JP2002002462A - ブレーキシステム - Google Patents

ブレーキシステム

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JP2002002462A
JP2002002462A JP2000191275A JP2000191275A JP2002002462A JP 2002002462 A JP2002002462 A JP 2002002462A JP 2000191275 A JP2000191275 A JP 2000191275A JP 2000191275 A JP2000191275 A JP 2000191275A JP 2002002462 A JP2002002462 A JP 2002002462A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブレーキシステムのコストダウンを図る。 【解決手段】ブレーキシリンダに、動力液圧源の液圧が
供給されることにより作動させられるブレーキを含むブ
レーキシステムにおいて、ブレーキシリンダの液圧が動
力液圧源の制御により制御される。動力液圧源は、ポン
プとそのポンプを駆動する電動モータとを含むものであ
り、電動モータへの供給電流量が、ブレーキペダルの操
作ストロークの増加速度と、マスタ液圧センサによって
検出されたマスタ液圧とに基づいて決定される。実際の
ブレーキシリンダの液圧がフィードバックされるわけで
はない。そのため、ブレーキシリンダの液圧を検出する
センサが不要となり、その分、コストダウンを図ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ブレーキシステム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平7−186918号公報には、
(a) 各々の車輪に対応して設けられ、ブレーキシリンダ
の液圧により、その車輪の回転を抑制する液圧ブレーキ
と、(b)液圧源と各車輪のブレーキシリンダとの間にそ
れぞれ設けられた電磁開閉弁を開閉制御することによっ
て、それぞれの液圧ブレーキの作動力としての液圧を制
御する液圧制御装置とを含むブレーキシステムが記載さ
れている。このブレーキシステムにおいては、ヨーレイ
ト,操舵角度,横すべり角等の旋回状態に基づいて、車
両の旋回状態が適正な状態となるように各々の車輪のブ
レーキ液圧の目標値がそれぞれ決定され、それぞれのブ
レーキシリンダに対応する電磁開閉弁がそれぞれ開閉制
御される。また、各々の車輪のブレーキシリンダの液圧
が推定され、各々の車輪のブレーキ液圧の目標値が決定
される際にその推定値が考慮される。そのため、実際の
ブレーキシリンダの液圧を検出するブレーキ液圧センサ
が不要となり、その分、コストダウンを図ることができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明の課題は、上記公報に記載の制御とは異なる
ブレーキの作動力の制御が行われるブレーキシステムに
おいて、コストダウンを図ることである。上記課題は、
ブレーキシステムを、下記各態様の構成のものとするこ
とによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項
に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番
号を引用する形式で記載する。これは、本発明の理解を
容易するためであり、本明細書に記載の技術的特徴およ
びそれらの組合わせが以下の各項に限定されると解釈さ
れるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載
されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しな
ければならないものではなく、一部の事項のみを取り出
して採用することも可能である。 (1)車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、そのブ
レーキの作動力を左右する物理量を制御する制御装置
と、車両の運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を
検出するブレーキ操作状態検出装置と、そのブレーキ操
作状態検出装置によって検出されたブレーキ操作状態に
応じて、前記制御装置によって制御される物理量の制御
量を決定する制御量決定装置とを含むことを特徴とする
ブレーキシステム(請求項1)。本項に記載のブレーキ
システムにおいては、ブレーキ操作状態に応じて制御量
が決定され、その決定された制御量によりブレーキの作
動力を左右する物理量が制御される。ブレーキの作動力
は、制御量により制御されるのであり、ブレーキ操作状
態に基づいて制御される。このように、本項に記載のブ
レーキシステムにおいては、ブレーキの作動力を左右す
る物理量が、ブレーキ操作状態に応じて決定された制御
量により制御されるのであり、いわゆるフィードバック
制御ではなく、フィードフォワード制御が行われる。実
際のブレーキ作動力に関連する実ブレーキ作動力関連量
(例えば、実作動力自体,ホイールシリンダの液圧,電
動モータに実際に流れる電流等が該当する)や、車両に
実際に加えられる実ブレーキ力に関連する実ブレーキ力
関連量(例えば、実ブレーキ力自体,車両減速度,車輪
減速度等が該当する)に基づいて制御量が直接的に決定
されるわけではないのである。そのため、実ブレーキ作
動力関連量や実ブレーキ力関連量を検出するためのセン
サが不可欠ではなくなる。これらセンサを設けないこと
にすれば、センサおよび制御装置のセンサに関連する部
分に対応するコスト低減が可能となる。フィードバック
制御が行われない場合には、ブレーキの作動力が、運転
者の意図する減速度を実現し得る大きさに制御されると
は限らず、現実の減速度が運転者の意図する減速度に対
して不足する場合や過大になる場合がある。その場合、
運転者は、ブレーキ操作部材の操作を、所望の減速度が
得られるように変更するのが普通であり、本ブレーキシ
ステムにおいては、ブレーキの作動力の制御量がブレー
キ操作状態に応じて決定されるため、運転者によるブレ
ーキ操作状態の変更に応じてブレーキ作動力が変更され
ることになり、運転者の望む減速度が得られる。また、
制御量がブレーキ操作状態に基づいて決定され、フィー
ドバック制御が行われない場合には、制御量が、例え
ば、実ブレーキ作動力からブレーキ操作状態に基づいて
決まる目標ブレーキ作動力を引いた作動力偏差等に基づ
いて変化させられることがない。端的にいえば、運転者
によってブレーキ操作部材の操作状態が一定に保たれる
限り制御量も一定に保たれるのであり、制御量の変化を
抑制することができる。そのため、制御の振動を抑制す
