JP2002004022A - 耐食性に優れためっき製品およびその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れためっき製品およびその製造方法Info
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Abstract
法を提供する。 【解決手段】 Al:10質量%以下を含有し、残部Z
nおよび不可避不純物からなるマトリックス中に、M
g,Ca,Sr,Ba,Ceの中から選択される1元素
とSiから構成される粒径1〜50μmの金属間化合物
1種類以上が、体積率で1〜30%分散されためっき層
を表面に有することを特徴とする耐食性に優れためっき
製品およびその製造方法。
Description
っき製品およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、
耐食性金属間化合物が分散されたZn−Al系めっき製
品およびその製造方法に関するものである。
るために広く用いられている。これは亜鉛が鉄より電気
化学的に卑であるため、自身が腐食して鉄を犠牲防錆す
るからであり、長時間犠牲防錆効果を発揮させるために
は付着量を増加するのが最も効率的な方法である。しか
し、付着量を増やすとめっきの加工性が劣る上、溶接性
にも弊害が生じて来て、実用的観点からは好ましくな
い。これを回避し低目付で耐食性に優れためっきとする
ため、電気めっきでNiやCoのような鉄族元素を共析
させたり、溶融めっきでAlやMgを添加する合金めっ
きが広く行なわれて来た。しかし、これらの合金めっき
はZn−NiやZn−Coの様に合金コストが高く、ま
た屋外環境では充分な耐食性を発揮しないものが多かっ
た。
の観点からは優れためっきであり、従来のZnめっきと
比較すると耐食性が数倍に向上した。しかし、耐食性を
さらに向上させめっき製品の寿命を延ばしたいという要
求が強まっている。この要求に答える得る新たなめっき
の一つとして、例えば特願平11−240947号に記
載されている様に、めっき層中に腐食抑制機能を有した
金属間化合物であるMg2 Siを析出混入させたもの
で、めっきの耐食性は従来のめっきと比較し飛躍的に向
上する。
めっき層に含有させるためには、溶融状態でめっき浴に
充分な量のSiを溶解させる必要がある。Al系めっき
ではSiの溶解が比較的容易で、任意の比率でSiを溶
解可能なため、これにMg、Ca、Sr、Ba、Ceを適
宜添加することで、これら元素とSiとで構成される金
属間化合物がめっき凝固過程で析出分散させためっきの
製造が可能である。また、これにZnを適量添加した場
合でも、浴中Alの量が10質量%を超えるような多量
添加されていれば、Siの溶解量が確保できるため、結
果としてSiを含有した金属間化合物を分散させたZn
−Al系めっきの製造が可能である。
きではスポット溶接性が極端に劣り、連続打点数が通常
のZnめっきの1/10以下に低下してしまう。また、
自動車用めっき鋼板を想定すると、めっき後の地鉄とZ
nとの合金化反応が必要であり、この反応を起こさせる
ためにはAl濃度は0.2%以下に低下させる必要があ
る。すなわち、Alの含有量が比較的低い組成で、Zn
−Al系めっきの耐食性をさらに向上させる技術が強く
待ち望まれていた。
Alしか含有しないZn−Al系めっきでは、めっき浴
にSiが殆ど溶解しないため、溶解・析出によって十分
な量の金属間化合物を分散させることができず、結果と
して耐食性の向上代には限界があった。たとえば、Zn
−11質量%AlにおいてもSiは通常のめっき浴温5
00〜550℃で、0.5質量%程度しか溶解しないた
め、体積率で1%程度の金属間化合物が析出するに過ぎ
ず、耐食性向上効果が充分とは言えないものであった。
有しないZn−Al系めっきに金属間化合物を分散させ
る方法としては、溶融めっき製造時に溶融金属付着量を
コントロールするために用いるワイピングガス中に金属
