JP2002003208A - 水素ガスの精製方法 - Google Patents

水素ガスの精製方法

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JP2002003208A JP2001121033A JP2001121033A JP2002003208A JP 2002003208 A JP2002003208 A JP 2002003208A JP 2001121033 A JP2001121033 A JP 2001121033A JP 2001121033 A JP2001121033 A JP 2001121033A JP 2002003208 A JP2002003208 A JP 2002003208A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素含有ガスの一酸化炭素、窒素、メタン等の
不純物を吸着分離する性能に優れた高純度のバインダレ
ス化された低シリカX型ゼオライトを使用して、水素含
有ガスから不純物を吸着分離する方法を提供する。 【解決手段】水素を含む混合ガスをゼオライト吸着剤と
接触させて水素ガスを精製する方法において、前記ゼオ
ライト吸着剤はSiO2/Al2O3モル比が1.9〜
2.1の低シリカX型ゼオライトで、低シリカX型ゼオ
ライトの含有率が95%以上である低シリカX型ゼオラ
イト成形体であり、好ましくリチウムで90%以上イオ
ン交換されていることを特徴とする水素ガスの精製方法
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素を含む混合ガ
ス流から不純物を吸着除去し、水素を精製する方法に関
する。更に詳しくは、ナフサ等の水蒸気改質ガス、コー
クス炉オフガス、転炉オフガス等から発生するH2含有
ガスから、一酸化炭素、窒素、炭化水素類などを吸着除
去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素、窒素、炭化水素類などは、
ナフサ等の水蒸気改質ガス、コークス炉オフガス、転炉
オフガス等がら生成する水素含有ガス中に含まれ、99
%以上の高純度水素を回収する場合には吸着除去するこ
とが必要である。
【0003】一酸化炭素、窒素、炭化水素類、二酸化炭
素、水蒸気等などの分離方法としては、現在では吸着剤
を用いた吸着法が主流である。吸着剤としては、活性
炭、ゼオライトが使用される。
【0004】水素含有ガスからの水素の精製は圧力スイ
ング法(PSA法)により主に行われる。一段のPSA
操作で一酸化炭素、窒素、炭化水素類、二酸化炭素、水
蒸気等を除去し、水素を精製する方法も行われるが、水
素の純度向上のためには、通常、予め活性炭等により二
酸化炭素、水蒸気、炭化水素類などを吸着除去した後、
ゼオライトにより一酸化炭素、窒素、未吸着の炭化水素
類などを吸着させ、H2を分離することが行われる。
【0005】これまでに使用されてきたゼオライト吸着
剤は、A型ゼオライト、或は、SiO2/Al2O3比
2.5以上のフォージャサイト型ゼオライトである。し
かし、H2−PSA法においても、装置のコンパクト化
また電力原単位の低減から、より一酸化炭素、窒素、あ
るいは炭化水素類吸着性能の高い吸着剤が求められてい
る。
【0006】特公平4−6642号公報では、カルシウ
ムイオンで50%以上交換されているSiO2/Al2
O3比2〜3のX型ゼオライトにより水素を回収する方
法が提案されている。米国特許5912422では、一
酸化炭素を吸着除去するために少なくとも80%までリ
チウムイオンで交換されたSi/Al比が1.5より小
さいX型ゼオライトを使用することが提案されている。
また特開平10−212103号公報には、少なくとも
85%がリチウムおよびカルシウムと組合されてイオン
交換されているSi/Al比が1〜3のX型ゼオライト
を使用することが提案されている。さらに特願平11−
331092号では、一酸化炭素の吸着分離方法として
SiO2/Al2O3比が2の低シリカX型ゼオライト
を用いることが提案されている。しかしここで用いられ
ているゼオライトは、吸着性能を有しないバインダーが
含まれているものであり、吸着剤本来の性能が得られて
いないものであった。またSi/Al比が1の低シリカ
X型ゼオライトであっても、結晶の純度が不十分であっ
た。
【0007】一般的にゼオライト吸着剤はバインダーを
混合し、任意の形状に成形されている。しかしバインダ
ーには吸着性能がないために、それに相当する量だけ吸
着性能を低下させていた。そのためバインダー成分をゼ
オライトへ転化するための方法が提案されている。特開
平5−163015号公報では、SiO2/Al2O3
モル比が2.5よりも低いX型ゼオライト粉末、メタカ
オリンに転化されたカオリン型粘土、水酸化ナトリウム
及び水酸化カリウムを含む成形体を、水酸化ナトリウム
