JP2002020435A - 環状オレフィン系共重合体及び光学材料 - Google Patents
環状オレフィン系共重合体及び光学材料Info
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Abstract
性のいずれにも優れた環状オレフィン系共重合体及び光
学材料を提供する。 【解決手段】下記式(1)に示す繰り返し単位(a)及
び下記式(2)に示す繰り返し単位(b)を含む環状オ
レフィン系共重合体であって、ポリスチレン換算の数平
均分子量が10,000〜1,000,000であるこ
とを特徴とする環状オレフィン系共重合体。 【化1】 【化2】
Description
共重合体及び光学材料に関する。さらに詳しくは、光学
特性、耐熱性、接着性、密着性及び耐吸湿性のいずれに
も優れた環状オレフィン系共重合体及びこの共重合体か
ら形成した光学材料に関する。
伴い、従来ガラスが用いられていた液晶表示による電子
部品をはじめとする多くの用途分野で、光学材料とし
て、さらに高度な光学特性を有するとともに、耐熱性、
接着性、密着性及び耐吸湿性のいずれにも優れた透明樹
脂材料が求められている。
脂材料としては下記のような開環重合体の水素化物及び
付加重合体が提案されている。 (1)開環重合体の水素化物 (1−1)テトラシクロドデセン系化合物の開環共重合
体の水素化物(特開昭60−26024号公報、特許第
3050196号公報) (1−2)エステル基を含むノルボルネン系又はテトラ
シクロドデセン系化合物の開環共重合体の水素化物(特
開平1−132625号公報、特開平1−132626
号公報) (2)付加重合体 (2−1)エチレンとノルボルネン系化合物又はテトラ
シクロドデセン系化合物の共重合体(特開昭61−29
2601号公報、Makromol.Chem.Mac
romol.Symp.Vol.47,83(199
1)) (2−2)ノルボルネンの付加重合体、ノルボルネンと
アルキル置換ノルボルネンとの付加共重合体(MetC
on97,June4−5,1997 B.L.Goo
dallら、特開平4−63807号公報、特開平8−
198919号公報) (2−3)ノルボルネンのカルボン酸エステルの付加重
合体、ノルボルネンとノルボルネンのカルボン酸エステ
ルとの付加共重合体、ノルボルネンのカルボン酸の付加
重合体(Macromolecule,Vol.29,
2755(1996)、Macromol.Rapi
d.Commun.Vol.19,251(199
8)、及び国際特許公開WO96/37526号)
(1−1)及び(1−2)の開環共重合体の水素化物に
関しては、同じモノマーであっても開環共重合体は付加
重合体に比べそのガラス転移温度が相対的に低く、ガラ
ス転移温度の高い重合体を得ることが困難である。ま
た、開環共重合体は、完全に水素化することが困難で、
その水素化物は、微量な不飽和結合を重合体中に含むこ
とになり、その結果、250℃以上の高温で薄膜、フィ
ルム又はシートへ成形加工をする際に着色することがあ
り、耐熱性の点で必ずしも十分ではなかった。また、上
記(2−1)のエチレンとノルボルネン系化合物又はテ
トラシクロドデセン系化合物との共重合体は、エチレン
の連鎖に分布があり、エチレン連鎖がすこしでも長いと
結晶化し、光学的透明性の点で不十分となることが多
く、また、極性基を含まないため、接着性及び密着性の
点で不十分なものである。また、上記(2−2)のMe
tCon97におけるB.L.Goodallらの発表
には、5−ヘキシル−2−ノルボルネン重合体、5−ド
デシル−2−ノルボルネン重合体、及び5−ドデシル−
2−ノルボルネンとノルボルネンとの共重合体が記載さ
れているが、ノルボルネンのアルキル置換基の光学特性
への作用効果については、何らの開示も示唆もない。ま
た、これらの共重合体は、極性基を含有していないた
め、接着性及び密着性の点で不十分である。また、特開
平4−63807号公報にも同様に、アルキル・ノルボ
ルネン重合体での光学特性への作用効果については、何
らの開示も示唆もない。また、極性基として、ハロゲン
原子、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、アルコキ
シカルボニル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基置換の
ノルボルネン重合体についての記載はあるが、接着性及
び密着性への作用効果については、何らの開示も示唆も
ない。また、特開平8−198919号公報には、短鎖
アルキル・ノルボルネンと長鎖アルキル・ノルボルネン
