JP2000336585A - ゴム物品補強用スチールコードおよびその製造方法並びに空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
ゴム物品補強用スチールコードおよびその製造方法並びに空気入りラジアルタイヤInfo
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Abstract
について、コードに張力が付加された際の耐疲労性の低
下を有利に抑制するための方途を与える。 【解決手段】 2本のフィラメントを撚らずに引き揃え
たコアの周囲に、4〜8または10本のフィラメントによ
るシースを配置した層撚り構造のスチールコードにおい
て、その外郭形状を適正化する。
Description
や工業用ベルト等のゴム物品の補強材として使用される
スチールコードに関し、特に耐久性の向上をはかろうと
するものである。
よび空気入りタイヤ等のゴム物品の補強材としてスチー
ルコードが広く使用されている。例えば、ゴム物品の典
型例である空気入りタイヤ、中でもトラックやバスに供
する重荷重用空気入りタイヤは、同じ線径のスチールフ
ィラメントを層毎に撚りピッチを変えて撚った、3+9
+15構造を有するスチールコードを、ベルトの補強材
として使用していた。このスチールコードは、3本のス
チールフィラメントからなるコアと、このコアの周囲に
配列された9本のスチールフィラメントからなる内層シ
ースと、この内層シースの周囲に配列された15本のス
チールフィラメントからなる外層シースとで形成されて
いる。該コードは、ゴム中に埋設した際、その外周にコ
ード内部の空洞部と通じる隙間がなくゴムがコード内部
まで入り込めないために、コード内部に空洞部が取り残
される不利がある。すなわち、ゴム物品の外傷からゴム
中に侵入した水分がコードに達すると、コード内部の空
洞部に水分が浸透し、コードの腐食や、コードとゴムと
の剥離をまねくことが問題であった。
は、2本のスチールフィラメントを撚らずに揃えたコア
と、該コアの周囲に配列された9本のスチールフィラメ
ントからなるシースとから成る、扁平のスチールコード
が提案された。該コードは、シースフィラメント相互に
隙間が形成されるために、ゴムをコード内部に確実に侵
入させることが可能である。
フィラメントによるコアのまわりに、型付けされた複数
本のシースフィラメントを配置してシースフィラメント
相互に隙間が形成される構造であるために、コードの軸
方向と直交する断面において観察されるコードの輪郭、
つまりコードの外郭形状は、比較的大きくなるのが特徴
である。この種のコードは、例えばタイヤ製造時のカレ
ンダー工程や加硫工程において、コードに張力が付加さ
れた際、シースフィラメント間に隙間があって各フィラ
メントの型付けがそのまま伸ばされる余地があるところ
から、フィラメントに大きな引張り残留応力が発生し、
これがコードの耐疲労性を低下する原因となっていた。
すなわち、この大きな引張り残留応力を有するコード
は、残留応力の大きな部分を起点として亀裂が発生し易
く、該亀裂の進展に伴ってフィラメント破断を生じ易い
ために、コードとして疲労寿命が短くなるのである。
ラメントをコアに沿って巻き付けることが機構上困難で
あり、コードの外郭形状が大きくなる。すなわち、2本
のフィラメントによるコアを有する2+N構造のコード
をバンチャー撚り線機で製造すると、2本のフィラメン
トによるコアの周りに、あたかも1×N構造の楕円オー
プンコードが配列するような形態となる。かような扁平
コードは、コード製造時に加わる張力に対して、より大
きな残留応力の発生をまねくため、コードの耐疲労性に
劣るものであった。
にシースを配置した、大きな外郭形状を有する2+N構
造のコードについて、コードに張力が付加された際の耐
疲労性の低下を有利に抑制するための方途を与えるとと
もに、耐久性に優れる空気入りタイヤを提供しようとす
るものである。
次のとおりである。 (1) 2本のフィラメントを撚らずに引き揃えたコアの周
囲に、該コアフィラメントと同径の4〜8本のフィラメ
ントによるシースを配置した層撚り構造のスチールコー
ドであって、コードを構成するフィラメントの直径をd
としたとき、コードの外郭形状における長径Dlが下記
式を満足することを特徴とするゴム物品補強用スチール
コード。 記 4.0 d<Dl≦4.7 d
えたコアの周囲に、該コアフィラメントと異径の4〜1
0本のフィラメントによるシースを配置した層撚り構造
