JP3020006B2 - ポリアリーレンチオエーテルの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンチオエーテルの製造法

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JP3020006B2 JP2020181A JP2018190A JP3020006B2 JP 3020006 B2 JP3020006 B2 JP 3020006B2 JP 2020181 A JP2020181 A JP 2020181A JP 2018190 A JP2018190 A JP 2018190A JP 3020006 B2 JP3020006 B2 JP 3020006B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリアリーレンチオエーテルの製造法に関
し、さらに詳しくは、ポリフェニレンチオエーテルなど
の直鎖状ポリアリーレンチオエーテルを、温和な重合条
件下、安価に得ることができる簡便な製造法に関するも
のである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、ポリフェニレンチオエーテル等のポリアリーレ
ンチオエーテルは、ジハロゲン芳香族化合物とアルカリ
金属硫化物とを、極性溶媒中で高温高圧下で縮合反応さ
せることにより製造していた。
しかし、この方法では、アルカリ金属塩がポリアリ
ーレンチオエーテル中に残存し、その電気特性を悪化さ
せる。重合を高温・加圧下で行う必要があり、消費エ
ネルギーが大きくコスト高となる等の問題点があった。
更に、硫酸を触媒とする方法も知られているが副生成
物が多く、また架橋ポリマーも大量に生成するなどの欠
点があった。ジフェニルジスルフィド及び/又はチオフ
ェノールを用いてポリアリーエンチオエーテルを得る方
法は他に特開昭63−213526、特開昭63−213527号公報で
も知られているが、高価なルイス酸や酸化剤を大量に用
いる点及びモノマーとして使用しているジフェニルジス
ルフィド、チオフェノールのコストが高いという問題点
があった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、前記問題点を解消し、電気的特性、機械的特
性、化学的特性等に優れたポリアリーレンチオエーテ
ル、特に架橋ポリマーの副生が少なく実質的に直鎖状の
ポリアリーレンチオエーテルを、簡便に、かつ温和な重
合条件で、安価に得ることができる工業上著しく有利な
製造法を提供することにある。
発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ね
た結果、出発原料として芳香族炭化水素とスルフィド化
剤とを用い、中間生成物であるジフェニルジスルフィド
を単離することなしに良好なポリアリーレンチオエーテ
ルを製造できる方法に到達した。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、下記の各製造法に係るものである。
(1)一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
ルフィド化剤とを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p
−ベンゾキノン、クロラニル及び五酸化バナジウムから
選ばれる酸化剤と酸との存在下、0゜〜50℃の温度範囲
において反応させることを特徴とする直鎖状ポリアリー
レンチオエーテルの製造法。
(2)一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
ルフィド化剤とを、酸化重合触媒と酸と酸素との存在
下、0゜〜50℃の温度範囲において反応させることを特
徴とする直鎖状ポリアリーレンチオエーテルの製造法。
(3)一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
ルフィド化剤とを、酸化能力を有するフリーデルクラフ
ツ触媒である五塩化アンチモン又は四塩化チタンの存在
下、0゜〜50℃の温度範囲において反応させることを特
徴とする直鎖状ポリアリーレンチオエーテルの製造法。