ることができ、振動音の抑制や制御の安定性確保を実現
することができる。ブレーキ操作状態検出装置は、ブレ
ーキ操作部材の操作状態を直接検出するものであって
も、間接的に検出するものであってもよい。直接検出す
るものとしては、例えば、ブレーキ操作部材の操作スト
ロークを検出するストロークセンサ,ブレーキ操作部材
に加えられる操作力を検出する操作力センサ等がある。
間接的に検出するものとしては、ブレーキ操作部材の操
作状態の変化に対応して変化する物理量を検出する装置
があり、例えば、マスタシリンダの加圧室の液圧を検出
するマスタ圧センサ、マスタシリンダの加圧室の液圧と
同等の液圧、例えば、加圧室に接続された液通路の液圧
を検出する液圧センサ等が該当する。制御量は、ブレー
キ操作状態検出装置によって検出されたブレーキ操作状
態に応じて決定されるのであるが、ブレーキ操作状態自
体に応じて決定されるようにしても、ブレーキ操作状態
の変化量,変化勾配等の変化状態に応じて決定されるよ
うにしても、ブレーキ操作状態,ブレーキ操作状態の変
化状態のうちの2つ以上に基づいて決定されるようにし
てもよい。制御量はまた、ブレーキ操作状態やブレーキ
操作状態の変化状態に対応する目標ブレーキ作動力に基
づいて決定されるようにすることもできる。目標ブレー
キ作動力はブレーキ操作状態に基づいて一義的に決まる
からである。また、制御量は、予め定められた規則に従
って、ブレーキ操作状態に応じた大きさに決定されるの
であるが、規則は、演算式で表されるものであってもテ
ーブル等で表されるものであってもよい。このように決
定された制御量で、ブレーキ作動力を左右する物理量が
制御されるのであるが、制御量,物理量については、以
下の具体的なブレーキシステムの各々において、それぞ
れ説明する。制御量は、物理量の値自体でも物理量の現
在値からの変更量でもよい。 (2)前記ブレーキが、前記車輪と一体的に回転するブ
レーキ回転体に、摩擦パッドを押し付けて摩擦係合させ
ることによりその車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキで
あり、前記制御装置が、前記摩擦ブレーキの作動力とし
ての前記摩擦パッドのブレーキ回転体への押付力を左右
する物理量を制御する押付力制御装置を含む(1) 項に記
載のブレーキシステム。 (3)前記摩擦ブレーキが、前記ブレーキ回転体に、前
記摩擦パッドをブレーキシリンダの液圧により押し付け
る液圧ブレーキであり、前記押付力制御装置が、前記ブ
レーキシリンダの液圧を左右する物理量を制御する液圧
制御装置を含む(2) 項に記載のブレーキシステム。 (4)前記液圧制御装置が、前記ブレーキシリンダに接
続されたポンプを駆動する電動モータへの供給電流量を
制御するモータ制御部を含む(3) 項に記載のブレーキシ
ステム。本項に記載のブレーキシステムにおいては、電
動モータへの供給電流量が物理量に当たる。電動モータ
への供給電流量を制御することによってポンプから吐出
される作動液の圧力や流量が制御され、それによってブ
レーキ作動力関連量としてのブレーキシリンダ液圧が制
御される。電動モータが直流モータである場合には、電
動モータへの供給電流量が多くなれば出力トルクが大き
くなり、負荷トルクが一定である場合においては出力軸
の回転数が大きくなる。また、ポンプに加わる負荷は、
ポンプから供給される作動液の吐出圧や吐出流量によっ
て決まる。これらの事情を考慮すれば、例えば、ポンプ
から実際に吐出される作動液の吐出圧や吐出流量が、ブ
レーキ操作状態に基づいて決まる所要液圧,所要液圧変
化勾配となるように電動モータへの供給電流量等を制御
量として決定することができる。制御量は電動モータへ
の供給電流量自体であっても、供給電流量の変化量であ
ってもよい。電動モータへの供給電流量は、モータに接
続された駆動回路の制御によって制御されることになる
が、例えば、PWM(パルス幅変調)制御される場合に
は、ON/OFF比が制御量に該当すると考えることも
できる。〔発明の実施の形態〕の項において説明する
が、本項に記載のブレーキシステムにおけるように、ブ
レーキ液圧が電動モータへの供給電流量の制御によって
制御される場合において、その供給電流量がブレーキ操
作状態のみに基づいて決定されるようにすれば、従来の
ブレーキシステムにおけるように、ブレーキ作動力関連
量,ブレーキ力関連量等を推定したり、検出したりする
必要がなくなり、制御を簡易にすることができる。 (5)前記液圧制御装置が、前記ブレーキシリンダに対
応して設けられた電磁液圧制御弁装置への供給電流を制
御する電磁弁制御部を含む(3) 項または(4) 項に記載の
ブレーキシステム。本項に記載のブレーキシステムにお
いては、ブレーキシリンダの液圧が電磁液圧制御装置の
制御により制御される。電磁液圧制御弁装置は、自身の
前後差圧を供給電流量に応じた高さに制御可能な電磁リ
ニア液圧制御弁を含むものであっても、電流のON/O
FFにより開閉させられる電磁開閉弁を含むものであっ
てもよい。電磁液圧制御弁装置が、電磁リニア液圧制御
弁を含む場合には、供給電流量が物理量に対応し、電磁
開閉弁を含む場合には、開状態にある時間(ON時間)
やデューティ比が物理量に対応する。また、電磁液圧制
御弁装置は、ブレーキシリンダと液圧源との間に設けら
れた電磁増圧用制御弁と、ブレーキシリンダと低圧源と
の間に設けられた電磁減圧用制御弁との少なくとも一方
を含むものとすることができる。 (6)前記摩擦ブレーキが、前記ブレーキ回転体に、前
記摩擦パッドを電動アクチュエータの作動により押し付
ける電動摩擦ブレーキであり、前記制御装置が、前記電
動アクチュエータによる押付力を左右する物理量として
の電動アクチュエータへの供給電流量を制御する電動ア
クチュエータ制御部を含む(2) 項に記載のブレーキシス
テム。電動アクチュエータへの供給電流量の制御によ
り、摩擦パッドのブレーキ回転体への押付力であるブレ
ーキの作動力が制御される。電動アクチュエータとして
は、例えば、電動モータや圧電素子等が該当する。 (7)前記制御量決定装置が、前記制御量を、実際のブ
レーキ作動力に関連する実ブレーキ作動力関連量に基づ
かないで決定するフィードフォワード制御部を含む(1)
項ないし(6) 項のいずれか1つに記載のブレーキシステ
ム。ブレーキが摩擦ブレーキである場合には、ブレーキ
作動力は、摩擦パッドのブレーキ回転体への押付力が該
当するが、液圧ブレーキである場合には、押付力はブレ
ーキシリンダの液圧に対応し、電動摩擦ブレーキである
場合には、電動アクチュエータの出力部材と摩擦パッド
との間に作用する力が対応する。出力部材と摩擦パッド
との間に作用する力は、電動アクチュエータに流れる電
流量に対応する場合がある。これら、押付力,ブレーキ
シリンダの液圧,電流量が実ブレーキ作動力関連量に該
当する。 (8)前記制御量決定装置が、前記制御量を、前記車両
に実際に加えられる実ブレーキ力に関連する実ブレーキ
