JPH0674328B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造法

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JPH0674328B2
JPH0674328B2 JP2170885A JP17088590A JPH0674328B2 JP H0674328 B2 JPH0674328 B2 JP H0674328B2 JP 2170885 A JP2170885 A JP 2170885A JP 17088590 A JP17088590 A JP 17088590A JP H0674328 B2 JPH0674328 B2 JP H0674328B2
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acid
disulfide
polyarylene sulfide
polymerization
oxygen
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宣夫 緒方
正之 森川
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電気材料、電子材料、コーティング剤、成形
品添加剤等に用いられるポリアリーレンスルフィドの製
造法に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 従来、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレン
スルフィドは、p−ジクロロベンゼンなどのジハロゲン
化芳香族化合物と、硫化ソーダなどのアルカリ金属硫化
物とを、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒中で高温
加圧下で縮重合反応させることにより製造されている
(特公昭45−3368号公報参照)。
しかし、この特許公報に記載の方法では、重合を125
〜450℃の高温と1000psig以上の加圧下に行う必要があ
るので消費エネルギーが大きく、また副生アルカリ金
属塩がポリアリーレンスルフィド中に残存し、このポリ
アリーレンスルフィドの電気特性、化学的特性などを悪
化させる等の問題点があった。
更に、硫酸を触媒として用い、ジフェニルジスルフィド
やチオフェノールを重合させて直接ポリアリーレンスル
フィドを得る方法も知られているが副生成物が多く、ま
た架橋ポリマーも大量に生成するなどの欠点があった。
ジフェニルジスルフィドやチオフェノールを用いてポリ
アリーレンスルフィドを得る方法は他に特開昭63−2135
26号公報、同63−213527号公報にも開示されているが、
高価なルイス酸、酸化剤を大量(等モル量)に用いなけ
ればならないうえ、ポリマー中に残存するこれらルイス
酸等の除去に大量の溶剤や洗剤を必要とするという問題
点があった。
さらに、Macromol 22,4138(1989)においては、ジフ
ェニルジスルフィド類を、酸および触媒の存在下に大気
中で酸化カップリング重合させることにより、アルカリ
金属塩などの不純物を含有しないために電気的特性、化
学的特性にすぐれた、特に架橋ポリマーの副生が少な
く、実質的に直鎖状のポリアリーレンスルフィドを得て
いるが、この場合、反応速度が遅く、得られるポリアリ
ーレンスルフィドが低収率であるという難点がある。
従って本発明の目的は、実質的に直鎖状のポリアリーレ
ンスルフィドを、温和な条件で生産性良く(短時間に高
収率で)得ることができる、工業上著るしく有利なポリ
アリーレンスルフィドの製造法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意研究を重ね
た結果、反応原料として、ジフェニルジスルフィドおよ
び/またはチオフェノールを用い、これを酸の存在下、
触媒を用いて酸化カップリング重合させることによりポ
リアリーレンスルフィドを製造するに際して、酸素ガス
または酸素含有ガスを反応液中に吹き込みながら重合を
行うという方法が、本発明の目的を達成するのに極めて
有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式[I] (式[I]中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン
原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表し、
R1〜R8は、互いに同じ種類であっても異なった種類であ
ってもよい。)で表されるジフェニルジスルフィド類お
よび/または一般式[II] (式[II]中、R9〜R12は、それぞれ水素原子、ハロゲ
ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表
し、R9〜R12は、互いに同じ種類であっても異なった種
類であってもよい。)で表されるチオフェノール類を酸
の存在下、触媒を用いて酸化カップリング重合させるこ
とによりポリアリーレンスルフィドを製造するに際し
て、酸素ガスまたは酸素含有ガスを反応液中に吹き込み
ながら重合を行うこと、さらにこの場合に反応原料、酸
および触媒を特定の順序で添加することを特徴とするポ
リアリーレンスルフィドの製造法を要旨とするものであ
る。
本発明は、いわゆる物の製造方法の発明であるので、以
下、本発明を、(A)出発物質(モノマー)、(B)処
理条件(重合条件)、(C)目的物質(ポリマー)の順
で詳細に説明する。
(A)出発物質(モノマー) 本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法において出
発物質として用いられるモノマーは、一般式[I]で表
されるジフェニルジスルフィド類および/または一般式
[II]で表されるチオフェノール類である。
前記一般式[I]、[II]中のR1〜R12について、更に
詳しく説明すると以下の通りである。
すなわち、前記R1〜R12のそれぞれの具体例を例示する
と、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−
メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメ
チルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの低級アルキル基;メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、
イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ
基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの低級ア
ルコキシ基を挙げることができる。これらの中でも、水
素原子;メチル基、エチル基;メトキシ基、エトキシ基
が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基などが
好ましい。
前記一般式[I]によって表されるジフェニルジスルフ
ィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジメチルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,6,6′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,5,5′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、3,3′,5,5′−テトラメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,5,5′−ヘキ
サメチルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,6,6′
−ヘキサメチルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,
5,5′6,6′−オクタメチルジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジエチルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジエチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2′6,6′−テトラエチル
ジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサエ
チルジフェニルジスルフィド、2,2′,3,3′,5,5′6,6′
−オクタエチルジフェニルジスルフィド、2,2′−ジプ
ロピルジフェニルジスルフィド、3,3′−ジプロピルジ
フェニルジスルフィド、2,2′5,5′−テトラプロピルジ
フェニルジスルフィド、2,2′−ジブチルジフェニルジ
スルフィド、2,2′−ジペンチルジフェニルジスルフィ
ド、2,2′−ジヘキシルジフェニルジスルフィド、2,2′
−ジフルオロジフェニルジスルフィド、2,2′−ジクロ
ロジフェニルジスルフィド、2,2′−ジブロモジフェニ
ルジスルフィド、2,2′−ジヨードジフェニルジスルフ
ィド、3,3′−ジフルオロジフェニルジスルフィド、3,
3′−ジクロロジフェニルジスルフィド、3,3′−ジブロ
モジフェニルジスルフィド、3,3′−ジヨードジフェニ
ルジスルフィド、2,2′3,3′−テトラフルオロジフェニ
ルジスルフィド、2,2′3,3′−テトラクロロジフェニル