間化合物を混入させる方法も考えられる。しかしこの方
法はめっき凝固時に金属間化合物を強制的に押し込む方
法であり、含有量が安定せず、まためっき表層部に金属
間化合物が偏析するため充分な耐食性が発揮されなかっ
たり、外観に劣るめっきしか製造できないのが実情であ
った。
の低いZn−Al系めっきにおいても、耐食性を向上さ
せる金属間化合物を十分に含有させ、耐食性に優れため
っき製品およびその製造方法を提供することをその課題
としている。
問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属間化合物
の粒径が一定値範囲であればめっき浴中に極めて安定に
分散することを見いだし、それを基に本発明を完成させ
たもので、その要旨とするところは、以下の通りであ
る。 (1)Al:10質量%以下を含有し、残部Znおよび
不可避不純物からなるマトリックス中に、Mg,Ca,
Sr,Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから
構成される粒径1〜50μmの金属間化合物1種類以上
が、体積率で1〜30%分散されためっき層を表面に有
することを特徴とする耐食性に優れためっき製品。 (2)前記(1)に記載のMg,Ca,Sr,Ba,C
eの中から選択される1元素とSiから構成される金属
間化合物がMg2 Si、Ca2 Si、CaSi、CaS
i2 、Sr2 Si、SrSi2 、BaSi、BaS
i2 、Ce2 Si、CeSi2 からなることを特徴とす
る耐食性に優れためっき製品。
量%以下を含有し、残部Znおよび不可避不純物からな
り、その中にMg,Ca,Sr,Ba,Ceの中から選
択される1元素とSiから構成される粒径1〜50μm
の金属間化合物1種類以上が、体積率で1〜30%分散
されためっき浴を用いることを特徴とする耐食性に優れ
ためっき製品の製造方法。 (4)Al:10質量%以下を含有し、残部Znおよび
不可避不純物からなるめっき浴に、Mg,Ca,Sr,
Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから構成さ
れる粒径1〜50μmの金属間化合物1種類以上をガス
と共に吹き込むことを特徴とする前記(3)に記載の耐
食性に優れためっき製品の製造方法。
Sr,Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから
構成される粒径1〜50μmの金属間化合物1種類以上
が、体積率で70%以下分散されたZn−Al系インゴ
ットを、めっき浴に溶解せしめることを特徴とする前記
(3)または(4)に記載の耐食性に優れためっき製品
の製造方法。 (6)前記(3)〜(5)に記載のMg,Ca,Sr,
Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから構成さ
れる金属間化合物がMg2 Si、Ca2 Si、CaS
i、CaSi2 、Sr2 Si、SrSi2 、BaSi、
BaSi2 、Ce2Si、CeSi2 からなることを特
徴とする耐食性に優れためっき製品の製造方法にある。
る。本発明で最も重要なのは腐食抑制作用を示す金属間
化合物の選択と、それをめっき浴中に安定して保持する
ことであり、この目的のためには金属間化合物の粒径が
非常に重要となるため、まずその決定根拠から説明す
る。まず腐食抑制作用を示す金属間化合物の選定に関し
てであるが、発明者らがZn、Zn−5%Al、Zn−
10%Alめっき鋼板の表面に、各種金属間化合物を付
着させJIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験にて
腐食に与える影響を調査した。その結果Mg,Ca,S
r,Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから構
