JP2002022324A - 製氷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 過冷却状態になることを、特別な動力を必要
とせずに簡単な構成で安価にして防止する。 【解決手段】 内周面に氷生成面Ｆを形成した円筒体１
にそれより大径の円筒形状の外嵌部材２を外嵌して環状
空間Ｓを形成するとともに、環状空間Ｓ内に冷媒を流動
する。円筒体１内にその筒中心に相当する水平方向の軸
芯周りで回転可能に回転軸１０を設けるとともに、回転
軸１０に氷掻き取り部材１２を取り付ける。回転軸１０
の回転軸芯方向の所定箇所に羽根体１３を設け、氷含有
液体を取り出す出口８側に向かう氷含有液体の一部を円
筒体１内で被冷却液の入口７側近くに移送し、入口７側
近くの被冷却液中に氷核を供給し、被冷却液が過冷却状
態になることを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内周面に氷生成面
を形成した円筒体に外嵌部材を外嵌して環状空間を形成
し、前記環状空間内に冷却用液体を供給する流入口と、
環状空間内から冷却用液体を排出する流出口とを設け、
前記円筒体内にその筒中心に相当する水平方向の軸芯周
りで回転可能に回転軸を設けるとともに、前記回転軸
に、前記氷生成面に生成された氷を掻き取る氷掻き取り
部材を取り付け、かつ、前記円筒体の筒軸芯方向の両端
の一方側に被冷却液を前記円筒体内に供給する入口を設
けるとともに、他方側に、氷を含んだ氷含有液体を前記
円筒体内から取り出す出口とを設けた製氷機に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の製氷機では、環状空間内にフロ
ン冷媒などの冷却用液体を流動させて円筒体の内周面の
氷生成面を冷却し、一方、入口から円筒体内にブライン
溶液などの被冷却液を供給するとともに氷生成面に氷を
生成付着させ、その氷を氷掻き取り部材で掻き取り、微
細な氷を含んだ氷含有液体を出口を通じて取り出すよう
に構成されている。

【０００３】ところが、被冷却液が入口から出口側に流
されるに伴い、被冷却液が過冷却状態になり、その流動
途中で氷核が発生して過冷却状態が解除され、それに伴
って急激に被冷却液が氷結し、円筒体の内周面の氷生成
面に氷が生成付着する。このため、円筒体の氷含有液体
を取り出す出口側で、氷生成面に多量の氷が付着しやす
くなる。そのような氷に氷掻き取り部材が作用するた
め、氷掻き取り部材に過大な力が加わり、氷掻き取り部
材と円筒体の内周面との間で衝撃音を発生したり、氷掻
き取り部材が破損したりする問題があった。

【０００４】そこで、従来、図８の概略構成図に示すよ
うに、氷蓄熱槽０１と製氷機０２とを接続する氷含有液
体の供給配管０３の途中箇所と、氷蓄熱槽０１と製氷機
０２とを接続する、ポンプ０４を介装した被冷却液の送
り配管０５の途中箇所とを、分配弁０６およびバイパス
配管０７を介して接続し、分配弁０６を制御して氷含有
液体の一部を、氷蓄熱槽０１から製氷機０２に供給され
る被冷却液中に混入させ、製氷機０２の入口側箇所に氷
核を供給することにより、過冷却状態になることを防止
している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来例の場合、分配弁０６が氷含有液体を分配す
るものであるために、分配のための制御が複雑になると
ともに高価になる欠点があった。

【０００６】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、請求項１に係る発明の製氷機は、過冷
却状態になることを安価にして防止できるようにするこ
とを目的とし、また、請求項２、請求項３および請求項
４に係る発明の製氷機は、過冷却状態になることを、特
別な動力を必要とせずに簡単な構成で安価にして防止で
きるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明は、
上述のような目的を達成するために、内周面に氷生成面
を形成した円筒体に外嵌部材を外嵌して環状空間を形成
し、前記環状空間内に冷却用液体を供給する流入口と、
環状空間内から冷却用液体を排出する流出口とを設け、
前記円筒体内にその筒中心に相当する水平方向の軸芯周
りで回転可能に回転軸を設けるとともに、前記回転軸
に、前記氷生成面に生成された氷を掻き取る氷掻き取り
部材を取り付け、かつ、前記円筒体の筒軸芯方向の両端
の一方側に被冷却液を前記円筒体内に供給する入口を設
けるとともに、他方側に、氷を含んだ氷含有液体を前記
円筒体内から取り出す出口とを設けた製氷機において、
前記円筒体内の筒中心側に、前記出口側に向かう氷含有
液体の一部を前記入口側近くに移送する逆送機構を設け
て構成する。

