JP2002029002A - 液晶性樹脂積層フィルム、その製造方法および液晶性樹脂積層フィルムを用いた回路基板 - Google Patents

液晶性樹脂積層フィルム、その製造方法および液晶性樹脂積層フィルムを用いた回路基板

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JP2002029002A
JP2002029002A JP2000293237A JP2000293237A JP2002029002A JP 2002029002 A JP2002029002 A JP 2002029002A JP 2000293237 A JP2000293237 A JP 2000293237A JP 2000293237 A JP2000293237 A JP 2000293237A JP 2002029002 A JP2002029002 A JP 2002029002A
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liquid crystalline
liquid crystal
resin layer
laminated film
film
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Application number
JP2000293237A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Machida
哲也 町田
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Jun Sakamoto
純 坂本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】層間接着性および表面平滑性やフィルム表面の
接着性に優れ、特性の異方性が小さい液晶性樹脂積層フ
ィルムとその製造方法を提供する。 【解決手段】液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液晶
性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、層間の接
着力が30N/cm以上である液晶性樹脂積層フィル
ム、または、液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液晶
性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、熱機械分
析(TMA)によって測定した該非液晶性熱可塑性樹脂
層の熱変形温度(TN)、該液晶性樹脂層の熱変形温度
(TL)が、TN≧TLの関係を有する液晶性樹脂積層フ
ィルムであり、これらは、液晶性樹脂層の少なくとも片
表面に非液晶性熱可塑性樹脂層を共押し出しした後に、
延伸処理を行うことによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面平滑性や接着
性に優れ、特性の異方性が小さい液晶性樹脂積層フィル
ム、その製造方法および液晶性樹脂積層フィルムを用い
た回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶性樹脂は、高強度、高耐熱性、低線
膨張率、高絶縁性、低吸湿性、高ガスバリアー性に優れ
た樹脂であり、これまで射出成型品や繊維などとして実
用化されている。また、該樹脂を用いたIC用のプリン
ト配線基板の開発も検討されている。
【0003】液晶性樹脂は溶融状態でも流動によって分
子が配向し、通常の押し出しを行うと流れ方向に強い配
向が生じて異方性の強いフィルムしか得られないばかり
か、幅方向に均一に流動せず長手方向に連続したスジ状
の流動ムラが生じ、大きな厚みムラとなってしまう。
【0004】上述のような流れ方向の異方性を解消する
方法として、特公平6−39533号公報、特開平4−
286626号公報では、インフレーション法について
の提案がされている。これらの方法によって得られた液
晶性樹脂フィルムは、MD/TD方向における物性バラ
ンスの問題は基本的に解決されたものの、液晶性樹脂固
有の表面あれ(表面平滑性および耐摩耗性の悪さ、厚み
ムラなど)の問題が解消されない。また、特開平7−2
51438号公報、特開平7−323506号公報で
は、フラットダイ法を用いて、液晶性樹脂と耐熱性樹脂
をラミネートしたのち二軸延伸する方法が、特開平9−
76397号公報では液晶性樹脂フィルム表面に接着性
の良好な熱可塑性樹脂フィルムをラミネートする方法が
提案されている。しかし、これらの方法によって得られ
た液晶性樹脂フィルムは、MD/TD方向における物性
バランスの問題は解決されるものの、該液晶性樹脂層と
該非液晶性樹脂層との層間接着力が小さく、層間剥離が
起こりフィルム品質は依然低いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インフレーション法を
用いた場合、厚みムラが悪くなるばかりか、表面平滑
性、耐摩耗性に乏しく液晶性樹脂固有の欠点が解消され
ない。一方、フラットダイ法を用いて液晶性樹脂に耐熱
性樹脂をラミネートしたのち二軸延伸した場合、液晶性
樹脂フィルムの異方性やフィルム表面の接着性不良が解
消されるものの、液晶性樹脂と耐熱性樹脂が層間剥離を
起こしフィルムの品質は依然低いものであった。
【0006】また、液晶性樹脂は他素材との接着性が悪
く、薬品処理やプラズマ処理などが必要であった。
【0007】すなわち、本発明は、上記従来技術の欠点
を解消し、液晶性樹脂層と積層する耐熱性樹脂との層間
接着性に優れかつ表面平滑性やフィルム表面の接着性に
