JP2002107868A - 脂肪酸銀塩の製造方法および熱現像画像記録材料 - Google Patents

脂肪酸銀塩の製造方法および熱現像画像記録材料

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JP2002107868A
JP2002107868A JP2001215538A JP2001215538A JP2002107868A JP 2002107868 A JP2002107868 A JP 2002107868A JP 2001215538 A JP2001215538 A JP 2001215538A JP 2001215538 A JP2001215538 A JP 2001215538A JP 2002107868 A JP2002107868 A JP 2002107868A
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Takayoshi Oyamada
孝嘉 小山田
Takashi Ando
隆 安東
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像画像記録材料に使用したときに、造膜
阻害に起因する白抜け故障を抑制し、カブリを少なくす
ることができる脂肪酸銀塩の製造方法を提供すること。 【解決手段】 (1)水、または有機溶剤と水との混合
溶液中に銀イオンを含む銀イオン溶液と、(2)水、有
機溶剤、または水と有機溶剤との混合溶液中に脂肪酸の
アルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液である、脂肪酸ア
ルカリ金属塩溶液を、密閉混合手段中に添加して反応さ
せる脂肪酸銀塩の製造方法において、全脂肪酸アルカリ
金属塩溶液の50モル%〜99.5モル%を銀イオン濃
度より脂肪酸アルカリ金属塩濃度が高い状態の密閉混合
手段中に添加し、全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の0.5
モル%〜30モル%を銀イオン溶液の密閉混合手段中へ
の添加が終了した後に密閉混合手段中または該密閉混合
手段よりも下流に添加することを特徴とする脂肪酸銀塩
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像画像記録材
料、好ましくは熱現像感光材料に用いるための脂肪酸銀
塩の製造方法に関する。また本発明は、該脂肪酸銀塩を
用いた熱現像画像記録材料であって、該熱現像画像記録
材料をH切、B4等に加工する際に端面の画像形成層が
剥れにくく、医療診断用熱現像感光材料等として優れた
熱現像画像記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。近年写真製版分野及び医療分野において環境保全、
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれてい
る。そこで、レーザー光により効率的に露光させること
ができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像
を形成することができる写真製版及び医療用途の熱現像
画像記録材料に関する技術が必要とされている。これら
熱現像画像記録材料では、溶液系処理化学薬品の使用を
なくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システ
ムを顧客に対して供給することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,45
7,075号明細書、およびD.クロスターボアー(Kl
ostervoer)による「熱によって処理される銀システム
(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージ
ング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imagin
g Processes and Materials)Neblette 第8
版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Wa
lworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第2
79頁、1989年)に記載されている。このような熱
現像画像記録材料は、還元可能な非感光性の銀源(例え
ば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化
銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリッ
クス中に分散した状態で含有している。熱現像画像記録
材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80
℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤と
して機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて
銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像
の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能
な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、
これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされ
る。
【0004】このようなシステムに使用される銀源は一
般的に脂肪酸の銀塩であり、種々の製造法が知られてい
る。例えば、特開昭49−93310号公報、特開昭4
9−94619号公報、および特開昭53−68702
号公報に記載されるような水と水難溶性溶媒の共存液中
にて有機銀塩を調製する方法、特開昭53−31611
号公報、特開昭54−4117号公報及び特開昭54−
46709号公報に記載されるような水溶液中にて有機
銀塩を調製する方法、特開昭57−186745号公
報、特開昭47−9432号公報および米国特許第3,
700,458号明細書に記載されるような有機溶媒中
で有機銀塩を調製する方法等がある。基本的には、脂肪
酸を水中でその融点以上に加熱し溶融させ、激しく攪拌
しながら水酸化ナトリウムもしくはアルカリ金属塩を加
え、その後、アルカリセッケンを銀セッケンに転換する
ために硝酸銀を加えることにより調製する。このような
アルカリセッケンは、水溶液中ではミセルを形成し、外
見上は白濁液となっている。このようなミセル状態から
の銀セッケンへの反応は、しばしば製造安定性の問題を
引き起こす。このため、アルカリセッケンを均一液にす
るための方法として、溶媒を水とアルコールの混合液に
することが特開昭55−40607号公報に開示されて
いる。更に、アルカリセッケンを水とアルコールの混合
溶媒を用いて均一液にし銀溶液と同時に添加し、写真性
能を向上させる方法が特開平11−349325号公報
に開示されている。
【0005】一方、特開平11−349325号公報に
記載される同時添加法を用いることで、均一な反応によ
って脂肪酸銀塩を調製することができるようになった。
しかし、該公報の実施例に記載されているように反応漕
に脂肪酸アルカリ金属塩溶液及び銀イオン溶液を添加す
ると、反応中に泡が発生しその結果反応後期に液の粘度
が高くなってしまうために、スケールアップに対する懸
念が生じていた。そこで、脂肪酸アルカリ金属塩溶液及
び銀イオン溶液を密閉混合手段中に添加する方法が検討
されている。しかし、密閉混合手段中に添加することに
よって粒子の表面の親水性が低下し、その結果造膜性が
悪化するという別の問題が生じていた。
【0006】熱現像画像記録材料の造膜性の悪化は、各
メーカーにとって大きな問題となっている。造膜性が悪
いと、熱現像画像記録材料を所定のサイズに裁断する際
に、加工刃による衝撃で、脂肪酸銀を含有する層が層内
破壊され剥れが生じる。その結果、その後の運搬等の
際、その剥れが剥落して白抜け故障するという問題を招
く。例えば市販されている熱現像画像記録材料Dry View
Laser Imaging Film(Eastman Kodak社製)の材料端面
も膜剥れを起している。熱現像画像記録材料を作成する
ためには、脂肪酸銀塩をバインダー中に分散させて層を
形成する必要が有るが、このとき、通常のハロゲン化銀
に比べて造膜が困難であることに問題は起因している。
これは、脂肪酸銀塩がモルあたりに占める体積が大きい
ために、該脂肪酸銀塩がバインダーに占める体積も大き
くなるためであると考えられている。現状では、バイン
ダーの比率を増やすことで対処する方法が知られている
が、その結果、写真性にも影響を及ぼすため、弊害も多
く抱えていた。このため、写真性に影響を与えずに、造
膜性を改善することが求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
点に鑑みて、本発明は、熱現像画像記録材料(特に熱現
像感光材料)に使用したときに、造膜阻害に起因する白
抜け故障を抑制し、カブリを少なくすることができる脂
肪酸銀塩の製造方法を提供することを課題とした。また
本発明は、造膜阻害に起因する白抜け故障が抑制され、
カブリが少ない熱現像画像記録材料、特に熱現像感光材
料を提供することも課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を重
ねた結果、銀イオン溶液と脂肪酸アルカリ金属塩溶液を
所定の条件にしたがって混合することによって所期の効
果を示す脂肪酸銀塩を提供しうることを見いだして、本
発明に到達した。すなわち本発明は、(1)水、または
有機溶剤と水との混合溶液中に銀イオンを含む銀イオン
溶液と、(2)水、有機溶剤、または水と有機溶剤との
混合溶液中に脂肪酸のアルカリ金属塩を含む溶液又は懸
濁液である、脂肪酸アルカリ金属塩溶液を、密閉混合手
段中に添加して反応させる脂肪酸銀塩の製造方法におい
て、全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の50モル%〜99.
5モル%を銀イオン濃度より脂肪酸アルカリ金属塩濃度
が高い状態の密閉混合手段中に添加し、全脂肪酸アルカ
リ金属塩溶液の0.5モル%〜30モル%を銀イオン溶
液の密閉混合手段中への添加が終了した後に密閉混合手
段中または該密閉混合手段よりも下流に添加することを
特徴とする脂肪酸銀塩の製造方法を提供する。本発明の
製造方法では、全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の0.5モ
ル%〜30モル%を、銀イオン溶液の密閉混合手段中へ
の添加が終了した後に該密閉混合手段よりも下流にある
生成タンク中に添加することが好ましい。また、本発明
は、支持体上に、還元剤、バインダーおよび非感光性有
機銀塩を有する熱現像画像記録材料において、該非感光
性有機銀塩として、上記製造方法で製造された脂肪酸銀
塩を用いることを特徴とする熱現像画像記録材料も提供
する。本発明の熱現像画像記録材料の支持体上には、感
光性ハロゲン化銀を更に含有することが好ましく、ま
た、脂肪酸銀塩を含有する層中の水性ラテックス固形分
質量/脂肪酸銀質量の比が1.0〜2.5であることが
好ましい。なお、本明細書において「〜」はその前後に
記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含
む範囲を示す。
【0009】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の脂肪酸銀
塩の製造方法および熱現像画像記録材料について詳細に
説明する。本発明の脂肪酸銀塩の製造方法は、銀イオン
溶液と脂肪酸アルカリ金属塩とを密閉混合手段中に添加
して反応させる工程を含むものである。本明細書におい
て、銀イオン溶液とは、水、または有機溶剤と水との混
合溶液中に銀イオンを含む溶液をいい、脂肪酸アルカリ
金属塩溶液とは、水、有機溶剤、または水と有機溶剤と
の混合溶液中に脂肪酸のアルカリ金属塩を含む溶液又は
懸濁液をいう。本発明の脂肪酸銀塩の製造方法の特徴
は、全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の50モル%〜99.
5モル%を銀イオン濃度より脂肪酸アルカリ金属塩濃度
が高い状態の密閉混合手段中に添加することと、全脂肪
酸アルカリ金属塩溶液の0.5モル%〜30モル%を銀
イオン溶液の密閉混合手段中への添加が終了した後に密
閉混合手段中または該密閉混合手段よりも下流に添加す
ることにある。このような条件を満たすように銀イオン
溶液と脂肪酸アルカリ金属塩を添加することによって表
面の親水性が高い脂肪酸銀塩を製造することができるよ
うになり、さらには該脂肪酸銀塩を用いることによって
造膜性が良好で白抜け故障を抑制した熱現像画像記録材
料を提供することができるようになる。
【0010】本発明の製造方法に用いられる脂肪酸アル
カリ金属塩溶液は、脂肪酸をアルカリ処理することによ
って得られる。塩の種類としては、Na塩,K塩,Li
塩等が挙げられる。本発明で用いる脂肪酸は、銀塩とし
た場合に光に対して比較的安定であるが、露光された光
触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の
存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀
画像を形成する銀塩である。脂肪酸は好ましくは炭素数
10〜30、より好ましくは炭素数12〜26の長鎖脂
肪カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の好ましい例と
しては、セロチン酸、リグノセリン酸、ベヘン酸、エル
カ酸、アラキジン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウ
リン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マ
レイン酸、フマル酸、酒石酸、リノール酸、酪酸及び樟
脳酸、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】本発明に用いる脂肪酸のアルカリ金属塩の
アルカリ金属は、具体的にはNa、K、Liを挙げるこ
とができ、Na、Kが好ましい。脂肪酸のアルカリ金属
塩は、脂肪酸にNaOHもしくはKOHを添加すること
により調製することができる。このとき、アルカリの量
を脂肪酸の当量以下にして、未反応の脂肪酸を残存させ
ることが好ましい。この場合の、残存脂肪酸量は全脂肪
酸に対し3mol%〜50mol%であり、好ましくは
3mol%〜30mol%である。また、アルカリを所
望の量以上に添加した後に、硝酸、硫酸等の酸を添加
し、余剰のアルカリ分を中和させることにより調製して
もよい。本発明に用いる脂肪酸のアルカリ金属塩溶液の
濃度は、質量比として、5質量%〜50質量%であり、
好ましくは、7質量%〜45質量%であり、さらに好ま
