JP2002003446A - 2−置換プロピオン酸の製造方法 - Google Patents

2−置換プロピオン酸の製造方法

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JP2002003446A
JP2002003446A JP2000185993A JP2000185993A JP2002003446A JP 2002003446 A JP2002003446 A JP 2002003446A JP 2000185993 A JP2000185993 A JP 2000185993A JP 2000185993 A JP2000185993 A JP 2000185993A JP 2002003446 A JP2002003446 A JP 2002003446A
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reaction
carbon atoms
alkyl group
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JP2000185993A
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English (en)
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Tadasuke Watanabe
宰輔 渡辺
Kazuharu Suyama
和晴 須山
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2−(ハロメチルフェニル)プロピオン酸また
はそのエステルとアジピン酸ジエステルとを出発原料と
して用いることにより、従来法よりも効率のよい2−置
換プロピオン酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 アジピン酸ジエステルをアルコキシド
M(OR)(Rは炭素数5以下のアルキル基、Mはアル
カリ金属またはアルカリ土類金属)と反応させた後、引
き続き2−(ハロメチルフェニル)プロピオン酸またはそ
のエステルとカップリングさせて得た中間体を、さらに
脱炭酸・加水分解することからなる特定の2−置換プロ
ピオン酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗炎症、鎮痛およ
び解熱などの作用を示す2−置換プロピオン酸の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−置換プロピオン酸類は、特公昭58
−4699号公報に見られるように、抗炎症、鎮痛およ
び解熱の作用を示す。特に2−[4−(2−オキソシクロ
ペンタン−1−イルメチル)フェニル]プロピオン酸(い
わゆるロキソプロフェン)は、優れた鎮痛剤として市販
されている。従来の製造法は、上記公報のほか、特開昭
62−161740号公報などにも見られるように、
(1)2−(p−ハロメチルフェニル)プロピオン酸エス
テルと2−シクロペンタノンカルボン酸エステルとの塩
基存在下におけるカップリング反応、および(2)酸に
よる脱炭酸・エステル加水分解の工程を含む。上記第一
段階のカップリングにおいては、2−シクロペンタノン
カルボン酸エステルが塩基によりα−位の水素を引き抜
かれて、2−アルコキシカルボニルシクロペンテノレー
トアニオンを与え、これが2−(p−ハロメチルフェニ
ル)プロピオン酸エステルのハロメチル基を攻撃し、炭
素−炭素結合を形成し、ロキソプロフェンの基本骨格を
形成する。ここで用いる2−(p−ハロメチルフェニル)
プロピオン酸エステルは比較的安価であるが、2−シク
ロペンタノンカルボン酸エステルは高価な試薬である。
さらに、塩基の存在下においては、塩基が2−(p−ハ
ロメチルフェニル)プロピオン酸エステルのハロメチル
基などと副反応を起こす可能性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、2−
(ハロメチルフェニル)プロピオン酸またはそのエステル
の他にアジピン酸ジエステルを出発原料物質として用
い、従来法よりも効率のよい2−置換プロピオン酸の製
造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、2−
(p−ハロメチルフェニル)プロピオン酸エステルの他
に、アジピン酸ジエステルを出発原料として用いること
により、効率的にロキソプロフェンが得られることを見
出した結果に基づくものである。また、本発明の方法に
よれば、塩基と2−(p−ハロメチルフェニル)プロピオ
ン酸エステルとの副反応を生ずる懸念がなく、収率も向
上する。すなわち、本発明の第1は、アジピン酸ジエス
テルを、下記式で表されるアルコキシド M(OR) (式中Rは炭素数5以下のアルキル基を、Mはアルカリ