前記(1)〜(3)の各発明における一般式〔I〕、
中のR1〜R4について、更に詳しく説明すると以下の通り
である。
即ち、前記R1〜R4のそれぞれの具体例を例示すると、
例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、
プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチ
ルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチル
エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブト
キシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチ
ルオキシ基、ヘキシルオキシ基、などのアルコキシ基を
挙げることができる。これらの中でも、水素原子やメチ
ル基、エチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基などの低級アルコキシ基が好ましく、特に水素
原子、メチル基、エチル基、メトキシ基などが好まし
い。
尚、前記(1)〜(3)の各発明においては、前記一
般式〔I〕で表される芳香族炭化水素化合物の中から選
ばれる1種又は2種以上の化合物を単独重合又は共重合
せしめて様々な種類・構造のポリアリーレンチオエーテ
ル(単独重合体・共重合体又はそれらの混合物もしくは
組成物)を得ることができる。
前記(1)〜(3)の各発明においては、前記一般式
〔I〕で表される芳香族炭化水素化合物とハロゲン化硫
黄化合物を反応させ、重合することによって、通常一般
式〔II〕 (ただし、式〔II〕中のR5〜R8は、それぞれ前記一般式
〔I〕中のR1〜R4と同じ意味を表す。)で表される主鎖
構造を有するポリアリーレンチオエーテル、特に架橋度
の著しく低い直鎖状のポリアリーレンチオエーテルを得
ることができる。
ここで、いわゆるホモポリマーとしてのポリアリーレ
ンチオエーテルを得ることを目的とする場合には、反応
原料として、前記一般式〔I〕で表される芳香族炭化水
素化合物の1種を単独で用いればよい。
前記一般式〔I〕によって表される芳香族炭化水素化
合物としては、例えば、ベンゼン,トルエン,p−キシレ
ン,p−エチルトルエン,m−エチルトルエン,p−iso−プ
ロピルトルエン,m−iso−プロピルトルエン,p−n−プ
ロピルトルエン,p−メトキシトルエン,m−メトキシトル
エン,ジエテルベンゼン,ジプロピルベンゼン,ジメト
キシベンゼン,アニソール,トリメチルベンゼン,テト
ラメチルベンゼンをかかげることができる。これらの内
でも特にp−キシレン,p−ジメトキシベンゼンなどの低
級アルキル,低級アルコキシをもつp−二置換芳香族化
合物が高分子量の直鎖状目的物を製造する上で好まし
い。
前記(1)〜(3)の各発明において用いるスルフィ
ド化剤としては二塩化ジスルフィド等のハロゲン化硫黄
化合物が好ましい。当然、スルフィド化剤がハロゲン化
硫黄を経由し反応する場合そのスルフィド化剤は好まし
く、例えば、硫黄とハロゲンを同一反応系内で共存させ
ハロゲン化硫黄を生成させ重合を行なうこともできる。
スルフィド化剤としてハロゲン化硫黄化合物以外のも
の例えば単体イオウ等を使用する場合には、フリーデル
クラフツ触媒の共存化に反応させることが望ましい。
このフリーデルクラフツ触媒としては、周知のものを
使用することができる。好ましくは、塩化アルミニウ
ム、タンタルクロライド、塩化アルミニウム銅複塩、シ
リカゲル、アルミナ等である。
前記(1)の発明における2,3−ジクロロ−5,6−ジシ
アノ−p−ベンゾキノン、クロラニル及び五酸化バナジ
ウムから選ばれる酸化剤は、ジフェニルジスルフィド類
を酸化する能力を有するだけでなく、ハロゲン化硫黄化
合物との併用において重合反応の進行にも関与するもの
である。
尚、前記酸化剤は1種単独で用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
前記酸化剤〔A〕の量は、使用する反応原料、溶媒の
種類、酸化剤の種類などにより異なるので一様に規定す
ることはできないが、通常、前記一般式〔I〕で表され
る芳香族化合物〔B〕又はハロゲン化硫黄化合物〔C〕