しくは10質量%〜40質量%である。
【0012】本発明に用いる銀イオン溶液には水溶性銀
塩を含有させればよく、硝酸銀を用いることが好まし
い。本発明に用いる銀イオン溶液の銀イオン濃度は、任
意に決定されるが、モル濃度として、0.03mol/
L〜6.5mol/Lが好ましく、より好ましくは、
0.1mol/L〜5mol/Lである。本発明に用い
る銀イオン溶液のpHは、好ましくはpH1〜6、さら
に好ましくはpH1.5〜4である。更に、pH調節の
ため、酸およびアルカリを加えることができる。酸およ
びアルカリの種類は特に制限されない。
【0013】本発明の製造方法によって脂肪酸銀塩粒子
を形成させるためには、銀イオン溶液、脂肪酸アルカリ
金属塩溶液、あらかじめ反応場に準備しておく溶液の少
なくとも一つに、脂肪酸のアルカリ金属塩がひも状会合
体やミセルではなく、実質的に透明溶液となり得る量の
有機溶剤が含まれていなくてはならない。脂肪酸アルカ
リ金属塩溶液や、あらかじめ反応場に準備しておく溶液
は、有機溶剤単独でも構わないが、水との混合溶液であ
ることが好ましい。本発明で用いる有機溶剤としては、
水溶性で上記性質を有していればその種類は特に制限さ
れないが、写真性能に支障をきたすものは好ましくな
い。好ましくは水と混合できるアルコール、アセトン、
更に好ましくは炭素数4〜6の第3アルコールである。
【0014】本発明で用いる脂肪酸アルカリ金属塩溶液
は、有機溶剤の量が水分の量に対して3〜70容量%で
あることが好ましく、より好ましくは5〜50容量%で
ある。この際、反応温度で最適な溶媒体積が変化するた
め、トライアンドエラーで最適量を決定することができ
る。
【0015】さらに、本発明に用いる銀イオン溶液およ
び脂肪酸アルカリ金属塩溶液、あるいは両液が添加され
る密閉混合容器の液には、例えば特開昭62−6503
5号公報の一般式(1)で示されるような化合物、ま
た、特開昭62−150240号公報に記載のような水
溶性基含有Nヘテロ環化合物、特開昭50−10101
9号公報に記載のような無機過酸化物。特開昭51−7
8319号公報に記載のようなイオウ化合物、特開昭5
7−643号公報に記載のようなジスルフィド化合物お
よび過酸化水素等を添加することができる。
【0016】添加する銀イオン溶液と脂肪酸アルカリ金
属塩溶液は、それぞれ貯蔵タンク中で調製して所定の温
度に設定してもよいし、別途調製した後に貯蔵タンクに
供給して所定の温度に設定してもよい。
【0017】本発明の製造方法の手順を、本発明の製造
方法を実施するための装置例を示す図面(図1〜図3)
を参照しながら説明する。例えば図1に示す装置を用い
て製造する場合、本発明で用いる銀イオン溶液と脂肪酸
アルカリ金属塩溶液は、貯蔵タンク11、貯蔵タンク1
2にそれぞれを所定の温度に設定して貯蔵する。銀イオ
ン溶液と脂肪酸アルカリ金属塩溶液は、それぞれポンプ
15とポンプ16を介して密閉混合装置18に導入す
る。このときの流量を計測するために、導入路の途中に
は流量計13と14が設置されており、これらの流量計
により流量をチェックしながらポンプの動力を適宜調節
する。密閉混合手段18には、第3の成分として調製さ
れた脂肪酸銀塩分散物をポンプ17を介して導入する。
密閉混合手段18で混合された反応混合物は、熱交換器
19へ導入して速やかに冷却し、生成タンク20に導
く。
【0018】図2に示す装置を用いて製造する場合も、
図1の装置と同様に、銀イオン溶液と脂肪酸アルカリ金
属塩溶液は、貯蔵タンク11、貯蔵タンク12にそれぞ
れを所定の温度に設定して貯蔵する。銀イオン溶液と脂
肪酸アルカリ金属塩溶液は、それぞれポンプ15とポン
プ16を介して密閉混合装置18に導入する。ただし、
脂肪酸アルカリ金属塩の導入路には三方弁21が設置さ
れており、脂肪酸アルカリ金属塩溶液を密閉混合装置1
8及び生成タンク20への切り替えて誘導することがで
きるようになっている。三方弁21が生成タンク20へ
切り替えられた場合には、流量計14は生成タンク20
への流量を示すことになる。密閉混合手段18へは、図
1の装置と同様に、第3の成分として調製された脂肪酸
銀塩分散物をポンプ17を介して導入し、密閉混合手段
18で混合された反応混合物は、熱交換器19へ導入し
て速やかに冷却し、生成タンク20に導く。
【0019】図3に示す装置は、図1の装置にさらに独
立した貯蔵タンク22と、貯蔵タンク22と生成タンク
20を結ぶ導入路、該導入路に流量計23とポンプ24
を設置したものである。図3に示す装置を用いて製造す
る場合は、脂肪酸アルカリ金属塩溶液を貯蔵タンク22
に所定の温度に設定して貯蔵しておき、所定のタイミン
グでポンプ24を介して脂肪酸アルカリ金属塩溶液を生
成タンク20に導入する。その他は、図1と同様に操作
する。図4に示す装置は、図2の装置にさらに独立した
貯蔵タンク41と、貯蔵タンク41と密閉混合装置38
を結ぶ導入路、該導入路に流量計42とポンプ37を設
置したものである。図4に示す装置を用いて製造する場
合は、水、又は水と有機溶剤との混合物(その他、分散
剤を含有していてもよい)を貯蔵タンク41に入れ、導
入路を介して密閉混合装置38に添加する。その他は図
2と同様に操作する。
【0020】本発明の脂肪酸銀塩の製造方法では、全脂
肪酸アルカリ金属塩溶液の50モル%〜99.5モル%
を銀イオン濃度より脂肪酸アルカリ金属塩濃度が高い状
態の密閉混合手段中に添加する。添加量は、好ましくは
70モル%〜95モル%、より好ましくは80モル%〜
90モル%である。銀イオン濃度より脂肪酸アルカリ金
属塩濃度が高い状態は、密閉混合手段に添加する各溶液
の濃度や添加のタイミング等を適宜調節することによっ
てつくりだすことができる。例えば、銀イオン溶液を先
行して一定速度で添加し始めるときには、銀イオン濃度
よりも濃い脂肪酸アルカリ金属塩溶液を添加することに
より、途中から脂肪酸アルカリ金属塩濃度が銀イオン濃
度を上回るようにすることができる。逆に、脂肪酸アル
カリ金属塩溶液を先行して添加し始める場合には、脂肪
酸アルカリ金属塩溶液と銀イオン濃度が等モル濃度以上
であるならば、銀イオン溶液が添加されたとしても脂肪
酸アルカリ金属塩濃度の方が高い状態を保つことができ
る。本発明においては、銀イオン溶液の添加を先行させ
る前者の方法を採用することが好ましい。
【0021】本発明の製造方法では、銀イオン溶液の密
閉混合手段中への添加が終了した後に、全脂肪酸アルカ
リ金属塩溶液の0.5モル%〜30モル%を密閉混合手
段中または該密閉混合手段よりも下流に添加する。添加
量は、好ましくは3モル%〜20モル%、より好ましく
は10モル%〜15モル%である。図1の装置を用いた
場合は、脂肪酸アルカリ金属塩溶液はすべて密閉混合手
段に導入することになり、図2または図3の装置を用い
た場合は、脂肪酸アルカリ金属塩溶液の一部を生成タン
クに直接導入することができる。全脂肪酸アルカリ金属
塩溶液の0.5モル%〜30モル%は、生成タンクに添
加することが好ましい。ただし、本発明においては、全
脂肪酸アルカリ金属塩溶液の0.5モル%〜30モル%
は密閉混合手段中または該密閉混合手段よりも下流に添
加すればよいので、当該脂肪酸アルカリ金属塩溶液は、
密閉混合手段と生成タンクの間に添加してもよい。例え
ば、密閉混合手段と生成タンクの間に混合手段を設置し
て、該混合手段に脂肪酸アルカリ金属塩溶液を添加して
もよいし、そのような混合手段を設けずに誘導路に直接
脂肪酸アルカリ金属塩溶液を導入してもよい。全脂肪酸
アルカリ金属塩溶液の0.5モル%〜30モル%を本発
明にしたがって添加することにより、製造される脂肪酸
銀塩粒子の表面の親水性を上げることができる。このた
め、熱現像画像記録材料に適用した場合に造膜性が良化
し、膜剥れが改良される。特に生成タンクへ添加して製
造した場合は、熱現像画像記録材料のDminを効果的
に低減させることができるため好ましい。
【0022】本発明の製造方法において、銀イオン溶液
と脂肪酸アルカリ金属塩溶液の添加は、それぞれ連続的
に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。また、添加
中の流量や濃度は一定にしてもよいし、変化させてもよ
い。添加流量を変化させる場合は、任意の時間関数によ
る加速あるいは減速モードで添加することもできる。例
えば、脂肪酸アルカリ金属塩溶液については、2回〜6
回に分割して添加することができる。分割添加する場合
の回数は、好ましくは2回〜4回である。分割添加をす
れば、例えば写真性能に影響する添加と、表面の親水性
を変化させる添加等の条件を適宜調節することができる
ため、それぞれの添加により粒子に付与したい機能をコ
ントロールすることができる。なお、脂肪酸アルカリ金
属塩は高温下でないと固化してしまうため、添加ライン
を複数用意したり、循環方法等工夫をする等の配慮をす
る必要が有る。
【0023】本発明の製造方法を実施するための装置に
使用する銀イオン溶液用の流量計としては、計測誤差が
1%未満かつ時係数が1秒未満の電磁流量計もしくは質
量流量計を用いることができる。有機酸金属塩溶液用の
流量計としては、計測誤差が1%未満かつ時係数が1秒
未満の質量流量計を用いることができる。ポンプとして
は、上記流量計の計測値よりフィードバック制御が可能
なポンプ(例として、ロータリーポンプ、サニタリーポ
ンプ、ギアポンプ、モーノポンプ、プランジャーポン
プ、ダイアフラムポンプ)、もしくは定量誤差が1%未
満で安定した吐出量が得られるポンプ(例として、ギア
ポンプ、モーノポンプ、プランジャーポンプ、ダイアフ
ラムポンプ)等が挙げられる。脈動率は5%未満のもの
が好ましい。
【0024】本発明の製造方法で用いる「密閉式混合手
段」とは、容器内が混合すべき液体で満たされ、実質的
に空気相が存在しない、いわゆる気/液界面が存在しな
い状態で液体を撹拌混合する手段を指す。密閉混合装置
には、例えばアンカー翼、パドル翼のようなバルク撹拌
機、ディゾルバー、ホモジナイザー等の乳化分散機、ス
タティックミキサー、スルーザーミキサー等の静止型混
合機、もしくはそれらの併用等のあらゆる方式を採用す
ることができる。
【0025】液体を混合する際に、撹拌力が小さ過ぎる
と十分な混合が行われないし、逆に撹拌力が大きすぎる
と発熱やキャビテーションが起こってしまう。このた
め、撹拌力には好ましい範囲がある。回転翼を有する混
合装置においては、回転翼の最外周部における線速度が
好ましくは1〜50m/秒、より好ましくは1〜30m
/秒であり、また液体単位体積あたりの消費撹拌動力が
好ましくは0.1〜10KW/L、より好ましくは0.
5〜5KW/Lである。また、キャビテーションを抑え
る手段として液体中の溶存空気を低下させたり、混合装
置内の圧力を大気圧に対して0.1〜2kgf/cm2
程度高める方法も採用できる。
【0026】適当な力学的な強度を有していれば密閉混
合装置の材質に特に制限はないが、銀イオン液および脂
肪酸アルカリ金属塩液ならびに使用有機溶剤に対してイ
ナートな材質が好ましい。また、脂肪酸のアルカリ金属
塩液は通常50℃以上の高温であるので、熱的に安定な
材質を選定する必要もある。これらの条件を満足するも
のとして、ステンレス材料(SUS304,SUS31
6など)、チタンまたはチタン合金、ガラスライニン
グ、セラミック、フッ素樹脂などで被覆した金属材料、
グラスファイバーやケブラーなどのコンポジット樹脂、
ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイドなどの
エンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0027】本発明の製造方法では、密閉混合手段中
に、水、または水と有機溶剤との混合物をさらに添加す
ることが好ましい。特に添加する水または混合物には分
散剤が含まれていることが好ましい。また、反応後に得
られる混合物の少なくとも一部を循環して前記密閉混合
手段中に添加することも好ましい。
【0028】さらに、反応後に得られる混合物を冷却す
ることも好ましい。銀イオン液と脂肪酸アルカリ金属塩
液が反応した後の液温を速やかに低下させるためには、
混合装置へ供給する銀イオン液、水もしくは水と有機溶
剤との混合液や反応した後の脂肪酸銀塩粒子液をあらか
じめ冷却しておく方法以外に混合装置そのものを冷やす
方法や混合装置からタンクの間に熱交換器を付設する方
法が採用できる。銀イオン液と脂肪酸のアルカリ金属塩
液が反応した後の液温は、好ましくは5〜70℃、より
好ましくは10〜50℃、特に好ましくは20〜45℃
である。
【0029】調製された脂肪酸銀塩粒子は、冷却した後
に生成タンクに導くことが好ましい。生成タンクは、反
応液を均一にするためにも撹拌混合されていることが好
ましい。ここでの撹拌混合手段としても、例えばアンカ
ー翼、パドル翼のようなバルク撹拌機、ディゾルバー、
ホモジナイザー等の乳化分散機、スタティックミキサ
ー、スルーザーミキサー等の静止型混合機、もしくはそ
れらの併用等のあらゆる方式を使用することができる。
【0030】本発明の製造方法では、銀イオン溶液及び
/または脂肪酸アルカリ金属塩の添加が終了した後に、
生成タンク内の反応温度を上げて熟成を行っても構わな
い。熟成は、溶液の添加温度+0℃〜+20℃が好まし
く、+0℃〜+10℃が好ましい。なお、熟成時間はト
ライアンドエラーで決定することがこのましい。この熟
成を行うことによって、表面の親水性を上げることがで
きるため、造膜性をより一層良好にすることができる。
【0031】本発明の製造方法により製造される脂肪酸
銀塩の形状に特に制限はないが、りん片状の脂肪酸銀塩
を調製することが好ましい。本明細書において、りん片
状の脂肪酸銀塩とは、次のようにして定義する。脂肪酸
酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、脂肪酸酸銀塩粒子の形状
を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方から
a、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)と
き、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを
求める。 x=b/a
【0032】このようにして200個程度の粒子につい
てxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平
均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好
ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは2
0≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x
(平均)<1.5である。
【0033】りん片状粒子において、aはbとcを辺と
する面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることがで
きる。aの平均は0.01μm〜0.23μmが好まし
く0.1μm〜0.20μmがより好ましい。c/bの
平均は好ましくは1〜6、より好ましくは1.05〜
4、さらに好ましくは1.1〜3、特に好ましくは1.