と水酸化カリウムの水溶液中で40〜100℃の温度で
数時間〜数日間保持して熟成、結晶化する低シリカX型
ゼオライトバインダレス成形体の製造方法が記載されて
いる。特開平11−76810には、少なくとも95%
のSiO2/Al2O3モル比が2である低シリカX型
ゼオライト成形体について記載されている。
【0008】しかしその製造方法は、低シリカX型ゼオ
ライト粉末をゼオライトに変換可能なクレイを少なくと
も80%含むバインダーで凝集させ、得られた混合物を
成形し、乾燥後に500〜700℃の温度で焼成し、得
られた固体生成物を水酸化ナトリウムと水酸化カリウム
の溶液で、水酸化ナトリウム+水酸化カリウムの合計に
対して水酸化カリウムの最大含有率が30モル%である
少なくとも0.5モル濃度の苛性水溶液と接触させる方
法である。これらの方法で得られる低シリカX型ゼオラ
イトバインダレス成形体は、耐圧強度が非常に低く、ま
たA型ゼオライトの混入があり、化学分析による全体の
SiO2/Al2O3モル比が低シリカX型ゼオライト
の理論値である2.0よりも高く、成形体中の低シリカ
X型ゼオライト純度も不十分であることが問題となって
いた。
【0009】WO99/05063では少なくとも95
%がLSXで構成されるゼオライト体の製造方法につい
て記載されている。その製造方法では特開平11−76
810号公報と同様に0.5モル濃度の苛性溶液と接触
させる方法であり、この様な比較的濃度の低い苛性溶液
と接触させる方法で得られたLSXゼオライト体の耐圧
強度が低いことが問題であった。また得られたLSXゼ
オライト体は水素精製を行う際に吸着除去しなければな
らない一酸化炭素、窒素、メタンなどに関する吸着操作
が行われてなく、これらのガスの吸着に有効であるカチ
オン種も記載されてない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一酸
化炭素、窒素、炭化水素類、特にメタンの吸着性能の更
に優れる新規なゼオライト吸着剤を用いた水素ガスの精
製方法を提供するものである。
【0011】
【本発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課
題について鋭意検討した結果、水素を含む混合ガスをゼ
オライト吸着剤と接触させて水素ガスを精製する方法に
おいて、前記ゼオライト吸着剤はSiO2/Al2O3
モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトで、
低シリカX型ゼオライトの含有率が95%以上である低
シリカX型ゼオライト成形体を用い、好ましくはリチウ
ムで90%以上あるいはカルシウムで50%以上イオン
交換されている低シリカX型ゼオライト成形体を用いる
こと、さらには前記低シリカX型ゼオライト成形体が、
SiO2/Al2O3モル比が1.9〜2.1の低シリ
カX型ゼオライトとSiO2/Al2O3モル比が1.
9〜2.1のカオリン質粘土を用いて成形、焼成するこ
とにより低シリカX型ゼオライト含有成形体を得、前記
低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSiの溶解量
がAlの溶解量よりも多い苛性溶液と前記低シリカX型
ゼオライト含有成形体を接触させることにより、前記低
シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土を
低シリカX型ゼオライトに変質させることにより製造さ
れていることにより飛躍的に一酸化炭素、窒素、メタン
を除去する性能が向上でき、篩い分けにより粒子径を
1.4〜1.7mmに揃えた当該低シリカX型ゼオライ
ト成形体の平均耐圧強度が1.0kgf以上であること
を達成することができることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明で使用される吸着剤は、SiO2/
Al2O3モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオ
ライトであり、低シリカX型ゼオライトの含有率が95
%以上である低シリカX型ゼオライト成形体であり、好
ましくはリチウムで90%以上あるいはカルシウムで5
0%以上イオン交換されており、最も好ましくはリチウ
ムで95%以上あるいはカルシウムで90%以上イオン
交換されている吸着剤である。
【0014】従来から知られているように、ゼオライト
へのガスの吸着はゼオライトに存在するカチオンとガス
分子の相互作用により起こるため、このカチオン数が多
い方がより多くのガスを吸着することができる。ゼオラ
イト中のカチオン数はゼオライトの結晶骨格を形成する
Al数に依存し、Al数が多くなれば、すなわちSiO
2/Al2O3モル比が小さくなればカチオン数も増加
する。ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は2.
