JP2002019414A - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

乗用車用空気入りラジアルタイヤ

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JP2002019414A
JP2002019414A JP2000210037A JP2000210037A JP2002019414A JP 2002019414 A JP2002019414 A JP 2002019414A JP 2000210037 A JP2000210037 A JP 2000210037A JP 2000210037 A JP2000210037 A JP 2000210037A JP 2002019414 A JP2002019414 A JP 2002019414A
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cord
tire
belt layer
radial tire
pneumatic radial
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JP2000210037A
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Sumuto Nakagawa
澄人 中川
Masahiro Sano
正浩 佐野
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチールコードを周方向ベルト層に適用した
乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、優れた操縦
安定性および振動乗り心地性の両立を図りつつ、耐久性
を向上するための方途について提案する。 【解決手段】 一対のビード部間でトロイド状に延在す
るカーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤ赤道面
に対して傾斜して延びる多数本のスチールコードをゴム
被覆して成る1層の傾斜ベルト層およびタイヤ赤道面に
実質上平行に配置したコードをゴム被覆して成る少なく
とも1層の周方向ベルト層を順に配置した乗用車用空気
入りラジアルタイヤであって、上記周方向ベルト層を構
成するコードに、引張強さが2700N/mm2 以上のス
チールフィラメントの複数本を撚り合わせて成り、かつ
切断時全伸びが3.0〜7.0%であるものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、操縦安定性およ
び振動乗り心地性に優れ、かつ耐久性の向上並びに軽量
化を実現した乗用車用空気入りラジアルタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の省エネルギーや省資源の要請に対
して、自動車の燃費向上に寄与するタイヤの軽量化への
要求が年々高まる傾向にあり、特に汎用の乗用車用空気
入りラジアルタイヤにおいては、この傾向が顕著であ
る。
【0003】在来の空気入りラジアルタイヤは、カーカ
スのクラウン部外周に、タイヤの赤道面に対して傾斜し
て延びる多数本のコードを配列して成る、少なくとも2
層の傾斜ベルト層を、層間でコードが互いに交差するよ
うに積層した、いわゆる交差ベルトを有しているのが一
般的であったが、タイヤの軽量化の観点から、傾斜ベル
ト層を1層として、この傾斜ベルト層上に、軽量である
有機繊維コードをタイヤ赤道面に対し実質上平行に配置
した周方向ベルト層を設けた、タイヤが開発された。こ
の種のタイヤは、例えば、特開昭62−152904号公報及び
特開平4−163212号公報に開示されている。
【0004】これらの公報には、タイヤの周方向ベルト
層のコードに、いずれも、周方向の引張剛性の高い芳香
族ポリアミド繊維コードを使用し、この周方向ベルト層
によって、高速走行時の遠心力によるトレッド部の迫り
出しを抑制し、高速耐久性を向上させることができる旨
の記載がある。
【0005】一方、従来、カーカスのプライコードとし
て広く用いられているポリエチレンテレフタレート、ナ
イロン、ポリエチレンナフタレート及びビニロン等の化
学繊維コードは、芳香族ポリアミド繊維コードに比し、
周方向の引張剛性が著しく低いため、これらの有機繊維
コードを上記周方向ベルト層のコードとして適用するこ
とはほとんどなく、また、周方向ベルト層にスチールコ
ードを用いることは、軽量化等の観点から好ましくない
としてほとんど使用されていない。
【0006】しかし、周方向ベルト層に、芳香族ポリア
