JP2002021948A - ユニット型波動歯車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で、部品点数が少なく、組み付け
作業が簡単なユニット型波動歯車装置を提案すること。 【解決手段】 ユニット型波動歯車装置１は、ユニット
ケース２と、そこに内蔵した波動歯車減速機構３と、入
力軸４と、出力軸５を有している。出力軸５は、コップ
形状の可撓性外歯歯車３２のボス３２３に一体形成され
ており、第２の端板５を貫通して外部に突出している。
ボス３２３は第２の端板２２に対してねじ込み固定され
ており、また、その外周面とユニットケース内周面に間
にクロスローラベアリング６が構成され、これを介して
第２の端板２２が回転自在の状態でユニットケース２に
支持されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、波動歯車減速機構
がユニットケースに内蔵され、当該ユニットケースの一
端から減速回転の出力軸が突出している構成のユニット
型波動歯車装置に関し、特に、小型・コンパクトで、組
み立てが容易なユニット型波動歯車装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】本発明の対象であるユニット型波動歯車
装置は、ユニットケースと、この内部に配置された波動
歯車減速機と、高速回転の入力軸と、減速回転の出力軸
とを有している。ユニットケースは、円筒状のケース胴
部と、この両端開口に取り付けた第１および第２の端板
とを備えた構成とされている。入力軸は、一方の第１の
端板を貫通させて波動歯車減速機の入力要素である波動
発生器に連結され、出力軸は波動歯車減速機構の出力要
素であるコップ形状の可撓性外歯歯車に基端が連結さ
れ、その先端側の部分が第２の端板を貫通して外部に突
出している。

【０００３】波動歯車減速機は、一般には、環状の剛性
内歯歯車と、この内側に配置されたコップ状の可撓性外
歯歯車と、この内側に嵌め込まれた楕円形輪郭の波動発
生器とを備えている。波動発生器によって可撓性外歯歯
車は楕円形に撓まされて、楕円形の長軸方向の両端に位
置する部分が剛性内歯歯車に噛み合った状態とされてい
る。波動発生器をモータ等によって回転させると、両歯
車の噛み合い位置が円周方向に移動し、両歯車の歯数差
に応じて大幅に減速された回転数で、両歯車が相対回転
する。剛性内歯歯車はユニットケースに固定されている
ので、可撓性外歯歯車から減速回転出力が取出される。

【０００４】コップ形状の可撓性外歯歯車は、円筒状の
胴部と、この一端に連続して半径方向の内側に延びる円
環状のダイヤフラム板と、このダイヤフラム板の内周縁
に連続して形成された円盤状のボスと、胴部の他端側の
外周面に形成した外歯とを備えている。出力軸はボスの
円形端面に対して同軸状態で締結ボルト等によって連結
固定される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ような形式のユニット型波動歯車装置を小型でコンパク
トに構成することにある。

【０００６】また、本発明の課題は、ユニット型波動歯
車装置を組み立てが容易な構造とすることにある。

【０００７】特に、本発明の課題は、ユニット型波動歯
車装置の出力軸取付け部分の機構をコンパクトで組み立
てが容易な構造とすることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、ユニットケースと、このユニットケー
ス内に配置された波動歯車減速機構と、入力軸と、出力
軸とを有するユニット型波動歯車装置において：前記ユ
ニットケースは、筒状のケース胴部と、このケース胴部
の一端に取り付けた第１の端板と、前記ケース胴部の他
端に回転自在に取付けた第２の端板とを備え；前記波動
歯車減速機構は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配
置されたコップ形状の可撓性外歯歯車と、この可撓性外
歯歯車を半径方向に撓めて前記剛性内歯歯車に部分的に
かみ合わせると共に、これら両歯車の噛み合い位置を円
周方向に移動させる波動発生器とを備えており；前記入
力軸は前記波動発生器に同軸状態で連結されていると共
に前記第１の端板を回転自在の状態で貫通して延びてお
り；前記可撓性外歯歯車は、円筒状の胴部と、この胴部
の一端に連続して半径方向の内側に延びている円環状の
ダイヤフラム板と、このダイヤフラム板の内周縁に連続
して一体形成された円盤状のボスとを備えており；前記
出力軸は、前記ボスに一体形成されていると共に前記第
２の端板を貫通して延びていることを特徴としている。

【０００９】ここで、前記ボスを前記第２の端板に対し
てねじ込み固定すれば、可撓性外歯歯車と第２の端板の
連結を、締結ボルト等の締結具を用いる場合に比べて、
小型でコンパクトに構成できる。

【００１０】また、前記ケース胴部に対して前記第２の
端板を回転自在の状態で支持するためにはクロスローラ
ベアリングを用いることができる。この場合には、クロ
スローラベアリングを、前記ケース胴部の内周面に形成
した外輪側軌道面と、前記第２の端板の外周面に形成し
た内輪側軌道面と、これらの軌道面の間に装着された複
数個のコロとを備えた構成とすることが望ましい。この
ようにすれば、外輪および内輪を別部品として取り付け
る必要が無くなるので、ユニット型波動歯車装置の構造
をコンパクトにでき、また、その組み立ても容易にな
る。