金属またはアルカリ土類金属を、nはMの原子価に相当
する数をそれぞれ示す。またn個の(OR)は同一でも
異なってもよい。)と反応させた後、引き続き下記一般
式〔I〕
【化6】 (式中、Xはハロゲン原子、R′は水素原子または炭素
数4以下のアルキル基を示す。)で表わされる化合物
(以下、「化合物(I)」という)とカップリングさせ
ることにより、下記一般式〔II〕
【化7】 (式中、R′は水素原子または炭素数4以下のアルキル
基を、R″は炭素数4以下のアルキル基を示す。)で表
わされる化合物(以下、「化合物(II)」という)を得
ることを特徴とする化合物(II)の製造方法に関するも
のである。
【0005】本発明の第2は、下記工程(1)および
(2)からなることを特徴とする下記一般式〔III〕
【化8】 で表わされる2−置換プロピオン酸(以下、「化合物
(III)」という)の製造方法に関するものである。 工程(1):アジピン酸ジエステルを、下記式で表され
るアルコキシド M(OR) (式中Rは炭素数5以下のアルキル基を、Mはアルカリ
金属またはアルカリ土類金属を、nはMの原子価に相当
する数をそれぞれ示す。またn個の(OR)は同一でも
異なってもよい。)と反応させた後、引き続き下記一般
式〔I〕
【化9】 (式中、Xはハロゲン原子、R′は水素原子または炭素
数4以下のアルキル基を示す。)で表わされる化合物
(以下、「化合物(I)」という)とカップリングさせ
ることにより、下記一般式〔II〕
【化10】 (式中、R′は水素原子または炭素数4以下のアルキル
基を、R″は炭素数4以下のアルキル基を示す。)で表
わされる化合物(以下、「化合物(II)」という)を得
る工程、 工程(2):上記化合物(II)を、脱炭酸・加水分解す
ることにより化合物(III)を得る工程。
【0006】本発明の第3は、本発明の第1または第2
において、アジピン酸ジエステルが、アジピン酸ジメチ
ルまたはアジピン酸ジエチルである製造方法に関する。
本発明の第4は、本発明の第1から第3のいずれかにお
いて、一般式〔I〕のハロゲン原子Xが塩素または臭素
である製造方法に関する。本発明の第5は、本発明の第
1から第4のいずれかにおいて、一般式〔I〕のR′が
水素原子またはメチル基もしくはエチル基である製造方
法に関する。本発明の第6は、本発明の第1から第5の
いずれかにおいて、アルコキシドM(OR) が、ナト
リウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドである製
造方法に関する。本発明の第7は、本発明の第1から第
6のいずれかにおいて、アジピン酸ジエステル1モルに
対する反応時のアルコキシド M(OR)の有効量が
0.7〜1当量である製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明をさらに説明する。本発明
の方法は、アジピン酸ジエステルを出発原料として、工
程(1):[カップリング反応]およびその後の工程
(2):[脱炭酸・加水分解]からなるものである。以
下、各工程について順次説明する。 工程(1):[カップリング反応] 工程(1)においては、アジピン酸ジエステルと前記ア
ルコキシドM(OR)との反応により2−アルコキシカ
ルボニルシクロペンテノレートアニオンを生成させ、引
き続き得られた2−アルコキシカルボニルシクロペンテ
ノレートアニオンに化合物(I)をカップリングさせる
ことにより化合物(II)を得る。本工程では2−アルコ
キシカルボニルシクロペンテノレートアニオンが途中で
得られるが、これを特に単離することなく引き続き化合
物(I)と反応させることができる。2−アルコキシカ
ルボニルシクロペンテノレートアニオン、そのエステル
または対応する酸等を単離しないので、反応操作が簡便
であるとともに、単離する場合と比較して収率も向上す
る。このように、2−アルコキシカルボニルシクロペン
テノレートアニオンを特に単離することなく化合物
(I)と反応させることが肝要である。単離さえ行わな
ければ、簡単な精製等を行うことは差し支えない。な
お、塩基であるアルコキシド M(OR) とアジピン酸
ジエステルとの反応において、過剰の塩基が存在しない
ようにすれば、塩基が化合物(I)と副反応を起こす懸
念はない。
【0008】アジピン酸ジエステルとしては、アジピン
酸ジアルキルエステルが好ましく、上記エステルのアル
キル基として具体的には、Me(メチル)、Et(エチ
ル)、n−Pr(プロピル)、iso−Pr、n−Bu(ブチ
ル)、iso−Bu、sec−Buまたはtert−Bu等の炭素数
4以下のアルキル基が例示される。アジピン酸ジアルキ
ルエステルの有する二つのアルキル基は同一でも異なっ
てもよい。好ましくは、同一のアルキル基としてMe、
Et、n−Prまたはiso−Pr等を有するものであり、さ
らに好ましくは、アジピン酸ジメチルやアジピン酸ジエ
チルである。