成される金属間化合物、すなわちMg2 Si、Ca2 S
i、CaSi、CaSi2 、Sr2 Si、SrSi2 、
BaSi、BaSi2 、Ce2 Si、CeSi2 に顕著
な腐食抑制効果が確認された。次にこれら金属間化合物
のめっき浴中保持方法に関してであるが、従来の考え方
では、今回対象とする金属間化合物の比重(2〜3g/
cm3 )はZn−Al溶融金属の比重(4〜7g/cm
3)に比べ非常に小さいため、溶融金属中に分散させて
も浮遊し分離してしまうものと考えられていた。
で分布した上記金属間化合物を粉体粉砕装置であるロー
ラーミルを用いて製造し、これを窒素ガスを媒体とする
粉体吹き込み装置を用い、0〜10質量%のAlを含有
し450〜460℃の範囲に保持されたZn−Al浴に
吹き込み、48時間放置した後、浴を吸引採取したのち
急冷組織観察試料を作製した。そして、この試料を光学
顕微鏡を用いて観察し、浴中に残留している金属間化合
物の粒径を調査した結果、粒径が50μm以下のものは
浴中に残留するが、これを超えると浮上しドロスとなっ
てしまうことが判明した。
化合物を準備し同様の方法でめっき浴に吹き込み48時
間放置したところ、ドロスの発生はなく金属間化合物は
全て浴中に残留していた。すなわち、金属間化合物の粒
径が50μm以下であれば、めっき浴中に分散した状態
で保持できるためドロス発生等によるめっき浴の経時変
化を心配することなく、めっき浴として使用することが
可能であることが明らかになった。
値が50μm以下の上記金属間化合物を準備し、めっき
浴に対し体積率で5%含有するように同様の粉体吹き込
み装置を用いて吹き込んだ。さらに、この浴を用いて通
常の冷延鋼板に片面あたりの付着量が100g/m2 に
なるように溶融めっきを施した。めっき鋼板の外観は通
常のZn−5質量%Al溶融めっきと同一で均一なもの
が作製できた。作製しためっき鋼板を5°傾斜研磨後光
学顕微鏡で確認したところ全ての粒径の金属間化合物が
均一にめっき層内に分散していた。以上の検討結果から
粒径の上限値が50μm以下の金属間化合物を用いれば
めっき浴中に安定して保持することが可能で、この浴を
用いることで製品として問題のない均一なめっき製品の
製造が可能であることが明らかになった。
上記金属間化合物を任意の割合で混合したものでも同様
の結果であった。金属間化合物のめっき浴への分散方法
には上記の様に予め粉砕したものをめっき浴に吹き込む
方法を説明したが、溶融めっき設備のポット回りへの粉
体吹き込み装置設置が困難な場合もあり、また各めっき
設備に吹き込み装置を設置をすると設備費が多大に必要
となる。さらに場合に因ってはポット底に存在するボト
ムドロスを巻上げめっき欠陥となってしまう場合もあ
る。これらの問題を回避するためには、以下に示す金属
間化合物を分散させたインゴットを用いる方法が有効で
ある。
ちたい場合であるが、この時にはZn−金属間化合物分
散インゴットを用いることができる。すなわち上述の様
にZn浴に粒径が50μm以下の金属間化合物を所定量
吹き込み、Zn−金属間化合物分散浴を準備した後、適
当な大きさの鋳型に鋳込みZn−金属間化合物分散イン
ゴットを作成する。実際にめっきする浴を建浴する場合
には、このZn−金属間化合物分散インゴットと通常の
亜鉛インゴットをめっき層に分散させたい金属間化合物
の量に応じて混合すれば良い。このときインゴット作成
過程で吹き込む金属間化合物の体積率は70%以下にす
る必要がある。70%を超えると浴内に均一に分散させ
ることが困難になるためである。また、下限は特に限定
しないが体積率で20%以上含有したものを用いた方が
効率的である。
定量確保したい場合にはZn−Al−金属間化合物分散
インゴットを用いることができる。この場合、上述のZ
n−金属間化合物分散インゴットと同様に、所定のAl
濃度に調整したZn−Al浴に粒径が50μm以下の金
属間化合物を所定量吹き込みインゴットを作成するもの
である。ここで浴中のAl濃度が20質量%より高くな