ミド繊維コードを使用した場合、圧縮疲労性が悪く、厳
しいコーナリング走行中に発生するベルトバックリング
変形に伴う圧縮破断がベルトに生じやすいことが問題に
なっていた。
【0007】この問題に対して、特開平8−318706号公
報では、周方向ベルト層のコードとして、従来は不向き
であるとして使用されていなかった上記化学繊維コード
を、撚り構造、総デニール数、撚り係数を適正化して使
用すること、またスチールコードについても高弾性のス
チールコードを適用することによって、耐久性を向上し
た軽量タイヤを提供することが提案されている。とりわ
け、スチールコードを適用することによって、タイヤの
周方向剛性は高まるために、十分なコーナリングパワー
が得られ、操縦安定性の改善に有利に働くことも示唆さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、スチールコ
ードをタイヤ赤道面と実質上平行に配置した場合、タイ
ヤの負荷転動中のトレッド部に生じる曲げ変形に代表さ
れる、繰返し圧縮歪入力にベルトコードが耐え切れずに
コード切断に至る場合がある。すなわち、従来のスチー
ルコードは圧縮モジュラスが比較的高く、コードに加わ
る圧縮歪みが小さくてもコードの一部に座屈が生じ、さ
らに圧縮入力が加わると、その座屈部分において曲げ変
形が進行して疲労破壊が生じる可能性があった。
【0009】また、周方向ベルト層にスチールコードを
適用すると、剛性が高まる結果、トレッド部への入力振
動を吸収しにくくなり、操縦安定性は改善されるが、振
動乗り心地性を損なう傾向があった。
【0010】そこで、この発明は、スチールコードを周
方向ベルト層に適用した乗用車用空気入りラジアルタイ
ヤにおいて、優れた操縦安定性および振動乗り心地性の
両立を図りつつ、耐久性を向上するための方途について
提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】乗用車用空気入りラジア
ルタイヤの周方向ベルト層にスチールコードを適用する
場合、操縦安定性および振動乗り心地性を確保しつつ、
耐久性、すなわちコードの耐圧縮疲労性を改良する必要
がある。そのためには、従来のような素線の型付けや撚
り構造の改良に加えて、スチールコードの圧縮疲労メカ
ニズムに則した耐疲労性の根本的改良が必須であること
を見出し、この発明を導くに至った。
【0012】すなわち、この発明の要旨構成は、次のと
おりである。 (1) 一対のビード部間でトロイド状に延在するカーカス
のクラウン部の径方向外側に、タイヤ赤道面に対して傾
斜して延びる多数本のスチールコードをゴム被覆して成
る1層の傾斜ベルト層およびタイヤ赤道面に実質上平行
に配置したコードをゴム被覆して成る少なくとも1層の
周方向ベルト層を順に配置した乗用車用空気入りラジア
ルタイヤであって、上記周方向ベルト層を構成するコー
ドは、引張強さが2700N/mm2 以上のスチールフィ
ラメントの複数本を撚り合わせて成り、かつ切断時全伸
びが3.0〜7.0%であることを特徴とする乗用車用
空気入りラジアルタイヤ。
【0013】(2) 上記(1) において、コードは2〜7本
のスチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造であ
ることを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0014】(3) 上記(1) または(2) において、コード
は、その外径を撚りピッチで除した値が0.07以上
0.12以下であることを特徴とする乗用車用空気入り
ラジアルタイヤ。
【0015】(4) 上記(1) ないし(3) のいずれかにおい
て、スチールフィラメントの径が0.15〜0.30mm
であることを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイ
ヤ。
【0016】(5) 上記(1) ないし(4) のいずれかにおい
て、コードを構成するフィラメント本数をNおよびフィ
ラメント径をd(mm)としたとき、Nπd2 /4で表さ
れるフィラメント総断面積が0.36以下であることを
特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0017】(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかにおい
て、周方向ベルト層のコード打ち込み数が30〜70本
/50mmであることを特徴とする乗用車用空気入りラジ
アルタイヤ。
【0018】(7) 上記(1) ないし(6) のいずれかにおい
て、カーカスは、タイヤの赤道面に対して70〜90°