力関連量に基づかないで決定するフィードフォワード制
御部を含む(1) 項ないし(7) 項のいずれか1つに記載の
ブレーキシステム。ブレーキの作動力が路面の摩擦係数
μに対して過大でない場合には、ブレーキの作動力の増
加に伴ってブレーキ力が増加し、車輪の回転減速度,車
両減速度等が増加する。したがって、この場合には、車
輪の回転減速度,車両の減速度等が実ブレーキ力関連量
に該当する。また、実際の車輪に加わるブレーキ力は、
ブレーキの車体側部材(例えば、マウンティングブラケ
ットやアンカピン)に加わる力として取得することがで
きる。 (9)前記制御量決定装置が、前記制御量を、前記ブレ
ーキ操作状態およびブレーキ操作状態の変化状態の少な
くとも一方とブレーキ作動力との関係と、前記制御量と
ブレーキ作動力との関係とを表すモデル式に基づいて決
定するものである(1) 項ないし(8) 項のいずれか1つに
記載のブレーキシステム(請求項2)。本項に記載のブ
レーキシステムにおいては、制御量がモデル式に従って
決定される。 (10)前記制御量決定装置が、前記制御量を、前記制
御装置の入力値と出力値との関係を表すモデル式と、前
記ブレーキ操作状態とに基づいて決定するものである
(1) 項ないし(8) 項のいずれか1つに記載のブレーキシ
ステム。 (11)前記制御量決定装置が、前記制御量を、前記ブ
レーキ操作状態およびブレーキ操作状態の変化状態との
少なくとも一方と前記制御量との関係を表すテーブルに
従って決定するものである(1) 項ないし(10)項のいずれ
か1つに記載のブレーキシステム。本項に記載のブレー
キシステムにおいては、制御量がテーブルに従って決定
される。テーブルに従えば、制御量を容易に決定するこ
とができる。また、制御の安定化を図ることができる。
前記ブレーキ操作状態およびブレーキ操作状態の変化状
態の少なくとも一方(以下、この項においてブレーキ操
作状態関連量と略称する)が予め定められた範囲内、す
なわち、テーブルが作成される際のブレーキ操作状態関
連量の刻み幅で決まる範囲内にある間は、1つの制御量
に決まる。そのため、ブレーキ操作状態関連量が刻み幅
で決まる範囲内にある間は、制御量が振動することが回
避され、安定的な制御を行うことができる。さらに、ブ
レーキ操作状態関連量に基づいて制御量を決定する規則
を式で表すことができない場合に有効である。例えば、
制御量とブレーキ操作状態関連量としての目標ブレーキ
作動力との関係を表す式であって、制御量(入力値)を
式に代入することによって目標ブレーキ作動力(出力
値)を求める式は予め定められているが、逆に、目標ブ
レーキ作動力(入力値)から制御量(出力値)を求める
式を導くのが困難な場合がある。この場合に、制御量を
上記式に代入することによって演算により目標ブレーキ
作動力を求め、これら入力値(制御量)と出力値(目標
ブレーキ作動力)とに基づいてテーブルを作成するので
ある。このテーブルに従えば、目標ブレーキ作動力に基
づいて制御量を求めることが可能になる。なお、テーブ
ルは、実験により作成することもできる。 (12)前記制御量決定装置が、前記制御量を、結果と
して、前記ブレーキ操作状態に対応する目標ブレーキ作
動力が得られるように決定するものである(1) 項ないし
(11)項のいずれか1つに記載のブレーキシステム。制御
量は、モデル式に従って決定されるようにしても、テー
ブルに従って決定されるようにしてもよいが、いずれに
しても、目標ブレーキ作動力と制御量との関係がわかれ
ば、目標ブレーキ作動力が得られるように制御量を決定
することができる。なお、制御量は、結果として、ブレ
ーキ操作状態に対応する目標減速度等の目標ブレーキ力
関連量が得られるように決定されるようにすることもで
きる。 (13)前記制御量決定装置が、前記制御量を前記ブレ
ーキ操作状態に基づいて決定する際の規則を記憶する規
則記憶部と、その規則記憶部に記憶された前記規則を、
実際のブレーキ作動力に関連する実ブレーキ作動力関連
量と前記車両に実際に加わる実ブレーキ力に関連する実
ブレーキ力関連量との少なくとも一方に基づいて修正す
る規則修正部とを含む(1) 項ないし(12)項のいずれか1
つに記載のブレーキシステム(請求項3)。本項に記載
のブレーキシステムにおいては、規則が、実ブレーキ作
動力関連量や実ブレーキ力関連量に基づいて修正され
る。規則は、経時的にあるいは温度等によって変わる場
合がある。また、個々の製造上のバラツキ等によっても
異なるが、これら個々のバラツキを考慮しないで一律に
作成されて記憶されるのが普通である。そのため、規則
を、実ブレーキ作動力関連量や実ブレーキ力関連量によ
って修正することが望ましい。この場合には、記憶部に
記憶された規則が修正されるのであって、規則に従って
決定された制御値が補正されるのではない。いわゆる学
習が行われるのである。規則は、モデル式で表される場
合やテーブルで表される場合があり、モデル式で表され
る場合には、モデル式に含まれる係数が修正され、テー
ブルで表される場合にはテーブルの値や入力値の刻み幅
が修正される。モデル式に含まれる係数を修正した場合
には、テーブルで表される場合のテーブル値と刻み幅と
の両方を修正したことと同様な効果を得ることができ
る。 (14)前記規則修正部による前記規則の修正が、前記
制御量決定装置による前記制御量の決定とは別個に行わ
れる(13)項に記載のブレーキシステム。規則修正部によ
る規則の修正と制御量決定装置による制御量の決定とは
別個独立に行われるのであり、規則の修正と制御量の決
定とは異なる時期に行われるのが普通である。例えば、
制御量の決定は、制御量決定プログラムの実行によっ
て、すなわち、制御量決定プログラムの実行サイクルタ
イム(例えば、数ミリ秒)毎に行われ、規則の修正は、
制御量決定プログラムの実行サイクルタイムとは無関係
に決められた設定時間毎に行われるようにすることがで
きる。また、規則の修正は、修正必要条件が満たされた
場合に行われるようにすることができる。規則の修正
は、上述の設定時間毎に、修正必要条件が満たされるか
否かが判定され、満たされた場合に修正が行われるよう
にしても、修正必要条件が満たされるか否かとは関係な
く設定時間毎に修正が行われるようにしてもよい。この
設定時間は、例えば、数秒,数分,数時間等、制御量の
決定のサイクルタイムに比較して十分に長い時間に設定
されるのが普通である。このように、修正の頻度は制御
量の決定の頻度より低いのが普通であり、1回の制動中
に一度も修正が行われないこともあり得る。 (15)前記規則修正部が、前記規則を、前記実ブレー
キ作動力関連量と実ブレーキ力関連量との少なくとも一
方と、ブレーキ操作状態とに基づいて修正するものであ
る(13)項または(14)項に記載のブレーキシステム。実ブ
レーキ作動力関連量と実ブレーキ力関連量との少なくと
も一方とブレーキ操作状態とに基づけば、修正が必要か