との共重合体が記載されているが、ガラス転移温度が1
40〜210℃と耐熱性が低い領域の共重合体であり、
極性基を含まないため、接着性及び密着性の点で不十分
なものである。ノルボルネンのカルボン酸エステルの付
加重合体、ノルボルネンとノルボルネンのカルボン酸エ
ステルとの付加共重合体、ノルボルネンのカルボン酸の
付加重合体は、極性基を多く含むため、接着性及び密着
性の点では優れるが、耐吸湿性の点では不十分なもので
ある。
で、光学特性、耐熱性、接着性、密着性及び耐吸湿性の
いずれにも優れた環状オレフィン系共重合体及びこの共
重合体から形成した光学材料を提供することを目的とす
る。
達成するためになされたものであり、以下の環状オレフ
ィン系共重合体、この共重合体から形成した光学材料及
び光学材料複合体を提供するものである。
(a)及び下記式(2)に示す繰り返し単位(b)を含
む環状オレフィン系共重合体であって、ポリスチレン換
算の数平均分子量が10,000〜1,000,000
であることを特徴とする環状オレフィン系共重合体。
て、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアル
キル置換アルキル基、シクロアルキル基を示し、R1及
びR2の少なくともいずれか一方は炭素数3〜8のアル
キル基を示し、nは、0又は1の整数である。]
れぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、
アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、又は、−
(CH 2)nXで表される極性基を示す(ここで、Xは、
−OH,−NH2,C(O)OR3,−OC(O)R4,
−CO−NH−R3,−NH−C(O))R4,−SH,
又は−C(S)−OHであり、R3は、水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シ
クロアルキル基を示し、R4は、炭素数1〜10のアル
キル基、アルケニル基、アリル基を示し、nは、0又は
1の整数である)。また、A1、A2、A3、A4のうちの
少なくとも1つは、前記極性基であり、また、A1、
A2、A3、A4は、A1とA2、A1とA3、A1とA4、A2
とA3、A2とA4又はA3とA4で形成される酸無水物、
又はイミド基であってもよい。]
(a)中の置換基R1及びR2の少なくともいずれか一方
が、炭素数4〜6のアルキル基である前記[1]に記載
の環状オレフィン系共重合体。
(a)を全繰り返し単位中5〜99.99モル%及び前
記式(2)に示す繰り返し単位(b)を全繰り返し単位
中0.01〜20モル%以下含む前記[1]又は[2]
に記載の環状オレフィン系共重合体。
(a)に加えて、又は前記式(1)に示す繰り返し単位
(a)及び前記式(2)に示す繰り返し単位(b)に加
えて、下記式(3)に示す繰り返し単位(c)を全繰り
返し単位中95モル%以下含む前記[1]〜[3]のい
ずれかに記載の環状オレフィン系共重合体。
して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは
0又は1の整数を示す。]
載の環状オレフィン系共重合体から形成してなる光学材
料。
橋されてなるものである前記[5]に記載の光学材料。
はシート形状である前記[5]又は[6]に記載の光学
材料。
載の光学材料と他の光学透明な熱可塑性樹脂からなる光
学材料とを複合化してなる光学材料複合体。
的に説明する。本発明の環状オレフィン系共重合体は、
前記式(1)に示す繰り返し単位(a)及び前記式
(2)に示す繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン
系共重合体であって、ポリスチレン換算の数平均分子量
が10,000〜1,000,000、好ましくは、5
0,000〜500,000であることを特徴とする。
に示す繰り返し単位(a)中の置換基R1及びR2の少な
くともいずれか一方が、炭素数4〜6のアルキル基であ
ることが、耐熱性及び光学特性(複屈折性)の点で好ま
しい。
共重合体から形成されてなる、好ましくは薄膜、フィル
ム又はシート形状の光学材料及びこの光学材料と他の熱
可塑性樹脂からなる光学材料を複合化してなる光学材料
複合体も含まれる。
体的に説明する。本発明の共重合体に用いられる繰り返
し単位(a)は、下記式(4)に示す環状オレフィン
(以下、「特定の環状オレフィン(1)」ということが
ある)の付加重合により形成することができる。
れ前記式(1)に示すものと同一である。]
具体例としては、5−プロピル−ビシクロ〔2.2.
