JP2004035452A - 脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを還元して脂環式モノオレフィンメタノールを製造する際に、反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率よく分離除去する。
【解決手段】脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを、水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドを用いて還元し、得られた反応終了混合液を濃度20〜60重量%程度の硫酸水溶液を用いて中和し、アルミニウムを分離除去することによって脂環式モノオレフィンメタノールを製造する。
【選択図面】なし
【解決手段】脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを、水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドを用いて還元し、得られた反応終了混合液を濃度20〜60重量%程度の硫酸水溶液を用いて中和し、アルミニウムを分離除去することによって脂環式モノオレフィンメタノールを製造する。
【選択図面】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法に関する。
さらに詳細には、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを原料として、これを還元して得られる脂環式モノオレフィンメタノールを含有する反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率よく分離・除去することができる脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脂環式モノオレフィンメタノールは、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを原料として、これをアルミニウム化合物で還元し、次いで酸又はアルカリにて還元剤中のアルミニウムを分離・除去する製造方法は知られている。例えば、特開2000―281613号公報には脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを有機溶媒中、水素化アルミニウム化合物で還元し、反応終了後16%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アルミニウムを水層に分離・除去する方法が開示されている。また、特開昭60−126238号公報には、ノルボルナジエン−2−カルボン酸エステルを有機溶媒中、水素化アルミニウム化合物で還元し、反応終了後10%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アルミニウムを水層に分離・除去する方法が開示されている。
【0003】
また、芳香族カルボン酸又はそのエステルをアルミニウム化合物で還元し、対応するメタノールとする製造方法において、還元剤中のアルミニウムを分離・除去する方法として、特開平4−234829号公報には、1−フェニルシクロプロパンカルボン酸を有機溶媒中、水素化アルミニウムリチウムにより還元し、反応終了後、アルミニウムを塩酸水に溶解し、分離・除去する方法が開示されている。
しかしながら、上記の還元剤中のアルミニウムを希アルカリ又は希酸で水洗除去する方法は、還元反応における中和・精製工程の容積効率が低く、また多量のアルミ含有廃水が生ずるという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを還元して脂環式モノオレフィンメタノールを製造する方法において、反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率良く分離・除去することができる脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、出発原料に用いる脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルは、下記一般式1で示されるものであり、式中、Rは水素原子、アルキル基又は芳香族基を表し、nは0〜2の整数を示す。
【化3】
一般式1
【0006】
上記一般式(1)において、Rの具体例として、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、置換又は非置換のシクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また、芳香族基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基等を挙げることができる。
【0007】
従って、具体的化合物としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸シクロヘキサン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸フェニル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸エチル、ヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセンー4−カルボン酸又はヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセン−4−カルボン酸メチル等が挙げられる。
【0008】
また、生成物の脂環式モノオレフィンメタノールは、下記一般式2で示される(式中、nは一般式1のそれと同じである)。
【化4】
一般式2
【0009】
従って、本発明で得られる生成物の具体的化合物としては、5−ノルボルネン−2−メタノール、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール、ヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセン−4−メタノールが挙げられる。
【0010】
本発明の製造法において、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルの水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドによる還元反応は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルと水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドを、好ましくは有機溶媒中、常圧又は加圧下に、通常、温度0〜100℃の範囲、好ましくは20〜60℃の範囲において、通常1〜5時間程度行う。反応に際し、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステル1モルに対する水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドのモル比は、通常、1.0〜2.0モル、好ましくは脂環式モノオレフィンカルボン酸の場合は1.6〜1.8モル、また、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルの場合は1.1〜1.3モルの割合で用いる。
【0011】
本発明の製造方法において、還元剤である、水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドとしては、具体的には、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
上記還元剤は、通常、熱的に安定であり、芳香族等の有機溶媒に溶解し得るものである。
