JP2000178705A - 耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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JP2000178705A
JP2000178705A JP34851898A JP34851898A JP2000178705A JP 2000178705 A JP2000178705 A JP 2000178705A JP 34851898 A JP34851898 A JP 34851898A JP 34851898 A JP34851898 A JP 34851898A JP 2000178705 A JP2000178705 A JP 2000178705A
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galvanized steel
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Tamotsu Toki
保 土岐
Katsuji Kawanishi
勝次 川西
Toru Kuroda
亨 黒田
Takeshi Tomiyasu
健 富安
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐黒変性を飛躍的に向上させたレギュラース
パングル溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 Alを0.10〜0.50%、Pb、S
b、Snからなる群の内の1種以上を合計で0.050
〜0.200%含有し、長軸の平均長さが10mm以上
であるスパングルを有し、その表面から2μmまでおよ
び母材との界面から2μmまでのめっき皮膜中の開華元
素の合計含有量が0.030%以下である亜鉛めっき皮
膜を備えた溶融亜鉛めっき鋼板。この鋼板は、母材をめ
っき浴に浸漬してめっきし、付着量を調整した後、めっ
き皮膜が凝固するまでの間を、10〜30℃/秒の冷却
速度で冷却することで容易に製造できる。めっき付着量
調整後、開華元素含有量が0.030重量%未満である
Zn粉末をめっき面に付着、溶融させた後、前記冷却速
度で冷却すればなおよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダクト配管や建築
材料等の素材として好適な、金属光沢に富む美麗なレギ
ュラースパングルを有し、かつ、耐黒変性に優れた溶融
亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】安価で優れた耐食性を備えた溶融亜鉛め
っき鋼板が各種の用途に使用されているが、ダクト配管
や建築材料等の素材としては、金属光沢に富む亜鉛の結
晶模様(スパングル)を有したレギュラースパングル品
と称される溶融亜鉛めっき鋼板が好まれている。ここで
レギュラースパングル品とは、スパングルの長軸の平均
長さが10mm以上であり、かつ、スパングル間の境界
が鮮明なスパングルを備えた鋼板をいう。
【0003】レギュラースパングルを有する溶融亜鉛め
っき鋼板を製造する際には、金属光沢に富む明瞭なスパ
ングルを形成させる作用に富む元素(以下、単に「開華
元素」と記す)として、めっき浴に0.05重量%以上
のPb、Sb等を含有させてめっきされる。溶融亜鉛め
っきに際しては、めっき皮膜の密着性を阻害するFe−
Zn合金層の形成を抑制するために、少量のAlを含有
させためっき浴が用いられる。また、これらの用途に使
用される溶融亜鉛めっき鋼板には、無塗装での耐食性を
向上させるために、めっき皮膜の上にクロメート処理が
施される。
【0004】めっき浴にAlや開華元素を含有させてめ
っきすると、めっき後クロメート処理を行っためっき鋼
板を湿潤環境で保管すると短時間で一部のスパングルが
黒く着色する場合がある(この現象を以下では単に「黒
変」と記す)。黒変が生じてもめっき鋼板の耐食性等の
悪影響を与えるものではないが、外観が損なわれるの
で、意匠性を重視する用途においては商品価値がそこな
われる。このため、耐黒変性に優れた鋼板が望まれてい
る。
【0005】特開昭59−177381号公報には、溶
融亜鉛めっきした後、Niイオンおよび/またはCoイ
オンを含有する溶液で処理した後にクロメート処理を施
すことにより耐黒変性を改善する技術が開示されてい
る。この技術は、黒変防止に関しては優れた技術である
が、耐食性が劣化し、Znとしての金属光沢が損なわれ
る場合があるという問題がある。
【0006】特開平2−70050号公報には、黒変を
