点は150℃以上のポリアリーレンスルフィドを得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの融点及び分子量の測定方法は以下の通りである。また、各実施例及び比較例で得られたポリマー(精製PPS)の収率、融点、数平均分子量及び重量平均分子量を、各重合条件と共に表1〜4に示した。
(融点の測定)
融点は、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製)を用い、リファレンスとしてα−アルミナを使用して測定した。測定条件は、室温から20℃/分で310℃まで昇温した際の吸熱ピークの頂点を融点とした。
(分子量の測定)
高温GPC装置(ポリマーラボラトリーズ社製、商品名:PL−220)にカラム(PL gel 10μm MIXED−B LS)2本を連結し、示差屈折率検出器とした。試料10mgに1−クロロナフタレン溶媒5mlを加え、220℃で約30分加熱撹拌した。このように溶解した試料を、流速0.7ml/分で分析することで、分子量(数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mw)を測定した。
[実施例1]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、バナジル(IV)アセチルアセトネート(VO(acac))及びトリフルオロメタンスルフォン酸(TfOH、沸点:162℃)を、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:5:10となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて152℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製ポリフェニレンスルフィド(PPS)を得た。
[実施例2]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、VO(acac)及びTfOHを、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:1:20となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて160℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[実施例3]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、VO(acac)及び1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルフォン酸(CHFCFSOH、沸点:210℃)を、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):CHFCFSOH=100:5:5となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて160℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。25時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[実施例4]
反応温度を180℃としたこと以外は実施例3と同様にして、精製PPSを得た。
[実施例5]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、VO(acac)及びTfOHを、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:2.5:2.5となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて160℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。25時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。また、得られた精製PPSについて固体NMRを測定したところ、130ppm付近に明確な2本のピークが観測され、パラ選択的に重合が進行していることが確認された。
[実施例6]
VO(acac)に代えて同一のモル数のN,N’−ビスサリチリデンエチレンジアミンオキソバナジウム(VO(salen))を使用したこと以外は実施例4と同様にして、精製PPSを得た。
[実施例7−1]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、VO(acac)及びTfOHを、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:0.25:0.25となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて160℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。25時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。この精製PPSの収率は75%、融点は212℃、数平均分子量は2930、重量平均分子量は8780であった。
[実施例7−2]
実施例7−1で得られた精製PPS0.5gをソックスレー抽出器にて、ジクロロメタンを溶媒として使用して4時間抽出を行った。残存したポリマーを乾燥して抽出残PPSを得た。この抽出残PPSの融点は217℃、数平均分子量は3790、重量平均分子量は13100であった。
[実施例8]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(4.5g)及び2,2’,5,5’−テトラメチルジフェニルジスルフィド(0.63g)を加え、さらに、VO(acac)及び1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルフォン酸(CHFCFSOH、沸点:210℃)を、モル比で(ジフェニルジスルフィド+テトラメチルジフェニルジスルフィド):VO(acac):CHFCFSOH=100:5:10となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて160℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[実施例9]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(2g)を加え、さらに、VO(acac)及び1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルフォン酸(CHFCFSOH、沸点:210℃)を、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):CHFCFSOH=100:5:10となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて100℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。3時間後にオイルバスを160℃に昇温してさらに17時間反応を継続した。反応終了後は酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[比較例1]
500mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(1g)を加え、さらにジクロロメタンを46ml加えて溶解した。この溶液にVO(acac)及びTfOHを、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:1:10となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、室温(23℃)にて常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素ガスの供給を止めた。塩酸酸性メタノールで沈殿精製を試みたが、ポリマーは得られなかった。この結果から、温度が低く、かつ酸無水物なしでは、生成する水が重合を阻害し、反応が進行しないことが確認された。
[比較例2]
500mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(1g)を加え、さらに1,1,2,2−テトラクロロエタンを46ml加えて溶解した。この溶液にVO(acac)、TfOH及びトリフルオロメタンスルフォン酸無水物(TfO)を、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH:TfO=100:1:10:200となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、室温(23℃)にて常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素供給を止めた。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[比較例3]
反応温度を40℃としたこと以外は比較例2と同様にして、精製ポリマーを得た。精製ポリマーの収率は83%であったが、このポリマーには融点がなく、IRにてスルフォンの吸収が見られた。
[比較例4]
反応温度を60℃としたこと以外は比較例2と同様にして、精製ポリマーを得た。精製ポリマーの収率は96%であったが、このポリマーには融点がなく、IRにてスルフォンの吸収が見られた。
[比較例5]
50mlの三口フラスコに、ジフェニルジスルフィド(5g)を加え、さらに、VO(acac)及びTfOHを、モル比でジフェニルジスルフィド:VO(acac):TfOH=100:1:10となるように加えた。フラスコ内をスターラーチップで撹拌しながら、オイルバスにて100℃に加熱し、常圧の酸素ガスを10ml/分の流量で三口フラスコに導入した。20時間後に酸素ガスの供給を止め、オイルバスをはずして室温まで冷却した。得られたポリマーを粉砕し、200mlのジクロロメタンに分散し、塩酸酸性メタノールで沈殿精製した。沈殿物をろ過、減圧乾燥することで、精製PPSを得た。
[比較例6]
反応温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、精製PPSを得た。
[比較例7]
反応温度を140℃としたこと以外は実施例1と同様にして、精製PPSを得た。
Figure 0006052631
Figure 0006052631
Figure 0006052631
Figure 0006052631
以上説明したとおり、本発明によれば、得られるポリアリーレンスルフィドの分子量を向上させることができる、ポリアリーレンスルフィドの新規な製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. (A)バナジウム化合物、(B)沸点が160℃以上である酸、及び、(C)酸化剤の存在下で、置換もしくは未置換のジフェニルジスルフィド、及び/又は、置換もしくは未置換のチオフェノールを含むモノマーを、当該モノマーの融点以上かつ150℃を超え270℃以下の温度で重合しつつ、水を蒸発除去する工程を有する、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 前記(A)バナジウム化合物が、オキソバナジウム化合物である、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 前記(C)酸化剤が、酸素分子を含むガスである、請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 前記モノマーが、未置換ジフェニルジスルフィド及び未置換チオフェノールのうちの少なくとも一方と、置換ジフェニルジスルフィド及び置換チオフェノールのうちの少なくとも一方とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 前記モノマーを重合する工程は、前記モノマーを、150℃以下の温度で重合した後、さらに前記モノマーの融点以上かつ150℃を超え270℃以下の温度で重合しつつ、水を蒸発除去する工程である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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