JP2001188313A - 有機酸銀塩の製造方法およびそれを用いた熱現像感光材料 - Google Patents

有機酸銀塩の製造方法およびそれを用いた熱現像感光材料

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JP2001188313A JP2000090093A JP2000090093A JP2001188313A JP 2001188313 A JP2001188313 A JP 2001188313A JP 2000090093 A JP2000090093 A JP 2000090093A JP 2000090093 A JP2000090093 A JP 2000090093A JP 2001188313 A JP2001188313 A JP 2001188313A
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Naoyuki Kawanishi
直之 川西
Koichi Kuno
恒一 久野
Yoichi Nagai
洋一 永井
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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
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    • C07C51/41Preparation of salts of carboxylic acids
    • C07C51/412Preparation of salts of carboxylic acids by conversion of the acids, their salts, esters or anhydrides with the same carboxylic acid part
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49809Organic silver compounds

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像感光材料に用いた際にカブリが低く、
高感度で高い黒化濃度を得ることができ、さらにヘイズ
が低く熱現像処理後の画像劣化の少ない熱現像感光材料
の製造に適した有機酸銀塩の製造方法を提供する。 【解決手段】 有機酸銀塩の製造方法であって、(1)
水、又は有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオンを含む
溶液、及び(2)水、有機溶剤と水との混合溶液、又は有
機溶剤中に有機酸のアルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁
液を反応させて有機酸銀塩を調製し、脱塩操作によって
副生成塩を除去する工程を含み、かつ前記反応の前から
脱塩操作前までに分子量3000以下の分散剤を添加し
分散する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機酸銀塩の製造方
法およびそれを用いた熱現像感光材料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、医療分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・
イメージャーにより効率的に露光させることができ、高
解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成する
ことができる医療診断用および写真技術用途の光感光性
熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これ
ら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の
使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理
システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】一般画像形成材料の分野でも同様の要求は
あるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭
性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし
易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現
在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染
料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成
システムとして流通しているが、医療用画像の出力シス
テムとしては満足できるものがない。
【0004】一方、有機酸銀塩を利用した熱画像形成シ
ステムが、例えば、米国特許第3152904号、同第
3457075号の各明細書およびD.クロスターボア
ー(Klostervoer)による「熱によって処理
される銀システム(Thermally Proces
sed Silver Systems)」(イメージ
ング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Ima
ging Processes and Materi
als)Neblette 第8版、J.スタージ(S
turge)、V.ウオールワース(Walwort
h)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第2
79頁、1989年)に記載されている。特に、熱現像
感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲ
ン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機酸銀
塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バイン
ダーのマトリックス中に分散した画像形成層(感光性
層)を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高
温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるい
は還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤と
の間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。
酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の
触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像
は、露光領域に形成される。米国特許第2910377
号明細書、特公昭43−4924号公報をはじめとする
多くの文献に開示されている。これら有機酸銀塩を利用
した熱画像形成システムは、医療用画像として満足され
る画質と色調を達成し得る。
【0005】このようなシステムに使用される銀源は一
般的に脂肪酸の銀塩であり、種々の製造法が知られてい
る。例えば、特開昭49−93310号公報、特開昭4
9−94619号公報、および特開昭53−68702
号公報に記載されている水と水難溶性溶媒の共存液中に
て有機酸銀塩を調製する方法、特開昭53−31611
号公報、特開昭54−4117号公報、及び特開昭54
−46709号公報に記載されている水溶液中にて有機
酸銀塩を調製する方法、特開昭57−186745号公
報、特開昭47−9432号公報および米国特許第3,
700,458号明細書に記載されている有機溶媒中で
有機酸銀塩を調製する方法等がある。基本的には、脂肪
酸を水中でその融点以上に加熱して溶融させ、激しく攪
拌しながら水酸化ナトリウム又はアルカリ金属塩を加
え、その後、アルカリセッケンを銀セッケンに換えるた
め、硝酸銀を加えることにより調製する。
【0006】このようなアルカリセッケンは、水溶液中
ではミセルを形成し、外見上は白濁液となっている。こ
のようなミセル状態からの銀セッケンへの反応は、しば
しば製造安定性の問題を引き起こす。このため、アルカ
リセッケンを均一液にするための方法として、溶媒を水
とアルコールの混合液にする方法が特開昭55−406
07号公報に開示されている。
【0007】また、アルカリセッケンは、その名の通り
アルカリ性を呈する。従ってこの場合、銀セッケンは高
pH下で作られることになる。ところが、銀イオンを含
む溶液をアルカリ液中に添加することは、副生成物とし
て酸化銀を生じさせるばかりでなく、製造上避けられぬ
還元性の微量汚染物質が、高pHであるが故に高い還元
性を有し、意図しない銀核を生じさせることになる。こ
のような副生成物はかかる熱現像写真材料の性能、特に
望まれぬカブリを生じる点ではなはだ不利である。上記
観点から、副生成物の発生を抑えるために均一液を得る
ことを目的とした特開昭55−40607号公報記載の
方法においても、カブリの問題は解決されていない。
【0008】さらに、特開平9−127643号公報に
は、アルカリ金属塩液と硝酸銀溶液の同時計量添加によ
る銀塩形成法が開示されており、ベヘン酸ナトリウムの
水とイソプロピルアルコールの混合溶液と硝酸銀溶液と
の同時添加の記載がある。この方法は少なくとも高pH
下での反応を中性域まで下げることができ、酸化銀生成
量を下げる好ましい方法ではあるが、イソプロピルアル
コールには弱い還元性があり、この点、カブリを完全に
解決する手段には至らない。また、この方法で形成され
たベヘン酸銀粒子は0.04μm〜0.05μmの2次元
方向に異方的に成長した針状の粒子であり、粒子サイズ
や粒子形状の制御に関する記述はない。
【0009】有機酸銀塩を含む塗布液として実用に耐え
る均一分散物を得るためには、溶媒中で有機酸銀塩を凝
集なく微細に分散された状態にしておく必要がある。こ
のため、有機酸銀塩を微粒子分散する方法の開発が必要
である。通常は、例えばD.クルースタボア(Kloo
sterboer)による記載(イメージング・プロセ
シーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Pr
ocesses and Materials)Neb
lette 第8版,スタージ(Sturge),V.
ウォールワーズ(Walworth),A.シェップ
(Shepp)編集、第279頁、1989年)の様
に、疎水的である有機酸銀分散物粒子を形成した後にろ
過分離し、固形物として取り出してから、分散剤を混合
して再分散する方法がとられる。
【0010】有機酸銀塩を微粒子分散化する方法として
は、分散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、高
速ミキサー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリ
ーミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振
動ボールミル、遊星ボールミル、アトライター、サンド
ミル、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ロー
ラーミル、トロンミル、高速ストーンミル)を用い、機
械的に分散する方法が知られているが、これらの方法で
は、凝集粒子の多い、結果として塗布面質の劣悪な塗布
液しか得られないばかりでなく、もともと水難溶性塩と
して晶析した有機酸銀の一次粒子を無差別に粉砕してし
まう確率が高いため、結晶壁界面で銀核を形成してカブ
リ増大の原因ともなってしまう。
【0011】そこで、有機酸銀を一度固形分として取り
出して微分散するのではなく、アルカリ金属塩溶液と銀
イオンを含む溶液の反応時に得られた一次粒子をそのま
ま活用する方法が幾つか提案されている。例えば特開平
8‐234358号公報においては、有機酸のアルカリ
塩の微粒子が分散した水系分散液中に硝酸銀を添加して
得られた有機酸銀分散物を限外濾過によって脱塩する方
法が開示されている。さらにこの方法によれば、ポリビ
ニールアルコールやゼラチンなどの水溶性保護コロイド
を予め含有させてから限外濾過操作を行うことによって
分散安定性を増大させる手段も含まれる。しかしなが
ら、この方法によって得られる有機酸銀粒子の形状は針
状に限定されるばかりでなく、粒子サイズを制御するこ
とも困難であるために、熱現像感光材料に望まれる低カ
ブリで黒化濃度が高く、ヘイズの低い性能を安定に得る
には至っていない。
【0012】また、特開平9−127643号公報に
は、アルカリ金属塩溶液と硝酸銀溶液の同時計量添加に
より得られた有機酸銀分散物を透析や限外濾過を用いて
直接脱塩する方法が開示されている。この方法は、少な
くとも有機酸銀塩の晶析時に得られた一次粒子を損なわ
ずにそのまま感光層に導入することができるが、高塩濃
度雰囲気下での粒子の凝集や分散液を濃縮する上での高
粘化の問題などが解決されておらず、この点、実用的な
均一分散液を得るための手段には至らない。
【0013】さらに特開平9‐127643号公報にお
いては、特開平8‐234358号公報と同様に分散剤
を併用する方法が開示されているが、好ましい分散剤の
種類の言及はなく、有機酸銀粒子が生成する際の高塩濃
度かつ、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒共存下
で粒子形状や粒子サイズが制御され、分散安定性に優れ
る方法ではない。
【0014】また、微粒子かつ単分散な有機酸銀塩粒子
を得るためには、アルカリ金属塩溶液と銀イオンを含む
溶液を添加しながら激しく混合する必要がある。特に高
温で溶解した有機酸のアルカリ金属塩溶液は、添加され
た瞬間に温度低下し析出するため、希釈速度や流動が緩
慢であると大きな粗大粒子へと成長してしまう。よっ
て、気/液界面を有するタンクなどに添加する場合、撹
拌速度を上げると空気の巻き込みが起こるが、有機酸銀
塩粒子は極めて疎水的であり、同伴された泡の表面に吸
着して泡を安定化し破泡を妨げるばかりか、気泡上で隣
接した粒子同士は凝集を起こす。この様に空気を巻き込
んだ液はホイップクリーム状の高粘度の液体になり、均
一な反応を得る上での障害となる。
【0015】さらに、銀イオン液と有機酸のアルカリ金
属塩液が反応した後の液温が高いと物理熟成によって粒
子が成長するために常温程度に維持することが好まし
い。一方、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩の安定溶液を得る
ためには50℃以上の高温にする必要があり、添加液が
持ち込む熱量を相殺するための熱交換を迅速に行う必要
がある。例えば、タンク等にジャケット槽を付設する方
法では反応より生成した分散物濃度が高くなると、液の
流動が妨げられ十分な熱交換が得られないためにスケー
ルアップ性や濃厚系で反応を行う上での障害があった。
【0016】以上より、粒子サイズと粒子形状を独立し
て制御でき、単分散でカブリが低い有機酸銀塩を得るた
めの安定した製造方法は未だ見い出されていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決した有機酸銀塩の製造方法を提供することを課
題としている。より具体的には、粒子形状や粒子サイズ
を自由にコントロールでき、スケールアップや濃厚化に
適した有機酸銀塩の製造方法を提供することを課題とし
ている。また、本発明は、熱現像感光材料に用いた際に
カブリが低く、高感度で、高い黒化濃度を得ることがで
き、さらにヘイズが低く、熱現像処理後の画像劣化の少
ない熱現像感光材料を提供することを課題としている。
さらには現像時に良好な銀色調と写真特性を有し、さら
に露光、現像前後での安定性に優れた熱現像感光材料を
提供するも本発明の課題である。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記の手段により
上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、有機酸銀塩の製造方法であっ
て、(1)水、又は有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオ
ンを含む溶液、及び(2)水、有機溶剤と水との混合溶
液、又は有機溶剤中に有機酸のアルカリ金属塩を含む溶
液又は懸濁液を反応させて有機酸銀塩を調製し、脱塩操
作によって副生成塩を除去する工程を含み、かつ前記反
応の前から脱塩操作前までに分子量3000以下の分散
剤を添加し分散する方法が提供される。
【0019】この発明の好ましい態様によれば、有機酸
銀塩の反応終了後であって、かつ脱塩操作完了前に分子
量が3000より大きい分散剤を添加する工程をさらに
含む上記の方法;前記分子量が3000より大きい分散
剤が非イオン性界面活性剤である上記の方法;前記脱塩
操作が限外濾過法である上記の方法;前記分子量300
0以下の分散剤がアニオン性であり8から40の炭素数
からなる疎水性基を有するイオン性界面活性剤である上
記の方法;前記脱塩操作が限外濾過法であり、使用する
限外濾過膜が前記イオン性界面活性剤の分子量の10〜
50倍の分画分子量を有する上記の方法;前記脱塩操作
が限外濾過法であり、使用する限外濾過膜が前記イオン
性界面活性剤に対する阻止率0〜50%である上記の方
法;前記分子量が3000より大きい分散剤が限外濾過
膜の分画分子量の5〜50倍の分子量を有する非イオン
性界面活性剤である上記の方法が提供される。
【0020】この発明の好ましい態様の一つとして、有
機酸銀塩の製造方法であって、(1)水、又は有機溶剤と
水との混合溶液中に銀イオンを含む溶液、及び(2)水、
有機溶剤と水との混合溶液、又は有機溶剤中に有機酸の
アルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液を反応させて有機
酸銀粒子を形成し、(3)アニオン性であり8〜40の炭
素数からなる疎水基を有するイオン性界面活性剤を1種
類以上、反応開始前から脱塩操作前までに反応液中に導
入し、非イオン性であり分子量が次工程の限外濾過に使
用する膜の分画分子量の5倍〜50倍を有する高分子分
散剤を添加し、(4)(a)該イオン性界面活性剤の分子量の
10倍〜50倍の分画分子量を有する膜を用いて限外濾
過による副生成塩の除去を行うか、(b)該イオン性界面
活性剤に対する阻止率が50%〜0%である膜を用いて
限外濾過による副生成塩の除去を行うか、あるいは(a)
及び(b)の組み合わせにより副生成塩の除去を行う方法
が提供される。
【0021】さらに、この発明の好ましい態様によれ
ば、イオン性界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5〜
100倍である上記の方法;イオン性界面活性剤を導入
する時期が銀イオンを含む溶液の添加終了以前である上
記の方法;イオン性界面活性剤の親水基がスルホン酸ま
たは硫酸エステル塩であり、少なくとも一つの芳香族基
を有する上記の方法;限外濾過による脱塩操作中にイオ
ン性界面活性剤濃度を一定に保つように補充する工程を
含む上記の方法;異なるイオン性界面活性剤を補充しな
がら限外濾過による脱塩操作を行う工程を含む上記の方
法;非イオン性高分子分散剤を添加するに先立って限外
濾過操作を行い、非イオン性高分子分散剤を添加する際
の電気電導度が2,000μS/cm未満である上記の
方法;非イオン性高分子分散剤を添加した後に2倍〜1
0倍の定容希釈を行う上記の方法;非イオン性高分子分
散剤の濃度が有機酸銀塩固形分の0.1〜30重量%で
ある上記の方法;非イオン性高分子分散剤がポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピ
ルセルロースのいずれか、又はそれらの組み合わせであ
る上記の方法;定容希釈を行った後に分散物濃度を10
重量%〜50重量%に濃縮する工程を含む上記の方法が
提供される。
【0022】アニオン性であり8〜40の炭素数からな
る疎水基を有するイオン性界面活性剤の存在下では、有
機酸のアルカリ金属塩と銀イオンとが反応して有機酸銀
塩粒子が形成される際の固/液界面張力や有機酸銀塩結
晶面への選択的吸着などを制御することができるため、
針状、棒状、鱗片状、又は板状など様々な形状を有する
粒子を作り分けることが可能となるばかりか、反応時の
混合や温度を同時に規定することと相まって、粒子サイ
ズや粒子サイズ分布の制御も容易に行える。さらには、
こうして得られた分散物は、上記界面活性剤を使用しな
い場合と比較して低粘度化するため、撹拌混合や熱交換
効率、液体のハンドリング性が向上し、製造適性やスケ
ールアップ性に優れた調製方法として工業的に有用であ
る。
【0023】用いられる界面活性剤は、溶解性や有機酸
銀粒子粒子に対する吸着性などの観点からアニオン性界
面活性剤が好ましいが、アニオン系界面活性剤を最終的
に熱現像感光材料に含有させるとそのイオン性故に感光
材料の吸湿性が高くなり、感度や階調、さらには色調や
画像保存性に悪影響を及ぼす場合がある。本発明の好ま
しい態様では、限外濾過操作中に有機酸銀塩の形成上は
好ましいが、熱現像感光材料の性能に悪影響を及ぼす低
分子量の分散剤、特にアニオン性であり8〜40の炭素
数からなる疎水基を有するイオン性界面活性剤を、吸湿
性の低い高分子分散剤、特に非イオン性高分子分散剤に
置き換えることによって、総合的に優れた熱現像感光材
料を提供することができる。
【0024】別の観点からは、支持体の少なくとも一方
の面に感光性ハロゲン化銀、有機酸銀塩、銀イオンのた
めの還元剤、及びバインダーを含む熱現像感光材料の製
造方法であって、上記の方法により製造された有機酸銀
塩を用いることを特徴とする方法が提供され、その好ま
しい態様として、感光性ハロゲン化銀及び有機酸銀塩を
含有する画像形成層のバインダーが25℃、相対湿度6
0%での平衡含水率が2重量%以下のポリマーであり、
かつ該画像形成層の溶媒の30重量%以上が水である塗
布液を用いて塗布する工程を含む上記方法が提供され
る。さらに、上記の方法により製造された熱現像感光材
料も本発明により提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に用いることのできる有機
酸銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された
光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の
存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀
画像を形成する銀塩である。有機酸銀塩は銀イオンを還
元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このよ
うな非感光性の有機酸銀塩については、特開平10−6
2899号公報の段落番号0048〜0049、欧州特
許公開EP0803763A1号公報の第18ページ第
24行〜第19ページ第37行に記載されている。特に
炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の長鎖脂肪
族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機酸銀塩の好ましい
例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン
酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミ
リスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などを
含む。
【0026】本発明に用いることができる有機酸銀塩の
形状としては特に制限はないが、本発明においてはりん
片状の有機酸銀塩が好ましい。本明細書において、りん
片状の有機酸銀塩とは、次のようにして定義する。有機
酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を
直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方から
a、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)と
き、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを
求める。 x=b/a このようにして200個程度の粒子についてxを求め、
その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5
の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30
≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平
均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<
1.5である。
【0027】りん片状粒子において、aはbとcを辺と
する面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることがで
きる。aの平均は0.01μm〜0.23μmが好まし
く0.1μm〜0.20μmがより好ましい。c/bの
平均は好ましくは1〜6、より好ましくは1.05〜
4、さらに好ましくは1.1〜3、特に好ましくは1.