の角度で傾斜して配した化学繊維コードによる、少なく
とも1枚のプライから成ることを特徴とする乗用車用空
気入りラジアルタイヤ。
【0019】(8) 上記(1) ないし(7) のいずれかにおい
て、周方向ベルト層のコードを被覆するゴムの組成が、
ゴム100重量部に対して硫黄:3〜7重量部およびコ
バルト:0.2〜1.5重量部を含むことを特徴とする
乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0020】(9) 上記(1) ないし(8) のいずれかにおい
て、周方向ベルト層のコードを被覆するゴムに含まれる
硫黄およびコバルトのゴム100重量部に対する重量部
数のそれぞれ50%以上の、ゴム100重量部に対する
重量部数で、硫黄およびコバルトを含む補助ゴム層を、
周方向ベルト層の径方向外側および/または径方向内側
の隣接域に配置したことを特徴とする乗用車用空気入り
ラジアルタイヤ。
【0021】
【発明の実施の形態】図1に、この発明に従う、乗用車
用空気入りラジアルタイヤを図解する。このタイヤは、
1対のビードコア1間でトロイド状に延びるカーカス
2、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に
配置したベルト3およびこのベルト3のタイヤ径方向外
側に配置したトレッド4から成る。
【0022】ベルト3は、タイヤの赤道面Oに対して傾
斜して延びる複数本のスチールコードを配列した1層の
傾斜ベルト層5と、タイヤの赤道面Oに沿って配置した
コードをゴム被覆した、少なくとも1層の周方向ベルト
層6とを、カーカス2のクラウン部の径方向外側に順に
配置して成る。そして、周方向ベルト層6に、引張強さ
が2700N/mm2 以上のスチールフィラメントの複数
本を撚り合わせた、切断時全伸びが3.0〜7.0%で
あるコードを適用することを、特徴とする。
【0023】ここで、周方向ベルト層6にスチールコー
ドを適用した場合に問題となる、このベルト域に加わっ
た圧縮変形によるコード折れ、さらにコード破断を回避
するには、まず当該スチールコードの切断時全伸びを
3.0〜7.0%の範囲に規制することが、有効であ
る。
【0024】さて、在来のスチールコードは、圧縮モジ
ュラスが比較的に高く、例えば1%未満の小さな圧縮歪
みでもコードの一部に座屈変形が生じ、さらに圧縮入力
が加わると、その座屈部分のみで曲げ変形が進むため、
座屈部分で疲労破壊が発生する。かように、在来のスチ
ールコードでは、圧縮変形時に座屈を生じて、そこで局
所的に歪みが集中するために、耐疲労性の低下を来して
いたのである。従って、耐疲労性を改善するには、圧縮
変形時の座屈の発生を回避することが極めて有効であ
り、そのためにはスチールコードの切断時全伸びを3.
0%以上にする。すなわち、スチールコードの切断時全
伸びを3.0%以上にすると、圧縮変形がカーカスのコ
ードに加わった際、この圧縮力を吸収して座屈の発生を
未然に回避することが可能となり、コード折れひいては
コード破断を回避し、耐疲労性の向上が達成されるので
ある。
【0025】また、この発明に従うスチールコードは、
切断時全伸びを3.0%以上にすることによって、モジ
ュラス、特に初期モジュラスが在来のスチールコードに
比較して低くなり、低い応力に対しての伸びが確保され
るから、タイヤの周方向ベルト層に適度な柔軟性を付与
することが可能になる。従って、この発明に従うスチー
ルコードをベルトに適用することによって、振動乗り心
地性も改善されるのである。
【0026】一方、スチールコードの切断時全伸びが
7.0%をこえると、コード製造時におけるコード長手
方向の寸法変化が大きくなりすぎ、タイヤを安定して製
造しにくくなる。
【0027】また、切断時全伸びが7.0%をこえるコ
ードは、その製造においても問題が生じる。すなわち、
この種のコードの製造は、複数本のフィラメントを撚り
合わせるに先立ち、複数本のピンが千鳥足状に並んだ、
くせ付け装置に各フィラメントを通すことによって型付
けしてから、複数本のフィラメントを撚り合わせ、その
後、コードの品質、特に真直性を保証するために、矯正
装置(ストレートナー)を通過させて製品とするのが、
通例である。かような工程にて切断時全伸びが7.0%
をこえるコードを製造するには、くせ付け装置のピン相
互の間隔を大きくする必要があり、その後の撚り合わせ
工程を経てテンションが解放された場合に、撚り戻り現
象が生じる結果、得られるコードの品質は安定性に欠け
たものとなる上、さらに矯正装置を通過させた(つまり
型付けを少し戻した)場合には、所望の伸びを得ること
が困難になる。
【0028】さらに、スチールコードを構成するフィラ
