JP2001032184A - 耐久性に優れたゴム物品補強用スチールコード、ゴムおよびスチールコード複合体並びに空気入りタイヤ - Google Patents

耐久性に優れたゴム物品補強用スチールコード、ゴムおよびスチールコード複合体並びに空気入りタイヤ

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JP2001032184A
JP2001032184A JP2000149694A JP2000149694A JP2001032184A JP 2001032184 A JP2001032184 A JP 2001032184A JP 2000149694 A JP2000149694 A JP 2000149694A JP 2000149694 A JP2000149694 A JP 2000149694A JP 2001032184 A JP2001032184 A JP 2001032184A
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filament
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Sumuto Nakagawa
澄人 中川
Takeshi Nagaya
豪 長屋
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低内圧で使用される空気入りタイヤの
カーカスプライコードにスチールコードを適用した際
の、乗り心地性および耐久性を改善し、スチールコード
の長所を享受することのできる空気入りタイヤを提供す
る。 【解決手段】 1対のビード部間でトロイド状に延びる
コードのプライからなるカーカスを骨格とする空気入り
ラジアルタイヤであって、該カーカスに、引張強さが2
700N/mm2 以上のスチールフィラメントの複数本に
よる、切断時全伸びが3.0〜7.0%であるコードを
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐久性に優れた
ゴム物品補強用スチールコードとこのコードの長所を享
受することのできるゴムおよびスチールコード複合体並
びに、このコードの適用によって特に耐久性および乗り
心地性を共に向上した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム物品の典型例である空気入りタイ
ヤ、中でも乗用車または軽トラック等に供する、比較的
低い内圧で使用するタイヤでは、その骨格をなすカーカ
スの補強材、つまりカーカスプライコードとして、ポリ
エステル、レーヨンおよびナイロン等からなる有機繊維
コードが、使用されている。特に、乗用車用タイヤに
は、適度な乗り心地が要求されるため、一定伸長時の引
張り応力(モジュラス)の低い有機繊維コードが採用さ
れている。
【0003】ここに、有機繊維は比較的モジュラスが低
く、しかもタイヤ加硫時の高温処理によってモジュラス
が低下することから、加硫工程の直後に、コードの縮み
を防止するために、タイヤ内に空気を供給して一定内圧
に保持しながら冷却を行う、いわゆるポストキュアイン
フレーション(PCI)を必要とする、不利がある。
【0004】また、有機繊維はゴムとの接着を得るため
に接着処理を施す必要があり、そのためタイヤの生産性
に劣ることも問題である。さらに、高温下では有機繊維
およびゴム間の接着耐久性および有機繊維自体の耐熱性
に問題があり、例えば高速走行に伴う発熱時に、コード
とゴムとの間の接着剥離や、コードの融解が懸念され
る。
【0005】この点、スチールコードは、熱的安定性が
高いために、モジュラスの変化や接着耐久性の面で有利
であるところから、乗用車用タイヤのカーカスプライコ
ードとしてスチールコードを適用する試みがなされてき
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スチー
ルコードはモジュラスが高過ぎるため、乗用車用タイヤ
のように、サイド部の撓みが大きいタイプのタイヤで
は、乗り心地の悪化を避けることができない、不利があ
る。
【0007】また、スチールコードは、有機繊維コード
に比べて圧縮モジュラスが極めて高く、比較的内圧の低
い乗用車用タイヤのカーカスプライコードとして適用し
た場合、例えば大操舵角での旋回時に発生する座屈変形
に代表される、繰返し圧縮歪入力に耐え切れずにコード
の切断に至ることが、スチールコードをカーカスプライ
に適用する際の大きな妨げとなっていた。
【0008】そこで、この発明は、比較的低内圧で使用
される空気入りタイヤのカーカスプライコードにスチー
ルコードを適用した際の、乗り心地性および耐久性を改
善するのに適したスチールコードおよび、このスチール
コードの長所を享受することのできるゴムおよびスチー
ルコード複合体並びに空気入りタイヤを提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】まず、乗用車用タイヤの
カーカスプライコードとしてスチールコードを使用する
場合、乗り心地性を確保するために低モジュラス化を発
現させつつ、コードの耐圧縮疲労性を改良する必要があ
る。その際、乗用車用タイヤのサイド部は比較的薄いた
めに、コード径をそれほど太くできないことを考慮に入
れなければならない。発明者らは、これらの条件を全て
満足する方途について鋭意究明したところ、従来のよう
な素線の細径化や撚り構造の改良に加えて、スチールコ
ードの圧縮疲労メカニズムに則した耐疲労性の根本的改
良が必須であることを見出し、この発明を導くに至っ
た。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は、次のと
おりである。 (1) 引張強さが2700N/mm2 以上のスチールフィラ
メントの複数本を撚り合わせてなり、切断時全伸びが
3.0〜7.0%であり、かつコード外径を撚りピッチ
で除した値が0.07以上0.15以下であることを特
徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用スチールコー
ド。