優れ、かつ特性の異方性が小さい液晶性樹脂積層フィル
ムとその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題に鑑み、鋭意検討した結果、層間接着性に優れた液晶
性樹脂積層フィルムにより前記問題が解決できることを
見いだし本発明にいたった。
【0009】すなわち、本発明の液晶性樹脂積層フィル
ムは、(a)液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液晶
性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、層間の接
着力が30N/cm以上であることを特徴とする液晶性
樹脂積層フィルムであるか、または、(b)液晶性樹脂
層の少なくとも片表面に非液晶性熱可塑性樹脂層を積層
したフィルムであり、熱機械分析(TMA)によって測
定した該非液晶性熱可塑性樹脂層の熱変形温度
(TN)、該液晶性樹脂層の熱変形温度(TL)が、TN
≧TLの関係を有することを特徴とする液晶性樹脂積層
フィルムである。
【0010】この目的を達成する本発明の液晶性樹脂積
層フィルムの製造方法は、液晶性樹脂層の少なくとも片
表面に非液晶性熱可塑性樹脂層を共押し出しした後に、
延伸処理を行うことを特徴とする液晶性樹脂積層フィル
ムの製造方法である。
【0011】この目的を達成する本発明の液晶性樹脂積
層フィルムからなる回路基板は、液晶性樹脂積層フィル
ムの少なくとも片表面に導電体パターンを設けてなるこ
とを特徴とする回路基板である。また、該回路基板は、
ICチップを実装するためのインターポーザやICチッ
プを実装したICチップパッケージとして好適に用いら
れる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0013】本発明において、液晶性樹脂とは、サーモ
トロピック液晶樹脂などの溶融状態でも結晶のような規
則だった構造を有する樹脂のことであり、従来から知ら
れているものを用いることができる。
【0014】例えば、液晶性ポリエステル樹脂の場合、
パラヒドロキシ安息香酸(HBA)成分を主メソゲンと
して40〜90重量%含有し、しかも流動性改良のため
に4,4’−ジヒドロキシビフェニル(DHB)を含ん
だ液晶性ポリエステルが好ましい。メソゲンの含有形式
は、ランダム共重合、ブロック共重合、ブランチ共重
合、およびそれらの組み合わせ複合共重合など任意の形
式でよいが、本発明の場合、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)あるいはポリエチレンナフタレート(PE
N)/HBA/DHB/テレフタル酸(TPA)等から
なる液晶性樹脂、HBA/6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸を主成分とする共重合体、HBA/4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニルとテレフタル酸、イソフタル酸との
共重合体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とパラアミ
ノフェノールとの共重合体、HBA/ハイドロキノン
(HQ)/セバシン酸(SA)との共重合体などが好ま
しい。このような成分から構成される液晶性ポリエステ
ル樹脂は、溶融状態でも規則だった構造を有し、溶融時
の流動によって分子が容易に流れ方向に配向するのであ
る。
【0015】また、液晶性樹脂を単独で用いる代わり
に、上記液晶性樹脂を含むポリマーアロイを用いてもよ
い。混合あるいは化学結合させるアロイ用ポリマーとし
ては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリアリレート、ポリフェニレンス
ルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテル
サルホン、ポリサルホンなどの熱可塑性樹脂を使用する
ことができるが、これらに限定されない。液晶性樹脂と
前記ポリマーアロイの混合割合は、重量比で、10:9
0〜90:10が好ましく、より好ましくは20:80
〜80:20である。液晶性樹脂を含むポリマーアロイ
も液晶性樹脂による優れた特性を保有する。
【0016】本発明において、熱機械分析(TMA)に
よって測定した熱処理前の該非液晶性熱可塑性樹脂層の
熱変形温度(TN)、該液晶性樹脂層の熱変形温度
(TL)がTN≧TLである非液晶性熱可塑性樹脂として
は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリアリレート、ポリフェニレンスル
フィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサ
ルホン、ポリサルホンおよびこれらの共重合体やブレン
ド物が好ましい。また、熱処理前の熱変形温度であるT
N0(非液晶性熱可塑性樹脂)、TL0(液晶性樹脂)がT
N0<TL0であるが、熱処理後の該積層フィルムの該非液
晶性熱可塑性樹脂層の熱変形温度(TN1)、該液晶性樹
脂層の熱変形温度(TL1)がTN1≧TL1となる非液晶性
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホ
ンおよびこれらの共重合体やブレンド物を挙げることが
でき、特に分子内に硫黄を有するポリフェニレンスルフ
ィドが熱処理によって架橋反応がおこり、耐熱性、熱変
形温度が向上するため好ましい。また、これらの非液晶
性熱可塑性樹脂に通常の過酸化剤およびチオホスフィン
酸金属塩などの架橋促進剤またはジアルキル錫ジカルボ
オキシレート、アミノトリアゾールなどの架橋防止剤を
配合することも可能である。