のスチールコードであって、コアを構成するフィラメン
トの直径をdcおよびシースを構成するフィラメントの
直径をdsとしたとき、コードの外郭形状における長径
Dlが下記式を満足することを特徴とするゴム物品補強
用スチールコード。 記 2.00×(dc+ds)<Dl≦2.55×(dc+ds)
を構成するフィラメントの径が0.10〜0.50mmで
あることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
バンチャー撚り線機にて作製されたことを特徴とするゴ
ム物品補強用スチールコード。
のスチールコードをバンチャー撚り線機で製造するに当
り、シースを構成するフィラメントの型付け量を単独で
制御することを特徴とするスチールコードの製造方法。
るカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少
なくとも2層のベルトをそなえる空気入りタイヤにおい
て、該ベルトに、上記(1) ないし(4) のいずれかに記載
のスチールコードを適用したことを特徴とする空気入り
タイヤ。
て、タイヤのベルトなどに適用する、スチールコード1
の断面を、撚り構造2+7について示す。該スチールコ
ードは、2本のスチールフィラメント2を撚らずに引き
揃えたコア3の周りに、該コア3のフィラメント2と同
径の7本のスチールフィラメント4によるシース5を撚
り合わせてなる。なお、コアフィラメント2とシースフ
ィラメント4とが同径の場合は、その他2+4、2+
5、2+6および2+8構造が適合する。
1は、同様に2本のスチールフィラメント2を撚らずに
引き揃えたコア3の周りに、該コア3のフィラメント2
と異径の7本のスチールフィラメント4によるシース5
を撚り合わせてなる。なお、コアフィラメント2とシー
スフィラメント4とが異径の場合は、その他2+4、2
+5、2+6、2+8、2+9および2+10構造が適合
する。なお、いずれのコード構造においても、コアは撚
られていないことが好ましいが、意図しない撚りや捩じ
りは特に規制する必要はない。一方、コアを構成するフ
ィラメントに波型などの型付けを施すことは可能であ
る。
フィラメント4の本数は、コアとシースとが同径の場合
4〜8本に、またコアとシースとが異径の場合4〜10本
に、限定する。すなわち、フィラメント本数が4本未満
であると、コード強力が低くなり、コードの例えばタイ
ヤベルトへの打込み数を多くする必要があり、その結果
ベルトのコード端におけるゴムとの剥離に起因した、ベ
ルトエンドで発生するセパレーションに抗する性能、い
わゆる耐ベルトエンドセパレーション性が低下するから
である。一方、フィラメント本数が8または10本をこえ
ると、シースフィラメント相互間の隙間が小さくなり、
ゴム侵入性が劣化する。
が同じ場合、そのフィラメントの直径をdとしたとき、
コードの外郭形状における長径Dlが下記式(1) を満足
することが、肝要である。 記 4.0 d<Dl≦4.7 d----(1)
が異なる場合、そのコアを構成するフィラメントの直径
をdcおよびシースを構成するフィラメントの直径をd
sとしたとき、コードの外郭形状における長径Dlが下
記式(2) を満足することが、肝要である。 記 2.00×(dc+ds)<Dl≦2.55×(dc+ds)----(2)
ースとが同径の場合4.7 d、またコアとシースとが異径
の場合2.55×(dc+ds)、をこえると、特にバンチ
ャー撚りで製造したコードでは、タイヤ製造時に加わる
張力により撚りが締まるために、各フィラメントに残留
応力が発生する結果、コードの耐疲労性が劣化する。従
って、コードの長径を上記した各範囲に規制すること
が、重要になる。
はないが、コードの外郭形状が真円になると、この発明
で問題とする耐疲労性の劣化現象が生じることは少ない
ことから、この発明では、コアとシースとが同径の場合
4.0 d、またコアとシースとが異径の場合2.00×(dc
+ds)、をこえる範囲に限定する。
は、0.10〜0.50mmの範囲とすることが好ましい。すなわ
ち、フィラメントの径が0.10mm未満では、タイヤのベル
トに適用した際のベルト剛性が小さくなるために該コー
ドの打込み数を多くする必要があり、隣接コード間隔が
狭くなってコード端でのゴムとの剥離が隣接コード間で
容易に繋がる結果、ベルト端でのセパレーションをまね
いて、いわゆる耐ベルトエンドセパレーション性を劣化
することになる。一方、フィラメントの径が0.50mmをこ