【0011】(2) 上記(1) において、コードは2〜7本
のスチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造であ
ることを特徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用スチ
ールコード。
【0012】(3) 上記(2) において、コードを構成する
フィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(mm)
としたとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント総断
面積が0.35以下であることを特徴とする耐久性に優
れたゴム物品補強用スチールコード。
【0013】(4) 上記(1) ないし(3) のいずれかにおい
て、スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mm
であることを特徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用
スチールコード。
【0014】(5) ゴム中にスチールコードを埋設して成
るゴムおよびスチールコード複合体であって、該スチー
ルコードが、引張強さが2700N/mm2 以上のスチー
ルフィラメントの複数本を撚り合わせてなり、切断時全
伸びが3.0〜7.0%であり、かつコード外径を撚り
ピッチで除した値が0.07以上0.12以下であるこ
とを特徴とするゴムおよびスチールコード複合体。この
複合体としては、工業用ベルトの他、タイヤ、特にその
カーカスプライはもとより、そのベルトまたは各種補強
層の素材であるゴム引き布などがある。
【0015】(6) 上記(5) において、コードは2〜7本
のスチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造であ
ることを特徴とするゴムおよびスチールコード複合体。
【0016】(7) 上記(6) において、コードを構成する
フィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(mm)
としたとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント総断
面積が0.35以下であることを特徴とするゴムおよび
スチールコード複合体。
【0017】(8) 上記(5) ないし(7) のいずれかにおい
て、スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mm
であることを特徴とするゴムおよびスチールコード複合
体。
【0018】(9) 1対のビード部間でトロイド状に延び
るコードのプライからなるカーカスを骨格とする空気入
りラジアルタイヤであって、該カーカスは、引張強さが
2700N/mm2 以上のスチールフィラメントの複数本
によるコードを用いて成り、該コードの切断時全伸びが
3.0〜7.0%であることを特徴とする空気入りタイ
ヤ。
【0019】(10)上記(9) において、コードの外径を撚
りピッチで除した値が0.07以上0.12以下である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【0020】(11)上記(9) または(10)において、コード
は2〜7本のスチールフィラメントを撚り合わせた単撚
り構造であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【0021】(12)上記(11)において、コードを構成する
フィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(mm)
としたとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント総断
面積が0.35以下であることを特徴とする空気入りタ
イヤ。
【0022】(13)上記(9) ないし(12)のいずれかにおい
て、スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mm
であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【0023】(14)上記(9) ないし(13)のいずれかにおい
て、カーカスのクラウン部の径方向外側に、少なくとも
2層のベルトをそなえ、該ベルトの径方向外側に、コー
ドをタイヤ周方向に螺旋状に巻き付けて形成した、少な
くとも1層のベルト補強層を有することを特徴とする空
気入りタイヤ。
【0024】
【発明の実施の形態】図1に、この発明に従うゴムおよ
びスチールコード複合体の具体例として、乗用車用ラジ
アルタイヤを図解する。このタイヤは、1対のビードコ
ア1間でトロイド状に延びるカーカス2、このカーカス
2のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置した、少なく
とも2層のベルト3およびこのベルト3のタイヤ径方向
外側に配置したトレッド4から成る。そして、カーカス
2に、引張強さが2700N/mm2 以上のスチールフィ
ラメントの複数本による、切断時全伸びが3.0〜7.
0%であるコードを適用することを、特徴とする。
【0025】ここで、カーカス2にスチールコードを適
用した場合に問題となる、カーカスに加わった圧縮変形
によるコード折れ並びにコード破断を回避するには、ま
ず当該スチールコードの切断時全伸びを3.0〜7.0
%の範囲に規制することが、有効である。
【0026】さて、在来のスチールコードは、圧縮モジ
ュラスが比較的に高く、例えば1%未満の小さな圧縮歪
みでもコードの一部に座屈変形が生じ、さらに圧縮入力
が加わると、その座屈部分のみで曲げ変形が進むため、
座屈部分で疲労破壊が発生する。かように、在来のスチ
ールコードでは、圧縮変形時に座屈を生じて、そこで局
所的に歪みが集中するために、耐疲労性の低下を来して
いたのである。従って、耐疲労性を改善するには、圧縮
変形時の座屈の発生を回避することが極めて有効であ
り、そのためにはスチールコードの切断時全伸びを3.
