JPH0674326B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造法

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JPH0674326B2
JPH0674326B2 JP2162881A JP16288190A JPH0674326B2 JP H0674326 B2 JPH0674326 B2 JP H0674326B2 JP 2162881 A JP2162881 A JP 2162881A JP 16288190 A JP16288190 A JP 16288190A JP H0674326 B2 JPH0674326 B2 JP H0674326B2
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acid
disulfide
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polyarylene sulfide
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宣夫 緒方
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電気材料、電子材料、コーティング剤、成形
品添加剤等に用いられるポリアリーレンスルフィドの製
造法に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 従来、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレン
スルフィドは、p−ジクロロベンゼンなどのジハロゲン
化芳香族化合物と、硫化ソーダなどのアルカリ金属硫化
物とを、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒中で高温
加圧下で縮重合反応させることにより製造されている
(特公昭45−3368号公報参照)。
しかし、この特許公報に記載の方法では、重合を125
〜450℃の高温と1000psig以上の加圧下に行う必要があ
るので消費エネルギーが大きく、また副生アルカリ金
属塩がポリアリーレンスルフィド中に残存し、このポリ
アリーレンスルフィドの電気特性、化学的特性などを悪
化させる等の問題点があった。
更に、硫酸を触媒として用い、ジフェニルジスルフィド
やチオフェノールを重合させて直接ポリアリーレンスル
フィドを得る方法も知られているが副生成物が多く、ま
た架橋ポリマーも大量に生成するなどの欠点があった。
ジフェニルジスルフィドやチオフェノールを用いてポリ
アリーレンスルフィドを得る方法は他に特開昭63−2135
26号公報、同63−213527号公報にも開示されているが、
高価なルイス酸、酸化剤を大量(等モル量)に用いなけ
ればならないうえ、ポリマー中に残存するこれらルイス
酸等の除去に大量の溶剤や洗剤を必要とするという問題
点があった。
さらに、Macromol 22,4138(1989)には、ジフェニル
ジスルフィド類を、酸および触媒の存在下に大気圧下で
酸化カップリング重合させることにより、アルカリ金属
塩などの不純物を含有しないために電気的特性、化学的
特性にすぐれた、特に架橋ポリマーの副生が少なく、実
質的に直鎖状のポリアリーレンスルフィドを得ている
が、この場合、反応速度が遅いという難点がある。
従って本発明の目的は、実質的に直鎖状のポリアリーレ
ンスルフィドを、温和な条件で生産性良く(短時間に高
収率で)得ることができる、工業上著るしく有利なポリ
アリーレンスルフィドの製造法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、前記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた
結果、反応原料として、ジフェニルジスルフィドおよび
/またはチオフェノールを用い、これを酸の存在下、触
媒を用いるとともに、酸素分圧が2.5kg/cm2以上の加圧
下において酸化カップリング重合させるという方法が、
本発明の目的を達成するのに極めて有効であることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
すなわち、本発明は、一般式[I] (式[I]中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン
原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表し、
R1〜R8は、互いに同じ種類であっても異なった種類であ
ってもよい。)で表されるジフェニルジスルフィド類お
よび/または一般式[II] (式[II]中、R9〜R12は、それぞれ水素原子、ハロゲ
ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表
し、R9〜R12は、互いに同じ種類であっても異なった種
類であってもよい。)で表されるチオフェノール類を酸
の存在下、触媒を用いるとともに、酸素分圧が2.5kg/cm
2以上の加圧下において酸化カップリング重合させるこ
とを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法を要