1〕ヘプト−2−エン、5−イソプロピル−ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−6−
ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5
−メチル−6−プロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
ト−2−エン、5−イソブチル−ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−ペンチル−ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペンチル
−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ヘキ
シル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−
メチル−6−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト
−2−エン、5−エチル−6−ヘキシル−ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ヘプチル−ビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−(2−エチ
ルヘキシル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エ
ン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン等を挙げることができる。
(4)に示す化合物は、1種単独で又は2種以上を組合
わせて用いることができる。
は、下記式(5)に示す特定の環状オレフィン(以下、
「特定の環状オレフィン(2)」ということがある)に
より形成することができる。
は、それぞれ前記式(2)に示すものと同一である。]
具体例としては、 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテニル
メタノール アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル
メタノールエステル メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニ
ルメタノールエステル 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニ
ルメタノール アクリル酸2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エニルメタノールエステル ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンカルボン酸 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸ビニルエステル ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸イソプロペニルエステル 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸ビニルエステル 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸イソプロペニルエステル 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニ
ル酢酸 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルアミン ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメチルアミ
ン アクリル酸ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテニルメ
チルアミド メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]−5−エニルメチ
ルアミド ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸アミド 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸アミド ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−チオカ
ルボン酸 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタンチオ
ール 2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
チオール 2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−ジ
カルボン酸無水物 N−フェニル−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−ジカルボンイミド N−シクロヘキシル−2,3−ビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−ジカルボンイミド 2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−ジ
カルボンイミド ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸、2’−メチルカルボン酸 無水ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸、2’−メチルカルボン酸 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン、2’−メチルカルボンイミド N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン−2−カルボン、2’−メチルカルボンイミド N−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−2−カルボン、2’−メチルカルボンイミド ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸メチル ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸エチル テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ−
3−エン−8−カルボン酸 8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12.5.1
7.10]ドデカ−3−カルボン酸メチル 等を挙げることができる。
(5)に示す化合物は、1種単独で又は2種以上を組合
わせて用いることができる。
し単位中、好ましくは、5〜99.99モル%以上、さ
らに好ましくは、20〜99.9モル%、特に好ましく
は、30〜99.8モル%である。5モル%未満である
と、複屈折性が低下することがあり、99.99モル%
を超えると、接着性及び密着性が低下することがある。
繰り返し単位(b)の含有量は、全繰り返し単位中、好
ましくは、0.01〜30モル%であるが、繰り返し単
位(b)の構造によって異なる。繰り返し単位(b)の
極性基が、カルボキシル基(−C(O)OH)、ヒドロ
キシル基(−OH)、チオカルボキシル基(−C(S)
OH)、酸無水物(−CO―O―CO−)、酸アミド基
(−CO−NH2)、カルボンイミド基(−CO−NR
−CO−、ここで、Rは水素原子、シクロアルキル基、
アリル基から選ばれる置換基を示す)、アミノ基、及び
アクリル基、メタクリル基等のラジカル重合が可能な不
飽和結合を含む基等では、全繰り返し単位中、繰り返し
単位(b)の含有量は、好ましくは、0.01〜10モ
ル%、さらに好ましくは、0.1〜7モル%、特に好ま
しくは、0.2〜5モル%である。0.01モル%未満
であると、接着性及び密着性が低下することがあり、1
0モル%を超えると、耐吸湿性が低下することがある。
アクリル基、メタクリル基等のラジカル重合する極性基
を有する繰り返し単位(b)は、ラジカル発生剤やジチ
オール化合物、ジオキシム化合物等により、成形・加工
工程で架橋することができ、寸法安定性のよい成形体と
することができる。また、他の極性基もアクリル基、メ
タクリル基等に変換することにより、架橋体に変換する
ことができる。
エステル基、シクロアルキルエステル基、アリルエステ
ル基の場合は、全繰り返し単位中、繰り返し単位(b)
の含有量は、好ましくは、5〜30モル%、さらに好ま
しくは、10〜20モル%である。5モル%未満である
と、接着性及び密着性が低下することがあり、30モル
%を超えると、耐吸湿性が低下することがある。
(1)に示す繰り返し単位(a)に加えて、又は前記式
(1)に示す繰り返し単位(a)及び前記式(2)に示
す繰り返し単位(b)に加えて、前記式(3)に示す繰
り返し単位(c)を95モル%以下含ませることができ
る。繰り返し単位(c)を共重合させることにより、耐
熱性を向上させることができる。
に示す特定の環状オレフィン(以下、「特定の環状オレ
フィン(3)」ということがある)を付加重合すること
により形成することができる。
(3)に示すものと同一である。]
としては、 ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 5−メチル−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン 5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン 5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ−3−7−ジエ
ン(ジシクロペンタジエン) トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ−3−エン テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ−
3−エン 8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.