メントの引張強さを2700N/mm 2 以上とすること
も、肝要である。なぜなら、タイヤに必要な破壊強力を
付与するに当り、フィラメントの引張強さを2700N
/mm2 以上にすると、フィラメントの径を必要以上に太
くすることなく、必要不可欠なタイヤ総強力が得られる
からである。
【0029】ここで、スチールコードの切断時全伸びを
3.0%以上と高くするには、コードの外径、つまりコ
ードをゴム物品、例えば、この発明におけるタイヤに埋
設した状態におけるコードの外径を撚りピッチで除した
値を0.07以上0.12以下にすることが、有利であ
る。すなわち、コード外径を撚りピッチで除した値を大
きくすることによって、荷重方向とフィラメントが成す
角度が大きくなる結果、コードの切断時全伸びは上昇す
る。特に、このコード外径を撚りピッチで除した値が
0.07以上になると、コードの座屈変形の発生が無く
なり耐疲労性が向上する。一方、コード外径を撚りピッ
チで除した値が過度に大きくなると、コード品質、生産
性の悪化を招く上に、上記の圧縮疲労性を向上する効果
が小さくなるため、コード外径を撚りピッチで除した値
は0.12以下とすることが望ましい。
【0030】なお、コードをゴム物品に適用すると、特
に型付け量の大きいコードにおいてテンション下での適
用の場合、ゴム中のコードの外径が2割前後縮小する可
能性がある。その場合、製造直後のコードの外径を基準
にすると、上記コードの外径を撚りピッチで除した値
は、0.15以下であればよいことになる。
【0031】ちなみに、コードの外径は、コード輪郭形
状が円の場合はその径を測定すればよいが、同輪郭が楕
円形の場合は、その長径および短径の中心値をタイヤ周
上の4箇所の断面にて、各断面3箇所(センター部、セ
リアル側端部、反セリアル側端部)の計12箇所におい
て算出し、その平均値を外径とする。
【0032】次に、コードの構造は、この発明で期待す
る、コード全体にかかる圧縮歪をコード各部の均一変形
によって吸収する作用を阻害しないこと、さらにコード
の製造コストの点から、1×N(N:2〜7)の単撚り
構造とすることが好ましい。すなわち、単撚り構造は、
一度の撚り工程によって製造を行うことができるため、
製造に要するコストの大幅な低減が可能である。さら
に、単撚り構造は、スチールコードを構成する全てのフ
ィラメントが同一の螺旋形状になるために、コードに圧
縮変形が加わった際、全てのフィラメントが均等に変形
する結果、応力の集中を回避することができる。
【0033】とりわけ、コードを構成するフィラメント
本数をNおよびフィラメント径をd(mm)としたとき、
該フィラメント本数Nおよびフィラメント断面積πd2
/4の積Nπd2 /4で表されるフィラメント総断面積
を0.36以下にすることが、好ましい。このフィラメ
ント総断面積Nπd2 /4は、単撚り構造のスチールコ
ードにおける曲げ剛性の大きさを表す指標になるもので
ある。従って、Nπd 2 /4が0.36をこえると、コ
ード曲げ剛性が高くなり、その結果、トレッド部の面外
曲げ剛性が高くなりすぎるため、振動乗り心地性が低下
するからである。
【0034】また、フィラメントの径は、0.15〜
0.30mm、好ましくは0.18〜0.25mmとするこ
とが有利である。すなわち、フィラメントの径が0.1
5mm未満では製造時の伸線加工が困難になり、一方フィ
ラメントの径が0.30mmをこえると、フィラメントの
表面歪みが大きくなり過ぎて、耐久性が低下するため好
ましくない。
【0035】ちなみに、スチールフィラメントの素材に
は、この種スチールフィラメントに適用される一般的な
鋼を用いることができ、具体的には引張り強さが300
0N/mm2 程度の普通鋼から引張り強さが4200N/
mm2 程度の超高力鋼までの広範囲の鋼を使用し得る。
【0036】上記したスチールコードは、ベルトに打ち
込み数:30〜70本/50mmで適用することが好まし
い。すなわち、30本/50mm未満では、剛性が低くか
つベルト総強力も低くなりすぎて、タイヤの運動性能お
よび安全率の低下をまねき、一方70本/50mmをこえ
ると、逆に剛性が高くなりすぎるため、振動乗り心地性
が低下する。
【0037】ここで、周方向ベルト層は、タイヤの赤道
面と平行に配置した多数本のコードをゴム被覆したも
の、或いは1本または複数本のコードをゴム被覆したテ
ープをタイヤの赤道面に沿って螺旋状に巻き回してなる
もの、のいずれでもよいが、この発明は後者に適用すに
のがより有効である。後者の場合は、タイヤ幅方向の一
断面において並ぶコードの本数を、上記打ち込み数とす
る。
【0038】また、ベルトのスチールコードを被覆する
ゴムには、その組成がゴム100重量部に対して硫黄:
3〜7重量部およびコバルト:0.2〜1.5重量部を
含むものを用いるとよい。
【0039】さらに、周方向ベルト層の径方向外側およ
び/または径方向内側の隣接域に、周方向ベルト層のス
チールコードを被覆するゴムに含まれる硫黄およびコバ
ルトのゴム100重量部に対する重量部数のそれぞれ5
0%以上好ましくは80%以上の、ゴム100重量部に
対する重量部数で、硫黄およびコバルトを含む補助ゴム
層を、ベルトの径方向外側および/または径方向内側の
隣接域に配置することが有利である。すなわち、周方向
ベルト層におけるコードとゴムとの接着性の観点から、
周方向ベルト層の被覆ゴム中の硫黄およびコバルトが周
囲に移行するのを防ぐために、周方向ベルト層の被覆ゴ
ム径方向外側および/または径方向内側の隣接域に補助
ゴム層を配置することが好ましい。さらに、コードにゴ
ム被覆したテープをタイヤの赤道面に沿って巻き回して
周方向ベルト層を形成する際に、例えばコード被覆ゴム
の一部がはげ落ちた場合に、その外側に補助ゴム層があ
れば、大幅なコードの接着低下を防ぐことができる意味
でも重要である。
【0040】一方、この発明の乗用車用タイヤのカーカ
スとしては、タイヤの赤道面に対して70〜90°の角
度で傾斜して配した、ナイロン、ポリエステル、レーヨ
ンまたは芳香族ポリアミドなどの化学繊維コードによ
る、少なくとも1枚のプライから構成する。
【0041】なお、この発明で用いるスチールコードを
適用することが可能である。すなわち、この発明に従う
スチールコードは、圧縮入力が負荷され、かつスチール
コードによる高剛性が必要な部分への適用が極めて有効
である。特に、コードの角度変化によって入力を緩和す
る、例えばコードをタイヤの赤道面に対して傾けて配置
して成る傾斜ベルト層への適用よりも、上記した周方向
ベルト層に代表される、コードをタイヤの赤道面に沿っ
て配置する場合などが有利に適合する。
【0042】以上のタイヤを製造するに当り、例えばベ
ルトやトップトレッドの貼り付け成形を行う、BTドラ
ムとして、その周面が円弧状断面の曲面を有するBTド
ラムを用いて成形を行い、その後の製造工程における、
タイヤセンター部分とショルダー部分との拡張率をほぼ
同じにした成形を実現することが好ましい。また、この
場合、拡張率は小さいほど有利である。
【0043】なぜなら、タイヤセンター部分とショルダ
ー部分におけるタイヤ拡張率をできる限り同じにし、か
つ低拡張率とすることによって、その上へ巻き付けられ
たコードのタイヤ製品中での拡張度合いも同率かつ低率
になり、タイヤのユニフォーミティの向上につながるか
らである。
【0044】
【実施例】表1に示す仕様の下に作製した、種々のコー
ドを、図1に示した構造の乗用車用ラジアルタイヤの周
方向ベルト層6に適用し、サイズ205/55 R16
のタイヤを試作した。なお、カーカスはポリエチレンテ
レフタレートコード(1500d/2)をタイヤ赤道面
に対して90°の角度で配置した1プライに成り、傾斜
ベルト層は1×5×0.225(mm)のスチールコード
をタイヤの赤道面に対して28°の角度で傾けて配置し
て成る。
【0045】かくして得られたタイヤを6.5J×16
のリムに組み込み、230kPaの内圧に調整したのち
実車に装着し、操縦安定性および振動乗り心地性につい
て、ドライバーのフィーリングによる評価を行った。こ
の評価は、比較例1のタイヤの場合の結果を100とし
たときの指数にて表示した。この指数が大きいほど良好
であることを示す。
【0046】また、供試タイヤを同様の条件で実車に装
着し、3万kmを走行したのち、タイヤから周方向ベル
ト層を取り出し、そこから採取したゴム付きコードの残
存疲労性を調査した。すなわち、図2に示すように、ゴ
ム付きコード10を、直径40mmのプーリー11の3個
に掛け回し、小プーリー12を介して新品コード破断荷
重の1割に相当する錘13による引張り荷重をコードに
付与した状態において、該コード10を20cmの長さで
進退させることを繰り返してコードに繰り返し曲げ歪み
を与えて、コードが疲労破壊するまでの繰り返し数を測
定した。これを10本のゴム付きコード10に行って、
その平均繰り返し数を求めた。その調査結果を、比較例
2のタイヤの場合の平均繰り返し数を100としたとき
の指数で示した。この指数が大きいほど疲労に強いこと
を示している。以上の各評価結果を、表1に併記する。
【0047】
【表1】
【0048】表1から、この発明に従う乗用車用タイヤ
は、耐久性の向上に併せて、操縦安定性および振動乗り
心地性の改善が達成されることがわかる。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、乗用車用空気入りラ