旨とするものである。
本発明は、いわゆる物の製造方法の発明であるので、以
下、本発明を、(A)出発物質(モノマー)、(B)処
理条件(重合条件)、(C)目的物質(ポリマー)の順
で詳細に説明する。
(A)出発物質(モノマー) 本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法において出
発物質として用いられるモノマーは、一般式[I]で表
されるジフェニルジスルフィド類および/または一般式
[II]で表されるチオフェノール類である。
前記一般式[I]、[II]中のR1〜R12について、更に
詳しく説明すると以下の通りである。
すわなち、前記R1〜R12のそれぞれの具体例を例示する
と、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−
メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメ
チルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの低級アルキル基;メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、プトキシ基、
イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ
基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの低級ア
ルコキシ基を挙げることができる。これらの中でも、水
素原子;メチル基、エチル基;メトキシ基、エトキシ基
が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基などが
好ましい。
前記一般式[I]によって表されるジフェニルジスルフ
ィド類にしては、例えば、ジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジメチルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,6,6′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,5,5′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、3,3′,5,5′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,5,5′−ヘキ
サメチルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,6,6′
−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,
5,5′,6,6′−オクタメチルジフェニルジスルフィド、
2,2′−ジエチルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジエ
チルジフェニルジスルフィド、2,2′6,6′−テトラエチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサ
エチルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,5,5′6,
6′−オクタエチルジフェニルジスルフィド、2,2′−ジ
プロピルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジプロピル
ジフェニルジスルフィド、2,2′5,5′−テトラプロピル
ジフェニルジスルフィド、2,2′−ジブチルジフェニル
ジスルフィド、2,2′−ジペンチルジフェニルジスルフ
ィド、2,2′−ジヘキシルジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジフルオロジフェニルジスルフィド、2,2′−ジク
ロロジフェニルジスルフィド、2,2′−ジブロモジフェ
ニルジスルフィド、2,2′−ジヨードジフェニルジスル
フィド、3,3′−ジフルオロジフェニルジスルフィド、
3,3′−ジクロロジフェニルジスルフィド、3,3′−ジブ
ロモジフェニルジスルフィド、3,3′−ジヨードジフェ
ニルジスルフィド、2,2′3,3′−テトラフルオロジフェ
ニルジスルフィド、2,2′3,3′−テトラクロロジフェニ
ルジスルフィド、2,2′5,5′−テトラフルオロジフェニ
ルジスルフィド、2,2′5,5′−テトラクロロジフェニル
ジスルフィド、2,2′6,6′−テトラフルオロジフェニル
ジスルフィド、2,2′6,6′−テトラクロロジフェニルジ
スルフィド、2,2′6,6′−テトラブロモジフェニルジス
ルフィド、3,3′5,5′−テトラフルオロジフェニルジス
ルフィド、3,3′5,5′−テトラクロロジフェニルジスル
フィド、2,2′3,3′5,5′−ヘキサフルオロジフェニル
ジスルフィド、2,2′3,3′5,5′−ヘキサクロロジフェ
ニルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサフルオロ
ジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサク
ロロジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′5,5′6,6′−
オクタフルオロジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′5,
5′6,6′−オクタクロロジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジメトキシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジエ
トキシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジイソプロポ
キシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジプロポキシジ
フェニルジスルフィド、2,2′−ジブトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′3,3′−テトラメトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′6,6′−テトラメトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′6,6′−テトラエトキシジフェニル
ジスルフィド、3,3′−ジメトキシジフェニルジスルフ
ィド、2,2′5,5′−テトラメトキシジフェニルジスルフ
ィドなど対称ジフェニルジスルフィド類;2−メチルジフ
ェニルジスルフィド、2−エチルジフェニルジスルフィ
ド、2−プロピルジフェニルジスルフィド、2−ブチル
ジフェニルジスルフィド、2−フルオロジフェニルジス
ルフィド、2−クロロジフェニルジスルフィド、2−メ
トキシジフェニルジスルフィド、2,6−ジメチルジフェ
ニルジスルフィド、2,6−ジエチルジフェニルジスルフ
ィド、2,6−ジフルオロジフェニルジスルフィド、2,3−
ジメチルジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テトラフ
ルオロジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,3,6−トリメチルジフェ
ニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′−メチルジフ
ェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′−エチルジ
フェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′,3′,5′,
6′−テトラフルオロジフェニルジスルフィド、2,6−ジ
メチル−2′−メトキシジフェニルジスルフィド、2,6
−ジエチル−2′−メチルジフェニルジスルフィド、2,
6−ジエチル−2′−エチルジフェニルジスルフィド、
2,6−ジエチル−2,3,5,6−テトラフルオロジフェニルジ
スルフィド、2,6−ジメチル−2′,6′−ジエチルジフ
ェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′,6′−ジフ
ルオロジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テトラメチ
ル−2′,3′,5′,6′−テトラフルオロジフェニルジス
ルフィドなどの非対称ジフェニルジスルフィド類を挙げ
ることができる。これらの中でも特に、ジフェニルジス
ルフィド、3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルジス
ルフィド、2,2′,6,6′−テトラメチルジフェニルジス
ルフィド、2,2′−ジメチルジフェニルジスルフィド、
3,3′−ジメチルジフェニルジスルフィド、2,2′,5,5′
−テトラメチルジフェニルジスルフィドなどが好まし
い。
前記一般式[II]で表されるチオフェノール類として
は、例えば、チオフェノール、2−メチルチオフェノー
ル、2−エチルチオフェノール、2−プロピルチオフェ
ノール、2−(1−メチルエチル)チオフェノール、2
−ブチルチオフェノール2、−(1−メチルプロピル)
チオフェノール、2−(2−メチルブチル)チオフェノ
ール、2−(1,1−ジメチルエチル)チオフェノール、
2−ペンチルチオフェノール、2−ヘキシルチオフェノ
ール、2−オクチルチオフェノール、2−フルオロチオ
フェノル、2−クロロチオフェノール、2−ブロモチオ
フェノール、2−ヨードチオフェノール、2−メトキシ
チオフェノール、2−エトキシチオフェノール、2−プ
ロポキシチオフェノール、2−ブトキシチオフェノー
ル、2−sec−ブトキシチオフェノール、2−イソブト
キシチオフェノール、2−tert−ブトキシチオフェノー
ル、2−ペンチルオキシチオフェノール、2−ヘキシル
オキシチオフェノール、2−ジメチルチオフェノール、
2,6−ジエチルチオフェノール、2−メチル−6−エチ
ルチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、
2−メチル−6−フルオロチオフェノール、2−エチル
−6−フルオロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフ
ェノール、2−メチル−6−クロロチオフェノール、2,