17.10]ドデカ−3−エン 8,9−ジ8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2.5.17.10]ドデカ−3−エン 等を挙げることができる。
(6)に示す化合物は、1種単独で又は2種以上を組合
わせて用いることができる。前記式(6)に示す化合物
として、ジシクロペンタジエンを用いた場合は、共重合
の後、共重合体を水素化することにより繰り返し単位
(c)を形成することができる。
し単位(繰り返し単位(a)及び繰り返し単位(c)の
合計、又は繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)及
び繰り返し単位(c)の合計)100モル%に対して、
好ましくは、95モル%以下、さらに好ましくは、90
〜20モル%である。95モル%を超えると、複屈折性
が低下することがある。
述のように、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パ
ーミエションクロマトグラムで測定されるポリスチレン
換算の数平均分子量が10,000〜1,000,00
0で,好ましくは50,000〜500,000であ
る。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は15,
000〜1,500,000で好ましくは70,000
〜700,000である。ポリスチレン換算の数平均分
子量が10,000未満、重量平均分子量が15,00
0未満であると、破壊強度が不十分となることがあり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が1,000,000
を超え、重量平均分子量が1,500,000を超える
と、シートとしての成形加工性が低下し、またキャスト
フィルム等とするときに溶液粘度が高くなり、扱い難く
なることがある。
性質は、走査型示差熱量計(DSC)の測定では、ガラ
ス転移温度が不明確で測定されないことが多いため、動
的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”
との比E”/E’=Tanδ)のピーク温度で共重合体
のガラス転移温度を測定した。動的粘弾性の測定は、レ
オバイブロンDDV−01FP(オリエンテック(株)
製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/
分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのも
のを用いて得られるTanδの温度分散のピーク温度で
求めた。本発明の環状オレフィン系共重合体のTanδ
のピーク温度は220〜400℃、好ましくは、250
〜380℃であり、220℃未満であると、光学材料と
して成形、加工するときに熱負荷に対して熱変形を生
じ、耐熱性が低下することがあり、400℃を超える
と、重合体が熱分解することがある。
ブチル,4−メチルフェノール、4,4,−チオビス−
(6−t−ブチル−3−メチル−フェノール)、1,1
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチル
フェノール)2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等
のフェノール系酸化防止剤、トリス(4−メトキシ−
3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニル
フェニル)フォスファイト等のリン系酸化防止剤等を添
加することができ、本発明の共重合体の安定性をさらに
向上させることができる。
ジスルフィド、ポリスルフィド化合物、ジオキシム化合
物、テトラスルフィド等を含むシランカップリング剤等
の架橋剤を、本発明の共重合体100重量部に対して
0.05〜5重量部を添加し、熱等により架橋体に変換
することもできるし、直接、光、電子線により架橋体に
変換することもできる。
フィルム、シート、薄膜とすることもできるし、また、
炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ケトン、エー
テル、エステル、アミン、アミド、高級アルコール等の
溶媒の単独又は混合溶媒で溶解し、キャスティングを行
い、さらに蒸発除去して、薄膜、シート、フィルムにす
ることもできる。また、これら溶媒で膨潤させて押出し
機により溶媒を除去しながら、フィルム、シート、薄膜
に成形加工することもできる。
熱性、接着性、密着性及び耐吸湿性を有するので、液晶
表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィル
ム、液晶バックライト、液晶パネル、OHP用フィル
ム、透明導電性フィルム等をはじめとして、光ディス
ク、光ファイバー、レンズ、プリズム等の光学材料、電
子部品さらに医療機器、容器等に好適に用いられる。
オレフィンから形成される共重合体は以下の製造方法で
得ることができる。[Pd(CH3CN)4][B
F4]2、ジ−μ−クロロ−ビス−(6−メトキシビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2
π)−Pd(以下、「I」と略す)とメチルアルモキサ
ン(MAO)、IとAgBF4、IとAgSbF6、
[(η3−アリル)PdCl]2とAgSbF6、[(η3
−アリル)PdCl]2とAgBF4、[(η3−クロチ
ル)Pd(シクロオクタジエン)][PF6]、[(η3
−クロチル)Ni(シクロオクタジエン)][B((C