1〜2である。
【0028】有機酸銀塩の粒子サイズ分布は単分散であ
ることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長
さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100
分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%
以下、さらに好ましくは50%以下である。有機酸銀塩
の形状の測定方法としては有機酸銀塩分散物の透過型電
子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定す
る別の方法として、有機酸銀塩の体積加重平均直径の標
準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った
値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、よ
り好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下
である。測定方法としては例えば液中に分散した有機酸
銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間
変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた
粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができ
る。
【0029】本発明に用いられる有機酸銀は、(1)水、
又は有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオンを含む溶
液、及び(2)水、有機溶剤と水との混合溶液、又は有機
溶剤中に有機酸のアルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液
を反応させることにより得られる。有機酸のアルカリ金
属塩としては、Na塩,K塩,Li塩等が挙げられ、銀
イオンを含む溶液としては、硝酸銀溶液を用いることが
できる。有機酸アルカリ金属塩は、上記有機酸をアルカ
リ処理することによって得られる。有機酸銀の製造は、
任意の好適な容器中で回分式または連続式で行うことが
できる。反応容器中の攪拌は、粒子の要求される特性に
よって任意の方法で行うことができる。有機酸銀の調製
方法としては、有機酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁
液の入った反応容器に銀イオンを含む溶液を徐々にある
いは急激に添加する方法、銀イオンを含む溶液の入った
反応容器に予め調製した有機酸アルカリ金属塩溶液又は
懸濁液を徐々に、あるいは急激に添加する方法、予め調
製した銀イオンを含む溶液および有機酸アルカリ金属塩
を含む溶液又は懸濁液を反応容器中に同時に添加する方
法のいずれもが好ましく用いることができる。
【0030】銀イオンを含む溶液、及び有機酸アルカリ
金属塩を含む溶液又は懸濁液としては、調製する有機酸
銀の粒子サイズ制御のために任意の濃度のものを用いる
ことができ、また任意の添加速度で添加することができ
る。銀イオンを含む溶液、及び有機酸アルカリ金属塩を
含む溶液又は懸濁液の添加方法としては、添加速度を一
定にして添加する方法、任意の時間関数による加速添加
法あるいは減速添加法を採用することができる。また反
応液の液面に添加してもよく、また液中に添加してもよ
い。予め調製した銀イオンを含む溶液および有機酸アル
カリ金属塩を含む溶液又は懸濁液を反応容器中に同時に
添加する方法の場合には、銀イオンを含む水溶液あるい
は有機酸アルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液のいずれ
かを先行させて添加することもできるが、銀イオンを含
む溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度と
しては総添加量の0〜50容量%が好ましく、0〜25
容量%が特に好ましい。また特開平9−127643号
公報等に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀
電位を制御しながら添加する方法も好ましく用いること
ができる。
【0031】添加される銀イオンを含む溶液や有機酸ア
ルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液は、粒子の要求され
る特性によりそのpHを調整することができる。pH調
整のために任意の酸やアルカリを添加することができ
る。また、粒子の要求される特性により、例えば調製す
る有機酸銀の粒子サイズの制御のため反応容器中の温度
を任意に設定することができるが、添加される銀イオン
を含む溶液や有機酸アルカリ金属塩溶液又は懸濁液も任
意の温度に調製することができる。有機酸アルカリ金属
塩溶液又は懸濁液は液の流動性を確保するために、50
℃以上に加熱保温することが好ましい。
【0032】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
は総炭素数15以下の物が好ましく、10以下が特に好
ましい。好ましい第3アルコールの例としては、ter
t−ブタノール等が挙げられる。第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでもよい
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時の溶媒と
しての水に対して重量比で0.01〜10の範囲で任意
に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ま
しい。以下、第3アルコールの使用に言及しつつ有機酸
銀塩の調製法を説明する場合があるが、本発明の範囲は
第3アルコールを使用する場合に限定されることはな
い。
【0033】銀イオン源としては水溶性銀塩を用いるこ
とができ、水溶性銀塩としては硝酸銀が好ましい。溶液
における銀イオン濃度としては、0.03mol/l〜
6.5mol/lが好ましく、より好ましくは、0.1
mol/l〜5mol/lであり、この水溶液のpHと
しては2〜6が好ましく、より好ましくはpH3.5〜
6である。
【0034】また、銀イオンを含む溶液には、炭素数4
〜6の第3アルコールが含まれていてもよく、その場合
は銀イオンを含む溶液の全体積に対し、体積として70
%以下であり、好ましくは50%以下である。また、溶
液の温度としては0℃〜50℃が好ましく、5℃〜30
℃がより好ましく、後述のように、銀イオンを含む溶液
と有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液とを同
時添加する場合は、5℃〜15℃が最も好ましい。
【0035】有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属は、
具体的にはナトリウム塩又はカリウム塩などが挙げら
れ、有機酸アルカリ金属塩は、例えば、有機酸に水酸化
ナトリウム又は水酸化カリウムを添加することにより調
製される。このとき、アルカリの量を有機酸の等量以下
にして、未反応の有機酸を残存させることが好ましい。
この場合の、残存有機酸量は全有機酸1molに対し3
mol%〜50mol%であり、好ましくは3mol%
〜30mol%である。また、アルカリを所望の量以上
に添加した後に、硝酸、硫酸等の酸を添加し、余剰のア
ルカリ分を中和させることで調製してもよい。また、有
機酸銀塩の要求される特性によりpHを調節することが
できる。pH調節のためには、任意の酸やアルカリを使
用することができる。
【0036】さらに、銀イオンを含む水溶液、有機酸ア
ルカリ金属塩の第3アルコール水溶液、あるいは反応容
器の液には、例えば特開昭62−65035号公報の一
般式(1)で示されるような化合物、また、特開昭62
−150240号公報に記載のような、水溶性基含有N
ヘテロ環化合物、特開昭50−101019号公報記載
のような無機過酸化物、特開昭51−78319号公報
記載のようなイオウ化合物、特開昭57−643号公報
記載のジスルフィド化合物、また過酸化水素等を添加す
ることができる。
【0037】有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水
溶液は、液の均一性を得るために炭素数4〜6の第3ア
ルコールと水との混合溶媒であることが好ましい。炭素
数がこれを越えると水との相溶性が低下して好ましくな
い場合がある。炭素数4〜6の第3アルコールの中で
も、最も水との相溶性のあるtert−ブタノールが最
も好ましい。第3アルコール以外の他のアルコールは還
元性を有し、有機酸銀塩形成時に弊害を生じるために好
ましくない場合がある。有機酸アルカリ金属塩の第3ア
ルコール水溶液に併用される第3アルコール量は、この
第3アルコール水溶液中の水分の体積に対し、溶媒体積
として3%〜70%であり、好ましくは5%〜50%で
ある。有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液に
おける有機酸アルカリ金属塩の濃度は、重量比として、
7重量%〜50重量%であり、好ましくは、7重量%〜
45重量%であり、さらに好ましくは、10重量%〜4
0重量%である。
【0038】反応容器に添加する有機酸アルカリ金属塩
の第3アルコール水溶液の温度としては、有機酸アルカ
リ金属塩の結晶化、固化の現象を避けるために必要な温
度に保っておく目的で50℃〜90℃が好ましく、より
好ましくは60℃〜85℃がより好ましく、65℃〜8
5℃が最も好ましい。また、反応の温度を一定にコント
ロールするために上記範囲から選ばれるある温度で一定
にコントロールされることが好ましい。
【0039】本発明において好ましく用いられる有機酸
銀塩は、i)銀イオンを含む溶液を先に反応容器内に全
量存在させておき、その溶液中に有機酸アルカリ金属塩
の第3アルコール水溶液をシングル添加する方法;又は
ii)銀イオンを含む溶液と有機酸アルカリ金属塩の第
3アルコール水溶液とを反応容器内に同時に添加する時
期が工程中に存在する方法(同時添加法)によって製造
される。本発明においては、有機酸銀塩の平均粒子サイ
ズをコントロールし、分布を狭くする点で後者の同時添
加法が好ましい。その場合、総添加量の30容量%以上
が同時に添加されることが好ましく、より好ましくは5
0〜75容量%が同時に添加されることである。いずれ
かを先行して添加する場合は銀イオンを含む溶液を先行
させる方が好ましい。
【0040】いずれの場合においても、反応容器中の液
(前述のように先行して添加された銀イオンを含む溶
液、又は先行して銀イオンを含む溶液を添加しない場合
には、あらかじめ反応容器中に入れられている溶媒)の
温度は、好ましくは5℃〜75℃、より好ましくは5℃
〜60℃、最も好ましくは10℃〜50℃である。反応
の全行程にわたって前記温度から選ばれるある一定の温
度にコントロールされることが好ましいが、前記温度範
囲内でいくつかの温度パターンでコントロールすること
も好ましい。
【0041】有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水
溶液と反応容器中の液との温度の温度差は、20℃〜8
5℃が好ましく、より好ましくは30℃〜80℃であ
る。この場合有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水
溶液の温度の方が高いことが好ましい。これにより、高
温の有機酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液が反
応容器で急冷されて微結晶状に析出する速度と、水溶性
銀塩との反応で有機酸銀塩化する速度が好ましく制御さ
れ、有機酸銀塩の結晶形態、結晶サイズ、結晶サイズ分
布を好ましく制御することができる。また同時に熱現像
材料、特に熱現像感光材料として性能をより向上させる
ことができる。
【0042】例えば、本発明において好ましいりん片状
の有機酸銀塩は、銀イオンを含む溶液と有機酸アルカリ
金属塩を含む第3アルコール水溶液とを反応容器内で反
応させる(反応容器内の液に有機酸アルカリ金属塩を含
む第3アルコール水溶液を添加する工程を含む。)際
に、反応容器内の液(先行して容器内に入れた銀イオン
を含む溶液であるか、または銀イオンを含む溶液を先行
することなく有機酸アルカリ金属塩を含む第3アルコー
ル水溶液とはじめから同時に添加する場合は、水又は水
と第3アルコールとの混合溶媒であり、銀イオンを含む
溶液を先行して入れる場合においても水又は水と第3ア
ルコールとの混合溶媒をあらかじめ入れておいてもよ
い。)と添加する有機酸アルカリ金属塩を含む第3アル
コール水溶液との温度差を20℃〜85℃とする方法で
製造されることが好ましい。このような温度差を有機酸
アルカリ金属塩を含む第3アルコール水溶液の添加中に
て維持することによって、有機酸銀塩の結晶形態等が好
ましく制御される。反応容器中には、あらかじめ溶媒を
含有させておいてもよく、あらかじめ入れられる溶媒に
は水が好ましく用いられるが、前記第3アルコールとの
混合溶媒も好ましく用いられる。
【0043】本発明では、銀イオンを含む溶液(溶媒と
しては水又は水と有機溶剤との混合物が用いられる)
と、有機酸のアルカリ金属塩の溶液又は分散液(溶媒又
は分散媒としては、水、水と有機溶剤との混合物、又は
有機溶剤が用いられる)との反応の前から脱塩操作前ま
でに、分子量3000以下の分散剤を添加し分散する。
このような界面活性剤は、銀イオンを含む溶液、または
有機酸のアルカリ金属塩の溶液もしくは分散液のいずれ
か一方、あるいは両者に添加することができる。また、
予め反応溶器内に入れておく液中に添加しておいてもよ
いし、別途、水、水と有機溶媒との混合物、または有機
溶媒中に溶解して反応系内に添加してもよい。これらの
添加方法を任意に組み合わせてもよい。
【0044】分散剤としては、形成した有機酸銀塩を分
散可能で、かつ分子量が3000以下であればどのよう
な化合物でもよい。分子量としては100〜3000が
好ましく、100〜2000がより好ましい。分散剤と
しては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スル
ホン酸塩、リン酸エステル塩のようなアニオン界面活性
剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレ
ングリコール型非イオン界面活性剤、第1級アミン塩、
第2級アミン塩、第3級アミン塩のようなカチオン界面
活性剤およびそのオリゴマー等があげられる。好ましく
は、分子内にスルホン酸基を有する分散剤である。分子
量3000以下の分散剤としては、テトラデカン2,3
−エン−1−スルホン酸ナトリウム(分子量299)、
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸(分子量35
7)、ナフタレンスルホン酸オリゴマー(平均分子量1
250)などが挙げられる。分子量3000以下の分散
剤の添加量は、用いる分散剤の種類や粒子サイズ等によ
り異なり、得られる有機酸銀が凝集しない量であれば特
に制限はないが、通常、有機酸銀塩に対して0.1〜3
0重量%、特に0.5〜15重量%が好ましく用いられ
る。
【0045】分子量3000以下の分散剤を導入する時
期は、親水的な有機酸のアルカリ金属塩が銀イオンと反
応して疎水的な有機酸銀塩へと変化することより粒子同
士が凝集しやすくなるため、銀イオンを含む溶液の添加
終了以前であることが特に好ましい。
【0046】好ましい分子量3000以下の分散剤は、
反応に用いられる水または水と有機溶媒の混合物(これ
らを「水性媒体」と呼ぶ場合がある。)に可溶なアニオ
ン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤として
は、形成した有機酸銀塩を分散可能で、かつ炭素数が8
〜40の範囲であればどのような化合物でもよい。炭素
数としては12〜40がより好ましい。また、親水性基
はカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン
酸エステル塩などのアニオン性基ならばいずれでもよい
が、銀イオンを含む溶液と有機酸のアルカリ金属塩の溶
液との反応から生ずる副生成塩による高いイオン強度雰
囲気において分散安定性を付与する観点より、硫酸エス
テル塩もしくはスルホン酸塩が好ましく、少なくとも一
つの芳香族基を有することがより好ましい。
【0047】アニオン性界面活性剤の添加量は、用いる
界面活性剤の種類や有機酸銀塩の粒子サイズにより異な
り、得られる有機酸銀塩が安定に分散される量であれば
特に制限はないが、有機酸銀塩粒子の生成速度に追従で
きる吸着速度を有するためには臨界ミセル濃度の5〜1
00倍であることが好ましく、臨界ミセル濃度の20〜
80倍がより好ましい。
【0048】本発明においては、さらに分子量が300
0より大きい分散剤を併用することができる。このよう
な分散剤としては、ポリアクリル酸、ナフタレンスルホ
ン酸ポリマー、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重
合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイル
メチルプロパンスルホン酸共重合体などの合成アニオン
ポリマー;カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチ
ルセルロースなどの半合成アニオンポリマー;アルギン
酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー;その他、ポ
リビニルアルコール(例えば、商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の
公知のポリマー、あるいはゼラチン等の自然界に存在す
る高分子化合物を適宜選択して用いることができる。
【0049】分子量が3000より大きい分散剤とし
て、好ましくは非イオン性高分子分散剤を用いることが
でき、より好ましくは、有機酸銀塩を分散可能で、反応
水性溶媒に可溶な非イオン性高分子分散剤であって、分
子量が銀イオンを含む溶液と有機酸のアルカリ金属塩の
溶液との反応から生ずる副生成塩の脱塩に使用する限外
濾過膜の分画分子量の5倍〜10倍を有するものが挙げ
られる。このような分散剤としては、ポリビニルアルコ
ール,ポリビニルピロリドン,ヒドロキシプロピルセル
ロースが好ましく使用される。
【0050】分子量が3000より大きい分散剤、好ま
しくは非イオン性高分子分散剤の濃度は、有機酸銀塩に
対して0.1〜30重量%、特に0.5〜30重量%の範
囲が好ましい。分子量が3000より大きい分散剤、好
ましくは非イオン性高分子分散剤の添加時期は特に限定
されないが、有機酸銀塩反応の阻害を防止するために、
有機酸銀塩の反応終了後であって、かつ脱塩操作完了前
であることが好ましい。さらに好ましい態様によれば、
限外濾過によって脱塩を行い、有機酸銀分散液の電気伝
導度が低下した後、脱塩操作の完了前に分子量が300
0より大きい分散剤、好ましくは非イオン性高分子分散
剤を添加することができる。この時の電気伝導度は、
2,000μS/cm以下が好ましい。この場合、分子量
が3000以下の分散剤、好ましくはアニオン性であり
8〜40の炭素数からなる疎水基を有するイオン性界面
活性剤を除去し、分子量が3000より大きい分散剤、
好ましくは非イオン性高分子分散剤に置き換えるため
に、限外濾過膜を透過したアニオン性界面活性剤溶液量
に対応する量の純水を加える操作、いわゆる定溶希釈操
作を2倍以上、10倍以下行うことが好ましい。
【0051】本発明に用いる脱塩法としては、所望の脱
塩効果が得られるどのような方法を用いてもよいが、限
外濾過法が好ましく用いられる。限外濾過法は、例えば
ハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用
することができ、例えば、リサーチ・ディスクロージャ
ー(ResearchDisclosure)No.1
0 208(1972)、No.13 122(197
5)およびNo.16 351(1977)などを参照
することができる。操作条件として重要な圧力差や流量
は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版
(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定
することができるが、目的の有機酸銀分散物を処理する
上では、粒子の凝集やカブリを抑えるために最適条件を
見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を
補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容
式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処
理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充
する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水
を用いるが、pH、分散剤濃度や分散剤に対する貧溶媒
の濃度を本発明の目標とする値に保つために、純水の中
にpH調整剤、分散剤、分散剤の貧溶媒を混合してもよ
いし、有機酸銀分散物に直接添加してもよい。
【0052】特に、アニオン性であり8〜40の炭素数
からなる疎水基を有するイオン性界面活性剤の濃度は、
脱塩操作初期の高塩濃度雰囲気かつ、第3アルコールな
どの有機溶剤が存在する間は、有機酸銀粒子が凝集しや
すい状態にあるので、臨界ミセル濃度の5〜100倍に
保つことが望ましい。具体的には、漏れ出る界面活性剤
の濃度を分光吸収や液体クロマトグラフで定量し、これ
と同じ濃度の溶液を補充液として連続的に添加してもよ
いし、それよりも高い濃度の界面活性剤溶液を断続的に
添加してもよい。
【0053】また、有機酸銀塩は極めて疎水的であるた
めに、送液操作や限外濾過膜を通過する際の剪断場や圧
力場によって著しく凝集が進行してしまうことがある。
さらに、脱塩操作初期の高いイオン強度雰囲気下では、
有機酸銀塩粒子の表面電荷が遮蔽され、さらに凝集しや
すい状態となる。この状態を緩和するために予め添加し
たアニオン性界面活性剤とは異なるアニオン性であり8
〜40の炭素数からなる疎水基を有する別のイオン性界
面活性剤を脱塩操作中に添加する方法も本発明の好まし
い実施形態である。添加方法としては、前述の様に漏れ
出る界面活性剤の濃度を分光吸収や液体クロマトグラフ
で定量し、これと同じ濃度の溶液を補充液として連続的
に添加してもよいし、それよりも高い濃度の界面活性剤
溶液を断続的に添加してもよい。
【0054】限外濾過膜は、すでにモジュールとして組
み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、
ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学
(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販され
ているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型
もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過すること
ができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、用
いている分散剤、好ましくはアニオン性であり8〜40
の炭素数からなる疎水基を有するイオン性界面活性剤の
分子量より決定する必要がある。本発明で典型的に使用
するアニオン性界面活性剤の分子量は150〜1,00
0であるので、この10倍の1,500〜50,000以
上のものを用いる。
【0055】限外濾過膜の分画分子量が不明の場合は、
用いる分散剤、好ましくはアニオン性界面活性剤溶液を
濾過し、透過液に漏れ出る界面活性剤の濃度より阻止率
を計算してもよい。アニオン性界面活性剤を用いる場
合、その原液濃度をCi、透過液に漏れ出る濃度をCo
としたとき、限外濾過膜の阻止率Rは、 R=(Ci−Co)/Ci×100 [%] で定義される。本発明の方法における阻止率は、50%
未満が好ましい。
【0056】あらかじめ分散剤を含まない有機酸銀塩は
極めて疎水的であるために、時間とともに粒子間架橋が
進むばかりでなく、送液操作や限外濾過膜を通過する際
の剪断場や圧力場によって著しく凝集が進行してしま
う。さらに、脱塩操作前の高いイオン強度雰囲気下で
は、有機酸銀塩粒子の表面電荷が遮蔽され、さらに凝集
しやすい状態となる。この状態を緩和するためには、粒
子表面に存在する種の解離を促進する様にpHを高く設
定することが望ましい。もっとも、アルカリ雰囲気が高
くなりすぎると酸化銀や不純物還元剤の作用を高まらせ
てカブリの原因となる場合があるので、本発明において
は、高イオン強度雰囲気下でも凝集を伴わない安定した
限外濾過操作を行うため、脱塩操作によって電気電導度
が1,000μS/cm未満に達するまでは、分散液の
pHを6以上、好ましくは6〜9に保つことが好まし
い。
【0057】粒子形成後から脱塩操作が進むまでの液温
は低く保つことが好ましい。これは、有機酸のアルカリ
金属塩を溶解する際に用いる有機溶剤が、生成した有機
酸銀粒子内に浸透している状態では、送液操作や限外濾
過膜を通過する際の剪断場や圧力場によって銀核が生成
しやすいからである。このため、本発明では有機酸銀粒
子分散物の温度を1〜30℃、好ましくは5〜25℃に