促進するPbを0.001〜0.01重量%に低減し、
さらにBiを含有させためっき浴を用いて溶融亜鉛めっ
きする耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板が開示され
ている。しかしながらこの鋼板のめっき皮膜は、Biを
含有させているために加工性が劣化し、厳しい条件での
ロールフォーミング加工などを施すと、めっき皮膜に亀
裂が発生し、耐食性が低下することがあるという問題が
ある。また、この鋼板では、スパングルの大きさが均一
ではなく、開華元素としてPbやSbを含有させためっ
き浴を用いてめっきされた鋼板に比較すると外観が十分
ではないという問題もある。
【0007】特開平2−267281号公報には、めっ
き皮膜のPb含有量を0.02重量%以下に制限し、さ
らに溶融亜鉛めっき後急冷することによってめっき表面
のZn結晶の(00・i)面の配向性指数を所定量以上
にする耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板とその製造
方法が開示されている。しかしながらこの技術はミニマ
ムスパングル処理(スパングルを、長軸の平均長さ1m
m前後以下になるようにめっき皮膜が凝固する直前に溶
融面をミスト冷却方法などの手段により急冷するもの)
を前提としている。従ってこの方法は、本発明が対象と
する長軸の平均長さが10mm以上である、いわゆるレ
ギュラースパングル材の製造には適用できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題点を解決し、金属光沢にすぐれたレギュラ
ースパングル品の耐黒変性を飛躍的に向上させたレギュ
ラースパングル溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スパング
ルのミニマム化処理を行わないレギュラースパングル材
の耐黒変性を向上させるため、開華元素がめっき皮膜の
黒変現象に及ぼす影響について種々研究した結果、次の
ような知見を得た。
【0010】ミニマムスパングル品の耐黒変性を向上
させる手段として、めっき皮膜中の開華元素の含有量を
低減すればよいことは従来から知られている。しかしな
がら、レギュラースパングル品としてめっき皮膜に鮮明
で大きいスパングルを発現させるには、ミニマムスパン
グル品において耐黒変性を悪化させない限界とされてい
る量以上に開華元素を含有させてめっきする必要があ
る。開華元素としてはPb、Sb、Snなどが好まし
い。
【0011】従来のレギュラースパングル品では、開
華元素はめっき皮膜の厚さ方向で濃度勾配を有してお
り、めっき皮膜表面で含有量が高くなっている。レギュ
ラースパングル品の製造に際しては、スパングルを十分
に成長させるために、めっき後の溶融亜鉛の凝固は比較
的徐冷に近い状態で冷却される。開華元素がめっき皮膜
表面に偏析する上記の現象は、めっき皮膜の凝固が母材
界面側から開始され、めっき皮膜表面は凝固末期になる
ために発生したものであろうと推測された。
【0012】黒変現象はめっき皮膜の表面での化学反
応により発現するものであるから、黒変現象を抑制する
には、めっき皮膜表面での開華元素の含有量を限界以下
にすればよい。めっき皮膜表面から溶融亜鉛の凝固を開
始させれば、めっき皮膜表面での開華元素の含有量を低
いレベルに抑制することができる。溶融亜鉛の凝固をめ
っき皮膜表面から開始させるには、溶融めっき皮膜表面
での凝固核生成を促進してやればよい。
【0013】母材との界面近傍の開華元素含有量が高
くなるとめっき皮膜の長期にわたる密着性が損なわれる
ことがある(以下、径時剥離とも記す)。これを防止す
るには、めっき皮膜の凝固終点部位を界面近傍としない
のがよい。
【0014】これらのことから耐黒変性を確保し、さ
らに経時剥離に対する悪影響をもたらさないためには、
めっき皮膜の厚さ方向での凝固終点位置がめっき皮膜の
中央部近傍になるようにすればよい。
【0015】上記のような凝固現象を実現するには、
母材側からの冷却速度に見合った適正な冷却速度でめっ
き皮膜表面を冷却すること、さらには、溶融面に凝固核
生成物質を付着させるなどの方法が有効である。
【0016】本発明はこれらの新たに得られた知見を基
にして完成されたものであり、その要旨は下記(1)に
記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および
(2)、(3)に記載のその製造方法にある。
【0017】(1)母材の少なくとも片面に、重量%で
Alを0.10〜0.50%、Pb、Sb、Snからな
る群の内の1種または2種以上の開華元素を合計で0.