F3)2C 6H4)4]、[NiBr(NPMe3)]4とM
AO、Ni(オクトエート)2とMAO、Ni(オクト
エート)2とB(C6F5)3とAlEt3、Ni(オクト
エート)2と[ph3C][B(C6F5)4]とAli−
Bu3、Co(ネオデカノエート)とMAO等の周期律
表8族のNi、Pd.Co等のカチオン錯体又はカチオ
ン錯体を形成する触媒を用いて、シクロヘキサン、シク
ロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素
溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂
肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の
芳香族炭化水素溶媒ジクロロメタン、1,2−ジクロロ
エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶
媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プ
ロピレングリコールジメチルエーテル、ニトロメタン等
の極性溶媒から選ばれた溶媒中で−20〜100℃の範
囲で特定の環状オレフィン化合物を(共)重合することに
より得ることができる。
耐熱性、接着性、密着性及び耐吸湿性を有するため、従
来公知のノルボルネン系重合体(例えば、特開昭61−
29260号公報、特開昭60−16870号公報、特
開昭60−26024号公報、特開平2−51511号
公報、特開平1−132625号公報、特開平1−13
2626号公報、特開平4−202404号公報等)等
に優れた耐熱性、接着性、密着性と、光学特性(透明
性、低複屈折性)とを付与することができる。
レート、ポリアリレート、ポリカーボネート又はポリエ
ーテルスルホンとを含有してなる熱可塑性重合体組成物
も極性基間のグラフト化反応を通して、互いに相溶化し
て、光学特性、耐熱性が向上する。
て、本発明の共重合体と他の重合体との配合割合は、本
発明の共重合体及び他の重合体の種類、両者の相溶性、
組成物の使用目的に応じて適宜選択されるが、各種接着
剤に対する優れた接着性及び各種基材に対する優れた密
着性を有する重合体組成物が得られる点で、組成物全体
における本発明の共重合体の割合が5〜95重量%であ
ることが好ましく、さらに好ましくは10〜90重量
%、特に好ましくは20〜80重量%である。
押出機又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、ミキシングロール等を用いる通常の方法や溶液ブレ
ンドによる混合により、本発明の共重合体、他の重合体
及びその他の成分を混合することによって得ることがで
きる。このような熱可塑性重合体組成物から、本発明の
共重合体における場合と同様に薄膜、フィルム又はシー
トにすることができる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制
限を受けるものではない。
数、吸水率、接着性・密着性は下記の方法で測定した。 (1)屈折率:ASTM−D542に準拠し、25℃に
おけるD線(589nm)の屈折率n 25 Dを測定した。 (2)全光線透過率:ASTM−D1003に準拠し、
厚さが100μmの試験片にして全光線透過率を測定し
た。 (3)光弾性係数:エリプソメータにより、波長630
nmの光弾性係数を測定した。 (4)吸水率:23℃の水中に24時間浸漬させた後、
吸水率を測定した。 (5)接着性・密着性:10cm×10cmの試験片に
アルミニウムを蒸着し、この蒸着膜に対して、カッター
により、1mm×1mmの碁盤目が10個×10個形成
されるように切込みを入れ、セロハンテープによる剥離
試験を行い、25ブロック中における剥離したブロック
の数を測定した。
体である5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン125ミリモル、2−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸3
1.25ミリモル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン468.75ミリモルと、溶媒のクロロベンゼン
300gとを仕込んで30℃に反応系を調節した。次
に、[(η3−アリル)PdCl]22.5ミリモルとA
gBF42.8ミリモルとを加えて、重合を開始し、重
合を30℃、10時間行った。重合体への転化率は95
%であった。重合体溶液に乳酸5gを加え、触媒成分と
反応させ、さらに、酸化防止剤として、ペンタエリスリ
チル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体10
0重量部に対して1.0重量部を添加した。重合体溶液
を4リットルのイソプロパノールに入れて重合体を凝固
し、重合体に存在する未反応の単量体と触媒残渣を除去
した。凝固した重合体を90℃で17時間、減圧下で乾
燥した。
解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフによる分子
量を測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量
は88,000、重量平均分子量は183,000であ
った。また、赤外吸収スペクトル法で720cm-1の5
−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ンから形成される構造体の特性吸収と、1700cm -1