保ちながら限外濾過操作を行う。
【0058】さらに本発明では、脱塩進行に伴って電気
電導度が1,000μS/cm未満に達した後に、使用
している分散剤の貧溶媒を添加しながら限外濾過操作を
行うこともできる。低いイオン強度雰囲気では、粒子表
面の電荷による安定化作用が発現するため、分散剤の保
護作用を低下させても凝集は生じない。そればかりか、
粒子間反発の増大により分散物全体の粘性が高くなり、
ろ過操作が困難になる。これを回避するために分散剤の
貧溶媒を添加することが望ましい。
【0059】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0060】本発明における有機酸銀塩分散物は、少な
くとも有機酸銀塩と水とを含む。有機酸銀塩と水との割
合は特に限定されないが、効率的な塗膜の形成のため
に、安定な塗布を行うためのレオロジー特性、ならびに
乾燥水分量より決まる生産スピードなどを考慮して適宜
決定することができる。有機酸銀塩の全体に占める割合
は、10〜50重量%であることが好ましく、特に10
〜30重量%であることが好ましい。本発明の方法で
は、限外濾過法による脱塩操作によって、電気伝導度が
20μS/cm以上300μS/cm未満に達した後
に、分散物濃度を10〜70重量%、好ましくは10〜
50重量%、特に好ましくは10〜30重量%に濃縮す
ることができる。
【0061】本発明においては、Ca、Mg、Ce、A
l、Zn、Baから選ばれる金属イオンをハロゲン化物
でない水溶性塩の形で添加することが好ましい。具体的
には、硝酸塩や硫酸塩の形で添加することが好ましい。
Ca、Mg、Ce、Al、Zn、Baから選ばれる金属
イオンの添加時期は特に限定されず、有機酸銀塩調製物
の液中への添加、反応液中への事前添加、有機酸銀塩の
形成中又は形成直後、あるいは塗布液調製の前後など塗
布直前であればいずれの時期でもよい。添加量として
は、有機酸銀塩1mol当たり10-3〜10-1molが
好ましく、特に5×10-3〜5×10-2molが好まし
い。
【0062】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
酸銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調
製終了したハロゲン化銀粒子と有機酸銀塩を高速撹拌機
やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、
ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機酸銀
塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光
性ハロゲン化銀を混合して有機酸銀塩を調製する方法等
があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては
特に制限はない。もっとも、後述するように、調製した
有機酸銀塩を水中に微細分散し、そこにハロゲン化銀塩
を添加することが望ましい。
【0063】有機酸銀塩分散液は写真性の悪化を伴わな
い範囲で、分散機による機械的な分散を行なってもよ
い。分散方法としては、有機酸銀塩の水分散物を得、こ
れを高圧で高速流に変換し、その後圧力降下することに
よって再分散し、微細水分散物とすることが好ましい。
この場合の分散媒は水のみであることが好ましいが、2
0重量%以下であれば有機溶媒を含んでいてもよい。
【0064】上記のような再分散法を実施するのに用い
られる分散装置およびその技術については、例えば「分
散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊夫、薄井洋基
著、1991、信山社出版(株)、p357〜40
3)、「化学工学の進歩 第24集」(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜1
85)、特開昭59−49832号公報、米国特許第4
533254号明細書、特開平8−137044号公
報、特開平8−238848号公報、特開平2−261
525号公報、特開平1−94933号公報等に詳しい
が、本発明で用いる再分散法は、少なくとも有機酸銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させ、
この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせることによ
り微細な分散を行う方法であることが好ましい。
【0065】高圧ホモジナイザーについては、一般には
(a)分散質が狭間隙(75μm〜350μm程度)を
高圧、高速で通過する際に生じる「せん断力」、(b)
高圧化の狭い空間で液−液衝突、あるいは壁面衝突させ
るときに生じる衝撃力は変化させずにその後の圧力降下
によるキャビテーション力をさらに強くし、均一で効率
のよい分散が行われると考えられている。この種の分散
装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げら
れるが、この装置では、高圧で送られた被分散液が円柱
面上の狭い間隙で高速流に変換され、その勢いで周囲の
壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。上
記液−液衝突としては、マイクロフルイダイザーのY型
チャンバー、後述の特開平8−103642号公報に記
載のような球形型の逆止弁を利用した球形チャンバーな
どが挙げられ、液−壁面衝突としては、マイクロフルイ
ダイザーのZ型チャンバー等が挙げられる。使用圧力は
一般には100〜600Kg/cm2、流速は数m〜3
0m/秒の範囲であり、分散効率を上げるために高速流
部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施した
ものも考案されている。このような装置の代表例として
ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイデックス・イ
ンターナショナル・コーポレーション社製のマイクロフ
ルイダイザー、みづほ工業(株)製のマイクロフルイダ
イザー、特殊機化工業(株)製のナノマイザー等が挙げ
られる。特開平8−238848号公報、同8−103
642号公報、米国特許第4533254号明細書にも
記載されている。
【0066】有機酸銀塩は、流速、圧力降下時の差圧と
処理回数の調節によって、所望の粒子サイズに分散する
ことができるが、写真特性と粒子サイズの点から、流速
が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が9
00〜3000Kg/cm2の範囲が好ましく、さらに
流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧
が1500〜3000Kg/cm2の範囲であることが
より好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択でき
る。通常は1〜10回の範囲が選ばれるが、生産性の観
点で1〜3回程度が選ばれる。高圧下でこのような水分
散液を高温にすることは、分散性・写真性の観点で好ま
しくなく、90℃を越えるような高温では粒子サイズが
大きくなりやすくなるとともに、カブリが高くなる傾向
がある。従って、前記の高圧、高速流に変換する前の工
程若しくは圧力降下させた後の工程、あるいはこれら両
工程に冷却装置を含み、このような水分散の温度が冷却
工程により5℃〜90℃の範囲に保たれていることが好
ましく、さらに好ましくは5℃〜80℃の範囲、特に5
℃〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特
に、1500〜3000Kg/cm2の範囲の高圧の分
散時には、前記の冷却工程を設置することが有効であ
る。冷却装置は、その所要熱交換量に応じて、2重管や
3重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱
交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができ
る。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考
慮して、管の太さ、肉厚や材質などの好適なものを選べ
ばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20
℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また、
必要に応じて−30℃のエチレングリコール/水等の冷
媒を使用することができる。
【0067】有機酸銀塩の分散時に感光性ハロゲン化銀
塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下
する場合があるため、分散時には感光性ハロゲン化銀塩
を実質的に含まないことがより好ましい。分散される水
分散液中での感光性ハロゲン化銀塩量は、その液中の有
機酸銀塩1molに対し0.1mol%以下であり、積
極的な感光性ハロゲン化銀塩の添加は行わなことが望ま
しい。機械的に分散する以外にも、pHコントロールす
ることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下
でpHを変化させて微粒子化させてもよい。このとき、
粗分散に用いる溶媒として有機酸溶媒を使用してもよ
く、通常、有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0068】有機酸銀塩の調製法にて調製された有機酸
銀塩は、水溶媒中で微細分散された後、感光性ハロゲン
化銀塩水溶液と混合して感光性画像形成層の塗布液とし
て供給されることが好ましい。このような塗布液を用い
て熱現像感光材料を作製するとヘイズが低く、低カブリ
で高感度の熱現像感光材料が得られる。これに対し、高
圧下で高速流に変換して有機酸銀塩を微細分散する時に
感光性ハロゲン化銀塩を共存させると、カブリが上昇
し、感度が著しく低下する場合があるので、高圧、高速
化に変換して分散される水分散液は、実質的に感光性ハ
ロゲン化銀塩を含まないことが望ましい。また、分散媒
として水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高く
なり、カブリが上昇し、感度が低下しやすくなる場合が
ある。一方、感光性ハロゲン化銀塩水溶液を混合する方
法にかえて、分散液中の有機酸銀塩の一部を感光性ハロ
ゲン化銀塩に変換するコンバージョン法を用いると感度
が低下する場合がある。
【0069】有機酸銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ
(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固体微
粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。平均粒子サイズ0.05μm〜10.0μm
の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒
子サイズ0.1μm〜5.0μm、さらに好ましくは平
均粒子サイズ0.1μm〜2.0μmである。
【0070】有機酸銀塩と感光性ハロゲン化銀塩との混
合比率は目的に応じて選択できるが、有機酸銀塩に対す
る感光性ハロゲン化銀塩の割合は1〜30モル%の範囲
が好ましく、さらに3〜20モル%、特に5〜15モル
%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機酸銀
塩水分散液と2種以上の感光性ハロゲン化銀塩水分散液
を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用
いられる方法である。有機酸銀塩は熱現像感光材料にお
いて所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g
/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2であ
る。
【0071】本発明の熱現像感光材料には有機酸銀塩の
ための還元剤を含むことが好ましい。有機酸銀塩のため
の還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質
(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元
剤は、特開平11−65021号公報の段落番号004
3〜0045や、欧州特許公開EP0803764A1
号公報の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に
記載されている。本発明においては特にビスフェノール
類還元剤(例えば、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチル
ヘキサン)が好ましい。還元剤の添加量は0.01〜
5.0g/m2であることが好ましく、0.1〜3.0
g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有す
る面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれること
が好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに
好ましい。
【0072】還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微
粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有させ
てもよく、また本発明の感光材料の任意の層に含有させ
てもよい。よく知られている乳化分散法としては、ジブ
チルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセ
リルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどの
オイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒
を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が
挙げられる。また、固体微粒子分散法としては、還元剤
の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を
作成する方法が挙げられる。なお、その際に保護コロイ
ド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例
えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(3つのイソプロピル基の置換位置の異なるものの混合
物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水
分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナト
リウム塩)を含有させることができる。
【0073】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。
また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好
ましく用いることができる。構造として好ましくいもの
は2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造の
コア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀ま
たは塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好
ましく用いることができる。
【0074】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許
第3,700,458号明細書に記載されている方法を
用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他
のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合
物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、
その後で有機酸銀塩と混合する方法を用いることができ
る。
【0075】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm〜0.15μm、さらに好ましくは0.0
2μm〜0.12μmがよい。ここでいう粒子サイズと
は、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆ
る正常晶である場合、その他正常晶でない場合、例えば
球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の
体積と同等な球を考えたときの直径をいい、ハロゲン化
銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と
同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0076】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光
性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)に
ついては特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場
合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高
いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ま
しく、65%以上がより好ましく、80%以上がさらに
好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の
吸着における{111}面と{100}面との吸着依存
性を利用したT.Tani;J.Imaging Sc
i.,29、165(1985年)に記載の方法により
求めることができる。
【0077】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の
金属または金属錯体を含有することが望ましい。周期律
表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属
として、好ましくは、ロジウム、レニウム、ルテニウ
ム、オスミウム、イリジウムを挙げることができる。こ
れら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金
属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は
銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲
が好ましい。これらの金属錯体については特開平11−
65021号公報段落番号0018〜0024に記載さ
れている。
【0078】その中でもハロゲン化銀粒子中にイリジウ
ム化合物を含有させることが好ましい。イリジウム化合
物としては、例えば、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサ
アンミンイリジウム、トリオキザラトイリジウム、ヘキ
サシアノイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウ
ム等が挙げられる。これらのイリジウム化合物は、水あ
るいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム
化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる
方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、
臭化水素酸、フッ化水素酸等)、あるいはハロゲン化ア
ルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr
等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリ
ジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらか
じめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子
を添加して溶解させることも可能である。これらイリジ
ウム化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1×1
-8モル〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10
-7モル〜5×10-4モルの範囲がより好ましい。
【0079】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(C
N)64-)、脱塩法、化学増感法については、特開平
11−84574号公報段落番号0046〜0050、
特開平11−65021号公報段落番号0025〜00
31に記載されている。
【0080】本発明に用いられる感光材料中の感光性ハ
ロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例
えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異
なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なる
もの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化
銀を複数種用いることで階調を調節することができる。
これらに関する技術としては、特開昭57−11934
1号公報、同53−106125号公報、同47−39
29号公報、同48−55730号公報、同46−51
87号公報、同50−73627号公報、同57−15
0841号公報に記載の方法などが挙げられる。感度差
としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持
たせることが好ましい。
【0081】感光性ハロゲン化銀の添加量は、感光材料
1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g
/m2であることが好ましく、0.05〜0.4g/m2
であることがさらに好ましく、0.1〜0.4g/m2
であることが最も好ましく、有機酸銀塩1モルに対して
は、感光性ハロゲン化銀0.01モル〜0.5モルが好
ましく、0.02モル〜0.3モルがより好ましく、
0.03モル〜0.25モルが特に好ましい。
【0082】感光性ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中
への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直
前、好ましくは60分前から10秒前にであるが、混合
方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れ
る限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法と
しては、添加流量とコーターへの送液量から計算した平
均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混
合する方法やN.Harnby、M.F.Edward
s、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技
術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記
載されているスタチックミキサーなどを使用する方法が
ある。
【0083】画像形成層塗布液に含有されるバインダー
が水系溶媒(水又は水と有機溶媒との混合物)に可溶ま
たは分散可能で、特に25℃で相対湿度60%での平衡
含水率が2重量%以下のポリマーのラテックス状に含有
される場合に有効である。最も好ましい形態は、イオン
伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製された
ものであり、このような調製法としてポリマー合成後分
離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0084】ここでいう前記ポリマーが可溶または分散
可能である水系溶媒とは、水、または水を30重量%以
上含む水混和性の有機溶媒と水との混合物である。水混
和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール
系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミ
アミドなどを挙げることができる。ポリマーが熱力学的
に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系
の場合にも水系溶媒という言葉を使用する。また「25
℃相対湿度60%における平衡含水率」とは、25℃相