のうち、少ないモル数の化合物に対する比〔A〕/
〔B〕又は〔C〕(モル比)にして0.1〜50、好ましく
は、0.5〜5である。
この値が0.1未満であると、重合速度が遅くなり、ポ
リマーの収率の低下もみられる。一方、50を超えるとそ
れに見合った効果がみられなくなる。
前記(2)の発明における酸化重合触媒としては、周
期表V A、VI A属の金属塩が適切であり、配位子、対イ
オンに制限はなく、中でもβ−ジケトン類やポリフィリ
ンなどとの塩が好ましい。
これらV A、VI A属の金属化合物を例示すると、例え
ば、バナジルアセチルアセトナト(VO(acac))、バ
ナジルテトラフェニルポルフィリン(VOTPP)、バナジ
ウムアセチルアセトナトなどのバナジウム化合物、酸化
モリブデンアセチルアセトナト(MoO2(ACAC))、酸
化モリブデン(IV)などの酸化モリブデン化合物などで
ある。
中でも特に好適なものとして、バナジルアセチルアセ
トナト(VO(acac))、バナジウムアセチルアセトナ
ート(V(acac))、バナジルテトラフェニルポルフ
ィリン(VOTPP)が挙げられる。
前記酸化重合触媒は1種単独で用いても、2種以上を
混合もしくは複合するなど組み合わせて用いてもよい。
酸化重合触媒を使用する前記(2)の発明における重
合は、例えば窒素雰囲気下等の酸素の全く存在しない系
では進行せず、酸素の存在が必要である。従って通常、
酸素分圧が高いほど好ましいが、大気圧下であれば充分
であり、更に減圧下であってもある程度酸素が存在すれ
ば反応は進行する。
この点、酸化剤を使用する前記(1)、(3)の各発
明における重合は、酸化剤や酸化能力を有するフリーデ
ルクラフツ触媒によって直接ジフェニルジスルフィドが
酸化される為、酸素は不要である。しかしこの場合でも
酸素はあっても差し支えない。
前記(2)の発明における重合反応に使用する前記酸
化重合触媒〔D〕の量は、前記一般式〔I〕で表される
芳香族化合物〔B〕又はハロゲン化硫黄化合物〔C〕の
うち少ないモル数の化合物に対する比〔D〕/〔B〕又
は〔C〕(モル比)にして5〜0.00001であり、好まし
くは0.1〜0.001である。
この値が0.00001未満であると重合速度が遅くなる。
一方、5をこえると触媒のコストが高くなり経済上不利
になる。
前記(1)、(2)の各発明における酸は、重合活性
種の失活を抑制する為のものであり、プロトン酸もしく
はプロトン供与性物質の共存により一部がプロトン酸に
変化する物質、例えば公知の有機酸、無機酸またはそれ
らの混合物もしくは複合体である。
更に具体的には、例えば、塩酸、臭化水素酸、青酸な
どの非酸素酸、硫酸、リン酸、塩素酸、臭素酸、硝酸、
炭酸、ホウ酸、モリブデン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ
酸などの無機オキソ酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸二
水素ナトリウム、プロトン残留ヘテロポリ酸塩、モノメ
チル硫酸、トリフルオロメチル硫酸等の硫酸の部分塩も
しくは部分エステル;塩化アンモニウム、リン酸アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、ヘテロポリ酸アンモニウム
などの溶媒に溶解したり、分解によってプロトン酸とし
て作用しうる化合物;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、
コハク酸、安息香酸、フタル酸などの1価もしくは多価
のカルボン酸、モノクロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロ
ロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフル
オロ酢酸などのハロゲン置換カルボン酸、メタンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸などの1価もしく
は多価のスルホン酸;ベンゼンジスルホン酸ナトリウム
などの多価のスルホン酸の部分金属塩などを挙げること
ができる。
これらの中でも、非揮発性で安定性の高い強酸性プロ
トン酸が好ましく、特に、硫酸、トリフルオロ酢酸、ト