050〜0.200%含有し、残部が実質的にZnより
なり、長軸の平均長さが10mm以上であるスパングル
を有するめっき皮膜を備え、めっき皮膜表面から2μm
までおよび母材との界面から2μmまでのめっき皮膜中
の上記開華元素の合計含有量が、いずれも0.030%
重量以下であることを特徴とする耐黒変性に優れた溶融
亜鉛めっき鋼板。
【0018】(2)母材を、0.10〜0.35重量%
のAlとPb、Sb、Snからなる群の内の1種または
2種以上の開華元素を合計で0.050〜0.200重
量%含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきし、付
着量を調整した後、めっき皮膜が凝固するまでの間を、
10〜30℃/秒の冷却速度で冷却することを特徴とす
る上記(1)に記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法。
【0019】(3)母材を、0.10〜0.35重量%
のAlとPb、Sb、Snからなる群の内の1種または
2種以上の開華元素を合計で0.050〜0.200重
量%含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきし、付
着量を調整した後、開華元素の含有量が0.030重量
%未満であるZn粉末をめっき面に付着、溶融させた
後、めっき皮膜が凝固するまでの間を、10〜30℃/
秒の冷却速度で冷却することを特徴とする上記(1)に
記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に述べ
る。なお、以下に記す金属元素の%表示は重量%を意味
する。
【0021】めっき皮膜の構成; Al:めっき皮膜のAl含有量が0.1%に満たない場
合、めっき/鋼板界面にFe−Zn合金層が形成され、
めっき皮膜の密着性が著しく低下する。これを防止する
ためにめっき皮膜のAl含有量は0.10%以上とす
る。好ましくは0.2%以上である。めっき皮膜のAl
含有量が0.50%を超えると、耐黒変性が損なわれ
る。従ってAl含有量は0.50%以下とする。好まし
くは0.40%以下である。
【0022】Pb、Sb、Sn:これらの開華元素は、
母材表面で溶融亜鉛が凝固する際に、金属光沢に富み明
瞭なスパングルを発現させる作用がある。レギュラース
パングル品として必要な金属光沢に富み明瞭なスパング
ルを得るために、めっき皮膜には、開華元素の内の1種
または2種以上を合計で0.050重量%以上含有させ
る。好ましくは0.080%以上である。
【0023】めっき皮膜表面に開華元素が濃厚に偏析す
ると、Znと前記偏析部との間で腐食電流が流れ、Zn
の腐食が促進される。このため耐黒変性が不十分となる
ことがある。このため、その合計量は0.200%以下
とする。好ましくは0.150%以下である。
【0024】めっき皮膜表面の開華元素の合計含有量が
過度に増すと耐黒変性が損なわれる。本発明では耐黒変
性を確保するために、めっき皮膜表面から内部に向かっ
て2μmまでの表層部分での開華元素の合計含有量を
0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下
である。
【0025】開華元素は、その偏析状況を表面から観察
すると直径が2μm以内の粒状に析出する場合が多いこ
とが認められている。従って、少なくともめっき皮膜表
面から2μmまでの範囲の開華元素の含有量が上記限界
値以下になっていれば、耐黒変性を良好に保つことがで
きる。
【0026】また、母材との界面での開華元素の合計含
有量が過度に増すと耐径時剥離性が損なわれる場合があ
る。このため、耐経時剥離性を確保するには、母材との
界面から表面に向かって2μmまでのめっき皮膜界面側
での開華元素の合計含有量を0.030%以下とするの
が好ましい。さらに好ましくは0.020%以下であ
る。
【0027】めっき皮膜の化学組成としては、上記以外
の残部は実質的にZnである。実質的にとの意味は、本
発明のめっき皮膜には上記以外に、Fe、Ni、Cr、
Ti、Mo、W等が、個々の元素の含有量として、0.