【０００８】また、請求項２に係る発明の製氷機は、前
述のような目的を達成するために、請求項１に係る発明
の製氷機における回転軸の外周面に羽根体を設けて逆送
機構を構成する。

【０００９】また、請求項３に係る発明の製氷機は、前
述のような目的を達成するために、請求項１または２に
係る発明の製氷機における氷掻き取り部材を回転軸に取
り付ける支持部材の前記回転軸側部分に羽根部を設けて
逆送機構を構成する。

【００１０】また、請求項４に係る発明の製氷機は、前
述のような目的を達成するために、請求項１、２、３の
いずれかに係る発明の製氷機における回転軸の円筒体内
の部分を中空筒体部に構成し、逆送機構を、前記中空筒
体部の氷含有液体の出口側箇所に設けて氷含有液体の一
部を流入する取り入れ口と、前記中空筒体部の被冷却液
の入口側箇所に設けて前記中空筒体部内を流れてきた氷
含有液体を流出する流出口と、前記回転軸に設けて出口
側に向かう氷含有液体の一部を前記取り入れ口に送り込
む送り羽根とから構成する。

【００１１】

【作用】請求項１に係る発明の製氷機の構成によれば、
円筒体内において、氷掻き取り部材を回転させるため
に、そこを流れる氷含有液体には遠心力が働き、氷掻き
取り部材によって掻き取られた氷の比重が他の溶液より
も小さいために、氷が円筒体の筒中心側に移動しやす
い。このことに着目し、円筒体内の筒中心側に逆送機構
を設け、出口側に向かう氷含有液体の一部を円筒体内で
入口側近くに移送し、入口側近くの被冷却液中に氷核を
供給し、被冷却液が過冷却状態になることを防止でき
る。

【００１２】また、請求項２に係る発明の製氷機の構成
によれば、回転軸を利用して、その外周面に羽根体を設
け、回転軸と一体回転する羽根体によって、出口側に向
かう氷含有液体の一部を円筒体内で入口側近くに移送
し、入口側近くの被冷却液中に氷核を供給し、被冷却液
が過冷却状態になることを防止できる。

【００１３】また、請求項３に係る発明の製氷機の構成
によれば、氷掻き取り部材を回転軸に取り付ける支持部
材を利用して、その支持部材の回転軸側部分に羽根部を
設け、氷掻き取り部材と一体回転する羽根部によって、
出口側に向かう氷含有液体の一部を円筒体内で入口側近
くに移送し、入口側近くの被冷却液中に氷核を供給し、
被冷却液が過冷却状態になることを防止できる。

【００１４】また、請求項４に係る発明の製氷機の構成
によれば、回転軸の円筒体内の部分を中空筒体部に構成
し、その中空筒体部の内部空間を利用し、回転軸に設け
た送り羽根を回転軸と一体回転させ、出口側に向かう氷
含有液体の一部を中空筒体部に設けた取り入れ口に送り
込み、中空筒体部の内部空間から流出口を通じて入口側
近くの被冷却液中に氷核を供給し、被冷却液が過冷却状
態になることを防止できる。

【００１５】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基
づいて詳細に説明する。

【００１６】図１は、本発明に係る製氷機の第１実施例
の全体縦断面図であり、円筒体１に、それよりも大径の
円筒形状の外嵌部材２が外嵌され、円筒体１の外周面と
外嵌部材２の内周面との間に、冷却用液体として、フロ
ンガスなどの低温冷媒を流動する環状空間Ｓが形成され
るとともに、前記環状空間Ｓの筒軸芯方向の両端それぞ
れに密封用の封止部材３が設けられている。円筒体１の
内周面には、氷結のための粗度による氷生成面Ｆが形成
されている。図１において、４は冷媒を環状空間Ｓ内に
供給する流入口、５は冷媒を環状空間Ｓ内から排出する
流出口を示している。前記環状空間Ｓ内には、冷却用液
体として、気体と液体とに相変化しない低温の液体ある
いはガスを流すようにしても良い。

【００１７】円筒体１の筒軸芯方向の両端側それぞれ
が、封止部材３よりも外方に延出されるとともに、その
両延出部分それぞれに蓋部材６が設けられている。両蓋
部材６の一方に、被冷却液としてのブライン溶液を供給
する入口７が設けられるとともに、他方に、ブライン溶
液に氷が混じった氷含有液体を取り出す出口８が設けら
れている。