えると、フィラメントにおける曲げ歪み量の増大によ
り、例えばタイヤの悪路走行等においてベルトにコード
折れが生じる、おそれがある。
ついて、図3を参照して詳しく説明する。ここでは、コ
ード外郭形状を適正範囲に規制することの難しいバンチ
ャー撚り線機による製造方法を示すが、バンチャー撚り
線機に比べてコードの撚り形態の制御が容易であるチュ
ーブラー撚り線機によっても、この発明のコードが製造
可能であることは勿論である。
製造するには、図3に示すように、まずコアとなるフィ
ラメント2aを巻出しリール6から送り出すとともに、
シースとなる4〜8本のフィラメント4aをそれぞれの
巻出しリール7から送り出した後、型付け装置8に通す
ことによってフィラメント4aに所定の型付けを施す。
そして、コアフィラメント2aおよびシースフィラメン
ト4aは、例えばロール対による張力制御の下に、コア
フィラメント2aの周囲にシースフィラメント4aが配
列するように、ボイス9に集合させて撚り合わせること
によって、コードが得られる。次いで、コードは巻取り
リール10に巻き取られるが、その直前に、圧延ローラー
11にてコード外郭形状を扁平にすることが、好ましい。
型付け装置8における癖付けピンの相互間隔またはフィ
ラメントの張力を調整することによって、制御できる。
例えば、シースフィラメントの型付け量を小さくするに
は、型付け装置8における癖付けピンの相互間隔を狭く
すればよい。かように、シースフィラメントの型付け量
を単独に制御することによって、この発明で所期するコ
ードの外郭形状が得られる。
行に揃えてゴムシートに埋設してなるプライを、タイヤ
のベルトに適用して、カーカスの補強に供する。ここ
で、タイヤは、例えば図4に示す、トラック・バス用タ
イヤが有利に適合する。このタイヤは、1対のビードコ
ア20間でラジアル方向にトロイド状に延びる有機繊維コ
ードのプライからなるカーカス21、このカーカス21のク
ラウン部のタイヤ径方向外側に配置した、少なくとも4
層のベルト22およびこのベルト22のタイヤ径方向外側に
配置したトレッド23から成る。
り、カーカス21のプライコードに対して傾斜して、好ま
しくは10〜30°の傾斜角度で配列した多数本のスチール
コードによるプライの複数枚を、その層間でスチールコ
ードが互いに交差する配置で重ね合わせた、構造を有す
る。そして、このベルト22を構成するスチールコード
に、上記したコードを適用することを、特徴とする。
トラック・バス用ラジアルタイヤのベルトに、表1およ
び2に示す仕様のコードを、該コードの軸方向がタイヤ
の赤道面に対して20°の傾斜角度となる配置にて適用
した。かくして得られた各タイヤについて、ゴム侵入
性、耐ベルトコード折れ性および耐ベルトエンドセパレ
ーション性について調査した。これらの調査結果を、表
1および表2に併記する。
が同じ2+N構造についての比較である。すなわち、発
明例1はバンチャー撚り2+7構造、発明例2はバンチ
ャー撚り2+4構造のコードを用いた場合であり、発明
例1および2は、2+3構造である比較例1と比較する
と、耐ベルトエンドセパレーション性が向上しているこ
とが判る。さらに、発明例1および2は、2+9構造で
ある比較例2と比較すると、ゴム侵入性が向上している
ことが判る。なお、発明例3はフィラメント径が0.14mm
の場合、発明例4はフィラメント径が0.46mmの場合であ
り、フィラメント径が0.08mmである比較例3と比較する
と、耐ベルトエンドセパレーション性が向上しているこ
とが判る。また、発明例3および4はフィラメント径が
0.54mmである比較例4と比較すると、耐ベルトコード折
れ性が向上していることが判る。発明例5は、コードの
長径がフィラメント径の4.60倍の場合であり、同5.00倍
である比較例5と比較して、耐ベルトコード折れ性が向
上していることが判る。
ト径が異なる2+N構造についての比較である。すなわ
ち、発明例6はバンチャー撚りの2+3構造の場合であ
り、発明例6は、異線径の2+3構造である比較例6と
比較すると、耐ベルトエンドセパレーション性が向上し
ていることが判る。さらに、発明例6は、異線径の2+
11構造である比較例2と比較すると、ゴム侵入性が向上
していることが判る。尚、発明例7はコアフィラメント
径が0.16mm、シースフィラメント径が0.14mmの場合、発
明例8はコアフィラメント径が0.48mm、シースフィラメ
ント径が0.44mmの場合であり、コアフィラメント径が0.
