JP2002006442A - 有機酸銀塩の製造方法および熱現像画像記録材料 - Google Patents

有機酸銀塩の製造方法および熱現像画像記録材料

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JP2002006442A
JP2002006442A JP2000191226A JP2000191226A JP2002006442A JP 2002006442 A JP2002006442 A JP 2002006442A JP 2000191226 A JP2000191226 A JP 2000191226A JP 2000191226 A JP2000191226 A JP 2000191226A JP 2002006442 A JP2002006442 A JP 2002006442A
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Yoichi Nagai
洋一 永井
Naoyuki Kawanishi
直之 川西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布したときの面質が良好である安定な有機
酸銀塩分散物を、有機酸銀塩を固形分として取出し再分
散することなく製造すること。 【解決手段】 (1)水、又は有機溶剤と水との混合溶
液中に銀イオンを含む溶液;及び、(2)水、有機溶剤
と水との混合溶液、又は有機溶剤中に有機酸のアルカリ
金属塩を含む溶液;を反応させて有機酸銀塩を調製し、
限外濾過によって副生成塩を除去する有機酸銀塩の製造
方法において、分子量が3000以下であるアニオン性
界面活性剤の少なくとも1種を、反応開始前から限外濾
過工程を開始するまでに反応液中に導入し、限外濾過を
振動駆動する限外濾過膜を用いて行うことを特徴とする
有機酸銀塩の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像画像記録材料
に用いる有機酸銀塩の製造方法に関する。また、該有機
酸銀塩を用いた熱現像画像記録材料とその製造方法にも
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・
イメージャーにより効率的に露光させることができ、高
解像度および鮮明さを有する鮮明な黒色画像を形成する
ことができる医療診断用、および写真技術用途の光感光
性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。こ
れら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品
の使用を無くし、より簡単で環境を損なわない熱現像処
理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、たと
えば米国特許第3,152,904号明細書、同3,4
57,075号明細書、およびD.クルースタボア(Kl
oosterboer)による記載(イメージング・プロセシーズ
・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Mate
rials)Neblette第8版,J.スタージ(Sturg
e),V.ウォールワーズ(Walworth),A.シェップ
(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に
記載されている。
【0004】このような感光材料は、還元可能な非感光
性の銀源(例えば有機酸銀塩)、触媒活性量の光触媒
(例えばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機
バインダーマトリックス中に分散した状態で含有してい
る。感光材料は常温で安定であるが、露光後、高温(例
えば、80℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源
(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反
応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発
生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中
の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像
を提供し、これは非露光領域と対照を成し、画像の形成
が可能となる。
【0005】このようなシステムに使用される銀源は一
般的に有機酸の銀塩であり、種々の製造法が知られてい
る。例えば、特開昭49−93310号公報、特開昭4
9−94619号公報、および特開昭53−68702
号公報のような水と水難溶性溶媒の共存液中にて脂肪酸
銀塩を調製する方法、特開昭53−31611号公報、
特開昭54−4117号公報、及び特開昭54−467
09号公報のような水溶液中にて脂肪酸銀塩を調製する
方法、特開昭57−186745号公報、特開昭47−
9432号公報および米国特許第3,700,458号
明細書のような有機溶媒中で脂肪酸銀塩を調製する方法
等がある。基本的には、脂肪酸を水中でその融点以上に
加熱し溶融させ、激しく攪拌しながら水酸化ナトリウム
もしくはアルカリ金属塩を加え、その後、アルカリセッ
ケンを銀セッケンに換えるため、硝酸銀を加えることに
より調製する。
【0006】このようなアルカリセッケンは、水溶液中
ではミセルを形成し、外見上は白濁液となっている。こ
のようなミセル状態からの銀セッケンへの反応は、しば
しば製造安定性の問題を引き起こす。このため、アルカ
リセッケンを均一液にするための方法として、溶媒を水
とアルコールの混合液にする事が特開昭55−4060
7号公報に開示されている。
【0007】また、アルカリセッケンは、その名の通り
アルカリ性を呈する。従ってこの場合、銀セッケンは高
pH下で作られることになる。ところが、硝酸銀をアル
カリ液中に添加する事は、副生成物として酸化銀を生じ
させるばかりでなく、製造上避けられぬ還元性の微量汚
染物質が、高pHであるが故に高い還元性を有し、意図
しない銀核を生じさせることになる。このような副生成
物はかかる熱現像写真材料の性能、特に望まれぬカブリ
を生じる点ではなはだ不利である。上記観点から、副生
成物の発生を抑えるために均一液を得ることを目的とし
た特開昭55−40607号公報に記載の方法において
も、カブリの問題は解決されていない。
【0008】また、特開平9−127643号公報に
は、アルカリ金属塩溶液と硝酸銀溶液の同時計量添加に
よる銀塩形成法が開示されており、ベヘン酸ナトリウム
の水とイソプロピルアルコールの混合溶液と硝酸銀溶液
との同時添加の記載がある。この方法は少なくとも高p
H下での反応を中性域まで下げることができ、酸化銀形
成量を下げ得る好ましい方法ではあるが、イソプロピル
アルコールには弱い還元性があり、この点、カブリを完
全に解決する手段には至らない。このように、脂肪酸銀
塩の調製には注意が必要であり、脂肪酸銀塩形成時にお
ける可能な限りの還元性物質の排除、粒子サイズのコン
トロール、更には粒子形状のコントロールが必要である
が、従来の方法ではこれらの要求を満たすに至っていな
い。
【0009】ところで、従来より脂肪酸銀塩を用いた熱
現像画像形成材料の多くは、トルエン、メチルエチルケ
トン、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とする塗布液を
塗布することにより感光層を形成している。有機溶剤を
溶媒として用いることは、製造工程での安全性、人体へ
の悪影響、さらには溶剤の回収その他のため、コスト上
非常に不利であるばかりでなく、環境保護を目指した熱
現像感光材料を世に提供する目的を考えた場合には、適
当な製造方法ではない。
【0010】このため、水溶媒の塗布液を用いて感光層
を形成する方法が考えられている。例えば、特開昭49
−52626号公報、特開昭53−116144号公報
などにはゼラチンをバインダーとする例が記載されてい
る。また、特開昭50−151138号公報にはポリビ
ニルアルコールをバインダーとする例が記載されてい
る。さらに、特開昭60−61747号公報には、ゼラ
チンとポリビニルアルコールを併用した例が、特開昭5
8−28737号公報には水溶性ポリビニルアセタール
をバインダーとする感光層の例が、記載されている。
【0011】このように、水溶性バインダーを用いると
水溶媒の塗布液を用いて感光層を形成することが可能と
なり、環境上、コスト上のメリットは大きい。しかしな
がら、上記水溶性ポリマーのバインダーは脂肪酸銀塩と
の相溶性が悪く、塗布面質上実用に耐える塗布膜が得ら
れなかったり、現像部の銀像色調が本来好ましいとされ
る黒色からかけ離れた茶色や黄色になったり、カブリが
高かったり等の問題が生じるため、商品価値の著しく損
なわれたものしか得られなかった。脂肪酸銀塩を含む水
溶媒塗布液で実用に耐える塗布面質を得るためには、水
溶媒中で脂肪酸銀塩を凝集なく微細に分散された状態に
しておく必要がある。このため、脂肪酸銀塩を微粒子分
散する方法の開発が必要である。通常は、疎水的である
脂肪酸銀分散物粒子を形成した後に濾過分離し、固形物
として取り出してから、分散剤を混合して再分散する方
法が取られる。
【0012】有機酸銀塩を微粒子分散化する方法は、分
散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、高速ミキ
サー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキ
サー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボー
ルミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、
ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミ
ル、トロンミル、高速ストーンミル)を用い、機械的に
分散することが知られているが、これらの方法では、凝
集粒子の多い、結果として塗布面質の劣悪な塗布液しか
得られないばかりでなく、もともと水難溶性塩として晶
析した有機酸銀の一次粒子を無差別に粉砕してしまう確
立が高いため、結晶壁界面で銀核を形成してカブリ増大
の原因ともなってしまう。
【0013】そこで有機酸銀を一度固形分として取り出
して微分散するのではなく、アルカリ金属塩と銀イオン
を含む溶液の反応時に得られた一次粒子をそのまま活用
する方法が提案されている。例えば、特開平8−234
358号公報においては、有機酸のアルカリ塩の微粒子
が分散した水系分散液中に硝酸銀を添加して得られた有
機酸銀分散物を限外濾過によって脱塩する方法が開示さ
れている。さらにこの方法によれば、ポリビニールアル
コールやゼラチンなどの水溶性保護コロイドを予め含有
させてから限外濾過操作を行なうことによって分散安定
性を増大させる手段も含まれる。しかしながら、この方
法によって得られる有機酸銀粒子の形状は針状に限定さ
れるばかりでなく、粒子サイズを制御することも困難で
あるために、熱現像感光材料に望まれる低カブリで黒化
濃度が高く、ヘイズの低い性能を安定に得るには至って
いない。
【0014】特開平9−127643号公報には、アル
カリ金属塩溶液と硝酸銀溶液の同時計量添加により得ら
れた有機酸銀分散物を透析や限外濾過を用いて直接脱塩
する方法が開示されている。この方法は、少なくとも有
機酸銀塩の晶析時に得られた一次粒子を損なわずにその
まま感光層に導入する点では好ましい方法ではあるが、
高塩濃度雰囲気下での粒子の凝集や分散液を濃縮する上
での高粘化の問題などが解決されておらず、この点、実
用的な塗布液を得るための手段には至らない。
【0015】また、限外濾過膜としては、すでにモジュ
ールとして組み込まれた平板型、スパイラル型、円筒
型、中空糸型などが旭化成(株)、ダイセル化学
(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販され
ており、工業用途においてはクロスフロー濾過方式が用
いられる。しかし、有機酸銀の結晶は疎水的で凝集しや
すく、膜濾過面に付着しやすいため、クロスフロ−流れ
によるせん断力ではケーク厚みを薄く出来ず、有機酸銀
分散液の脱塩処理方法として経済的濾過速度の観点で製
造設備への適用は難しかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術の問
題点を考慮して、本発明は、塗布したときの面質が良好
である安定な有機酸銀塩分散物を、有機酸銀塩を固形分
として取出し再分散することなく製造することを課題と
した。より具体的には、限外濾過による脱塩操作におい
て、濾過膜面への分散物堆積ケークによる濾過速度低下
を防止する濾過手段を提供することを課題とした。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った結果、特定のアニオン性界面活性剤を添加すると
ともに特定の限外濾過手段を採用することにより、上記
課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。す
なわち本発明は、(1)水、又は有機溶剤と水との混合
溶液中に銀イオンを含む溶液;及び、(2)水、有機溶
剤と水との混合溶液、又は有機溶剤中に有機酸のアルカ
リ金属塩を含む溶液;を反応させて有機酸銀塩を調製
し、限外濾過によって副生成塩を除去する工程を含む有
機酸銀塩の製造方法において、分子量が3000以下で
あるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を限外濾過
工程を開始するまでに反応液中に導入すること、及び、
限外濾過を振動駆動する限外濾過膜を用いて行うことを
特徴とする有機酸銀塩の製造方法を提供する。本発明の
製造方法では、限外濾過による脱塩操作によって電気伝
導度が20〜300μS/cmに達した後に、分散物濃
度を10〜70質量%に濃縮すること;反応後の銀とア
ルカリ金属比が1〜20モル%アルカリ過剰であるこ
と;界面活性剤添加濃度が分散質の1〜30質量%であ
ること;反応直後の有機酸銀の濃度が1〜10質量%で
あること;反応直後の有機酸銀の濃度を15〜40質量
%まで濃縮してから脱塩処理を行うことが好ましい。な
お、本明細書において、「〜」はその前後に記載される
数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲であ
る。
【0018】また本発明は、支持体の少なくとも一方の
面に、有機酸銀塩、銀イオンのための還元剤、及びバイ
ンダーを含む熱現像画像記録材料の製造方法であって、