0が最小であることがLowenstein則により知
られている。低シリカX型ゼオライト結晶のSiO2
Al23モル比は理論的には2.0であるが、化学組成
分析の測定上の誤差等を考慮した場合、1.9〜2.1
の組成の低シリカX型ゼオライトが本発明の範囲に入る
ことは明らかである。SiO2/Al2O3モル比が
2.0のゼオライトとしては低シリカX型ゼオライト以
外にA型ゼオライトがある。しかしA型ゼオライトはそ
の細孔径が約4〜5Åと小さいのに対し、低シリカX型
ゼオライトのそれは約7〜8Åと大きくガス分離には有
利である。低シリカX型ゼオライト結晶を合成する方法
としては、種々の方法が開示されており、特開平11−
217212号公報、特開平10−310422号公
報、特開平11−343112号公報などに記載されて
いる方法で製造すればよい。
【0015】ゼオライト結晶の粉末は自己結合性がない
ため、工業的に吸着剤として使用する場合は種々のバイ
ンダーを添加してビーズ、ペレットなどの形状に成形さ
れる。通常、バインダーはガスを吸着する性質がないた
め、工業的に使用されている吸着剤の吸着性能は、ゼオ
ライト結晶粉末の吸着性能よりもバインダーを含有して
いる量だけ低下してしまう。成形されたゼオライト吸着
剤においても吸着性能を低下させないために、バインダ
ー成分はゼオライト結晶へ転化(バインダレス化)され
る。
【0016】高純度のバインダレス低シリカX型ゼオラ
イトは以下のようにして得ることができる。低シリカX
型ゼオライトの粉末としては、特開平11−21721
2号公報、特開平10−310422号公報、特開平1
1−343112号公報などに記載されている方法で製
造されたものを用いることができる。このゼオライト粉
末100重量部に対し、カオリン質粘土を10〜50重
量部、水分量を調節しながら均一に混練する。用いられ
るバインダーとしては低シリカX型ゼオライトへ転化で
きるカオリン質粘土が用いられる。カオリン質粘土の添
加部数が少な過ぎる場合は十分な成形体の強度が得られ
ず、多過ぎる場合は結晶化が十分進行せず、低シリカX
型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオ
ライト純度が低下する。混練物の調節すべき水分量は、
カオリン質粘土の添加部数およびその後の造粒方法によ
り異なる。また混練物の造粒性を高めるために、その後
の焼成、バインダレス化に著しい悪影響を及ぼさない範
囲で有機系、無機系の各種造粒助剤を添加してもよい。
得られた混練品は種々の造粒方法により造粒する。たと
えば、押出し造粒法によるペレット造粒、あるいは攪拌
造粒法や転動造粒法によるビーズ造粒が挙げられる。
【0017】得られた造粒物を乾燥後、500〜700
℃好ましくは600〜650℃で焼成して、低シリカX
型ゼオライト含有成形体を得る。焼成は添加したカオリ
ン質粘土のその後のバインダレス化による低シリカX型
ゼオライトへの変質を容易にするために必須である。焼
成によりカオリン質粘土は非晶質のメタカオリンに変化
し、低シリカX型ゼオライトへの変質が容易になる。乾
燥、焼成は通常の方法、例えば熱風乾燥機、マッフル
炉、ロータリーキルン、管状炉等を用いて実施すること
ができる。
【0018】本発明に用いる高純度の低シリカX型ゼオ
ライトは、以上のようにして得られた低シリカX型ゼオ
ライト含有成形体と、低シリカX型ゼオライト含有成形
体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶
液と接触させる、あるいは、予めAl分を添加した苛性
溶液と接触させることを特徴とする。例えば使用する苛
性溶液は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合溶液
が好ましい。水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合
割合は、K/(Na+K)=0.1〜0.4が好まし
い。0.1以下でも0.4以上でもバインダレス化が不
十分で、A型ゼオライト、ソーダライト、F型ゼオライ
トおよびE型ゼオライト等の不純物が生成しやすく、低
シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカ
X型ゼオライトの含有率が低下するため好ましくない。
【0019】低シリカX型ゼオライト含有成形体からの
Siの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶液とは、
例えばアルミネートの溶解度よりもシリケートの溶解度
の方が高い状態の苛性溶液である。溶液の溶解度は、溶
液の組成や濃度および温度によって異なるため、バイン
ダレス化の温度により、使用すべき苛性溶液の組成と濃
度が異なる。
【0020】バインダレス化の温度としては40℃以上
で実施でき、温度が高いほどバインダレス化の速度には
有利であるが、メタカオリンの低シリカX型ゼオライト
への変質は発熱反応であること、使用する装置材料の温
度限界や不純物の生成の抑制等を考慮すると70〜80
℃が好ましい。
【0021】この温度領域でかつ上記のような水酸化ナ
トリウムと水酸化カリウムの混合割合の場合、アルミネ
ートの溶解度よりもシリケートの溶解度の方が高い状態
の苛性溶液とは、約6モル/リットル以上であり、苛性
溶液の濃度が高ければ高いほどこの度合いは高まり、好
ましくは約8モル/リットル以上がその効果が著しくな
り、バインダレス化の速度には有利であるため好まし
い。苛性溶液の濃度が6モル/リットル付近の場合で
も、バインダレス化の処理時間が短い場合には、バイン
ダレス化の進行が不十分となり、苛性溶液の濃度が高く
なるほど短時間でバインダレス化が十分に進行するため
好ましい。したがって、バインダレス化に必要な時間と
しては、苛性溶液の濃度が6モル/リットル以上の場合
には、少なくとも10時間以上、8モル/リットル以上
の場合には、少なくとも5時間以上の接触時間が必要と