1〜2である。
【0034】脂肪酸銀塩の粒子サイズ分布は単分散であ
ることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長
さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100
分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%
以下、更に好ましくは50%以下である。脂肪酸銀塩の
形状の測定方法としては脂肪酸銀塩分散物の透過型電子
顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する
別の方法として、脂肪酸銀塩の体積加重平均直径の標準
偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値
の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より
好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下であ
る。測定方法としては例えば液中に分散した脂肪酸銀塩
にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化
に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子
サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0035】本発明において好ましいりん片状の脂肪酸
酸銀塩は、例えば銀イオン溶液と脂肪酸アルカリ金属塩
を含む第3アルコール水溶液とを密閉混合手段中で反応
させる際に、密閉混合手段中に運ばれてくる液(好まし
くは、先行して入れた銀イオン溶液、または銀イオン溶
液を先行することなく脂肪酸アルカリ金属塩を含む第3
アルコール水溶液とはじめから同時に添加する場合は、
後述のように、水もしくは水と第3アルコールとの混合
溶媒であり、銀イオン溶液を先行して入れる場合におい
ても水または水と第3アルコールとの混合溶媒をあらか
じめ入れておいてもよい。)と添加する脂肪酸アルカリ
金属塩を含む第3アルコール水溶液との温度差を20℃
〜85℃とする方法により製造することが好ましい。こ
のような温度差を脂肪酸アルカリ金属塩を含む第3アル
コール水溶液の添加中にて維持することによって、脂肪
酸銀塩の結晶形態等が好ましく制御される。
【0036】また、炭素数4〜6の第3アルコールが含
まれていてもよく、その場合は銀イオン溶液の全体積に
対し、体積として70%以下であり、好ましくは50%
以下である。また、その水溶液の温度としては0℃〜5
0℃が好ましく、5℃〜30℃がより好ましく、後述の
ように、銀イオン溶液と脂肪酸アルカリ金属塩の第3ア
ルコール水溶液を同時添加する場合は、5℃〜15℃が
最も好ましい。
【0037】密閉混合手段中もしくは反応容器に添加す
る脂肪酸アルカリ金属塩の第3アルコール水溶液の温度
としては、脂肪酸アルカリ金属塩の結晶化、固化の現象
を避けるに必要な温度に保っておく目的で50℃〜90
℃が好ましく、より好ましくは60℃〜85℃がより好
ましく、65℃〜85℃が最も好ましい。また、反応の
温度を一定にコントロールするために上記範囲から選ば
れるある温度で一定にコントロールされることが好まし
い。
【0038】密閉混合手段中及び反応容器中の温度は、
好ましくは5℃〜75℃、より好ましくは5℃〜60
℃、最も好ましくは10℃〜50℃である。反応の全行
程にわたって前記温度から選ばれるある一定の温度にコ
ントロールされることが好ましいが、前記温度範囲内で
いくつかの温度パターンでコントロールすることも好ま
しい。
【0039】脂肪酸アルカリ金属塩の第3アルコール水
溶液と密閉混合手段及び反応容器中の液との温度の温度
差は、20℃〜85℃が好ましく、より好ましくは30
℃〜80℃である。この場合脂肪酸アルカリ金属塩の第
3アルコール水溶液の温度の方が高いことが好ましい。
【0040】これにより、高温の脂肪酸アルカリ金属塩
の第3アルコール水溶液が密閉混合手段中で急冷されて
微結晶状に析出する速度と、水溶性銀塩との反応で脂肪
酸銀塩化する速度が好ましく制御され、脂肪酸銀塩の結
晶形態、結晶サイズ、結晶サイズ分布を好ましく制御す
ることができる。また同時に熱現像画像記録材料、特に
熱現像感光材料として性能をより向上させることができ
る。
【0041】反応容器中には、あらかじめ溶媒を含有さ
せておいてもよい。あらかじめ入れられる溶媒には水が
好ましく用いられるが、前記第3アルコールとの混合溶
媒も好ましく用いられる。
【0042】脂肪酸アルカリ金属の第3アルコール水溶
液、銀イオン溶液、あるいは反応液には水性媒体可溶な
分散助剤を添加することができる。分散助剤としては、
形成した脂肪酸銀塩を分散可能なものであればいずれの
ものでもよい。具体的な例は、脂肪酸銀塩の分散助剤の
記載に準じる。
【0043】本発明の脂肪酸銀塩の製造方法において
は、銀塩形成後に脱塩・脱水工程を行うことが好まし
い。その方法は特に制限はなく、周知・慣用の手段を用
いることができる。例えば、遠心濾過、吸引濾過、限外
濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方
法、また、遠心分離沈降による上澄み除去等も好ましく
用いられる。脱塩・脱水は1回でもよいし、複数繰り返
してもよい。水の添加および除去を連続的に行ってもよ
いし、個別に行ってもよい。脱塩・脱水は最終的に脱水
された水の伝導度が好ましくは300μS/cm以下、
より好ましくは100μS/cm以下、最も好ましくは
60μS/cm以下になる程度に行う。この場合の伝導
度の下限に特に制限はないが、通常5μS/cm程度で
ある。
【0044】さらに、熱現像材料、特に熱現像感光材料
の塗布面状を良好にするためには、脱塩、脱水された脂
肪酸銀塩を分散剤を添加、分散して微細分散物とするこ
とが好ましい。
【0045】脂肪酸銀塩を微粒子分散化する方法は、分
散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、高速ミキ
サー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキ
サー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボー
ルミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、
ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミ
ル、トロンミル、高速ストーンミル)を用い、機械的に
分散することができる。
【0046】高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集の
ない均一な脂肪銀塩固体分散物を得るには画像形成媒体
である脂肪酸銀塩粒子の破損や高温化を生じさせない範
囲で、大きな力を均一に与えることが好ましい。そのた
めには脂肪酸銀塩及び分散剤溶液からなる分散物を高速
流に変換した後、圧力降下させる分散法が好ましい。こ
の場合の分散媒は分散助剤が機能する溶媒であればどの
ような物でもかまわないが、水のみであることが好まし
く、20質量%以下であれば有機溶媒を含んでいてもよ
い。また分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリ
が上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光
性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明
は、分散される分散液中での感光性銀塩量は、その液中
の脂肪酸銀塩1molに対し0.1mol%以下であ
り、感光性銀塩の添加は行わないほうが好ましい。
【0047】上記のような再分散法を実施するのに用い
られる分散装置およびその技術については、例えば「分
散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊夫、薄井洋基
著、1991、信山社出版(株)、p357〜40
3)、「化学工学の進歩 第24集」(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜1
85)、特開昭59−49832号公報、米国特許45
33254号明細書、特開平8−137044号明細
書、特開平8−238848号明細書、特開平2−26
1525号明細書、特開平1−94933号明細書等に
詳しいが、本発明での再分散法は、少なくとも脂肪酸銀
塩を含む分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させ、
この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせることによ
り微細な分散を行う方法である。
【0048】高圧ホモジナイザーについては、一般には
(a)分散質が狭間隙(75μm〜350μm程度)を
高圧、高速で通過する際に生じる「せん断力」、(b)
高圧化の狭い空間で液−液衝突、あるいは壁面衝突させ
るときに生じる衝撃力は変化させずにその後の圧力降下
によるキャビテーション力をさらに強くし、均一で効率
の良い分散が行われると考えられている。この種の分散
装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げら
れるが、この装置では、高圧で送られた被分散液が円柱
面上の狭い間隙で高速流に変換され、その勢いで周囲の
壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。上
記液−液衝突としては、マイクロフルイダイザーのY型
チャンバー、後述の特開平8−103642号公報に記
載のような球形型の逆止弁を利用した球形チャンバーな
どが挙げられ、液−壁面衝突としては、マイクロフルイ
ダイザーのZ型チャンバー等が挙げられる。使用圧力は
一般には100〜600kg/cm2、流速は数m〜3
0m/秒の範囲であり、分散効率を上げるために高速流
部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施した
ものも考案されている。このような装置の代表例として
ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイデックス・イ
ンターナショナル・コーポレーション社製のマイクロフ
ルイダイザー、みづほ工業(株)製のマイクロフルイダ
イザー、特殊機化工業(株)製のナノマイザー等が挙げ
られる。特開平8−238848号公報、同8−103
642号公報、米国特許第4533254号明細書にも
記載されている。
【0049】脂肪酸銀塩は、流速、圧力降下時の差圧と
処理回数の調節によって、所望の粒子サイズに分散する
ことができるが、写真特性と粒子サイズの点から、流速
が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が9
00〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、さらに
流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧
が1500〜3000kg/cm2の範囲であることが
より好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択でき
る。通常は1〜10回の範囲が選ばれるが、生産性の観
点で1〜3回程度が選ばれる。高圧下でこのような分散
液を高温にすることは、分散性・写真性の観点で好まし
くなく、90℃を超えるような高温では粒子サイズが大
きくなりやすくなるとともに、カブリが高くなる傾向が
ある。従って、前記の高圧、高速流に変換する前の工程
もしくは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれら両
工程に冷却装置を含み、このような分散の温度が冷却工
程により5℃〜90℃の範囲に保たれていることが好ま
しく、さらに好ましくは5℃〜80℃の範囲、特に5℃
〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特に、
1500〜3000kg/cm2の範囲の高圧の分散時
には、前記の冷却工程を設置することが有効である。冷
却装置は、その所要熱交換量に応じて、2重管や3重管
にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱交換
器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができる。ま
た、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考慮し
て、管の太さ、肉厚や材質などの好適なものを選べばよ
い。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20℃の
井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また、必要
に応じて−30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を
使用することができる。
【0050】脂肪酸銀塩を分散剤を使用して固体微粒子
化する際には、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の
共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステ
ル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共
重合体、などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチ
ルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成
アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニ
オン性ポリマー、特開昭52−92716号公報、国際
公開WO88/04794号公報などに記載のアニオン
性界面活性剤、特開平9−179243号公報に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤や、その他ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の
自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いるこ
とができる。また分散媒として溶剤を用いた場合、ポリ
ビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリ
レートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマ
ー、ポリスチレンおよびブタジエン−スチレンコポリマ
ー等が好ましく用いられる。
【0051】分散助剤は、分散前に脂肪酸銀塩の粉末ま
たはウェットケーキ状態の脂肪酸銀塩と混合し、スラリ
ーとして分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、
予め脂肪酸銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒によ
る処理を施して脂肪酸銀塩粉末またはウェットケーキと
しても良い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤
によりpHコントロールしても良い。
【0052】機械的に分散する以外にも、pHコントロ
ールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の
存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。この
とき、粗分散に用いる溶媒として脂肪酸溶媒を使用して
も良い。
【0053】本発明においては、非イオン性高分子分散
剤を使用することができる。非イオン性高分子分散剤は
有機酸銀塩を分散可能で分子量が銀イオンを含む溶液と
有機酸のアルカリ金属塩の溶液との反応から生ずる副生
成塩の脱塩に使用する限外濾過膜の分画分子量の5倍〜
10倍を有するものであれば特に制限はなく、反応水性
溶媒に可溶な分散剤を挙げることができる。このような
分散剤としては、ポリビニルアルコール,ポリビニルピ
ロリドン,ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースが好ましく使用される。
【0054】非イオン性高分子分散剤の濃度は、有機酸
銀塩に対して、0.1〜30質量%、特に0.5〜30
質量%の範囲が好ましい。上記非イオン性高分子分散剤
の添加時期は特に限定されないが、有機酸銀塩反応の阻
害を防止するために、有機酸銀塩の反応終了後であっ
て、かつ脱塩操作以前であることが好ましい。さらに好
ましい本発明の実施形態としては、限外濾過によって脱
塩を行い、有機酸銀分散液の電気伝導度が低下した後に
非イオン性高分子分散剤を添加する。この時の電気伝導
度は、2,000μS/cm以下が好ましい。
【0055】限外濾過法は、例えばハロゲン化銀乳剤の
脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することが出来る。
リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosur
e)No.10の208(1972)、No.13の1
22(1975)およびNo.16の351(197
7)などを参照することができる。操作条件として重要
な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブッ
ク」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲
線を参考に選定することができるが、目的の有機酸銀分
散物を処理する上では、粒子の凝集やカブリを抑えるた
めに最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より
損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒
を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とが
あるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好まし
い。
【0056】こうして補充する溶媒には、イオン交換ま
たは蒸留して得られた純水を用いるが、pHを目的の値
に保つために、純水の中にpH調整剤等を混合してもよ
いし、有機酸銀分散物に直接添加してもよい。
【0057】限外濾過膜は、すでにモジュールとして組
み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、
ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学
(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販され
ているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型
もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過すること
ができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、使
用する高分子分散剤の分子量の1/5以下であることが
好ましい。
【0058】粒子形成後から脱塩操作が進むまでの液温
は低く保つことが好ましい。これは、有機酸のアルカリ
金属塩を溶解する際に用いる有機溶剤が、生成した有機
酸銀粒子内に浸透している状態では、送液操作や限外濾
過膜を通過する際の剪断場や圧力場によって銀核が生成
しやすいからである。このため、本発明では有機酸銀粒
子分散物の温度を1〜30℃、好ましくは5〜25℃に
保ちながら限外濾過操作を行う。
【0059】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、コロイドに
より粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー
状にした状態)で保存したりすることもできる。また、
保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加
することもできる。
【0060】脂肪酸銀塩の製造方法にて製造された脂肪
酸銀塩は、溶媒中で分散された後、感光性銀塩溶液と混
合して熱現像画像記録材料製造用の塗布液として供給さ
れることが好ましい。
【0061】分散操作に先だって、原料液は、粗分散
(予備分散)される。粗分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、
その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化
させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有
機溶媒を使用しても良い。
【0062】脂肪酸銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ
(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固体微
粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。平均粒子サイズ0.05μm〜10.0μm
の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒
子サイズ0.1μm〜5.0μm、更に好ましくは平均
粒子サイズ0.1μm〜2.0μmである。
【0063】本発明において好ましく用いられる脂肪酸
銀塩固体微粒子分散物は、少なくとも脂肪酸銀塩と水か
ら成るものである。脂肪酸銀塩と水との割合は特に限定
されるものではないが、脂肪酸銀塩の全体に占める割合
は5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜3
0質量%の範囲が好ましい。前述の分散助剤を用いるこ
とは好ましいが、粒子サイズを最小にするのに適した範
囲で最少量使用するのが好ましく、脂肪酸銀塩に対して
1〜30質量%、特に3〜15質量%の範囲が好まし
い。
【0064】本発明において脂肪酸銀塩分散液と感光性
銀塩分散液を混合して熱現像画像記録材料を製造するこ
とが可能であるが、脂肪酸銀塩と感光性銀塩の混合比率
は目的に応じて選べるが、脂肪酸銀塩に対する感光性銀
塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜
20モル%、特に5〜15モル%の範囲が好ましい。混
合する際に2種以上の脂肪酸銀塩水分散液と2種以上の
感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節
のために好ましく用いられる方法である。
【0065】脂肪酸銀塩は所望の量で使用できるが、銀
量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好まし
くは1〜3g/m2である。
【0066】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体上
に、還元剤、バインダーおよび非感光性有機銀塩を有す
るものであり、支持体上には、さらに感光性ハロゲン化
銀を有することが好ましい。本発明に用いられる感光性
ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、
塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀
を用いることができる。粒子内におけるハロゲン組成の
分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状
に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したもの
でもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化
銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ま
しくいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜
4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。ま
た塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させ
る技術も好ましく用いることができる。
【0067】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えばリサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第
3,700,458号明細書に記載されている方法を用
いることができる。具体的には、ハロゲン化銀は、ハロ
ゲン化銀乳剤として硝酸銀と可溶性ハロゲン塩との反応
により調製する。なお、脂肪酸銀塩とハロゲンイオンと
を反応させ、ハロゲン変換して調製してもよい。また、
脂肪酸銀塩の形成時にハロゲンイオンを添加してもよ
い。
【0068】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm〜0.15μm、更に好ましくは0.02
μm〜0.12μmがよい。ここでいう粒子サイズと
は、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆ
る正常晶である場合、その他正常晶でない場合、例えば
球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の
体積と同等な球を考えたときの直径をいい、ハロゲン化
銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と
同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0069】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光
性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)に
ついては特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場
合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高
いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ま
しく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好
ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸
着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に
記載の方法により求めることができる。
【0070】ハロゲン化銀粒子には、六シアノ金属錯体
を粒子最表面に存在させることが好ましい。六シアノ金
属錯体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ru(C
N)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(CN)6]3-、[Ir