【0017】なお、本発明における熱機械分析(TM
A)によって測定した熱変形温度とは、単位断面積あた
り一定の引張荷重をかけ、20℃/分の速度で昇温して
得られた、温度(℃)対寸法変化率(%)曲線におい
て、急激に熱変形が生じる前の温度における熱変形曲線
の接線と、熱変形が生じた後の熱変形曲線の接線の交点
の温度である。
【0018】本発明の液晶性樹脂積層フィルムは、液晶
性樹脂層と非液晶性熱可塑性樹脂層が積層されてなるフ
ィルムである。液晶性樹脂層は、液晶性樹脂または液晶
性樹脂を含むポリマーアロイからなり、非液晶性熱可塑
性樹脂層は、非液晶性熱可塑性樹脂からなる。該液晶性
樹脂層と該非液晶性熱可塑性樹脂層との層間接着力は、
30N/cm以上が必要であり、好ましくは、35N/
cm以上である。層間接着力が30N/cmより小さい
場合、取り扱い時や二次成形時などにおいて両者が容易
に剥離するという欠点が生じる。
【0019】積層する非液晶性熱可塑性樹脂層は前記樹
脂から得られるものであるが、該非液晶性樹脂層の空孔
率は10%以下である。
【0020】空孔率は、液晶性樹脂積層フィルム表面を
走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、SEM写真
内の空孔をOHPシートにマーキングし、イメージアナ
ライザー(IA)で画像処理して求めた。
【0021】このような層間接着性を有する液晶性樹脂
積層フィルムは、前記した液晶性樹脂と非液晶性熱可塑
性樹脂をそれぞれ共押し出しによって溶融状態で積層す
ることにより得ることができる。本発明の液晶性樹脂積
層フィルムの層間接着力は、両者が溶融状態で積層され
ることにより達成される。一方だけが溶融状態の場合
は、つまり、液晶性樹脂層だけまたは非液晶性熱可塑性
樹脂層だけが溶融状態の場合、層間接着力が5〜10N
/cmと小さくなり、層間剥離が生じる。このように、
本発明の様な層間接着力を得るためには、両者が溶融状
態時に積層させることが必要である。
【0022】また、液晶性樹脂は、結晶化速度が早いた
め、単独で押し出した場合、溶融状態から大気中で急冷
された時フィルム表面がフィブリル化する。そのため、
一般的に液晶フィルムの表面は、接着性に乏しく、耐摩
耗性に乏しい。しかし、本発明の液晶性樹脂積層フィル
ムの製造方法のように、共押し出しして非液晶性熱可塑
性樹脂を積層することで、液晶性樹脂フィルム表面の急
冷を緩和するためフィブリル化が抑制され、さらにフィ
ルム表面の接着性が改善される。
【0023】このように、共押し出しによって溶融状態
で積層することによって液晶性樹脂層と非液晶性熱可塑
性樹脂層との層間接着性を向上させることができ、かつ
液晶性樹脂層の表層に非液晶性樹脂層を設けることで、
液晶性樹脂の欠点の一つである接着性不良を改善でき
る。つまり、非液晶性熱可塑性樹脂が少なくとも片表
面、好ましくは両表面に積層することで接着性の良好な
液晶性樹脂積層フィルムとすることができるのである。
また、液晶性樹脂の溶融流れを均一にしながら積層フィ
ルムの特性を満足させるには、液晶性樹脂層の厚みが全
積層フィルムの厚みの50〜95%であることが好まし
い。
【0024】さらに、非液晶性熱可塑性樹脂層の表面粗
さRyは、3μm以下であることがフィルム表面平滑性
の点から好ましい。RyとはJIS B0601で定め
られた最大高さのことである。
【0025】液晶性樹脂と上記した非液晶性熱可塑性樹
脂との溶融積層は、従来から知られている口金内で積層
する方法、口金以前で積層アダプターで積層する方法を
用いることができ、特に積層アダプターを用いる方法が
好ましい。口金は、マニホールド部からリップ先端まで
の距離が3cm以上、好ましくは5cm以上、最も好ま
しくは10cm以上で、さらにコートハンガー式になっ
ているものが好ましく幅方向に均一な押し出しをするこ
とができる。
【0026】かくして得られた積層フィルムは、TN0
L0の場合、TN1≧TL1となるように熱処理を行う。T
NおよびTN1はTLおよびTL1よりも3℃以上高いことが
好ましく、より好ましくは5℃以上で、最も好ましくは
10℃以上である。
【0027】熱処理方法は特に限定はされないが、例え
ば加熱空気中や、輻射熱、ロール加熱によって行うこと
ができ、熱処理温度は、非液晶性熱可塑性樹脂フィルム
の融点よりも低い温度に保ち加熱処理する。このとき熱
処理温度を逐次増加させる方法で加熱処理した方がより
耐熱性が向上するので好ましい。加熱処理時間を調整す
ることで熱変形温度を所望の値に制御することもでき
る。熱処理温度が融点よりも高い温度では、加熱処理中
の形態保持が難しくなるので好ましくない。
【0028】かくして得られた液晶性樹脂積層フィルム
は、長手方向および/または幅方向へ延伸することで特
性の異方性を解消したり、特定の異方性を与えることが
できるのである。特性の異方性を解消する場合、液晶性
樹脂は流れ方向に配向し易いために幅方向へより延伸す
ることが好ましい。延伸温度は一般の熱可塑性樹脂では
樹脂が軟化を開始するガラス転移温度(Tg)以上であ
るが、本発明では、非液晶性熱可塑性樹脂は軟化させる
が、実質的には溶融せずに液晶性樹脂を軟化ないし溶融
させる温度条件下で行うのがよい。このとき、熱機械分
析(TMA)測定によって求められる熱変形温度におい
て、積層する非液晶性熱可塑性樹脂の熱変形温度が液晶
性樹脂のそれ以上であることが必要である。積層する非
液晶性熱可塑性樹脂の熱変形温度が液晶性樹脂より低い
場合、つまり非液晶性熱可塑性樹脂の方が早く溶融して
しまう場合、延伸する液晶性樹脂の支持体となることが
できず良好な延伸を行うことができないのである。
【0029】すなわち、非液晶性熱可塑性樹脂は軟化さ
せるが、実質的には溶融せずに液晶性樹脂を軟化ないし