0%以上にする。すなわち、スチールコードの切断時全
伸びを3.0%以上にすると、圧縮変形がカーカスのコ
ードに加わった際、この圧縮力を吸収して座屈の発生を
未然に回避することが可能となり、コード折れひいては
コード破断を回避し、耐疲労性の向上が達成されるので
ある。
【0027】また、この発明に従うスチールコードは、
切断時全伸びを3.0%以上にすることによって、モジ
ュラス、特に初期モジュラスが在来のスチールコードに
比較して低くなり、低い応力に対しての伸びが確保され
るから、タイヤのカーカスに適度な柔軟性を付与するこ
とが可能になる。従って、この発明に従うスチールコー
ドをカーカスに適用することによって、スチールコード
をカーカスに使用した場合の乗り心地性は改善されるの
である。
【0028】一方、スチールコードの切断時全伸びが
7.0%をこえると、カーカスプライとなるトリート材
において、コード長手方向の寸法変化が大きくなり、し
かもトリート材に発生するカールや反りも大きくなるた
めに、タイヤ製造時の作業性が悪化する。従って、スチ
ールコードの切断時全伸びを7.0%以下にすることに
よって、タイヤ製造時の作業性を保証することができ
る。
【0029】また、切断時全伸びが7.0%をこえるコ
ードは、その製造においても問題が生じる。すなわち、
この種のコードの製造は、複数本のフィラメントを撚り
合わせるに先立ち、複数本のピンが千鳥足状に並んだ、
くせ付け装置に各フィラメントを通すことによって型付
けしてから、複数本のフィラメントを撚り合わせ、その
後、コードの品質、特に真直性を保証するために、矯正
装置(ストレートナー)を通過させて製品とするのが、
通例である。かような工程にて切断時全伸びが7.0%
をこえるコードを製造するには、くせ付け装置のピン相
互の間隔を大きくする必要があり、その後の撚り合わせ
工程を経てテンションが解放された場合に、撚り戻り現
象が生じる結果、得られるコードの品質は安定性に欠け
たものとなる上、さらに矯正装置を通過させた(つまり
型付けを少し戻した)場合には、所望の伸びを得ること
が困難になる。
【0030】さらに、スチールコードを構成するフィラ
メントの引張強さを2700N/mm 2 以上とすること
も、肝要である。なぜなら、有機繊維コードによるトリ
ート材と同等の強力および重量を達成するには、フィラ
メントの引張強さが少なくとも2700N/mm2 である
必要があるからである。
【0031】ここで、スチールコードの切断時全伸びを
3.0%以上と高くするには、コードの外径、つまりコ
ードをゴム物品、例えばタイヤに埋設した状態における
コードの外径を撚りピッチで除した値を0.07以上
0.12以下にすることが、有利である。すなわち、コ
ード外径を撚りピッチで除した値を大きくすることによ
って、荷重方向とフィラメントが成す角度が大きくなる
結果、コードの切断時全伸びは上昇する。特に、このコ
ード外径を撚りピッチで除した値が0.07以上になる
と、コードの座屈変形の発生が無くなり耐疲労性が向上
する。一方、コード外径を撚りピッチで除した値が過度
に大きくなると、コード品質、生産性の悪化を招く上
に、上記の圧縮疲労性を向上する効果が小さくなるた
め、コード外径を撚りピッチで除した値は0.12以下
とすることが望ましい。
【0032】なお、コードをゴム物品に適用すると、特
に型付け量の大きいコードにおいてテンション下での適
用の場合、ゴム中のコードの外径が2割前後縮小する可
能性がある。その場合、製造直後のコードの外径を基準
にすると、上記コードの外径を撚りピッチで除した値
は、0.15以下であればよいことになる。
【0033】次に、コードの構造は、この発明で期待す
る、コード全体にかかる圧縮歪をコード各部の均一変形
によって吸収する作用を阻害しないものであれば、特に
限定する必要はなく、1×N(N:2〜7)等の単撚り
構造、1+N(N:2〜8)等の層撚り構造から任意に
選択することができるが、中でも1×N等の単撚り構造
が望ましい。すなわち、単撚り構造は、スチールコード
を構成する全てのフィラメントが同一の螺旋形状である
ために、コードに圧縮変形が加わった際、全てのフィラ
メントが均等に変形する結果、応力の集中を回避するこ
とができる。
【0034】とりわけ、コードを構成するフィラメント
本数をNおよびフィラメント径をd(mm)としたとき、
該フィラメント本数Nおよびフィラメント断面積πd2
/4の積Nπd2 /4で表されるフィラメント総断面積
を0.35以下にすることが、好ましい。このフィラメ
ント総断面積Nπd2 /4は、単撚り構造のスチールコ
ードにおける曲げ剛性の大きさを表す指標になるもので
ある。従って、Nπd 2 /4が0.35をこえると、コ