03%以下含有されていても本発明の効果を得るには何
ら問題ないことを意味する。
【0028】母材:本発明のレギュラースパングル溶融
亜鉛めっき鋼板の母材としては、低炭素鋼板が安価で汎
用性に富むので好適であるがこれに限定される必要はな
く、成形性を改善するために極低炭素鋼板を使用した
り、高強度化するためにC含有量を高めた炭素鋼板、さ
らにSi、Mn、P、Ni、Crその他の合金を含有さ
せた合金添加鋼板など任意のものを使用することができ
る。鋼板の種類は冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板いずれで
もよい。
【0029】製造方法;本発明のレギュラースパングル
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法としては、めっき浴の化
学組成とめっき後の鋼板の冷却条件とを以下に述べる条
件にしてめっきするのが好適である。
【0030】母材鋼板を公知の方法にしたがって溶融亜
鉛めっき温度以上に加熱し、0.10〜0.35重量%
のAlと、Pb、Sb、Snからなる開華元素の内の1
種または2種以上を合計で0.050〜0.200重量
%とを含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきす
る。
【0031】めっき浴のAl濃度が0.10%に満たな
い場合には、めっき/鋼板界面にFe−Znが形成しめ
っき密着性が著しく低下する。しががってめっき浴のA
l濃度は0.10%以上とするのがよい。より好ましく
は0.15%以上である。めっき浴のAl濃度が0.3
5%を超えると、めっき皮膜のAl含有量が0.50%
を超えることがある。従ってAl濃度は0.35%以下
とするのがよい。より好ましくは0.40%以下であ
る。めっき皮膜のAl含有量の上限がめっき浴のAl濃
度の好ましい上限よりも高くなっているのは、めっき皮
膜と母材との界面にFe−Al合金層が形成されるため
である。
【0032】めっき浴に含有させる開華元素の合計量が
0.050%に満たない場合には、めっき皮膜中のこれ
らの元素の合計含有量が0.050%に満たなくなり、
所望の良好なスパングルが得られなくなることがある。
従って0.050%以上とするのがよい。より好ましく
は0.080%以上である。開華元素の合計量が0.2
00%を超えると、めっき皮膜のこれらの元素の合計含
有量が0.200%を超え、耐黒変性が損なわれる場合
がある。従って0.200%以下とするのがよい。より
好ましくは0.150%以下である。
【0033】めっき浴に浸漬した後は、引き上げて常法
により付着量を調整した後、めっき皮膜が凝固するまで
の間を、10〜30℃/秒の冷却速度で冷却する。
【0034】この間の冷却速度が10℃/秒に満たない
場合にはめっき皮膜の厚さ方向での最終凝固部位がめっ
き皮膜の表層部近傍になり、めっき皮膜表面から少なく
とも2μmまでの範囲での開華元素の含有量が0.03
0%を超え、耐黒変性が損なわれることがある。上記の
間の冷却速度を10℃/秒以上とすれば、めっき皮膜表
面でのZn凝固核の発生頻度が増し、めっき皮膜表面か
らの凝固が促進され、めっき皮膜表層部に開華元素の含
有量が少ない領域が形成される。従って上記の間の冷却
速度は10℃/秒以上とするのが好ましい。より好まし
くは15℃/秒以上である。
【0035】上記の間の冷却速度が30℃/秒を超える
場合には、母材界面から少なくとも2μmまでの範囲の
開華元素の含有量が0.030%を超え、耐径時剥離性
が損なわれるおそれがあるうえ、スパングルが小さくな
りすぎて良好なレギュラースパングル品としての良好な
外観が得られなくなるので好ましくない。従って上記の
範囲での冷却速度は30℃/秒以下とするのがよい。よ
り好ましくは25℃/秒以下である。
【0036】冷却方法は圧力空気を吹き付ける空冷がよ
いが、これに限定する必要はなく、空冷では冷却速度が
不足する場合などでは水を混在させたスプレー冷却でも
構わない。この場合、スパングルの形状を乱さないため
には、混在させる水は純度が高いほど好ましく、例えば
99.9%以上の純度の水を使用するのが好ましい。
【0037】めっき表面の開華元素含有量を低減させる
には、10〜30℃/秒の冷却速度での冷却を開始する
前の溶融状態のめっき面に、Zn粉末を付着、溶融させ
るのが効果的である。Zn粉末としては、開華元素の含
有量が0.030重量%未満であるものが好ましい。Z
n粉末の形態は任意であるが、めっき面に付着したの後
は速やかに溶解させる必要があるので、粒径が0.5〜