溶融させる温度条件下で行うことで、均一な延伸を行う
ことができる。延伸方式は、特に限定されないが、積層
フィルムを溶融状態で延伸するためには高温延伸可能な
二軸延伸方式が好ましい。延伸は、周速の異なるロール
間で行う方法や、フィルムを把持したクリップの間隔を
変更するテンター方式で行うことができる。
【0030】テンターのフィルム把持クリップの駆動方
式にはスクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアモー
ター駆動方式などを挙げることができるが、リニアモー
ター駆動方式が延伸制御を行いやすい点から好ましい。
【0031】延伸処理を長手方向および/または幅方向
へ延伸温度条件等を変更して行いたい場合、フィルムを
非接触で加熱できる輻射熱加熱方式で長手方向へ延伸
し、熱風加熱方式で幅方向へ延伸することができる。輻
射熱加熱の熱源としては、熱線ヒーターなどを挙げるこ
とができ、周速差の異なるロール間で加熱しながら延伸
することが好ましい。なお、このときのフィルムパス
は、フィルムを下ロールから上ロールへ垂直に走行させ
ながら延伸する方式や、上ロールから下ロールへ垂直に
走行させながら延伸する方式が好ましい。
【0032】このようにして得られた、本発明の液晶性
樹脂積層フィルムは、少なくとも片表面に導電体パター
ンを設けた回路基板用途として用いることができ、特
に、ICチップを実装する場合のインターポーザとして
好ましく用いられる。また、該インターポーザにICチ
ップを実装したICチップパッケージとしても用いられ
る。
【0033】次に本発明の液晶性樹脂積層フィルムの製
造方法を液晶性ポリエステル/ポリアミドを例により具
体的に示す。
【0034】液晶性ポリエステル樹脂としては、“シベ
ラス”(東レ(株))、“ベクトラ”(ポリプラスチッ
ク(株))、“ロッドラン”(ユニチカ(株))、“ス
ミカスーパー”(住友化学工業)等を準備する。必要に
応じて、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステ
ル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなど
の無機、有機化合物や加水分解防止剤、熱安定剤、酸化
防止剤などを添加する。熱変形温度が液晶性樹脂以上の
ポリアミドとして“アモデル”(帝人(株))、“アー
レン”(三井化学(株))、“PA9T”((株)クラ
レ)等を準備する。これらの樹脂は水分の存在下におい
て加熱することで加水分解するため、溶融押し出しの前
に乾燥・脱水をしておく。
【0035】乾燥した原料は、それぞれTN≧TLとなる
組み合わせで一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、
タンデム押出機などの溶融押出機に供給し、分子量、例
えば固有粘度[η]を極力低下させないように窒素気流
下、あるいは真空下で溶融押し出しする。なお、原料中
の異物を除去するために、溶融樹脂を適宜フィルター、
例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等
で濾過しながら押し出しすることが好ましい。
【0036】溶融押し出し後、ポリアミド層/液晶ポリ
エステル層/ポリアミド層となるように3層積層アダプ
ターによって積層し、Tダイ口金からフィルム状に押し
出し、公知の密着手段である静電印加法、エアーチャン
バー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラム
などの冷却媒体に密着冷却固化させる。
【0037】かくして得られたキャストフィルムは必要
に応じて延伸処理を行うが、延伸方式は縦一軸延伸、横
一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの任意の方
法で延伸処理する。延伸温度は液晶性樹脂の溶融温度以
上であり、このとき、非液晶性熱可塑性樹脂は軟化させ
るが、実質的には溶融せずに液晶性樹脂を軟化ないし溶
融させる温度で行う。液晶ポリエステル樹脂の場合には
220〜350℃の範囲であることが多い。延伸倍率は
一方向につき2〜8倍、好ましくは2〜4倍が好まし
い。さらに延伸処理のあと、必要に応じて熱固定を行っ
てもよい。
【0038】このようにして得た液晶性樹脂積層フィル
ムは、層間の接着性およびフィルム表面の接着性に優
れ、かつ、表面が平滑性で特性が等方的である。
【0039】このようにして得られた液晶性樹脂層の少
なくとも片面に導電体パターンを、銅箔エッチング(例
えば、塩化第2鉄水溶液で)で作成したり、該導電体パ
ターンを金型でプレス熱転写したのち、該パターン溝内
に導電ペーストを注入して作成し、回路基板を得ること
ができる。また、本発明の回路基板を積層して多層回路
基板としても良い。さらに、該多層回路基板にスルーホ
ールを設けてもよい。スルーホールは、ドリル、レーザ
ー、溶融貫通法などの方法で設けることができる。さら
に、スルーホールをメッキするなどの方法で層間の回路
を接続することもできる。
【0040】このようにして得られた回路基板は、IC
チップを実装するためのインターポーザとして好適であ
り、該インターポーザにICチップを実装したICチッ
プパッケージとして用いることができる。
【0041】さらに、本発明の液晶性樹脂積層フィルム
の製造方法を液晶性ポリエステル/ポリフェニレンスル
フィドを例にとり具体的に示す。
【0042】液晶性ポリエステル樹脂としては、先と同
等のものを準備する。TN1≧TL1となる非液晶性熱可塑
性樹脂としてポリフェニレンスルフィド“RYTON”
(東レ(株))を準備する。これらの樹脂は水分の存在
下において加熱することで発泡するため、溶融押し出し