った場合には分散させた上記金属間化合物がZn−Al
浴に溶解し、インゴットの凝固過程で再析出するため、
インゴットの冷却速度が遅い場合には、再析出する金属
間化合物の粒径が粗大化し50μmを超えてしまう。こ
の場合インゴットの冷却速度を20℃/秒以上確保する
か、あるいは浴中にP、Na、Sを0.1〜1質量%の
範囲で添加すれば、比較的遅い冷却速度でも微細な金属
間化合物を析出させることができる。
はZn−Al浴にMg2 Siを吹き込む代わりに、適当
な濃度に調整したAl−Mg−Si浴を直接インゴット
として凝固させ、Al−Mg2 Si分散インゴットを製
造することも可能である。この場合MgとSiのモル比
率を2:1、すなわち質量比で48.6:28.1とす
れば余分なMg、並びにSiを含まないAl−Mg2 S
i分散インゴットの製造が可能となる。また、この場合
もインゴット凝固速度を20℃/秒以上確保するか、あ
るいは浴中に微量のP、Na、Sを添加することで、析
出するMg2 Siの粒径を50μm以下に制御する必要
がある。また、Alを含有するインゴットを製造する場
合も金属間化合物の体積率が70%を超えると分散性に
問題が生じるため70%以下にすることが望ましい。ま
た、下限は特に限定するものではないが体積率で20%
以上含有したものを用いた方が効率的である。
あるが、Alの含有率は10質量%以下とした。これは
Al含有率が10質量%を超えるとスポット溶接性が極
端に悪くなり、連続打点数が1000点以下となってし
まうからである。またAlの含有量が増加すると、溶解
できるSiの量が増加し、今回のように金属間化合物を
めっき浴内に分散させなくても、めっき凝固過程で所定
量の金属間化合物を析出させることができるからであ
る。自動車用途に安定に使用するには、スポット溶接性
を重視する観点から、Al含有量は2質量%未満とする
ことが好ましい。また、めっき浴、あるいはめっき層に
分散させる金属間化合物の体積率は、1〜30%とする
ことが望ましい。これは体積率が1%以下であると耐食
性の向上が期待できず、また、30%を超えるとめっき
密着性等の加工性に問題が生じるからである。
及びSiを所定量秤量した後、真空溶解炉を用いMg2
Si、Ca2 Si、CaSi、CaSi2 、Sr2 S
i、SrSi2 、BaSi、BaSi2 、Ce2 Si、
CeSi2 、MnSi、MgZn2 を作成し、これをハ
ンマーミル並びにローラーミルを用いて粉砕した。その
際、粉砕後の最大粒径が5、10、50、100、20
0μmになるように調整した。次に、これら粉砕した金
属間化合物を所定の割合で混合し、窒素ガスを媒体とす
る粉体吹き込み装置を用い、480℃に保持されたZn
浴並びにZn−5質量%Al浴に吹き込んだ。吹き込み
後の体積率が0〜40%の範囲になるように吹き込み量
を調整した。金属間化合物吹き込み後の浴安定性を確認
するため、480℃の状態で24時間放置した後、浮遊
ドロス発生を確認した。Zn、Zn−5質量%Al浴の
いずれの場合にも、吹き込み金属間化合物の最大粒径が
5、10、50μmのものに関してはドロス発生はなか
ったが粒径が100、200μmの物は激しい浮遊ドロ
スが発生した。
は、冷延鋼板を酸化方式による脱脂、75%H2 −25
%N2 からなる還元ガス中で750℃で30秒間還元、
焼鈍し700℃に冷却後480℃に保持されためっき浴
に浸漬し溶融めっきを行なった。上記浴中に3.5秒浸
漬後N2 ガスワイピングでめっき付着量を片面当たり5
0g/m2 に調整した。得られためっき鋼板は化学分析
でめっき付着量並びに組成を分析すると同時に、めっき
層の表層を5°の傾斜をつけて研磨した後、光学顕微鏡
で500倍で組織を観察し実際に分散させている金属間
化合物の粒径ならびに体積率を測定した。その後以下の
項目に関して評価した。
いて、絞り比2.25でカップ成型を行った。試験は塗
油して行い、シワ抑え力は500kgとした。加工性の