2μmのものがよい。粉末を付着させる方法は任意であ
るが、溶融めっき面をZn粉末を浮遊させた雰囲気中に
通過させる方法やZn粉末を圧力空気中に混入させてめ
っき面に吹き付ける等の方法が好ましい。付着させる量
は任意であるが、0.1〜5g/m2 前後が好ましい。
【0038】上記以外の条件は任意であり、公知の条件
で構わない。例えばめっき浴温度は一般に採用されてい
る450〜470℃の範囲にあればよく、めっき付着量
は、片面当たり45〜150g/m2 相当であれば、建
材用途やダクト配管等に使用しても良好な耐久性を発揮
できる。
【0039】めっき皮膜表面には、耐白錆性を向上させ
るために、クロメート処理を施すのが好ましい。クロメ
ート処理方法は特に制限されないが、処理が容易である
ので、酸化物コロイドを含有した塗布型クロメートが好
ましい。
【0040】
【実施例】母材として厚さが0.7mmの低炭素冷間圧
延鋼板を使用し、この鋼板に縦型溶融Znめっき装置を
用いて以下に記す条件で溶融亜鉛めっきを施した。
【0041】母材鋼板の表面を75℃のNaOH溶液で
脱脂洗浄し、水素ガス:10体積%、残部が窒素ガスか
らなり、露点が−40℃である雰囲気中で750℃に加
熱し、60秒間保持する焼鈍を施し、溶融亜鉛めっき浴
温近傍まで冷却した。0.08〜0.40%のAlと、
種々の開華元素を種々の量含有し、残部がZnおよび不
可避的不純物からなり、温度が460℃である溶融亜鉛
めっき浴に、上記母材を3秒間浸漬し、引き上げて、圧
力空気を吹き付けてめっき付着量を片面あたり100g
/m2 に調整した。その際、圧力空気の吹き付け量を種
々変更して冷却速度を種々の範囲に変更した。その際、
一部の鋼板は、めっき後冷却開始前の溶融めっき面に、
Pbを0.005%含有し、残部がZnからなり、平均
粒径が1μmであるZn粉末を圧力空気を利用して付
着、溶融させた(試験番号3)。付着量は1g/m2
した。また、一部の鋼板は、めっき後の冷却を、リン酸
アンモニウムを含有する水溶液を用いたミスト冷却とし
た(試験番号24)。いずれの鋼板とも、常温まで冷却
した後塗布型クロメート処理を施した。その付着量は金
属Cr量として30mg/m2 とした。
【0042】得られためっき鋼板の性能を以下の方法で
評価した。めっき皮膜厚さ方向でのPb、Sb、Snの
分布:定電流電解法で測定した。めっき皮膜は、塩化亜
鉛400g/リットル、NaCl200g/リットルを含有した
水溶液を使用し、溶解面積25cm2 、電流密度50A
/cm2 とし、通電量で判定してめっき皮膜を表面から
2μmまで溶解した時点で定電流溶解を中断し、得られ
た溶液をICP分析してその化学組成を測定した。めっ
き皮膜の母材界面側2μmの範囲については同様に、界
面側2μmまで溶解した後、溶解液を更新して再度母材
に達するまで定電流溶解し、その溶液をICP法により
表面層と同様に分析した。
【0043】スパングル外観:めっき皮膜表面を目視観
察して、下記の基準で評価した。 ○:スパングルの長軸の長さが平均で10mm以上、 △:5mm以上、10mm未満、 ×:5mm未満。
【0044】耐黒変性:試験片を複数枚数積層し、防錆
紙で梱包し、温度60℃、湿度85%の高温高湿雰囲気
に10日間保管した後、めっき皮膜表面の黒変の程度を
JIS−Z8730に規定された方法で、市販の分光分
析計を用いて色差(L*値)を測定した。上記積層試験
をおこなう前の試験片表面のL*値との変化量(ΔL
*)を求め、これを基に耐黒変性を評価した。
【0045】密着性:密着性は以下の方法によるデュポ
ン衝撃試験により評価した。ダイス(12mmφ)、ポ
ンチ(6mmφ)間に試験片を置き、1.6kgの重錘
を400mmの高さからポンチ上に落下させ、得られた
張り出し成形部に粘着テープを貼り付け、テープを引き
剥がした際のめっき皮膜の剥離程度を目視観察し、下記
の基準で密着性を評価した。 ○:剥離が認められず、良好。 △:剥離が一部認められ、やや不良。 ×:剥離が全面で認められ、不良。
【0046】耐径時剥離性:試験片を上記耐黒変性評価
と同様の高温恒湿雰囲気中で10日間保管した後、曲げ
半径を2T(T:板厚)とした曲げ試験をおこない、曲
げ部外側について、密着性評価と同様の方法でテープ剥
離試験をおこない、剥離状況を同様の基準で判定して耐
剥離性を評価した。
【0047】耐白錆性:試験片を、JIS−Z2371
に規定される方法に準じて、35℃の5%NaCl水溶
液による塩水噴霧試験に供し、120時間試験した後の
白錆発生面積率を求めて耐白錆性を評価した。表1に得