対湿度60%の雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重
量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を
用いて以下のように表すことができる。 25℃相対湿度60%における平衡含水率={(W1−
W0)/W0}×100(重量%) 含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講
座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)
を参考にすることができる。
【0085】25℃で相対湿度60%における上記バイ
ンダー用のポリマーの平衡含水率は2重量%以下である
ことが好ましいが、より好ましくは0.01重量%〜
1.5重量%、さらに好ましくは0.02重量%〜1重
量%が望ましい。本発明においては水系溶媒に分散可能
なポリマーが特に好ましく用いられる。分散状態の例と
しては、固体ポリマーの微粒子が分散しているラテック
スやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分
散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。
【0086】本発明において好ましい態様としては、ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂(例えばS
BR樹脂)、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂
等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。ポ
リマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマ
ーでもまた架橋されたポリマーでもよい。ポリマーとし
ては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は
数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは
10000〜200000がよい。分子量が小さすぎる
ものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きすぎるも
のは成膜性が悪く好ましくない。
【0087】前記「水系溶媒」とは、組成の30重量%
以上が水である分散媒をいう。分散状態としては乳化分
散したもの、ミセル分散したもの、さらに分子中に親水
性部位を持ったポリマーを分子状態で分散したものな
ど、どのようなものでもよいが、これらのうちでラテッ
クスが特に好ましい。
【0088】好ましいポリマーラテックスの具体例とし
ては以下のものを挙げることができる。以下では原料モ
ノマーを用いて表し、括弧内の数値は重量%、分子量は
数平均分子量である。
【0089】P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテック
ス(分子量37000) P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分
子量40000) P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(分子量4500
0) P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(分子量60000) P-5;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(分子量12000
0) P-6;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(分子量10800
0) P-7;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(分子
量150000) P-8;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(分子
量280000) P-9;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテック
ス(分子量80000) P-10;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分
子量67000) P-11;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000) P-12;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量1300
00) P-13;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量3300
0) 上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチ
ルメタクリレート,EA ;エチルアクリレート、MA
A;メタクリル酸,2EHA;2エチルヘキシルアクリ
レート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;ア
クリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニ
ル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデ
ン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0090】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル樹脂の例としては、セビアンA−4635,46
583,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、
Nipol Lx811、814、821、820、8
57(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹
脂の例としては、FINETEX ES650、61
1、675、850(以上大日本インキ化学(株)
製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミ
カル製)など、ポリウレタン樹脂の例としては、HYD
RAN AP10、20、30、40(以上大日本イン
キ化学(株)製)など、ゴム系樹脂の例としては、LA
CSTAR 7310K、3307B、4700H、7
132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipo
l Lx416、410、438C、2507(以上日
本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂の例として
は、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)な
ど、塩化ビニリデン樹脂の例としては、L502、L5
13(以上旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂
の例としては、ケミパールS120、SA100(以上
三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。こ
れらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必
要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0091】本発明の熱現像感光材料の製造に用いられ
るポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタ
ジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブ
タジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブ
タジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜9
5:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマ
ー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占め
る割合は60〜99重量%であることが好ましい。好ま
しい分子量の範囲は前記と同様である。本発明に用いる
ことが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテッ
クスとしては、前記のP−3〜P−8、市販品であるL
ACSTAR−3307B、7132C、Nipol
Lx416等が挙げられる。
【0092】本発明の熱現像感光材料の画像形成層は、
ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好まし
い。有機酸銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダ
ー/有機酸銀塩の重量比が1/10〜10/1、さらに
は1/5〜4/1の範囲が好ましい。本発明の熱現像感
光材料の画像形成層には、必要に応じてゼラチン、ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は有機酸銀塩含有
層の全バインダーの30重量%以下、より好ましくは2
0重量%以下が好ましい。
【0093】また、このような画像形成層は、通常、感
光性ハロゲン化銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有さ
れた感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、
全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、よ
り好ましくは200〜10の範囲が好ましい。画像形成
層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ま
しくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。画像形成層
には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性
剤などを添加してもよい。
【0094】本発明の熱現像感光材料の画像形成層塗布
液の溶媒(ここでは簡単のため溶媒と分散媒をあわせて
「溶媒」と表す)は、水を30重量%以上含む水系溶媒
である。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸
エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布
液の溶媒の水含有率は50重量%以上、より好ましくは
70重量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙
げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、
水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコ
ール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メ
チルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、
水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85
/10/5などがある(数値は重量%)。
【0095】本発明の熱現像感光材料に適用できる増感
色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の
波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、
露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素
を有利に選択することができる。増感色素及び添加法に
ついては、特開平11−65021号公報の段落番号0
103〜0109、特開平10−186572号公報一
般式(II)で表される化合物、欧州特許公開EP08
03764A1号公報の第19ページ第38行〜第20
ページ第35行に記載されている。本発明において増感
色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程
後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後
から化学熟成の開始前までの時期である。
【0096】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体としては特開平10−6
2899号公報の段落番号0070、欧州特許公開EP
0803764A1号公報の第20ページ第57行〜第
21ページ第7行に記載の特許のものが挙げられる。ま
た、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハ
ロゲン化物であり、これらについては、特開平11−6
5021号公報の段落番号0111〜0112に記載の
特許に開示されているものが挙げられる。特に特開平1
0−339934号公報の一般式(II)で表される有
機ポリハロゲン化合物(具体的にはトリブロモメチルナ
フチルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、
トリブロモメチル(4−(2,4,6−トリメチルフェ
ニルスルホニル)フェニル)スルホン等)が好ましい。
【0097】カブリ防止剤を熱現像感光材料に配合する
方法としては、還元剤の含有方法として記載された上記
の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても
固体微粒子分散物で添加することが好ましい。その他の
カブリ防止剤としては特開平11−65021号公報段
落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号011
4の安息香酸類が挙げられる。
【0098】本発明の熱現像感光材料には、カブリ防止
を目的としてアゾリウム塩を含有してもよい。アゾリウ
ム塩としては、特開昭59−193447号公報記載の
一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−125
81号公報記載の化合物、特開昭60−153039号
公報記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられ
る。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加して
もよいが、添加層としては画像形成層を有する面の層に
添加することが好ましく、有機酸銀塩含有層に添加する
ことがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期として
は塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機酸銀
塩含有層に添加する場合は有機酸銀塩調製時から塗布液
調製時のいかなる工程でもよいが、有機酸銀塩調製後か
ら塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては
粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても
よい。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物
と混合した溶液として添加してもよい。本発明において
アゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でもよいが、
銀1モル当たり1×10-6モル〜2モルが好ましく、1
×10-3モル〜0.5モルがさらに好ましい。
【0099】熱現像感光材料には、現像を抑制あるいは
促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させ
るため、あるいは現像前後の保存性を向上させるためな
どにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化
合物を含有させることができる。例えば、特開平10−
62899号公報の段落番号0067〜0069に記載
された化合物、特開平10−186572号公報の一般
式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番
号0033〜0052に記載されたもの、欧州特許公開
EP0803764A1号公報の第20ページ第36〜
56行に記載された化合物などを用いることができる。
これらのうち、メルカプト置換複素芳香族化合物が好ま
しい。
【0100】熱現像感光材料には色調剤の添加が好まし
い。色調剤については、特開平10−62899号公報
の段落番号0054〜0055、欧州特許公開EP08
03764A1号公報の第21ページ第23〜48行に
記載されており、特に、フタラジノン、フタラジノン誘
導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタ
ラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキ
シフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタ
ラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘
導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニ
トロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)と
の組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導
体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラ
ジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフ
ラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシ
フタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘
導体);フタラジン類とフタル酸誘導体(例えば、フタ
ル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸および
テトラクロロ無水フタル酸など)との組合せが好まし
く、特にフタラジン類とフタル酸誘導体の組合せが好ま
しい。
【0101】本発明の熱現像感光材料には可塑剤および
潤滑剤を用いることができるが、これらについては特開
平11−65021号公報段落番号0117に記載され
ている。また、超硬調画像形成のための超硬調化剤につ
いては、同号段落番号0118、特願平11−9165
2号公報記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具
体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤について
は特開平11−65021号公報段落番号0102に記
載されており、これらを熱現像感光材料に配合してもよ
い。
【0102】本発明の熱現像感光材料には、画像形成層
の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができ
る。表面保護層については、特開平11−65021号
公報段落番号0119〜0120に記載されている。表
面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポ
リビニルアルコール(PVA)を用いることも好まし
い。PVAとしては、完全けん化物のPVA−105
[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0重量
%以上、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリ
ウム含有率1.5重量%以下、揮発分5.0重量%以
下、粘度(4重量%、20℃)5.6±0.4CP
S]、部分けん化物のPVA−205[PVA含有率9
4.0重量%、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸
ナトリウム含有率1.0重量%、揮発分5.0重量%、
粘度(4重量%、20℃)5.0±0.4CPS]、変
性ポリビニルアルコールのMP−102、MP−20
2、MP−203、R−1130、R−2105(以
上、クラレ(株)製の商品名)などが挙げられる。保護
層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持
体1m2当たり)としては0.3〜4.0g/m2が好ま
しく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0103】画像形成層塗布液の調製温度は30℃〜6
5℃がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未
満、より好ましい温度は35℃〜55℃である。また、
ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度
が30℃〜65℃で維持されることが好ましい。また、
ポリマーラテックス添加前に還元剤と有機酸銀塩が混合
されていることが好ましい。
【0104】画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロ
ピー流体であることが好ましい。チキソトロピー性とは
剪断速度の増加に伴い、粘度が低下する性質を言う。粘
度測定にはいかなる装置を使用してもよいが、レオメト
リックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペ
クトロメーターが好ましく用いられ25℃で測定され
る。ここで、画像形成層塗布液は剪断速度0.1S-1
おける粘度は400mPa・s〜100,000mPa
・sが好ましく、さらに好ましくは500mPa・s〜
20,000mPa・sである。また、剪断速度100
0S-1においては1mPa・s〜200mPa・sが好
ましく、さらに好ましくは5mPa・s〜80mPa・
sである。
【0105】チキソトロピー性を発現する系は各種知ら
れており、例えば高分子刊行会編「講座・レオロジ
ー」、室井、森野共著「高分子ラテックス」(高分子刊
行会発行)などに記載されている。流体がチキソトロピ
ー性を発現させるには固体微粒子を多く含有することが
必要である。また、チキソトロピー性を強くするには増
粘線形高分子を含有させること、含有する固体微粒子の
異方形でアスペクト比が大きくすること、アルカリ増
粘、界面活性剤の使用などが有効である。
【0106】画像形成層は、支持体上に一またはそれ以
上の層で構成され、有機酸銀塩を含む。また、感光性ハ
ロゲン化銀、還元剤、及びバインダー、並びに色調剤、
被覆助剤、及び他の補助剤などの所望による追加の材料
を含んでいてもよい。一層として構成する場合には、層
中に有機酸銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤、及びバ
インダーを含むことが好ましい。二層の構成にする場合
には、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有
機酸銀塩および感光性ハロゲン化銀を配合し、第2層ま
たは両層中に他の成分を配合することができる。また、
全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを
含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像
写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せ
を含んでよく、また米国特許第4,708,928号明
細書に記載されているように単一層内に全ての成分を含
んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場
合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,68
1号明細書に記載されているように、各感光性層の間に
官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することに
より、互いに区別されて保持される。
【0107】画像形成層には、色調改良、レーザー露光
時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から
各種染料や顔料を用いることができる。これらについて
は国際公開WO98/36322号公報に詳細に記載さ
れている。本発明の熱現像感光材料に用いる好ましい染
料および顔料としては、アントラキノン染料、アゾメチ
ン染料、インドアニリン染料、アゾ染料、アントラキノ
ン系のインダントロン顔料(C.I. Pigment
Blue 60など)、フタロシアニン顔料(C.