6−ジメトキシチオフェノール、2−メチル−6−メト
キシチオフェノール、2,3−ジメチルチオフェノール、
2,3−ジエチルチオフェノール、2,3−ジフルオロチオフ
ェノール、2−メチル−3−フルオロチオフェノール、
2−フルオロ−3−メチルチオフェノール、2,3−ジメ
トキシチオフェノール、2−メチル−3−メトキシチオ
フェノール、2,3−ジクロロチオフェノール、2−メチ
ル−3−クロロチオフェノール、3−クロロ−2−メチ
ルチオフェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、2,5
−ジフルオロチオフェノール、2,5−ジエチルチオフェ
ノール、2−メチル−5−フルオロチオフェノール、2
−メチル−5−エチルチオフェノール、2−フルオロ−
5−メチルチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノ
ール、2,5−ジメトキシチオフェノール、2−メチル−
5−クロロチオフェノール、2−メチル−5−メトキシ
チオフェノール、2−クロロ−5−メチルチオフェノー
ル、2−メトキシ−5−メチルチオフェノール、2−ク
ロロ−5−フルオロチオフェノール、2−エチル−5−
クロロチオフェノール、2−クロロ−5−エチルチオフ
ェノール、3,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジフル
オロチオフェノール、3,5−ジメトキシチオフェノー
ル、3,5−ジエチルチオフェノール、3,5−ジクロロチオ
フェノール、3−メチル−5−フルオロチオフェノー
ル、3−メチル−5−クロロチオフェノール、3−メチ
ル−5−メトキシチオフェノール、2,3,5−トリメチル
チオフェノール、2,3,5−トリフルオロチオフェノー
ル、2,3,5−トリエチルチオフェノール、2,3,5−トリク
ロロチオフェノール、2−メチル−3,5−ジフルオロチ
オフェノール、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノー
ル、2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール、2,3,5,6
−テトラクロロチオフェノール、2,3,5,6−テトラメト
キシチオフェノール、2,3,5,6−テトラエチルチオフェ
ノール、2,6−ジメチル−3,5−ジフルオロチオフェノー
ル、2,6−ジエチル−3,5−ジフルオロチオフェノール、
2,6−ジエチル−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−
ジエチル−3,5−ジメチルチオフェノール、2,6−ジエチ
ル−3,5−ジメトキシチオフェノール、2,6−ジメチル−
3,5−ジクロロチオフェノール、2−メチル−6−エチ
ル−3,5−ジフルオロチオフェノール等を挙げることが
できる。
これらの中でも特に、チオフェノール、2−メチルフェ
ノール、2−エチルチオフェノール、2−メトキシチオ
フェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジメ
チルチオフェノール、2,5−ジエチルチオフェノール、
3,5−ジエチルチオフェノール、2,6−ジメチルチオフェ
ノール、2,6−ジエチルチオフェノール、2,6−ジメトキ
シチオフェノール、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノ
ールなどが好ましい。
(B)処理条件(重合条件) 本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法において
は、上述の一般式[I]のジフェニルジスルフィド類お
よび/または一般式[II]のチオフェノール類を酸の存
在下、触媒を用いるとともに、酸素分圧が2.5kg/cm2
G(ゲージ圧)以上の加圧下において酸化カップリング
重合させる。
この酸化カップリング重合において、酸の存在が必須で
あり、このような酸としては、プロトン酸もしくはプロ
トン供与性物質の共存によりプロトン酸に変化するプロ
トン酸供与体が挙げられ、公知の有機酸またはその塩、
無機酸またはその塩、さらにはそれらの混合物もしくは
複合体などを用いることができる。プロトン酸として
は、例えば、塩酸、臭化水素酸、青酸などの非酸素酸;
硫酸、リン酸、塩素酸、臭素酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、
モリブデン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸などの無機オ
キソ酸;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、コハク酸、安
息香酸、フタル酸などの1価もしくは多価のカルボン
酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、
モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸
などのハロゲン置換カルボン酸;メタンスルホン酸、エ
タンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸など