リフルオロメタンスルホン酸などが好ましい。
これら酸は、1種単独で用いてもよいし2種以上混合
もしくは複合して組み合わせてもよい。
前記(3)の発明におけるフリーデルクラフツ触媒と
しては、ジフェニルジスルフィドを酸化する能力のある
ものを使用する。
具体的には、特に五塩化アンチモン、四塩化チタン等
が挙げられる。これらの中でも特に五塩化アンチモンが
好適である。
前記(3)の発明のフリーデルクラフツ触媒〔E〕の
量は、使用する反応原料、溶媒の種類などにより異なる
ので一様に規定することはできないが、通常、前記一般
式〔I〕で表される芳香族炭化水素化合物〔B〕又はハ
ロゲン化硫黄化合物〔C〕のうち少ないモル数の化合物
に対する比〔E〕/〔B〕又は〔C〕(モル比)にして
0.2〜50、好ましくは0.5〜5である。
この値が0.2未満であると重合速度が遅くなり、ポリ
マーの収率の低下もみられる。一方50を超えるとそれに
見合った効果がみられなくなる。
前記(1)〜(3)の各発明における重合は、溶媒の
非存在下においても行い得るが、通常、溶媒の存在下に
行うことが望ましい。
この溶媒としては、重合活性を実質的に消失させない
ものであれば使用可能であるが、通常用いる反応原料等
を溶解できるものが望ましい。
通常、好適に使用することができる溶媒としては、例
えば、ニトロメタン、ジクロロメタン、ジブロモエタ
ン、テトラクロロエタン、ニトロベンゼン、二硫化炭素
などを挙げることができる。このほか一般にフリーデル
クラフツ反応やカチオン重合等に使用される溶媒も適宜
に選択して好適に使用することができる。
また反応原料の芳香族炭化水素をそのまま溶媒として
使用しても良い。
なお、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以
上を混合して用いてもよく、あるいは必要により不活性
溶媒などと混合して用いてもよい。
前記(2)の発明における重合は、前記(1)、
(3)の各発明の場合と異なり重合の進行とともに水発
生を伴うため、脱水剤存在下で重合を行うことが望まし
い。通常、好適に使用することのできる脱水剤として、
無水酸、例えば、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオ
ロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸などを挙げ
ることができる。このほか、重合反応に影響を与えない
物であれば制限はなく、無水硫酸ナトリウム、無水塩化
カルシウム等を用いてもよい。
反応原料濃度、すなわち、前記芳香族炭化水素及びハ
ロゲン化硫黄化合物の合計の濃度は、特に制限されない
が、通常、10-4mol/以上とするのが好適である。
芳香族炭化水素及びハロゲン化硫黄化合物が重合温度
で液体の場合、反応原料自体を溶媒とするバルク重合も
可能である。
また、前記酸及び脱水剤を使用する場合のこれらの使
用割合は、酸の種類、組成、反応原料や溶媒の種類、系
中の水分等の不純物の濃度、反応温度などの他の条件に
よって異なるので一様に規定できないが、前記重合反応
が開始される濃度で、かつ、分解反応等の目的とする重
合反応以外の副反応が抑制される濃度であればよい。
水の存在は、重合速度を増加させたり、一方重合活性
を低下させたり、重合に対して様々な形で影響を与える
が、水の濃度がある濃度以上になると、通常、重合活性
が著しく低下することがあるので、その濃度を許容範囲
内となるように設定して行うのが望ましい。この水の許
容濃度範囲は、使用する酸や溶媒の種類などによって異
なるので一様に規定できない。
前記重合に際しての反応温度は、使用する酸やモノマ
ーの種類によって一様ではないが、0〜50℃の範囲内で
ある。
反応圧力および酸素分圧は、常圧もしくは反応系の自
圧で好適におこなうことができる。もっとも、必要によ
り、重合反応に支障のない希釈ガスなどとの混合ガスを
用いて加圧下に行うこともできる。
反応時間は、用いる酸、反応原料の種類やその使用割
合、反応温度、酸素分圧、酸化剤又は酸化重合触媒の使
用割合、溶媒等の条件によって著しく異なるが、通常、
0.5〜100時間であり、好ましくは2〜50時間である。
前記(1)〜(3)の各発明における重合反応系を構
成するにあたって、前記酸化剤、前記酸化重合触媒、前