否かを判定することができる。換言すれば、予め定めら
れた修正必要条件が満たされるか否かを決定することが
できるのであり、修正を行うべき時期を決定することが
できるのである。例えば、入力情報であるブレーキ操作
状態に対して、出力情報である実ブレーキ作動力関連量
や実ブレーキ力関連量が設定量以上不足している場合や
過剰である場合には、修正が必要であるのであり、修正
必要条件が満たされたとすることができる。それに対
し、設定量以上不足していない場合(ほぼ適正である場
合)には、修正は不要なのであり、修正必要条件が満た
されないとすることができる。また、実ブレーキ作動力
関連量と実ブレーキ力関連量との少なくとも一方とブレ
ーキ操作状態とに基づけば、修正の方法を決定すること
ができる。例えば、実ブレーキ作動力関連量や実ブレー
キ力関連量が不足している場合には、ゲイン(ブレーキ
操作状態に対する制御量の割合)が大きくなるように修
正し、過剰である場合には、ゲインが小さくなるように
修正するのである。また、不足の程度や過剰の程度に基
づいてゲインの変化量を変更することもできる。以下、
具体的な修正例を説明する。実ブレーキ力関連量からブ
レーキ操作状態に対応する目標ブレーキ力関連量を引い
た偏差、あるいは、実ブレーキ作動力関連量からブレー
キ操作状態に対応する目標ブレーキ作動力関連量を引い
た偏差が、正の設定量以上大きい場合には、ゲインが小
さくされるようにする。ただし、偏差が正の設定量以上
である場合であっても、ブレーキ操作状態のブレーキ作
動力を増加させる方向への操作速度が設定速度以上であ
る場合には、規則の修正が行われないようにすることも
できる。ブレーキ操作状態の操作速度が大きい場合にお
いては偏差が大きくても修正の必要性が低いが、操作速
度が小さい場合に偏差が大きいのはブレーキが効きすぎ
であるため、ゲインが小さくされるようにするのであ
る。また、偏差が正の設定量より小さく、ブレーキ操作
状態のブレーキ作動力を増加させる方向への操作速度が
設定速度より小さい場合には、規則の変更は行われない
が、ブレーキ操作状態の操作速度が設定速度以上である
場合にはゲインが大きくされるようにする。ブレーキ操
作状態に対する効きが不足しているからである。偏差が
正の設定量より小さく、ブレーキ操作部材のブレーキ作
動力を増加させる方向への操作速度が設定速度以上とな
る場合には、ブレーキ操作部材は素早く操作されたが、
操作力が十分に大きくされない(できない)場合も含ま
れるが、この場合においてもゲインが大きくされるよう
にすることができる。また、ブレーキ操作状態の変化量
の絶対値が設定値より小さいにもかかわらず、実ブレー
キ力関連量と実ブレーキ作動力関連量との少なくとも一
方の変化量の絶対値が設定値より大きい場合にゲインが
小さくされるようにする。ゲインを小さくすれば、ハン
チングを抑制することができる。ハンチングの発生は、
実ブレーキ関連量と実ブレーキ作動力関連量との少なく
とも一方の変化頻度と、ブレーキ操作状態の変化頻度と
に基づいて検出することもできる。上記変化頻度は、設
定量以上の変化の発生頻度とすることが望ましい。 (16)前記規則修正部が、実ブレーキ作動力関連量が
前記ブレーキ操作状態に対応する目標ブレーキ作動力関
連量に基づいて決まる許容範囲から外れた場合に、前記
規則を修正する(13)項ないし(15)項のいずれか1つに記
載のブレーキシステム。実ブレーキ作動力関連量から目
標ブレーキ作動力関連量を引いた作動力偏差の絶対値が
大きい場合に、規則が修正されるようにすることができ
る。なお、実ブレーキ作動力関連量ではなく、実ブレー
キ力関連量に基づいても同様に規則の修正を行うことも
できる。 (17)前記規則修正部が、前記ブレーキ操作状態の変
化状態が設定状態より安定側にあり、前記車両の実ブレ
ーキ力関連量の変化状態が設定状態より安定側にない場
合に、前記規則を修正する(13)項ないし(16)項のいずれ
か1つに記載のブレーキシステム。 (18)前記制御量決定装置が、前記制御量を前記ブレ
ーキ操作状態に基づいて決定する際の規則を記憶する規
則記憶部と、その規則記憶部に記憶された前記規則を、
非ブレーキ作動中に修正する規則修正部とを含む(1) 項
ないし(12)項のいずれか1つに記載のブレーキシステ
ム。規則の修正が非ブレーキ作動中に行われれば、制動
途中でブレーキ操作フィーリングが変更されることを回
避することができる。例えば、温度に基づいて修正した
り、総走行距離に基づいて修正したりすることができ
る。なお、イニシャルチェック時に行われるようにする
こともできる。 (19)前記制御量決定装置が、前記ブレーキの作動力
を推定する作動力推定部を含む(1) 項ないし(18)項のい
ずれか1つに記載のブレーキシステム。ブレーキの実際
の作動力が推定されれば、その推定作動力を利用して、
制御量を決定することができる。推定作動力を利用すれ
ば、ブレーキの作動力の制御精度を向上させることがで
きる。本項に記載のブレーキシステムにおいては、目標
ブレーキ作動力と実ブレーキ作動力との偏差を求める場
合において、実ブレーキ作動力の代わりに推定作動力が
使用されるわけではなく、例えば、制御装置が前後の差
圧を制御する電磁液圧制御弁を含む場合において、その
前後の差圧を取得するのに使用される。この場合におい
て、目標ブレーキ作動力に基づいて前後の差圧が取得さ
れるようにすることもできるが、推定作動力を使用した
方が制御精度を向上させることができる場合が多い。 (20)車両の車輪に接続された電動駆動モータの負荷
トルクによって車輪の回転を抑制する回生ブレーキシス
テムであって、前記電動駆動モータにおける電流状態を
制御することによって、前記負荷トルクを制御する負荷
トルク制御装置と、車両の運転者によるブレーキ操作状
態を検出するブレーキ操作状態検出装置と、そのブレー
キ操作状態検出装置によって検出されたブレーキ操作状
態に応じて、前記電流状態の目標状態を決定する電流状
態決定装置とを含むことを特徴とするブレーキシステ
ム。フィードフォワード制御は、回生制動トルクの制御
に適用することができる。本項に記載のブレーキシステ
ムには、(1) 項ないし(19)項のいずれかに記載の技術的
特徴を採用することができる。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
ブレーキシステムを図面に基づいて説明する。図1にお
いて、符号10および12はそれぞれ左前輪および右前
輪を示し、符号14および16はそれぞれ左後輪および
右後輪を示す。前輪10,12にはブレーキシリンダ1
8,19を備えたブレーキ20,21が設けられてい
る。ブレーキ20,21は、ブレーキシリンダ18,1
9に液圧が供給されることにより作動して、前輪10,
12の回転を抑制する。後輪14,16にも同様にブレ
ーキシリンダ24,25を備えたブレーキ26,27が
設けられている。前輪側のブレーキシリンダ18,19