の1価もしくは多価のスルホン酸などを挙げることがで
きる。
これらの中でも、非揮発性で安定性の高い強酸性プロト
ン酸たとえば硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸などが好ましく、特にトリフルオロ酢酸
が好ましい。
これらのプロトン酸は、1種単独で用いてもよいし2種
以上混合もしくは複合して用いても良い。
なお、これらのプロトン酸は、後に詳述する触媒ととも
に酸化カップリング重合に対する触媒作用を有するもの
と考えられる。
出発物質(モノマー)に対する前記のプロトン酸の添加
量は、プロトン酸の種類、プロトン酸供与体との併用の
有無、出発物質(モノマー)の種類、他の重合条件等に
よって異なり、適宜決定されるが、上記のプロトン酸の
量は、出発物質のモル数に対して0.001〜15倍とするの
が好ましい。その理由は、0.001倍未満では、酸化カッ
プリング重合に対する触媒作用が小さく、一方15倍を超
えると、出発物質(モノマー)の反応効率が低下するか
らである。
前記プロトン酸供与体としては、無水酢酸、無水トリフ
ルオロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸などの
無水酸;硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、プロトン残留ヘテロポリ酸塩、モノメチル硫酸、ト
リフルオロメチル硫酸等の硫酸の部分塩もしくは部分エ
ステル;塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、ヘテロポリ酸アンモニウムなどの、溶媒
に溶解したり、または分解することによってプロトン酸
として作用しうる化合物;ベンゼンジスルホン酸ナトリ
ウムなどの多価スルホン酸の部分金属塩などを挙げるこ
とができる。なお、これらのプロトン酸供与体は、反応
系中でプロトン酸に転化し、後に詳述する触媒とともに
酸化カップリング重合に対する触媒作用を有するものと
考えられる。
出発物質(モノマー)に対する前記のプロトン酸供与体
の添加量は、プロトン酸供与体の種類、プロトン酸との
併用の有無、出発物質(モノマー)の種類、他の重合条
件等によって異なり、適宜決定されるが、上記のプロト
ン酸供与体の量は、出発物質のモル数に対して0.001〜1
5倍とするのが好ましい。その理由は、0.001倍未満で
は、酸化カップリング重合に対する触媒作用が小さく、
一方15倍を超えると、出発物質(モノマー)の反応効率
が低下するからである。
これらのプロトン酸供与体の中で無水酸を用いるのが特
に好ましい。その理由は、これらの無水酸は、酸化カッ
プリング重合の進行とともに副生するH2Oの除去作用
(脱水作用)を果し、その後、H2Oを取り込んだ後に生
じたプロトン酸が酸化カップリング重合に対する触媒作
用を果すからである。この2つの作用を果す無水酸の添
加量は出発物質(モノマー)のモル数に対して1〜10倍
とするのが特に好ましい。その理由は、1倍未満では脱
水作用、触媒作用が十分でなく、一方10倍を超えても、
それ以上の脱水作用、触媒作用を期待できず、不経済に
なるからである。
なお、酸化カップリング重合で副生するH2Oの除去のみ
に着目した場合には、重合反応に影響を与えない、無水
硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等の脱水剤を用いても
よいが、この場合には、上記のプロトン酸および/また
はプロトン酸供与体の使用は当然必須となる。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法において用
いられる触媒としては、バナジウム系触媒が好ましく、
例えば、バナジルアセチルアセトナート(VO(aca
c)2)、バナジルテトラフェニルポルフィリン(VOTP
P)、三塩化酸化バナジウム、バナジウムアセチルアセ
トナート、バナジウムポルフィリンなどのバナジウム化
合物などが挙げられる。これらのバナジウム系触媒は、
単独で用いても2種以上を混合または複合して用いても
よい。このバナジウム系触媒の量は、出発物質(モノマ
ー)1モルに対して0.0001〜5モルとするのが好まし
い。その理由は0.0001モル未満であると、重合速度が遅
くなり、一方5モルを超えると、触媒コストが高くなり
不経済になるからである。特に好ましいバナジウム系触
媒の使用量は、出発物質(モノマー)1モルに対して0.
0005〜1モルである。本発明のポリアリーレンスルフィ
ドの製造法において用いられる前記の触媒は、酸素運搬
の役割を果し、酸化カップリング重合を促進する。
以上、酸を存在させることおよび触媒を用いることが必
須条件であることを述べたが、本発明の方法において
は、もう1つの重要な必須条件が存在する。それは、上
記出発物質(モノマー)の酸化カップリング重合を酸素
分圧が2.5kg/cm2以上の加圧下に実施することである。
酸素分圧が2.5kg/cm2の加圧下に酸化カップリング重合
を行なうことにより、重合速度が著るしく向上し、ポリ
アリーレンスルフィドを生産性良く(短時間に高収率
で)得ることができる。酸素分圧を2.5kg/cm2以上に限
定した理由は、2.5kg/cm2未満であると、十分な重合速
度が得られないからである。酸素分圧の上限は特に制限
がないが、10kg/cm2以下とするのが好ましい。その理由