記フリーデルクラフツ触媒、前記芳香族化合物、前記ハ
ロゲン化硫黄化合物及び前記溶媒の配合の順序・方法に
ついては特に制限はなく、それぞれを同時にあるいは種
々の順序・様式で段階的に配合することもできる。
重合は、均一又は不均一の多相系乃至はスラリー系で
おこなってもよい。
反応方式としては、特に制限はなく、連続式、半連続
式、回分式のいずれの方法を用いてもよい。
回分式を用いる場合には、反応系を攪拌して行うこと
が望ましい。
以上の通りの前記(1)〜(3)の各発明によって反
応後、溶液中に目的とするポリアリーレンチオエーテル
を得ることができる。
この後処理は、公知の様々の方法に準じて行うことが
できる。重合を溶液重合で行った場合の後処理の1例を
挙げれば、以下の通りである。
すなわち、前記重合反応が完結もしくは必要な程度に
進行したならば、反応混合物を水、メタノールなどの低
級アルコールあるいはこれらの混合液と接触させて、触
媒を失活させるとともに、生成物のポリマーを沈澱せし
める。この際、必要により、塩基性物質等の重合停止剤
を併用してもよい。
前記後処理法において、必ずしも、貧溶媒または塩基
性物質と接触させる必要はなく、重合途中で重合溶媒中
に析出するポリマーであるならば、重合を継続しながら
ポリマーを分離し乾燥できる。
この沈澱したポリマーは、通常のろ過などの分離操作
によって、液体から分離する。この分離したポリマー
は、必要に応じて、アルカリ水溶液などの洗浄液によっ
て洗浄もしくは中和・洗浄し、さらに必要に応じて、適
当な溶媒と再沈液とを用いて溶解・再沈・分離・メタノ
ール洗浄などの操作を必要なだけ繰り返したのち、乾燥
し、種々の純度に精製したポリアリーレンチオエーテル
として回収することができる。
なお、前記溶解・再沈に用いる溶媒としては、ポリマ
ーを効率よく溶解するという点などから、たとえばN−
メチルピロリドンなどが好適に用いられる。
また、上記再沈液、洗浄液としては、通常、例えば
水、メタノールあるいは、これらの混合液など、特にメ
タノールなどが好適に使用できる。
一方、ポリマーから分離された混合液中の未反応反応
原料、副生低分子化合物、溶媒などは、通常の蒸留操作
によって精製・回収され、繰り返して反応系又は後処理
工程に、あるいは他の様々な用途に有効に利用すること
ができる。
前記(1)〜(3)の各発明によって得られたポリフ
ェニレンチオエーテルなどの直鎖状ポリアリーレンチオ
エーテルは、耐熱性、耐薬品性に優れ、剛性、強度、耐
衝撃性、耐摩耗性などの種々の機械的特性に優れるとと
もに、特に、従来問題となっていた食塩等の耐絶縁性を
悪化する塩を含まないので、耐絶縁性等の電気特性に著
しく優れている。さらに、ポリマーの構造が実質的に直
鎖状であるなどの理由によって加工性にも優れたエンジ
ニアリングプラスチックであり、電子、電気分野、機械
分野、塗料関係、自動車、化学関係などの様々の分野・
関係の機器部品、機械部品、素材などとして好適に用い
ることができる。
〔発明の効果〕
本発明は、反応条件が極めて温和であり、製造方法が
簡便である。かつ原料および触媒として極めて安価なも
のを使用できるなど工業的に有利であり、特に架橋度の
著しく低い実質的に直鎖状のポリアリーレンチオエーテ
ルの提供に有利なものである。
〔実施例〕
実施例1 窒素雰囲気下、二塩化ジスルフィド3.38gをp−キシ
レン50mlに溶解し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p
−ベンゾキノン5.7g、トリフルオロ酢酸11.4gのテトラ
クロロエタン溶液50mlと混合し2時間攪拌した。反応溶
液を塩酸酸性メタノール中に滴下すると白色の沈澱が得
られた。沈澱を濾過し未反応物、触媒と分離して、洗
浄、乾燥し、白色粉末6.34gを得た(硫黄基準の収率93
%)。
元素分析(calcd.) C;70.10(70.54%) H; 6.05( 5.92%) S;22.68(23.54%) IR νC-H=2850,2910,2960cm-1 νC=C=1380,1475,1590cm-1 δC-H=880cm-1 融点 270℃ 以上によりポリ(2.5−ジメチルフェニレンスルフィ
ド)を確認した。
実施例2 酸素雰囲気下、トルエン9.2gと二塩化ジスルフィド3.