される。
【0022】また予めAl分を添加した苛性溶液とは、
例えば、アルミン酸ナトリウムのような水溶性AL分を
添加した苛性溶液や、低シリカX型ゼオライトやカオリ
ン質粘土その他固体のAl分を添加した苛性溶液であ
り、メタカオリンが低シリカX型ゼオライトに変質する
際に、積極的にAl分を取り込むような状態であれば、
固体その他Al分の形態については限定しない。また、
バインダレス化に一度以上使用した苛性溶液を再利用す
ることも好ましい。したがってこの様な予めAl分を添
加する場合は、予めAl分を添加しない場合に比較し
て、苛性溶液の濃度は低くても同様の効果が生じるた
め、バインダレス化の進行は十分となる。
【0023】苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量とし
ては、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン
質粘土が全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る
量の5倍以上が必要とされる。特に、低シリカX型ゼオ
ライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライト
の含有率を高く、迅速にバンダレス化するためには10
倍以上が好ましい。ただし30倍以上にすると、苛性溶
液へのAl分、Si分の溶解量が増して、強度が低下、
苛性溶液の使用量が多いためにコストが高くなるなどの
ため好ましくない。
【0024】低シリカX型ゼオライト含有成形体と苛性
溶液との接触方法は特に限定しないが、低シリカX型ゼ
オライト含有成形体を固定床カラムに充填して、苛性溶
液を循環流通させることが簡便で効率がよい。
【0025】さらに本発明の吸着剤を水素ガスの精製に
使用するには、好ましくは上記の方法で得られた高純度
低シリカX型ゼオライト成形体のカチオンの90%以上
がリチウムでイオン交換され、更に好ましくは95%以
上がリチウムでイオン交換されるか、又は、好ましく
は、高純度低シリカ型ゼオライト成形体のカチオンの5
0%以上がカルシウムでイオン交換され、更に好ましく
は80%以上のカチオンがカルシウムでイオン交換さ
れ、最も好ましくは高純度低シリカ型ゼオライト成形体
のカチオンの90%以上がカルシウムでイオン交換され
る高純度低シリカX型ゼオライト成形体を使用する。
【0026】ゼオライト中のカチオンは吸着分離におい
て、吸着特性を左右する重要な因子の一つである。例え
ば水素含有ガスをPSA法により精製する場合、吸着圧
力下では一酸化炭素などの不純物の吸着量が多く、脱着
圧力下ではその吸着量が少ない、すなわち操作圧力範囲
における有効吸着量が多い吸着剤が好ましく使用され
る。この有効吸着量はゼオライト中のカチオンが形成す
る電場強度と関係があり、電場強度が強すぎる場合は、
脱着圧力下での吸着量が多くなり、有効吸着量が少なく
なる傾向にある。また電場強度が弱すぎる場合は、全体
的に吸着量が少なくなってしまう。リチウムイオンある
いはカルシウムイオンを用いることにより、強すぎず弱
すぎない電場強度が形成され、大きい有効吸着量を得る
ことが可能になり、本発明の吸着剤として用いるには好
適なイオンである。
【0027】バインダレス化された高純度低シリカX型
ゼオライト成形体をイオン交換する方法は、バッチ法、
カラム流通法など通常知られた方法で行なうことができ
る。イオン交換する時の温度、溶液の濃度は任意な条件
で行うことができるが、温度は高いほうがイオン交換平
衡あるいは速度において有利であり、50℃以上が好ま
しく用いられる。溶液の濃度も高いほうがイオン交換に
は有利であり、通常は1モル/リットル以上の濃度の溶
液が用いられる。イオン交換に用いられる化合物は水溶
液として容易に提供できるものであれば特に制限はな
く、例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩などを用い
ることができる。またリチウムは他のイオンに比較して
高価なため、一度イオン交換に用いた溶液から、不純物
を除去して回収した溶液をイオン交換液として用いるこ
ともできる。
【0028】なおイオン交換を行う前のバインダレス化
された高純度低シリカX型ゼオライト成形体には、交換
可能なカチオンとして、通常ナトリウムおよびカリウム
が存在する。このためこの成形体をリチウムでイオン交
換した場合は、これらの最初から存在しているカチオン
が残存する可能性がある。このように、イオン交換前に
存在するカチオンがイオン交換後に残存しても、本発明
の吸着剤として使用することができる。またリチウムあ
るいはカルシウム以外のカチオンとしてナトリウムやカ
リウムの様なアルカリ金属、マグネシウムの様なアルカ
リ土類金属、又は亜鉛など遷移金属イオンが交換されて
いる吸着剤も用いることができる。
【0029】イオン交換後は、ある程度乾燥して、50
0〜550℃で除湿空気または窒素流通下で焼成活性化
を施すことにより吸着剤として使用することができる。
【0030】以上のような方法により得られた高純度の
低シリカX型ゼオライト成形体は、従来技術で得られる
低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体より著しく
耐圧強度が向上しており、粒子径1.4〜1.7mmの
範囲の粒子で1.0kgf以上の平均耐圧強度を達成す
ることができ、工業的にも十分使用することができる。
【0031】また本発明に使用する吸着剤の場合、一酸
化炭素、窒素、メタンの平衡吸着量が大きいことに加え
て、吸脱着速度が速い吸着剤が好ましい。水素ガスを吸
着分離により精製する場合、その吸脱着速度は一般にゼ
オライト吸着剤のマクロ細孔構造に影響される。マクロ
細孔はゼオライト結晶粒子間に形成される細孔であり、
粒子内の物質移動速度を左右するため、細孔容積および
細孔直径は大きい方が好ましい。上記の方法により得ら