ジスルフィド、2,2′5,5′−テトラフルオロジフェニル
ジスルフィド、2,2′5,5′−テトラクロロジフェニルジ
スルフィド、2,2′6,6′−テトラフルオロジフェニルジ
スルフィド、2,2′6,6′−テトラクロロジフェニルジス
ルフィド、2,2′6,6′−テトラブロモジフェニルジスル
フィド、3,3′5,5′−テトラフルオロジフェニルジスル
フィド、3,3′5,5′−テトラクロロジフェニルジスルフ
ィド、2,2′3,3′5,5′−ヘキサフルオロジフェニルジ
スルフィド、2,2′3,3′5,5′−ヘキサクロロジフェニ
ルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサフルオロジ
フェニルジスルフィド、2,2′3,3′6,6′−ヘキサクロ
ロジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′5,5′6,6′−オ
クタフルオロジフェニルジスルフィド、2,2′3,3′5,
5′6,6′−オクタクロロジフェニルジスルフィド、2,
2′−ジメトキシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジエ
トキシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジイソプロポ
キシジフェニルジスルフィド、2,2′−ジプロポキシジ
フェニルジスルフィド、2,2′−ジブトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′3,3′−テトラメトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′6,6′−テトラメトキシジフェニル
ジスルフィド、2,2′,6,6′−テトラエトキシジフェニ
ルジスルフィド、3,3′−ジメトキシジフェニルジスル
フィド、2,2′5,5′−テトラメトキシジフェニルジスル
フィドなど対称ジフェニルジスルフィド類;2−メチルジ
フェニルジスルフィド、2−エチルジフェニルジスルフ
ィド、2−プロピルジフェニルジスルフィド、2−ブチ
ルジフェニルジスルフィド、2−フルオロジフェニルジ
スルフィド、2−クロロジフェニルジスルフィド、2−
メトキシジフェニルジスルフィド、2,6−ジメチルジフ
ェニルジスルフィド、2,6−ジエチルジフェニルジスル
フィド、2,6−ジフルオロジフェニルジスルフィド、2,3
−ジメチルジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テトラ
フルオロジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テトラメ
チルジフェニルジスルフィド、2,3,6−トリメチルジフ
ェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′−メチルジ
フェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′−エチル
ジフェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′,3′,
5′,6′−テトラフルオロジフェニルジスルフィド、2,6
−ジメチル−2′−メトキシジフェニルジスルフィド、
2,6−ジエチル−2′−メチルジフェニルジスルフィ
ド、2,6−ジエチル−2′−エチルジフェニルジスルフ
ィド、2,6−ジエチル−2,3,5,6−テトラフルオロジフェ
ニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′,6′−ジメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,6−ジメチル−2′,6′
−ジフルオロジフェニルジスルフィド、2,3,5,6−テト
ラメチル−2′,3′,5′,6′−テトラフルオロジフェニ
ルジスルフィドなどの非対称ジフェニルジスルフィド類
を挙げることができる。これらの中でも特に、ジフェニ
ルジスルフィド、2,2′−ジメチルジフェニルジスルフ
ィド、3,3′−ジメチルジフェニルジスルフィド、2,
2′,5,5′−テトラメチルジフェニルジスルフィド、2,
2′,6,6′−テトラメチルジフェニルジスルフィド、3,
3′,5,5′−テトラメチルジフェニルジスルフィドなど
が好ましい。
前記一般式[II]で表されるチオフェノール類として
は、例えば、チオフェノール、2−メチルチオフェノー
ル、2−エチルチオフェノール、2−プロピルチオフェ
ノール、2−(1−メチルエチル)チオフェノール、2
−ブチルチオフェノール、2−(1−メチルプロピル)
チオフェノール、2−(2−メチルブチル)チオフェノ
ール、2−(1,1−ジメチルエチル)チオフェノール、