上記の製造方法により製造された有機酸銀塩を含む画像
形成層塗布液を塗布する工程を含むことを特徴とする熱
現像画像記録材料の製造方法も提供する。このとき、画
像形成層塗布液が、感光性ハロゲン化銀と、バインダー
として25℃、相対湿度60%での平衡含水率が2質量
%以下のポリマーをラテックスとして含有し、かつ該塗
布液の溶媒の30質量%以上が水であることが好まし
い。さらに本発明は、上記製造方法により製造された熱
現像画像記録材料も提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の有機酸銀
塩の製造方法、熱現像画像記録材料の製造方法、および
熱現像画像記録材料について詳細に説明する。本発明の
製造方法により製造する有機酸銀塩は、光に対して比較
的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化
銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそ
れ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩であ
る。有機酸銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の
有機物質であってよい。このような非感光性の有機酸銀
塩については、特開平10−62899号公報の段落番
号[0048]〜[0049]、欧州特許公開EP08
03763A1号公報の第18ページ第24行〜第19
ページ第37行、特開平11−349591号公報、特
開2000−7683号公報、同2000−72711
号公報等に記載されている。特に炭素数が10〜30、
好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が
好ましい。有機酸銀塩の好ましい例としては、セロチン
酸、リグノセリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、アラキジン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプロン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マレイン酸、フマル
酸、酒石酸、リノール酸、酪酸及び樟脳酸、ならびにこ
れらの混合物などを含む。
【0020】本発明の有機酸銀塩の製造方法は、(1)
水、又は有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオンを含む
溶液(以下「銀イオン溶液」ということもある);及
び、(2)水、有機溶剤と水との混合溶液、又は有機溶
剤中に有機酸のアルカリ金属塩を含む溶液(以下「有機
酸アルカリ金属塩溶液」ということもある)を反応させ
て有機酸銀塩を調製するものである。有機酸銀塩を調製
後、限外濾過によって副生成塩を除去する。本発明の製
造方法の特徴は、分子量が3000以下であるアニオン
性界面活性剤の少なくとも1種を限外濾過工程を開始す
るまでに反応液中に導入すること、及び、限外濾過を振
動駆動する限外濾過膜を用いて行うことにある。(1)
の銀イオン溶液としては、水溶性銀塩、特に硝酸銀の水
溶液が好ましい。また、(2)に用いられる有機酸のア
ルカリ金属塩としては、Na塩,K塩,Li塩等が挙げ
られる。有機酸アルカリ金属塩は、上記有機酸をアルカ
リ処理することによって得られる。
【0021】本発明において有機酸銀は、任意の好適な
容器中で回分式または連続式にて調製することができ
る。反応容器中の攪拌は、粒子の要求される特性によっ
て任意の方法で行うことができ、例えばアンカー翼、パ
ドル翼のようなバルク攪拌型、ディゾルバー、ホモジナ
イザー等の乳化分散型、もしくはそれらの併用等のあら
ゆる方式が使用できる。有機酸銀の製造方法としては、
有機酸アルカリ金属塩溶液の入った反応容器に銀イオン
溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、銀イオン溶
液の入った反応容器に予め調製した有機酸アルカリ金属
塩溶液を徐々に、あるいは急激に添加する方法、予め調
製した銀イオン溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液を
反応容器中に同時に添加する方法のいずれもが好ましく
用いることができる。
【0022】銀イオン溶液および有機酸のアルカリ金属
塩溶液の添加方式も、例えば反応容器内の反応液面への
添加、シャワー状添加、添加口を液中へ挿入する事によ
る液中への添加、さらには反応液中に別部屋を設けてそ
の中に添加する方法、タンク外の配管中に静止型混合機
を設けたり、撹拌機を具備した別容器を設けてその中に
添加する方法、タンク外の配管中に反応液で満たされた
混合撹拌容器を設置しその中に導く方式などあらゆる方
式が使用できる。また、銀イオン溶液および有機酸のア
ルカリ金属塩溶液の添加時間も任意に選択する事ができ
る。例えば、添加速度一定で添加する方法、任意の時間
関数による加速あるいは減速モードで添加することもで
きる。
【0023】銀イオン溶液、及び有機酸アルカリ金属塩
溶液としては、調製する有機酸銀の粒子サイズ制御のた
めに任意の濃度のものを用いることができ、また任意の
添加速度で添加することができる。銀イオン溶液、及び
有機酸アルカリ金属塩溶液の添加方法としては、添加速
度を一定にして添加する方法、任意の時間関数による加
速添加法あるいは減速添加法を採用することができる。
また反応液の液面に添加してもよく、また液中に添加し
てもよい。予め調製した銀イオン溶液および有機酸アル
カリ金属塩溶液を反応容器中に同時に添加する方法の場
合には、銀イオン溶液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶
液のいずれかを先行させて添加することもできるが、銀
イオン溶液を先行させて添加することが好ましい。先行
度としては総添加量の0〜50容量%が好ましく、0〜
25容量%が特に好ましい。また特開平9−12764
3号公報等に記載のように反応中の反応液のpHないし
は銀電位を制御しながら添加する方法も好ましく用いる
ことができる。
【0024】添加される銀イオン溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液は、粒子の要求される特性によりそのpHを
調整することができる。pH調整のために任意の酸やア
ルカリを添加することができる。また、粒子の要求され
る特性により、例えば調製する有機酸銀の粒子サイズの
制御のため反応容器中の温度を任意に設定することがで
きるが、添加される銀イオン溶液や有機酸アルカリ金属
塩溶液も任意の温度に調製することができる。有機酸ア
ルカリ金属塩溶液は液の流動性を確保するために、50
℃以上に加熱保温することが好ましい。
【0025】本発明の有機酸塩粒子を形成させるために
は、銀イオン溶液、有機酸のアルカリ金属塩溶液、あら
かじめ反応場に準備しておく溶液の少なくとも一つに有
機酸のアルカリ金属塩がひも状会合体やミセルではな
く、実質的に透明溶液となり得る量の有機溶剤を含有し
なくてはならない。溶液は有機溶剤単独でも構わない
が、水との混合溶液が好ましい。
【0026】本発明に用いる有機溶剤としては、水溶性
で上記性質を有していれば何でも構わないが、写真性能
に支障をきたすものは好ましくなく、好ましくは水と混
合できるアルコール、アセトンが挙げられる。
【0027】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
は総炭素数15以下の物が好ましく、10以下がより好
ましく、炭素数4〜6の第3アルコールが更に好まし
い。特に好ましい第3アルコールの例としては、ter
t−ブタノール等が挙げられる。第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでもよい
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時の溶媒と
しての水に対して質量比で0.01〜10の範囲で任意
に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ま
しい。以下、第3アルコールの使用に言及しつつ有機酸
銀塩の製造方法を説明する場合があるが、本発明の範囲
は第3アルコールを使用する場合に限定されることはな
い。
【0028】銀イオン源としては水溶性銀塩を用いるこ
とができ、水溶性銀塩としては硝酸銀が好ましい。溶液
における銀イオン濃度としては、0.03mol/l〜
6.5mol/lが好ましく、より好ましくは、0.1
mol/l〜5mol/lであり、この水溶液のpHと
しては1〜6が好ましく、より好ましくはpH1.5〜
4である。更に、pH調節のため、あらゆる酸およびア
ルカリを加えることができる。
【0029】また、銀イオン溶液には、炭素数4〜6の
第3アルコールが含まれていてもよく、その場合は銀イ
オン溶液の全体積に対し、体積として好ましくは70%
以下であり、より好ましくは50%以下である。また、
溶液の温度としては1℃〜60℃が好ましく、5℃〜4
0℃がより好ましく、後述のように、銀イオン溶液と有
機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液とを同時添
加する場合は、5℃〜15℃が最も好ましい。
【0030】有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属は、
具体的にはナトリウム塩又はカリウム塩などが挙げら
れ、有機酸アルカリ金属塩は、例えば、有機酸に水酸化
ナトリウム又は水酸化カリウムを添加することにより調
製される。このとき、アルカリの量を有機酸の等量以下
にして、未反応の有機酸を残存させることが好ましい。
この場合の、残存有機酸量は全有機酸1molに対し好
ましくは3mol%〜50mol%であり、より好まし
くは3mol%〜30mol%である。また、アルカリ
を所望の量以上に添加した後に、硝酸、硫酸等の酸を添
加し、余剰のアルカリ分を中和させることで調製しても
よい。また、有機酸銀塩の要求される特性によりpHを
調節することができる。pH調節のためには、任意の酸
やアルカリを使用することができる。
【0031】さらに、銀イオン水溶液、有機酸アルカリ
金属塩の第3アルコール水溶液、あるいは反応容器の液
には、例えば特開昭62−65035号公報の一般式
(1)で示されるような化合物、また、特開昭62−1
50240号公報に記載のような、水溶性基含有Nヘテ
ロ環化合物、特開昭50−101019号公報記載のよ
うな無機過酸化物、特開昭51−78319号公報記載
のようなイオウ化合物、特開昭57−643号公報記載
のジスルフィド化合物、また過酸化水素等を添加するこ
とができる。
【0032】有機酸アルカリ金属塩の溶液は、液の均一
性を得るために炭素数4〜6の第3アルコールと水との
混合溶媒であることが好ましい。炭素数がこれを超える
と水との相溶性が低下して好ましくない場合がある。炭
素数4〜6の第3アルコールの中でも、最も水との相溶
性のあるtert−ブタノールが最も好ましい。第3ア
ルコール以外の他のアルコールは還元性を有し、有機酸
銀塩形成時に弊害を生じるために好ましくない場合があ
る。有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液に併
用される第3アルコール量は、この第3アルコール水溶
液中の水分の体積に対し、溶媒体積として好ましくは3
%〜70%であり、より好ましくは5%〜50%であ
る。
【0033】有機酸アルカリ金属塩の溶液における有機
酸アルカリ金属塩の濃度は、質量比として、好ましくは
5質量%〜50質量%であり、より好ましくは7質量%
〜45質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜4
0質量%である。
【0034】反応容器に添加する有機酸アルカリ金属塩
の溶液の温度としては、有機酸アルカリ金属塩の結晶
化、固化の現象を避けるために必要な温度に保っておく
目的で50℃〜90℃が好ましく、より好ましくは60
℃〜85℃がより好ましく、65℃〜85℃が最も好ま
しい。また、反応の温度を一定にコントロールするため
に上記範囲から選ばれるある温度で一定にコントロール
されることが好ましい。
【0035】本発明において好ましく用いられる有機酸
銀塩は、i)銀イオンを含む溶液を先に反応容器内に全
量存在させておき、その溶液中に有機酸アルカリ金属塩
の溶液を単独で添加する方法;又はii)銀イオンを含
む溶液と有機酸アルカリ金属塩の溶液とを反応容器内に
同時に添加する時期が工程中に存在する方法(同時添加
法)などによって製造される。本発明においては、有機
酸銀塩の平均粒子サイズをコントロールし、分布を狭く
する点で後者の同時添加法が好ましい。その場合、総添
加量の10〜100容量%が同時に添加されることが好
ましく、より好ましくは50〜100容量%が、更に好
ましくは50〜75容量%が同時に添加されることであ
る。いずれかを先行して添加する場合は銀イオンを含む
溶液を先行させる方が好ましい。
【0036】反応容器中にあらかじめ満たされる溶媒に
は水が用いられるが、銀イオン液および有機酸のアルカ
リ金属塩液で用いられる有機溶剤との混合液も用いられ
る。いずれの場合においても、反応容器中の液の温度
は、好ましくは5℃〜75℃、より好ましくは10℃〜
50℃、最も好ましくは20℃〜45℃である。反応の
全行程にわたって前記温度から選ばれるある一定の温度
にコントロールされることが好ましいが、前記温度範囲
内でいくつかの温度パターンでコントロールすることも
好ましい。
【0037】有機酸アルカリ金属塩の溶液と反応容器中
の液との温度の温度差は、20℃〜85℃が好ましく、
より好ましくは30℃〜80℃である。この場合、有機
酸アルカリ金属塩の溶液の温度の方が高いことが好まし
い。これにより、高温の有機酸アルカリ金属塩の溶液が
反応容器で急冷されて微結晶状に析出する速度と、水溶
性銀塩との反応で有機酸銀塩化する速度が好ましく制御
され、有機酸銀塩の結晶形態、結晶サイズ、結晶サイズ
分布を好ましく制御することができる。また同時に熱現
像材料、特に熱現像感光材料として性能をより向上させ
ることができる。
【0038】例えば、本発明において好ましいりん片状
の有機酸銀塩は、銀イオン溶液と有機酸アルカリ金属塩
を含む第3アルコール水溶液とを反応容器内で反応させ
る(反応容器内の液に有機酸アルカリ金属塩を含む第3
アルコール水溶液を添加する工程を含む。)際に、反応
容器内の液(先行して容器内に入れた銀イオン溶液であ
るか、または銀イオン溶液を先行することなく有機酸ア
ルカリ金属塩を含む第3アルコール水溶液とはじめから