I. Pigment Blue 15等の銅フタロシ
アニン、C.I.Pigment Blue 16等の
無金属フタロシアニンなど)、染付けレーキ顔料系のト
リアリールカルボニル顔料、インジゴ、無機顔料(群
青、コバルトブルーなど)が挙げられる。これらの染料
や顔料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分
散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法
でもよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によ
って決められるが、一般的に感光材料1m2当たり1μ
g〜1gの範囲で用いることが好ましい。
【0108】本発明の熱現像感光材料には、アンチハレ
ーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設け
ることができる。アンチハレーション層については特開
平11−65021号公報段落番号0123〜0124
に記載されている。本発明の熱現像感光材料では、非画
像形成層に消色染料と塩基プレカーサーとを添加して、
非画像形成層をフィルター層またはアンチハレーション
層として機能させることが好ましい。熱現像感光材料
は、一般に、画像形成層に加えて非画像形成層を有す
る。非画像形成層は、その配置から(1)画像形成層の
上(支持体よりも遠い側)に設けられる保護層、(2)
複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設け
られる中間層、(3)画像形成層と支持体との間に設け
られる下塗り層、(4)画像形成層の反対側に設けられ
るバック層に分類できる。フィルター層は、(1)また
は(2)の層として感光材料に設けられる。アンチハレ
ーション層は、(3)または(4)の層として感光材料
に設けられる。
【0109】消色染料と塩基プレカーサーとは、同一の
非画像形成層に添加することが好ましい。ただし、隣接
する二つの非画像形成層に別々に添加してもよい。ま
た、二つの非画像形成層の間にバリアー層を設けてもよ
い。消色染料を非画像形成層に添加する方法としては、
溶液、乳化物、固体微粒子分散物あるいはポリマー含浸
物を非画像形成層の塗布液に添加する方法が採用でき
る。また、ポリマー媒染剤を用いて非画像形成層に染料
を添加してもよい。これらの添加方法は、通常の熱現像
感光材料に染料を添加する方法と同様である。ポリマー
含浸物に用いるラテックスについては、米国特許第41
99363号明細書、西独特許公開25141274号
公報、同2541230号公報、欧州特許公開EP02
9104号公報の各明細書および特公昭53−4109
1号公報に記載がある。また、ポリマーを溶解した溶液
中に染料を添加する乳化方法については、国際公開WO
88/00723号公報に記載がある。
【0110】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定することができる。一般には、目的とする波長で測定
したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使
用するのがよい。光学濃度は、0.2〜2であることが
好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用
量は、一般に0.001〜1g/m2程度であり、特に
好ましくは、0.01〜0.2g/m2程度である。な
お、このように染料を消色すると、光学濃度を0.1以
下に低下させることができる。二種類以上の消色染料
を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用し
てもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併
用してもよい。
【0111】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む
画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわ
ゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0112】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましい。マット剤については、
特開平11−65021号公報段落番号0126〜01
27に記載されている。マット剤は感光材料1m2当た
りの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/
2、より好ましくは5〜300mg/m2である。乳剤
面のマット度は星屑故障が生じなければ特に限定されな
いが、ベック平滑度が30秒〜2000秒であることが
好ましく、特に40秒〜1500秒が好ましい。本発明
の熱現像感光材料では、バック層のマット度としてベッ
ク平滑度が10秒〜1200秒が好ましく、20秒〜8
00秒が好ましく、さらに好ましくは40秒〜500秒
である。
【0113】マット剤は熱現像感光材料の最外表面層又
は最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い
層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層とし
て作用する層に含有されることが好ましい。本発明の熱
現像感光材料に適用することのできるバック層について
は特開平11−65021号公報段落番号0128〜0
130に記載されている。
【0114】画像形成層、保護層、バック層など各層に
は硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としてはT.H.
James著“THE THEORY OF THE
PHOTOGRAPHIC PROCESS FOUR
TH EDITION”(Macmillan Pub
lishing Co., Inc.刊、1977年
刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、同書78
頁など記載の多価金属イオン、米国特許第4,281,
060号明細書、特開平6−208193号公報などの
ポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042
号明細書などのエポキシ化合物類、特開昭62−890
48号公報などのビニルスルホン系化合物類が好ましく
用いられる。
【0115】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前か
ら直前、好ましくは60分前〜10秒前であるが、混合
方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れ
る限り特に制限はない。具体的な混合方法としては添加
流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を
所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法や
N.Harnby、M.F.Edwards、A.W.
Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工
業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されている
スタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0116】本発明に適用できる界面活性剤について
は、特開平11−65021号公報段落番号0132、
溶剤については同号段落番号0133、支持体について
は同号段落番号0134、帯電防止又は導電層について
は同号段落番号0135、カラー画像を得る方法につい
ては同号段落番号0136に記載されている。透明支持
体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公報
の実施例に記載の染料−1)で着色されていてもよい
し、無着色でもよい。支持体の下塗り技術については特
開平11−84574号公報、同10−186565号
公報等に記載されている。また、帯電防止層若しくは下
塗りについて特開昭56−143430号公報、同56
−143431号公報、同58−62646号公報、同
56−120519号公報等の技術を適用することもで
きる。
【0117】熱現像感光材料は、モノシート型(受像材
料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上
に画像を形成できる型)であることが好ましい。熱現像
感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑
剤、紫外線吸収剤又は被覆助剤を添加してもよい。各種
の添加剤は、画像形成層又は非画像形成層のいずれか又
は両方に添加することができる。それらについては、国
際公開WO98/36322号公報、欧州特許公開EP
803764A1号公報、特開平10−186567号
公報、同10−18568号公報等を参考にすることが
できる。
【0118】熱現像感光材料の製造における塗布方法は
特に限定されず、いかなる方法を採用してもよい。具体
的には、エクストルージョンコーティング、スライドコ
ーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティン
グ、ナイフコーティング、フローコーティング、または
米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類の
ホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーテ
ィング操作が用いられ、Stephen F. Kis
tler、Petert M. Schweizer著
“LIQUID FILM COATING”(CHA
PMAN & HALL社刊、1997年)399頁か
ら536頁記載のエクストルージョンコーティング、ま
たはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ま
しくはスライドコーティングが用いられる。スライドコ
ーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は
同書427頁のFigure 11b.1にある。ま
た、所望により同書399頁から536頁記載の方法、
米国特許第2,761,791号明細書および英国特許
第837,095号明細書に記載の方法により2層また
はそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0119】本発明の熱現像感光材料の製造に用いるこ
とのできる技術としては、欧州特許公開EP80376
4A1号公報、欧州特許公開EP883022A1号公
報、国際公開WO98/36322号公報、特開昭56
−62648号公報、同58−62644号公報、特開
平9−281637号公報、同9−297367号公
報、同9−304869号公報、同9−311405号
公報、同9−329865号公報、同10−10669
号公報、同10−62899号公報、同10−6902
3号公報、同10−186568号公報、同10−90
823号公報、同10−171063号公報、同10−
186565号公報、同10−186567号公報、同
10−186569号公報〜同10−186572号公
報、同10−197974号公報、同10−19798
2号公報、同10−197983号公報、同10−19
7985号公報〜同10−197987号公報、同10
−207001号公報、同10−207004号公報、
同10−221807号公報、同10−282601号
公報、同10−288823号公報、同10−2888
24号公報、同10−307365号公報、同10−3
12038号公報、同10−339934号公報、同1
1−7100号公報、同11−15105号公報、同1
1−24200号公報、同11−24201号公報、同
11−30832号公報、同11−84574号公報、
同11−65021号公報、同11−125880号公
報、同11−129629号公報、同11−13353
6号公報〜同11−133539号公報、同11−13
3542号公報、同11−133543号公報も挙げら
れる。
【0120】本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で
現像されてもよいが、通常イメージワイズに露光した熱
現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度
としては80〜250℃であり、さらに好ましくは10
0〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が
好ましく、10〜90秒がさらに好ましく、10〜40
秒が特に好ましい。
【0121】熱現像の方式としてはプレートヒーター方
式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式
としては、特願平9−229684号公報、特願平10
−177610号公報に記載の方法が好ましく、この方
式には、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて
加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装
置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、
かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押
えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレー
トヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現
像を行うことを特徴とする熱現像装置を用いることがで
きる。プレートヒータを2〜6段に分けて先端部につい
ては1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。この
ような方法は特開昭54−30032号公報にも記載さ
れており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶
媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像
感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体
形状の変化を押さえることもできる。
【0122】本発明の感光材料はいかなる方法で露光さ
れてもよいが、露光光源としてレーザー光が好ましい。
本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー(Ar
+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レーザー、半
導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと
第2高調波発生素子などを用いることもできる。好まし
くは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レーザーであ
る。レーザー光はシングルモードレーザーが利用できる
が、特開平11−65021号公報段落番号0140に
記載の技術を用いることができる。レーザー出力として
は、1mW以上のものが好ましく、10mW以上のもの
がより好ましく、40mW以上の高出力のものがさらに
好ましい。その際、複数のレーザーを合波してもよい。
レーザー光の径としてはガウシアンビームの1/e 2
ポットサイズで30〜200μm程度とすることができ
る。露光部及び熱現像部を備えたレーザーイメージャー
としては富士メディカルドライレーザーイメージャーF
M−DP Lを挙げることができる。
【0123】本発明の熱現像感光材料は、銀画像による
黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業
写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM
用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
これらの使用において、形成された黒白画像をもとにし
て、医療診断用では富士写真フイルム(株)製の複製用
フィルムMI−Dupに複製画像を形成したり、印刷用
では富士写真フイルム(株)製の返し用フイルムDO−
175,PDO−100やオフセット印刷版に画像を形
成するためのマスクとして使用できることは言うまでも
ない。
【0124】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されること
はない。 実施例1 (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコ
−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェ
ノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25
℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後1
30℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから
押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになる
ような厚みの未延伸フィルムを作成した。
【0125】このフィルムを用いて、周速の異なるロ−
ルを用いて3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5
倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、11
0℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間
熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この
後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−
ル加工を行い、4Kg/cm2で巻き取り、厚み175
μmのロ−ルを得た。
【0126】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。
この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−
ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0127】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA−515GB(30重量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10重量%溶液 21.5g 綜研化学(株)製 MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml
【0128】 処方(バック面第1層用) ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス 158g (固形分40重量%、ブタジエン/スチレン重量比=32/68) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8重量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量% 水溶液 10ml 蒸留水 854ml
【0129】 処方(バック面側第2層用) SnO2/SbO(9/1重量比、平均粒径0.038μm、17重量%分散 物) 84g ゼラチン(10%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製 メトローズTC−5(2%水溶液 8.6g 綜研化学(株)製 MP−1000(ポリマー微粒子) 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量% 水溶 10ml NaOH(1%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0130】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像
形成層面)に下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウエ
ット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるよ
うに塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面
(バック面)に下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウ
エット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して
180℃で5分間乾燥し、さらに裏面(バック面)に下
塗り塗布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が
7.7ml/m2になるように塗布して180℃で6分
間乾燥して下塗り支持体を作成した。
【0131】(バック面塗布液の調製) (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
フォンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモール
N 10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサン
ドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミ
ル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平
均粒子径0.2μmの、塩基プレカーサー化合物の固体
微粒子分散液(a)を得た。
【0132】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびP−ドデシルベンゼン
スルフォン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと
混合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサン
ドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いて
ビーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子
分散液を得た。
【0133】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プ
レカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料
固体微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレート微
粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイ
ソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルフォン酸
ナトリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、
水を844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調
製した。
【0134】(バック面保護層塗布液の調製)容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフォ
ン酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニ
ルスルフォンアセトアミド)2.4g、t−オクチルフ
ェノキシエトキシエタンスルフォン酸ナトリウム1g、
ベンゾイソチアゾリノン30mg、N−パーフルオロオ
クチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム塩
37mg、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフル
オロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエ
チル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15]
0.15g、C817SO3K 32mg、C81 7SO2
N(C37)(CH2CH2O)4(CH24−SO3Na
64mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体
(共重合重量比5/95)8.8g、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフ
ィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を95
0ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0135】(ハロゲン化銀乳剤1の調製)蒸留水14
21mlに1重量%臭化カリウム溶液8.0mlを加
え、さらに1N硝酸を8.2ml、フタル化ゼラチン2
0gを添加した液をチタンコートしたステンレス製反応
壺中で攪拌しながら、37℃に液温を保ち、硝酸銀3
7.04gに蒸留水を加え159mlに希釈した溶液A
と臭化カリウム32.6gを蒸留水にて容量200ml
に希釈した溶液Bを準備し、コントロールダブルジェッ
ト法でpAgを8.1に維持しながら、溶液Aの全量を
一定流量で1分間かけて添加した。溶液Bは、コントロ
ールドダブルジェット法にて添加した。その後3.5重
量%の過酸化水素水溶液を30ml添加し、さらにベン
ツイミダゾールの3重量%水溶液を36ml添加した。
その後、再び溶液Aを蒸留水で希釈して317.5ml
にした溶液A2と、溶液Bに対して最終的に銀1モル当
たり1×10 -4モルになるよう6塩化イリジウム酸3カ
リウム塩を溶解し、液量を溶液Bの2倍の400mlま
で蒸留水で希釈した溶液B2を用いて、やはりコントロ
ールドダブルジェット法にて、pAgを8.1に維持し
ながら、一定流量で溶液A2を10分間かけて全量添加
した。溶液B2は、コントロールドダブルジェット法で
添加した。その後、5−メチル−2−メルカプトベンズ
イミダゾールの0.5重量%メタノール溶液を50ml
添加し、さらに硝酸銀でpAgを7.5に上げてから1
N硫酸を用いてpHを3.8に調製し、攪拌を止め、沈
降/脱塩/水洗工程を行い、脱イオンゼラチン3.5g
を加えて1Nの水酸化ナトリウムを添加して、pH6.