09mm、シースフィラメント径が0.08mmである比較例8と
比較すると、耐ベルトエンドセパレーション性が向上し
ていることが判る。また、発明例7および8はコアフィ
ラメント径が0.54mm、シースフィラメント径が0.52mmで
ある比較例9と比較すると、耐ベルトコード折れ性が向
上していることが判る。発明例9は、コード長径が(コ
アフィラメント径+シースフィラメント径)の2.48倍の
場合であり、(コアフィラメント径+シースフィラメン
ト径)の2.61倍である比較例10と比較して、耐ベルトコ
ード折れ性が向上していることが判る。
トからスチールコードを取り出して、そのコアの周面上
に接着しているゴムの量を測定し、該測定値をコアの周
面上すべてにゴムが接着している場合を100 %とし、全
く接着していない場合を0%として評価した。
725 kPa に調整して標準リムに組み込んだ後、実車に装
着し、悪路を3万km走行後にタイヤを一度更生し、さら
に3万km走行させた後、タイヤを解剖してベルトのカー
カス側から第3層目のベルト層から補強材を採取し、折
れたコード本数を測定し、その結果を次式により指数表
示したものである。この指数が小さいほどコード折れ本
数が少なく、耐ベルトコード折れ性に優れていることを
示す。なお、基準タイヤは、表1では発明例1および表
2では発明例6と同じコード構造およびフィラメント径
を有するコードをチューブラー撚り線機で製造したコー
ドを適用したものとした。 (耐ベルトコード折れ性指数)=(供試タイヤでのコー
ド折れ本数)/(基準タイヤでのコード折れ本数)×10
0
トエンドの亀裂長さの大小によって大きく支配されるか
ら、亀裂長さをベルトエンドセバレーションの代用指標
として用いる。すなわち、この試験は、内圧を725 kP
aに調整して標準リムに組み込んだタイヤを実車に装着
し、一般路を10万km走行後タイヤを解剖してベルトの
カーカス側から第3層目のベルト層の端縁に発生してい
る亀裂長さを測定し、その結果を次式により指数表示し
たものである。この指数が小さいほど亀裂長さが短く、
耐ベルトエンドセバレーション性に優れていることを示
す。なお、基準タイヤは、上記耐ベルトコード折れ性の
場合と同様である。 (耐ベルトエンドセバレーション性指数) =(供試タイ
ヤの亀裂長さ)/(基準タイヤの亀裂長さ)×100
からなるコアを有する2+N構造のコードにおける耐疲
労性を改善することができ、このコードをベルトに適用
することによって、悪路あるいは未舗装路の走行等、非
常に過酷な使用条件においても、コード折れが回避され
るため、耐久性に優れるタイヤを提供し得る。
の断面図である。
の断面図である。
す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 2本のフィラメントを撚らずに引き揃え
たコアの周囲に、該コアフィラメントと同径の4〜8本
のフィラメントによるシースを配置した層撚り構造のス
チールコードであって、コードを構成するフィラメント
の直径をdとしたとき、コードの外郭形状における長径
Dlが下記式を満足することを特徴とするゴム物品補強
用スチールコード。 記 4.0 d<Dl≦4.7 d - 【請求項2】 2本のフィラメントを撚らずに引き揃え
たコアの周囲に、該コアフィラメントと異径の4〜10
本のフィラメントによるシースを配置した層撚り構造の
スチールコードであって、コアを構成するフィラメント
の直径をdcおよびシースを構成するフィラメントの直
径をdsとしたとき、コードの外郭形状における長径D
lが下記式を満足することを特徴とするゴム物品補強用
スチールコード。 記 2.00×(dc+ds)<Dl≦2.55×(dc+ds) - 【請求項3】 請求項1または2において、コードを構
成するフィラメントの径が0.10〜0.50mmである
ことを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。 - 【請求項4】 請求項1、2または3において、バンチ
ャー撚り線機にて作製されたことを特徴とするゴム物品
補強用スチールコード。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のス
チールコードをバンチャー撚り線機で製造するに当り、
シースを構成するフィラメントの型付け量を単独で制御
することを特徴とするスチールコードの製造方法。 - 【請求項6】 1対のビード部間でトロイド状に延びる
カーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少な
くとも2層のベルトをそなえる空気入りタイヤにおい
て、該ベルトに、請求項1ないし4のいずれかに記載の
スチールコードを適用したことを特徴とする空気入りタ
イヤ。
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---|---|---|---|
JP15122699A JP4402198B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | ゴム物品補強用スチールコードおよびその製造方法並びに空気入りラジアルタイヤ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP4402198B2 (ja) |
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