同時に添加する場合は、水又は水と第3アルコールとの
混合溶媒であり、銀イオン溶液を先行して入れる場合に
おいても水又は水と第3アルコールとの混合溶媒をあら
かじめ入れておいてもよい。)と添加する有機酸アルカ
リ金属塩を含む第3アルコール水溶液との温度差を20
℃〜85℃とする方法で製造されることが好ましい。こ
のような温度差を有機酸アルカリ金属塩を含む第3アル
コール水溶液の添加中にて維持することによって、有機
酸銀塩の結晶形態等が好ましく制御される。反応容器中
には、あらかじめ溶媒を含有させておいてもよく、あら
かじめ入れられる溶媒には水が好ましく用いられるが、
前記第3アルコールとの混合溶媒も好ましく用いられ
る。
【0039】本発明では、銀イオン溶液(溶媒としては
水又は水と有機溶剤との混合物が用いられる)と、有機
酸アルカリ金属塩溶液(溶媒としては、水、水と有機溶
剤との混合物、又は有機溶剤が用いられる)との反応の
開始前から脱塩操作開始前までの間に、分子量3000
以下のアニオン性界面活性剤を添加し分散する。このよ
うな界面活性剤は、銀イオン溶液、または有機酸アルカ
リ金属塩溶液もしくは分散液のいずれか一方、あるいは
両者に添加することができる。また、予め反応溶器内に
入れておく液中に添加しておいてもよいし、別途、水、
水と有機溶媒との混合物、または有機溶媒中に溶解して
反応系内に添加してもよい。これらの添加方法を任意に
組み合わせてもよい。
【0040】そのような界面活性剤としては、形成した
有機酸銀塩を分散可能で、かつ分子量が3000以下で
あればどのような化合物でもよい。分子量としては10
0〜3000が好ましく、100〜2000がより好ま
しい。例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホ
ン酸塩、リン酸エステル塩のようなアニオン界面活性剤
があげられる。好ましくは、分子内にスルホン酸基を有
する分散剤である。分子量3000以下の分散剤として
は、テトラデカン2,3−エン−1−スルホン酸ナトリ
ウム(分子量299)、ジイソブチルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン
酸(分子量357)、ナフタレンスルホン酸オリゴマー
(平均分子量1250)などが挙げられる。分子量30
00以下の界面活性剤の添加量は、用いる界面活性剤の
種類や粒子サイズ等により異なり、得られる有機酸銀が
凝集しない量であれば特に制限はないが、通常、分散質
(有機酸銀塩)に対して0.1〜30質量%が好まし
く、1〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%で
あることが特に好ましい。
【0041】分子量3000以下の界面活性剤を導入す
る時期は、親水的な有機酸のアルカリ金属塩が銀イオン
と反応して疎水的な有機酸銀塩へと変化することより粒
子同士が凝集しやすくなるため、銀イオンを含む溶液の
添加終了以前であることが特に好ましい。
【0042】好ましい分子量3000以下の界面活性剤
は、反応に用いられる水または水と有機溶媒の混合物
(これらを「水性媒体」と呼ぶ場合がある。)に可溶な
アニオン性界面活性剤で、形成した有機酸銀塩を分散可
能で、かつ炭素数が8〜40の範囲である。炭素数とし
ては12〜40がより好ましい。また、親水性基はカル
ボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エス
テル塩などのアニオン性基ならばいずれでもよいが、銀
イオンを含む溶液と有機酸のアルカリ金属塩の溶液との
反応から生ずる副生成塩による高いイオン強度雰囲気に
おいて分散安定性を付与する観点より、硫酸エステル塩
もしくはスルホン酸塩が好ましく、少なくとも一つの芳
香族基を有することがより好ましい。
【0043】アニオン性界面活性剤の添加量は、用いる
界面活性剤の種類や有機酸銀塩の粒子サイズにより異な
り、得られる有機酸銀塩が安定に分散される量であれば
特に制限はないが、有機酸銀塩粒子の生成速度に追従で
きる吸着速度を有するためには臨界ミセル濃度の5〜1
00倍であることが好ましく、臨界ミセル濃度の20〜
80倍がより好ましい。
【0044】本発明においては、さらに分子量が300
0より大きい分散剤を併用することができる。このよう
な分散剤としては、ポリアクリル酸、ナフタレンスルホ
ン酸ポリマー、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重
合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイル
メチルプロパンスルホン酸共重合体などの合成アニオン
ポリマー;カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチ
ルセルロースなどの半合成アニオンポリマー;アルギン
酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー;その他、ポ
リビニルアルコール(例えば、商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の
公知のポリマー、あるいはゼラチン等の自然界に存在す
る高分子化合物を適宜選択して用いることができる。
【0045】分子量が3000より大きい分散剤とし
て、好ましくは非イオン性高分子分散剤を用いることが
でき、より好ましくは、有機酸銀塩を分散可能で、反応
水性溶媒に可溶な非イオン性高分子分散剤であって、分
子量が銀イオンを含む溶液と有機酸のアルカリ金属塩の
溶液との反応から生ずる副生成塩の脱塩に使用する限外
濾過膜の分画分子量の5倍〜10倍を有するものが挙げ
られる。このような分散剤としては、ポリビニルアルコ
ール,ポリビニルピロリドン,ヒドロキシプロピルセル
ロースが好ましく使用される。
【0046】分子量が3000より大きい分散剤、好ま
しくは非イオン性高分子分散剤の濃度は、有機酸銀塩に
対して0.1〜30質量%、特に0.5〜30質量%の
範囲が好ましい。分子量が3000より大きい分散剤、
好ましくは非イオン性高分子分散剤の添加時期は特に限
定されないが、有機酸銀塩反応の阻害を防止するため
に、有機酸銀塩の反応終了後であって、かつ脱塩操作完
了前であることが好ましい。さらに好ましい態様によれ
ば、限外濾過によって脱塩を行い、有機酸銀分散液の電
気伝導度が低下した後、脱塩操作の完了前に分子量が3
000より大きい分散剤、好ましくは非イオン性高分子
分散剤を添加することができる。この時の電気伝導度
は、2,000μS/cm以下が好ましい。この場合、
分子量が3000以下のアニオン性界面活性剤を除去
し、分子量が3000より大きい分散剤、好ましくは非
イオン性高分子分散剤に置き換えるために、限外濾過膜
を透過したアニオン性界面活性剤溶液量に対応する量の
純水を加える操作、いわゆる定溶希釈操作を2倍〜10
倍行うことが好ましい。
【0047】本発明においては、反応後の銀/アルカリ
金属比が1〜20モル%アルカリ過剰であることが好ま
しく、1〜10モル%アルカリ過剰であることがより好
ましい。反応直後の有機酸銀粒子の濃度が1〜20質量
%であることが好ましく、1〜10質量%であることが
より好ましいが、反応直後の有機酸銀粒子の濃度を15
〜40質量%、好ましくは15〜25質量%まで濃縮し
てから脱塩処理を行うことが好ましい。
【0048】粒子形成後から脱塩操作が進むまでの液温
は低く保つことが好ましい。これは、有機酸のアルカリ
金属塩を溶解する際に用いる有機溶剤が、生成した有機
酸銀粒子内に浸透している状態では、送液操作や限外濾
過膜を通過する際の剪断場や圧力場によって銀核が生成
しやすいからである。このため、本発明では有機酸銀粒
子分散物の温度を1〜30℃、好ましくは5〜25℃に
保ちながら限外濾過操作を行う。
【0049】本発明に用いる脱塩法としては、振動駆動
型限外濾過法が用いられる。本発明において限外濾過膜
の振動は、限外濾過膜を水平面内の円周方向に往復運動
を行わせるものである。本発明に用いる振動駆動型限外
濾過装置として例えば、VSEP(NEW LOGICINTERNATI
ONAL INC.)が挙げられる。膜を透過することができる
成分のしきい値の指標となる限外濾過膜の分画分子量
は、用いている分散剤の分子量より決定する必要があ
る。本発明においては、好ましくは4,000〜50,
000、より好ましくは10,000〜50,000の
ものを用いる。限外濾過膜の素材としては、ポリスルホ
ン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リアクリロニトリルなどがあり、モジュール形態として
は、平膜、中空糸膜、チューブラー膜などが挙げられ
る。本発明において限外濾過膜の振動は、限外濾過膜を
水平面内の円周方向に0.5cm〜5cmの振幅幅で往
復運動を行わせることが好ましく、1cm〜3cmがよ
り好ましい。本発明において振幅周波数は50〜60H
zが好ましい。
【0050】限外濾過法は、例えばハロゲン化銀乳剤の
脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができ、例
えば、リサーチ・ディスクロージャー(Research Discl
osure)No.10 208(1972)、No.13
122(1975)およびNo.16 351(19
77)などを参照することができる。操作条件として重
要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブ
ック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性
曲線を参考に選定することができるが、目的の有機酸銀
分散物を処理する上では、粒子の凝集やカブリを抑える
ために最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過よ
り損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶
媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式と
があるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好まし
い。こうして補充する溶媒には、イオン交換または蒸留
して得られた純水を用いるが、pH、分散剤濃度や分散
剤に対する貧溶媒の濃度を本発明の目標とする値に保つ
ために、純水の中にpH調整剤、分散剤、分散剤の貧溶
媒を混合してもよいし、有機酸銀分散物に直接添加して
もよい。
【0051】本発明では、アニオン性界面活性剤の濃度
は、脱塩操作初期の高塩濃度雰囲気かつ、第3アルコー
ルなどの有機溶剤が存在する間は、有機酸銀粒子が凝集
しやすい状態にあるので、臨界ミセル濃度の5〜100
倍に保つことが望ましい。具体的には、漏れ出る界面活
性剤の濃度を分光吸収や液体クロマトグラフで定量し、
これと同じ濃度の溶液を補充液として連続的に添加して
もよいし、それよりも高い濃度の界面活性剤溶液を断続
的に添加してもよい。
【0052】また、有機酸銀塩は極めて疎水的であるた
めに、送液操作や限外濾過膜を通過する際の剪断場や圧
力場によって著しく凝集が進行してしまうことがある。
さらに、脱塩操作初期の高いイオン強度雰囲気下では、
有機酸銀塩粒子の表面電荷が遮蔽され、さらに凝集しや
すい状態となる。この状態を緩和するために予め添加し
たアニオン性界面活性剤とは異なるアニオン性であり8
〜40の炭素数からなる疎水基を有する別のイオン性界
面活性剤を脱塩操作中に添加する方法も本発明の好まし
い実施形態である。添加方法としては、前述の様に漏れ
出る界面活性剤の濃度を分光吸収や液体クロマトグラフ
で定量し、これと同じ濃度の溶液を補充液として連続的
に添加してもよいし、それよりも高い濃度の界面活性剤
溶液を断続的に添加してもよい。
【0053】限外濾過膜の分画分子量が不明の場合は、
用いる分散剤、好ましくはアニオン性界面活性剤溶液を
濾過し、透過液に漏れ出る界面活性剤の濃度より阻止率
を計算してもよい。アニオン性界面活性剤を用いる場
合、その原液濃度をCi、透過液に漏れ出る濃度をCo
としたとき、限外濾過膜の阻止率Rは、以下の式で定義
される。 R=(Ci−Co)/Ci×100 [%] 本発明の方法における阻止率は、50%未満が好まし
い。
【0054】さらに本発明では、脱塩進行に伴って電気
電導度が1,000μS/cm未満に達した後に、使用
している分散剤の貧溶媒を添加しながら限外濾過操作を
行うこともできる。低いイオン強度雰囲気では、粒子表
面の電荷による安定化作用が発現するため、分散剤の保
護作用を低下させても凝集は生じない。そればかりか、
粒子間反発の増大により分散物全体の粘性が高くなり、
濾過操作が困難になる。これを回避するために分散剤の
貧溶媒を添加することが望ましい。
【0055】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0056】本発明における有機酸銀塩分散物は、少な
くとも有機酸銀塩と水とを含む。有機酸銀塩と水との割
合は特に限定されないが、効率的な塗膜の形成のため
に、安定な塗布を行うためのレオロジー特性、ならびに
乾燥水分量より決まる生産スピードなどを考慮して適宜
決定することができる。有機酸銀塩の全体に占める割合
は、10〜50質量%であることが好ましく、特に10
〜30質量%であることが好ましい。
【0057】本発明の方法では、限外濾過法による脱塩
操作によって、電気伝導度が20μS/cm以上300
μS/cm未満に達した後に、分散物濃度を10〜70
質量%、好ましくは20〜50質量%に濃縮することが
できる。
【0058】本発明においては、Ca、Mg、Ce、A
l、Zn、Baから選ばれる金属イオンをハロゲン化物
でない水溶性塩の形で添加することが好ましい。具体的
には、硝酸塩や硫酸塩の形で添加することが好ましい。
Ca、Mg、Ce、Al、Zn、Baから選ばれる金属
イオンの添加時期は特に限定されず、有機酸銀塩調製物
の液中への添加、反応液中への事前添加、有機酸銀塩の
形成中又は形成直後、あるいは塗布液調製の前後など塗
布直前であればいずれの時期でもよい。添加量として
は、有機酸銀塩1mol当たり10-3〜10-1molが
好ましく、特に5×10-3〜5×10-2molが好まし
い。
【0059】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
酸銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調
製終了したハロゲン化銀粒子と有機酸銀塩を高速撹拌機
やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、
ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機酸銀
塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光
性ハロゲン化銀を混合して有機酸銀塩を調製する方法等
があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては
特に制限はない。もっとも、後述するように、調製した
有機酸銀塩を水中に微細分散し、そこにハロゲン化銀塩
を添加することが望ましい。
【0060】本発明における有機銀塩分散物は、固形分
として取り出し、更分散する必要はないが、有機酸銀塩
分散液は写真性の悪化を伴わない範囲で、分散機による
機械的な分散を行なってもよい。そのような再分散方法
としては、有機酸銀塩の水分散物を得、これを高圧で高
速流に変換し、その後圧力降下することによって再分散
し、微細水分散物とすることが好ましい。この場合の分
散媒は水のみであることが好ましいが、20質量%以下
であれば有機溶媒を含んでいてもよい。
【0061】上記のような再分散法を実施するのに用い
られる分散装置およびその技術については、例えば「分
散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊夫、薄井洋基
著、1991、信山社出版(株)、p357〜40
3)、「化学工学の進歩 第24集」(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜1
85)、特開昭59−49832号公報、米国特許第4
533254号明細書、特開平8−137044号公
報、特開平8−238848号公報、特開平2−261
525号公報、特開平1−94933号公報等に詳しい
が、本発明で用いる再分散法は、少なくとも有機酸銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させ、
この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせることによ
り微細な分散を行う方法であることが好ましい。
【0062】高圧ホモジナイザーについては、一般には
(a)分散質が狭間隙(75μm〜350μm程度)を
高圧、高速で通過する際に生じる「せん断力」、(b)
高圧化の狭い空間で液−液衝突、あるいは壁面衝突させ
るときに生じる衝撃力は変化させずにその後の圧力降下
によるキャビテーション力をさらに強くし、均一で効率
のよい分散が行われると考えられている。この種の分散
装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げら
れるが、この装置では、高圧で送られた被分散液が円柱
面上の狭い間隙で高速流に変換され、その勢いで周囲の
壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。上
記液−液衝突としては、マイクロフルイダイザーのY型
チャンバー、後述の特開平8−103642号公報に記
載のような球形型の逆止弁を利用した球形チャンバーな
どが挙げられ、液−壁面衝突としては、マイクロフルイ
ダイザーのZ型チャンバー等が挙げられる。使用圧力は
一般には100〜600kg/cm2、流速は数m〜3
0m/秒の範囲であり、分散効率を上げるために高速流
部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施した
ものも考案されている。このような装置の代表例として
ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイデックス・イ
ンターナショナル・コーポレーション社製のマイクロフ
ルイダイザー、みづほ工業(株)製のマイクロフルイダ
イザー、特殊機化工業(株)製のナノマイザー等が挙げ
られる。特開平8−238848号公報、同8−103
642号公報、米国特許第4533254号明細書にも
記載されている。
【0063】有機酸銀塩は、流速、圧力降下時の差圧と
処理回数の調節によって、所望の粒子サイズに分散する
ことができるが、写真特性と粒子サイズの点から、流速
が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が9
00〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、さらに
流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧
が1500〜3000kg/cm2の範囲であることが
より好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択でき
る。通常は1〜10回の範囲が選ばれるが、生産性の観
点で1〜3回程度が選ばれる。高圧下でこのような水分
散液を高温にすることは、分散性・写真性の観点で好ま
しくなく、90℃を越えるような高温では粒子サイズが
大きくなりやすくなるとともに、カブリが高くなる傾向
がある。従って、前記の高圧、高速流に変換する前の工
程若しくは圧力降下させた後の工程、あるいはこれら両
工程に冷却装置を含み、このような水分散の温度が冷却
工程により5℃〜90℃の範囲に保たれていることが好
ましく、さらに好ましくは5℃〜80℃の範囲、特に5
℃〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特
に、1500〜3000kg/cm2の範囲の高圧の分
散時には、前記の冷却工程を設置することが有効であ
る。冷却装置は、その所要熱交換量に応じて、2重管や
3重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱
交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができ
る。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考
慮して、管の太さ、肉厚や材質などの好適なものを選べ
ばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20
℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また、
必要に応じて−30℃のエチレングリコール/水等の冷
媒を使用することができる。
【0064】有機酸銀塩の分散時に感光性ハロゲン化銀
塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下
する場合があるため、分散時には感光性ハロゲン化銀塩
を実質的に含まないことがより好ましい。分散される水
分散液中での感光性ハロゲン化銀塩量は、その液中の有
機酸銀塩1molに対し0.1mol%以下であり、積
極的な感光性ハロゲン化銀塩の添加は行わなことが望ま
しい。機械的に分散する以外にも、pHコントロールす
ることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下
でpHを変化させて微粒子化させてもよい。このとき、
粗分散に用いる溶媒として有機酸溶媒を使用してもよ
く、通常、有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0065】有機酸銀塩の製造方法にて調製された有機
酸銀塩は、水溶媒中で微細分散された後、感光性ハロゲ
ン化銀塩水溶液と混合して感光性画像形成層の塗布液と
して供給されることが好ましい。このような塗布液を用
いて熱現像画像記録材料を作製するとヘイズが低く、低
カブリで高感度の熱現像画像記録材料が得られる。これ
に対し、高圧下で高速流に変換して有機酸銀塩を微細分
散する時に感光性ハロゲン化銀塩を共存させると、カブ
リが上昇し、感度が著しく低下する場合があるので、高
圧、高速化に変換して分散される水分散液は、実質的に
感光性ハロゲン化銀塩を含まないことが望ましい。ま
た、分散媒として水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘ
イズが高くなり、カブリが上昇し、感度が低下しやすく
なる場合がある。一方、感光性ハロゲン化銀塩水溶液を
混合する方法にかえて、分散液中の有機酸銀塩の一部を
感光性ハロゲン化銀塩に変換するコンバージョン法を用
いると感度が低下する場合がある。
【0066】本発明に用いることができる有機酸銀塩の
形状としては特に制限はないが、鱗片状粒子、針状粒
子、棒状粒子、平板状粒子が挙げられる。本発明におい
てはりん片状の有機酸銀塩が好ましい。本明細書におい
て、りん片状の有機酸銀塩とは、次のようにして定義す
る。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子
の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい
方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよ
い。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のように
してxを求める。 x=b/a このようにして200個程度の粒子についてxを求め、
その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5
の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30
≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平
均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<
1.5である。
【0067】りん片状粒子において、aはbとcを辺と
する面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることがで
きる。aの平均は0.01μm〜0.23μmが好まし
く、0.1μm〜0.20μmがより好ましい。c/b
の平均は好ましくは1〜6、より好ましくは1.05〜
4、さらに好ましくは1.1〜3、特に好ましくは1.
1〜2である。
【0068】本発明において調製された有機酸銀塩粒子
の球相当径は0.1μm〜0.8μmである事が好まし
く、0.1μm〜0.6μmである事が更に好ましい。
また、粒子の長辺/短辺が1〜4である事が好ましく、
1〜3であることが更に好ましく、1〜2である事が特
に好ましい。また、粒子のアスペクト比(主平面の粒子
サイズ(円相当直径)/粒子の厚さ)は、2〜30であ
ることが好ましく、2〜15ある事が更に好ましい。ま
た、粒子の厚さが0.01μm〜0.20μmである事
が好ましく、0.01μm〜0.15μmであることが
更に好ましい。以上の要件を満たした粒子を全粒子の投
影面積の30%〜100%含む事が特徴であり、50%
〜100%含む事が更に好ましく、70%〜100%含
む事が特に好ましい。
【0069】有機酸銀塩の粒子サイズ分布は、できるだ
け単分散であることが好ましい。粒子直径の標準偏差を
粒子直径で割った値の100倍を変動係数とすると、有
機酸銀塩粒子の粒子サイズの変動係数は20%以下が好
ましく、より好ましくは18%以下、更に好ましくは1
5%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分
散した有機酸銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光の
ゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることに
より得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)を得る
(いわゆる動的光散乱法)ことができる。
【0070】有機酸銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ
(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固体微
粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。平均粒子サイズ0.05μm〜10.0μm
の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒
子サイズ0.1μm〜5.0μm、さらに好ましくは平
均粒子サイズ0.1μm〜2.0μmである。
【0071】有機酸銀塩と感光性ハロゲン化銀塩との混
合比率は目的に応じて選択できるが、有機酸銀塩に対す
る感光性ハロゲン化銀塩の割合は1〜30モル%の範囲
が好ましく、さらに3〜20モル%、特に5〜15モル
%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機酸銀
塩水分散液と2種以上の感光性ハロゲン化銀塩水分散液
を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用
いられる方法である。有機酸銀塩は熱現像画像記録材料
において所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜
5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2
である。
【0072】本発明の熱現像画像記録材料には有機銀塩
のための還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のため
の還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質
(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元
剤は、特開平11−65021号公報の段落番号[00
43]〜[0045]や、欧州特許公開EP第0803
764A1号公報の第7ページ第34行〜第18ページ
第12行、特願2000−16661号明細書、同20
00−208号明細書、特願2000−2428号明細
書に記載されている。本発明において、還元剤としては
ビスフェノール類還元剤が好ましく、下記に好ましい具
体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0073】
【化1】
【0074】
【化2】
【0075】
【化3】
【0076】
【化4】
【0077】本発明において還元剤の添加量は0.01
〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1〜3.