【００１１】さらに、前記波動発生器に前記入力軸を一
体形成すれば、これらの間の連結を、簡単な構造でコン
パクトに構成できる。また、その組み立ても容易にな
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
を適用したユニット型波動歯車装置の実施例を説明す
る。

【００１３】図１（ａ）、（ｂ）は、本例のユニット型
波動歯車装置を示す断面図および端面図である。これら
の図を参照して説明すると、本例のユニット型波動歯車
装置１は、ユニットケース２と、このユニットケース２
内に配置された波動歯車減速機構３と、この波動歯車減
速機構３に対して装置軸線１ａに沿って同軸状態に配列
された入力軸４および出力軸５とを有している。

【００１４】ユニットケース２は、円筒状のケース胴部
２０と、このケース胴部２０の一端に取り付けた第１の
端板２１と、ケース胴部２０の他端に回転自在に取付け
た第２の端板２２とから構成されている。波動歯車減速
機構３は、環状の剛性内歯歯車３１と、この内側に配置
されたコップ形状の可撓性外歯歯車３２と、この可撓性
外歯歯車３２を半径方向に撓めて剛性内歯歯車３１に部
分的にかみ合わせると共に、これら両歯車３１、３２の
噛み合い位置を円周方向に移動させる波動発生器３３と
を備えている。

【００１５】本例の波動発生器３３は楕円形輪郭をして
おり、可撓性外歯歯車３２を楕円形に撓めて、当該楕円
形の長軸方向の両端に位置する部分を剛性内歯歯車３１
にかみ合わせている。また、コップ形状の可撓性外歯歯
車３２は、円筒状の胴部３２１と、この胴部３２１の一
端に連続して半径方向の内側に延びている円環状のダイ
ヤフラム板３２２と、このダイヤフラム板３２２の内周
縁に連続して一体形成された円盤状のボス３２３と、胴
部３２１の開口端側の外周面に形成された外歯３２４と
を備えている。

【００１６】本例の波動発生器３３は、楕円形輪郭の剛
性カム板３３１と、その外周面に嵌めたウエーブベアリ
ング３３２とを備えている。また、剛性カム板３３１の
一端面には入力軸４が一体形成されている。すなわち、
剛性カム板３３１と入力軸４とが単一部品として製造さ
れている。入力軸４は、剛性カム板３３１の端面から突
出して、第１の端板２１の中心に開けた貫通孔２１１を
ベアリング２１２を介して回転自在の状態で貫通してユ
ニットケース外に突出している。この入力軸４の先端部
分がモータ等に連結される。第１の端板２１は取付けね
じ２１３によって、ケース胴部２０の端面に固定されて
いる。

【００１７】剛性カム板３３１の他端面からも軸３３３
が反対方向に突出しており、この軸３３３の先端は、ボ
ス３２３の端面に形成した円形凹部３３５に対してベア
リング３３６を介して回転自在の状態で支持されてい
る。

【００１８】一方、本例の出力軸５は、可撓性外歯歯車
３２のボス３２３に一体形成されている。換言すると、
可撓性外歯歯車３２と出力軸５とが単一部品として製造
されている。出力軸５は、第２の端板２２の中心に形成
した貫通孔２２１を貫通して延びており、その先端部分
が第２の端板２２から外部に突出している。従って、出
力軸５を第２の端板２２の外側端面に締結ボルト等の締
結金具を用いて締結固定する場合に比べて、出力軸取付
け部分の構造が簡素化され、部品点数が少なくなり、ま
た、組み付け作業も簡単になる。

【００１９】ここで、ボス３２３は出力軸５よりも一回
り大きな外径寸法であり、その外周面には雄ねじ部３２
５が形成されている。第２の端板２２に形成されている
貫通孔２２１には、ボス３２３をねじ込み可能な大径部
分が形成されており、この部分の内周面に雌ねじ部２２
２が形成され、この部分に連続して円環状段面２２３が
形成されている。

【００２０】従って、ボス３２３を第２の端板５にねじ
込み固定することにより、可撓性外歯歯車３２を第２の
端板２２に連結固定することができる。この結果、締結
金具等を用いて第２の端板と可撓性外歯歯車を連結固定
する場合に比べて、これらの取付け構造が簡素化され、
部品点数が少なくなり、組み付け作業も簡単になる。ま
た、出力軸が可撓性外歯歯車とは別部材として構成さ
れ、ここに締結ボルト等によって締結されている場合と
は異なり、これらの部材の間に滑りが発生することが無
いので、トルク伝達容量が大きい。

【００２１】なお、本例では、これらの部材のねじ締結
作業を容易に行なうことができるように、第２の端板２
２の外側端面には、負荷側の部材に締結するために利用
する締結ボルト用にねじ穴２２４に加えて、一対のピン
穴２２５が形成されている。これらのピン穴２２５を回
りとめ用の穴として利用すれば、ねじ締結動作が容易に
なる。