【0009】アルコキシドM(OR)は、市販されてい
る一般的なものを使用することができる。アルカリ金属
またはアルカリ土類金属Mは、具体的にはナトリウム、
カリウム、リチウム、カルシウムまたはマグネシウムで
ある。Rとしては、Me、Et、n−Pr、iso−Pr、n
−Bu、iso−Bu、sec−Bu、tert−Bu、1−ペンチ
ル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、tert
−アミル等の炭素数5以下のアルキル基が例示される。
nはMの原子価に相当する数であって、n個の(OR)
は同一でも異なってもよい。好ましくは同一のアルコキ
シ基を有するものであり、RはMe、Et、n−Prまた
はiso−Pr等のアルキル基である。
【0010】上記アルコキシドの具体例としては、リチ
ウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメト
キシド、カルシウムメトキシドおよびマグネシウムメト
キシド;リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、
カリウムエトキシド、カルシウムエトキシドおよびマグ
ネシウムエトキシド;リチウムn-プロポキシド、ナト
リウムn-プロポキシド、カリウムn-プロポキシド、カ
ルシウムn-プロポキシドおよびマグネシウムn-プロポ
キシド;リチウムiso-プロポキシド、ナトリウムiso-プ
ロポキシド、カリウムiso-プロポキシド、カルシウムis
o-プロポ キシドおよびマグネシウムiso-プロポキシ
ド;リチウムn-ブトキシド、ナトリウムn-ブトキシ
ド、カリウムn-ブトキシド、カルシウムn-ブトキシド
およびマグネシウムn-ブトキシド;リチウムiso-ブト
キシド、ナトリウムiso-ブトキシド、カリウムiso-ブト
キシド、カルシウムiso-ブトキシドおよびマグネシウム
iso-ブトキシド;リチウムsec-ブトキシド、ナトリウム
sec-ブトキシド、カリウムsec-ブトキシド、カルシウム
sec-ブトキシドおよびマグネシウムsec-ブトキシド;リ
チウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、
カリウムtert-ブトキシド、カルシウムtert-ブトキシド
およびマグネシウムtert-ブトキシド;リチウム1-ペン
トキシド、ナトリウム1-ペントキシド、カリウム1-ペ
ントキシド、カルシウム1-ペントキシドおよびマグネ
シウム1-ペントキシド;リチウム2-ペントキシド、ナ
トリウム2-ペントキシド、カリウム2-ペントキシド、
カルシウム2-ペントキシド、およびマグネシウム2-ペ
ントキシド;リチウム3-ペントキシド、ナトリウム3-
ペントキシド、カリウム3-ペントキシド、カルシウム
3-ペントキシドおよびマグネシウム3-ペントキシド;
リチウムtert-アミロキシド、ナトリウムtert-アミロキ
シド、カリウムtert-アミロキシド、カルシウムtert-ア
ミロキシドおよびマグネシウムtert-アミロキシド;リ
チウムネオペントキシド、ナトリウムネオペントキシ
ド、カリウムネオペントキシド、カルシウムネオペント
キシドおよびマグネシウムネオペントキシドなどが挙げ
られる。特に好適なものは、リチウムメトキシド、ナト
リウムメトキシドおよびカリウムメトキシド、ならびに
リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシドおよびカリ
ウムエトキシドである。
【0011】化合物(I)の2−(ハロメチルフェニル)
プロピオン酸もしくはそのエステルとしては、2−(フ
ルオロメチルフェニル)プロピオン酸もしくはそのエス
テル、2−(クロロメチルフェニル)プロピオン酸もしく
はそのエステル、2−(ブロモメチルフェニル)プロピオ
ン酸もしくはそのエステル、2−(ヨードメチルフェニ
ル)プロピオン酸もしくはそのエステルが用いられ、好
ましくは2−(クロロメチルフェニル)プロピオン酸、2
−(クロロメチルフェニル)プロピオン酸メチル、2−
(クロロメチルフェニル)プロピオン酸エチル、2−(ブ
ロモメチルフェニル)プロピオン酸、2−(ブロモメチル
フェニル)プロピオン酸メチル、2−(ブロモメチルフェ
ニル)プロピオン酸エチル、さらに好ましくは2−(クロ
ロメチルフェニル)プロピオン酸メチル、2−(クロロメ
チルフェニル)プロピオン酸エチル、2−(ブロモメチル
フェニル)プロピオン酸メチル、2−(ブロモメチルフェ
ニル)プロピオン酸エチルである。特に好ましいものは
2−(p−クロロメチルフェニル)プロピオン酸メチル、
2−(p−クロロメチルフェニル)プロピオン酸エチル、
2−(p−ブロモメチルフェニル)プロピオン酸メチル、
2−(p−ブロモメチルフェニル)プロピオン酸エチルで
ある。これらの酸およびエステル、特に酸は市販品とし
て安価に入手することができる。2−(ハロメチルフェ