2−ペンチルチオフェノール、2−ヘキシルチオフェノ
ール、2−オクチルチオフェノール、2−フルオロチオ
フェノール、2−クロロチオフェノール、2−ブロモチ
オフェノール、2−ヨードチオフェノール、2−メトキ
シチオフェノール、2−エトキシチオフェノール、2−
プロポキシチオフェノール、2−ブトキシチオフェノー
ル、2−sec−ブトキシチオフェノール、2−イソブト
キシチオフェノール、2−tert−ブトキシチオフェノー
ル、2−ペンチルオキシチオフェノール、2−ヘキシル
オキシチオフェノール、2−ジメチルチオフェノール、
2,6−ジエチルチオフェノール、2−メチル−6−エチ
ルチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、
2−メチル−6−フルオロチオフェノール、2−エチル
−6−フルオロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフ
ェノール、2−メチル−6−クロロチオフェノール、2,
6−ジメトキシチオフェノール、2−メチル−6−メト
キシチオフェノール、2,3−ジメチルチオフェノール、
2,3−ジエチルチオフェノール、2,3−ジフルオロチオフ
ェノール、2−メチル−3−フルオロチオフェノール、
2−フルオロ−3−メチルチオフェノール、2,3−ジメ
トキシチオフェノール、2−メチル−3−メトキシチオ
フェノール、2,3−ジクロロチオフェノール、2−メチ
ル−3−クロロチオフェノール、3−クロロ−2−メチ
ルチオフェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、2,5
−ジフルオロチオフェノール、2,5−ジエチルチオフェ
ノール、2−メチル−5−フルオロチオフェノール、2
−メチル−5−エチルチオフェノール、2−フルオロ−
5−メチルチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノ
ール、2,5−ジメトキシチオフェノール、2−メチル−
5−クロロチオフェノール、2−メチル−5−メトキシ
チオフェノール、2−クロロ−5−メチルチオフェノー
ル、2−メトキシ−5−メチルチオフェノール、2−ク
ロロ−5−フルオロチオフェノール、2−エチル−5−
クロロチオフェノール、2−クロロ−5−エチルチオフ
ェノール、3,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジフル
オロチオフェノール、3,5−ジメトキシチオフェノー
ル、3,5−ジエチルチオフェノール、3,5−ジクロロチオ
フェノール、3−メチル−5−フルオロチオフェノー
ル、3−メチル−5−クロロチオフェノール、3−メチ
ル−5−メトキシチオフェノール、2,3,5−トリメチル
チオフェノール、2,3,5−トリフルオロチオフェノー
ル、2,3,5−トリエチルチオフェノール、2,3,5−トリク
ロロチオフェノール、2−メチル−3,5−ジフルオロチ
オフェノール、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノー
ル、2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール、2,3,5,6
−テトラクロロチオフェノール、2,3,5,6−テトラメト
キシチオフェノール、2,3,5,6−テトラエチルチオフェ
ノール、2,6−ジメチル−3,5−ジフルオロチオフェノー
ル、2,6−ジエチル−3,5−ジフルオロチオフェノール、
2,6−ジエチル−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−
ジエチル−3,5−ジメチルチオフェノール、2,6−ジエチ
ル−3,5−ジメトキシチオフェノール、2,6−ジメチル−
3,5−ジクロロチオフェノール、2−メチル−6−エチ
ル−3,5−ジフルオロチオフェノール等を挙げることが
できる。
これらの中でも特に、チオフェノール、2−メチルフェ
ノール、2−エチルチオフェノール、2−メトキシチオ
フェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジメ
チルチオフェノール、2,5−ジエチルチオフェノール、
3,5−ジエチルチオフェノール、2,6−ジメチルチオフェ
ノール、2,6−ジエチルチオフェノール、2,6−ジメトキ
シチオフェノール、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノ
ールなどが好ましい。
(B)処理条件(重合条件) 本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法において
は、上述の一般式[I]のジフェニルジスルフィド類お
よび/または一般式[II]のチオフェノール類を酸の存