【００１８】両蓋部材６，６それぞれには軸受部材９が
取り付けられ、両軸受部材９にわたって、回転軸１０が
円筒体１の筒中心に相当する水平方向の筒軸芯周りで回
転可能に軸架されている。

【００１９】回転軸１０には、図２の要部の斜視図に示
すように、その回転軸芯方向に所定間隔を隔てて一体回
転可能に支持部材１１が取り付けられ、隣り合う支持部
材１１にわたって、氷生成面Ｆに生成された氷を掻き取
る氷掻き取り部材１２が取り付けられている。

【００２０】回転軸１０の回転軸芯方向所定箇所の外周
面に、羽根体（スクリュー羽根）１３が設けられ、出口
８側に向かう氷含有液体の一部を入口７側近くに移送す
るように逆送機構が構成されている。これにより、氷掻
き取り部材１２の回転に伴う遠心力を受けて回転軸１０
の外周面側に集まった氷核を入口７側近くの被冷却液中
に供給し、過冷却状態を防止できる。

【００２１】図３は、本発明に係る製氷機の第２実施例
の全体縦断面図、図４は横断面図（図３のＡ−Ａ線断面
図）、図５は要部の斜視図であり、第１実施例と異なる
ところは、次の通りである。すなわち、氷掻き取り部材
１２を回転軸１０に取り付ける支持部材１１の回転軸１
０側部分に羽根部１１ａが設けられ、出口８側に向かう
氷含有液体の一部を入口７側近くに移送するように逆送
機構が構成されている。他の構成は第１実施例と同じで
あり、同一図番を付してその説明は省略する。

【００２２】図６は、本発明に係る製氷機の第３実施例
の全体縦断面図、図７は横断面図（図６のＢ−Ｂ線断面
図）であり、第１実施例と異なるところは、次の通りで
ある。すなわち、回転軸１０の円筒体１内の所定長さ部
分が中空筒体部１０ａに構成されている。

【００２３】中空筒体部１０ａの氷含有液体の出口８側
箇所に、氷含有液体の一部を流入する取り入れ口２１が
設けられ、一方、中空筒体部１０ａの被冷却液の入口７
側箇所に、中空筒体部１０ａ内を流れてきた氷含有液体
を流出する流出口２２が設けられている。

【００２４】回転軸１０の取り入れ口２１に近い箇所の
外周面に送り羽根２３が設けられている。これらによ
り、出口８側に向かう氷含有液体の一部を送り羽根２３
によって取り入れ口２１に送り込むとともに、中空筒体
部１０ａ内を通じて入口７側近くに移送し、流出口２２
から流出させるように逆送機構が構成されている。他の
構成は第１実施例と同じであり、同一図番を付してその
説明は省略する。

【００２５】上記第３実施例では、出口８側に向かう氷
含有液体の一部を取り入れ口２１に送り込むように、回
転軸１０の取り入れ口２１に近い箇所に送り羽根２３を
設けているが、本発明としては、中空筒体部１０ａの入
口７側から長手方向中間側箇所にわたる外周面の所定箇
所に、氷含有液体を入口７側から出口８側に向かって送
るように送り羽根を設けて逆送機構を構成するものでも
良い。

【００２６】すなわち、図外のポンプによって入口７に
送り込む圧力に、送り羽根のポンプ作用による圧力を加
えて出口８側での圧力を高める。これにより、出口８側
の圧力が高く、一方入口７側の圧力が低くなり、氷含有
液体の一部が回転軸１０の取り入れ口２１に流入するよ
うに送り込まれ、中空筒体部１０ａ内を通じて入口７側
近くに移送し、流出口２２から流出できることになるの
である。

【００２７】また、上記第３実施例において、中空筒体
部１０ａの内周面に、氷含有液体を出口８側から入口７
側に向かって送るように送り羽根を設けて逆送機構を構
成するものでも良い。

【００２８】本発明としては、上記第１実施例、第２実
施例および第３実施例のうちのいずれかの２つを併せて
備えた構成、あるいは、３つを併せて備えた構成とする
ものでも良い。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る発
明の製氷機によれば、円筒体内で氷含有液体に遠心力が
働き、氷が円筒体の筒中心側に移動しやすいことに着目
し、円筒体内の筒中心側に逆送機構を設けるだけで、円
筒体内で、出口側に向かう氷含有液体の一部を移送し、
入口側近くの被冷却液中に氷核を供給するから、従来の
分配弁を設ける場合のような制御の複雑さが無く、簡単
な構成で安価にして被冷却液が過冷却状態になることを
防止できる。