ード曲げ剛性が高くなって、カーカスに適用するトリー
ト材とした場合に、タイヤ成型時のトリート材を折り返
す作業が難しくなる他、タイヤに適用した場合に、パン
ク引き摺り走行等の低内圧で使用される際、タイヤサイ
ド部の大きなたわみによりプライコードに塑性変形が残
留する可能性がある、からである。
【0035】また、フィラメントの径は、0.15〜
0.25mm、好ましくは0.15〜0.18mmとするこ
とが有利である。すなわち、フィラメントの径が0.1
5mm未満では製造時の伸線加工が困難になり、一方フィ
ラメントの径が0.25mmをこえると、コード径が大き
くなってコードの曲げ剛性が大きくなり過ぎて、トリー
トの成形性を阻害する等の不利をまねくため好ましくな
い。
【0036】ちなみに、スチールフィラメントの素材に
は、この種スチールフィラメントに適用される一般的な
鋼を用いることができ、具体的には引張り強さが300
0N/mm2 程度の普通鋼から引張り強さが4200N/
mm2 程度の超高力鋼までの広範囲の鋼を使用し得る。
【0037】なお、図1に示したタイヤ構造において、
そのベルト3の径方向外側に、図2に示すように、化学
繊維コードをタイヤ周方向に螺旋状に巻き回して形成し
た、少なくとも一層のベルト補強層5を、ベルト3の全
幅および/または両端部に配置することによって、タイ
ヤ周方向剛性が増加するため、旋回走行時のタイヤにお
けるカーカスプライコードへの圧縮入力が低減される。
特に、ベルト補強層5を複数層で設ける場合は、図2に
示すように、ベルトの両端部域での層数を、その他の領
域より増加させることが、好ましい。
【0038】また、上記したベルト3およびベルト補強
層5などについても、上記したカーカスプライの場合と
同様に、この発明に従うゴム物品補強用スチールコード
を適用することが可能である。すなわち、この発明のス
チールコードは、圧縮入力が負荷され、かつスチールコ
ードによる高剛性が必要な部分への適用が極めて有効で
ある。特に、コードの角度変化によって入力を緩和す
る、例えばコードをタイヤの赤道面に対して傾けて配置
して成る傾斜ベルトへの適用よりも、上記したカーカス
プライに代表される、両端が固定されて配置される構造
への適用、あるいはコードをタイヤの赤道面に沿って螺
旋状に巻き回して形成した無端のベルトへの適用などが
有利に適合する。
【0039】
【実施例】表1に示す仕様の下に作製した、種々のスチ
ールコードについて、引張り試験および圧縮試験を行う
とともに、耐疲労性を調査した。なお、スチールコード
の径およびピッチ長さは、製造後のスチールコードを該
コードに余分な応力が加わらないようにスプールから取
り出し、さらにコードに余分な力がかからないようにコ
ードからフィラメントを取り出し、螺旋形の癖付けが残
るようにフィラメントを張力がかからないように伸ば
し、拡大鏡下でフィラメントに残る螺旋形における振幅
をコード外径とし、かつ螺旋形におけるピッチを撚りピ
ッチの長さとして、それぞれ測定した。
【0040】ここで、引張り試験では、製造後のスチー
ルコードを該コードに余分な応力が加わらないようにス
プールから取り出し、次いでJIS G3510(19
92)に準拠して、つかみ間隔250mmにて、初荷重5
0gを負荷したのち引張り速度25mm/分にて試験片が
切断するまで引張り、切断するのに要する最大荷重およ
び伸びを測定し、切断荷重及び切断時全伸びを求めた。
【0041】また、圧縮試験では、円筒状のゴムサンプ
ルに供試コードを円筒の軸とコードの軸方向が重なるよ
うに埋め込み、このコード軸方向に圧縮を加えた際の圧
縮歪と圧縮荷重を測定した。
【0042】コードの圧縮疲労性は、円筒状のゴムサン
プルに供試コードを円筒の軸とコードの軸方向が重なる
ように埋め込み、このコード軸方向に一定の繰返し圧縮
歪入力を負荷し、コードが破断するまでの回数を調べ
た。
【0043】以上の調査結果について、表1および図3
〜6に示す。なお、表1において、コードAは比較例で
あるポリエチレンテレフタレート(PET)コードであ
り、コードBおよびCは通常のフィラメント型付け量が
小さく切断時全伸びの小さい在来のスチールコードであ
る。一方、コードD〜Fはこの発明に従うコードであ
り、コード外径を大きくまたは撚りピッチを短くしてコ
ード外径/撚りピッチ比を大きくして切断時全伸びを高
めたコードである。
【0044】
【表1】
【0045】まず、図3に、表1に記載した各コードの
引張り荷重−伸び線図を示す。同図から、コードAのP
ETコードは伸びが極めて大きく、モジュラスが低いこ
とがわかる。また、コードBおよびCは、コード外径が
小さくてフィラメント同士がほとんど接触しているた