の前に乾燥・脱水をしておく。
【0043】乾燥した原料は、それぞれ一軸押出機、二
軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機などの溶融押
出機に供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低
下させないように窒素気流下、あるいは真空下で溶融押
し出しする。なお、原料中の異物を除去するために、溶
融樹脂を適宜のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性
セラミック、サンド、金網等で濾過しながら押し出しす
ることが好ましい。
【0044】溶融押し出し後、ポリフェニレンスルフィ
ド層/液晶ポリエステル層/ポリフェニレンスルフィド
層となるように3層積層アダプターによって積層し、T
ダイ口金からフィルム状に押し出し、公知の密着手段で
ある静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ
法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着
冷却固化させる。
【0045】かくして得られたキャストフィルムはこの
段階ではTN0<TL0であるためTN1≧TL1となるように
加熱処理を行う。熱処理温度条件は、加熱空気中でポリ
フェニレンスルフィドの融点より低い温度に保ち逐次熱
処理温度を増加させる。熱処理終了後必要に応じて延伸
処理を行うが、延伸方式は縦一軸延伸、横一軸延伸、逐
次二軸延伸、同時二軸延伸などの任意の方法で延伸処理
する。延伸温度は液晶性樹脂の溶融温度以上であり、こ
のとき非液晶性熱可塑性樹脂は軟化させるが、実質的に
は溶融せずに液晶性樹脂を軟化ないし溶融させる温度で
行う。液晶ポリエステル樹脂の場合には220〜350
℃の範囲であることが多い。延伸倍率は一方向につき2
〜8倍、好ましくは2〜4倍が好ましい。さらに延伸処
理のあと、必要に応じて熱固定を行ってもよい。
【0046】このようにして得られた液晶性樹脂積層フ
ィルムは、層間の接着性およびフィルム表面の接着性に
優れ、かつ、表面が平滑性で特性が等方的である。
【0047】このようにして得られた液晶性樹脂層積層
フィルムは、上記の方法で回路基板を作成することがで
き、このようにして得られた回路基板は、ICチップを
実装するためのインターポーザとして好適であり、該イ
ンターポーザにICチップを実装したICチップパッケ
ージとして用いることができる。
【0048】
【物性の測定法】次に本発明で使用した測定法について
以下に述べる。 1.層間接着力 層間接着力は、ASTM D903−49に従って測定
した。 2.空孔率 積層フィルムの表面を走査型電子顕微鏡(SEM;S−
2100A 日立製)で拡大観察し、100視野写真撮
影し、撮影したSEM写真内の空孔をOHPシートにマ
ーキングし、イメージアナライザー(IA)で画像処理
を行い、次式によって求め、100視野を平均した。
【0049】(視野内のフィルム表面のボイド面積)/
(視野内の積層フィルム表面積)×100 3.熱変形温度 熱機械分析(TMA)は、真空理工(株)社製熱分析ス
テーション(MTS−9000)、試料測定モジュール
(TM−9400)を用い、幅4ミリ、長さ15ミリの
試験フィルムに単位断面積あたり162MPaの引張荷
重をかけ、20℃/分の速度で昇温して、温度(℃)〜
寸法変化率(%)曲線を作図した。得られた熱変形曲線
において、急激に熱変形が生じる前の温度における熱変
形曲線の接線と、熱変形が生じた後の熱膨張曲線の接線
の交点を熱変形温度とした。 4.厚みムラ アンリツ製フィルムシックネステスタKG601Aおよ
び電子マイクロメーターK306Cを用い、幅30ミ
リ、長さ40mにサンプリングしたフィルムを連続的に
厚み測定する。長手方向から幅方向それぞれの厚み最大
値TMAX(μm)から、および最小値TMIN(μ
m)から、変動幅RをR=TMAX−TMINで求め、
平均厚みTAVE(μm)から 厚みムラ(%)=R/TAVE×100 として求めた。
【0050】厚みムラが10%未満であれば○、10%
以上15%未満であれば△、15%以上であれば×とし
た。 5.フィルム厚み構成 フィルムをパラフィン包埋し、ミクロトームによってフ
ィルム断面方向に切断して切片とし、これを透過型明視
野光学顕微鏡や偏光顕微鏡によって観察し、それぞれの
厚みを測定する。 6.表面平滑性 表面粗さRyをJIS B0601に従い、室温にて測
定長2ミリ、カットオフ0.25ミリで測定した。測定
装置は、(株)小坂研究所製三次元表面粗さ計を用い
た。 7.フィルム表面接着性 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、蒸着層に1ミリ
角のクロスカットを100個入れた。ニチバン(株)製
セロハンテープを蒸着層のクロスカット上に貼りつけ、
指で強く押しつけた後、180度方向に急速に剥離して
残存した個数を判定した。70個以上残れば○、70個
未満50個以上であれば△、50個未満であれば×とし
た。 8.機械特性 積層フィルムの引張強度、伸度は、JIS K7127
に規定された方法により、弾性率(ヤング率)はJIS
Z1702に規定された方法により、インストロンタ
イプの引張試験機を用いて25℃、65%RH雰囲気で
測定した。
【0051】
【実施例】実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。 実施例1 液晶性樹脂(LCP)として、市販の東レ(株)製“シ
ベラス”を用い、非液晶性熱可塑性樹脂として、市販の
帝人(株)製ポリフタルアミド樹脂“アモデル”を用い
た。
【0052】TMAによって測定した該液晶性樹脂(L