在下、触媒を用いて酸化カップリング重合させる。
この酸化カップリング重合において、酸の存在が必須で
あり、このような酸としては、プロトン酸もしくはプロ
トン供与性物質の共存によりプロトン酸に変化するプロ
トン酸供与体が挙げられ、公知の有機酸またはその塩、
無機酸またはその塩、さらにはそれらの混合物もしくは
複合体などを用いることができる。プロトン酸として
は、例えば、塩酸、臭化水素酸、青酸などの非酸素酸;
硫酸、リン酸、塩素酸、臭素酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、
モリブデン酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸などの無機オ
キソ酸;酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、コハク酸、安
息香酸、フタル酸などの1価もしくは多価のカルボン
酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酸、、
モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸
などのハロゲン置換カルボン酸;メタンスルホン酸、エ
タンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸など
の1価もしくは多価のスルホン酸などを挙げることがで
きる。
これらの中でも、非揮発性で安定性の高い強酸性プロト
ン酸たとえば硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸などが好ましく、特にトリフルオロ酢酸
が好ましい。
これらのプロトン酸は、1種単独で用いてもよいし2種
以上混合もしくは複合して用いても良い。
なお、これらのプロトン酸は、後に詳述する触媒ととも
に酸化カップリング重合に対する触媒作用を有するもの
と考えられる。
出発物質(モノマー)に対する前記のプロトン酸の添加
量は、プロトン酸の種類、プロトン酸供与体との併用の
有無、出発物質(モノマー)の種類、他の重合条件等に
よって異なり、適宜決定されるが、上記のプロトン酸の
量は、出発物質のモル数に対して0.001〜15倍とするの
が好ましい。その理由は、0.001倍未満では、酸化カッ
プリング重合に対する触媒作用が小さく、一方15倍を超
えると、出発物質(モノマー)の反応効率が低下するか
らである。
前記プロトン酸供与体としては、無水酢酸、無水トリフ
ルオロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸などの
無水酸;硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、プロトン残留ヘテロポリ酸塩、モノメチル硫酸、ト
リフルオロメチル硫酸等の硫酸の部分塩もしくは部分エ
ステル;塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、ヘテロポリ酸アンモニウムなどの、溶媒
に溶解したり、または分解することによってプロトン酸
として作用しうる化合物;ベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムなどの多価スルホン酸の部分金属塩などを挙げること
ができる。なお、これらのプロトン酸供与体は、反応系
中でプロトン酸に転化し、後に詳述する触媒とともに酸
化カップリング重合に対する触媒作用を有するものと考
えられる。
出発物質(モノマー)に対する前記のプロトン酸供与体
の添加量は、プロトン酸供与体の種類、プロトン酸との
併用の有無、出発物質(モノマー)の種類、他の重合条
件等によって異なり、適宜決定されるが、上記のプロト
ン酸供与体の量は、出発物質のモル数に対して0.001〜1
5倍とするのが好ましい。その理由は、0.001倍未満で
は、酸化カップリング重合に対する触媒作用が小さく、
一方15倍を超えると、出発物質(モノマー)の反応効率
が低下するからである。
これらのプロトン酸供与体の中で無水酸を用いるのが好
ましい。その理由は、これらの無水酸は、酸化カップリ
ング重合の進行とともに副生するH2Oの除去作用(脱水
作用)を果し、その後、H2Oを取り込んだ後に生じたプ
ロトン酸が酸化カップリング重合に対する触媒作用を果
すからである。この2つの作用を果す無水酸の添加量は
出発物質(モノマー)のモル数に対して1〜10倍とする
のが特に好ましい。その理由は、1倍未満では脱水作
用、触媒作用が十分でなく、一方10倍を超えても、それ
以上の脱水作用、触媒作用を期待できず、不経済になる
からである。
なお、酸化カップリング重合で副生するH2Oの除去のみ
に着目した場合には、重合反応に影響を与えない、無水
硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等の脱水剤を用いても
よいが、この場合には、上記のプロトン酸および/また
はプロトン酸供与体の使用は当然必須となる。
本発明において用いることのできる溶媒としては、重合
活性を実質的に消失させないものであればどのような溶
媒も使用可能であるが、出発物質(モノマー)、酸など
を溶解できるものが望ましい。通常、好適に使用するこ
とができる溶媒としては、例えば、ニトロメタン、塩化
メチレン、ジブロモエタン、テトラクロロエタン、ニト
ロベンゼン、ジクロロベンゼンなどを挙げることがで
き、このほか一般にフリーデルクラフツ反応やカチオン
重合などに使用される溶媒も適宜に選択して好適に使用
することができる。
これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合
して用いてもよく、あるいは必要により、例えばベンゼ
ン、トルエンなどの芳香族炭化水素などの不活性溶媒な
どと適宜混合して用いてもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法においては
触媒を用いることが必須であり、このような触媒として
は、バナジウム系触媒が好ましく、例えば、バナジルア
セチルアセトナート(VO(acac)2)、バナジルテトラフ
ェニルポルフィリン(VOTPP)、三塩化酸化バナジウ
ム、バナジウムアセチルアセトナート、バナジウムポル
フィリンなどのバナジウム化合物などが挙げられる。こ
れらのバナジウム系触媒は、単独で用いても2種以上を
混合または複合して用いてもよい。このバナジウム系触
媒の量は、出発物質(モノマー)1モルに対して0.0001
〜5モルとするのが好ましい。その理由は0.0001モル未
満であると、重合速度が遅くなり、一方5モルを超える
と、触媒コストが高くなり不経済になるからである。特
に好ましいバナジウム系触媒の使用量は、出発物質(モ
ノマー)1モルに対して0.0005〜1モルである。本発明
のポリアリーレンスルフィドの製造法において用いられ
る前記の触媒は、酸素運搬の役割を果し、酸化カップリ
ング重合を促進する。
以上、酸を存在させることおよび触媒を用いることが必
須条件であることを述べたが、本発明の方法において
は、下記の重要な必須条件が存在する。それは、酸素ガ
スまたは酸素含有ガスを反応液中に吹き込みながら重合
を行うことであり、これにより、実質的に直鎖状のポリ
アリーレンスルフィドを短時間に高収率で得ることがで
きる。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法におけるこ
の必須条件について以下に詳細に説明する。
反応液中に吹き込まれるガスは酸素ガスまたは酸素含有
ガスである。後者の酸素含有ガスとしては、空気や、酸
素ガスと他のガス(たとえば窒素ガス、アルゴンガス)
との混合物が挙げられる。これらのガスは、たとえばガ
ラスフィルター等の手段を用いて、微細気泡にして反応
液中に吹き込むのが好ましい。その理由は、微細気泡に
することにより、ガスと反応液との接触性が良くなり、
反応速度の向上を寄与するからである。なお、これらの
ガスを微細気泡にして吹き込むとともに、反応液を攪拌
することにより、ガスと反応液との接触性をさらに向上
させることができる。
ガスの吹き込み速度は、溶媒や酸が散逸しない程度の速
度とするのが好ましい。具体的なガス吹き込み速度は、
反応液の容量、溶媒や酸の沸点などに応じて適宜決定さ
れる。
ガスの吹き込み開始時期は、任意であり、原料添加時と
するのが好ましいが、反応開始後、所定時間経過後にガ
スの吹き込みを開始しても良い。また反応開始時からガ
スを吹き込み、所定時間経過後ガスの吹き込みを停止し
ても良い。
重合反応時の温度は、溶媒や酸の散逸を避けるために、
0℃から溶媒の沸点程度とするのが好ましく、特に溶媒
の沸点よりも10℃程度低い温度とするのが好ましい。
重合反応における反応時間は、重合反応で得られる重合
体に所望される分子量などによって異なるが、通常0.2
〜100時間の範囲、特に好ましくは0.5〜50時間の範囲が
採用される。
酸素ガスまたは酸素含有ガスを反応液中に吹き込みなが
ら重合を行う本発明のポリアリーレンスルフィドの製造
方法では、重合中に溶媒や酸が散逸する問題があるが、
このような問題は、上述の如くガス吹き込み速度および
反応温度を適宜選択することによりある程度は解決でき
る。本発明の所望の態様によれば、上記反応における反
応原料、酸および触媒の添加順序を特定することによ
り、上記の問題点を根本的に解決することができる。す
なわち、酸や触媒を添加後、モノマーを添加すると溶媒
や酸の散逸の問題が生じるが、モノマーを添加した後に
酸や触媒を添加すると触媒や酸の散逸の問題は回避でき
る。なお、モノマーの添加と同時に酸(例えばプロトン