【0012】
上記還元反応に際しては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル等のエーテルが好ましく用いられる。このような有機溶媒は、原料である脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステル100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で用いられる。
上記反応終了後、得られた反応終了混合液に対して濃度20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%の硫酸水溶液を加えて中和し、還元剤中のアルミニウムを水酸化アルミニウムと硫酸ナトリウム(Na2SO4)の水和物混合物として分離除去した後、目的物を含む濾液を蒸留分別して、脂環式モノオレフィンメタノールを得る。
【0013】
上記中和・精製の工程は、例えば、反応終了混合液に、温度20〜60℃において、20〜60重量%の硫酸水溶液を、PH7程度とする中和に必要な量を、撹拌下に滴下し、必要に応じて、脱水濃縮及び/又は冷却した後、アルミニウムを含んだ固形物を濾過等により分離する。
【0014】
一方、目的物である脂環式モノオレフィンメタノールを含む油層は、必要に応じてさらも水洗を行い、有機溶剤を蒸留等により分離して、通常、純度90%以上の高純度の脂環式モノオレフィンメタノールを得る。
本発明の製造法においては、液状で安定性の良い還元剤を用い、高い濃度の硫酸を中和に必要な量だけ用いるので、使用する水溶液の量が大幅に節減できる。反応は、バッチ式、連続式のいずれによっても行うことができる。バッチ式の場合は、例えば、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、及び必要に応じて、有機溶媒を反応容器に仕込み、大気圧下に、加温し、これに脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを滴下、撹拌し、反応することにより行う。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を説明する。
【実施例1】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール
の製造;
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた20L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液3744g(12.96モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。ついで、上記フラスコ中に、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸1550.8g(7.6モル)をトルエン3887gに溶解した溶液を撹拌下に、滴下開始時温度20℃、終了時温度50℃の範囲で2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、放冷しながら、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応液に水235gを加えて、次いで、撹拌下に、30重量%硫酸水溶液2075gを滴下し、PH7程度に中和した。得られたスラリー状の混合液を遠心分離器にかけて固形物(水酸化アルミとNa2SO4の水和物)を濾別し、得られた濾液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に、再度、水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度99.3%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール1356gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸に対する収率は94%、アルミ含有固形物(廃棄物)は、使用した還元剤に対して90重量%、目的物の容積率は10%であった。
【0016】
【実施例2】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール
の製造:
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた1L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液173.4g(0.6モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。次いで、上記フラスコ中に、純度90%のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチル121.1g(0.5モル)をトルエン121gに溶解した溶液を撹拌下に、温度約40℃で、1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応液に水43gを加えて、撹拌下に、30重量%硫酸水溶液102gを滴下し、PH7程度に中和した。ディーンスタークを用いて中和液を蒸留して、留出液中の水層115gを除去した後、冷却して、得られたスラリー状の混合液を遠心分離器にかけて固形物(水酸化アルミニウムとNa2SO4の水和物)を濾別し、得られた濾液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に再度水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度87.1%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール98.2gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチルに対する収率は90%、アルミ含有固形物(廃棄物)は使用した還元剤に対して72重量%、目的物の容積率は15.8%であった。
【0017】
【比較例】
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた5L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液441.9g(1.53モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。次いで、上記フラスコ中に、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸183.6g(0.9モル)をトルエン520gに溶解した溶液を撹拌下に、温度約30℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応終了混合液に水83gを加えて、次いで、撹拌下に、17.5重量%塩酸水溶液1436gを滴下し、アルミニウムを溶解した。
【0018】
得られた混合液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に再度水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度99.2%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール159.8gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチルに対する収率は93.5%、アルミは水に溶解しており、アルミニウム含有水(廃棄物)は使用した還元剤に対し420重量%、目的物の容積率は5.5%であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを還元して脂環式モノオレフィンメタノールの製造の際に、反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率よく分離・除去することができる利点がある。すなわち、例えば、反応終了混合液に対して、20〜60重量%程度の硫酸水溶液を用いて、撹拌下に滴下し、必要に応じて、脱水濃縮及び/又は冷却した後、アルミニウムを含んだ固形物と目的物である脂環式モノオレフィンメタノールを含む油層を濾過等の方法で容易に分離することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法に関する。