には、マニュアル液圧源30と動力液圧源32との両方
が接続され、ブレーキシリンダ24,25にはマニュア
ル液圧源30は接続されないで動力液圧源32のみが接
続される。
【0005】マニュアル液圧源30は、ブレーキ操作部
材としてのブレーキペダル36の操作力に対応した液圧
を発生させるマスタシリンダ38を備えている。マスタ
シリンダ38はタンデム式であり、2つの独立した加圧
室に同じ高さの液圧を発生させる。マスタシリンダ38
にはマスタリザーバ39が設けられている。ブレーキペ
ダル36がブレーキ非作用位置にあり、マスタシリンダ
38内の加圧ピストンが後退端位置にある状態では、マ
スタシリンダ38の2つの加圧室はマスタリザーバ39
と連通しており、加圧ピストンが後退端位置から僅かに
前進させられるとマスタリザーバ39から遮断される。
一方の加圧室は液通路40によりブレーキシリンダ18
に接続され、他方の加圧室は液通路42によりブレーキ
シリンダ19に接続されている。液通路40,42には
それぞれ常開の電磁開閉弁から成るマスタ遮断弁44,
46が設けられている。マスタ遮断弁44,46は、電
気系統の異常時等に閉状態から開状態に戻される。前輪
のブレーキシリンダ18,19にマスタシリンダ38の
作動液が供給されることにより、前輪のブレーキ20,
21が作動させられる。
【0006】ブレーキペダル36とマスタシリンダ38
との間にはストロークシミュレータ55が配設されると
ともに、液通路42のマスタ遮断弁46よりマスタシリ
ンダ38側の部分にストロークシミュレータ56がシミ
ュレータ遮断弁57を介して接続されている。シミュレ
ータ遮断弁57は、マスタ遮断弁44,46が閉状態に
ある場合は開状態にされるが、マスタ遮断弁44,46
が開状態にされた場合は閉状態にされて、マスタシリン
ダ38の作動液が無駄にストロークシミュレータ56に
供給されることが回避される。上記ストロークシミュレ
ータ55は、スプリング等の弾性部材を備え、弾性部材
の弾性変形によりブレーキペダル36のマスタシリンダ
38に対する所定量の相対移動を許容する純機械的なも
のであり、ストロークシミュレータ56は、マスタ遮断
弁44,46の閉状態で液圧を増大させつつ作動液を収
容することによりマスタシリンダ38からの作動液の排
出を許容するものであって、2つのストロークシミュレ
ータ55,56が共同して、動力液圧源32を有しない
通常の液圧ブレーキ装置におけるブレーキ操作に似た感
触を運転者に与えるものである。ブレーキペダル36の
踏込ストロークはストロークセンサ58,59によって
検出される。
【0007】動力液圧源32は、それぞれ電動モータ6
0,62により駆動される低圧ポンプ64および高圧ポ
ンプ66を備えている。低圧ポンプ64,高圧ポンプ6
6はともにギヤポンプとされている。また、高圧ポンプ
66は、低圧ポンプ64よりも、限界吐出液圧が高く、
かつ、吐出流量が小さいものとされている。低圧ポンプ
64および高圧ポンプ66の各吐出側には、それぞれ逆
止弁68,70が設けられている。逆止弁68は、高圧
ポンプ66の作動時に、低圧ポンプ64に高圧ポンプ6
6の高い吐出液圧が作用し、低圧ポンプ64から作動液
が漏れたり、高圧ポンプ66から吐出された高圧の作動
液によって低圧ポンプ64が逆転させられたりすること
を防止する。逆止弁70は、高圧ポンプ66から作動液
が漏れることを防止するとともに、低圧ポンプ64のみ
が作動する際に、低圧ポンプ64の吐出液圧に基づいて
高圧ポンプ66が逆方向に回転させられることを防止す
る。また、動力式液圧源32の出力側と低圧側との間に
はリリーフ弁71が設けられ、吐出圧が過大にならない
ようにされている。この動力液圧源32と各ブレーキシ
リンダ18,19,24,25とは液通路72により接
続される。
【0008】各ブレーキシリンダ18,19,24,2
5にそれぞれ対応して、増圧用リニアバルブ76と減圧
用リニアバルブ78とが設けられている。これらは図2
に概略的に示す構造を有し、共に常閉のシート弁であ
る。これら増圧用リニアバルブ,減圧用リニアバルブは
構造が同じものであるため、ブレーキシリンダ18に対
応して設けられた増圧用リニアバルブ76,減圧用リニ
アバルブ78について説明し、他のリニアバルブについ
ての説明を省略する。増圧用リニアバルブ76は、弁座
130とそれに対して着座,離間可能な弁子132とか
ら成るシート弁134を備え、弁子132は、付勢装置
としてのスプリング136により着座方向に付勢されて
いる。弁子132と一体的に可動コア138が設けられ
ており、これに対向して固定コア140が設けられてい
る。これら両コア138,140は上記スプリング13
6により互いに離間させられているが、コイル142に
電流が供給されることにより磁化され、可動コア138
が固定コア140側に吸引される。それにより、弁子1
32が弁座130から離間させられ、シート弁134が
開かれる。増圧用リニアバルブ76は、それ自身の前後
の液圧差が弁子132を弁座130から離間させる向き
に作用する向きで動力液圧源32とブレーキシリンダ1
8との間に接続されている。
【0009】したがって、弁子132は、可動コア13
8,固定コア140およびコイル142から成るソレノ
イド144の電磁駆動力FV1と、シート弁134前後の
液圧差に基づく差圧作用力FV2との和と、スプリング1
36の付勢力FV3とが釣り合う位置で停止することとな
り、コイル142への供給電流の制御による電磁駆動力
V1の制御によって、シート弁134の開度が制御され
るのであり、増圧用リニアバルブ76の開度が制御され
る。また、動力液圧源32の液圧とブレーキシリンダ1
8の液圧との差が小さくなり、差圧作用力FV2と電磁駆
動力FV1との和がスプリング136の付勢力FV3より僅
かに小さくなれば、弁子132が弁座に130に着座し
てシート弁134が閉じるため、コイル142への供給
電流の制御により動力液圧源32の液圧とブレーキシリ
ンダ20の液圧との差が制御される。
【0010】減圧用リニアバルブ78の構造は増圧用リ
ニアバルブ76と同じであるため、互いに対応する構成
要素を同一の符号で示し、説明を省略する。ただし、減
圧用リニアバルブ78は、ブレーキシリンダ18の液圧
とマスタリザーバ39の液圧との差に基づく差圧作用力
V2が、弁子132を弁座130から離間させる向きに
作用するため、コイル142への供給電流の制御によ
り、減圧用リニアバルブ78の開度およびブレーキシリ
ンダ18とマスタリザーバ39との差圧が制御されるこ
とになる。この場合には、マスタリザーバ39の液圧は
実質的に大気圧と見なし得るため、ブレーキシリンダ1
8とマスタリザーバ39との差圧はブレーキシリンダ1
8の液圧となる。
【0011】当該ブレーキシステムは、図3に示す制御
装置170の指令に基づいて制御される。制御装置17
0は液圧制御コンピュータ172を備え、この液圧制御