は、10kg/cm2を超えても10kg/cm2以下に比べて重合速度
の大きな上昇が認められないからである。
なお、この酸化カップリング重合は、溶媒の非存在下に
おいても行い得るが、通常、溶媒の存在下に行うことが
望ましい。この溶媒としては、重合活性を実質的に消失
させないものであればどのような溶媒も使用可能である
が、出発物質(モノマー)および酸を溶解できるものが
望ましい。通常、好適に使用することができる溶媒とし
ては、例えば、ニトロメタン、ジクロロメタン、ジブロ
モエタン、テトラクロロエタン、ニトロベンゼンなどを
挙げることができ、このほか一般にフリーデルクラフツ
反応やカチオン重合などに使用される溶媒も適宜に選択
して好適に使用することができる。
なお、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上
を混合して用いてもよく、あるいは必要により、例え
ば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などの不
活性溶媒などと適宜混合して用いてもよい。
本発明の方法においては、重合条件として、上記必須条
件を採用することにより、比較的に低温、例えば室温で
酸化カップリング重合を行うことが可能であるが、重合
温度は−5〜150℃の範囲で適宜選択できる。特に好ま
しい範囲は0〜60℃である。
また本発明の方法によれば、酸化カップリング重合を効
率良く行うことができるので、重合時間も比較的短時間
とすることができるが、重合時間として、通常0.5〜100
時間の範囲、特に好ましくは2〜50時間の範囲が採用さ
れる。
重合方式としては、特に制限はなく、連続式、半連続
式、回分式のいずれの方式を用いてもよい。回分式を用
いる場合には、反応系を攪拌して行うことが望ましい。
重合後の後処理は、周知の技術で行われるので、ここで
はその説明を省略する。
(C)目的物質(ポリマー) 上記(A)で述べた出発物質(一般式[I]のジフェニ
ルジスルフィド類および/または一般式[II]のチオフ
ェノール類)を、上記(B)で述べた重合条件下に、酸
化カップリング重合することにより、目的物質(ポリマ
ー)として、 一般式[III] (ただし、式[III]中のR13〜R16はそれぞれ一般式
[I]、[II]の中のR1〜R12と同意味を有する。)で
表される主鎖構造を有するポリアリーレンスルフィド、
特に架橋度の著しく低い直鎖状のポリアリーレンスルフ
ィドが得られる。
出発物質のモノマーとして、単一物質を用いた場合に
は、ホモポリマー(単独重合体)が得られ、2種以上の
共重合可能なモノマーを用いた場合には、コポリマー
(共重合体)が得られる。また2種以上のモノマーを用
いた場合でも、これらのモノマーが共重合しない場合に
は、ホモポリマー(単独重合体)の混合物が得られる。
得られたポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品
性等の化学的特性に優れ、特に、従来問題となっていた
アルカリ金属塩などの絶縁性を悪化させる塩を含まない
ので、電気特性に著しく優れている。したがって、電
子、電気分野、機械分野、塗料分野などの様々の分野に
おける機器、部品、素材などとして好適に用いることが
できる。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に説明する。
実施例1 3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルジスルフィド3.0
0gを溶解した1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液を、ト
リフルオロ酢酸5.15g、トリフルオロメタンスルホン酸
0.16g、無水酢酸2.47gおよびバナジルアセチルアセトナ
ート0.26gを溶解した1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液
に加え、酸素分圧3kg/cm2−Gをかけて攪拌下室温で21
時間反応させた。反応溶液を塩酸酸性メタノール中に注
入すると白色の沈殿が得られた。沈殿を濾過、洗浄、乾
燥し、白色粉末状の重合体を得た。収量は2.79gで、こ
れは収率93%に相当し、極めて高収率であった。得られ
た重合体は、赤外線吸収スペクトル(IR)分析および元
素分析より、ポリ−3,5−ジメチルフェニレンスルフィ
ドであることを確認した。また、この重合体の濃度0.5g
/dlの塩化メチレン溶液の30℃において測定(以下の実
施例も同様)したηinhは0.041g/dlであった。
比較例1 重合を酸素分圧3kg/cm2−Gの加圧下に行う代りに大気
中で行ったこと、および反応時間を20時間とした以外は
実施例1と同様に実施した。その結果、ポリマーの収量
は1.12gであり、収率37%と低収率であった。
実施例2 溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタンの代りに塩化
メチレンを使用したことおよびトリフルオロメタンスル
ホン酸を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にし
て重合を行い、白色粉末状のポリ−3,5−ジメチルフェ
ニレンスルフィドを得た。得られたポリマーの収量は1.