38gをジクロロメタン100mlに溶解し、バナジルアセチル
アセトナト0.27g、トリフルオロメタンスルホン酸0.15
g、無水トリフルオロ酢酸10.5gを混合し、30℃で40時間
反応させた。所定の精製によりポリ(2−メチルフェニ
レンスルフィド)4.82gを得た。
元素分析(calcd.) C;67.71(68.80%) H; 4.98( 4.96%) S;25.86(26.24%) IR νC-H=2850,2910,2970cm-1 νC=C=1380,1460,1580cm-1 δC-H=820,875cm-1 NMR δ(-CH3)=2.35ppm δ(Phenyl)=7.15ppm 融点 153℃ 実施例3 大気下、p−ジメトキシベンゼン1.38gと二塩化ジス
ルフィド2.03gをニトロベンゼン30mlに溶解し、五塩化
アンチモン4.49gのテトラクロロエタン溶液と混合し、2
0時間攪拌した。所定の精製によりポリ(2,5−ジメトキ
シフェニレンスルフィド)粉末1.54gを得た。
元素分析(calcd.) C;57.61(57.12%) H; 4.68( 4.79%) S;19.11(19.07%) IR νC-H=2830,2930,2976cm-1 νC=C=1360,1440,1480,1560cm-1 νC-O-C=1180,1205cm-1 δC-H=860,820cm-1 融点 175℃ 実施例4 大気下、二塩化ジスルフィド1.34gをp−ジイソプロ
ピルベンゼン20mlに溶解し、クロラニル1.53g、トリフ
ルオロ酢酸4.56gを含むジクロロメタン溶液20mlと混合
し、0℃にて40時間反応させた。所定の精製によりポリ
(2,5−ジイソプロピルフェニレンスルフィド)粉末3.1
3gを得た。
元素分析(calcd.) C;74.86(74.93%) H; 8.38( 8.40%) S;16.70(16.67%) IR νC-H=2870,2930,2965cm-1 νC=C=1368,1420,1465,1520cm-1 δC-H=840cm-1 融点 240℃ 実施例5 大気下、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼ
ン)6.7g、二塩化ジスルフィド3.38g、五酸化バナジウ
ム4.55g、トリフルオロ酢酸5.7gをニトロメタン50ml中
で混合し、室温下、20時間反応させた。所定の精製によ
りポリ(2,3,5,6−テトラメチルフェニレンスルフィ
ド)粉末5.10gを得た。
元素分析(calcd.) C;73.02(73.12%) H; 7.28( 7.36%) S;19.61(19.52%) IR νC-H=2860,2920,2965cm-1 νC=C=1390,1405,1465cm-1 δC-H=870cm-1 融点 240℃ 実施例6 N2下、ニトロベンゼン100gとアニソール10.08g,イオ
ウ6.4gとを混合し、AlCl32.67gを添加して、50時間30℃
で反応させた。その後、バナジルテトラポルフィリン0.
03g,トリフルオロメタン硫酸0.2g,無水トリクロロ酢酸2
gを加え50時間20℃で反応した。所定の精製によりポリ
(2−メトキシフェニレンスルフィド)粉末2.2gを得
た。
元素分析(calcd.) C;59.01(60.84%) H; 3.47( 4.38%) S;23.11(23.20%) IR νC-H=2830,2930,2970cm-1 νC=C=1480,1560cm-1 νC-O-C=1205cm-1 δC-H=860,820cm-1 融点 215℃
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−7248(JP,A) 特開 昭59−189124(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00 - 75/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
    原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
    す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
    種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
    ルフィド化剤とを、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p
    −ベンゾキノン、クロラニル及び五酸化バナジウムから
    選ばれる酸化剤と酸との存在下、0゜〜50℃の温度範囲
    において反応させることを特徴とする直鎖状ポリアリ−
    レンチオエーテルの製造法。
  2. 【請求項2】一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
    原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
    す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
    種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
    ルフィド化剤とを、酸化重合触媒と酸と酸素との存在
    下、0゜〜50℃の温度範囲において反応させることを特
    徴とする直鎖状ポリアリ−レンチオエーテルの製造法。
  3. 【請求項3】一般式〔I〕 (ただし、式〔I〕中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水素
    原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表
    す。R1,R2,R3,R4は互いに同じ種類であっても異なった
    種類であってもよい。)で表される芳香族炭化水素とス
    ルフィド化剤とを、酸化能力を有するフリーデルクラフ
    ツ触媒である五塩化アンチモン又は四塩化チタンの存在
    下、0゜〜50℃の温度範囲において反応させることを特
    徴とする直鎖状ポリアリ−レンチオエーテルの製造法。
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