られた結果を示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1の試験番号1〜15の結果に示されて
いるように、本発明が規定する化学組成範囲であるめっ
き皮膜を備えた鋼板はいずれの性能も良好な結果を示し
た。めっき後冷却開始前の溶融めっき面にZn粉末を付
着、溶融させた試験番号3では、それ以外は同一条件で
処理した試験番号2に比較して耐黒変性が特に良好であ
った。
【0050】これに対し、試験番号16〜18ではめっ
き皮膜のAl含有量が本発明の規定する範囲外であった
ためにめっき皮膜の密着性がよくなかった。試験番号1
9は開花元素の含有量が少なすぎたためにスパングルが
十分には発達しなかった。試験番号20では、開華元素
の含有量が多すぎたために耐黒変性がよくなかった。試
験番号21では、めっき皮膜の開華元素の含有量は本発
明の規定する範囲内であるが、その表層部の含有量が本
発明の規定する範囲を超えており、耐黒変性が悪かっ
た。試験番号22、23はめっき後の冷却速度が速いた
めにスパングルが小さくなり、さらに、鋼板界面側での
開華元素の含有量が本発明の規定する範囲を超えたため
に耐径時剥離性もよくなかった。リン酸アンモニウムを
含有する水溶液を用いてミスト冷却した試験番号24で
はスパングル外観がよくないうえ、鋼板界面側で開華元
素の濃厚偏析が発生したため耐径時剥離性がよくなかっ
た。
【0051】
【発明の効果】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、金属光
沢にすぐれたレギュラースパングル品でありながら、優
れた耐黒変性と密着性を兼ね備える。従って、ダクト配
管や建築材料として意匠性にすぐれ、加工性も良いので
極めて好適な材料である。また、本発明のめっき鋼板は
めっき浴の化学組成とめっき後の冷却条件を制御するこ
とにより容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 亨 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 富安 健 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB15 AB44 AC62 AC64 AC66 AE03 AE18 AE21 AE25

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材の少なくとも片面に、重量%でAlを
    0.10〜0.50%、Pb、Sb、Snからなる群の
    内の1種または2種以上の開華元素を合計で0.050
    〜0.200%含有し、残部が実質的にZnよりなり、
    長軸の平均長さが10mm以上であるスパングルを有す
    るめっき皮膜を備え、めっき皮膜表面から2μmまでお
    よび母材との界面から2μmまでのめっき皮膜中の上記
    開華元素の合計含有量が、いずれも0.030%重量以
    下であることを特徴とする耐黒変性に優れた溶融亜鉛め
    っき鋼板。
  2. 【請求項2】母材を、0.10〜0.35重量%のAl
    とPb、Sb、Snからなる群の内の1種または2種以
    上の開華元素を合計で0.050〜0.200重量%含
    有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきし、付着量を
    調整した後、めっき皮膜が凝固するまでの間を、10〜
    30℃/秒の冷却速度で冷却することを特徴とする請求
    項1に記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】母材を、0.10〜0.35重量%のAl
    とPb、Sb、Snからなる群の内の1種または2種以
    上の開華元素を合計で0.050〜0.200重量%含
    有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきし、付着量を
    調整した後、開華元素の含有量が0.030重量%未満
    であるZn粉末をめっき面に付着、溶融させた後、めっ
    き皮膜が凝固するまでの間を、10〜30℃/秒の冷却
    速度で冷却することを特徴とする請求項1に記載の耐黒
    変性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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