れた高純度のバインダレス低シリカX型ゼオライト成形
体は、細孔容積が0.25cc/g以上で、平均細孔直
径が0.35μm以上を達成することができ、吸着剤が
本来有する吸着性能を低下させることがない物質移動速
度が得られる。細孔容積、平均細孔直径がこれらより小
さい場合は、十分な物質移動速度が得られず、吸着剤本
来の性能が得られない。
【0032】成形体はビーズあるいはペレットなどの形
状のものを用いることができ、その平均粒子径は0.5
〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmの範囲内のも
のである。平均粒子径が3mmより大きい場合、充填層
単位体積当りの表面積が小さくなり、粒子内の物質移動
速度が小さくなるため、好ましくない。平均粒子径が
0.5mmより小さい場合、充填層の圧力損失が大きく
なりすぎて、電力原単位が悪化し、好ましくない。平均
粒子径は一般的な方法で測定することができ、篩い分け
による方法、あるいはガス流通時の圧力損失とエルガン
式から求める方法などを用いることができる。
【0033】上記の高純度のバインダレス低シリカX型
ゼオライト成形体は、圧力を上下させて分離を行う圧力
スイング法、温度を上下させて分離を行う温度スイング
法、あるいは圧力と温度をそれぞれスイングさせる圧力
・温度スイング法により、水素含有ガスを精製する場合
に有効に使用することができる。また水素の精製を行う
場合、水素含有ガス中には二酸化炭素、水蒸気など、ゼ
オライトに対して非常に親和力が強く脱着が困難な不純
物も含まれている。このような不純物はゼオライト吸着
剤と接触する前に、活性炭などの吸着剤により吸着除去
してもよい。特に上記の高純度のバインダレス低シリカ
X型ゼオライト成形体を用いて水素含有ガスを精製を行
なった場合、一酸化炭素、窒素、メタンの吸着容量が大
きく、分離装置の小型化、電力源単位の低減が可能であ
る。
【0034】
【実施例】以下、本発明について実施例を用いてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。なお各評価は以下に示した方法によって実施し
た。 (1)化学組成の測定方法 試料を硝酸とフッ酸を用いて完全に溶解した後、ICP
発光分析装置(パーキンエルマー社製、型式OPTIM
A3000)を用い、各種金属イオンの濃度を同定し、
イオン等量比、例えばLiイオン、Naイオン、Kイオ
ンが含まれるゼオライト中のLiイオンの等量比を求め
る場合は、Li/(Li+Na+K)として算出した。
【0035】(2)結晶構造の測定方法 X線回折装置(マックサイエンス社製、型式MXP−
3)を用いて測定した。
【0036】(3)水分平衡吸着量の測定方法 60℃以上で乾燥した試料を温度25℃、相対湿度80
%のデシケーター中で16時間以上放置し、900℃1
時間強熱し測定した。すなわち、水分吸着後の重量をX
1,これを900℃1時間強熱した後の重量をX2と
し、水分平衡吸着量(%)は、以下式から求めた。
【0037】水分平衡吸着量(%)={(X1−X2)
/X2}/100 (4)吸着容量 日本ベル社製 BELSORP 28SAおよびBEL
SORP HPにより25℃における一酸化炭素吸着
量、メタン吸着量および窒素吸着量を測定した。なお前
処理として350℃、2時間の真空活性化(1×10−
3mmHg以下)を行なった。それぞれの吸着等温線を
Langmuir式で近似して吸着量を算出した。1a
tmと0.1atmにおける一酸化炭素、窒素、メタン
の吸着量をLangmuir式より計算し、これらのガ
スの0.1−1atmの有効吸着量は1atmの吸着量
から0.1atmの吸着量を引くことにより計算した。
【0038】(5)マクロ細孔容積及び平均細孔直径 水銀圧入式ポロシメーター(マイクロメリティクス社
製、型式:ポアサイザー9310)を用い、活性化した
吸着剤を1〜30,000psiの圧力範囲(60Å〜
200μmの範囲の細孔直径)により測定した。
【0039】(6)平均耐圧強度の測定方法 JIS−R−1608に記載の試験方法を参考とし、木
屋式デジタル硬度計(藤原製作所製、型式KHT−20
N)を用い、常温、常圧の雰囲気にて、検体である活性
化した成形体を一定速度(1mm/秒)で加圧板(ステ
ンレス製、直径5mm)を押しつけて圧縮負荷を加えた
時、成形体が耐える事ができる最大荷重(単位:kg
f)を測定した。結果は測定値25個の単純平均値で示
す。耐圧強度は粒子径により依存性があるため、測定試
料は篩い分けにより粒子径を1.4〜1.7mmに揃え
たものを測定した。
【0040】実施例1 まず、低シリカX型ゼオライト粉末を以下の手順により
合成した。
【0041】内容積20リットルのステンレス製反応容
器にケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O=3.8重量
%、SiO2=12.6重量%)10770g、水13
30g、水酸化ナトリウム(純度99%)1310g、
工業用水酸化カリウム水溶液(純度48%)3630g
を入れ100rpmで攪拌しながらウォーターバスを用
い45℃に保った。この溶液に40℃に保ったアルミン
酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、Al
2O3=22.5重量%)5390gを1分かけて投入
した。投入直後より白濁しゲル化が始まった。投入終了
直前、ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部でスラリ
ーの部分的停滞が生じたものの約3分後には全体が均一
に流動化した。スラリー全体が流動化した時点で低シリ
カX型ゼオライト粉末(強熱減少量22.5%)4.2
を少量の水に分散し添加した。このとき加えた低シ
リカX型ゼオライトの量は、生成する低シリカX型ゼオ
ライトに対し0.1重量%である。添加終了後のスラリ
ーの組成は、3.39Na2O・1.31K2O・1.