評価は次の指標によった。 (評価基準) ○:異常なし △:めっきに亀裂有り ×:めっき剥離有り
1に準拠した塩水噴霧試験を30日行い、腐食生成物を
剥離して腐食減量を測定した。この腐食減量の表示はめ
っき片面に対しての値である。 (評価基準) ◎:腐食減量5g/m2 以下 ○:腐食減量10g/m2 未満 △:腐食減量10〜25g/m2 ×:腐食減量25g/m2 超
r換算で片面20mg/m2 処理した。次に寸法70×
150mmの試料にメラミン系黒色塗装20μmを行
い、140℃で20分焼付けた。その後クロスカットを
入れ、塩水噴霧試験に供した。60日後の外観を目視観
察した。 (評価基準) ◎:赤錆発生なし ○:クロスカット以外からの赤錆発生なし △:赤錆発生率5%以下 ×:赤錆発生率5%超
スポット溶接を行い、ナゲット径が4√t(t:板厚)
を切った時点までの連続打点数を評価した。 (溶接条件) 溶接電流:10kA 加圧力:220kg 溶接時間:12サイクル 電極径:6mm 電極形状:ドーム型,先端6φ−40R
径、並びにめっき層へ分散させた体積率が適正範囲にあ
る場合(1〜14)は安定してめっきでき、いずれの特
性にも優れためっき鋼板の作製が可能である。また、
4、5、11に見るように、用いる金属間化合物は2種
類以上を混合しても効果に変わりがないことが分かる。
一方、15、16に示すように吹き込んだ金属間化合物
の粒径が適正範囲を超えて大きい場合には、激しいドロ
ス発生が生じ、めっきすることができなかった。また、
17のように金属間化合物を分散させない場合や、18
のように分散させた金属間化合物の体積率が低い場合、
19、20の様に分散させる金属間化合物の種類が不適
切な場合には耐食性に劣る。一方、21、22のように
金属間化合物の体積率が適正範囲を超えて高い場合には
加工性が不十分となる。また、23、24のようにマト
リックスのAl含有量が10%を超えると溶接性に関し
問題が生じる。
最大粒径が5、10、50、100、200μmになる
ように粉砕した金属間化合物を窒素ガスを媒体とする粉
体吹き込み装置を用い吹き込んだ。吹き込み後の体積率
が10〜90%の範囲になるように吹き込み量を調整し
た。その後、適当な大きさの鋳型に鋳込みZn−金属間
化合物分散インゴットを作製した。最大粒径が200μ
mのものは鋳型に鋳込む前に浴表面に金属間化合物が浮
遊しインゴットの作製ができなかった。
認するため切断し、光学顕微鏡を用いて金属間化合物の
分散状況を観察した。その結果金属間化合物の粒径が5
0μm以下で、吹き込み後の体積率が70%以下のもの
は均一に金属間化合物が分散されており、インゴットと
して使用可能であった。それ以外のものは、吹き込んだ
金属間化合物が凝集したり、表面に浮遊しそれが剥がれ
落ちインゴットとしては使用不可能であった。
℃のZn−0.15Al%浴に上記手法で作製したZn
−金属間化合物分散インゴットを添加し金属間化合物の
体積率を0〜50%の範囲で変化させたZn−0.15
%Al−金属間化合物浴を準備した。浴は24時間放置
し浴状況を確認したが、いずれもドロスの発生はなく良
好であった。次に、冷延鋼板を酸化方式による脱脂、7
5%H2 −25%N2 からなる還元ガス中で750℃で
30秒間還元、焼鈍し600℃に冷却後480℃に保持
されためっき浴に浸漬し溶融めっきを行なった。上記浴
中に3.5秒浸漬後N2 ガスワイピングでめっき付着量
を片面当たり50g/m2 に調整した。その後合金化処
理を行ないめっき層中のFe濃度が12%になるように
調整した。
性を評価した。 (1)加工性 油圧成形試験機により、直径50mmの円筒ポンチを用
いて,絞り比2.25でカップ成型を行った。試験は塗
油して行い,シワ抑え力は500kgとした。加工性の
評価は次の指標によった。 (評価基準) ○:異常なし △:めっきに亀裂有り ×:めっき剥離有り
の自動車用のりん酸亜鉛化成処理液を用い43℃で3.