ニル)プロピオン酸は、低級アルコールを用いて酸触媒
により反応させると、容易に2−(ハロメチルフェニル)
プロピオン酸エステルに変換させることができるので、
この反応の粗生成物をカップリングに用いることも有効
である。
【0012】本工程においては、好ましくは反応溶媒を
用いる。初めの縮合反応ではアルコールが1当量副生す
るが、これを反応系から連続的または間欠的に除去する
ことにより反応が進行し、2−アルコキシカルボニルシ
クロペンテノレートアニオンが生成する。そのため、生
じたアルコールを選択的に除去する操作が反応促進上不
可欠である。除去操作としては、常圧または減圧下にお
いて加熱により留去する方法が簡便である。従って、反
応溶媒を用いる場合には、溶媒の沸点が生成するアルコ
ールの沸点と同等またはそれ以上であることが必要であ
る。
【0013】例えば、アジピン酸ジエステルとしてアジ
ピン酸ジメチルを用いる場合には、メタノールの沸点
(約65℃)以上の沸点を有する溶媒を用いる。このよ
うな溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、アセ
トニトリル等の含窒素化合物系溶剤;テトラヒドロフラ
ン等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶
剤;オクタン、ノナン、デカン、イソドデカン等の脂肪
族炭化水素系溶剤などまたはこれらの混合溶媒が例示さ
れる。これらの中でもトルエン、ベンゼンが好ましく、
さらにトルエンが好ましい。アジピン酸ジメチル以外の
アジピン酸ジエステルを用いる場合には、上記に準じた
溶媒を用いることができる。反応溶媒の量としては、ア
ジピン酸ジエステル1モルに対し、500〜5,000
mlを使用することができる。好ましくは800〜3,
000mlであり、特に1,000〜2,000mlが好
ましい。
【0014】前記 M(OR) とアジピン酸ジエステル
とを、好ましくは溶媒中において、0〜300℃、好ま
しくは10〜250℃、さらに好ましくは20〜200
℃の温度範囲で、24時間以内、好ましくは6時間以
内、さらに好ましくは1時間以内に反応させる。反応の
間、常圧下または減圧下において、生成するアルコール
を留去する。アルコールを完全に除去するためには、反
応溶媒も一部除去することが好ましい。反応溶媒を留去
する場合には、新たに溶媒を追加することができる。ア
ジピン酸エステルと反応させる場合のアルコキシドは、
固体またはアルコール溶液として使用することができ
る。
【0015】アルコキシドの使用量は、アジピン酸ジエ
ステル1モルに対し、0.1〜10当量である。ここ
で、Mがアルカリ金属である場合には、アルコキシド1
モルは1当量に相当し、Mがアルカリ土類金属である場
合には、アルコキシド1モルは2当量に相当する。好ま
しくはアジピン酸ジエステル1モルあたり0.5〜2当
量のアルコキシドを使用し、特に反応時のアルコキシド
の有効量が0.7〜1当量であることが好ましい。
【0016】反応終了後にアルコールが残留する場合に
は、その後さらに留去することができる。上記アジピン
酸ジエステルの反応により前記2−アルコキシカルボニ
ルシクロペンテノレートアニオンが得られるが、これを
特に単離することなく、引き続き化合物(I)とカップ
リング反応を行わせる。この際、副生するアルコール
は、前記のように反応促進の観点から留去するが、反応
終了後の反応混合物中から副生アルコールを完全に除去
する必要はなく、一定量の副生アルコールを含む反応混
合物であっても、そのまま次のカップリング反応に供す
ることができる。また、未反応物等を含む反応終了後の
反応混合物も、引き続きカップリング反応に供すること
ができる。
【0017】すなわち、得られた反応混合物に化合物
(I)を加えてカップリング反応を行うが、化合物(I)
の量は、先に添加したアジピン酸ジエステル1モルに対
して0.1〜20当量、好ましくは0.5〜2当量、さら
に好ましくは0.7〜1.5当量である。反応温度は、0
〜150℃、好ましくは20〜150℃、さらに好まし
くは室温から80℃までの範囲である。反応時間は、2
4時間以下、好ましくは0.1〜20時間、さらに好ま
しくは1〜10時間である。
【0018】カップリング反応は反応溶剤を使用せずに
行うことができるが、溶剤を用いることもできる。この
ような反応溶媒としては、前記と同様に、例えばジメチ
ルホルムアミド、アセトニトリル等の含窒素化合物系溶
剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、アセタール系溶
剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;オクタン、ノナ
ン、デカン、イソドデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤な