さらに詳細には、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを原料として、これを還元して得られる脂環式モノオレフィンメタノールを含有する反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率よく分離・除去することができる脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脂環式モノオレフィンメタノールは、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを原料として、これをアルミニウム化合物で還元し、次いで酸又はアルカリにて還元剤中のアルミニウムを分離・除去する製造方法は知られている。例えば、特開2000―281613号公報には脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを有機溶媒中、水素化アルミニウム化合物で還元し、反応終了後16%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アルミニウムを水層に分離・除去する方法が開示されている。また、特開昭60−126238号公報には、ノルボルナジエン−2−カルボン酸エステルを有機溶媒中、水素化アルミニウム化合物で還元し、反応終了後10%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アルミニウムを水層に分離・除去する方法が開示されている。
【0003】
また、芳香族カルボン酸又はそのエステルをアルミニウム化合物で還元し、対応するメタノールとする製造方法において、還元剤中のアルミニウムを分離・除去する方法として、特開平4−234829号公報には、1−フェニルシクロプロパンカルボン酸を有機溶媒中、水素化アルミニウムリチウムにより還元し、反応終了後、アルミニウムを塩酸水に溶解し、分離・除去する方法が開示されている。
しかしながら、上記の還元剤中のアルミニウムを希アルカリ又は希酸で水洗除去する方法は、還元反応における中和・精製工程の容積効率が低く、また多量のアルミ含有廃水が生ずるという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを還元して脂環式モノオレフィンメタノールを製造する方法において、反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率良く分離・除去することができる脂環式モノオレフィンメタノールの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、出発原料に用いる脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルは、下記一般式1で示されるものであり、式中、Rは水素原子、アルキル基又は芳香族基を表し、nは0〜2の整数を示す。
【化3】
一般式1
【0006】
上記一般式(1)において、Rの具体例として、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、置換又は非置換のシクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また、芳香族基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基等を挙げることができる。
【0007】
従って、具体的化合物としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸シクロヘキサン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸フェニル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸エチル、ヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセンー4−カルボン酸又はヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセン−4−カルボン酸メチル等が挙げられる。
【0008】
また、生成物の脂環式モノオレフィンメタノールは、下記一般式2で示される(式中、nは一般式1のそれと同じである)。
【化4】
一般式2
【0009】
従って、本発明で得られる生成物の具体的化合物としては、5−ノルボルネン−2−メタノール、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール、ヘキサシクロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14.]−11−ヘプタデセン−4−メタノールが挙げられる。
【0010】
本発明の製造法において、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルの水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドによる還元反応は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルと水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドを、好ましくは有機溶媒中、常圧又は加圧下に、通常、温度0〜100℃の範囲、好ましくは20〜60℃の範囲において、通常1〜5時間程度行う。反応に際し、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステル1モルに対する水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドのモル比は、通常、1.0〜2.0モル、好ましくは脂環式モノオレフィンカルボン酸の場合は1.6〜1.8モル、また、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルの場合は1.1〜1.3モルの割合で用いる。
【0011】
本発明の製造方法において、還元剤である、水素化ナトリウム・アルミニウムアルコキシドとしては、具体的には、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
上記還元剤は、通常、熱的に安定であり、芳香族等の有機溶媒に溶解し得るものである。
【0012】
上記還元反応に際しては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル等のエーテルが好ましく用いられる。このような有機溶媒は、原料である脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステル100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で用いられる。
上記反応終了後、得られた反応終了混合液に対して濃度20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%の硫酸水溶液を加えて中和し、還元剤中のアルミニウムを水酸化アルミニウムと硫酸ナトリウム(Na2SO4)の水和物混合物として分離除去した後、目的物を含む濾液を蒸留分別して、脂環式モノオレフィンメタノールを得る。