0、pAg8.2に調製してハロゲン化銀分散物を作成
した。
【0136】できあがったハロゲン化銀乳剤中の粒子
は、平均球相当径0.053μm、球相当径の変動係数
18%の純臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子
顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この
粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて
85%と求められた。
【0137】上記乳剤を38℃に攪拌しながら維持し
て、ベンゾイソチアゾリノンを0.035g(3.5重
量%メタノール溶液で添加)加え、40分後に分光増感
色素Aの固体分散物(ゼラチン水溶液)を銀1モル当た
り5×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し、20
分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを銀1モルに
対して3×10-5モル加え、さらに2分後にテルル増感
剤Bを銀1モル当たり5×10-5モル加えて90分間熟
成した。熟成終了間際に、N,N’−ジヒドロキシ−
N”−ジエチルメラミンの0.5重量%メタノール溶液
を5mlを加え、温度を31℃に下げ、フェノキシエタ
ノールの3.5重量%メタノール溶液5ml、5−メチ
ル−2−メルカプトベンヅイミダゾールを銀1モル当た
り7×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5
−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに
対して6.4×10-3モルを添加して、ハロゲン化銀乳
剤1を作成した。
【0138】(ハロゲン化銀乳剤2の調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を5
0℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.08
μm、球相当径の変動係数15%の純臭化銀立方体粒子
乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱
塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添加
量を銀1モル当たり4.5×10-3モルに変えた以外は
乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル
−2−メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−
2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾ
ールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。
【0139】(ハロゲン化銀乳剤3の調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を2
7℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.03
8μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒
子乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添
加量を銀1モル当たり6×10-3モルに変えた以外は乳
剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−
2−メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2
−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾー
ルの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤3を得た。
【0140】(塗布液用混合乳剤1−Aの調製)ハロゲ
ン化銀乳剤1を70重量%、ハロゲン化銀乳剤2を15
重量%、ハロゲン化銀乳剤3を15重量%溶解し、ベン
ゾチアゾリウムヨーダイドを1重量%水溶液にて銀1モ
ル当たり7×10-3モル添加した。
【0141】(比較用有機酸銀塩1の調製)ヘンケル社
製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)8
7.6Kg、蒸留水423リットル、5N−NaOH水
溶液49.2リットル、tert−ブタノール120リ
ットルを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベ
ヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4K
gの水溶液206.2リットル(pH4.0)を用意
し、10℃にて保温した。635リットルの蒸留水と3
0リットルのtert−ブタノールを入れた反応容器を
30℃に保温し、撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム
溶液の全量と銀イオンを含む溶液の全量を流量一定でそ
れぞれ62分10秒と60分かけて添加した。このと
き、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶
液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリ
ウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後9分
30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるよ
うにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、
液温度が一定になるように外温コントロールした。ま
た、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチー
ムトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温
度が75℃になるようにスチーム開度を調製した。ま
た、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷
水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウ
ム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を
中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しない
ような高さに調製した。
【0142】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過
水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こう
して有機酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させな
いでウエットケーキとして保管した。乾燥固形分100
g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール
(商品名:PVA−217)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。
【0143】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)
の圧力を1750Kg/cm2に調節して、三回処理
し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換
器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、
冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定し
た。得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影に
より評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=
0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.
2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数1
5%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは前記に
規定されたとおりである)
【0144】(比較用有機酸銀分散物2の調製)反応容
器に予め添加する水溶液(635リットルの蒸留水と3
0リットルのtert−ブタノール)を、551リット
ルの蒸留水と30リットルのtert−ブタノールと平
均分子量10000のナフタレンスルホン酸ポリマーの
10重量%水溶液88Kgを入れた水溶液に変更し、吸
引濾過のかわりに限外濾過を行なった以外は、比較用有
機酸銀分散物1とまったく同じ方法で、有機酸銀分散物
2を調製した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子
顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.1
5μm、球相当径変動係数21%の棒状結晶であった。
【0145】(限外濾過)得られた有機酸銀分散物を図
1に示す限外濾過装置に移液し脱塩処理を行った。限外
濾過装置は、有機酸銀分散物をストックするタンク1、
ストックされている分散物を限外濾過モジュール3に供
給するための循環用ポンプ2から基本的には構成され、
補充純水計測用流量計4、透過水計測用流量計5、逆方
向洗浄用ポンプ6等を有している。使用した膜モジュー
ルは、中空糸タイプの旭化成(株)製ACP−1050
で、送液流量は18L/分、モジュール前後の圧力差は
1.0Kg/cm2とした。脱塩処理中も連続してpH
のモニターリングを行い、設定値を維持した。pH調製
には1NのNaOHとHNO3を用いた。電気電導度が
1,000μS/cm未満になったところでpH調整を
中止し、さらに、電気電導度が50μS/cmに低下し
たところで、純水の補充を止め、26重量%まで濃縮し
た。固形分濃度の測定には京都電子社製デジタル比重計
DA−300型を用い、最終的には絶乾重量より検定し
た。
【0146】(本発明の有機酸銀分散物1−Aの調製)
反応容器に予め添加する水溶液を、551リットルの蒸
留水と30リットルのtert−ブタノールと界面活性
剤としてテトラデカン2,3−エン−1−スルホン酸ナ
トリウム(分子量299)の10重量%水溶液44Kg
を入れた水溶液に変更した以外は、比較用有機酸銀分散
物2とまったく同じ方法で、有機酸銀分散物1−Aを調
製した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡
撮影により評価したところ、平均球相当径0.5μm、
球相当径変動係数10%のりん片状結晶であった。
【0147】(本発明の有機酸銀分散物1−Bの調製)
反応容器に添加する水溶液の界面活性剤をトリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸(分子量357)の10重量
%水溶液に変更した以外は、有機酸銀分散物1−Aとま
ったく同じ方法で、有機銀分散物1−Bを調製した。得
られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により
評価したところ、平均球相当径0.47μm、球相当径
変動係数11%の棒状結晶であった。
【0148】(本発明の有機酸銀分散物1−Cの調製)
反応容器に添加する水溶液の界面活性剤をナフタレンス
ルホン酸オリゴマー(平均分子量1250)の10重量
%水溶液に変更した以外は、有機酸銀分散物1−Aとま
ったく同じ方法で、有機銀分散物1−Cを調製した。得
られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により
評価したところ、平均球相当径0.53μm、球相当径
変動係数14%のりん片状結晶であった。
【0149】(還元剤の25重量%分散物の調製)1,
1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)−3,5,5−トリメチルヘキサン10Kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)の20重量%水溶液10Kgに、水16Kgを
添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmの
ジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した
のち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて還元剤の濃度が25重量%になるように調製
し、還元剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に
含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は
孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ
過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0150】(メルカプト化合物の10重量%分散物の
調製)1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−
1,3,4−トリアゾールを5Kgと変性ポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20
重量%水溶液5Kgに水8.3Kgを添加して、よく混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて6時間分散したのち、水を加えてメルカ
プト化合物の濃度が10重量%になるように調製し、メ
ルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト化合物
分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジアン径
0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得
られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0151】(有機ポリハロゲン化合物の20重量%分
散物−1の調製)トリブロモメチルナフチルスルホン5
Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の20重量%水溶液2.5Kgと、ト
リイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20
重量%水溶液213gと、水10Kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハ
ロゲン化合物の濃度が20重量%になるように調製し、
有機ポリハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポ
リハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0
μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分
散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0152】(有機ポリハロゲン化合物の25重量%分
散物−2の調製)有機ポリハロゲン化合物の20重量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5Kgの代わりにトリブロモメチル(4−
(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニ
ル)スルホン5Kgを用い、分散し、この有機ポリハロ
ゲン化合物が25重量%となるように希釈し、ろ過を行
った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含
まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.3
8μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた
有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物
を除去して収納した。
【0153】(有機ポリハロゲン化合物の30重量%分
散物−3の調製)有機ポリハロゲン化合物の20重量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5Kgの代わりにトリブロモメチルフェニルス
ルホン5Kgを用い、20重量%MP203水溶液を5
Kgとし、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が30
重量%となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得
た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子
径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン
化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。また、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0154】(フタラジン化合物の5重量%溶液の調
製)8Kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコール
MP203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20重
量%水溶液3.15Kgと6−イソプロピルフタラジン
の70重量%水溶液14.28Kgを添加し、6−イソ
プロピルフタラジンの5重量%液を調製した。
【0155】(顔料の20重量%分散物の調製)C.
I.Pigment Blue 60を64gと花王
(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良
く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジル
コニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッ
セルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し顔料分
散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒
子は平均粒径0.21μmであった。
【0156】(SBRラテックス40重量%の調製)限
外濾過(UF)精製したSBRラテックスは以下のよう
に得た。下記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希
釈したものをUF−精製用モジュールFS03−FC−
FUY03A1(ダイセン・メンブレン・システム
(株))を用いてイオン伝導度 が1.5mS/cmに
なるまで希釈精製し、三洋化成(株)製サンデット−B
Lを0.22重量%になるよう添加した。さらにNaO
HとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=
1:2.3(モル比)になるように添加し、pH8.4
に調整した。この時のラテックス濃度は40重量%であ
った。 (SBRラテックス:−St(68)−Bu(29)−
AA(3)−のラテックス)
【0157】ラテックスは、平均粒径0.1μm、25
℃相対湿度60%における平衡含水率0.6重量%、イ
オン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東
亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用しラテッ
クス原液(40%)を25℃にて測定)であった。
【0158】(乳剤層(画像形成層)塗布液の調製)上
記で得た顔料の20重量%水分散物を1.1g、有機酸
銀分散物103g、ポリビニルアルコールPVA−20
5(クラレ(株)製)の20重量%水溶液5g、上記2
5重量%還元剤分散物25g、有機ポリハロゲン化合物
分散物−1,−2,−3を5:1:3(重量比)で総量
16.3g、メルカプト化合物10%分散物6.2g、
限外濾過(UF)精製しpH調整したSBRラテックス
40重量%を106g、フタラジン化合物の5重量%溶
液を18mlを添加し、ハロゲン化銀混合乳剤1−Aを
10gを良く混合し、乳剤層塗布液を調製し、そのまま
コーティングダイへ70ml/m2となるように送液
し、塗布した。
【0159】(乳剤面保護応力防止層塗布液の調製)ポ
リビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)
の10重量%水溶液772g、顔料の20重量%分散物
5.3g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルア
クリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリ
ル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)
ラテックス27.5重量%液226gにエアロゾールO
T(アメリカンサイアナミド社製)の5重量%水溶液を
2ml、フタル酸二アンモニウム塩の20重量%水溶液
を10.5ml、総量880gになるように水を加えて
保護応力防止層塗布液とし、10ml/m2になるよう
にコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘
度計40℃(No.1ローター、60rpm)で21
[mPa・s]であった。
【0160】(乳剤面保護層第1層塗布液の調製)イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液8
0g、フタル酸の10重量%メタノール溶液を23m
l、4−メチルフタル酸の10重量%水溶液23ml、
1Nの硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカン
サイアナミド社製)の5重量%水溶液を5ml、フェノ
キシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.
1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布
液とし、4重量%のクロムみょうばん26mlを塗布直
前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml
/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布
液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60
rpm)で17[mPa・s]であった。
【0161】(乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液1
02g、N−パーフルオロオクチルスルフォニル−N−
プロピルアラニンカリウム塩の5重量%溶液を3.2m
l、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)
エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2重
量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカン
サイアナミド社製)の5重量%溶液を23ml、ポリメ
チルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4
g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.4
μm)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸
4.8g、1Nの硫酸を44ml、ベンゾイソチアゾリ
ノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、
4重量%のクロムみょうばんと0.67重量%のフタル
酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチック
ミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.
3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液し
た。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロータ
ー,60rpm)で9[mPa・s]であった。
【0162】(熱現像感光材料の作成)上記下塗り支持
体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固体微
粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるよう
に、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.
7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、ハレ
ーション防止バック層を作成した。バック面と反対の面
に下塗り面から乳剤層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.1
4g/m2)、保護応力防止層、保護層第1層、保護層
第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗
布し、熱現像感光材料の試料を作成した。
【0163】塗布はスピード160m/minで行い、
コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.14〜
0.28mmに、また、塗布液の吐出スリット幅に対し
て塗布幅が左右ともに各0.5mm広がるように調節
し、減圧室の圧力を大気圧に対して392Pa低く設定
した。その際、支持体は帯電しないようにハンドリング
及び温湿度を制御し、さらに塗布直前にイオン風で除電
した。引き続くチリングゾーンでは、乾球温度が18
℃、湿球温度が12℃の風を30秒間吹き当てて、塗布
液を冷却した後、つるまき式の浮上方式の乾燥ゾーンに
て、乾球温度が30℃、湿球温度が18℃の乾燥風を2
00秒間吹き当てた後70℃の乾燥ゾーンを20秒間通
した後、90℃の乾燥ゾーンを10秒間通し、その後2
5℃に冷却して、塗布液中の溶剤の揮発を行った。チリ
ングゾーンおよび乾燥ゾーンでの塗布液膜面に吹き当た
る風の平均風速は7m/secであった。作製された熱
現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面
側が550秒、バック面が130秒であった。
【0164】
【化1】
【0165】(写真性能の評価)富士メディカルドライ
レーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW
(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)に
て写真材料を露光・熱現像(約120℃)し、得られた
画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dm
in、Dmaxおよび感度(Dminより1.0高い濃
度を与える露光量の比の逆数)で評価し、試料No1の
感度を100として相対感度で第1表に示した。本発明
の態様である試料No3〜5は、Dmin、Dmaxお
よび感度の点において比較サンプルより優れていること
が理解される。
【0166】
【表1】
【0167】実施例2 (比較用有機酸銀分散物3の調製)ヘンケル社製ベヘン
酸(製品名Edenor C22−85R)87.6K
g、蒸留水423リットル、5N−NaOH水溶液4
9.2リットル、tert−ブタノール120リットル
を混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4Kgの水
溶液206.2リットル(pH4.0)を用意し、10
℃にて保温した。635リットルの蒸留水と30リット
ルのtert−ブタノールを入れた反応容器を30℃に
保温し、撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全
量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分1
0秒と60分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液
添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加され
るようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開
始し、硝酸銀水溶液の添加終了後9分30秒間はベヘン
酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定にな
るように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリ
ウム溶液の添加系の配管は、スチームトレースにより保
温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよ
うにスチーム開度を調製した。また、硝酸銀水溶液の添
加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることに
より保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝
酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配
置とし、また反応液に接触しないような高さに調製し
た。
【0168】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、1
0重量%のポリビニルアルコール(商品名:PVA−2
17,平均重合度:約1700)水溶液88Kgを添加
し、そのままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降
温した。以後の脱塩操作等は実施例1の比較用有機酸銀
分散物2と同様の操作を行なった。得られたベヘン酸銀
の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、
平均球相当径0.50μm、球相当径変動係数14%の
りん片状結晶であった。
【0169】(本発明の有機酸銀分散物2−Dの調製)
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−
85R)87.6Kg、蒸留水423リットル、5N−
NaOH水溶液49.2リットル、tert−ブタノー
ル120リットルを混合し、75℃にて1時間攪拌し反
応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀
40.4Kgの水溶液206.2リットル(pH4.