ど、またはこれらの混合溶媒が例示される。これらの中
でもケトン系溶剤が好ましく、さらにアセトンが好まし
い。溶媒使用量は、先に投入したアジピン酸ジエステル
1モルに対して、例えば、500〜5,000mlを使
用することができる。好ましくは800〜3,000m
lであり、特に1,000〜2,000mlが好ましい。
【0019】反応後は、残存する塩基を酸で中和した
後、抽出および水洗を行い、抽出溶媒を除去する。水に
易溶性の反応溶媒を用いた場合には、減圧下で反応溶媒
を除去した後に抽出溶媒を加え、抽出および水洗を行
い、抽出溶媒を除去する。抽出後に残存する抽出溶媒
は、次の工程に影響を及ぼさない限り必ずしも全て除去
する必要はない。
【0020】上記の方法により化合物(I)を得ること
ができ、これを次の工程(2)に用いる。なお、蒸留そ
の他の方法によりさらに精製した後に工程(2)に供す
ることもできるが、特に精製を行う必要はない。なお得
られた生成物中には下記一般式〔IV〕
【化11】 (式中、R′は水素原子または炭素数4以下のアルキル
基を示す。)で表わされる化合物などが微量に生成する
こともあるが、最終的には目的の化合物(III)になる
ので、混入していても差し支えない。
【0021】工程(2):[脱炭酸・加水分解] 本工程においては、常法に従い、硫酸、塩酸等の酸を用
いて加水分解および脱炭酸を行う。そのほか、前記工程
(1)で得た化合物(II)を、水および酸と共に溶媒の
存在下で加熱し、脱炭酸と加水分解を段階的に進行させ
て化合物(III)を得ることもできる。本工程の脱炭酸
・加水分解は、化合物(II)が2つのエステル基を有す
る場合でも両者を同時に処理の対象とすることができる
ので有利である。すなわち、工程(1)のカップリング
反応の前に、化合物(I)の有するエステル基を脱炭酸
・加水分解することも可能であるが、本工程において脱
炭酸・加水分解することにより、化合物(II)のように
2つのエステル基を有する場合においても両者を同時に
処理の対象とすることができる。
【0022】酸としては、一般に市販されている鉱酸を
用いることができる。具体例としては、塩酸、臭化水素
酸、硫酸、硝酸などが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。酸の使用量としては、化合物(II)に
対して、質量比で20倍以下、好ましくは0.001〜
10倍、さらに好ましくは0.001〜5倍である。
【0023】溶媒としては、親水性有機溶媒が好まし
い。親水性有機溶媒の存在下で反応を行うと、反応時間
を短縮することが可能であるため有利である。親水性有
機溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、酢酸な
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特に酢酸が好ましい。親水性有機溶媒は、化合物(II)
に対して、質量比で20倍以下、好ましくは0.5〜1
0倍、さらに好ましくは1〜5倍使用する。
【0024】このように酸、溶媒および化合物(II)を
反応容器に仕込み、室温から150℃、好ましくは50
℃から120℃、さらに好ましくは90℃から110℃
において、1〜100時間、好ましくは2〜24時間、
さらに好ましくは6〜12時間撹拌を行う。加熱撹拌中
に、ディーン−シュタルク装置などを用いて副生するア
ルコールを系外へ除去することにより、反応時間を短縮
することができる。反応後、トルエンなどの親油性有機
溶媒を用いて抽出し、溶媒を除去することにより未精製
の化合物(III)が得られる。さらにエーテルなどの良
溶媒とヘキサンなどの貧溶媒を用いて再結晶することに
より、高純度の化合物(III)を得ることができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。 <実施例> 工程(1) 300mlの反応器に、トルエン65ml、ナトリウム
メトキシド(純度95%)2.2g(0.039mo
l)、およびアジピン酸ジメチル(純度99%)8.0
g(0.046mol)を仕込み、撹拌しながら加熱し
た後、減圧下で溶媒を除去した。次いでアセトン50m
lを加え、2−(ブロモメチルフェニル)プロピオン酸メ
チル(純度92.7%;2−(ブロモメチルフェニル)プ
ロピオン酸(純度99.25%)9.09gより調製し
た)のトルエン溶液30mlを室温で加えて、4時間加
熱還流を行った。減圧下でアセトンを留去し、トルエン
50ml、水30mlおよび濃塩酸1mlを加えて分液
抽出し、有機層を水30mlで二回洗浄した後、ろ過を
行った。減圧下でトルエンを除去することにより、粗精
製品として淡黄色の化合物(II)(R′=R″=Me)
12.9gを得た。
【0026】工程(2) 工程(1)で得た化合物(II)(R′=R″=Me)1
2.9gに酢酸12ml/25%硫酸水18mlを加