0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有
する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれるこ
とが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさら
に好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好
ましい。
【0078】還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微
粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せし
め、感光材料に含有させてもよい。よく知られている乳
化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジル
フォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジ
エチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘ
キサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化
分散物を作製する方法が挙げられる。
【0079】また、固体微粒子分散法としては、還元剤
の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を
作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド
(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例え
ばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合
物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水
分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナト
リウム塩)を含有させることができる。
【0080】本発明の熱現像画像記録材料では、現像促
進剤として特願平11−73951号明細書に記載の式
(A)で表されるフェノール誘導体が好ましく用いられ
る。
【0081】本発明における還元剤が芳香族性の水酸基
(−OH)を有する場合、特に前述のビスフェノール類
の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可
能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ま
しい。水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基と
しては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル
基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン
基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが
挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、ス
ルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、
>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされ
ている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、
>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされ
ている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、
>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされ
ている。)を有する化合物である。本発明で、特に好ま
しい水素結合性の化合物は下記一般式(II)で表される
化合物である。
【0082】
【化5】
【0083】一般式(II)においてR11、R12およびR
13はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基
を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有して
いてもよく、R11、R12およびR13のうち任意の2つは
互いに結合して環を形成してもよい。R11、R12および
13が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン
原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ
基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキ
シカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、
スルホニル基、ホスホリル基などが挙げられ、好ましく
はアルキル基またはアリール基であり、具体例として
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェ
ニル基、4−アシルオキシフェニル基などが挙げられ
る。
【0084】R11、R12およびR13で表される基の具体
例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル
基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−
アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メ
チルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2
−フェノキシプロピル基などの置換または非置換アルキ
ル基;フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル
基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェ
ニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル
基などの置換または非置換アリール基;メトキシ基、エ
トキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチル
ヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオ
キシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、
4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基
などの置換または非置換アルコキシル基;フェノキシ
基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4
−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニル
オキシ基などの置換または非置換アリールオキシ基;ア
ミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘ
キシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニ
ルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基などの
置換または非置換アミノ基;2−ピリジル基、4−ピリ
ジル基、2−フラニル基、4−ピペリジニル基、8−キ
ノリル基、5−キノリル基などのヘテロ環基が挙げられ
る。
【0085】R11、R12およびR13は、好ましくは、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオ
キシ基である。本発明の効果の点ではR11、R12および
13のうち一つ以上がアルキル基またはアリール基であ
ることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリー
ル基であることがより好ましい。また、安価に入手する
事ができるという点ではR11、R12およびR13が同一の
基であることが好ましい。
【0086】以下に一般式(II)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこ
れらに限定されるものではない。
【0087】
【化6】
【0088】
【化7】
【0089】
【化8】
【0090】
【化9】
【0091】一般式(II)の化合物は、還元剤と同様に
溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で
塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができ
る。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸
基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成
しており、還元剤と本発明の一般式(II)の化合物との
組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離するこ
とができる。このようにして単離した結晶粉体を固体分
散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得
る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式
(II)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使っ
て、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる
方法も好ましく用いることができる。一般式(II)の化
合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用
することが好ましく、より好ましくは10〜150モル
%の範囲で、さらに好ましくは30〜100モル%の範
囲である。
【0092】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造として好ましくいものは
2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコ
ア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀また
は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ま
しく用いることができる。
【0093】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許
第3,700,458号明細書に記載されている方法を
用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他
のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合
物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、
その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開
平11−119374号公報公報の段落番号[021
7]〜[0224]に記載されている方法、特願平11
−98708号明細書、同11−84182号明細書に
記載の方法も好ましい。
【0094】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm〜0.15μm、更に好ましくは0.02
μm〜0.12μmがよい。ここでいう粒子サイズと
は、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主
平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径
をいう。
【0095】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光
性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)に
ついては特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場
合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高
いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ま
しく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好
ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸
着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sc
i.,29、165(1985年)に記載の方法により
求めることができる。
【0096】本発明においては、六シアノ金属錯体を粒
子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六
シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[F
e(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(C
N)64-、[Co(CN)6 3-、[Rh(CN)6
3-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[R
e(CN)63-などが挙げられる。本発明においては
六シアノFe錯体が好ましい。
【0097】六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの
形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混
和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合してい
るナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオ
ン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ
金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウ
ムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモ
ニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオ
ン)を用いることが好ましい。
【0098】六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和し
うる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することが
できる。
【0099】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5モル〜1×10-2モルが好ましく、より
好ましくは1×10-4モル〜1×10-3モルである。
【0100】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表
面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に
使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セ
レン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等
の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終
了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前
に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないた
めには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加す
ることが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好
ましい。
【0101】尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成
をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加
した後から開始してもよく、98質量%添加した後から
開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特
に好ましい。
【0102】これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了
する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハ
ロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほと
んどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。こ
の六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩
であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒
子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが
可能となった。
【0103】感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第
1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属また
は金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族
〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ま
しくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。こ
れら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金
属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は
銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲
が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添
加法については特開平7−225449号公報、特開平
11−65021号公報の段落番号[0018]〜[0
024]、特開平11−119374号公報の段落番号
[0227]〜[0240]に記載されている。
【0104】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(C
N)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法
については特開平11−84574号公報の段落番号
[0046]〜[0050]、特開平11−65021
号公報の段落番号[0025]〜[0031]、特開平
11−119374号公報の段落番号[0242]〜
[0250]に記載されている。
【0105】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用す
ることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含
有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子
量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用
することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子
形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよい
が、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
【0106】本発明に適用できる増感色素としてはハロ
ゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン
化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択するこ
とができる。増感色素及び添加法については、特開平1
1−65021号公報の段落番号[0103]〜[01
09]、特開平10−186572号公報の一般式(I
I)で表される化合物、特開平11−119374号公
報の一般式(I)で表される色素及び段落番号[010
6]、米国特許第5,510,236号明細書、同第
3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、
特開平2−96131号公報、特開昭59−48753
号公報に開示されている色素、欧州特許公開EP第08
03764A1号公報の第19ページ第38行〜第20
ページ第35行、特願2000−86865号明細書、
特願2000−102560号明細書等に記載されてい
る。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上
組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロ
ゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布ま
での時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟
成の開始前までの時期である。本発明における増感色素
の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量に
することができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル
当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは1
-4〜10-1モルである。
【0107】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開EP第587,338号
公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第
4,873,184号明細書、特開平5−341432
号公報、同11−109547号公報、同10−111
543号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0108】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法に
て化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セ
レン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物
としては公知の化合物、例えば、特開平7−12876
8号公報等に記載の化合物等を使用することができる。
特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平1
1−65021号公報の段落番号[0030]に記載の
文献に記載の化合物、特開平5−313284号公報中
の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物が
より好ましい。
【0109】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)
分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。特に分光増
感後に行われることが好ましい。本発明で用いられる硫
黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましく
は10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化
学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては
5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜
95℃程度である。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤に
は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示され
る方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよ
い。
【0110】本発明に用いられる感光材料中の感光性ハ
ロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例
えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異
なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なる
もの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化
銀を複数種用いることで階調を調節することができる。
これらに関する技術としては特開昭57−119341
号公報、同53−106125号公報、同47−392
9号公報、同48−55730号公報、同46−518
7号公報、同50−73627号公報、同57−150
841号公報などが挙げられる。感度差としてはそれぞ
れの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好
ましい。
【0111】感光性ハロゲン化銀の添加量は、感光材料
1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g
/m2であることが好ましく、0.05〜0.4g/m2
であることがさらに好ましく、0.1〜0.4g/m2
であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対して
は、感光性ハロゲン化銀は0.01モル〜0.5モルが
好ましく、0.02モル〜0.3モルがより好ましい。
【0112】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製
終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモ
ジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調
製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロ
ゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等がある
が、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制
限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分
散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合すること
は、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0113】本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液
中への好ましい添加時期は、塗布する180分前〜直
前、好ましくは60分前〜10秒前であるが、混合方法
及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限
りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法として
は添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留
時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する
方法やN.Harnby、M.F.Edwards、
A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”
(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載さ
れているスタチックミキサーなどを使用する方法があ
る。
【0114】本発明の有機銀塩含有層のバインダーはい
かなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透
明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマ
ー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマ
ー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン
類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシ
エチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロ
ースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリド
ン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、
ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)
類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン
酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体
類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルア
セタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及び
ポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポ
リ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリ
デン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネー
ト)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)
類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被
覆形成してもよい。
【0115】本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒
の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾
燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバイ
ンダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能であ
る場合に、特に25℃、相対湿度60%での平衡含水率
が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に
向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5
mS/cm以下になるように調製されたものであり、こ
のような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用い
て精製処理する方法が挙げられる。
【0116】ここでいう前記ポリマーが可溶または分散
可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下
の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性
の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミ
ドなどを挙げることができる。
【0117】なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておら
ず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、こ
こでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0118】また「25℃、相対湿度60%における平
衡含水率」とは、25℃、相対湿度60%の雰囲気下で
調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態
にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すこ
とができる。 25℃、相対湿度60%における平衡含水率={(W1
−W0)/W0}×100(質量%)
【0119】含水率の定義と測定法については、例えば
高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会
編、地人書館)を参考にすることができる。
【0120】本発明のバインダーポリマーの25℃、相
対湿度60%における平衡含水率は2質量%以下である
ことが好ましいが、より好ましくは0.01質量%〜
1.5質量%、さらに好ましくは0.02質量%〜1質
量%が望ましい。
【0121】本発明においては水系溶媒に分散可能なポ
リマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶
な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスや
ポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散し
ているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散粒子
の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜
1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分
布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの
でも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0122】本発明において水系溶媒に分散可能なポリ
マーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポ
リ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ
(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビ
ニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィ
ン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができ
る。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分か
れしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよい
し、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分
子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ま
しくは10000〜200000がよい。分子量が小さ
すぎるものは画像形成層(乳剤層)の力学強度が不十分
であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
【0123】好ましいポリマーラテックスの具体例とし
ては以下のものを挙げることができる。以下では原料モ
ノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は
数平均分子量である。
【0124】P−1;−MMA(70)−EA(27)
−MAA(3)−のラテックス(分子量37000) P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St
(5)−AA(5)−のラテックス(分子量4000
0) P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)
−のラテックス(分子量45000) P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−
のラテックス(分子量60000) P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−
のラテックス(分子量60000) P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−
のラテックス(分子量120000) P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−
のラテックス(分子量108000) P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)
−MAA(2)−のラテックス(分子量150000) P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)
−AA(3)−のラテックス(分子量280000) P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(2
0)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量
80000) P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA
(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量6700
0) P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテッ
クス(分子量12000) P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA
(3)のラテックス(分子量130000) P−14;−MMA(63)−EA(35)−AA
(2)のラテックス(分子量33000)
【0125】上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレ
ート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2エチルヘキ
シルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエ
ン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,V
C;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩
化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0126】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル系ポリマーの例としては、セビアンA−463
5,46583,4601(以上ダイセル化学工業
(株)製)、Nipol Lx811、814、82
1、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、
ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX E
S650、611、675、850(以上大日本インキ
化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イース
トマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例とし
ては、HYDRAN AP10、20、30、40(以
上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例として
は、LACSTAR 7310K、3307B、470
0H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、
Nipol Lx416、410、438C、2507
(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)
類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例として
は、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)な
ど、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS
120、SA100(以上三井石油化学(株)製)など
を挙げることができる。これらのポリマーラテックスは
単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンド
してもよい。
【0127】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテッ
クスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけ
るスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位
との質量比は40:60〜95:5であることが好まし
い。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノ
マー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%
であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と
同様である。
【0128】本発明に用いることが好ましいスチレン−
ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−
3〜P−8、市販品であるLACSTAR−3307
B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられ
る。
【0129】本発明に用いるラテックスとしては、ガラ
ス転移温度(Tg)が10℃〜80℃の範囲にある場合
が好ましく、より好ましくは20℃〜60℃の範囲であ
る。Tgの異なるラテックスを2種以上ブレンドして使
用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはい
ることが好ましい。
【0130】本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必
要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層
の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20
質量%以下が好ましい。
【0131】本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成
層)は、ポリマーラテックスとを用いて形成されたもの
が好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バ
インダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、更
には1/5〜4/1の範囲が好ましい。
【0132】また、このような有機銀塩含有層は、通
常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された
画像形成層(感光性層、乳剤層)でもあり、このような
場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400
〜5、より好ましくは200〜10の範囲が好ましい。
【0133】本発明の画像形成層の全バインダー量は
0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2
の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のため
の架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加し
てもよい。
【0134】本発明において感光材料の有機銀塩含有層
塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあ
わせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系
溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミ
ド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよ
い。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好
ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成
の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90
/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチ
ルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/
5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/
10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコ
ール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0135】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体は、特開平10−628
99号公報の段落番号[0070]、欧州特許公開EP
第0803764A1号公報の第20頁第57行〜第2
1頁第7行に記載の特許のものが挙げられる。また、本
発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン
化物であり、これらについては、特開平11−6502
1号公報の段落番号[0111]〜[0112]に記載
の特許に開示されているものが挙げられる。特に特願平
11−87297号明細書の式(P)で表される有機ハ
ロゲン化合物、特開平10−339934号公報の一般
式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特願平1
1−90095号明細書、同11−89561号明細
書、同11−205329号明細書、同11−2053
30号明細書に記載の有機ハロゲン化合物が好ましい。
【0136】本発明において、カブリ防止剤を感光材料
に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に
記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物につい
ても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0137】その他のカブリ防止剤としては特開平11
−65021号公報の段落番号[0113]の水銀(I
I)塩、同号公報の段落番号[0114]の安息香酸
類、特願平11−87297号明細書の式(Z)で表さ
れるサリチル酸誘導体、特願平11−23995号明細
書の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合
物、特開平11−352624号公報の請求項9に係る
トリアジン化合物、特開平6−11791号公報の一般
式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メ
チル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げら
れる。
【0138】本発明における熱現像画像記録材料はカブ
リ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。ア
ゾリウム塩としては、特開昭59−193447号公報
に記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−
12581号公報に記載の化合物、特開昭60−153
039号公報に記載の一般式(II)で表される化合物が
挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に
添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する
面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添
加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期
としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有
機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布
液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から
塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉
末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良
い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と
混合した溶液として添加しても良い。本発明においてア
ゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀
1モル当たり1×10-6モル〜2モルが好ましく、1×
10-3モル〜0.5モルがさらに好ましい。
【0139】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができ、特開平10−62899号公報にの段落番号
[0067]〜[0069]、特開平10−18657
2号公報の一般式(I)で表される化合物及びその具体
例として段落番号[0033]〜[0052]、欧州特
許公開EP第0803764A1号公報の第20ページ
第36〜56行、特願平11−273670号明細書等
に記載されている。中でもメルカプト置換複素芳香族化
合物が好ましい。
【0140】本発明の熱現像画像記録材料では色調剤の
添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62
899号公報の段落番号[0054]〜[0055]、
欧州特許公開EP第0803764A1号公報の第21
ページ第23〜48行、特願平10−213487号明
細書に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラ
ジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4
−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジ
ノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−
ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン
類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル
酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル
酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジ
ン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)
フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブ
チルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメ
トキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジ
ン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好まし
く、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好まし
い。
【0141】本発明の画像形成層に用いることのできる
可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021
号公報の段落番号[0117]、超硬調画像形成のため
の超硬調化剤やその添加方法や量については、同号公報
の段落番号[0118]、特開平11−223898号
公報の段落番号[0136]〜[0193]、特願平1
1−87297号明細書の式(H)、式(1)〜
(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91
652号明細書の記載の一般式(III)〜(V)の化合物
(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤につ
いては特開平11−65021号公報の段落番号[01
02]、特開平11−223898号公報の段落番号
[0194]〜[0195]に記載されている。
【0142】蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用
いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を
有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1
ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0143】本発明の熱現像画像記録材料で超硬調化剤
を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸また
はその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リ
ンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン
酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三
リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸
(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いら
れる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を
挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸
ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムな
どがある。五酸化二リンが水和してできる酸またはその
塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度や
カブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1
〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/
2がより好ましい。
【0144】本発明における熱現像画像記録材料は画像
形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けること
ができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であっ
てもよい。表面保護層については、特開平11−650
21号公報の段落番号[0119]〜[0120]に記
載されている。本発明の表面保護層のバインダーとして
はゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PV
A)を用いることも好ましい。ゼラチンとしてはイナー
トゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼ
ラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用すること
ができる。PVAとしては、完全けん化物のPVA−1
05、部分けん化物のPVA−205,PVA−33
5、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、
クラレ(株)製の商品名)などが挙げられる。保護層
(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体
1m2当たり)としては0.3〜4.0g/m2が好まし
く、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0145】特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発
明の熱現像画像記録材料を用いる場合には、表面保護層
やバック層にポリマーラテックスを用いることが好まし
い。このようなポリマーラテックスについては「合成樹
脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発
行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝
明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会
発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井
宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記
載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質
量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリ
ル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチ
ルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(4
7.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーの
ラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9
質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4
質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸
(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタ
クリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量
%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アク
リル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが
挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとし
て、特願平11−6872号明細書のポリマーラテック
スの組み合わせ、特願平11−143058号明細書の
段落番号[0021]〜[0025]に記載の技術、特
願平11−6872号明細書の段落番号[0027]〜
[0028]に記載の技術、特願平10−199626
号明細書の段落番号[0023]〜[0041]に記載
の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテッ
クスの比率は全バインダーの10質量%〜90質量%が
好ましく、特に20質量%〜80質量%が好ましい。表
面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマ
ー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m
2当たり)としては0.3〜5.0g/m2が好ましく、
0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0146】本発明の画像形成層塗布液の調製温度は3
0℃〜65℃がよく、さらに好ましい温度は35℃〜6
0℃未満、より好ましい温度は35℃〜55℃である。
また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液
の温度が30℃〜65℃で維持されることが好ましい。
また、ポリマーラテックス添加前に還元剤と有機銀塩が
混合されていることが好ましい。
【0147】本発明の画像形成層は、支持体上に一また
はそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有
機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダー
よりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助
剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成
する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した
層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第
2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含ま
なければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成
は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、
また、米国特許第4,708,928号明細書に記載さ
れているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよ
い。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各画像形
成層(乳剤層)は、一般に、米国特許第4,460,6
81号明細書に記載されているように、各画像形成層の
間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用するこ
とにより、互いに区別されて保持される。
【0148】本発明の画像形成層には色調改良、レーザ
ー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観
点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment
Blue 60、C.I.Pigment Blue
64、C.I.Pigment Blue 15:
6)を用いることができる。これらについては国際公開
WO98/36322号公報、特開平10−26846
5号公報、同11−338098号公報等に詳細に記載
されている。
【0149】本発明の熱現像画像記録材料においては、
アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠
い側に設けることができる。
【0150】熱現像画像記録材料は一般に、画像形成層
(感光性層)に加えて非感光性層を有する。非感光性層
は、その配置から(1)画像形成層の上(支持体よりも
遠い側)に設けられる保護層、(2)複数の画像形成層
の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、
(3)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り
層、(4)画像形成層の反対側に設けられるバック層に
分類できる。フィルター層は、(1)または(2)の層
として感光材料に設けられる。アンチハレーション層
は、(3)または(4)の層として感光材料に設けられ
る。
【0151】アンチハレーション層については特開平1
1−65021号公報の段落番号[0123]〜[01
24]、特開平11−223898号公報、同9−23
0531号公報、同10−36695号公報、同10−
104779号公報、同11−231457号公報、同
11−352625号公報、同11−352626号公
報等に記載されている。アンチハレーション層には、露
光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有す
る。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を
用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染
料が好ましい。可視域に吸収を有する染料を用いてハレ
ーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色
が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像
の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に
非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加し
てアンチハレーション層として機能させることが好まし
い。これらの技術については特開平11−231457
号公報等に記載されている。
【0152】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学
濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような
光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.00
1〜1g/m2程度である。
【0153】なお、このように染料を消色すると、熱現
像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができ
る。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現
像画像記録材料において併用してもよい。同様に、二種
類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。このよう
な消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色において
は、特開平11−352626号公報に記載のような塩
基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上
降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−ク
ロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用することが
熱消色性等の点で好ましい。
【0154】本発明においては、銀色調、画像の経時変
化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有
する着色剤を添加することができる。このような着色剤
は、特開昭62−210458号公報、同63−104
046号公報、同63−103235号公報、同63−
208846号公報、同63−306436号公報、同
63−314535号公報、特開平01−61745号
公報、特願平11−276751号明細書などに記載さ
れている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m
2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては画
像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
【0155】本発明における熱現像画像記録材料は、支
持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を
含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、
いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0156】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましく、マット剤については、
特開平11−65021号公報の段落番号[0126]
〜[0127]に記載されている。マット剤は感光材料
1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜4
00mg/m2、より好ましくは5〜300mg/m2
ある。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなけれ
ばいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒〜200
0秒が好ましく、特に40秒〜1500秒が好ましい。
ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119
「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」
およびTAPPI標準法T479により容易に求めるこ
とができる。
【0157】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が10秒〜1200秒が好ましく、20
秒〜800秒が好ましく、さらに好ましくは40秒〜5
00秒である。
【0158】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。
【0159】本発明に適用することのできるバック層に
ついては特開平11−65021号公報の段落番号[0
128]〜[0130]に記載されている。
【0160】本発明の熱現像画像記録材料は、熱現像処
理前の膜面pHが6.0以下であることが好ましく、さ
らに好ましくは5.5以下である。その下限には特に制
限はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸
誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモ
ニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低
減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮
発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去でき
ることから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、
膜面pHの測定方法は、特願平11−87297号明細
書の段落番号[0123]に記載されている。
【0161】本発明の画像形成層、保護層、バック層な
ど各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては
T.H.James著“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPH
IC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan
Publishing Co., Inc.刊、197
7年刊)77頁〜87頁に記載の各方法があり、クロム
みょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−
トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニ
ルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス
(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など
記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号
明細書、特開平6−208193号公報などのポリイソ
シアネート類、米国特許4,791,042号明細書な
どのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号公報
などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられ
る。
【0162】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前〜
直前、好ましくは60分前〜10秒前であるが、混合方
法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる
限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法とし
ては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞
留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合す
る方法やN.Harnby、M.F.Edwards、
A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”
(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載さ
れているスタチックミキサーなどを使用する方法があ
る。
【0163】本発明に適用できる界面活性剤については
特開平11−65021号公報の段落番号[013
2]、溶剤については同号公報の段落番号[013
3]、支持体については同号公報の段落番号[013
4]、帯電防止又は導電層については同号公報の段落番
号[0135]、カラー画像を得る方法については同号
公報の段落番号[0136]に、滑り剤については特開
平11−84573号公報の段落番号[0061]〜
[0064]や特願平11−106881号明細書の段
落番号[0049]〜[0062]記載されている。
【0164】透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残
存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱
収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲
で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレ
フタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像画像
記録材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開
平8−240877号公報の実施例記載の染料−1)で
着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体に
は、特開平11−84574号公報の水溶性ポリエステ
ル、同10−186565号公報のスチレンブタジエン
共重合体、特願平11−106881号明細書の段落番
号[0063]〜[0080]の塩化ビニリデン共重合
体などの下塗り技術を適用することが好ましい。また、
帯電防止層若しくは下塗りについて特開昭56−143
430号公報、同56−143431号公報、同58−
62646号公報、同56−120519号公報、特開
平11−84573号公報の段落番号[0040]〜
[0051]、米国特許第5,575,957号明細
書、特開平11−223898号公報の段落番号[00
78]〜[0084]に記載の技術を適用することがで
きる。
【0165】熱現像画像記録材料は、モノシート型(受
像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像画像記
録材料上に画像を形成できる型)であることが好まし
い。
【0166】熱現像画像記録材料には、さらに、酸化防
止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助
剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層(感
光性層)あるいは非感光性層のいずれかに添加する。そ
れらについて国際公開WO98/36322号公報、欧
州特許公開EP803764A1号公報、特開平10−
186567号公報、同10−18568号公報等を参
考にすることができる。
【0167】本発明における熱現像画像記録材料はいか
なる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストル
ージョンコーティング、スライドコーティング、カーテ
ンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティン
グ、フローコーティング、または米国特許第2,68
1,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押
出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用い
られ、StephenF. Kistler、Pete
rt M. Schweizer著“LIQUID FILM COAT
ING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997
年)399頁〜536頁記載のエクストルージョンコー
ティング、またはスライドコーティング好ましく用いら
れ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられ
る。スライドコーティングに使用されるスライドコータ
ーの形状の例は同書427頁のFigure 11b.