90SiO2・Al2O3・74.1H2Oであり、理
論的に生成する低シリカX型ゼオライト濃度としては1
4.7重量%である。このまま100rpmで攪拌を継
続し、45℃で4時間熟成を行なった。熟成後、攪拌を
継続しながら1時間かけて70℃に昇温した。昇温後、
攪拌を停止し、70℃で8時間結晶化を行なった。得ら
れた結晶をろ過し、純水で十分に洗浄した後、70℃で
1晩乾燥した。
【0042】得られた低シリカX型ゼオライト粉末は、
X線回折の結果フォージャサイト型ゼオライト単相であ
り、また組成分析の結果、このものの化学組成は0.7
2Na2O・0.28K2O・Al2O3・2SiO
2、SiO2/Al2O3モル比は2.0、水分平衡吸
着量は33.5%であった。
【0043】このLSX粉末100重量部に対し,Si
O2/Al2O3モル比が2.0のカオリン粘土(ドラ
イブランチカオリン社製、製品名ハイドライトPXN)
20重量部をミックスマラー混合機(新東工業社製、型
式MSG−15S)で15分間混合後、必要量の水を1
5分間で投入し、その後1.5時間混練した。得られた
混練物の水分量は約38重量%であった。
【0044】この混練物を羽根攪拌式造粒機ヘンシェル
ミキサー(三井鉱山社製、型式FM/I−750)で平
均粒子径1.6mm(粒径範囲1.2〜2.0mm)の
ビーズ状に攪拌造粒成形し、マルメライザー成形機(不
二パウダル社製、型式Q−1000)を用いて整粒した
後、60℃で1晩乾燥した。ついで管状炉(アドバンテ
ック社製)を用いて空気流通下において、600℃で3
時間焼成して造粒物中のカオリンをメタカオリン化して
低シリカX型ゼオライト含有成形体を得た。
【0045】この低シリカX型ゼオライト含有成形体を
内容積13リットルのSUS304製カラムに9.0k
g充填し、40℃の純水で洗浄した。洗浄の後、40℃
の苛性溶液25.2リットル(NaOH:7.2モル/
リットル、KOH:2.8モル/リットル)をカラムの
下方から560cc/分で3時間循環流通した。その
後、苛性液を循環通液しながら温度を40℃から70℃
に昇温し、そのまま6時間循環通液により結晶化させ
た。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、
低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て
低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の18倍で
あった。
【0046】苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で
十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形
体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレ
ス成形体の水分平衡吸着量は33.4%であり、低シリ
カX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算
すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形
体の低シリカX型ゼオライトの含有率は99.7%であ
った。X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオラ
イト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されな
かった。
【0047】この低シリカX型ゼオライトバインダレス
成形体を、水酸化リチウムでpHを約11に調整した塩
化リチウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Li
型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。
このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体
を化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.3
%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.3%と0.