CP)、該非液晶性熱可塑性樹脂の熱変形温度はそれぞ
れ270℃、285℃であった。
【0053】該液晶性樹脂(LCP)は130℃で6時
間真空乾燥し、非液晶性熱可塑性樹脂は120℃で24
時間真空乾燥した。
【0054】乾燥の終了した原料は、それぞれシリンダ
ー径が90mmの溶融押出機に供給し、該液晶性樹脂
(LCP)は320℃、該非液晶性熱可塑性樹脂フィル
ムは340℃で溶融させた後、アモデル/LCP/アモ
デルの3層となるように積層アダプターで積層させ、リ
ップ幅600ミリのTダイ口金からフィルム状に押し出
した。溶融流動状態は口金中央部、エッジ部ともに均一
であり、ムラは見られなかった。このようにして押し出
した溶融フィルムは、エアーナイフによって表面温度が
25℃に保たれた直径1mのキャスティングドラムに密
着冷却固化させた。
【0055】次に、このキャストフィルムをパンタグラ
フ方式の同時二軸延伸装置に供給してLCPは溶融する
が表層フィルムは軟化するが溶融しない温度である27
0℃に加熱し、長手方向に2倍、幅方向に3.5倍延伸
して250℃で熱処理した。このようにしてアモデル/
LCP/アモデル各層の厚みが10μm/50μm/1
0μmとなる積層フィルムを得た。このようにして得ら
れた積層フィルムの層間接着力は30N/cmであり、
表層のアモデルは空孔率が0%の無孔性であった。該フ
ィルムの特性を表1に示すが、表面は平滑であり、接着
性の良好な二軸延伸液晶フィルムであった。 実施例2 液晶性樹脂(LCP)として市販のポリプラスチック
(株)製“ベクトラA950”を用い、非液晶性熱可塑
性樹脂としては市販のGEプラスチック製ポリエーテル
イミド(PEI)“ウルテム1000”を用いた。TM
Aによって測定した該液晶性樹脂(LCP)、該非液晶
性熱可塑性樹脂の熱変形温度はそれぞれ180℃、22
0℃であった。
【0056】該液晶性樹脂(LCP)および該非液晶性
熱可塑性樹脂は150℃で4時間真空乾燥し、乾燥の終
了した原料は、それぞれシリンダー径が90mmの溶融
押出機に供給し、該液晶性樹脂(LCP)および該非液
晶性熱可塑性樹脂は340℃で溶融させたのち、PEI
/LCP/PEIの3層となるように積層アダプターで
積層させ、リップ幅600ミリのTダイ口金からフィル
ム状に押し出した。
【0057】溶融流動状態は、口金中央部、エッジ部と
もに均一であり、ムラは見られなかった。このようにし
て押し出した溶融フィルムは、エアーナイフによって表
面温度が25℃に保たれた直径1mのキャスティングド
ラムに密着冷却固化させた。
【0058】次に、このキャストフィルムをパンタグラ
フ方式の同時二軸延伸装置に供給して該液晶性樹脂(L
CP)は溶融するが、該非液晶性熱可塑性樹脂は軟化す
るが溶融しない200℃に加熱し、長手方向に2.5
倍、幅方向に5倍延伸して200℃で熱処理した。この
ようにしてPEI/LCP/PEI各層の厚みが5μm
/50μm/5μmとなる積層フィルムを得た。このよ
うにして得られた積層フィルムの層間接着力は32N/
cmであり、表層のPEIは空孔率が0%の無孔性であ
った。該フィルムの特性を表1に示すが、表面が平滑で
接着性の良好な二軸延伸液晶フィルムであった。 実施例3 液晶性樹脂(LCP)として、市販の東レ(株)製“シ
ベラス”を用い、非液晶性熱可塑性樹脂として、東レ
(株)製ポリフェニレンフルフィド(PPS)樹脂であ
る“RYTON”を用いた。
【0059】該液晶性樹脂(LCP)は130℃で6時
間真空乾燥し、非液晶性熱可塑性樹脂は170℃、5時
間真空乾燥した。
【0060】乾燥の終了した原料は、それぞれシリンダ
ー径が90mmの溶融押出機に供給し、該液晶性樹脂
(LCP)は320℃、該非液晶性熱可塑性樹脂は32
0℃で溶融させた後、PPS/LCP/PPSの3層と
なるように積層アダプターで積層させ、リップ幅600
ミリ、Tダイ口金からフィルム状に押し出した。溶融流
動状態は口金中央部、エッジ部ともに均一であり、ムラ
は見られなかった。このようにして押し出した溶融フィ
ルムは、エアーナイフによって表面温度が25℃に保た
れた直径1mのキャスティングドラムに密着冷却固化さ
せた。得られたキャストフィルムのTL0、TN0はそれぞ
れ270℃、90℃であった。
【0061】続いて該キャストフィルムを270℃で2
時間熱処理したのち280℃で2時間熱処理した。熱処
理後のTL1、TN1はそれぞれ273℃、285℃であっ
た。該熱処理フィルムを高温延伸可能な延伸装置に供給
してLCPは溶融するが表層フィルムは軟化するが溶融
しない温度である280℃に加熱し、長手方向に2倍、
幅方向に3.5倍延伸して250℃で熱固定した。この
ようにしてPPS/LCP/PPS各層の厚みが10μ
m/50μm/10μmとなる積層フィルムを得た。得
られた積層フィルムの層間接着力は31N/cmであ
り、表層のPPSは空孔率が0%の無孔性であった。該
フィルムの特性を表1に示すが、表面は平滑であり、接
着性の良好な二軸延伸液晶フィルムであった。 実施例4 押し出しフィルムを280℃で4時間熱処理する以外は
実施例3と同様にして、PPS/LCP/PPS積層熱
処理フィルムを得た。熱処理後のTL1、TN1はそれぞれ
271℃、280℃であった。
【0062】該熱処理フィルムを高温延伸装置に供給し
てLCPは溶融するが表層フィルムは軟化するが溶融し
ない温度である275℃に加熱し、長手方向に2倍、幅
方向に3.5倍延伸して250℃で熱固定した。このよ
うにしてPPS/LCP/PPS各層の厚みが10μm
/50μm/10μmとなる積層フィルムを得た。得ら
れた積層フィルムの層間接着力は31N/cmであり、
表層のPPSは空孔率が0%の無孔性であった。該フィ
ルムの特性を表1に示すが、表面は平滑であり、接着性