1に ある。また、所望により同書399頁〜536頁
記載の方法、米国特許第2,761,791号明細書お
よび英国特許第837,095号明細書に記載の方法に
より2層またはそれ以上の層を同時に被覆することがで
きる。
【0168】本発明における有機銀塩含有層塗布液は、
いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。チ
キソトロピー性とは剪断速度の増加に伴い、粘度が低下
する性質を言う。粘度測定にはいかなる装置を使用して
もよいが、レオメトリックスファーイースト株式会社製
RFSフルードスペクトロメーターが好ましく用いら
れ、25℃で測定される。ここで、本発明における有機
銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は
400mPa・s〜100,000mPa・sが好まし
く、さらに好ましくは500mPa・s〜20,000
mPa・sである。また、剪断速度1000S-1におい
ては1mPa・s〜200mPa・sが好ましく、さら
に好ましくは5mPa・s〜80mPa・sである。
【0169】チキソトロピー性を発現する系は各種知ら
れており高分子刊行会編「講座・レオロジー」、室井、
森野共著「高分子ラテックス」(高分子刊行会発行)な
どに記載されている。流体がチキソトロピー性を発現さ
せるには固体微粒子を多く含有することが必要である。
また、チキソトロピー性を強くするには増粘線形高分子
を含有させること、含有する固体微粒子の異方形でアス
ペクト比を大きくすること、アルカリ増粘、界面活性剤
の使用などが有効である。
【0170】本発明の熱現像画像記録材料に用いること
のできる技術としては、欧州特許公開EP803764
A1号公報、欧州特許公開EP883022A1号公
報、国際公開WO98/36322号公報、特開昭56
−62648号公報、同58−62644号公報、特開
平9−281637、同9−297367号公報、同9
−304869号公報、同9−311405号公報、同
9−329865号公報、同10−10669号公報、
同10−62899号公報、同10−69023号公
報、同10−186568号公報、同10−90823
号公報、同10−171063号公報、同10−186
565号公報、同10−186567号公報、同10−
186569号公報〜同10−186572号公報、同
10−197974号公報、同10−197982号公
報、同10−197983号公報、同10−19798
5号公報〜同10−197987号公報、同10−20
7001号公報、同10−207004号公報、同10
−221807号公報、同10−282601号公報、
同10−288823号公報、同10−288824号
公報、同10−307365号公報、同10−3120
38号公報、同10−339934号公報、同11−7
100号公報、同11−15105号公報、同11−2
4200号公報、同11−24201号公報、同11−
30832号公報、同11−84574号公報、同11
−65021号公報、同11−109547号公報、同
11−125880号公報、同11−129629号公
報、同11−133536号公報〜同11−13353
9号公報、同11−133542号公報、同11−13
3543号公報、同11−223898号公報、同11
−352627号公報も挙げられる。
【0171】本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方
法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光し
た熱現像画像記録材料を昇温して現像される。好ましい
現像温度としては80〜250℃であり、さらに好まし
くは100〜140℃である。現像時間としては1〜1
80秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましく、1
0〜40秒が特に好ましい。
【0172】熱現像の方式としてはプレートヒーター方
式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式
とは特開平11−133572号公報に記載の方法が好
ましく、潜像を形成した熱現像画像記録材料を熱現像部
にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現
像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからな
り、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個
の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プ
レートヒータとの間に前記熱現像画像記録材料を通過さ
せて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。
プレートヒータを2〜6段に分けて先端部については1
〜10℃程度温度を下げることが好ましい。このような
方法は特開昭54−30032号公報にも記載されてお
り、熱現像画像記録材料に含有している水分や有機溶媒
を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像画
像記録材料が加熱されることでの熱現像画像記録材料の
支持体形状の変化を押さえることもできる。
【0173】本発明の感光材料はいかなる方法で露光さ
れても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。
本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー(Ar
+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レーザー、半
導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと
第2高調波発生素子などを用いることもできる。好まし
くは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レーザーであ
る。
【0174】露光部及び熱現像部を備えた医療用のレー
ザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザ
ーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。
FM−DP Lに関しては、Fuji Medical
Review No.8,page 39〜55に記
載されており、それらの技術は本発明の熱現像画像記録
材料のレーザーイメージャーとして適用することは言う
までもない。また、DICOM規格に適応したネットワ
ークシステムとして富士メディカルシステムが提案した
「AD network」の中でのレーザーイメージャ
ー用の熱現像画像記録材料としても適用することができ
る。
【0175】本発明の熱現像画像記録材料は、銀画像に
よる黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、
工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、C
OM用の熱現像感光材料として使用されることが好まし
い。
【0176】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限
り適宜変更することができる。したがって、本発明の範
囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0177】[比較例1] 《有機酸銀分散物Aの製造方法》ベヘン酸(ヘンケル社
製、製品名EdenorC22−85R)876g、蒸
留水4,230ml、tert−ブタノール1,200
mlを75℃で撹拌しながら5mol/LのNaOH水
溶液492mlを5分かけて添加した後に、60分間反
応させてベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀
404gの水溶液(pH4.0)2,062mlを用意
し、10℃に保温した。6,350mlの蒸留水と30
0mlのtert−ブタノールを入れた反応容器を30
℃に保温し、撹拌しながら先の硝酸銀水溶液の全量を一
定流量で添加し、7分経過後、次いでベヘン酸ナトリウ
ム溶液の全量を一定流量で添加した。この時の添加時間
は硝酸銀水溶液、ベヘン酸ナトリウム溶液それぞれ60
分と62分であった。したがって、最後の9分間はベヘ
ン酸ナトリウム溶液が単独で添加されている。添加終了
後にアニオン性界面活性剤S1の20質量%水溶液を2
16ml添加した。そのまま20分間撹拌しながら放置
し、25℃に降温した。得られた有機酸銀分散物のpH
は、6.3であった。また、反応後の銀/アルカリ金属
比は3.4モル%アルカリ過剰であった。
【0178】得られた有機酸銀分散物を図1に示す限外
濾過装置に移液し脱塩処理を行った。使用した限外濾過
膜モジュールは、旭化成製ACP−1050(中空糸
膜)である。濾過方式として、クロスフローを用いた。
膜の材質はポリアクリロニトリルで分画分子量1万3
千、送液流量は12リットル/分、平均濾過圧力は1.
5kgf/cm2であり、操作温度20℃とした。この
時の有機酸銀濃度はおよそ5.4質量%であり、純水を
連続補充する定容濾過を始めるに先立って、粒子濃度を
10質量%まで濃縮した。定容希釈水には分散剤濃度が
一定になるようにアニオン性界面活性剤S1水溶液を添
加したが、その濃度は0.3質量%であった。脱塩処理
中も連続してpHのモニターリングを行い、設定値を維
持した。電気電導度が200μS/cm未満になったと
ころでpH調整を中止し、希釈水の補充を止め、濃縮処
理に移行した。固形分濃度20質量%まで濃縮した時点
でモジュール入口圧力が膜の耐圧3kgf/cm2に達
したため濃縮終点とした。濾過速度は定容希釈中は13
L/(m2・h)とし、濃縮終点では5L/(m2・h)
とした。固形分濃度の測定には京都電子社製デジタル比
重計DA−300型を用い、最終的には絶乾質量より検
定した。
【0179】[実施例1] 《有機酸銀分散物Bの製造方法》有機酸銀分散物Aと同
様にベヘン酸ナトリウムと硝酸銀溶液の添加を行った。
但し、得られた有機酸銀分散物を図2に示す限外濾過装
置に移液し脱塩処理を行った。使用した振動駆動による
限外濾過装置はNEW LOGIC INTERNAT
INAL INC.製VSEP Lタイプである。振動
条件は振幅1.9cm周波数55HZで実施した。使用
した限外濾過膜は、材質はポリエーテルスルホン、分画
分子量1万、送液流量は3L/分、平均濾過圧力は1.
5kg/cm2、温度20℃とした。この時の有機酸銀
濃度はおよそ5.4質量%であり、純水を連続補充する
定容濾過を始めるに先立って、粒子濃度を10質量%ま
で濃縮した。定容希釈水には分散剤濃度が一定になるよ
うにアニオン性界面活性剤S1水溶液を添加したが、そ
の濃度は0.3質量%であった。脱塩処理中も連続して
pHのモニターリングを行い、設定値を維持した。電気
電導度が200μS/cm未満になったところでpH調
整を中止し、希釈水の補充を止め、30質量%まで濃縮
した。濾過速度は定容希釈中は61L/(m2・h)と
し、濃縮終点では30L/(m2・h)とした。固形分
濃度の測定には京都電子社製デジタル比重計DA−30
0型を用い、最終的には絶乾質量より検定した。
【0180】[比較例2] 《有機酸銀分散物Cの製造方法》ベヘン酸(ヘンケル社
製、製品名EdenorC22−85R)876g、蒸
留水4,230ml、tert−ブタノール1,200
mlを75℃で撹拌しながら5mol/LのNaOH水
溶液492mlを5分かけて添加した後に、60分間反
応させてベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀
404gの水溶液(pH4.0)2,062mlを用意
し、10℃に保温した。6140mlの蒸留水と300
mlのtert−ブタノールに界面活性剤S2の20質
量%水溶液を215ml添加し、反応容器を30℃に保
温し、撹拌しながら先の硝酸銀水溶液の全量を一定流量
で添加し、7分経過後、次いでベヘン酸ナトリウム溶液
の全量を一定流量で添加した。この時の添加時間は硝酸
銀水溶液、ベヘン酸ナトリウム溶液それぞれ60分と6
2分であった。したがって、最後の9分間はベヘン酸ナ
トリウム溶液が単独で添加されている。そのまま20分
間撹拌しながら放置し、25℃に降温した。得られた有
機酸銀分散物のpHは、6.3であった。限外濾過操作
は有機酸銀分散物Aと同条件で実施した。また、反応後
の銀/アルカリ金属比は3.4モル%アルカリ過剰であ
った。脱塩処理中は連続してpHのモニターリングを行
い、設定値を維持した。電気電導度が200μS/cm
未満になったところでpH調整を中止し、希釈水の補充
を止め、濃縮処理に移行した。固形分濃度18質量%ま
で濃縮した時点でモジュール入口圧力が膜の耐圧3kg
f/cm2に達したため濃縮終点とした。濾過速度は定
容希釈中は16L/(m2・h)とし、濃縮終点では4
L/(m2・h)とした。固形分濃度の測定には京都電
子社製デジタル比重計DA−300型を用い、最終的に
は絶乾質量より検定した。
【0181】[実施例2] 《有機酸銀分散物Dの製造方法》有機酸銀分散物Cと同
条件でベヘン酸ナトリウムと硝酸銀溶液の添加を行なっ
た。但し、得られた有機酸銀分散物を図2に示す限外濾
過装置に移液し脱塩処理を行なった。使用した振動駆動
による限外濾過装置は神鋼パンテック社製VSEP L
タイプである。振動条件は振幅1.9cm周波数55H
Zで実施した。使用した限外濾過膜は材質がポリエーテ
ルスルホン、分画分子量が1万、送液流量は平均濾過圧
力が1.5kg/cm2であり、温度20℃とした。こ
の時の有機酸銀濃度はおよそ5.5質量%であり、純水
を連続補充する定容濾過を始めるに先立って、粒子濃度
を10質量%まで濃縮した。定容希釈水には分散剤濃度
が一定になるようにアニオン性界面活性剤濃度S2を
0.19質量%とした。脱塩処理中も連続してpHのモ
ニターリングを行い、設定値を維持した。電気電導度が
200μS/cm未満になったところでpH調整を中止
し、希釈水の補充を止め、30質量%まで濃縮した。濾
過速度は定容希釈中は62L/(m2・h)とし、濃縮
終点では25L/(m2・h)とした。固形分濃度の測
定には京都電子社製デジタル比重計DA−300型を用
い、最終的には絶乾質量より検定した。
【0182】界面活性剤S1:ジイソブチルナフタレン
スルホン酸ナトリウム界面活性剤S2:
【化10】
【0183】実施例1、2、比較例1、2で調製した有
機酸銀塩粒子はすべて鱗片状であり、その詳細は以下の
表に示すとおりであった。
【0184】
【表1】
【0185】有機酸銀の結晶は疎水的で凝集しやすく、
膜濾過面に付着しやすいため、従来技術であるクロスフ
ロ−流れによるせん断力ではケーク厚みを薄く出来ず、
スラリー液の脱塩方法として経済濾過速度の観点で膜濾
過法の適用は難しかった。本発明の振動駆動型膜を有機
酸銀結晶分散液の濾過に適用することで製造設計可能な
領域の循環線速度において経済的な濾過速度が得られ
た。
【0186】[実施例3]本実施例において、実施例1
および2で製造した有機酸銀塩を用いて熱現像画像記録
材料を調製した。
【0187】《PET支持体の作成》テレフタル酸とエ
チレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=
0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4
(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペ
レット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶
融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が
175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成し
た。これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延
伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。こ
の時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。
この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部を
スリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/c
2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0188】《表面コロナ処理》ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。
この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−
ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0189】 《下塗り支持体の作成》 (下塗層塗布液の作成) 処方1.(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA−515GB(30質量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5、10質量%溶液) 21.5g 綜研化学(株)製、MP−1000 (ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml
【0190】 処方2.(バック面第1層用) スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 (8質量%水溶液) 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml
【0191】 処方3.(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製、メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製、MP−1000 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml NaOH(1質量%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0192】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感
光性層面)に上記下塗り塗布液処方1をワイヤーバーで
ウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)にな
るように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの
裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方2をワイヤー
バーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように
塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック
面)に上記下塗り塗布液処方3をワイヤーバーでウエッ
ト塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して18
0℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作成した。
【0193】《バック面塗布液の調製》 (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
ホンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN
10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンド
ミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、
アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒
子径0.2μmの塩基プレカーサー化合物の固体微粒子
分散液(a)を得た。
【0194】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびp−ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混
合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサンド
グラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビ
ーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分
散液を得た。
【0195】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プ
レカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料
固体微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレート微
粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイ
ソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルホン酸ナ
トリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、黄
色染料化合物15を3.9g、水を844ml混合し、
ハレーション防止層塗布液を調製した。
【0196】(バック面保護層塗布液の調製)容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルホン
酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニル
スルホンアセトアミド)2.4g、tert−オクチル
フェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム1g、
ベンゾイソチアゾリノン30mg、N−パーフルオロオ
クチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム塩
37mg、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフル
オロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエ
チル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15]
0.15g、C817SO3K32mg、C817SO2
(C37)(CH2CH2O)4(CH24SO3Na64
mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重
合質量比5/95)8.8g、エアロゾールOT(アメ
リカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフィン乳
化物を流動パラフィンとして1.8g、水を950ml
混合してバック面保護層塗布液とした。
【0197】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水14
21mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加
え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、
フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス
製反応壺中で攪拌しながら、34℃に液温を保ち、硝酸
銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した
溶液Aと臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量9
7.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけ
て全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水
溶液を10ml添加し、さらにベンツイミダゾールの1
0質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸
銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈
した溶液Cと臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量
400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で2
0分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維
持しながらコントロールドダブルジェット法で添加し
た。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イ
リジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを
添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶
液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム
水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。
0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調
整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなっ
た。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH
5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を
作成した。
【0198】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら3
8℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、
40分後に分光増感色素Aのメタノール溶液を銀1モル
当たり1×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し
た。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5
モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Bをメタノール
溶液で銀1モル当たり1.9×10-4モル加えて91分
間熟成した。N,N'−ジヒドロキシ−N"−ジエチルメ
ラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加
え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベン
ヅイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり3.