【0013】
上記中和・精製の工程は、例えば、反応終了混合液に、温度20〜60℃において、20〜60重量%の硫酸水溶液を、PH7程度とする中和に必要な量を、撹拌下に滴下し、必要に応じて、脱水濃縮及び/又は冷却した後、アルミニウムを含んだ固形物を濾過等により分離する。
【0014】
一方、目的物である脂環式モノオレフィンメタノールを含む油層は、必要に応じてさらも水洗を行い、有機溶剤を蒸留等により分離して、通常、純度90%以上の高純度の脂環式モノオレフィンメタノールを得る。
本発明の製造法においては、液状で安定性の良い還元剤を用い、高い濃度の硫酸を中和に必要な量だけ用いるので、使用する水溶液の量が大幅に節減できる。反応は、バッチ式、連続式のいずれによっても行うことができる。バッチ式の場合は、例えば、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、及び必要に応じて、有機溶媒を反応容器に仕込み、大気圧下に、加温し、これに脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを滴下、撹拌し、反応することにより行う。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を説明する。
【実施例1】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール
の製造;
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた20L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液3744g(12.96モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。ついで、上記フラスコ中に、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸1550.8g(7.6モル)をトルエン3887gに溶解した溶液を撹拌下に、滴下開始時温度20℃、終了時温度50℃の範囲で2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、放冷しながら、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応液に水235gを加えて、次いで、撹拌下に、30重量%硫酸水溶液2075gを滴下し、PH7程度に中和した。得られたスラリー状の混合液を遠心分離器にかけて固形物(水酸化アルミとNa2SO4の水和物)を濾別し、得られた濾液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に、再度、水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度99.3%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール1356gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸に対する収率は94%、アルミ含有固形物(廃棄物)は、使用した還元剤に対して90重量%、目的物の容積率は10%であった。
【0016】
【実施例2】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール
の製造:
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた1L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液173.4g(0.6モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。次いで、上記フラスコ中に、純度90%のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチル121.1g(0.5モル)をトルエン121gに溶解した溶液を撹拌下に、温度約40℃で、1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応液に水43gを加えて、撹拌下に、30重量%硫酸水溶液102gを滴下し、PH7程度に中和した。ディーンスタークを用いて中和液を蒸留して、留出液中の水層115gを除去した後、冷却して、得られたスラリー状の混合液を遠心分離器にかけて固形物(水酸化アルミニウムとNa2SO4の水和物)を濾別し、得られた濾液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に再度水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度87.1%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール98.2gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチルに対する収率は90%、アルミ含有固形物(廃棄物)は使用した還元剤に対して72重量%、目的物の容積率は15.8%であった。
【0017】
【比較例】
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び撹拌機を備えた5L容量の4つ口フラスコに、還元剤である水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液441.9g(1.53モル)を仕込み、反応容器を窒素置換した。次いで、上記フラスコ中に、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸183.6g(0.9モル)をトルエン520gに溶解した溶液を撹拌下に、温度約30℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で、さらに、3時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、得られた反応終了混合液に水83gを加えて、次いで、撹拌下に、17.5重量%塩酸水溶液1436gを滴下し、アルミニウムを溶解した。
【0018】
得られた混合液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得た。
この油層に再度水を加えて、水層を分液除去した後、得られた油層を減圧蒸留し、留出物として、液状の純度99.2%(ガスクロマトグラフィー分析法)のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−メタノール159.8gを得た。テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−8−ドデセン−3−カルボン酸メチルに対する収率は93.5%、アルミは水に溶解しており、アルミニウム含有水(廃棄物)は使用した還元剤に対し420重量%、目的物の容積率は5.5%であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、脂環式モノオレフィンカルボン酸又はそのエステルを還元して脂環式モノオレフィンメタノールの製造の際に、反応終了混合液から、還元剤中のアルミニウムを効率よく分離・除去することができる利点がある。すなわち、例えば、反応終了混合液に対して、20〜60重量%程度の硫酸水溶液を用いて、撹拌下に滴下し、必要に応じて、脱水濃縮及び/又は冷却した後、アルミニウムを含んだ固形物と目的物である脂環式モノオレフィンメタノールを含む油層を濾過等の方法で容易に分離することができる。
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