(CN)6]3-、[Cr(CN)6]3-、[Re(CN)6]3-などが挙げられ
る。中でも六シアノFe錯体が好ましい。
【0071】六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの
形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、対陽イ
オンとしては、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の
沈澱操作に適合しているもの、例えばナトリウムイオ
ン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオ
ンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アン
モニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えば
テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモ
ニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テ
トラ(n-ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが
好ましい。
【0072】六シアノ金属錯体は、水の他に、水と混和
しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテ
ル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)と水との混合溶媒やゼラチンと混和して添加するこ
とができる。
【0073】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5〜1×10-2モルが好ましく、より好まし
くは1×10-4〜1×10-3モルである。
【0074】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表
面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に
使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セ
レン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等
の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終
了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前
に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないた
めには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加す
ることが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好
ましい。
【0075】六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をす
るために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した
後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始
するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好
ましい。
【0076】これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了
する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハ
ロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほと
んどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。こ
の六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩で
あるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子
サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可
能となった。
【0077】好ましい感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の
金属または金属錯体を含有する。周期律表の第8族〜第
10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましく
は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イ
リジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、
同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよ
い。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モル〜
1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの金属錯体に
ついては特開平11−65021号公報の段落番号[0
018]〜[0024]に記載されている。
【0078】本発明においてはその中でもハロゲン化銀
粒子中にイリジウム化合物を含有させることが好まし
い。イリジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロロ
イリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラ
トイリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロ
ニトロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジ
ウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いら
れるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために
一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水
溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲ
ン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、Na
Br等)を添加する方法を用いることができる。水溶性
イリジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あ
らかじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀
粒子を添加して溶解させることも可能である。これらイ
リジウム化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1
×10-8モル〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×
10-7モル〜5×10-4モルの範囲がより好ましい。
【0079】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(C
N)64-)、脱塩法、化学増感法については特開平1
1−84574号公報の段落番号[0046]〜[00
50]、特開平11−65021号公報の段落番号[0
025]〜[0031]に記載されている。
【0080】本発明に適用できる増感色素としてはハロ
ゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン
化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択するこ
とができる。増感色素及び添加法については、特開平1
1−65021号公報の段落番号[0103]〜[01
09]、特開平10−186572号公報一般式(II)
で表される化合物、欧州特許公開EP第0803764
A1号公報の第19ページ第38行〜第20ページ第3
5行に記載されている。本発明において増感色素をハロ
ゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布ま
での時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟
成の開始前までの時期である。
【0081】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法に
て化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セ
レン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物
としては公知の化合物、例えば、特開平7−12876
8号公報等に記載の化合物等を使用することができる。
特に本発明においてはテルル増感が好ましく、テルル増
感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシ
カルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリ
ド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)
ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P
=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、テ
ルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、テ
ルロカルボニル化合物などを用いることができる。具体
的には、特開平11−65021号公報段落番号[00
30]に記載の文献に記載の化合物を挙げることができ
る。特に特開平5−313284号公報中の一般式(I
I),(III),(IV)で示される化合物が好ましい。
【0082】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)
分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。特に分光増
感後に行われることが好ましい。本発明で用いられる硫
黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましく
は10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化
学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては
5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10
であり、温度としては40〜95℃、好ましくは44〜
70℃である。
【0083】本発明に用いられる熱現像画像記録材料中
の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二
種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲ
ン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条
件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性
ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節すること
ができる。これらに関する技術としては特開昭57−1
19341号公報、同53−106125号公報、同4
7−3929号公報、同48−55730号公報、同4
6−5187号公報、同50−73627号公報、同5
7−150841号公報などが挙げられる。感度差とし
てはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせ
ることが好ましい。
【0084】感光性ハロゲン化銀の添加量は、熱現像画
像記録材料1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03
〜0.6g/m2であることが好ましく、0.05〜
0.4g/m2であることがさらに好ましく、0.1〜
0.4g/m2であることが最も好ましく、脂肪酸銀塩
1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀0.01モル〜
0.5モルが好ましく、0.02モル〜0.3モルがよ
り好ましく、0.03モル〜0.25モルが特に好まし
い。
【0085】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と脂肪
酸銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調
製終了したハロゲン化銀粒子と脂肪酸銀塩を高速撹拌機
やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、
ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは脂肪酸銀
塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光
性ハロゲン化銀を混合して脂肪酸銀塩を調製する方法等
があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては
特に制限はない。
【0086】本発明のハロゲン化銀を画像形成層塗布液
中へ添加する場合、本発明の効果が十分に現れる限りに
おいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添
加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間
を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法
やN.Harnby、M.F.Edwards、A.
W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日
刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されて
いるスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0087】本発明の熱現像画像記録材料に用いられる
還元剤としては、フェニドン、ヒドロキノン類、カテコ
ールおよびヒンダードフェノールが好ましい。還元剤に
ついては、米国特許3770448号明細書、同377
3512号明細書、同3593863号明細書、同44
60681号明細書の各明細書、およびリサーチ・ディ
スクロージャー(Research Disclosure)誌17029
号、同29963号に記載がある。
【0088】還元剤の例には、アミノヒドロキシシクロ
アルケノン化合物(例、2−ヒドロキシ−ピペリジノ−
2−シクロヘキセノン)、N−ヒドロキシ尿素誘導体
(例、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿
素)、アルデヒドまたはケトンのヒドラゾン類(例、ア
ントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ホスファ
ーアミドフェノール類、ホスファーアミドアニリン類、
ポリヒドロキシベンゼン類(例、ヒドロキノン、ter
t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノ
ン、2,5−ジヒドロキシ−フェニルメチルスルホ
ン)、スルホヒドロキサム酸類(例、ベンゼンスルホヒ
ドロキサム酸)、スルホンアミドアニリン類(例、4−
(N−メタンスルホンアミド)アニリン)、2−テトラ
ゾリルチオヒドロキノン類(例、2−メチル−5−(1
−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン)、
テトラヒドロキノキサリン類(例、1,2,3,4−テ
トラヒドロキノキサリン)、アミドオキシン類、アジン
類(例、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類)と
アスコルビン酸との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼ
ンとヒドロキシルアミンとの組み合わせ、リダクトン、
ヒドラジン、ヒドロキサム酸類、アジン類とスルホンア
ミドフェノール類との組み合わせ、α−シアノフェニル
酢酸誘導体、ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロ
キシベンゼン誘導体との組み合わせ、5−ピラゾロン
類、スルホンアミドフェノール類、2−フェニリンダン
−1,3−ジオン、クロマン、1,4−ジヒドロピリジ
ン類(例、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエト
キシ−1,4−ジヒドロピリジン)、ビスフェノール類
(例、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t
ert−ブチルフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−
3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、4,4
−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル−6−メチ
ル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体
および3−ピラゾリドン類が含まれる。
【0089】還元剤の前駆体として機能するアミノレダ
クトン類のエステル(例、ピペリジノヘキソースリダク
トンモノアセテート)を還元剤として用いてもよい。中
でも好ましい還元剤は、ビスフェノールである。特に下
記一般式(I)で表される化合物が好ましく用いられ
る。
【0090】
【化1】
【0091】一般式(I)において、R11およびR11'
はそれぞれ独立にアルキル基を表す。R12およびR12'
はそれぞれ独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能
な基を表す。X11およびX11'はそれぞれ独立に水素原
子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R11
11、R11'とX11'、R12とX11、およびR12'とX11'
は、互いに結合して環を形成してもよい。Lは−S−基
または−CHR13−基を表し、R13は水素原子またはア
ルキル基を表す。
【0092】一般式(I)において、R11およびR11'
はそれぞれ独立にアルキル基を表す。具体的には、置換
または無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基で
あって、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であ
る。アルキル基の置換基は特に限定されることはない
が、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル
基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステ
ル基、ハロゲン原子などである。
【0093】R11およびR11'は、より好ましくは炭素
数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体
的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、
t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シ
クロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メ
チルシクロプロピル基などである。さらに好ましくは炭
素数4〜12の3級アルキル基であり、その中でもt−
ブチル基、t−アミル基、および1−メチルシクロヘキ
シル基が特に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0094】R12およびR12'はそれぞれ独立に、水素
原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。X11およ
びX11'はそれぞれ独立に、水素原子またはベンゼン環
に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基とし
ては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、アシルアミノ基などが挙げられる。
【0095】R12およびR12'は、好ましくは炭素数1
〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチル
シクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メ
トキシエチル基などである。より好ましくはメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはt−ブチ
ル基である。X11およびX11'は、好ましくは水素原
子、ハロゲン原子またはアルキル基であり、特に好まし
くは水素原子である。R11とX11、R11'とX11'、R12
とX11、およびR12'とX11'は、互いに結合して環を形
成してもよい。この環としては、好ましくは5〜7員環
であり、より好ましくは飽和の6員環である。
【0096】Lは−S−基または−CHR13−基を表
し、R13は水素原子またはアルキル基を表す。R13は、
具体的には、置換または無置換の、直鎖、分岐または環
状のアルキル基であって、好ましくは炭素数1〜20の
アルキル基である。R13で表される無置換のアルキル基
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル
基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペ
ンチル基などが挙げられる。R13で表される置換アルキ
ル基の置換基は、R11およびR11'で表されるアルキル
基の置換基と同様である。
【0097】Lは好ましくは−CHR13−基である。R
13は好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキ
ル基であり、アルキル基としては、好ましくは、炭素数
1〜8の1級または2級のアルキル基であり、より好ま
しくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基または2,4,4−トリメチルペンチル基であ
り、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基またはイソプロピル基であり、特に好ましくは、
メチル基、エチル基またはn−プロピル基である。
【0098】R13が水素原子である場合、R12およびR
12'は、好ましくは炭素数2以上のアルキル基であり、
より好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、さら
に好ましくはエチル基またはプロピル基であり、最も好
ましくはエチル基である。R13がアルキル基である場
合、R12およびR12'は、好ましくはアルキル基であ
り、特に好ましくはメチル基である。
【0099】以下に一般式(I)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこ
れらに限定されるものではない。
【0100】
【化2】
【0101】
【化3】
【0102】
【化4】
【0103】
【化5】
【0104】
【化6】
【0105】還元剤の添加量は、0.1〜6mmol/
2であることが好ましく、0.2〜5.0mmol/
2であることがより好ましく、画像形成層を有する面
の銀1モルに対しては5〜50モル%含まれることが好
ましく、10〜40モル%含まれることがさらに好まし
い。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形
態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、画像記録
材料に含有させてもよい。よく知られている乳化分散法
としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフ
ェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフ
タレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノン
などの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を
作製する方法が挙げられる。
【0106】固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末
を水等の適当な溶媒中に、ボールミル、コロイドミル、
振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラー
ミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成
する方法が挙げられる。その際に、保護コロイド(例え
ば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つの
イソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)など
のアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水分散物に
は防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム
塩)を含有させることができる。本発明においては、水
素結合性化合物として、下記一般式(II)で表される
化合物が好ましく用いられる。
【0107】
【化7】
【0108】一般式(II)においてR21、R22およびR
23はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基
を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有して
いてもよく、R21、R22およびR23のうち任意の2つは
互いに結合して環を形成してもよい。R21、R22および
23が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン
原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ
基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキ
シカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、
スルホニル基、ホスホリル基などが挙げられ、好ましく
はアルキル基またはアリール基であり、具体例として