酸またはプロトン酸供与体のいずれか一方または両方)
を添加しても良い。
重合反応における重合方式としては、特に制限はなく、
連続式、半連続式、回分式のいずれの方式を用いてもよ
い。
なお重合後の後処理により目的物質(ポリマー)を得る
操作は、周知の技術で行われるので、ここではその説明
を省略する。
(C)目的物質(ポリマー) 上記(A)で述べた出発物質(一般式[I]のジフェニ
ルジスルフィド類および/または一般式[II]のチオフ
ェノール類)を、上記(B)で述べた重合条件下に、酸
化カップリング重合することにより、目的物質(ポリマ
ー)として、 一般式[III] (ただし、式[III]中のR13〜R16はそれぞれ一般式
[I]、[II]中のR1〜R12と同意味を有する。)で表
される主鎖構造を有するポリアリーレンスルフィド、特
に架橋度の著しく低い直鎖状のポリアリーレンスルフィ
ドが得られる。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造法によれば、
酸素ガスまたは酸素含有ガスを反応液中に吹き込みなが
ら重合を行うことにより、ポリアリーレンスルフィドを
短時間に高収率で得ることができる。
出発物質のモノマーとして、単一物質を用いた場合に
は、ホモポリマー(単独重合体)が得られ、2種以上の
共重合可能なモノマーを用いた場合には、コポリマー
(共重合体)が得られる。また2種以上のモノマーを用
いた場合でも、これらのモノマーが共重合しない場合に
は、ホモポリマー(単独重合体)の混合物が得られる。
得られたポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品
性等の化学的特性に優れ、特に、従来問題となっていた
アルカリ金属塩などの絶縁性を悪化させる塩を含まない
ので、電気特性に著しく優れている。したがって、電
子、電気分野、機械分野、塗料分野などの様々の分野に
おける機器、部品、素材などとして好適に用いることが
できる。
[実施例] 以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 ガラスフィルター付き酸素吹き込み管、温度計およびジ
ムロート冷却管を取り付け、マグネット回転子を入れた
150ml四つ口セパラブルフラスコ内で、酸素気流下に、
モノマーとして3.00g(1.09×10-2mol)の2,2′,6,6′
−テトラメチルジフェニルジスルフィドを30mlの塩化メ
チレンに溶解して、2,2′,6,6′−テトラメチルジフェ
ニルジスルフィドの塩化メチレン溶液(以下、モノマー
の塩化メチレン溶液という)を得た。
このモノマーの塩化メチレン溶液に、酸素気流下に下記
の試薬S、AnおよびCatを、この添加順序で各々15分間
おきにそれぞれ約5分間かけて添加した。
試薬S:0.05ml(0.057×10-2mol)のトリフルオロメタン
スルホン酸 試薬An:6.45g(3.1×10-2mol)のトリフルオロ酢酸無水
物を30mlの塩化メチレンに溶解して得た溶液 試薬Cat:0.137g(0.048×10-2mol)のバナジルアセチル
アセトナート(VO(acac)2)を40mlの塩化メチレンに溶
解して得た溶液 全試薬投入後、酸素吹き込み管より酸素を35ml/minの流
量に正確に合せて反応液中に吹き込みながら、マグネッ
ト回転子で攪拌下、反応温度5℃で42.5時間重合を行っ
た。
反応終了後、攪拌および酸素吹き込みを停止して開蓋
し、反応液を塩酸含有メタノール600ml中に投入し、沈
殿物を得た。この沈殿物を遠心分離法で集め、メタノー
ルで洗浄し乾燥して乾燥固体を得た。次にこの乾燥固体
に含まれる残留モノマーをガスクロマトグラフィーによ
り定量して補正することにより、メタノール不溶ポリマ
ーの収率を求めた。本実施例1におけるメタノール不溶
ポリマーの収率は表−1に示すように29%であった。ま
た本実施例1におけるメタノール不溶ポリマーのηinh
(塩化メチレン中、濃度0.5g/dl、温度30℃で測定、以
下同様)は表−1に示すように0.021dl/gであった。
また遠心分離後の分離液から揮発分を除去し、塩化メチ
レンに再溶解後、水洗、アルカリ洗浄、水洗を順次行っ
た後、塩化メチレンを除去することにより、粘稠液体を
得た。次にこの粘稠液体に含まれる残留モノマーをガス
クロマトグラフィーにより定量して補正することによ
り、メタノール可溶ポリマーの収率を求めた。本実施例
1におけるメタノール可溶ポリマーの収率は表−1に示
すように39%であった。
実施例2〜5 酸であるトリフルオロ酢酸無水物およびトリフルオロメ
タンスルホン酸と、触媒であるバナジルアセチルアセト
ナート(VO(acac)2)の添加順序の変更および触媒濃度
の変更を表−1に示すようにしたほかは実施例1と同様
に実施して、メタノール不溶ポリマーおよびメタノール
可溶ポリマーを得た。得られたメタノール不溶ポリマー