5分の浸漬処理を行ない化成皮膜を2〜3g/m2 付与
した後、市販のカチオン電着塗装剤を用い28℃で到達
電圧200Vの状態で3分通電し電着塗装を20μm施
した。その後、市販の塗料を用い中塗、上塗塗装を各4
0μm実施した後、試片中心部にクロスカットを入れ腐
食試験に供した。腐食試験は塩水噴霧4時間 → 60
℃乾燥2時間 → 50℃、湿度95%雰囲気2時間
のサイクルで120サイクル行ない、クロスカット部の
最大膨れ幅を測定した。
脱脂した後、試料中心部50×50mmに絶縁テープを
張り、前述の塗装後耐食性試験片と同様の方法で電着塗
装まで施した。その後絶縁テープを剥がし、50×50
mmの部位のみ塗装が施されていない試料を作製し、こ
の未塗装部が対向するような状で間隔0.5mmあけて
2枚の試片を接合した。
サイクルで160サイクルの試験を行ない、完了後2枚
の板を開き腐食生成物を除去した後、未塗装部における
最大浸食深さを測定した。 (孔明耐食性評価基準) ○:浸食深さ0.4mm以下 △:浸食深さ0.4〜0.8mm ×:孔あき発生
径、並びにめっき層へ分散させた体積率が適正範囲にあ
る場合(1〜11)はいずれの特性にも優れためっき鋼
板の作製が可能である。また用いる金属間化合物は単独
で用いても混合しても効果に変わりがないことが分か
る。一方、12、13のように金属間化合物の体積率が
適正範囲を超えて高い場合には加工性が不十分となり、
また、14のように金属間化合物を分散させない従来の
めっきの場合や、15のように分散させる金属間化合物
の体積率が低い場合には耐食性が不十分である。
Si=1.73:1の比率を保ちつつ、Mgを0〜40
質量%、Siを0〜23.1質量%の範囲で変化させ6
50℃で建浴した。その後、冷却速度を5〜30℃/秒
の範囲で変化させ、適当な大きさの鋳型に鋳込んだ。ま
た、同時に浴に微量添加物としてP:0.1質量%、N
a:0.5質量%、S:0.3質量%を添加した浴も準
備し、冷却速度10℃/秒で鋳込みインゴットを作製し
た。作製したインゴットは外観状況を確認すると同時に
断面を光学顕微鏡で観察しMg2 Siの分散状況並びに
大きさを確認した。
製したインゴットをAl含有率が10質量%になるよう
に調整して溶解しZn−10質量%Al−Mg2 Si浴
を建浴した。この浴を24時間保持しドロス発生の有無
を確認したのち以下の方法で鋼線にめっきを施した。市
販のアルカリ脱脂剤で脱脂した220×4mmφの鋼線
を60℃の10%硫酸中に10分間浸漬して酸洗した
後、KCl(40質量%),NaCl(40質量%),
Na3 AlF6 (20質量%)を配合し70℃の保持し
た水性処理液に5秒間浸漬した。浸漬後ただちに、12
0℃に設定したオーブン中に5分放置して乾燥させた。
その後、480℃の保持したZn−10質量%Al−M
g2 Siめっき浴に30秒浸漬してめっきした。めっき
の付着量は、鋼線のめっき浴からの引き上げ速度を調節
して100g/m2 になるように制御した。
評価した。 (1)加工性 100mm長さの試料を準備し、鋼線の直径の1.5
倍、すなわち6mmの曲率で曲げ試験を実施した。加工
性の評価は次の指標によった。 (評価基準) ○:異常なし △:めっきに亀裂あり ×:めっき剥離あり
端の切断面はシリコン系シール剤でシールした。次に、
鋼面まで達し長さが50mmの疵をカッターナイフを用
いて人工的に設けた。このようにして作製したサンプル
を用いてJIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を
2000時間実施し、赤錆の有無を目視で評価した。 (評価基準) ○:赤錆び発生なし △:部分的な赤錆び発生あり ×:全面赤錆び発生
空気を吹き込んだ状態で40℃の保持された純水に50