74gであり、これは収率5%に相当し、高収率であっ
た。また、ηinhは0.037dl/gであった。
比較例2 溶媒として塩化メチレンの代りに1,1,2,2−テトラクロ
ロエタンを使用したことおよび重合を酸素分圧3kg/cm2
−Gの加圧下に行う代りに大気中で行ったこと以外は実
施例2と同様に実施した。その結果、ポリマーの収量は
0.09gであり、これは収率3%に相当し、極めて低収率
であった。
実施例3 ジフェニルジスルフィド2.42g、トリフルオロメタンス
ルホン酸0.08g、トリフルオロ酢酸無水物4.82g、バナジ
ルアセチルアセトナート0.137gを用い、塩化メチレン溶
媒中で酸素分圧5.9kg/cm2−G中の加圧下に20時間反応
させた。この場合、反応途中で沈殿物が析出することが
認められた。この沈殿物は、IR分析から、ポリフェニレ
ンスルフィドであることが確認された。得られたポリマ
ーの収量は1.97gで、これは収率81%に相当し、極めて
高収率であった。また、このポリマーは、融点が213℃
であった。
比較例3 重合を酸素分圧5.9kg/cm2−Gの加圧下に行う代りに酸
素雰囲気下に常圧で行った以外は実施例3と同様に実施
した。その結果、ポリマーの収量は0.91gであり、これ
は収率38%に相当し、低収率であった。このポリマーの
融点は、183℃であった。
実施例4 ビス2,2′,6,6′−テトラメチルジフェニルジスルフィ
ド3.00g、トリフルオロメタンスルホン酸0.16g、トリフ
ルオロ酢酸無水物4.84g、バナジルアセチルアセトナー
ト0.26gを使用して、酸素分圧を1.0,2.0,3.0および6.0k
g/cm2−Gに変えて重合を行った。反応時間を2時間お
よび5時間としたときのポリ−2,6−ジメチルフェニレ
ンスルフィドの収率を表−1に示す。
表−1より酸素分圧が1.0kg/cm2−Gおよび2.0kg/cm2
Gである場合、反応時間2時間におけるポリマー収率は
18%および33%と低収率であるのに対し、酸素分圧が3.
0kg/cm2−Gおよび6.0kg/cm2−Gである場合、ポリマー
収率は52%および56%と相対的に高収率であった。従っ
て酸素分圧を2.5kg/cm2−G以上に限定した臨界的意義
が明らかとなった。
実施例5 3,5−ジメチルチオフェノール1.44g、沃素1.27gを塩化
メチレン40mlに溶解して約1時間攪拌後、トリフルオロ
酢酸2.44g、トリフルオロメタンスルホン酸0.08gおよび
無水酢酸1.05gを溶解した塩化メチレン溶液と混合し、
次いでバナジルアセチルアセトナート0.14gを加えて、
酸素分圧6kg/cm2−Gとして20時間反応させた。ポリマ
ー収率1.06g(収率74%)でほぼ定量的に得られた。η
inhは0.06dl/gであった。
[発明の効果] 本発明によれば、実質的に直鎖状のポリアリーレンスル
フィドを生産性良く得ることができる。得られたポリア
リーレンスルフィドは、アルカリ金属塩などの不純物を
含まないので、電気的特性、化学的特性などに優れてお
り、電気、電子材料などに好適に使用される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I] (式[I]中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン
    原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表し、
    R1〜R8は、互いに同じ種類であっても異なった種類であ
    ってもよい。)で表されるジフェニルジスルフィド類お
    よび/または一般式[II] (式[II]中、R9〜R12は、それぞれ水素原子、ハロゲ
    ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表
    し、R9〜R12は、互いに同じ種類であっても異なった種
    類であってもよい。)で表されるチオフェノール類を酸
    の存在下、触媒を用いるとともに、酸素分圧が2.5kg/cm
    2以上の加圧下において酸化カップリング重合させるこ
    とを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
  2. 【請求項2】酸がプロトン酸および/またはプロトン酸
    供与体である、請求項(1)に記載の方法。
  3. 【請求項3】プロトン酸がトリフルオロ酢酸およびプロ
    トン酸供与体が無水酢酸である、請求項(1)または
    (2)に記載の方法。
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