の収率およびηinhならびにメタノール可溶ポリマーの
収率は表−1にまとめて示した。
実施例6 原料として3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルジス
ルフィドを用い、反応時間を20時間としたほかは、実施
例2と同様に実施して、メタノール不溶ポリマーおよび
メタノール可溶ポリマーを得た。得られたメタノール不
溶ポリマーの収率およびηinhならびにメタノール可溶
ポリマーの収率は表−1に示した。
比較例1 酸素ガスの反応液中への吹き込みを行わずに、酸素ガス
を反応器の気相部に導入したほかは実施例2とほぼ同様
に実施して、メタノール不溶ポリマーおよびメタノール
可溶ポリマーを得た。得られたメタノール不溶ポリマー
の収率およびηinhならびにメタノール可溶ポリマーの
収率は表−1に示した。
以上、表−1の結果より、酸素ガスを反応液中へ吹き込
みながら重合を行った実施例1〜6の方が、酸素ガスを
反応器の気相部に単に導入して重合を行った比較例1に
比べ、ポリマー特にメタノール不溶ポリマーの収率が高
いことが明らかとなった。
実施例7 実施例2において、モノマー濃度を約1/2倍に、触媒濃
度を約2倍、トリフルオロ酢酸無水物濃度を約2/3倍に
した点、反応温度を室温にした点および反応液中に吹き
込まれる酸素流量を30ml/minとやや減少させた点以外は
実施例2と同様に実施して、メタノール不溶ポリマー及
びメタノール可溶ポリマーを得た。得られたメタノール
不溶ポリマーの収率およびηinhならびにメタノール可
溶ポリマーの収率は表−2に示した。表−2より、メタ
ノール不溶ポリマーの収率、ηinhは、56%、0.028dl/g
であり、メタノール可溶ポリマーの収率は18%であっ
た。このように、本実施例7によれば、実施例2に比べ
て、モノマーに対する触媒の量を増加させ、反応温度を
上げ、そして酸素吹き込み流量を低下させること等によ
り、メタノール不溶ポリマーの収率を実施例2における
メタノール不溶ポリマーの収率(43%)の約1.3倍に向
上させることができた。
実施例8〜9 実施例1において、触媒および酸の添加順序を変更した
点、触媒濃度を約2倍にし、トリフルオロメタンスルホ
ン酸の濃度を約2倍にした点、反応温度を室温にした点
および反応液中に吹き込まれる酸素流量を30ml/min(実
施例8)、15ml/min(実施例9)と減少させた点以外は
実施例1と同様に実施して、メタノール不溶ポリマーお
よびメタノール可溶ポリマーを得た。得られたメタノー
ル不溶ポリマーの収率およびηinhならびにメタノール
可溶ポリマーの収率は表−2にまとめて示した。表−2
より、メタノール不溶ポリマーの収率、ηinhは、実施
例8で91%、0.036dl/g、実施例9で88%、0.029dl/gで
あった。
[発明の効果] 本発明によれば、実質的に直鎖状のポリアリーレンスル
フィドを温和な条件で生産性良く得ることができる。得
られたポリアリーレンスルフィドは、アルカリ金属塩な
どの不純物を含まないので、電気的特性、化学的特性な
どに優れており、電気、電子材料などに好適に使用され
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I] (式[I]中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、ハロゲン
    原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表し、
    R1〜R8は、互いに同じ種類であっても異なった種類であ
    ってもよい。)で表されるジフェニルジスルフィド類お
    よび/または一般式[II] (式[II]中、R9〜R12は、それぞれ水素原子、ハロゲ
    ン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表
    し、R9〜R12は、互いに同じ種類であっても異なった種
    類であってもよい。)で表されるチオフェノール類を酸
    の存在下、触媒を用いて酸化カップリング重合させるこ
    とによりポリアリーレンスルフィドを製造するに際し
    て、酸素ガスまたは酸素含有ガスを反応液中に吹き込み
    ながら重合を行うことを特徴とするポリアリーレンスル
    フィドの製造法。
  2. 【請求項2】反応系に酸素ガスまたは酸素含有ガスを吹
    き込みつつ、前記ジフェニルジスルフィド類および/ま
    たは前記チオフェノール類を添加し、次いで酸と触媒を
    任意の順序で添加して、重合を行うことを特徴とする請
    求項(1)記載のポリアリーレンスルフィドの製造法。
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