の−C−(O)−OH基による2−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸から
形成される構造体の特性吸収とを用いて、重合体中、5
−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ンに由来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合
体)中、19.3モル%、2−メチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸に由来する
繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、4.9
モル%であった。重合体をシクロヘキサン/トルエン
(80/20重量比)の混合溶媒に溶かし、キャストし
て厚さ100μmのフィルムを作製した。このフィルム
を用いて、粘弾性測定、光学測定、吸水率、接着性・密
着性を測定し評価を行った。評価結果を表1に示す。
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン312.5ミリモ
ル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン281.
75ミリモルを用い、かつ2−メチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸の代わり
に、予めトリイソブチルアルミニウムでマスキング反応
したビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸アミド(−NH2/Al−iBu=1/1.5
モル比)を用い、重合後の脱触媒とトリイソブチルアル
ミニウムの脱マスキングのため、乳酸を10g用いたこ
と以外は実施例1と同様にした。酸アミドの含量は、赤
外吸収スペクトルの1680cm-1の特性吸収を用い
て、検量線法により定量した。重合体への転化率は80
%であった。重合体のポリスチレン換算の数平均分子量
は53,000、重量平均分子量は128,000であ
った。5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エンに由来する繰り返し単位は47.2モル%、
ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン500ミリモル
を用いて共重合を行った。共重合体への転化率は100
%であった。ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸アミドに由来する繰り返し単位は2.
3モル%であった。実施例1と同様にしてフィルムを作
製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸の代
わりに、メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エニルメタノールエステルを用いたこと以外は、実
施例1と同様にした。重合体への転化率は89%であっ
た。メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−
エニルメタノールエステルに由来する繰り返し単位の含
量は、赤外吸収スペクトルの1720cm-1の特性吸収
を用いて、検量線法により定量した。重合体のポリスチ
レン換算の数平均分子量は66,000、重量平均分子
量は119,000であった。5−n−ヘキシルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰り返し
単位は24.3モル%、メタクリル酸ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステルに由来
する繰り返し単位は1.5モル%であった。実施例1と
同様にしてフィルムを作製し、評価を行った。評価結果
を表1に示す。フィルムに電子線を照射したところ、照
射前に溶解したシクロヘキサン、クロロベンゼン等の溶
剤に不溶なフィルムが得られた。
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン593.75ミリ
モルを用い、かつビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エンは用いなかったこと以外は、実施例1と同様にし
た。重合体への転化率は94%であった。重合体のポリ
スチレン換算の数平均分子量は82,000、重量平均
分子量は186,000であった。2−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸に由
来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、
4.9モル%であった。実施例1と同様にしてフィルム
を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
2.1]ヘプト−2−エンの代わりに、5−n−デシル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを593.7
5ミリモル用いたこと以外は、実施例4と同様にした。
重合体への転化率は90%であった。2−メチルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸に
由来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)