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェ
ニル基、4−アシルオキシフェニル基などが挙げられ
る。
【0109】R21、R22およびR23で表される基の具体
例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル
基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−
アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メ
チルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2
−フェノキシプロピル基などの置換または非置換アルキ
ル基;フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル
基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェ
ニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル
基などの置換または非置換アリール基;メトキシ基、エ
トキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチル
ヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオ
キシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、
4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基
などの置換または非置換アルコキシル基;フェノキシ
基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4
−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニル
オキシ基などの置換または非置換アリールオキシ基;ア
ミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘ
キシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニ
ルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基などの
置換または非置換アミノ基;2−ピリジル基、4−ピリ
ジル基、2−フラニル基、4−ピペリジニル基、8−キ
ノリル基、5−キノリル基などのヘテロ環基が挙げられ
る。
【0110】R21、R22およびR23は、好ましくは、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオ
キシ基である。本発明の効果の点ではR21、R22および
23のうち一つ以上がアルキル基またはアリール基であ
ることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリー
ル基であることがより好ましい。また、安価に入手する
事ができるという点ではR21、R22およびR23が同一の
基であることが好ましい。
【0111】以下に一般式(II)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこ
れらに限定されるものではない。
【0112】
【化8】
【0113】
【化9】
【0114】
【化10】
【0115】
【化11】
【0116】本発明に用いられる水素結合性化合物は、
還元剤と同様に、溶液形態、乳化分散形態、固体分散微
粒子分散物形態などの形態で塗布液に含有させ、熱現像
画像記録材料に含有させることができる。本発明に用い
られる水素結合性化合物は、溶液状態でフェノール性水
酸基やアミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形
成するので、還元剤との組み合わせによっては錯体とし
て結晶状態で単離することができる。このようにして単
離した錯体の結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使
用することは、安定した性能を得る上で特に好ましい。
また、還元剤と水素結合性化合物とを粉体で混合し、適
当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散
時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
水素結合性化合物の使用量は、還元剤に対して、好まし
くは1〜200モル%であり、より好ましくは10〜1
50モル%であり、さらに好ましくは30〜100モル
%である。
【0117】本発明の熱現像画像記録材料にはカブリ防
止の目的で、一般式(III)で表される有機ハロゲン化
合物が用いられる。 一般式(III) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
【0118】式(III)において、Qは置換基を有して
も良いアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表
す。
【0119】式(III)のQで表わされるアルキル基と
は、直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好
ましくは1〜6である。例えば、メチル、エチル、アリ
ル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチ
ル、iso−ブチル、tert−ブチル、sec−ペン
チル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、ter
t−オクチル、1−メチルシクロヘキシル等が挙げられ
る。好ましくは3級のアルキル基である。
【0120】Qで表わされるアルキル基は置換基を有し
ていてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼ
さない置換基であればどのような基でも構わないが、例
えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原
子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N−置換の含窒
素ヘテロ環基を含む、例えばモルホリノ基)、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバ
モイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルオキシ基、スルホニルオキシ
基、アシルアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、
チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミ
ノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、(ア
ルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、ニト
ロ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、スル
ファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構
造を含む基、シリル基、カルボキシル基またはその塩、
スルホ基またはその塩、リン酸基、ヒドロキシ基、4級
アンモニウム基等が挙げられる。これら置換基は、これ
ら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0121】式(III)のQで表わされるアリール基は
単環または縮合環のアリール基であり、好ましくは炭素
数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは
6〜10であり、フェニル基またはナフチル基が好まし
い。
【0122】Qで表わされるアリール基は置換基を有し
ていてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼ
さない置換基であればどのような基でも構わないが、例
えば前述のアルキル基の置換基と同様の基が挙げられ
る。
【0123】式(III)のQで表わされるヘテロ環基と
しては、ヘテロ環が窒素、酸素および硫黄原子からなる
群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む5または7員
の飽和または不飽和の単環または縮合環であるものが好
ましい。ヘテロ環の例としては、好ましくはピリジン、
キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリ
ダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェ
ン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チ
アゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイ
ミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げら
れ、さらに好ましくはピリジン、キノリン、ピリミジ
ン、チアジアゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好
ましくは、ピリジン、キノリン、ピリミジンである。
【0124】Qで表わされるヘテロ環基は置換基を有し
てもよく、例えば式1のQで表わされるアルキル基の置
換基と同様の基が挙げられる。
【0125】Qは、好ましくは、フェニル基、ナフチル
基、キノリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアジア
ゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、特に好ましく
は、フェニル基、ナフチル基、キノリル基、ピリジル
基、ピリミジル基である。
【0126】Qの置換基として、拡散性を低下させるた
めに写真用素材で使用されるバラスト基や銀塩への吸着
基や水溶性を付与する基を有していてもよいし、互いに
重合してポリマーを形成してもよいし、置換基どうしが
結合してビス型、トリス型、テトラキス型を形成しても
よい。
【0127】式(III)において、Yは2価の連結基を
表わすが好ましくは−SO2−、−SO−、−CO−で
あり、特に好ましくは−SO2−である。
【0128】式(III)において、nは0または1を表
わすが、好ましくは1である。
【0129】Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原
子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素など)を表す
が、Z1およびZ2は両方とも臭素原子であることが最も
好ましい。
【0130】Xは水素原子または電子求引性基を表す。
Xで表される電子求引性基は、ハメットの置換基定数σ
pが正の値を取りうる置換基であり、具体的には、シア
ノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、
アシル基、ヘテロ環基等が挙げられる。Xは好ましくは
水素原子またはハロゲン原子であり、最も好ましくは臭
素原子である。
【0131】式(III)のポリハロゲン化合物として
は、例えば米国特許第3,874,946号明細書、米
国特許第4,756,999号明細書、米国特許第5,
340,712号明細書、米国特許第5,369,00
0号明細書、米国特許第5,464,737号明細書、
特開昭50−137126号公報、同50−89020
号公報、同50−119624号公報、同59−572
34号公報、特開平7−2781号公報、同7−562
1号公報、同9−160164号公報、同10−197
988号公報、同9−244177号公報、同9−24
4178号公報、同9−160167号公報、同9−3
19022号公報、同9−258367号公報、同9−
265150号公報、同9−319022号公報、同1
0−197989号公報、同11−242304号公
報、特願平10−181459号公報、同10−292
864号公報、同11−90095号公報、同11−8
9773号公報、同11−205330号公報等に記載
された化合物が挙げられる。
【0132】以下に一般式(III)で表されるポリハロ
ゲン化合物の具体例を示すが、本発明で用いることがで
きる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0133】
【化12】
【0134】
【化13】
【0135】
【化14】
【0136】式(III)で表されるポリハロゲン化合物
は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。使用量
は、熱現像画像記録材料1m2当たりの塗布量として、
1×10-6〜1×10-2mol/m2が好ましく、より
好ましくは1×10-5〜5×10-3mol/m2であ
り、さらに好ましくは2×10-5〜1×10-3mol/
2である。
【0137】式(III)で表されるポリハロゲン化合物
は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層
あるいはこの層側のどの層に添加してもよいが、画像形
成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好まし
い。
【0138】式(III)で表わされるポリハロゲン化合
物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなど
に溶解して用いることができる。また、公知の乳化分散
法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォス
フェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチル
フタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、粉末を水の中にボール
ミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マント
ンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波に
よって分散して用いることができる。
【0139】本発明においては、電子ドナー性の化合物
を併用することが好ましい。本発明の電子ドナー性の化
合物とは分子内に非共有電子対をもつ原子団が含まれる
化合物であり、N−H結合、O−H結合、S−H結合な
ど水素結合可能なH原子を有する基と水素結合しうる原
子団を有する化合物である。具体的には、アルキル、ア
リールまたはヘテロ環で置換されたアミド基、ウレイド
基、カルボニル基、イミド基、スルホキシド基、ホスホ
リル基、アミノ基、へエロ環基などが挙げられる。その
中でもホスホリル基を有する化合物がより好ましく、ホ
スフィンオキシド類が特に好ましい。具体的には、トリ
フェニルホスフィンオキシド、トリ−(4−メチルフェ
ニル)ホスフィンオキシド、トリ−(4−メトキシフェ
ニル)ホスフィンオキシド、トリ−(tert−ブチル
−フェニル)ホスフィンオキシド、トリ−(3−メチル
フェニル)ホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィ
ンオキシド等が挙げられる。本発明の電子ドナー性化合
物は還元剤、ポリハロゲン化合物と同様な方法で熱現像
画像記録材料中に導入することができる。
【0140】本発明の熱現像画像記録材料は、好ましい
画像を与えるために、人間の目の分光感度に合わせたビ
ジュアル濃度で測定したときに最大画像濃度が3.0以
上になることが必要で、より好ましくは3.3以上、さ
らに好ましくは3.5以上である。
【0141】本発明においては、脂肪酸銀塩含有層が溶
媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、
乾燥して形成される場合に、さらに脂肪酸銀塩含有層の
バインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能
で、特に25℃、相対湿度60%での平衡含水率が2質
量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に向上す
る。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/
cm以下になるように調製されたものであり、このよう
な調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製
処理する方法が挙げられる。
【0142】ここでいう前記ポリマーが可溶または分散
可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下
の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性
の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミ
ドなどを挙げることができる。
【0143】なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておら
ず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、こ
こでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0144】また「25℃、相対湿度60%における平
衡含水率」とは、25℃、相対湿度60%の雰囲気下で
調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態
にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すこ
とができる。25℃、相対湿度60%における平衡含水
率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0145】含水率の定義と測定法については、例えば
高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会
編、地人書館)を参考にすることができる。
【0146】本発明のバインダーポリマーの25℃、相
対湿度60%における平衡含水率は2質量%以下である
ことが好ましいが、より好ましくは0.01質量%〜
1.5質量%、さらに好ましくは0.02質量%〜1質
量%が望ましい。
【0147】本発明においては水系溶媒に分散可能なポ
リマーが特に好ましい。
【0148】分散状態の例としては、固体ポリマーの微
粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状
態またはミセルを形成して分散しているものなどがある
が、いずれも好ましい。
【0149】本発明において好ましい態様としては、ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂(例えばS
BR樹脂)、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂
等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。ポ
リマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマ
ーでもまた架橋されたポリマーでもよい。ポリマーとし
ては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は
数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは
10000〜200000がよい。分子量が小さすぎる
ものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きすぎるも
のは成膜性が悪く好ましくない。
【0150】本発明のバインダーポリマーは成膜性と画
像保存性の点でTgが−20℃〜80℃の範囲のものが
好ましく、より好ましくは0℃〜70℃の範囲、さらに
好ましくは10℃〜60℃の範囲である。バインダーと
して2種以上のポリマーをブレンドして用いることも可
能で、この場合、組成分を考慮し加重平均したTgが上
記の範囲に入ることが好ましい。また、相分離した場合
や、コアシェル構造を有する場合にはそれぞれの相のT
gが上記の範囲に入ることが好ましい。
【0151】前記「水系溶媒」とは、組成の30質量%
以上が水である分散媒をいう。分散状態としては乳化分
散したもの、ミセル分散したもの、更に分子中に親水性
部位を持ったポリマーを分子状態で分散したものなど、
どのようなものでもよいが、これらのうちでラテックス
が特に好ましい。
【0152】好ましいポリマーラテックスの具体例とし
ては以下のものを挙げることができる。以下では原料モ
ノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は
数平均分子量である。
【0153】P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテック
ス(分子量37000) P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分
子量40000) P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(分子量4500
0) P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(分子量60000) P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(分子量60000) P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(分子量12000
0) P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(分子量10800
0) P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(分子
量150000) P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(分子
量280000) P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテック
ス(分子量80000) P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分
子量67000) P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000) P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130
000) P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量330
00)
【0154】上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレ
ート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2エチルヘキ
シルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエ
ン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,V
C;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩
化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0155】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル樹脂の例としては、セビアンA−4635,46
583,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、
Nipol Lx811、814、821、820、8
57(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹
脂の例としては、FINETEX ES650、61
1、675、850(以上大日本インキ化学(株)
製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミ
カル製)など、ポリウレタン樹脂の例としては、HYD
RAN AP10、20、30、40(以上大日本イン
キ化学(株)製)など、ゴム系樹脂の例としては、LA
CSTAR 7310K、3307B、4700H、7
132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipo
l Lx416、410、438C、2507(以上日
本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂の例として
は、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)な
ど、塩化ビニリデン樹脂の例としては、L502、L5
13(以上旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂
の例としては、ケミパールS120、SA100(以上
三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0156】これらのポリマーラテックスは単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよ
い。
【0157】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテッ
クスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけ
るスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位
との質量比は40:60〜95:5であることが好まし
い。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノ
マー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%
であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と
同様である。
【0158】本発明に用いることが好ましいスチレン−
ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−
3〜P−9、市販品であるLACSTAR−3307
B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられ
る。
【0159】本発明に用いるラテックスとしてはガラス
転位温度(Tg)が10℃〜80℃の範囲にあることが
好ましく、より好ましくは20℃〜60℃の範囲であ
る。Tgの異なるラテックスを2種以上ブレンドして使
用する場合には、その質量平均Tgが上記範囲に入るこ
とが好ましい。
【0160】本発明の熱現像画像記録材料の脂肪酸銀塩
含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
などの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水