え、5時間還流を行った。常圧で溶媒留去を行い、途中
において33%酢酸水溶液9mlを加えた。溶媒を計1
9ml留去した後、トルエン50mlと水30mlを用
いて分液抽出し、有機層を水50mlで洗浄した。溶媒
を減圧留去することにより、黄色オイル状の粗ロキソプ
ロフェン8.16gを得た。得られた粗ロキソプロフェ
ンを、酢酸エチル10ml/ヘキサン10ml混合溶剤
に溶解し、0℃で再結晶を行ったところ、白色結晶状の
ロキソプロフェン4.92gを得た。その液体クロマト
グラフィーによる純度は99%であった。得られたロキ
ソプロフェンのNMRによるデータおよび液体クロマト
グラフィーのリテンションタイムは標品のそれと完全に
一致した。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、安価な出発原料から効
率よくロキソプロフェンを得る工業的な製造方法を提供
することができる。すなわち、アジピン酸ジエステルを
原料とすることにより、従来法よりも効率的に2−置換
プロピオン酸を製造することが可能になる。さらに本発
明の方法によれば、2−(p−ハロメチルフェニル)プロ
ピオン酸エステルと塩基との副反応を生ずる懸念がな
く、収率も向上する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アジピン酸ジエステルを、下記式で表さ
    れるアルコキシド M(OR) (式中Rは炭素数5以下のアルキル基を、Mはアルカリ
    金属またはアルカリ土類金属を、nはMの原子価に相当
    する数をそれぞれ示す。またn個の(OR)は同一でも
    異なってもよい。)と反応させた後、引き続き下記一般
    式〔I〕 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子、R′は水素原子または炭素
    数4以下のアルキル基を示す。)で表わされる化合物
    (以下、「化合物(I)」という)とカップリングさせ
    ることにより、下記一般式〔II〕 【化2】 (式中、R′は水素原子または炭素数4以下のアルキル
    基を、R″は炭素数4以下のアルキル基を示す。)で表
    わされる化合物(以下、「化合物(II)」という)を得
    ることを特徴とする化合物(II)の製造方法。
  2. 【請求項2】 下記工程(1)および(2)からなるこ
    とを特徴とする下記一般式〔III〕 【化3】 で表わされる2−置換プロピオン酸(以下、「化合物
    (III)」という)の製造方法、 工程(1):アジピン酸ジエステルを、下記式で表され
    るアルコキシド M(OR) (式中Rは炭素数5以下のアルキル基を、Mはアルカリ
    金属またはアルカリ土類金属を、nはMの原子価に相当
    する数をそれぞれ示す。またn個の(OR)は同一でも
    異なってもよい。)と反応させた後、引き続き下記一般
    式〔I〕 【化4】 (式中、Xはハロゲン原子、R′は水素原子または炭素
    数4以下のアルキル基を示す。)で表わされる化合物
    (以下、「化合物(I)」という)とカップリングさせ
    ることにより、下記一般式〔II〕 【化5】 (式中、R′は水素原子または炭素数4以下のアルキル
    基を、R″は炭素数4以下のアルキル基を示す。)で表
    わされる化合物(以下、「化合物(II)」という)を得
    る工程、 工程(2):上記化合物(II)を、脱炭酸・加水分解す
    ることにより化合物(III)を得る工程。
  3. 【請求項3】 前記アジピン酸ジエステルが、アジピン
    酸ジメチルまたはアジピン酸ジエチルである請求項1ま
    たは2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記一般式〔I〕のハロゲン原子Xが塩
    素または臭素である請求項1から3のいずれかに記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記一般式〔I〕のR′が水素原子また
    はメチル基もしくはエチル基である請求項1から4のい
    ずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アルコキシド M(OR) が、ナト
    リウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドである請
    求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記アジピン酸ジエステル1モルに対す
    る反応時の前記アルコキシド M(OR) の有効量が
    0.7〜1当量である請求項1から6のいずれかに記載
    の製造方法。
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