4%、SiO2/Al2O3モル比は2.0であった。
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体
を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流
通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0048】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。また細孔容積と平
均細孔直径を水銀圧入法により測定した結果を表2に示
す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.7
kgfであった。
【0049】実施例2 実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバイ
ンダレス成形体を、炭酸リチウムを塩酸で溶解して得た
塩化リチウム溶液(pH約7)を水酸化リチウムでpH
を約11に調整した水溶液と接触させイオン交換を行な
い、Li型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体
を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレ
ス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は9
5.3%、Naイオン交換率は2.3%、Kイオン交換
率は1.7%、Mgイオン交換率は0.3%、Caイオ
ン交換率は0.4%、SiO2/Al2O3モル比は
2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバイ
ンダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用
いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活
性化した。
【0050】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。粒子径1.4〜
1.7mmの平均耐圧強度は1.5kgfであった。
【0051】実施例3 実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバイ
ンダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを約11に調
整した塩化リチウム水溶液と接触させイオン交換を行な
い、Li型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体
を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレ
ス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は8
6.0%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ10.7
%と3.3%、SiO2/Al2O3モル比は2.0で
あった。なおCaとMgは検出されなかった。得られた
低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を実施例1
と同様に焼成活性化した。
【0052】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。粒子径1.4〜
1.7mmの平均耐圧強度は1.5kgfであった。
【0053】実施例4 実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバイ
ンダレス成形体を、塩化カルシウム溶液を水酸化カルシ
ウムでpHを約11に調整した水溶液と接触させイオン
交換を行ない、Ca型低シリカX型ゼオライトバインダ
レス成形体を得た。このCa型低シリカX型ゼオライト
バインダレス成形体を化学分析をした結果、Caイオン
交換率は94.4%、Naイオン交換率は3.3%、K
イオン交換率は2.3%、SiO2/Al2O3モル比
は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバ
インダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を
用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成
活性化した。
【0054】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。粒子径1.4〜
1.7mmの平均耐圧強度は1.4kgfであった。
【0055】比較例1 カオリンを30重量部とし、実施例1と同様の操作で低
シリカX型ゼオライト含有成形体を得た。その成形体を
内容積3.1リットルのポリプロピレン製カラムに2.
2kgを充填した。苛性溶液8.1リットル(NaO
H:2.2モル/リットル、KOH:0.9モル/リッ
トル)を用いて、実施例1と同じ要領によりバインダレ
ス化処理した。なお、この時の苛性溶液中の水酸化アル
カリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中
のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに
足る量の7.5倍であった。
【0056】その後、カラム内を純水で十分に洗浄し低
シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得ら
れた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分
平衡吸着量は30.5%であり、低シリカX型ゼオライ
トの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低
シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX
型ゼオライトの含有率は91%であることが確認され
た。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオライ
トに由来する回折線以外に、A型ゼオライトに由来する
回折線が確認された。このバインダレス低シリカX型ゼ
オライトを実施例1と同じ要領でLiイオン交換し、化
学分析をした結果、Liイオン交換率は97.9%、N
aとKのイオン交換率はそれぞれ1.9%と0.2%、
SiO2/Al2O3モル比は2.0であった。得られ
た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施
例1と同様に焼成活性化した。
【0057】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。また細孔容積と平
均細孔直径を水銀圧入法により測定した結果を表2に示
す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.5
kgfであった。
【0058】比較例2 実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、
苛性濃度3.0モル/リットル苛性溶液16.2リット
ル(NaOH:2.2モル/リットル、KOH:0.8
モル/リットル)で実施例1と同じ方法によりバインダ
レス化を行った。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ
金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカ
オリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る
量の7.5倍であった。
【0059】苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で
十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形
体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレ
ス成形体の水分平衡吸着量は30.5%であり、低シリ
カX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算
すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形
体の低シリカX型ゼオライトの含有率は91.0%であ
った。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオラ
イトに由来する回折線以外にA型ゼオライトに由来する
回折線が確認された。
【0060】この低シリカX型ゼオライトバインダレス
成形体を実施例1と同じ方法でリチウムイオン交換を行
った。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス
成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は9
7.5%、NaおよびKイオン交換率は、それぞれ1.
8%および0.7%、SiO2/Al2O3モル比は
2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバイ
ンダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用
いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活
性化した。
【0061】得られた低シリカX型ゼオライトバインダ
レス吸着剤の一酸化炭素、窒素およびメタンの吸着量を
測定した。1気圧での吸着量および1気圧と0.1気圧
での有効吸着量の結果を表1に示す。粒子径1.4〜
1.7mmの平均耐圧強度は0.6kgfであった。
【0062】比較例3 従来から水素ガスの精製に使用されているバインダレス
CaAゼオライト(SiO2/Al2O3モル比2.