性ポリマーの添加量は脂肪酸銀塩含有層の全バインダー
の30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好
ましい。
【0161】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、
塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0162】本発明の熱現像画像記録材料において、該
熱現像画像記録材料をなす感光層中の水性ラテックスの
固形分質量/脂肪酸銀の質量比が1.0〜2.5である
ことが好ましい。更に、質量比は1.3〜2が好まし
い。この比率より値が小さくなると造膜阻害が発生し、
逆に大きくなると熱及び光に対する画像保存性が悪化す
る。
【0163】本発明の熱現像画像記録材料において、該
熱現像画像記録材料をなす感光層中の水性ラテックス質
量/脂肪酸銀質量×水性ラテックスのTgは30〜12
0であることが好ましい。この値が30未満の場合、あ
るいは120より大きくなると造膜阻害が発生する。
【0164】本発明において熱現像画像記録材料の脂肪
酸銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒
と分散媒をあわせて溶媒と表す)は、水を30質量%以
上含む水系溶媒である。水以外の成分としてはメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を
用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以
上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好まし
い溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコ
ール=90/10、水/メチルアルコール=70/3
0、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=8
0/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソル
ブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロ
ピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質
量%)。
【0165】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体特開平10−62899
号公報の段落番号[0070]、欧州特許公開EP第0
803764A1号公報の第20ページ第57行〜第2
1ページ第7行に記載の特許のものが挙げられる。ま
た、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハ
ロゲン化物であり、これらについては、特開平11−6
5021号公報の段落番号[0111]〜[0112]
に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に
特開平10−339934号公報の一般式(II)で表さ
れる有機ポリハロゲン化合物等(具体的にはトリブロモ
メチルナフチルスルホン、トリブロモメチルフェニルス
ルホン、トリブロモメチルピリジルスルホン、トリブロ
モメチルキノリルスルホン、トリブロモメチル(4−
(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニ
ル)スルホン、トリブロモメチル(3−(ブチルカルバ
モイル)フェニル)スルホン等)が好ましい。
【0166】本発明のカブリ防止剤を熱現像画像記録材
料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法
に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物につ
いても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0167】その他のカブリ防止剤としては特開平11
−65021号公報段落番号[0113]の水銀(II)
塩、同号公報段落番号[0114]の安息香酸類が挙げ
られる。
【0168】本発明における熱現像画像記録材料はカブ
リ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。ア
ゾリウム塩としては、特開昭59−193447号公報
記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−
12581号公報記載の化合物、特開昭60−1530
39号公報記載の一般式(II)で表される化合物が挙げ
られる。アゾリウム塩は熱現像画像記録材料のいかなる
部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を
有する面の層に添加することが好ましく、脂肪酸銀塩含
有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の
添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても
良く、脂肪酸銀塩含有層に添加する場合は脂肪酸銀塩調
製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが脂肪酸
銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添
加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方
法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤な
ど他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本
発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量
でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル〜2モルが
好ましく、1×10-3モル〜0.5モルがさらに好まし
い。
【0169】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができ、特開平10−62899号公報の段落番号
[0067]〜[0069]、特開平10−18657
2号公報の一般式(I)で表される化合物及びその具体
例として段落番号[0033]〜[0052]、欧州特
許公開EP第0803764A1号公報の第20ページ
第36〜56行に記載されている。中でもメルカプト置
換複素芳香族化合物が好ましい。
【0170】本発明では色調剤の添加が好ましく、色調
剤については、特開平10−62899号公報の段落番
号[0054]〜[0055]、欧州特許公開EP第0
803764A1号公報の第21ページ第23〜48行
に記載されており、特に、フタラジノン、フタラジノン
誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フ
タラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメト
キシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フ
タラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸
誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−
ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)
との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘
導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタ
ラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−tert−
ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジ
メトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン
などの誘導体);フタラジン類とフタル酸誘導体(例え
ば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル
酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せが
好ましく、特にフタラジン類とフタル酸誘導体の組合せ
が好ましい。
【0171】本発明の熱現像画像記録材料の画像を安定
化するために、各種の画像安定化剤を使用することがで
きる。なかでもホスホリル化合物、スルホキシド、アミ
ド化合物、アニリン系化合物、ピリジン系化合物等の電
子ドナー性の化合物が好ましく、その中でもホスホリル
基を有する化合物が特に好ましい。最も好ましいのはホ
スフィンオキシド類で、具体的にはトリフェニルホスフ
ィンオキシド、トリパラトルイルホスフィンオキシド、
トリ(4メトキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリ
オクチルホスフィンオキシドなどがあげられる。
【0172】画像形成層に用いることのできる可塑剤お
よび潤滑剤については特開平11−65021号公報段
落番号[0117]、超硬調画像形成のための超硬調化
剤については、同号公報段落番号[0118]、特願平
11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)
の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促
進剤については特開平11−65021号公報段落番号
[0102]に記載されている。
【0173】本発明における熱現像画像記録材料は画像
形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けること
ができる。表面保護層については、特開平11−650
21号公報段落番号[0119]〜[0120]に記載
されている。本発明の表面保護層のバインダーとしては
ゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)
を用いることも好ましい。PVAとしては、完全けん化
物のPVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)
含有率94.0質量%以上、けん化度98.5±0.5
モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発
分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6
±0.4CPS]、部分けん化物のPVA−205[P
VA含有率94.0質量%、けん化度88.0±1.5
モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分
5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)5.0±0.
4CPS]、変性ポリビニルアルコールのMP−10
2、MP−202、MP−203、R−1130、R−
2105(以上、クラレ(株)製の商品名)などが挙げ
られる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール
塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜4.0
g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ま
しい。
【0174】また表面保護層のバインダーとしてスチレ
ン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、ス
チレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン
−スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテート
ブチレート、セルロースプロピオネート等も用いること
ができる。
【0175】画像形成層塗布液の調製温度は30℃〜6
5℃がよく、さらに好ましい温度は35℃〜60℃未
満、より好ましい温度は35℃〜55℃である。また、
ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度
が30℃〜65℃で維持されることが好ましい。また、
ポリマーラテックス添加前に還元剤と脂肪酸銀塩が混合
されていることが好ましい。
【0176】本発明における脂肪酸銀塩含有流体または
熱画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体で
あることが好ましい。チキソトロピー性とは剪断速度の
増加に伴い、粘度が低下する性質を言う。本発明の粘度
測定にはいかなる装置を使用してもよいが、レオメトリ
ックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペク
トロメーターが好ましく用いられ25℃で測定される。
ここで、本発明における脂肪酸銀塩含有流体もしくは熱
画像形成層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は
400mPa・s〜100,000mPa・sが好まし
く、さらに好ましくは500mPa・s〜20,000
mPa・sである。また、剪断速度1000S-1におい
ては1mPa・s〜200mPa・sが好ましく、さら
に好ましくは5mPa・s〜80mPa・sである。
【0177】チキソトロピー性を発現する系は各種知ら
れており高分子刊行会編「講座・レオロジー」、室井、
森野共著「高分子ラテックス」(高分子刊行会発行)な
どに記載されている。流体がチキソトロピー性を発現さ
せるには固体微粒子を多く含有することが必要である。
また、チキソトロピー性を強くするには増粘線形高分子
を含有させること、含有する固体微粒子の異方形でアス
ペクト比が大きくすること、アルカリ増粘、界面活性剤
の使用などが有効である。
【0178】本発明で用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は脂肪酸銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダ
ー、ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの
所望による追加の材料を含まなければならない。二層の
構成は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に
脂肪酸銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両
層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。し
かし、全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコ
ートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性
熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の
組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,9
28号明細書に記載されているように単一層内に全ての
成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真
材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,46
0,681号明細書に記載されているように、各画像形
成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用
することにより、互いに区別されて保持される。
【0179】画像形成層には色調改良、レーザー露光時
の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各
種染料や顔料を用いることができる。これらについては
国際公開WO98/36322号公報に詳細に記載され
ている。本発明の画像形成層に用いる好ましい染料およ
び顔料としてはアントラキノン染料、アゾメチン染料、
インドアニリン染料、アゾ染料、アントラキノン系のイ
ンダントロン顔料(C.I. Pigment Blu
e 60など)、フタロシアニン顔料(C.I. Pi
gment Blue 15等の銅フタロシアニン、
C.I. Pigment Blue 16等の無金属
フタロシアニンなど)、染付けレーキ顔料系のトリアリ
ールカルボニル顔料、インジゴ、無機顔料(群青、コバ
ルトブルーなど)が挙げられる。これらの染料や顔料の
添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高
分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良
い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決
められるが、一般的に熱現像画像記録材料1m2当たり
1μg〜1gの範囲で用いることが好ましい。
【0180】本発明においてはアンチハレーション層を
画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができ
る。アンチハレーション層については特開平11−65
021号公報段落番号[0123]〜[0124]に記
載されている。
【0181】本発明では熱現像画像記録材料の非感光性
層に消色染料と塩基プレカーサーとを添加して、非感光
性層をフィルター層またはアンチハレーション層として
機能させることが好ましい。熱現像感光材料の中でも熱
現像感光材料は一般に、感光性層に加えて非感光性層を
有する。非感光性層は、その配置から(1)感光性層の
上(支持体よりも遠い側)に設けられる保護層、(2)
複数の感光性層の間や感光性層と保護層の間に設けられ
る中間層、(3)感光性層と支持体との間に設けられる
下塗り層、(4)感光性層の反対側に設けられるバック
層に分類できる。フィルター層は、(1)または(2)
の層として熱現像感光材料に設けられる。アンチハレー
ション層は、(3)または(4)の層として感光材料に
設けられる。
【0182】消色染料と塩基プレカーサーとは、同一の
非感光性層に添加することが好ましい。ただし、隣接す
る二つの非感光性層に別々に添加してもよい。また、二
つの非感光性層の間にバリアー層を設けてもよい。
【0183】消色染料を非感光性層に添加する方法とし
ては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物あるいはポリマ
ー含浸物を非感光性層の塗布液に添加する方法が採用で
きる。また、ポリマー媒染剤を用いて非感光性層に染料
を添加してもよい。これらの添加方法は、通常の熱現像
画像記録材料に染料を添加する方法と同様である。ポリ
マー含浸物に用いるラテックスについては、米国特許4
199363号明細書、西独特許公開2541274号
公報、同2541230号公報、欧州特許公開EP02
9104号公報の各明細書および特公昭53−4109
1号公報に記載がある。また、ポリマーを溶解した溶液
中に染料を添加する乳化方法については、国際公開WO
88/00723号公報に記載がある。
【0184】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を超える量で使用する。光学
濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような
光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.00
1〜1g/m2程度であり、特に好ましくは、0.01
〜0.2g/m2程度である。
【0185】なお、このように染料を消色すると、光学
濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以
上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像画像記録材
料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基
プレカーサーを併用してもよい。
【0186】本発明における熱現像画像記録材料は、支
持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を
含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、い
わゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0187】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましく、マット剤については、
特開平11−65021号公報段落番号[0126]〜
[0127]に記載されている。マット剤は熱現像画像
記録材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましく
は1〜400mg/m2、より好ましくは5〜300m
g/m2である。また、乳剤面のマット度は星屑故障が
生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30
秒〜2000秒が好ましく、特に40秒〜1500秒が
好ましい。
【0188】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が10秒〜1200秒が好ましく、20
秒〜800秒が好ましく、さらに好ましくは40秒〜5
00秒である。
【0189】本発明において、マット剤は熱現像画像記
録材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する
層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好まし
く、またいわゆる保護層として作用する層に含有される
ことが好ましい。
【0190】本発明に適用することのできるバック層に
ついては特開平11−65021号公報の段落番号[0
128]〜[0130]に記載されている。
【0191】本発明の熱現像画像記録材料を構成する画
像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用い
ても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著"THE THEORY
OFTHE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION"(Macmil
lan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁〜87
頁に記載の各方法があり、同書78頁など記載の多価金
属イオン、米国特許4,281,060号明細書、特開
平6−208193号公報などのポリイソシアネート
類、米国特許4,791,042号明細書などのエポキ
シ化合物類、特開昭62−89048号公報などのビニ
ルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
【0192】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前〜
直前、好ましくは60分前〜10秒前であるが、混合方
法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる
限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法とし
ては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞
留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合す
る方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸
司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989
年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーな
どを使用する方法がある。
【0193】本発明に適用できる界面活性剤について
は、特開平11−65021号公報の段落番号[013
2]、溶剤については同号公報の段落番号[013
3]、支持体については同号公報の段落番号[013
4]、帯電防止又は導電層については同号公報の段落番
号[0135]、カラー画像を得る方法については同号
公報の段落番号[0136]に記載されている。透明支
持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公
報の実施例に記載の染料−1)で着色されていてもよい
し、無着色でもよい。支持体の下塗り技術については特
開平11−84574号公報、同10−186565号
公報等に記載されている。また、帯電防止層若しくは下
塗りについて特開昭56−143430号公報、同56
−143431号公報、同58−62646号公報、同
56−120519号公報等の技術を適用することもで
きる。
【0194】熱現像画像記録材料は、モノシート型(受
像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像画像記
録材料上に画像を形成できる型)であることが好まし
い。
【0195】熱現像画像記録材料には、さらに、酸化防
止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助
剤を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるい
は非感光性層のいずれかに添加する。それらについて国
際公開WO98/36322号公報、欧州特許公開EP
803764A1号公報、特開平10−186567号
公報、同10−18568号公報等を参考にすることが
できる。
【0196】本発明における熱現像画像記録材料はいか
なる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストル
ージョンコーティング、スライドコーティング、カーテ
ンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティン
グ、フローコーティング、または米国特許第2,68
1,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押
出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いら
れ、Stephen F. Kistler、Pete
rt M. Schweizer著“LIQUID FILM COAT
ING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997
年)399頁〜536頁記載のエクストルージョンコー
ティング、またはスライドコーティング好ましく用いら
れ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられ
る。スライドコーティングに使用されるスライドコータ
ーの形状の例は同書427頁のFigure 11b.