め、初期のモジュラスが非常に高く、コード破断までの
伸びが小さい。一方、この発明に従うコードD,Eおよ
びFは、フィラメント間の距離が比較的大きくなってい
るために、撚りが締まってフィラメント同士が接触する
までの初期モジュラスが低く、フィラメント同士が接触
した後はコードB,Cのスチールコードと同程度にモジ
ュラスが高くなり、切断時全伸びが在来のスチールコー
ドに比べて大きくなる。
【0046】同様に、図4に、各コードの圧縮荷重−伸
び線図を示す。同図から、コードAのPETコードは圧
縮モジュラスが低く、コードの座屈は発生しないことが
わかる。また、コードBおよびCは、コード外径/撚り
ピッチ比が小さく圧縮初期の圧縮モジュラスが比較的高
く、約1%未満の小さな圧縮歪でコードに座屈変形が発
生する。このコードが座屈変形した時点の歪を座屈点と
呼び、座屈点は圧縮荷重−伸び線図において変曲点とし
て現れ、座屈変形後は圧縮モジュラスが低下することが
わかる。そして、座屈点以降も圧縮を続けると、座屈変
形箇所だけに大きな変形が生じるのである。一方、コー
ドD〜F、特にコードFのような、コード外径/撚りピ
ッチ比の大きいコードは、初期の圧縮モジュラスが低
く、在来コードBおよびCの座屈点を過ぎても座屈変形
が発生しないことがわかる。
【0047】また、図5に、スチールコードのコード外
径/撚りピッチ比と耐座屈性との関係を示す。同図か
ら、コード外径/撚りピッチ比の小さいコードBおよび
Cは、比較的低圧縮歪で座屈が発生しているのに対し、
コード外径/撚りピッチ比の大きい発明コードD〜Fは
座屈変形の発生が見られず、耐座屈性が大幅に改良され
ていることがわかる。なお、図5は、圧縮歪最大5%ま
での測定結果であり、図の5%をこえる位置に示したコ
ードは、5%の圧縮歪を付与されても座屈が発生しない
ことを示している。
【0048】さらに、図6に、各スチールコードの圧縮
疲労性を示すように、コード外径/撚りピッチ比の小さ
い在来コードBおよびCは、低圧縮歪で座屈変形を生じ
るために圧縮疲労寿命が短いが、コード外径/撚りピッ
チ比の大きい発明コードD〜Fは、座屈変形が生じない
ために圧縮疲労寿命が比較的長くなった。
【0049】次に、表1中のコードB,CおよびFを、
図2に示した構造の乗用車用ラジアルタイヤのカーカス
2に適用し、サイズ195/65 R14のタイヤを試
作した。なお、スチールコードのカーカスにおける打ち
込み数は、コードBで50本/50mm、コードCで40
本/50mmおよびコードFで27・6本/50mmとし
た。
【0050】かくして得られたタイヤを0.2N/mm2
の内圧に調整してから6JJ×14のリムに組み込み、次
いで実車に装着して8の字走行路を25km/hの速度
で25km走行したのち、タイヤからカーカスプライを
取り出し、破断したコードの本数を調査し、カーカスプ
ライコード全体に占める破断コードの比率を求めた。そ
の調査結果を、図7に示すように、在来コードBおよび
Cを適用したタイヤは、コード破断率が非常に高く、ほ
ぼ100%であるのに対し、コードFを適用した発明タ
イヤはコード破断率が大幅に減少することが、明らかで
ある。
【0051】
【発明の効果】この発明によれば、スチールコードの高
圧縮モジュラスを低モジュラス化することにより耐圧縮
疲労性に優れたコードを提供することができ、従って、
このコードをタイヤのカーカスプライ等に適用すること
によって、乗用車用タイヤを典型例とする、比較的低内
圧で使用するタイヤにおける耐久性、とくにカーカスプ
ライの圧縮変形に対する耐久性の改善を、乗り心地を犠
牲にすることなしに有利に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う乗用車用タイヤの構造を示し
た図である。
【図2】 この発明に従う乗用車用タイヤの別の構造を
示した図である。
【図3】 コードの引張り荷重−伸び線図である。
【図4】 コードの圧縮荷重−歪み線図である。
【図5】 コード外径/撚りピッチと圧縮歪みとの関係
を示す線図である。
【図6】 コードの耐疲労性を示す線図である。
【図7】 タイヤのカーカスプライコードの耐久性を示
す線図である。
【符号の説明】
1 ビードコア 2 カーカス 3 ベルト 4 トレッド 5 ベルト補強層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張強さが2700N/mm2 以上のスチ
    ールフィラメントの複数本を撚り合わせてなり、切断時
    全伸びが3.0〜7.0%であり、かつコード外径を撚
    りピッチで除した値が0.07以上0.15以下である
    ことを特徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用スチー