7×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−
メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶
液で銀1モルに対して4.9×10-3モル添加して、ハ
ロゲン化銀乳剤1を作成した。調製できたハロゲン化銀
乳剤中の粒子は、平均球相当径0.046μm、球相当
径の変動係数20%の純臭化銀粒子であった。粒子サイ
ズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から
求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムン
ク法を用いて80%と求められた。
【0199】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を4
9℃に変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シ
アノ鉄(II)カリウムを添加しなかったこと以外は同様
にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン
化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。
更に分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり7.5×
10-4モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル当たり
1.1×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5
−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに
対して3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様
にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカ
プトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル
−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を
行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2
の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径
の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0200】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を2
7℃に変更したこと以外は同様にして、ハロゲン化銀乳
剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様
に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aを
固体分散物(ゼラチン水溶液)で添加量を銀1モル当た
り6×10-3モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル
当たり5.2×10-4モルに変えた以外は乳剤1と同様
にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤
3の乳剤粒子は、平均球相当径0.038μm、球相当
径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0201】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。
【0202】《還元剤の25質量%分散物の調製》1,
1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)−3,5,5−トリメチルヘキサン10kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを
添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmの
ジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した
のち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、還元剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に
含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は
孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ
過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0203】《還元剤錯体の25質量%分散物の調製》
2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−
ブチルフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシド
の1:1錯体10kgと変性ポリビニルアルコール(ク
ラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶
液10kgに、水16kgを添加して、良く混合してス
ラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送
液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填し
た横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)
製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度
が25質量%になるように調製し、還元剤錯体分散物を
得た。こうして得た還元剤錯体分散物に含まれる還元剤
錯体粒子はメジアン径0.46μm、最大粒子径2.0
μm以下であった。得られた還元剤錯体分散物は孔径1
0.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0204】《メルカプト化合物の10質量%分散物の
調製》1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−
1,3,4−トリアゾールを5kgと変性ポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20
質量%水溶液5kgに、水8.3kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて6時間分散したのち、水を加えてメル
カプト化合物の濃度が10質量%になるように調製し、
メルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト化合
物分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジアン径
0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得
られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0205】《有機ポリハロゲン化合物の20質量%分
散物−1の調製》トリブロモメチルナフチルスルホン5
kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液2.5kgと、ト
リイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20
質量%水溶液213gと、水10kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハ
ロゲン化合物の濃度が20質量%になるように調製し、
有機ポリハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポ
リハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0
μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分
散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0206】《有機ポリハロゲン化合物の25質量%分
散物−2の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチル(4−
(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニ
ル)スルホン5kgを用い、分散し、この有機ポリハロ
ゲン化合物が25質量%となるように希釈し、ろ過を行
った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含
まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.3
8μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた
有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物
を除去して収納した。
【0207】《有機ポリハロゲン化合物の26質量%分
散物−3の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチルフェニルス
ルホン5kgを用い、20質量%MP203水溶液を5
kgとし、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が26
質量%となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得
た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子
径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン
化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。また、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0208】《有機ポリハロゲン化合物の25質量%分
散物−4の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチル−3−ペン
タノイルアミノフェニルスルホン5kgを用い、分散
し、この有機ポリハロゲン化合物が25質量%となるよ
うに希釈し、ろ過を行った。こうして得た有機ポリハロ
ゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒
子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以
下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は
孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過
を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0209】《フタラジン化合物の5質量%溶液の調
製》8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコール
MP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質
量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジン
の70質量%水溶液14.28kgを添加し、6−イソ
プロピルフタラジンの5質量%液を調製した。
【0210】《顔料の20質量%分散物の調製》C.
I.Pigment Blue 60を64gと花王
(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良
く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジル
コニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッ
セルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し顔料分
散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒
子は平均粒径0.21μmであった。
【0211】《SBRラテックス40質量%の調製》下
記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希釈したもの
をUF−精製用モジュールFS03−FC−FUY03
A1(ダイセン・メンブレン・システム(株))を用い
てイオン伝導度が1.5mS/cmになるまで希釈精製
し、三洋化成(株)製サンデット−BLを0.22質量
%になるよう添加した。更にNaOHとNH4OHを用
いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:2.3(モル
比)になるように添加し、pH8.4に調整した。この
時のラテックス濃度は40質量%であった。 (SBRラテックス:−St(71)−Bu(26)−
AA(3)−のラテックス)平均粒径0.1μm、濃度
45質量%、25℃、相対湿度60%における平衡含水
率0.6質量%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオ
ン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−
30S使用し、ラテックス原液(40質量%)を25℃
にて測定)、pH8.2
【0212】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%分散物を1.1g、有機酸銀分散物B又
はD103g、ポリビニルアルコールPVA−205
(クラレ(株)製)の20質量%水溶液5g、還元剤の
25質量%分散物25g、有機ポリハロゲン化合物分散
物−1,−2,−3を5:1:3(質量比)で総量1
6.3g、メルカプト化合物の10質量%分散物6.2
g、限外濾過(UF)精製し、pH調整したSBRラテ
ックス(Tg:24℃)40質量%を106g、フタラ
ジン化合物の5質量%溶液18mlを添加し、塗布直前
にハロゲン化銀混合乳剤Aを10gを良く混合した画像
形成層塗布液をそのままコーティングダイへ70ml/
2となるように送液し、塗布した。上記画像形成層塗
布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃
(No.1ローター、60rpm)で85[mPa・
s]であった。レオメトリックスファーイースト株式会
社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25
℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、1
00、1000[1/秒]においてそれぞれ1500、
220、70、40、20[mPa・s]であった。
【0213】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA−205(クラレ(株)製)の10質
量%水溶液772g、顔料の20質量%分散物5.3
g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレ
ート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共
重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテッ
クス27.5質量%液226gにエアロゾールOT(ア
メリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を2m
l、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を1
0.5ml、総量880gになるように水を加え、pH
が7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液
とし、10ml/m2になるようにコーティングダイへ
送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1
ローター、60rpm)で21[mPa・s]であっ
た。
【0214】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液8
0g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23m
l、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、
0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液
を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソ
チアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるよう
に水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん
26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したも
のを18.6ml/m2になるようにコーティングダイ
へ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.
1ローター、60rpm)で17[mPa・s]であっ
た。
【0215】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液1
02g、N−パーフルオロオクチルスルフォニル−N−
プロピルアラニンカリウム塩の5質量%溶液を3.2m
l、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)
エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2質
量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカン
サイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメ
チルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4
g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.4
μm)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸
4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベン
ゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう
水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67
質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直
前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗
布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティング
ダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(N
o.1ローター,60rpm)で9[mPa・s]であ
った。
【0216】
【化11】
【0217】
【化12】
【0218】《熱現像画像記録材料−1、2の作成》上
記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗
布液を固体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m
2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン
塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、
乾燥し、バック層を作成した。バック面と反対の面に下
塗り面から画像形成層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.1
4g/m2)、中間層、保護層第1層、保護層第2層の
順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱
現像画像記録材料の試料−1,−2を作成した。塗布乾
燥条件は以下のとおりである。塗布はスピード160m
/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間
隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気
圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は
塗布前にイオン風にて除電した。引き続くチリングゾー
ンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却し
た後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置
にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の
乾燥風で乾燥させた。乾燥後、25℃で相対湿度40〜
60%で調湿した後、膜面を70〜90℃になるように
加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。作製さ
れた熱現像画像記録材料のマット度はベック平滑度で画
像形成層面側が550秒、バック面が130秒であっ
た。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ
6.0であった。
【0219】《熱現像画像記録材料−3,4の作成》熱
現像画像記録材料−1,2に対して、画像形成層塗布液
を以下の様に変更し同様にして熱現像画像記録材料−
3,4を作製した。上記で得た顔料の20質量%水分散
物を1.1g、脂肪酸銀分散物B又はD103g、ポリ
ビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)の
20質量%水溶液5g、上記還元剤錯体の25質量%分
散物26g、有機ポリハロゲン化合物分散物−3,−4
を1:3(質量比)で総量8.2g、メルカプト化合物
10%分散物6.2g、限外濾過(UF)精製しpH調
整したSBRラテックス(Tg:24℃)40質量%を
106g、フタラジン化合物の5質量%溶液を18ml
を添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを10g
を良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティン
グダイへ70ml/m2となるように送液し、塗布する
工程を経て熱現像画像記録材料−3,4を作成した。
【0220】《写真性能の評価》富士メディカルドライ
レーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW
(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて
各熱現像画像記録材料を露光・熱現像(約120℃)
し、得られた画像の評価を濃度計により行った。また、
各熱現像画像記録材料に対して、特開平11−3493
25号公報の実施例−1に記載の写真性能の評価、光透
過性、強制経時保存性の評価を行った。その結果、いず
れの熱現像画像記録材料もDminが低く、高感度で、
完全に透明なレベルの光透過性で、強制経時カブリ増加
率が5〜6%で、光照射画像が保存により変化しないこ
とが確認された。
【0221】
【発明の効果】本発明によれば、塗布したときの面質が
良好である安定な有機酸銀塩分散物を、有機酸銀塩を固
形分として取出し再分散することなく製造することがで
きる。具体的には、限外濾過による脱塩操作において、
濾過膜面への分散物堆積ケークによる濾過速度低下を防
止する濾過手段を有するために、効率よく有機酸銀の脱
塩操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例による限外濾過処理(中空糸膜を用い
る濾過装置フロー)を行うために用いられる装置の一構
成例を示す模式図である。
【図2】 実施例による限外濾過処理(振動駆動型を用
いる濾過装置フロー)を行うために用いられる装置の一
構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1,6 タンク 2,7 循環用ポンプ 3,8 限外濾過モジュール(中空糸膜モジュール) 4,9 補充純水計測用流量計 5,10 透過水計測用流量計
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月27日(2000.6.2
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】有機酸銀塩の製造方法および熱現像画像
記録材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB25 AB28 BA00 BA14 BC00 BC01 BC12 CB00 CB03 4D006 GA06 HA01 JA35A JA56A JA67A KA02 KA63 KD02 KD04 KE01Q KE01R KE03Q KE03R KE06Q KE06R KE07Q KE07R KE13Q KE13R KE15Q KE19Q KE19R MA01 MB05 MC39X MC63X PC80

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)水、又は有機溶剤と水との混合溶
    液中に銀イオンを含む溶液;及び、(2)水、有機溶剤
    と水との混合溶液、又は有機溶剤中に有機酸のアルカリ
    金属塩を含む溶液;を反応させて有機酸銀塩を調製し、
    限外濾過によって副生成塩を除去する工程を含む有機酸
    銀塩の製造方法において、 分子量が3000以下であるアニオン性界面活性剤の少
    なくとも1種を限外濾過工程を開始するまでに反応液中
    に導入すること、及び、限外濾過を振動駆動する限外濾
    過膜を用いて行うことを特徴とする有機酸銀塩の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 限外濾過による脱塩操作によって電気伝
    導度が20〜300μS/cmに達した後に、分散物濃
    度を10〜70質量%に濃縮することを特徴とする請求
    項1に記載の有機酸銀塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応後の銀とアルカリ金属比が1〜20
    モル%アルカリ過剰であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の有機酸銀塩の製造方法。
  4. 【請求項4】 界面活性剤添加濃度が分散質の1〜30
    質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の有機酸銀塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応直後の有機酸銀の濃度が1〜10質
    量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の有機酸銀塩の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応直後の有機酸銀の濃度を15〜40
    質量%まで濃縮してから脱塩処理を行うことを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の有機酸銀塩の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 支持体の少なくとも一方の面に、有機酸
    銀塩、銀イオンのための還元剤、及びバインダーを含む
    熱現像画像記録材料の製造方法であって、請求項1〜6
    のいずれかに記載の製造方法により製造された有機酸銀
    塩を含む画像形成層塗布液を塗布する工程を含むことを
    特徴とする熱現像画像記録材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記画像形成層塗布液が、感光性ハロゲ
    ン化銀と、バインダーとして25℃、相対湿度60%で
    の平衡含水率が2質量%以下のポリマーをラテックスと
    して含有し、かつ該塗布液の溶媒の30質量%以上が水
    であることを特徴とする請求項7に記載の熱現像画像記
    録材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の製造方法によ
    り製造された熱現像画像記録材料。
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