の良好な二軸延伸液晶フィルムであった。 比較例1 液晶性樹脂(LCP)として市販の住友化学(株)製
“スミカスーパーE6000”を用い、LCP単層フィ
ルムを製膜した。該液晶性樹脂(LCP)は130℃で
6時間真空乾燥し、乾燥の終了した原料を、シリンダー
径が90mmの溶融押出機に供給し、350℃で溶融さ
せた後、リップ幅600ミリのTダイ口金からフィルム
状に押し出してキャストフィルムを得た。次いで、該キ
ャストフィルム両面に未延伸無孔性PPSフィルムをロ
ールラミネータを用い、250℃でラミネートし、ラミ
ネートフィルムを得た。このラミネートフィルムの
L0、T N0はそれぞれ275℃、90℃であった。
【0063】次いで、該ラミネートフィルムを実施例3
と同様に熱処理をおこなってPPS/LCP/PPS積
層熱処理フィルムを得た。熱処理後のTL1、TN1はそれ
ぞれ276℃、280℃であった。
【0064】該熱処理フィルムを高温延伸装置に供給し
てLCPは溶融するが表層のフィルムは軟化するが溶融
しない温度である278℃に加熱し、実施例3と同様に
延伸したが、LCPとPPSの層間接着力が低いため延
伸ムラがみられ、厚みムラの大きいフィルムとなった。
得られた積層フィルムの層間接着力は5N/cmであり
容易に剥離可能なものであった。また、表層のPPSは
空孔率が0%の無孔性であった。該積層フィルムの特性
を表1に示すが、得られた積層フィルムは容易に層間剥
離するフィルムであった。 比較例2 非液晶性熱可塑性樹脂として、TMAによって測定した
熱変形温度が80℃であるポリエチレンテレフタレート
樹脂を用い、該樹脂の押し出し温度を300℃とする以
外は実施例1と同様にキャストフィルムを得た。溶融流
動状態はエッジ部の流動が不良であり、フィルム幅が変
化した。引き続き260280℃で延伸処理を行った
が、PETフィルムが溶融してしまい良好な延伸を行う
ことができなかった。このときLCPフィルムは溶融し
てないためフィルムが縦に裂けてしまった。そこでキャ
ストフィルムの特性を表1に示すが、該キャストフィル
ムの層間接着力は30N/cmであった。 比較例3 液晶性樹脂(LCP)としてポリプラスチック(株)製
“ベクトラA950”を用い、LCP単層フィルムを製
膜した。
【0065】該液晶性樹脂(LCP)は150℃で4時
間真空乾燥し、乾燥の終了した原料は、シリンダー径が
90mmの公知の溶融押出機に供給し、320℃で溶融
させたのち、リップ幅600ミリのTダイ口金からフィ
ルム状に押し出した。溶融流動状態は、口金エッジ部の
流動が不安定であり、さらにフィルムには縦スジが多く
見られた。このようにして押し出した溶融フィルムは、
ワイヤ状電極から10KVの電圧を印可しながら表面温
度が25℃に保たれた直径1mのキャスティングドラム
に密着冷却固化させた。
【0066】このようにして得られたキャストフィルム
は、実施例2と同様の条件で延伸を試みたが、フィルム
が縦に裂け、延伸フィルムは得られなかった。そこでキ
ャストフィルムの特性を表1に示す。 比較例4 実施例3と同様にして得られた押し出しフィルムを熱処
理せずに高温延伸装置に供給して実施例3と同様に28
0℃に加熱して延伸したが、非液晶性熱可塑性樹脂層が
溶融してしまい、液晶性樹脂層を延伸することができな
かった。そこで、キャストフィルムの特性を表1に示
す。 比較例5 比較例1でキャストフィルムの両面に空孔率が80%の
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムを用
いる以外は比較例1と同様にラミネートフィルムを得た
後、パンタグラフ方式の同時二軸延伸装置に供給して該
液晶性樹脂(LCP)は溶融するが、該非液晶性熱可塑
性樹脂は軟化するが溶融しない278℃に加熱し、長手
方向に2.5倍、幅方向に5倍延伸して200℃で熱処
理した。このようにしてPTFE/LCP/PTFE各
層の厚みが5μm/50μm/5μmとなる積層フィル
ムを得た。得られた積層フィルムの層間接着力は15N
/cmであった。また、表層のPTFEは空孔率が80
%の多孔性フィルムであった。該積層フィルムの特性を
表1に示すが、該積層フィルムは表面の接着性が×であ
り、また表層のPTFEが多孔性のため表面平滑性が悪
化し、回路基板として使用する際の導電体パターン形成
に問題が生じた。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液
晶性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、層間の
接着力が30N/cm以上の液晶性樹脂積層フィルムま
たは、熱機械分析(TMA)によって測定した非液晶性
熱可塑性樹脂層の熱変形温度(TN)、液晶性樹脂層の
熱変形温度(TL)がTN≧TLの関係を有する液晶性樹
脂積層フィルムを、該液晶性樹脂は溶融するが該非液晶
性熱可塑性樹脂は軟化するが溶融しない温度で延伸する
ことで、特性の異方性が解消された厚みムラの少ない液
晶性樹脂積層フィルムを製造することができる。このよ
うにして得られたフィルムは、表面平滑性およびフィル
ム表面の接着性が良好であり、電気回路基板用途などの
工業材料として好ましく使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 31:34 B29L 31:34 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK01C AK41 AK43B AK43C AK46B AK46C AK49B AK49C AK50B AK50C AK55B AK55C AK56B AK56C AK57B AK57C AL01B AL01C AL05B AL05C BA02 BA03 BA06 BA07 BA10B BA10C DJ10B DJ10C EH20 EH202 EJ38 EJ383 EJ50 EJ502 GB43 JA11A JA12B JA12C JA20B JA20C JK14 JL11 YY00B YY00C 4F210 AA24 AA27 AA29 AA32 AA34 AA40 AH36 QA02 QC07 QD13 QG01 QG15 QG18 QL02 QL09 QL17 QW15