    ルコード。
  2. 【請求項2】 請求項1において、コードは2〜7本の
    スチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造である
    ことを特徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用スチー
    ルコード。
  3. 【請求項3】 請求項2において、コードを構成するフ
    ィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(mm)と
    したとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント総断面
    積が0.35以下であることを特徴とする耐久性に優れ
    たゴム物品補強用スチールコード。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mmであ
    ることを特徴とする耐久性に優れたゴム物品補強用スチ
    ールコード。
  5. 【請求項5】 ゴム中にスチールコードを埋設して成る
    ゴムおよびスチールコード複合体であって、該スチール
    コードが、引張強さが2700N/mm2 以上のスチール
    フィラメントの複数本を撚り合わせてなり、切断時全伸
    びが3.0〜7.0%であり、かつコード外径を撚りピ
    ッチで除した値が0.07以上0.12以下であること
    を特徴とするゴムおよびスチールコード複合体。
  6. 【請求項6】 請求項5において、コードは2〜7本の
    スチールフィラメントを撚り合わせた単撚り構造である
    ことを特徴とするゴムおよびスチールコード複合体。
  7. 【請求項7】 請求項6において、コードを構成するフ
    ィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(mm)と
    したとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント総断面
    積が0.35以下であることを特徴とするゴムおよびス
    チールコード複合体。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれかにおいて、
    スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mmであ
    ることを特徴とするゴムおよびスチールコード複合体。
  9. 【請求項9】 1対のビード部間でトロイド状に延びる
    コードのプライからなるカーカスを骨格とする空気入り
    ラジアルタイヤであって、該カーカスは、引張強さが2
    700N/mm2 以上のスチールフィラメントの複数本に
    よるコードを用いて成り、該コードの切断時全伸びが
    3.0〜7.0%であることを特徴とする空気入りタイ
    ヤ。
  10. 【請求項10】 請求項9において、コードの外径を撚
    りピッチで除した値が0.07以上0.12以下である
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  11. 【請求項11】 請求項9または10において、コード
    は2〜7本のスチールフィラメントを撚り合わせた単撚
    り構造であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  12. 【請求項12】 請求項11において、コードを構成す
    るフィラメント本数をNおよびフィラメント径をd(m
    m)としたとき、Nπd2 /4で表されるフィラメント
    総断面積が0.35以下であることを特徴とする空気入
    りタイヤ。
  13. 【請求項13】 請求項9ないし12のいずれかにおい
    て、スチールフィラメントの径が0.15〜0.25mm
    であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  14. 【請求項14】 請求項9ないし13のいずれかにおい
    て、カーカスのクラウン部の径方向外側に、少なくとも
    2層のベルトをそなえ、該ベルトの径方向外側に、コー
    ドをタイヤ周方向に螺旋状に巻き付けて形成した、少な
    くとも1層のベルト補強層を有することを特徴とする空
    気入りタイヤ。
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