コンピュータ172は、PU(プロセッシングユニッ
ト)174,ROM176,RAM178,I/Oポー
ト180を備えている。I/Oポート180には、前記
ストロークセンサ58,59、マスタ液圧センサ18
8,189、ポンプ液圧センサ190、前後Gセンサ1
92、各車輪10〜16の回転速度をそれぞれ検出する
車輪速センサ194、その他、旋回状態を検出するため
のヨーレイトセンサ196、横Gセンサ197、操舵角
センサ198等の各種センサが接続されるとともに、前
記電動モータ60,62が駆動回路200を介して接続
されるとともに、マスタ遮断弁44,46等の電磁開閉
弁やリニアバルブ76,78のソレノイドが駆動回路2
02を介して接続されている。これら駆動回路200,
202と液圧制御コンピュータ172とにより制御装置
170が構成される。
【0012】また、ROM176には、図示および説明
を省略するメインルーチンを始めとする他の制御プログ
ラムと共に、図7のフローチャートで表されるリニアバ
ルブ制御量決定プログラム、図8のフローチャートで表
されるブレーキ液圧推定プログラム、図14,15のフ
ローチャートで表される規則修正プログラム、図10〜
13のマップで表されるテーブル等が格納されている。
また、図19のフローチャートで表されるポンプ制御量
決定プログラム、図20のフローチャートで表されるブ
レーキ液圧推定プログラム、図17,18のマップで表
される制御量決定テーブル等が格納されている。PU1
74は、ストロークセンサ58,59を始めとする各種
センサからの情報と、RAM178を利用して上述の各
プログラムを実行し、ブレーキシリンダ18,19,2
4,25の液圧を制御する。
【0013】通常制動時には、マスタ遮断弁44,46
が閉状態にされる。各ブレーキシリンダ18,19,2
4,25は動力液圧源32に連通させられ、動力液圧源
32の液圧により各ブレーキ20,21,26,27が
作動させられる。ブレーキシリンダ18,19,24,
25の液圧は動力液圧源32の制御によって制御した
り、各リニアバルブ76,78の制御によって制御した
り、これら両方の制御によって制御したりすることがで
きる。本実施形態においては、ブレーキシリンダの液圧
の制御においては、図4〜6に示すようにフィードフォ
ワード制御が行われる。ブレーキペダル36のストロー
クとマスタ液圧とに基づいてブレーキ作動力制御アクチ
ュエータ210の制御量が決定される。すなわち、実際
のブレーキシリンダ液圧(以下、実ブレーキ液圧と略称
する)や実ブレーキ力に関連する実ブレーキ力関連量と
しての前後G等がフィードバックされることなく制御量
が決定されるのであり、実ブレーキ液圧とブレーキシリ
ンダ液圧の目標値(以下、目標ブレーキ液圧と略称す
る)との偏差に基づいて決定されるのではない。
【0014】ブレーキ作動力制御アクチュエータ210
は、増圧用,減圧用リニアバルブ76,78およびこれ
ら増圧用,減圧用リニアバルブ76,78のソレノイド
142への供給電流を制御する駆動回路202等によっ
て構成されるものであると考えたり、電動モータ60,
62およびこれら電動モータ60,62への供給電流を
制御する駆動回路200等によって構成されるものであ
ると考えたり、これらの両方によって構成されるもので
あると考えたりすることができる。また、ブレーキ作動
力制御アクチュエータ210は、本実施形態において
は、液圧制御アクチュエータである。以下、ブレーキ作
動力制御アクチュエータ210の制御について説明する
が、まず、ブレーキ液圧が増圧用,減圧用リニアバルブ
76,78のソレノイド142への供給電流量の制御に
より制御される場合について説明する。この場合には、
動力液圧源32は、出力液圧Pp が一定に保たれるよう
に制御される。
【0015】図7のフローチャートで表されるリニアバ
ルブ制御量決定プログラムは、ブレーキ操作中において
予め定められたサイクルタイム毎に実行される。ステッ
プ1(以下、単にS1と略称する。他のステップについ
ても同様とする)において、アンチロック制御中である
か否かが判定される。アンチロック制御中でない場合に
はS2以降が実行され、アンチロック制御中である場合
にはS11においてアンチロック制御が行われる。アン
チロック制御については後述する。S2において、運転
者によるブレーキペダル36の操作状態が検出される。
本実施形態においては、ブレーキペダル36のストロー
クSとマスタ液圧PMCとが操作状態を表す物理量として
検出される。マスタ液圧PMCは、本実施形態において
は、2つのマスタ液圧センサ188,189の検出値の
いずれか一方の値とされる。マスタ液圧センサ188,
189を2つ設ければ、いずれか一方に異常が生じた場
合に他方による検出値を使用することができるため、フ
ェールセーフ上有効である。なお、2つのマスタ液圧セ
ンサ188,189の検出値の平均値をマスタ液圧PMC
として採用することも可能である。ストロークSについ
ても同様であり、本実施形態においては2つのストロー
クセンサ58,59の検出値のいずれか一方の値とされ
るが、2つのセンサ58,59の平均値としてもよい。
【0016】次に、S3において、目標ブレーキ液圧
が、ブレーキ操作状態に基づいて式PWC * =γ(t)×
MC+{1−γ(t)}×S ・・・(1)に従って決
定される。係数γ(t)はブレーキペダル36の踏込開
始からの経過時間tが増大するほど大きくなる値であ
る。なお、目標ブレーキ液圧は、(1) 式ではなく、式 PWC * =γ×PMC+(1−γ)×1/S に従って決定されるようにしたり、一般的に、関数f
(t,S,PMC)に従って決定されるようにしたりする
こともできる。また、推定ブレーキ液圧が読み込まれ
る。ブレーキシリンダの液圧は実際に検出されるのでは
なく、図8のフローチャートで表されるプログラムの実
行に従って推定される。ブレーキシリンダ液圧の推定に
ついては後述する。
【0017】次に、S4において、制御モードがストロ
ークSの変化状態に基づいて決定される。ストロークS
の変化速度dS/dtが正の設定量以上である場合には
増圧モードとされ、負の設定量以下である場合には減圧
モードとされ、それ以外の場合には、保持モードとされ
る。なお、制御モードは、ストロークSではなくマスタ
液圧PMCの変化速度に基づいて決定したり、ストローク
Sとマスタ液圧PMCとの両方の変化速度に基づいて決定
したりすることができる。また、推定ブレーキ液圧と目
標ブレーキ液圧との偏差に基づいて決定したり、偏差
と、ストロークSとマスタ液圧PMCとの少なくとも一方
の変化速度とに基づいて決定したりすることができる。
【0018】S5において、決定された制御モードが増
圧モードであるか減圧モードであるか保持モードである
かが判定される。制御モードが増圧モードである場合に
は、S6において、減圧用リニアバルブ78のソレノイ
ド142への供給電流量IVRが0とされ、増圧用リニア