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液晶
    性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、層間の接
    着力が30N/cm以上であることを特徴とする液晶性
    樹脂積層フィルム。
  2. 【請求項2】非液晶性熱可塑性樹脂層の空孔率が10%
    以下であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶性
    樹脂積層フィルム。
  3. 【請求項3】非液晶性熱可塑性樹脂層が無孔性であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の液晶性樹脂積層フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液晶
    性熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであり、熱機械分
    析(TMA)によって測定した該非液晶性熱可塑性樹脂
    層の熱変形温度(TN)、該液晶性樹脂層の熱変形温度
    (TL)が、T N≧TLの関係を有することを特徴とする
    液晶性樹脂積層フィルム。
  5. 【請求項5】 TN≧TLとなる非液晶性熱可塑性樹脂
    が、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
    エーテルイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミ
    ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテル
    ケトン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、および
    これらの共重合体およびブレンド物から選ばれた少なく
    とも1種のものであることを特徴とする請求項4に記載
    の液晶性樹脂積層フィルム。
  6. 【請求項6】 熱機械分析(TMA)によって測定した
    非液晶性熱可塑性樹脂層の熱変形温度(TN0)、液晶性
    樹脂層の熱変形温度(TL0)が、TN0<TL0の関係を有
    する積層フィルムが熱処理されることにより、該非液晶
    性熱可塑性樹脂層の熱変形温度(TN1)、該液晶性樹脂
    フィルムの熱変形温度(TL1)が、T N1≧TL1とされて
    なることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の
    液晶性樹脂積層フィルム。
  7. 【請求項7】TN1≧TL1となる非液晶性熱可塑性樹脂
    が、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
    フェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、
    ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、およびこれらの
    共重合体およびブレンド物から選ばれた少なくとも1種
    のものであることを特徴とする請求項6に記載の液晶性
    樹脂積層フィルム。
  8. 【請求項8】液晶性樹脂層の厚みが、全積層フィルム厚
    みの50〜95%であることを特徴とする請求項1〜請
    求項7のいずれかに記載の液晶性樹脂積層フィルム。
  9. 【請求項9】非液晶性熱可塑性樹脂層の表面粗さRy
    が、3μm未満であることを特徴とする請求項1〜請求
    項8のいずれかに記載の液晶性樹脂積層フィルム。
  10. 【請求項10】液晶性樹脂層の少なくとも片表面に非液
    晶性熱可塑性樹脂層を共押し出しした後に、延伸処理を
    行うことを特徴とする液晶性樹脂積層フィルムの製造方
    法。
  11. 【請求項11】共押し出しと延伸処理の間に熱処理を施
    すことを特徴とする請求項10に記載の液晶性樹脂積層
    フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】延伸を、液晶性樹脂層は溶融するが非液
    晶性熱可塑性樹脂層は軟化するものの実質的に溶融しな
    い温度条件下で実施することを特徴とする請求項10ま
    たは請求項11に記載の液晶性樹脂積層フィルムの製造
    方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜9のいずれかに記載の液晶性
    樹脂積層フィルムの少なくとも片表面に導電体パターン
    を設けてなることを特徴とする回路基板。
  14. 【請求項14】ICチップ実装用インターポーザとして
    用いることを特徴とする請求項13に記載の回路基板。
  15. 【請求項15】請求項14のインターポーザにICチッ
    プを実装したICチップパッケージ。
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