00時間浸漬した後、赤錆の有無を目視で評価した。 (評価基準) ○:赤錆び発生なし △:部分的な赤錆び発生あり ×:全面赤錆び発生
が適切でMg2 Siの最大粒径、体積率が適正範囲にあ
る場合(1〜6)はいずれもインゴトの均一性も良好で
あり、また、これらのインゴットを適正量めっき浴に添
加し作製しためっき線材は加工性、耐食性ともに良好で
あった。一方、7のようインゴット作製時の冷却速度が
不十分な場合には、均一なインゴットは製造できるもの
の生成するMg2 Siの最大粒径が適正範囲を超えてし
まう。そのため、めっき浴に添加した場合にMg2 Si
が浮遊し、めっき層に取り込まれるMg2 Si量が減少
する上、めっき後の外観が著しく劣ってしまう。
g,Siの量が不適切に多いと非常に不均一で脆いイン
ゴットしか作製できず、めっき浴への添加が不可能であ
った。また、9のように適正条件で作製されたインゴッ
トを用いても、めっき層なかのMg2 Si体積率が適正
範囲を超えて多いと、めっきの加工性に問題が生じる。
また10のようにMg2 Siを分散させないめっき線材
(Zn−10%Al)は耐食性に劣る結果となった。
めっき層中に分散させることで、耐食性に優れたZn−
Al系めっき製品を得ることができる。特に、従来Si
の添加が困難であったAl含有率の低い領域での金属間
化合物分散が可能となるため、耐食性を大幅に向上でき
自動車用鋼板への適用も可能である。
Claims (6)
- 【請求項1】 Al:10質量%以下を含有し、残部Z
nおよび不可避不純物からなるマトリックス中に、M
g,Ca,Sr,Ba,Ceの中から選択される1元素
とSiから構成される粒径1〜50μmの金属間化合物
1種類以上が、体積率で1〜30%分散されためっき層
を表面に有することを特徴とする耐食性に優れためっき
製品。 - 【請求項2】 請求項1に記載のMg,Ca,Sr,B
a,Ceの中から選択される1元素とSiから構成され
る金属間化合物がMg2 Si、Ca2 Si、CaSi、
CaSi2 、Sr2 Si、SrSi2 、BaSi、Ba
Si2 、Ce2 Si、CeSi2 からなることを特徴と
する耐食性に優れためっき製品。 - 【請求項3】 めっき工程において、Al:10質量%
以下を含有し、残部Znおよび不可避不純物からなり、
その中にMg,Ca,Sr,Ba,Ceの中から選択さ
れる1元素とSiから構成される粒径1〜50μmの金
属間化合物1種類以上が、体積率で1〜30%分散され
ためっき浴を用いることを特徴とする耐食性に優れため
っき製品の製造方法。 - 【請求項4】 Al:10質量%以下を含有し、残部Z
nおよび不可避不純物からなるめっき浴に、Mg,C
a,Sr,Ba,Ceの中から選択される1元素とSi
から構成される粒径1〜50μmの金属間化合物1種類
以上をガスと共に吹き込むことを特徴とする請求項3に
記載の耐食性に優れためっき製品の製造方法。 - 【請求項5】 あらかじめ製造した、Mg,Ca,S
r,Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから構
成される粒径1〜50μmの金属間化合物1種類以上
が、体積率で70%以下分散されたZn−Al系インゴ
ットを、めっき浴に溶解せしめることを特徴とする請求
項3または4に記載の耐食性に優れためっき製品の製造
方法。 - 【請求項6】 請求項3〜5に記載のMg,Ca,S
r,Ba,Ceの中から選択される1元素とSiから構
成される金属間化合物がMg2 Si、Ca2 Si、Ca
Si、CaSi2 、Sr2 Si、SrSi2 、BaS
i、BaSi2 、Ce2 Si、CeSi2 からなること
を特徴とする耐食性に優れためっき製品の製造方法。
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