【００３０】また、請求項２に係る発明の製氷機によれ
ば、氷掻き取り部材を回転する回転軸を利用して、その
回転軸に羽根体を設けるだけの簡単な構成でありなが
ら、出口側に向かう氷含有液体の一部を移送して入口側
近くの被冷却液中に氷核を供給するから、動力が不用で
安価にして被冷却液が過冷却状態になることを防止でき
る。

【００３１】また、請求項３に係る発明の製氷機によれ
ば、氷掻き取り部材を回転軸に取り付ける支持部材を利
用して、その支持部材の回転軸側部分に羽根部を設ける
だけの簡単な構成でありながら、出口側に向かう氷含有
液体の一部を移送して入口側近くの被冷却液中に氷核を
供給するから、動力が不用で安価にして被冷却液が過冷
却状態になることを防止できる。

【００３２】また、請求項４に係る発明の製氷機によれ
ば、回転軸の円筒体内の部分を中空筒体部に構成すると
ともにその中空筒体部に取り入れ口と流出口とを設け、
回転軸に送り羽根を設けるだけでありながら、中空筒体
部の内部空間を通じて、出口側に向かう氷含有液体の一
部を移送して入口側近くの被冷却液中に氷核を供給する
から、動力が不用で安価にして被冷却液が過冷却状態に
なることを防止できる。しかも、中空筒体部の内部空間
を通じて氷含有液体を流すから、出口側に向かう氷含有
液体と交錯することを抑制でき、氷含有液体の出口側に
良好に流動させながら取り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る製氷機の第１実施例の全体縦断面
図である。

【図２】要部の斜視図である。

【図３】本発明に係る製氷機の第２実施例の全体縦断面
図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線断面図である。

【図５】要部の斜視図である。

【図６】本発明に係る製氷機の第３実施例の全体縦断面
図である。

【図７】図３のＢ−Ｂ線断面図である。

【図８】従来例の概略構成図である。

【符号の説明】

１…円筒体 ２…外嵌部材 ４…流入口 ５…流出口 ７…入口 ８…出口 １０…回転軸 １０ａ…中空筒体部 １１…支持部材 １１ａ…羽根部 １２…氷掻き取り部材 １３…羽根体 ２１…取り入れ口 ２２…流出口 ２３…送り羽根 Ｓ…環状空間 Ｆ…氷生成面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内周面に氷生成面を形成した円筒体に外
   嵌部材を外嵌して環状空間を形成し、前記環状空間内に
   冷却用液体を供給する流入口と、環状空間内から冷却用
   液体を排出する流出口とを設け、前記円筒体内にその筒
   中心に相当する水平方向の軸芯周りで回転可能に回転軸
   を設けるとともに、前記回転軸に、前記氷生成面に生成
   された氷を掻き取る氷掻き取り部材を取り付け、かつ、
   前記円筒体の筒軸芯方向の両端の一方側に被冷却液を前
   記円筒体内に供給する入口を設けるとともに、他方側
   に、氷を含んだ氷含有液体を前記円筒体内から取り出す
   出口とを設けた製氷機において、 前記円筒体内の筒中心側に、前記出口側に向かう氷含有
   液体の一部を前記入口側近くに移送する逆送機構を設け
   たことを特徴とする製氷機。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の回転軸の外周面に羽根
   体を設けて逆送機構を構成してある製氷機。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の氷掻き取り部
   材を回転軸に取り付ける支持部材の前記回転軸側部分に
   羽根部を設けて逆送機構を構成してある製氷機。
4. 【請求項４】 請求項１、２、３のいずれかに記載の回
   転軸の円筒体内の部分を中空筒体部に構成し、 逆送機構を、 前記中空筒体部の氷含有液体の出口側箇所に設けて氷含
   有液体の一部を流入する取り入れ口と、 前記中空筒体部の被冷却液の入口側箇所に設けて前記中
   空筒体部内を流れてきた氷含有液体を流出する流出口
   と、 前記回転軸に設けて出口側に向かう氷含有液体の一部を
   前記取り入れ口に送り込む送り羽根と、 から構成したものである製氷機。