0)を用意し、10℃にて保温した。600リットルの
蒸留水と30リットルのtert−ブタノールとトリイ
ソプロピルナフタレンスルホン酸(分子量357)の1
0重量%水溶液35Kgを入れた反応容器を30℃に保
温し、撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量
と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10
秒と60分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添
加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加される
ようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始
し、硝酸銀水溶液の添加終了後9分30秒間はベヘン酸
ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定にな
るように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリ
ウム溶液の添加系の配管は、スチームトレースにより保
温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよ
うにスチーム開度を調製した。また、硝酸銀水溶液の添
加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることに
より保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝
酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配
置とし、また反応液に接触しないような高さに調製し
た。
【0170】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、ポ
リビニルアルコール(商品名:PVA−217,平均重
合度:約1700)の10重量%水溶液88Kgを添加
し、そのままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降
温した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡
撮影により評価したところ、平均球相当径0.51μ
m、球相当径変動係数12%のりん片状結晶であった。
【0171】以後の脱塩操作等は実施例1の比較用有機
酸銀分散物2と同様の操作を行なった。得られた有機酸
銀分散物を用いて、実施例1に従って評価用塗布サンプ
ルNo6,7を作成し、実施例1と同様な処理、評価を
行なった。結果を第2表にまとめた。本発明の対応であ
る試料No.7が、Dmin、Dmax、感度ともに優
れていることが理解される。
【0172】
【表2】
【0173】実施例3 (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコ
−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェ
ノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25
℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後1
30℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから
押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになる
ような厚みの未延伸フィルムを作成した。
【0174】このフィルムを用いて、周速の異なるロ−
ルを使い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に
横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110
℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱
固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後
テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル
加工を行い、4Kg/cm2で巻き取り、厚み175μm
のロ−ルを得た。
【0175】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。こ
の時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ル
のギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0176】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA-515GB(30重量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5)10重量%溶液 21.5 g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91 g 蒸留水 744ml
【0177】 処方(バック面第1層用) ブタジエン‐スチレン共重合体ラテックス 158g (固形分40重量%、ブタジエン/スチレン重量比=32/68) 2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-S- トリアジンナトリウム塩 8重量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml
【0178】 処方(バック面側第2層用) SnO2/SbO(9/1重量比、平均粒径0.038μm、17重量%分散物)84g ゼラチン(10%水溶液) 89.2 g 信越化学(株)製 メトローズTC-5(2%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子) 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量%水溶液 10ml NaOH(1%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0179】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像
形成層面)に下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウエ
ット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるよう
に塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面
(バック面)に下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウ
エット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して1
80℃で5分間乾燥し、さらに裏面(バック面)に下塗
り塗布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が7.
7ml/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥
して下塗り支持体を作成した。
【0180】(バック面塗布液の調製) (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
フォンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモール
N10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンド
ミル(1/4Gallonサンドグラインダーミル、アイメッ
クス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径0.
2μmの、塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分散液
(a)を得た。
【0181】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびP-ドデシルベンゼンス
ルフォン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混
合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサンドグライ
ンダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分
散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分散液を
得た。
【0182】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プ
レカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料
固体微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレート微
粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイソ
チアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルフォン酸ナ
トリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、水を
844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調製し
た。
【0183】(バック面保護層塗布液の調製)容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフォ
ン酸ナトリウム0.2g、N,N-エチレンビス(ビニルス
ルフォンアセトアミド)2.4g、t-オクチルフェノキ
シエトキシエタンスルフォン酸ナトリウム1g、ベンゾ
イソチアゾリノン30mg、N-パーフルオロオクチルス
ルフォニル-N-プロピルアラニンカリウム塩37mg、
ポリエチレングリコールモノ(N-パーフルオロオクチル
スルホニル-N-プロピル-2-アミノエチル)エーテル[エ
チレンオキサイド平均重合度15]0.15g、C8F17SO
3K32mg、C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4-SO3Na
64mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体
(共重合重量比5/95)8.8g、エアロゾールOT(ア
メリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフィン
乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を950m
l混合してバック面保護層塗布液とした。
【0184】(ハロゲン化銀乳剤1の調製)蒸留水14
21mlに1重量%臭化カリウム溶液8.0mlを加
え、さらに1N硝酸を8.2ml、フタル化ゼラチン2
0gを添加した液をチタンコートしたステンレス製反応
壺中で攪拌しながら、37℃に液温を保ち、硝酸銀3
7.04gに蒸留水を加え159mlに希釈した溶液A
と臭化カリウム32.6gを蒸留水にて容量200ml
に希釈した溶液Bを準備し、コントロールダブルジェッ
ト法でpAgを8.1に維持しながら、溶液Aの全量を
一定流量で1分間かけて添加した。溶液Bは、コントロ
ールドダブルジェット法にて添加した。その後3.5重
量%の過酸化水素水溶液を30ml添加し、さらにベン
ツイミダゾールの3重量%水溶液を36ml添加した。
その後、再び溶液Aを蒸留水で希釈して317.5ml
にした溶液A2と、溶液Bに対して最終的に銀1モル当
たり1×10-4モルになるよう6塩化イリジウム酸3カ
リウム塩を溶解し、液量を溶液Bの2倍の400mlま
で蒸留水で希釈した溶液B2を用いて、やはりコントロ
ールドダブルジェット法にて、pAgを8.1に維持し
ながら、一定流量で溶液A2を10分間かけて全量添加
した。溶液B2は、コントロールドダブルジェット法で
添加した。その後、5-メチル-2-メルカプトベンズイミ
ダゾールの0.5重量%メタノール溶液を50ml添加
し、さらに硝酸銀でpAgを7.5に上げてから1N硫
酸を用いてpHを3.8に調製し、攪拌を止め、沈降/脱
塩/水洗工程を行い、脱イオンゼラチン3.5gを加えて
1Nの水酸化ナトリウムを添加して、pH6.0、pAg
8.2に調製してハロゲン化銀分散物を作成した。
【0185】できあがったハロゲン化銀乳剤中の粒子
は、平均球相当径0.053μm、球相当径の変動係数
18%の純臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子
顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この
粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて
85%と求められた。
【0186】上記乳剤を38℃に攪拌しながら維持し
て、ベンゾイソチアゾリノンを0.035g(3.5重量
%メタノール溶液で添加)加え、40分後に分光増感色
素Aの固体分散物(ゼラチン水溶液)を銀1モル当たり
5×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し、20分
後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムを銀1モルに
対して3×10-5モル加え、さらに2分後にテルル増感
剤Bを銀1モル当たり5×10-5モル加えて90分間熟
成した。熟成終了間際に、N,N'-ジヒドロキシ-N"-ジエ
チルメラミンの0.5重量%メタノール溶液を5mlを
加え、温度を31℃に下げ、フェノキシエタノールの
3.5重量%メタノール溶液5ml、5-メチル-2-メルカ
プトベンヅイミダゾールを銀1モル当たり7×10-3
ル及び1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-ト
リアゾールを銀1モルに対して6.4×10-3モルを添
加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0187】(ハロゲン化銀乳剤2の調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を5
0℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.08
μm、球相当径の変動係数15%の純臭化銀立方体粒子
乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱
塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添加量
を銀1モル当たり4.5×10 -3モルに変えた以外は乳
剤1と同様にして分光増感、化学増感および5-メチル-2
-メルカプトベンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチ
ル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハ
ロゲン化銀乳剤2を得た。
【0188】(ハロゲン化銀乳剤3の調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を2
7℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.03
8μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒
子乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添加
量を銀1モル当たり6×10- 3モルに変えた以外は乳剤
1と同様にして分光増感、化学増感及び5-メチル-2-メ
ルカプトベンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-
5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロ
ゲン化銀乳剤3を得た。
【0189】(塗布液用混合乳剤Aの調製)ハロゲン化
銀乳剤1を70重量%、ハロゲン化銀乳剤2を15重量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15重量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1重量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。
【0190】(比較用有機酸銀塩3−Aの調製)ヘンケ
ル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.6K
g、蒸留水423L、5N-NaOH水溶液49.2リット
ル、tert-ブタノール120リットルを混合し、75℃
にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を
得た。別に、硝酸銀40.4Kgの水溶液206.2リッ
トル(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。6
35リットルの蒸留水と30リットルのtert-ブタノー
ルを入れた反応容器を30℃に保温し、撹拌しながら先
のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量
を流量一定でそれぞれ93分と90分かけて添加した。
このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水
溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナト
リウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後1
4分はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるように
した。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温
度が一定になるように外温コントロールした。また、ベ
ヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管保温と
し、外側のジャケット部に80℃の温水を循環すること
によって添加ノズル先端出口の液温度が75℃に保たれ
た。さらに、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の
外側のジャケット部に8℃の冷水を循環して、添加ノズ
ル先端出口の液温度を10℃に維持した。ベヘン酸ナト
リウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は、撹
拌機を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触
しないような高さに設置した。
【0191】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過
水の伝導度が50μS/cmになるまで水洗した。こう
して有機酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させな
いでウエットケーキとして保管した。乾燥固形分100
g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール
(商品名:PVA-217)7.4gおよび水を添加し、全体量
を385gとしてからホモミキサーにて予備分散した。
【0192】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM110-S-EH、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力
を1,750Kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘ
ン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をイン
タラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温
度を調節することで18℃の分散温度に設定した。得ら
れたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価
したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μ
m、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相
当径0.52μm、球相当径の変動係数15%の鱗片状
の結晶であった。(a,b,cは前記に規定されたとおり
である)
【0193】(本発明の有機酸銀分散物3−Bの調製)
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.
6Kg、蒸留水423リットル、5N-NaOH水溶液49.
2リットル、tert-ブタノール120リットルを混合
し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリ
ウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4Kgの水溶液2
06.2リットル(pH4.0)を用意し、10℃にて保
温した。635リットルの蒸留水と30リットルのtert
-ブタノールに界面活性剤S1を添加して45mモル/
Lとした界面活性剤溶液を入れた反応容器を30℃に保
温し、撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量
と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10
秒と60分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添
加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加される
ようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始
し、硝酸銀水溶液の添加終了後9分30秒間はベヘン酸
ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定にな
るように外温コントロールした。
【0194】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、2
0分間かけて25℃に降温し、ポリビニルアルコール
(商品名:PVA-217)の4重量%溶液を108リットル
添加した。
【0195】得られた有機酸銀仕込液を図1に示す限外
濾過装置に移液し脱塩処理を行った。限外濾過装置は、
有機酸銀分散物をストックするタンク1、ストックされ
ている分散物を限外濾過モジュール3に供給するための
循環ポンプ2から基本的に構成され、補充純水計測用流
量計4、透過水計測用流量計5、逆方向洗浄用ポンプ6
等を有している。使用した膜モジュールは、中空糸タイ
プの旭化成(株)製ACP-1050で、送液流量は18L/分、
モジュール前後の圧力差は1.0Kg/cm2とした。電
気電導度が100μS/cmに低下したところで、純水
の補充を止め、26重量%まで濃縮した。固形分濃度の
測定には京都電子社製デジタル比重計DA-300型を用い、
最終的には絶乾重量より検定した。得られたベヘン酸銀
の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、
平均球相当径0.27μm、球相当径変動係数12%の
針状結晶であった。
【0196】(本発明の有機酸銀分散物3−Cの調製)
反応容器に予め添加する水溶液の界面活性剤を界面活性
剤S2の55mモル/L溶液に変更した以外は、有機酸
銀分散物3−Bとまったく同じ方法で、有機酸銀分散物
3−Cを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態を電
子顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.
32μm、球相当径変動係数12%の針状結晶であっ
た。
【0197】(本発明の有機酸銀分散物3−Dの調製)
反応容器に予め添加する水溶液の界面活性剤を界面活性
剤S3の65mモル/L溶液に変更した以外は、有機酸
銀分散物3−Bとまったく同じ方法で、有機酸銀分散物
3−Cを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態を電
子顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.
39μm、球相当径変動係数16%の針状結晶であっ
た。
【0198】(本発明の有機酸銀分散物3−Eの調製)
界面活性剤S3の添加(0.65モル/L水溶液を70m
l)をベヘン酸ナトリウム溶液添加終了後から20分間
かけて25℃に降温するまでの間に変更した以外は、有
機酸銀分散物3−Dとまったく同じ方法で、有機酸銀分
散物3−Eを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態
を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径
0.47μm、球相当径変動係数22%の鱗片状結晶で
あった。
【0199】(本発明の有機酸銀分散物3−Fの調製)
反応容器に予め添加する水溶液の界面活性剤を界面活性
剤S4の65mモル/L溶液に変更した以外は、有機酸
銀分散物3−Bとまったく同じ方法で、有機酸銀分散物
3−Cを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態を電
子顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.
34μm、球相当径変動係数14%の板状結晶であっ
た。
【0200】(比較用有機酸銀塩3−Gの調製)反応容
器に予め添加する水溶液の界面活性剤をポリビニルアル
コール(商品名:PVA-217)の0.5mモル/L溶液に変
更した以外は、有機酸銀分散物3−Bとまったく同じ方
法で、有機酸銀分散物3−Gを調製した。得られた有機
酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したとこ
ろ、平均球相当径0.47μmの鱗片状結晶であった
が、著しく凝集していた。
【0201】(比較用有機酸銀塩3−Hの調製)反応容
器に予め添加する水溶液の界面活性剤をS5の0.5m
モル/L溶液に変更した以外は、有機酸銀分散物3−B
とまったく同じ方法で、有機酸銀分散物3−Hを調製し
た。得られた有機酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影に
より評価したところ、平均球相当径0.15μmの鱗片
状結晶であったが、著しく凝集していた。
【0202】(比較用有機酸銀塩3−Iの調製)反応容
器に予め添加する水溶液の界面活性剤をS6の0.5m
モル/L溶液に変更した以外は、有機酸銀分散物3−B
とまったく同じ方法で、有機酸銀分散物3−Iを調製し
た。得られた有機酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影に
より評価したところ、平均球相当径0.25μmの鱗片
状結晶であったが、著しく凝集していた
【0203】(本発明の有機酸銀塩3−Jの調製)界面
活性剤をS4(0.56M/L水溶液を70ml)に変
更し、ポリビニールアルコールの添加を行わなかった以
外は、有機酸銀分散物3−Eと同じ方法で、有機酸銀仕
込液を調製した。得られた有機酸銀仕込液を有機酸銀分
散物3−Bと同様に図1に示す限外濾過装置に移液し脱
塩処理を行った。ただし、定容希釈に補充する液を純水
から界面活性剤S1の45mモル/L溶液に変更し、電
気電導度が2,000μS/cm未満になったところで、
ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)の4重量%
溶液を108ml添加した。さらに純水補充による定容
希釈を5倍行った後、純水の補充を止め、26重量%ま
で濃縮した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕
微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.34
μm、球相当径変動係数18%の板状結晶であった。
【0204】(本発明の有機酸銀分散物3−Kの調製)
低分子界面活性剤を界面活性剤S3からS7に変更し、
高分子分散剤をポリビニールアルコールからポリビニル
ピロリドン(商品名:GAF Corporation社製PVPK-30)に
変更した以外は、有機酸銀分散物3−Eとまったく同じ
方法で、有機酸銀分散物3−Kを調製した。得られた有
機酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したと
ころ、平均球相当径0.63μm、球相当径変動係数1
9%の鱗片状結晶であった。
【0205】(本発明の有機酸銀分散物3−Lの調製)
高分子分散剤をポリビニルピロリドンからヒドロキシエ
チルセルロース(商品名:ダイセル化学社製SP550)
に変更した以外は、有機酸銀分散物3−Kとまったく同
じ方法で、有機酸銀分散物3−Lを調製した。得られた
有機酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価した
ところ、平均球相当径0.59μm、球相当径変動係数
21%の鱗片状結晶であった。
【0206】(比較用有機酸銀塩3−Mの調製)ポリビ
ニールアルコールの添加を行わなかった以外は、有機酸
銀分散物3−Bと同じ方法で、有機酸銀仕込液を調製し
た。得られた有機酸銀仕込液を有機酸銀分散物3−Bと
同様に図1に示す限外濾過装置に移液し脱塩処理を行っ
た。ただし、定容希釈に補充する液を純水から界面活性
剤S1の45mモル/L溶液に変更し、電気電導度が5
00μS/cmに低下したところで、界面活性剤S1溶
液の補充を止め、26重量%まで濃縮した。得られたベ
ヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価した
ところ、平均球相当径0.27μm、球相当径変動係数
27%の針状結晶であった。
【0207】(比較技術の有機酸銀塩3−Nの調製)反
応容器に予め添加する水溶液の界面活性剤を界面活性剤
S2の55mモル/L溶液に変更した以外は、有機酸銀
分散物3−Mとまったく同じ方法で、有機酸銀分散物3
−Nを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態を電子
顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.3
1μm、球相当径変動係数17%の針状結晶であった。
【0208】(比較技術の有機酸銀塩3−Oの調製)反
応容器に予め添加する水溶液の界面活性剤を界面活性剤
S3の65mモル/L溶液に変更した以外は、有機酸銀
分散物3−Mとまったく同じ方法で、有機酸銀分散物3
−Oを調製した。得られた有機酸銀の粒子の形態を電子
顕微鏡撮影により評価したところ、平均球相当径0.4
0μm、球相当径変動係数14%の針状結晶であった。
【0209】
【化2】
【0210】表1に有機酸銀分散物3−A〜3−Oの調
製条件をまとめた。
【0211】
【表3】
【0212】(還元剤の25重量%分散物の調製)1,1-
ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリ
メチルヘキサン10Kgと変性ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20重量%水溶液
10Kgに、水16Kgを添加して、良く混合してスラ
リーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液
し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した
横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)にて
3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナ
トリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25重
量%になるように調製し、還元剤分散物を得た。こうし
て得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径
0.42μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得ら
れた還元剤分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン
製フィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して
収納した。
【0213】(メルカプト化合物の10重量%分散物の
調製)1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-ト
リアゾールを5Kgと変性ポリビニルアルコール(クラ
レ(株)製ポバールMP203)の20重量%水溶液5Kgに
水8.3Kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)にて6時間分
散したのち、水を加えてメルカプト化合物の濃度が10
重量%になるように調製し、メルカプト分散物を得た。
こうして得たメルカプト化合物分散物に含まれるメルカ
プト化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径
2.0μm以下であった。得られたメルカプト化合物分
散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルター
にて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。ま
た、使用直前に再度孔径10μmのポリプロピレン製フ
ィルターにて濾過した。
【0214】(有機ポリハロゲン化合物の20重量%分
散物‐1の調製)トリブロモメチルナフチルスルホン5
Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバー
ルMP203)の20重量%水溶液2.5Kgと、トリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20重量%水
溶液213gと、水10Kgを添加して、良く混合して
スラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで
送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填
した横型サンドミル(UVM‐2:アイメックス(株)製)
にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナト
リウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物
の濃度が20重量%になるように調製し、有機ポリハロ
ゲン化合物分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化
合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメ
ジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であっ
た。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.
0μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0215】(有機ポリハロゲン化合物の25重量%分
散物‐2の調製)有機ポリハロゲン化合物の20重量%
分散物‐1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5Kgの代わりにトリブロモメチル(4-(2,4,6-
トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)スルホン5
Kgを用い、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が2
5重量%となるように希釈し、濾過を行った。こうして
得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリ
ハロゲン化合物粒子はメジアン径0.38μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲ
ン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フ
ィルターにて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納
した。
【0216】(有機ポリハロゲン化合物の30重量%分
散物‐3の調製)有機ポリハロゲン化合物の20重量%
分散物‐1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5Kgの代わりにトリブロモメチルフェニルス
ルホン5Kgを用い、20重量%MP203水溶液を5Kg
とし、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が30重量
%となるように希釈し、濾過を行った。こうして得た有
機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲ
ン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.
0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物
分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルター
にて濾過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。ま
た、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0217】(フタラジン化合物の5重量%溶液の調
製)8Kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコール
MP203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20重量%水
溶液3.15Kgと6-イソプロピルフタラジンの70重
量%水溶液14.28Kgを添加し、6-イソプロピルフ
タラジンの5重量%液を調製した。
【0218】(顔料の20重量%分散物の調製)C.I.Pi
gment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4
gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。
平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意
してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4G
サンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて
25時間分散し顔料分散物を得た。こうして得た顔料分
散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであっ
た。
【0219】(SBRラテックス40重量%の調製)限
外濾過(UF)精製したSBRラテックスは以下のよう
に得た。下記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希
釈したものをUF-精製用モジュールFS03-FC-FUY03A1
(ダイセル・メンブレン・システム(株))を用いてイオ
ン伝導度が1.5mS/cmになるまで希釈精製し、三洋
化成(株)製サンデット-BLを0.22重量%になるよう
添加した。さらにNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4+
イオン=1:2.3(モル比)になるように添加し、p
H8.4に調整した。この時のラテックス濃度は40重
量%であった。 (SBRラテックス:-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテッ
クス)
【0220】ラテックスは、平均粒径0.1μm、25
℃相対湿度60%における平衡含水率0.6重量%、イ
オン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は、東
亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用し、ラテックス原
液(40%)を25℃にて測定)であった。
【0221】(乳剤層(感光性層)塗布液の調製)上記
で得た有機酸銀分散物3−A〜3−Oをそれぞれ103
g、顔料の20重量%水分散物を1.1g、ポリビニル
アルコールPVA-205(クラレ(株)製)の20重量%水溶
液5g、上記25重量%還元剤分散物25g、有機ポリ
ハロゲン化合物分散物‐1,‐2,‐3を5:1:3
(重量比)で総量16.3g、メルカプト化合物10%
分散物6.2g、限外濾過(UF)精製しpH調整した
SBRラテックス40重量%を106g、フタラジン化
合物の5重量%溶液を18mlを添加し、ハロゲン化銀
混合乳剤Aを10gを良く混合し、乳剤層塗布液3−A
〜3−Oを調製し、そのままコーティングダイへ70m
l/m2となるように送液し、塗布した。
【0222】(乳剤面中間層塗布液の調製)ポリビニル
アルコールPVA-205(クラレ(株)製)の10重量%水溶
液772g、顔料の20重量%分散物5.3g、メチル
メタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロ
キシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重
合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5重量
%液226gにエアロゾールOT(アメリカンサイアナ
ミド社製)の5重量%水溶液を2ml、フタル酸二アン
モニウム塩の20重量%水溶液を10.5ml、総量8
80gになるように水を加えて保護応力防止層塗布液と
し、10ml/m2になるようにコーティングダイへ送液
した。40℃の塗布液の粘度はB型粘度計(No.1ロータ
ー、60rpm)で21[mPa・s]であった。
【0223】(乳剤面保護層第1層塗布液の調製)イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/
9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液80g、フ
タル酸の10重量%メタノール溶液を23ml、4-メチ
ルフタル酸の10重量%水溶液23ml、1Nの硫酸を
28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド
社製)の5重量%水溶液を5ml、フェノキシエタノー
ル0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総
量750gになるように水を加えて塗布液とし、4重量
%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチック
ミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるよう
にコーティングダイへ送液した。40℃の塗布液の粘度
はB型粘度計(No.1ローター、60rpm)で17[m
Pa・s]であった。
【0224】(乳剤面保護層第2層塗布液の調製)イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメ
タクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/
9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液102g、
N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N-プロピルアラ
ニンカリウム塩の5重量%溶液を3.2ml、ポリエチ
レングリコールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホニ
ル-N-プロピル-2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキ
シド平均重合度=15]の2重量%水溶液を32ml、
エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5
重量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒
子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレ
ート微粒子(平均粒径6.4μm)21g、4-メチルフ
タル酸1.6g、フタル酸4.8g、1Nの硫酸を44m
l、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gと
なるよう水を添加して、4重量%のクロムみょうばんと
0.67重量%のフタル酸を含有する水溶液445ml
を塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面
保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーテ
ィングダイへ送液した。40℃の塗布液の粘度はB型粘
度計(No.1ローター,60rpm)で9[mPa・s]
であった。
【0225】(熱現像感光材料の作成)上記下塗り支持
体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固体微
粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるよう
に、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.
7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、ハレー
ション防止バック層を作成した。バック面と反対の面に
下塗り面から乳剤層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.14
g/m2)、保護応力防止層、保護層第1層、保護層第2
層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布
し、熱現像感光材料の試料を作成した。
【0226】塗布はスピード100m/minで行い、
コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.
30mmに、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜8
82Pa低く設定した。引き続くチリングゾーンでは、
乾球温度が10〜20℃の風を吹き当てて、塗布液を冷
却した後、つるまき式の浮上方式の乾燥ゾーンにて、乾
球温度が23〜45℃、湿球温度が15〜21℃の乾燥
風を吹き当てた後70℃の乾燥ゾーンを20秒間通した
後、90℃の乾燥ゾーンを10秒間通し、その後25℃
に冷却した。作製された熱現像感光材料のマット度はベ
ック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が13
0秒であった。
【0227】
【化3】
【0228】(写真性能の評価)富士メディカルドライ
レーザーイメージャーFM‐DPL(最大60mW(III
B)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて写真材料
を露光・熱現像(約120℃)し、得られた画像の評価
を濃度計により行った。測定の結果は、Dmin、Dm
axおよび感度(Dminより1.0高い濃度を与える
露光量の比の逆数)で評価し、試料Aの感度を100と
して相対感度で表4に示した。
【0229】(強制経時保存性の評価)写真感材試料A
〜Oを30.5cm×25.4cmに裁断し、角を内径
0.5cmのラウンドコーナーに切り落として、25℃
相対湿度50%の条件下で1日放置し、写真感光材料そ
れぞれ10枚ずつを防湿材料でできた袋の中に密閉し、
さらに35.1cm×26.9cm×3.0cmの化粧箱
に入れ、50℃で5日間経時した(強制経時)。この試
料と比較用に保存温度を4℃とした以外は強制経時と同
様にした試料とを写真性の評価と同じ処理を行い、カブ
リ部分の濃度を測定した。経時保存性はカブリ増加率と
して評価した。
【0230】カブリ増加率=[{(強制経時試料のカブ
リ)―(比較試料のカブリ)}/{(比較試料の最高濃
度)―(支持体濃度)}]×100 カブリ増加率が低いほど経時保存性が良好である。
【0231】(光照射時の画像保存性)写真性評価と同
様に露光現像した感光材料を、直射日光のあたるガラス
窓の内側に貼り付け、1ヶ月放置した後の画像の様子を
下記の基準で評価した。 ◎:ほとんど変化がない。 ○:わずかに色調変化があるが、気にならない。 △:画像部変色あるが、実用的に許容される。 ×:Dminが変色し、濃度が上がっている。
【0232】カブリ増加率と光照射時の画像保存性も同
じく表3に示す。
【0233】
【表4】
【0234】炭素数40以上の疎水基をもつ界面活性S
5やS6、PVAを用いてベヘン酸銀粒子を調製した比
較例3−G〜3−Iにおいては、一次粒子が著しく凝集
した分散液となり、塗布、乾燥した熱現像感材試料のヘ
イズが高く塗布面状も劣悪であるため、露光から濃度測
定にて写真性能を正確に評価できる試料が得られなかっ
た。また、炭素数8〜40の疎水基をもつ界面活性S
1,S2,S3を用いた場合でも、限外濾過中に非イオ
ン性の高分子分散剤に置き換えなかった比較例M〜Oに
おいては、Dminが高く、感度とDmaxが下がり、
カブリ増加率や光照射時の画像保存性が低下する問題が
顕在化した。上記比較例に対し、本発明の態様である3
−B〜3−Fならびに3−J〜3−Lは、Dmin、相
対感度、Dmax、カブリ増加率、光照射時の画像保存
性の点において、従来技術Aと同等もしくは、それ以上
の写真性能を有していることが理解される。
【0235】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応した有機酸
銀塩を固体として取り出し再び分散することなく、反応
により生じる不要な副生成無機塩や反応に用いた有機溶
媒が除去でき、生産性が大幅に向上される。また、この
有機酸銀塩を用いることによって、カブリが低く、高感
度で高い黒化濃度を得ることができ、さらにヘイズが低
く、保存時の画像劣化の少ない熱現像感光材料を提供す
ることができる。この熱現像感光材料は、熱現像時に良
好な銀色調および写真性を有しており、露光および現像
の前後で安定性に優れるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 限外濾過処理を行なうために用いられる装置
の1構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 タンク 2 循環用ポンプ 3 限外濾過モジュール 4 補充純水計測用流量計 5 透過水計測用流量計 6 逆方向洗浄用ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 洋一 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社小田原工場内 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB25 AB28 BA00 BA14 BC00 BC01 BC12 CB00 CB03 DA06

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸銀塩の製造方法であって、(1)
    水、又は有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオンを含む
    溶液、及び(2)水、有機溶剤と水との混合溶液、又は有
    機溶剤中に有機酸のアルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁
    液を反応させて有機酸銀塩を調製し、脱塩操作によって
    副生成塩を除去する工程を含み、かつ前記反応の前から
    脱塩操作前までに分子量3000以下の分散剤を添加し
    分散する方法。
  2. 【請求項2】 有機酸銀塩の反応終了後であって、かつ
    脱塩操作完了前に分子量が3000より大きい分散剤を
    添加する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記分子量が3000より大きい分散剤
    が非イオン性界面活性剤である請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記脱塩操作が限外濾過法である請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の有機酸銀塩の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記分子量3000以下の分散剤がアニ
    オン性であり8から40の炭素数からなる疎水性基を有
    するイオン性界面活性剤である請求項1ないし4のいず
    れか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 脱塩操作が限外濾過法であり、使用する
    限外濾過膜が前記イオン性界面活性剤の分子量の10〜
    50倍の分画分子量を有する請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 脱塩操作が限外濾過法であり、使用する
    限外濾過膜が前記イオン性界面活性剤に対する阻止率0
    〜50%である請求項5又は6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記分子量が3000より大きい分散剤
    が限外濾過膜の分画分子量の5〜50倍の分子量を有す
    る非イオン性界面活性剤である請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 反応液中に導入するイオン性界面活性剤
    の濃度が臨界ミセル濃度の5〜100倍である請求項5
    ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 イオン性界面活性剤を導入する時期が
    銀イオンを含む溶液の添加終了以前である請求項5ない
    し9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 反応液中に導入するイオン性界面活性
    剤の親水性基がスルホン酸塩または硫酸エステル塩であ
    り、少なくとも一つの芳香族基を有する請求項5ないし
    10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 副生成塩を限外濾過によって除去する
    際に、予め有機酸銀分散物に添加したイオン性界面活性
    剤と同じ界面活性剤を補充しながら一定濃度に保つ請求
    項5ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 副生成塩を限外濾過によって除去する
    際に、予め有機酸銀分散物に添加したイオン性界面活性
    剤とは異る界面活性剤を補充しながら一定濃度に保つ請
    求項5ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 非イオン性高分子分散剤を添加するに
    先立って限外濾過操作を行い、非イオン性高分子分散剤
    を添加する際の電気電導度が2,000μS/cm未満で
    ある請求項3ないし13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 非イオン性高分子分散剤添加後に2〜
    10倍の定容希釈を行う請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 限外濾過中に導入する非イオン性高分
    子分散剤の濃度が有機酸銀固形分の0.1〜30重量%
    である請求項3ないし15のいずれか1項に記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 限外濾過中に導入する非イオン性高分
    子分散剤がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
    ン、又はヒドロキシプロピルセルロースのいずれか、又
    はそれらの組み合わせである請求項3ないし16のいず
    れか1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 非イオン性高分子分散剤添加後に2倍
    〜20倍の定容希釈を行ない、その後、分散物濃度を1
    0重量%〜50重量%に濃縮する請求項3ないし17の
    いずれか1項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 支持体の少なくとも一方の面に感光性
    ハロゲン化銀、有機酸銀塩、銀イオンのための還元剤、
    及びバインダーを含む熱現像感光材料の製造方法であっ
    て、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の方法に
    より製造された有機酸銀塩を用いる方法。
  20. 【請求項20】 感光性ハロゲン化銀及び有機酸銀塩を
    含有する画像形成層のバインダーが25℃、相対湿度6
    0%での平衡含水率が2重量%以下のポリマーであり、
    かつ該感光性層の溶媒の30重量%以上が水である塗布
    液を用いて塗布する工程を含む請求項19に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項19または20に記載の方法に
    より製造された熱現像感光材料。
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