ジアルタイヤの耐久性、つまりベルトの圧縮変形に対す
る耐久性の改善を、操縦安定性および振動乗り心地性を
犠牲にすることなしに有利に達成することができる。と
りわけ、ベルトコードとしてスチールコードをタイヤ赤
道面に沿って配置すると、タイヤの駆動および制動時や
突起乗り越し時に、ベルトコードに軸圧縮そして曲げ入
力があった場合に、ベルトコードの角度変化による入力
緩和が不可能であるから、ベルトコードは過酷な環境に
置かれることになるが、この発明によるベルトコードは
それ自体で入力緩和が達成されるため、耐久性の向上が
確実に達成されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う乗用車用タイヤの構造を示し
た図である。
【図2】 コードの残存疲労性の測定要領を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ビードコア 2 カーカス 3 ベルト 4 トレッド 5 傾斜ベルト層 6 周方向ベルト層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部間でトロイド状に延在す
    るカーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤ赤道面
    に対して傾斜して延びる多数本のスチールコードをゴム
    被覆して成る1層の傾斜ベルト層およびタイヤ赤道面に
    実質上平行に配置したコードをゴム被覆して成る少なく
    とも1層の周方向ベルト層を順に配置した乗用車用空気
    入りラジアルタイヤであって、上記周方向ベルト層を構
    成するコードは、引張強さが2700N/mm2 以上のス
    チールフィラメントの複数本を撚り合わせて成り、かつ
    切断時全伸びが3.0〜7.0%であることを特徴とす
    る乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、コードは2〜7本の
    スチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造である
    ことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、コードは、
    その外径を撚りピッチで除した値が0.07以上0.1
    2以下であることを特徴とする乗用車用空気入りラジア
    ルタイヤ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    スチールフィラメントの径が0.15〜0.30mmであ
    ることを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    コードを構成するフィラメント本数をNおよびフィラメ
    ント径をd(mm)としたとき、Nπd2 /4で表される
    フィラメント総断面積が0.36以下であることを特徴
    とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    周方向ベルト層のコード打ち込み数が30〜70本/5
    0mmであることを特徴とする乗用車用空気入りラジアル
    タイヤ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    カーカスは、タイヤの赤道面に対して70〜90°の角
    度で傾斜して配した化学繊維コードによる、少なくとも
    1枚のプライから成ることを特徴とする乗用車用空気入
    りラジアルタイヤ。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    周方向ベルト層のコードを被覆するゴムの組成が、ゴム
    100重量部に対して硫黄:3〜7重量部およびコバル
    ト:0.2〜1.5重量部を含むことを特徴とする乗用
    車用空気入りラジアルタイヤ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    周方向ベルト層のコードを被覆するゴムに含まれる硫黄
    およびコバルトのゴム100重量部に対する重量部数の
    それぞれ50%以上の、ゴム100重量部に対する重量
    部数で、硫黄およびコバルトを含む補助ゴム層を、周方
    向ベルト層の径方向外側および/または径方向内側の隣
    接域に配置したことを特徴とする乗用車用空気入りラジ
    アルタイヤ。
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