【００２２】次に、第２の端板２２はクロスローラベア
リング６を介して、回転自在の状態でユニットケース２
のケース胴部２０の内周面によって支持されている。本
例のクロスローラベアリング６は、ケース胴部２０の内
周面に形成したＶ形の外輪側軌道溝６１と、第２の端板
２２の外周面に形成したＶ形の内輪側軌道溝６２と、こ
れらの軌道溝６１、６２によって区画形成されている円
環状の軌道内に転動自在の状態で挿入されている複数個
の円柱コロ６３とを備えている。すなわち、本例では、
クロスローラベアリング６の外輪および内輪を別途取り
付けることなく、それぞれ、ケース胴部２０および第２
端板２２で兼用させている。従って、外輪、内輪を取り
付ける場合に比べて、構造を簡素化でき、部品点数を削
減できるので、組み付け作業も簡単になる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のユニット
型波動歯車装置では、その出力軸をカップ形状の可撓性
外歯歯車のボスに一体形成してある。従って、可撓性外
歯歯車が連結されている第２の端板に締結ボルト等によ
って別部材としての出力軸を連結固定する場合に比べ
て、構造が簡素化でき、部品点数も削減でき、さらには
組み立て作業も簡単になる。

【００２４】また、本発明では、可撓性外歯歯車のボス
を第２の端板に対して直接、ねじ込み固定することによ
り取り付けているので、この取付け部分の構造も簡素化
でき、部品点数も削減できるので、組み立て作業も簡単
になる。

【００２５】さらに、本発明では、第２の端板を回転自
在の状態で支持しているクロスローラベアリングの外輪
および内輪を、それぞれユニットケース内周面および第
２の端板外周面に形成してあるので、外輪および内輪を
取付ける場合に比べて、構造を簡素化でき、部品点数を
削減できるので、組み立て作業が簡単になる。

【００２６】これに加えて、本発明では、入力軸も波動
発生器に一体形成するようにしているので、入力軸の取
付け部分の構造も簡素化でき、また、締結金具等の部品
点数を削減でき、さらには、これらの部品の連結作業が
不要となるので、組み立て作業も簡単になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したユニット型波動歯車装置を示
す断面図および端面図である。

【符号の説明】

１ ユニット型波動歯車装置 ２ ユニットケース ３ 波動歯車減速機構 ４ 入力軸 ５ 出力軸 ２０ ケース胴部 ２１ 第１の端板 ２２ 第２に端板 ２２１ 貫通孔 ２２２ 雌ねじ部 ３１ 剛性内歯歯車 ３２ 可撓性外歯歯車 ３３ 波動発生器 ３２３ ボス ３２５ 雄ねじ部 ６ クロスローラベリング ６１ 外輪側軌道溝 ６２ 内輪側軌道溝 ６３ コロ

フロントページの続き (72)発明者 山岸 俊実 長野県南安曇郡穂高町大字牧1856−１ 株 式会社ハーモニック・ドライブ・システム ズ穂高工場内 Ｆターム(参考） 3J027 FA18 FA19 GA01 GB03 GC06 GC22 GD04 GD08 GD12 GE23 GE27 3J063 AB14 AC01 BB46 BB48 CA01 CB03 CB43 CD09 CD42 XA03

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ユニットケースと、このユニットケース
   内に配置された波動歯車減速機構と、入力軸と、出力軸
   とを有するユニット型波動歯車装置において、 前記ユニットケースは、筒状のケース胴部と、このケー
   ス胴部の一端に取り付けた第１の端板と、前記ケース胴
   部の他端に回転自在に取付けた第２の端板とを備え、 前記波動歯車減速機構は、環状の剛性内歯歯車と、この
   内側に配置されたコップ形状の可撓性外歯歯車と、この
   可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて前記剛性内歯歯車に
   部分的にかみ合わせると共に、これら両歯車の噛み合い
   位置を円周方向に移動させる波動発生器とを備えてお
   り、 前記入力軸は前記波動発生器に同軸状態で連結されてい
   ると共に前記第１の端板を回転自在の状態で貫通して延
   びており、 前記可撓性外歯歯車は、円筒状の胴部と、この胴部の一
   端に連続して半径方向の内側に延びている円環状のダイ
   ヤフラム板と、このダイヤフラム板の内周縁に連続して
   一体形成された円盤状のボスとを備えており、 前記出力軸は、前記ボスに一体形成されていると共に前
   記第２の端板を貫通して延びていることを特徴とするユ
   ニット型波動歯車装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記ボスは、前記第２の端板に対してねじ込み固定され
   ていることを特徴とするユニット型波動歯車装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、 前記ケース胴部に対して前記第２の端板を回転自在の状
   態で支持しているクロスローラベアリングを有し、 このクロスローラベアリングは、前記ケース胴部の内周
   面に形成した外輪側軌道面と、前記第２の端板の外周面
   に形成した内輪側軌道面と、これらの軌道面の間に装着
   された複数個のコロとを備えていることを特徴とするユ
   ニット型波動歯車装置。
4. 【請求項４】 請求項１において、 前記波動発生器には前記入力軸が一体形成されているこ
   とを特徴とするユニット型波動歯車装置。