1にある。また、所望により同書399頁〜536頁記
載の方法、米国特許第2,761,791号明細書およ
び英国特許第837,095号明細書に記載の方法によ
り2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができ
る。
【0197】本発明の熱現像画像記録材料に用いること
のできる技術としては、欧州特許公開EP803764
A1号公報、欧州特許公開EP883022A1号公
報、国際公開WO98/36322号公報、特開昭56
−62648号公報、同58−62644号公報、特開
平9−281637、同9−297367号公報、同9
−304869号公報、同9−311405号公報、同
9−329865号公報、同10−10669号公報、
同10−62899号公報、同10−69023号公
報、同10−186568号公報、同10−90823
号公報、同10−171063号公報、同10−186
565号公報、同10−186567号公報、同10−
186569号公報〜同10−186572号公報、同
10−197974号公報、同10−197982号公
報、同10−197983号公報、同10−19798
5号公報〜同10−197987号公報、同10−20
7001号公報、同10−207004号公報、同10
−221807号公報、同10−282601号公報、
同10−288823号公報、同10−288824号
公報、同10−307365号公報、同10−3120
38号公報、同10−339934号公報、同11−7
100号公報、同11−15105号公報、同11−2
4200号公報、同11−24201号公報、同11−
30832号公報、同11−84574号公報、同11
−65021号公報、同11−125880号公報、同
11−129629号公報、同11−133536号公
報〜同11−133539号公報、同11−13354
2号公報、同11−133543号公報も挙げられる。
【0198】本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方
法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光し
た熱現像画像記録材料を昇温して現像される。好ましい
現像温度としては100〜140℃であり、より好まし
くは110〜140℃、さらに好ましくは115〜13
5℃である。現像時間としては1〜20秒の範囲で、2
〜18秒が好ましく、3〜15秒がさらに好ましく、5
〜12秒が特に好ましい。
【0199】熱現像の方式としてはプレートヒーター方
式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式
とは特開平11−133572号公報に記載の方法が好
ましく、潜像を形成した熱現像画像記録材料を熱現像部
にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現
像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからな
り、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個
の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プ
レートヒータとの間に前記熱現像画像記録材料を通過さ
せて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。
プレートヒータを2〜6段に分けて先端部については1
〜10℃程度温度を下げることが好ましい。このような
方法は特開昭54−30032号公報にも記載されてお
り、熱現像画像記録材料に含有している水分や有機溶媒
を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像画
像記録材料が加熱されることでの熱現像画像記録材料の
支持体形状の変化を押さえることもできる。
【0200】本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方
法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が
好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレー
ザー(Ar+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レ
ーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体
レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもでき
る。好ましくは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レー
ザーである。
【0201】レーザー光はシングルモードレーザーが利
用できるが、特開平11−65021号公報段落番号
[0140]に記載の技術を用いることができる。レー
ザー出力としては、1mW以上のものが好ましく、10
mW以上のものがより好ましく、40mW以上の高出力
のものが更に好ましい。その際、複数のレーザーを合波
してもよい。レーザー光の径としてはガウシアンビーム
の1/e2スポットサイズで30〜200μm程度とす
ることができる。露光部及び熱現像部を備えたレーザー
イメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイ
メージャーFM−DP Lを挙げることができる。
【0202】本発明の熱現像画像記録材料は、銀画像に
よる黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、
工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、C
OM用の熱現像感光材料として使用されることが好まし
い。これらの使用において、形成された黒白画像をもと
にして、医療診断用では富士写真フイルム(株)製の複
製用フィルムMI−Dupに複製画像を形成したり、印
刷用では富士写真フイルム(株)製の返し用フイルムD
O−175,PDO−100やオフセット印刷版に画像
を形成するためのマスクとして使用できることは言うま
でもない。
【0203】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限
り適宜変更することができる。したがって、本発明の範
囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0204】<実施例1> 《下塗りPET支持体の作成》 (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコ
−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェ
ノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25
℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後1
30℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから
押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになる
ような厚みの未延伸フィルムを作成した。これを、周速
の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸し、ついでテン
タ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそ
れぞれ、110℃、130℃であった。この後、240
℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩
和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした
後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取
り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0205】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。
この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−
ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0206】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方1(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA−515GB(30質量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5、10質量%溶液) 21.5g 綜研化学(株)製 MP−1000 (ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml
【0207】 処方2(バック面第1層用) ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、ブタジエン/スチレン質量比=32/68) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 (8質量%水溶液) 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 10ml 蒸留水 854ml
【0208】 処方3(バック面側第2層用) SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm) (17質量%分散物) 84g ゼラチン(10%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製、メトローズTC−5(2%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製、MP−1000(ポリマー微粒子) 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 10ml NaOH(1%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0209】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画
像形成層側の面)に下塗り塗布液処方1をワイヤーバー
でウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)に
なるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこ
の裏面(バック面)に下塗り塗布液処方2をワイヤーバ
ーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗
布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)
に下塗り塗布液処方3をワイヤーバーでウエット塗布量
が7.7ml/m2になるように塗布して180℃で6
分間乾燥して下塗り支持体を作成した。
【0210】《バック面塗布液の調製》 (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
ホンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN
10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミ
ル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、ア
イメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子
径0.2μmの塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分
散液(a)を得た。
【0211】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびp−ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混
合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサンド
グラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビ
ーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分
散液を得た。
【0212】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プ
レカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料
固体微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレート微
粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイ
ソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルホン酸ナ
トリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、水
を844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調製
した。
【0213】(バック面保護層塗布液の調製)容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルホン
酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニル
スルホンアセトアミド)2.4g、tert−オクチル
フェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム1g、
ベンゾイソチアゾリノン30mg、N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピルアラニンカリウム塩3
7mg、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオ
ロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチ
ル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15]
0.15g、C817SO3K 32mg、C817SO2
N(C37)(CH2CH2O)4(CH24SO3Na
64mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体
(共重合質量比5/95)8.8g、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフ
ィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を95
0ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0214】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水14
21mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加
え、さらに0.5mol/Lの硫酸を3.5ml、フタ
ル化ゼラチン31.7gを添加した液をチタンコートし
たステンレス製反応壺中で攪拌しながら、34℃に液温
を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4m
lに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.9gを蒸留水
にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で4
5秒間かけて全量添加した。その後3.5質量%の過酸
化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンツイミダゾ
ールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さら
に、硝酸銀51.86gに蒸留水を加え317.5ml
に希釈した溶液Cと臭化カリウム45.8gを蒸留水に
て容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流
量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.
1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添
加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩
化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液
Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。ま
た、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カ
リウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加
した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.
8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行っ
た。1mol/L水酸化ナトリウムを用いてpH5.9
に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成し
た。
【0215】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら3
8℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、
40分後に分光増感色素Aのメタノール溶液を銀1モル
当たり1×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し
た。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5
モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Bをメタノール
溶液で銀1モル当たり1.9×10-4モル加えて91分
間熟成した。N,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチル
メラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加
え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベン
ヅイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり3.
7×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−
メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶
液で銀1モルに対して4.9×10-3モル添加して、ハ
ロゲン化銀乳剤1を作成した。調製できたハロゲン化銀
乳剤中の粒子は、平均球相当径0.046μm、球相当
径の変動係数20%の純臭化銀粒子であった。粒子サイ
ズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から
求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムン
ク法を用いて80%と求められた。
【0216】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を4
9℃に変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シ
アノ鉄(II)カリウムを用いなかったこと以外は同様に
して、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化
銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更
に分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり7.5×1
-4モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル当たり
1.1×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5
−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに
対して3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様
にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカ
プトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル
−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を
行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2
の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径
の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0217】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を2
7℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3
の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈
殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aの固体
分散物(ゼラチン水溶液)の添加量を銀1モル当たり6
×10-3モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル当た
り5.2×10-4モルに変えた以外は乳剤1と同様にし
て、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の
乳剤粒子は、平均球相当径0.038μm、球相当径の
変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0218】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。
【0219】
【化15】
【0220】
【化16】
【0221】《脂肪酸銀分散物A〜Iの調製》 (1)脂肪酸アルカリ金属塩溶液の調製 ベヘン酸(ヘンケル社製、製品名EdenorC22−
85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L
のNaOH水溶液49.2L、tert−ブチルアルコ
ール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応さ
せ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。 (2)銀イオン溶液の調製 硝酸銀40.4kgを含む水溶液(pH4.0)20
6.2Lを用意し、10℃にて保温した。 (3)反応浴溶液の調製 635Lの蒸留水と30Lのtert−ブチルアルコー
ルを入れた反応容器を30℃に保温した。
【0222】(4)反応 図2に示す装置を用いて脂肪酸銀塩の調製を行った。
(1)で調製した脂肪酸アルカリ金属塩溶液と(2)で
調製した銀イオン溶液を、それぞれ貯蔵タンク12、貯
蔵タンク11に入れて、それぞれ75℃と10℃に維持
した。生成タンク20には、(3)で調製した反応浴溶
液を入れておき、ポンプ17を介して250L/分の流
速で循環させた。銀イオン溶液は、ポンプ15を介して
密閉混合装置18に導入した。銀イオン溶液の密閉混合
装置18への導入開始時点を起点(0分)として、表1
に記載される時間だけ一定流量(2.062L/分)で
銀イオン溶液を導入しつづけた。銀イオン溶液の添加系
の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより
保温した。脂肪酸アルカリ金属塩溶液(総量576リッ
トル)は、ポンプ16を介して密閉混合装置18に表1
に記載される時間および割合だけ一定流量で導入した。
このとき、全脂肪酸アルカリ金属塩溶液のうち表1に記
載される割合分だけを密閉混合装置に導入した。そのう
ち、密閉混合装置内の脂肪酸アルカリ金属塩濃度が銀イ
オン濃度よりも高い状態で添加した割合を表1に記載し
た。脂肪酸アルカリ金属塩溶液の添加系の配管は、2重
管により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75
℃になるように配管内の保温水温度をコントロールし
た。銀イオン溶液を密閉混合装置に添加している間に、
三方弁21を切り替えることにより脂肪酸アルカリ金属
塩溶液の添加を止め、さらに表1に記載される所定の時
間に三方弁21を切り替えて脂肪酸アルカリ金属塩溶液
を密閉混合装置18または生成タンク20に添加した。
添加再開後に密閉混合装置18または生成タンク20に
添加した脂肪酸アルカリ金属塩溶液の割合は表1に記載
されるとおりとした。
【0223】本実施例では、密閉混合手段18として、
図5に示すような小型晶析設備(みづほ工業(株)製パ
イプラインミキサーLR−I型)を用いた。脂肪酸アル
カリ金属塩溶液と銀イオン溶液は、攪拌軸を中心として
対称的な位置から液面添加した。添加は、反応液に接触
しないような高さから行った。密閉混合装置18中で混
合された反応液は、熱交換器19により冷却し、生成タ
ンク20に導いた。ここで、熱交換器19およびタンク
20のジャケットへは適当な温度の水を20L/分で供
給して、生成タンクの温度が30℃になるように温度コ
ントロールした。また、生成タンク20では、液流動が
良好になる様にファウドラー翼を用いて、Vカットによ
る泡の巻き込みが起こらない可能な範囲で攪拌を実施し
た。得られた脂肪酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影に
より評価したところ、表2の結果が得られた。脂肪酸ア
ルカリ金属塩溶液の添加が完了してから5分後に、温度
を30分かけて35℃に昇温し、そのままの温度で21
0分間攪拌放置し、25℃に降温し有機銀塩仕込液を調
製した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を
濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こ
うして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケー
キとして保管した。
【0224】乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデ
ックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z
型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260
kg/cm2に調節して、三回処理し、有機酸銀分散物
を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクション
チャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節する
ことで所望の分散温度に設定した。こうして得た有機酸
銀分散物A〜Iに含まれるベヘン酸銀粒子の体積加重平
均直径、平均粒子厚み、体積加重平均直径の変動係数、
粒子の長辺cと短辺bの比は表2に示すとおりであっ
た。なお、粒子サイズの測定は、Malvern Instruments
Ltd.製MasterSizerXにて行った。
【0225】《脂肪酸酸銀分散物J〜Mの調製》脂肪酸
銀粒子A〜Dの調製と同じ方法で得られた有機酸銀仕込
液に、更に乾燥固形分100gに対し、ポリビニルアル
コール(商品名:PVA−217,平均重合度:約17
00)7.4gを74gの水に溶解した状態で添加し、
前述のマイクロフルイダイザーを用いて但し圧力を60
0kg/cm2に調節して1回処理した。その液を限外
濾過装置に移液し脱塩処理を行った。限外濾過装置は、
有機酸銀分散物をストックするタンク、ストックされて
いる分散物を限外濾過モジュールに供給するための循環
ポンプから基本的に構成され、補充純水計測用流量計、
透過水計測用流量計、逆方向洗浄用ポンプ等を有してい
る。使用した膜モジュールは、中空糸タイプの旭化成
(株)製ACP−1050で、送液流量は18L/分、
モジュール前後の圧力差は1.0kg/cm2とした。
処理中の処理液の温度は17℃以下に保って実施した。
電気伝導度が100μS/cmに低下したところで、純
水の補充を止め、26質量%まで濃縮した。その後前述
のマイクロフルイダイザーを用いて圧力を1750kg
/cm2に調節して2回処理し、脂肪酸銀分散物H〜K
を得た。固形分濃度の測定には京都電子社製デジタル比
重計DA−300型を用い、最終的には絶乾質量より検
定した。こうして得たベヘン酸銀分散物J〜Mの体積加
重平均直径、平均粒子厚み、体積加重平均直径の変動係
数、粒子の長辺cと短辺bの比は表2に示すとおりであ
った。粒子サイズ゛の測定は、Malvern Instruments Lt
d.製MasterSizerXにて行った。
【0226】
【表1】
【0227】
【表2】
【0228】《還元剤の25質量%分散物の調製》1,
1−ビス(2ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−3,5,5−トリメチルヘキサン10kgと変性ポリ
ビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP20
3)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:
アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したの
ち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水
を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、還元剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に
含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は
孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ
過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0229】《還元剤錯体の25質量%分散物の調製》
2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−
ブチルフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシド
の1:1錯体10kgと変性ポリビニルアルコール(ク
ラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶
液10kgに、水16kgを添加して、良く混合してス
ラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送
液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填し
た横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)
製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度
が25質量%になるように調製し、還元剤分散物を得
た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子は
メジアン径0.46μm、最大粒子径2.0μm以下で
あった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。
【0230】《メルカプト化合物の10質量%分散物の
調製》1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−
1,3,4−トリアゾールを5kgと変性ポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20
質量%水溶液5kgに、水8.3kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて6時間分散したのち、水を加えてメル
カプト化合物の濃度が10質量%になるように調製し、
メルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト化合
物分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジアン径
0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得
られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0231】《有機ポリハロゲン化合物の20質量%分
散物−1の調製》トリブロモメチルナフチルスルホン5
kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液2.5kgと、ト
リイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20
質量%水溶液213gと、水10kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハ
ロゲン化合物の濃度が20質量%になるように調製し、
有機ポリハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポ
リハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0
μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分
散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0232】《有機ポリハロゲン化合物の25質量%分
散物−2の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチル(4−
(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニ
ル)スルホン5kgを用い、分散し、この有機ポリハロ
ゲン化合物が25質量%となるように希釈し、ろ過を行
った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含
まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.3
8μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた
有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物
を除去して収納した。
【0233】《有機ポリハロゲン化合物の26質量%分
散物−3の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチルフェニルス
ルホン5kgを用い、20質量%MP203水溶液を5
kgとし、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が26
質量%となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得
た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子
径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン
化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。また、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0234】《有機ポリハロゲン化合物の25質量%分
散物−4の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチル−3−ペン
タノイルアミノフェニルスルホン5kgを用い、20質
量%MP203水溶液を5kgとし、分散し、この有機
ポリハロゲン化合物が25質量%となるように希釈し、
ろ過を行った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分
散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン
径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。
得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0235】《フタラジン化合物の5質量%溶液の調
製》8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコール
MP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質
量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジン
の70質量%水溶液14.28kgを添加し、6−イソ
プロピルフタラジンの5質量%液を調製した。
【0236】《顔料の20質量%分散物の調製》C.