バルブ76のソレノイド142への供給電流量IVAがブ
レーキ操作状態等に基づいて決定される。S7におい
て、それぞれのリニアバルブに対応する駆動回路202
が供給電流量IVA,IVR(以下、IVA,IVRのいずれか
一方あるいは両方を表す場合において、これらを区別す
る必要がない場合には、単に、IV と記載することがあ
る。)で表される制御量で制御される。この場合には、
減圧用リニアバルブ78は閉状態に保たれ、増圧用リニ
アバルブ76は、供給電流量IVAに応じた開度で開かれ
る。また、前後の差圧が供給電流量IVAに応じた大きさ
に制御される。保持モードである場合には、S8におい
て、増圧用リニアバルブ76への供給電流量IVAも減圧
用リニアバルブ78への供給電流量IVRも0とされる。
この場合には、増圧用リニアバルブ76も減圧用リニア
バルブ78も閉じたままである。減圧モードである場合
には、S9において、増圧用リニアバルブ76への供給
電流量IVAが0とされ、減圧用リニアバルブ78への供
給電流量IVRがブレーキ操作状態に基づいて決定され
る。増圧用リニアバルブ76は閉状態に保たれ、減圧用
リニアバルブ76は、供給電流量IVRに応じた開度で開
かれる。また、ブレーキ液圧が供給電流量IVRに応じた
大きさに制御される。
【0019】本実施形態における制御においては、図5
に示すように、リニアバルブをオリフィスモデルとして
考える。この場合には、増圧用リニアバルブ76への供
給電流量IVA,減圧用リニアバルブ78への供給電流量
VRを入力値とし、ブレーキ液圧を出力値とすることが
できる。そして、これら供給電流量IVA,IVR(入力
値)がそれぞれブレーキ液圧(出力値)が目標ブレーキ
液圧PWC * になるように決定される。本実施形態におい
ては、出力値に基づいて入力値が求められるのであり、
出力値に基づいて入力値を求めることを逆モデル解法と
称する。リニアバルブ76,78においては、前述のよ
うに、ソレノイド142への電流の供給によって生じる
電磁駆動力FV1と、前後の差圧による差圧作用力F
V2と、スプリング136の付勢力FV3とが作用し、電磁
駆動力FV1と差圧作用力FV2との和がスプリング136
の付勢力FV3より大きい間、すなわち、式 FV1+FV2>FV3 ・・・・(2) が満たされる間、開状態に保たれる。
【0020】上記(2) 式から、リニアバルブ76,78
が開状態にある場合の開口面積は、差圧作用力FV2が大
きく、電磁駆動力FV1が大きいほど大きくなることがわ
かる。図10に示すように、ソレノイド142への供給
電流量IV が一定である場合には、差圧ΔPが大きいほ
ど大きくなり、差圧ΔPが一定である場合には、供給電
流量IV の増加に伴って大きくなる。本実施形態におい
ては、供給電流量IV,差圧ΔPと開口面積AV との関
係が予めテーブル化されてROM176に格納されてい
る。ここで、電磁駆動力FV1は、図9に示すように、ソ
レノイド142への供給電流量IV の変化に応じてリニ
アに変化する。また、差圧ΔPは、増圧用リニアバルブ
76,減圧用リニアバルブ78の各々において別個に求
められる。増圧用リニアバルブ76においては、動力液
圧源32の出力液圧Pp と推定ブレーキ液圧PWCとの差 ΔPin=Pp −PWC ・・・(3) であり、減圧用リニアバルブ78においては、推定ブレ
ーキ液圧PWCそのままの大きさ ΔPout =PWC ・・・(4) となる。
【0021】また、リニアバルブ76,78を流れる作
動液の流量QV は、開口面積AV 、流量係数C,密度ρ
とした場合に、よく知られたオリフィスの式 QVA=C・AVA・√(2ΔPin/ρ) ・・・(5) QVR=C・AVR・√(2ΔPout /ρ) ・・・(6) に従って求めることができる。このリニアバルブ76,
78を流れる作動液の流量QV を時間で積分すれば、そ
の時間に、ブレーキシリンダに、増圧用リニアバルブ7
6を経て供給された作動液の量(流入液量)、減圧用リ
ニアバルブ78を経て流出させられた作動液の量(流出
液量)を求めることができ、ブレーキ作動開始時からの
流入液量qinと流出液量qout とに基づけば、現時点に
ブレーキシリンダに存在する液量、すなわち、消費液量
V を求めることができる。また、消費液量qV とブレ
ーキシリンダ液圧Pwcとの間には、図11に示す関係が
あることが知られているため、消費液量qV に基づいて
ブレーキシリンダの液圧を推定することができる。 なお、ブレーキ液圧Pwcは、式 Pwc=0(qV <q0 の場合) Pwc=m0 ×qV −m1 (qV ≧q0 の場合) に従って推定することができる。消費液量が液量q0
上である場合には、ブレーキ液圧は消費液量の増加に伴
って直線的に変化すると考えることができるのである。
【0022】図8のフローチャートで表されるブレーキ
液圧推定プログラムは予め定められたサイクルタイム毎
に実行される。なお、推定ブレーキ液圧PWC(n) の初期
値は0である。S21において、増圧用リニアバルブ7
6の差圧ΔPin,減圧用リニアバルブ78の差圧ΔPou
t がそれぞれ求められ、S22において、増圧用リニア
バルブ76,減圧用リニアバルブ78の開口面積AVA
VRが、図10のテーブルに従って、供給電流量IVA
VRと前後の差圧ΔPin,ΔPout とに基づいて求めら
れる。S23において、その開口面積AVA,AVRを経て
流れる作動液の流量QVA,QVRが求められ、S24にお
いて、本プログラムの実行サイクル時間で積分されるこ
とによって、流入液量qin,流出液量qout が求められ
る。増圧用リニアバルブ76と減圧用リニアバルブ78
との両方に同時に電流が供給されることはないため、増
圧用リニアバルブ76を経て流入させられる流入液量と
減圧用リニアバルブ78を経て流出させられる流出液量
とのいずれか一方が求められるのである。
【0023】S25において、本プログラムの前回の実
行時から今回の実行時までの間における作動液の変化量
(qin−qout )が求められ、前回の推定時にブレーキ
シリンダに存在した作動液の量、すなわち、前回の消費
液量q(n) に変化量を加えることによって、今回の消費
液量q(n+1) が求められる。そして、S26において、
今回の消費液量q(n+1) に基づいて図11のマップで表
されるテーブルに従ってブレーキ液圧が推定される。な
お、リニアバルブを介して作動液の流入,流出が行われ
る場合のブレーキシリンダの液圧の推定については、本
願出願人によって、先に出願されて公開された特開平1
1−59407号公報に記載されているため、詳細な説
明は省略する。
【0024】増圧用リニアバルブ76,減圧用リニアバ
ルブ78への供給電流量は、図12,13のマップで表
されるテーブルに従って決定される。増圧用,減圧用リ
ニアバルブ76,78においては、(2) 式に示すよう
に、電磁駆動力FV1と差圧作用力FV2との和がスプリン