0:東ソー株式会社製)の吸着量を測定し、結果を表1
に示した。なおこのバインダレスCaAは、X線回折の
結果からもA型ゼオライト単相であり、不純物に由来す
る回折線は確認されなかった。
【0063】
【表1】
【表2】
【発明の効果】上記の結果から、本発明の吸着剤を使用
して、水素含有ガスの精製において一酸化炭素、窒素お
よびメタン等の不純物を吸着除去する場合、それぞれの
成分に対する吸着量が多いために高効率で不純物を除去
することができ、回収水素の高純度化、吸着装置の小型
化、吸着分離に要する電力原単位の低減を達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 39/22 C01B 39/22 Fターム(参考) 4D012 BA02 CA03 CA06 CB18 CD01 CD07 CE01 CF03 CG01 CG05 4G040 FA06 FB04 FB05 FB06 FB09 FC02 FC03 FD01 FE01 4G066 AA62B BA09 BA20 BA23 BA25 CA27 CA35 CA43 CA51 DA05 EA09 FA05 FA15 FA22 FA37 GA14 GA16 4G073 BA03 BA04 BA05 BA10 BA11 BA52 CZ04 FD08 GA13 GA14 UA06

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素を含む混合ガスをゼオライト吸着剤と
    接触させて水素ガスを精製する方法において、前記ゼオ
    ライト吸着剤はSiO2/Al2O3モル比が1.9〜
    2.1の低シリカX型ゼオライトで、低シリカX型ゼオ
    ライトの含有率が95%以上である低シリカX型ゼオラ
    イト成形体であることを特徴とする水素ガスの精製方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の水素ガス精製方法におい
    て、篩い分けにより粒子径を1.4〜1.7mmに揃え
    た当該低シリカX型ゼオライト成形体の平均耐圧強度が
    1.0kgf以上であることを特徴とする水素ガス精製
    方法。
  3. 【請求項3】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
    ム、カルシウム、亜鉛のうち少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素ガスの
    精製方法。
  4. 【請求項4】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンの90%以上がリチウムでイオン交換されている
    ことを特徴とする請求項1〜3に記載の水素ガスの精製
    方法。
  5. 【請求項5】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンの95%以上がリチウムでイオン交換されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の水素ガスの精製方
    法。
  6. 【請求項6】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンの50%以上がカルシウムでイオン交換されてい
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載の水素ガスの精
    製方法。
  7. 【請求項7】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンの80%以上がカルシウムでイオン交換されてい
    ることを特徴とする請求項6に記載の水素ガスの精製方
    法。
  8. 【請求項8】前記低シリカX型ゼオライト成形体中のカ
    チオンの90%以上がカルシウムでイオン交換されてい
    ることを特徴とする請求項6に記載の水素ガスの精製方
    法。
  9. 【請求項9】前記低シリカX型ゼオライト成形体中の低
    シリカX型ゼオライトの含有率が98%以上であること
    を特徴とする請求項1〜8に記載の水素ガスの精製方
    法。
  10. 【請求項10】前記低シリカX型ゼオライト成形体が実
    質的に結合剤を含まず低シリカX型ゼオライトのみから
    なることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の
    水素ガスの精製方法。
  11. 【請求項11】前記低シリカX型ゼオライト成形体のマ
    クロ細孔容積が0.25cc/g以上であり、平均細孔
    直径が0.35μm以上であることを特徴とする請求項
    1〜10のいずれかに記載の水素ガスの精製方法。
  12. 【請求項12】前記低シリカX型ゼオライト成形体の平
    均粒子径が0.5〜3mmの範囲内であることを特徴と
    する請求項1〜11のいずれかに記載の水素ガスの精製
    方法。
  13. 【請求項13】前記低シリカX型ゼオライト成形体の平
    均粒子径が0.5〜2mmの範囲内であることを特徴と
    する請求項12に記載の水素ガスの精製方法。
  14. 【請求項14】前記混合ガス中の水素ガス以外のガス
    が、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水蒸気、炭化水素
    類のうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求
    項1〜請求項13のいずれかの請求項に記載の水素ガス
    の精製方法。
  15. 【請求項15】前記炭化水素類がメタンであることを特
    徴とする請求項14に記載の水素ガスの精製方法。
  16. 【請求項16】水素ガスの精製が圧力スイング法及び/
    又は温度スイング法で行われることを特徴とする請求項
    1〜請求項15に記載の水素ガスの精製方法。
  17. 【請求項17】水素ガスを精製する時の吸着圧力が3〜
    30atmであることを特徴とする請求項16に記載の
    水素ガス精製方法。
  18. 【請求項18】前記水素ガス精製方法において、前記低
    シリカX型ゼオライト成形体が、SiO2/Al2O3
    モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトとS
    iO2/Al2O3モル比が1.9〜2.1のカオリン
    質粘土を用いて成形、焼成することにより低シリカX型
    ゼオライト含有成形体を得、前記低シリカX型ゼオライ
    ト含有成形体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも
    多い苛性溶液と前記低シリカX型ゼオライト含有成形体
    を接触させることにより、前記低シリカX型ゼオライト
    含有成形体中のカオリン質粘土を低シリカX型ゼオライ
    トに変質させることにより製造されていることを特徴と
    する請求項1〜請求項17のいずれかの請求項に記載の
    水素ガスの精製方法。
  19. 【請求項19】前記低シリカX型ゼオライト成形体が、
    6モル/リットル以上の苛性溶液と10時間以上接触さ
    れることにより製造されていることを特徴とする請求項
    18に記載の水素ガスの精製方法。
  20. 【請求項20】前記低シリカX型ゼオライト成形体が、
    8モル/リットル以上の苛性溶液と5時間以上接触され
    ることにより製造されていることを特徴とする請求項1
    8に記載の水素ガスの精製方法。
  21. 【請求項21】前記低シリカX型ゼオライト成形体が、
    予めAl分を添加した苛性溶液と接触されることにより
    製造されていることを特徴とする請求項18〜20のい
    ずれかに記載の水素ガスの精製方法。
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