I.Pigment Blue 60を64gと花王
(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良
く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジル
コニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッ
セルに入れ、分散機(1/4G サンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し顔料分
散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒
子は平均粒径0.21μmであった。
【0237】《SBRラテックス40質量%の調製》下
記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希釈したもの
を限外濾過(UF)精製用モジュールFS03−FC−
FUY03A1(ダイセン・メンブレン・システム
(株))を用いてイオン伝導度が1.5mS/cmにな
るまで希釈精製し、三洋化成(株)製サンデット−BL
を0.22質量%になるよう添加した。更にNaOHと
NH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:
2.3(モル比)になるように添加し、pH8.4に調
整した。この時のラテックス濃度は40質量%であっ
た。 (SBRラテックス:−St(71)−Bu(26)−
AA(3)−のラテックス) 平均粒径0.1μm、濃度45%、25℃、相対湿度6
0%における平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度
4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業
(株)製伝導度計CM−30S使用しラテックス原液
(40%)を25℃にて測定)、pH8.2
【0238】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%水分散物を1.1g、表3に記載される
種類の26質量%脂肪酸酸銀分散物A〜Mを103g、
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)
製)の20質量%水溶液5g、25質量%還元剤分散物
25g、有機ポリハロゲン化合物分散物−1,−2,−
3を5:1:3(質量比)で総量16.3g、メルカプ
ト化合物10%分散物6.2g、限外濾過(UF)精製
しpH調整したSBRラテックス40質量%を表3に記
載される量、フタラジン化合物の5質量%溶液を18m
l添加し、ハロゲン化銀混合乳剤Aを10gを良く混合
し、画像形成層(乳剤層、感光性層)塗布液を調製し、
そのままコーティングダイへ70ml/m2となるよう
に送液し、塗布した。画像形成層塗布液の粘度は東京計
器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ロータ
ー、60rpm)で85[mPa・s]であった。レオ
メトリックスファーイースト株式会社製RFSフルード
スペクトロメーターを使用した25℃での画像形成層塗
布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1
000[1/秒]においてそれぞれ1500、220、
70、40、20[mPa・s]であった。
【0239】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA−205(クラレ(株)製)の10質
量%水溶液772g、顔料の20質量%分散物5.3
g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレ
ート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共
重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテッ
クス27.5質量%液226gにエアロゾールOT(ア
メリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を2m
l、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を1
0.5ml、総量880gになるように水を加えて中間
層塗布液とし、10ml/m2になるようにコーティン
グダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃
(No.1ローター、60rpm)で21[mPa・
s]であった。
【0240】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液8
0g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23m
l、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、
0.5mol/Lの硫酸を28ml、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5
ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチア
ゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水
を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26
mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを
18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送
液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロ
ーター、60rpm)で17[mPa・s]であった。
【0241】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液1
02g、N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−プ
ロピルアラニンカリウム塩の5質量%溶液を3.2m
l、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)
エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2質
量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカン
サイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメ
チルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4
g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.4
μm)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸
4.8g、0.5mol/Lの硫酸を44ml、ベンゾ
イソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水
を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質
量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前
にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布
液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダ
イへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(N
o.1ローター,60rpm)で9[mPa・s]であ
った。
【0242】《熱現像画像記録材料の作成》上記下塗り
支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固
体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となる
ように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が
1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、
ハレーション防止バック層を作成した。バック面と反対
の面に下塗り面から画像形成層(ハロゲン化銀の塗布銀
量0.14g/m2)、中間層、保護層第1層、保護層
第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗
布し、熱現像画像記録材料の試料A〜Qを作成した。塗
布はスピード160m/分で行い、コーティングダイ先
端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmに、減圧
室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定
した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続
くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて
塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無
接触乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度1
5〜21℃の乾燥風で乾燥させた。乾燥後、25℃で、
相対湿度40〜60%で調湿した後、膜面を70〜90
℃になる様に加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却
した。作製された熱現像画像記録材料のマット度はベッ
ク平滑度で画像形成層側の面が550秒、バック面が1
30秒であった。また、画像形成層両側の膜面のpHを
測定したところ6.0であった。
【0243】《切れ味の評価》刃先角度90度、シヤ角
1度の刃を用い裁断スピード毎分30mの裁断スピード
で各熱現像画像記録材料を裁断し、その後裁断面を手で
擦り、熱現像画像記録材料が剥れるか否かで切れ味を評
価した。結果を表3に示す。 ○:全く剥れが観察されない △:剥れが観察されるが、剥落しない ×:剥れて剥落する
【0244】《加工品の評価》作成した各熱現像画像記
録材料をB4サイズに裁断し、画像形成面を一方に向
け、151枚重ね、袋内温度が25℃、袋内相対湿度が
40%になる環境で、ポリプロピレン製内部包装体で包
み、その外側をポリプロピレンでコートしたアルミシー
トからなる外部包装体で包んだ。その後、サンプルを振
幅1cm周波数50Hzで上下左右に、それぞれ10分
間振動させ、その後富士メディカルドライレーザーイメ
ージャーFM−DPL(最大60mW(IIIB)出力の
660nm半導体レーザー搭載)にて写真材料をD=
1.2になる様、露光・熱現像(約120℃)し、白抜
け故障の程度を評価した。結果を表3に示す。 ○:白抜けなし △:白抜けがあるが、診断上問題とならない ×:白抜けがあり、診断上問題となる
【0245】《写真性能の評価》作成した各熱現像画像
記録材料をB4サイズに裁断し、画像形成面を一方に向
け、151枚重ね、袋内温度が25℃、袋内相対湿度が
40%になる環境で、ポリプロピレン製内部包装体で包
み、その外側をポリプロピレンでコートしたアルミシー
トからなる外部包装体で包んだ。その後富士メディカル
ドライレーザーイメージャーFM−DPL(最大60m
W(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)に
より約120℃で熱現像し、未露光部の光学濃度を濃度
計により測定しDminを決定した。Dminは熱現像
画像記録材料Aの濃度を100として相対値で示した。
【0246】
【表3】
【0247】<実施例2> 《熱現像感光材料2A〜2Qの作成》熱現像画像記録材
料A〜Qに対して、画像形成層塗布液を以下の様に変更
し同様にして熱現像感光材料2A〜2Qを作成した。
【0248】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%水分散物を1.1g、表3に記載される
種類の26質量%脂肪酸銀分散物A〜Mを103g、ポ
リビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)
の20質量%水溶液5g、上記還元剤錯体の25質量%
分散物26g、有機ポリハロゲン化合物分散物−3,−
4の質量比1:3の混合物8.2g、メルカプト化合物
10%分散物6.2g、限外濾過精製しpH調整したS
BRラテックス(Tg:23℃)40質量%を表3に記
載される量、フタラジン化合物の5質量%溶液18ml
を添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A10gを
良く混合した画像形成層(乳剤層、感光性層)塗布液を
そのままコーティングダイへ70ml/m2となるよう
に送液し、塗布した。
【0249】《評価》調製した熱現像感光材料2A〜2
Qについて、実施例1と同様に評価したところ同様の結
果が得られた。
【0250】
【発明の効果】本発明の方法により製造した脂肪酸銀を
用いた熱現像画像記録材料は、造膜性が良好であるた
め、切れ味が良好で、更に白抜け故障に関して良好な性
能を示している。また、カブリが少なくて写真性能が良
好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる脂肪酸銀塩の製造装置の一実
施形態を示す説明図である。
【図2】 本発明で用いる脂肪酸銀塩の製造方法の別の
一実施形態を示す説明図である。
【図3】 生成タンクへ導入するための脂肪酸アルカリ
金属塩溶液の貯蔵タンクを別に配置した、別の一実施形
態を示す説明図である。
【図4】 密閉混合装置へ導入するための溶剤の貯蔵タ
ンクを別に配置した、別の一実施形態を示す説明図であ
る。
【図5】 実施例1で用いた密閉混合装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
11,12,22,31,32,41 貯蔵タンク 13,14,23,33,34,42 流量計 15,16,17,24,35,36,37 ポンプ 18,38 混合装置 19,39 熱交換器 20,40 生成タンク 21 三方弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 57/145 C07C 57/145 57/15 57/15 59/255 59/255 61/06 61/06 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB25 BB00 BB24 BC00 BC12 CA22 CB00 CB03 4H006 AA02 AC46 BB31 BC15 BD20 BD21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)水、または有機溶剤と水との混合
    溶液中に銀イオンを含む銀イオン溶液と、(2)水、有
    機溶剤、または水と有機溶剤との混合溶液中に脂肪酸の
    アルカリ金属塩を含む溶液又は懸濁液である、脂肪酸ア
    ルカリ金属塩溶液を、密閉混合手段中に添加して反応さ
    せる脂肪酸銀塩の製造方法において、 全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の50モル%〜99.5モ
    ル%を銀イオン濃度より脂肪酸アルカリ金属塩濃度が高
    い状態の密閉混合手段中に添加し、全脂肪酸アルカリ金
    属塩溶液の0.5モル%〜30モル%を銀イオン溶液の
    密閉混合手段中への添加が終了した後に密閉混合手段中
    または該密閉混合手段よりも下流に添加することを特徴
    とする脂肪酸銀塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 全脂肪酸アルカリ金属塩溶液の0.5モ
    ル%〜30モル%を、銀イオン溶液の密閉混合手段中へ
    の添加が終了した後に該密閉混合手段よりも下流にある
    生成タンク中に添加することを特徴とする請求項1に記
    載の脂肪酸銀塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体上に、還元剤、バインダーおよび
    非感光性有機銀塩を有する熱現像画像記録材料におい
    て、該非感光性有機銀塩として、請求項1または2に記
    載の方法で製造された脂肪酸銀塩を用いることを特徴と
    する熱現像画像記録材料。
  4. 【請求項4】 支持体上に、感光性ハロゲン化銀を更に
    含有することを特徴とする請求項3に記載の熱現像画像
    記録材料。
  5. 【請求項5】 脂肪酸銀塩を含有する層中の水性ラテッ
    クス固形分質量/脂肪酸銀質量の比が1.0〜2.5で
    あることを特徴とする請求項3または4に記載の熱現像
    画像記録材料。
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