中、4.8モル%であった。実施例1と同様にしてフィ
ルムを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
2.1]ヘプト−2−エンを625ミリモル用い、2−
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−
カルボン酸を用いなかったこと以外は、実施例4と同様
にした。重合体への転化率は97%であった。実施例1
と同様にしてフィルムを作製し、評価を行った。評価結
果を表1に示す。
2.1]ヘプト−2−エンの代わりに、5−n−デシル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを59.0ミ
リモル用い、かつビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エンを535.0ミリモル用いたこと以外は、実施例1
と同様にした。重合体への転化率は94%で、重合体の
ポリスチレン換算の数平均分子量は89,000、重量
平均分子量は190,000であった。5−n−デシル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰
り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、10.5
モル%、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−2−カルボン酸に由来する繰り返し単位は、全
繰り返し単位(重合体)中、4.8モル%であった。実
施例1と同様にしてフィルムを作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
光学特性、耐熱性、接着性、密着性及び耐吸湿性のいず
れにも優れた環状オレフィン系共重合体及びこの共重合
体から形成した光学特性、耐熱性、接着性及び密着性が
向上した光学材料を提供することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】下記式(1)に示す繰り返し単位(a)及
び下記式(2)に示す繰り返し単位(b)を含む環状オ
レフィン系共重合体であって、ポリスチレン換算の数平
均分子量が10,000〜1,000,000であるこ
とを特徴とする環状オレフィン系共重合体。 【化1】 [式(1)中、R1,R2はそれぞれ独立して、水素原
子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル置換ア
ルキル基、シクロアルキル基を示し、R1及びR2の少な
くともいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基を示
し、nは、0又は1の整数である。] 【化2】 [式(2)中、A1、A2、A3、A4は、それぞれ独立し
て水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル
基、アリル基、シクロアルキル基、又は、−(CH 2)n
Xで表される極性基を示す(ここで、Xは、−OH,−
NH2,C(O)OR3,−OC(O)R4,−CO−N
H−R3,−NH−C(O))R4,−SH,又は−C
(S)−OHであり、R3は、水素原子、炭素数1〜1
0のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアル
キル基を示し、R4は、炭素数1〜10のアルキル基、
アルケニル基、アリル基を示し、nは、0又は1の整数
である)。また、A1、A2、A3、A4のうちの少なくと
も1つは、前記極性基であり、また、A1、A2、A3、
A4は、A1とA2、A1とA3、A1とA4、A2とA3、A2
とA4又はA3とA4で形成される酸無水物、又はイミド
基であってもよい。] - 【請求項2】前記式(1)に示す繰り返し単位(a)中
の置換基R1及びR2の少なくともいずれか一方が、炭素
数4〜6のアルキル基である請求項1に記載の環状オレ
フィン系共重合体。 - 【請求項3】前記式(1)に示す繰り返し単位(a)を
全繰り返し単位中5〜99.99モル%及び前記式
(2)に示す繰り返し単位(b)を全繰り返し単位中
0.01〜20モル%含む請求項1又は2に記載の環状
オレフィン系共重合体。 - 【請求項4】前記式(1)に示す繰り返し単位(a)に
加えて、又は前記式(1)に示す繰り返し単位(a)及
び前記式(2)に示す繰り返し単位(b)に加えて、下
記式(3)に示す繰り返し単位(c)を全繰り返し単位
中95モル%以下含む請求項1〜3のいずれかに記載の
環状オレフィン系共重合体。 【化3】 [式(3)中、B1、B2は、それぞれ独立して水素原
子、炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0又は1の
整数を示す。] - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレ
フィン系共重合体から形成してなる光学材料。 - 【請求項6】前記環状オレフィン系共重合体が架橋され
てなるものである請求項5に記載の光学材料。 - 【請求項7】前記光学材料が、薄膜、フィルム又はシー
ト形状である請求項5又は6に記載の光学材料。 - 【請求項8】請求項5〜7のいずれかに記載の光学材料
と他の光学透明な熱可塑性樹脂からなる光学材料とを複
合化してなる光学材料複合体。
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