グ136の付勢力FV3より僅かに大きくなった場合(F
V1>FV3−FV2)に閉状態から開状態に切り換えられ
る。この閉状態から開状態に切り換える際に必要な供給
電流を開弁電流Iopenと称する。また、開状態に保つた
めには、差圧作用力FV2が小さい場合は大きな電磁駆動
力FV1が必要であるが、リニアバルブを経て作動液が流
れると前後の差圧が小さくなるため、実ブレーキ液圧が
目標ブレーキ液圧に達するまでの間、開状態を保つため
には、そのブレーキ液圧の変化分に応じた電流が必要と
なる。したがって、リニアバルブへの供給電流量である
制御量は、図12のテーブルで表される開弁電流Iopen
と、図13のテーブルで表される目標ブレーキ液圧に近
づけるための液圧変化対応電流ID との和として決定さ
れるのである。
【0025】なお、図12,13のテーブルを作成して
格納させておくことは不可欠ではなく、リニアバルブへ
の供給電流量は式に従って決定されるようにすることが
できる。増圧用リニアバルブ76についての供給電流量
(制御量)IVAは、式 IVA=Iopen+ID ・・・(7) Iopen=k1 ・ΔPin+k2 ・・・(8) ID =k3 ・dPWC * /dt ・・・(9) に従って求められ、減圧用リニアバルブについての供給
電流量IVRは、式 IVR=Iopen+ID ・・・(10) Iopen=k4 ・ΔPout +k5 ・・・(11) ID =k6 ・dPWC * /dt ・・・(12) に従って求められる。ここにおいて、k1 〜k6 は係数
である(図12,13より、k1 ,k4 は負の値で、k
3 ,k6 は正の値である)。このように、リニアバルブ
76,78への供給電流量とブレーキシリンダの液圧P
wcとの間には一定の関係があるのであり、ブレーキ操作
状態に対応する目標ブレーキ液圧が得られるように、供
給電流量を求めることができる。なお、図13のマップ
で表されるテーブルは、目標ブレーキ液圧の変化量と液
圧変化対応電流との関係を表すものであったが、マスタ
液圧の変化量と液圧変化対応電流との関係を表すものと
することもできる。マスタ液圧を目標ブレーキ液圧とす
ることも可能なのである。
【0026】運転者によるブレーキペダル36の操作ス
トロークや操作力が増加すると、それに応じて目標ブレ
ーキ液圧が増加させられ、操作ストロークや操作力が減
少すると目標ブレーキ液圧が減少させられる。増圧モー
ドが設定された場合には、増圧用リニアバルブ76への
制御量がブレーキ操作状態に基づいて決定される。ブレ
ーキシリンダには動力液圧源32の作動液が増圧用リニ
アバルブ76を経て供給されることにより液圧が増加さ
せられる。ブレーキの作動力が増加させられるのであ
り、作動力が路面の摩擦係数μに対して過大でない間
は、作動力の増加に伴って車両の減速度が増加させられ
る。ブレーキの作動力がブレーキ操作状態に応じて制御
されるため、運転者のブレーキ操作状態に対応する減速
度を得ることができる。減圧モードが設定された場合に
は、減圧用リニアバルブ78への制御量がブレーキ操作
状態に基づいて決定される。ブレーキシリンダの作動液
が減圧用リニアバルブ78を経てマスタリザーバ39に
流出させられることにより、液圧が減圧させられる。ブ
レーキの作動力が減少させられ、減速度が減少させられ
る。保持モードが設定された場合には、増圧用リニアバ
ルブ76も減圧用リニアバルブ78も閉状態にされる。
ブレーキ液圧が保持され、ブレーキの作動力が保持され
る。
【0027】このように、本実施形態においては、増圧
用,減圧用リニアバルブ76,78への供給電流量であ
る制御量がブレーキ操作状態に基づいて決定され、フィ
ードバック制御が行われるわけではない。そのため、実
際のブレーキ液圧が、運転者の意図する減速度(ブレー
キ操作状態に対応する)を実現し得る大きさに制御され
ない場合もある。この場合には、運転者によってブレー
キペダル36の操作ストロークや操作力が修正されるの
が普通である。それに対して、本実施形態においては、
制御量が操作ストロークや操作力に基づいて決定される
ため、これら操作状態の変化に応じて、ブレーキ液圧が
変化させられ、運転者の意図する減速度が得られること
になる。
【0028】また、本実施形態においては上述のテーブ
ルやモデル式(式に用いられる係数)等が学習によって
修正される。図14のフローチャートで表される規則修
正プログラムは、制御量決定プログラムのサイクルタイ
ムに対して十分に長い設定時間毎に実行される。S41
において、システムが正常であるか否か、S42におい
て、アンチロック制御中であるか否か、S43におい
て、通常ブレーキ制御中であるか否かが判定される。シ
ステムが正常であり、通常ブレーキ制御中である場合に
は、S44において、前後Gセンサ190によって減速
度Gが検出され、S45において、修正必要条件が満た
されるか否かが判定される。修正必要条件が満たされた
場合には、S46において修正が行われる。本実施形態
においては、図13のテーブルの修正、すなわち、上述
の(9) 式,(12)式の係数k3 , k6 の修正が行われるよ
うにされている。
【0029】修正必要条件は、本実施形態においては、
(a) 実際の減速度Gから目標ブレーキ液圧に対応して決
まる目標減速度G* を引いた減速度偏差がしきい値α1
以上であり、かつ、操作ストロークの増加速度がしきい
値β1 より小さいこと、すなわち、式 G−G* ≧α1 、かつ、0<dS/dt<β1 ・・・(13) が満たされること(b) 上述の減速度偏差が負のしきい値
α2 より小さく、かつ、操作ストロークの増加速度がし
きい値β2 以上であること、すなわち、式 G−G* ≦α2 、かつ、dS/dt>β2 ・・・(14) が満たされること(c) 減速度Gの変化速度dG/dtの
絶対値がしきい値γ1 以上であり、かつ、操作ストロー
クの変化速度の絶対値がしきい値γ2 以下であること、
すなわち、式 |dG/dt|≧γ1 、かつ、|dS/dt|≦γ2 ・・・(15) が満たされることの(a), (b), (c) の少なくとも1つの
条件が満たされた場合に修正必要条件が満たされたとさ
れる。なお、目標減速度G* は、目標ブレーキ液圧PWC
* に対応する値であり、乾燥アスファルト路において、
ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧PWC * に制御された場
合に得られる減速度である。
【0030】図15のフローチャートにおいて、S61
において、減速度Gの変化速度dG/dtの絶対値がし
きい値γ1 以上であるか否かが判定され、S62におい
て、減速度偏差がしきい値α1 以上であるか否かが判定
される。減速度偏差がしきい値α1 以上である場合に
は、S63において、操作ストロークの増加速度がしき
い値β1 より小さいか否かが判定される。S62,63
において上述の(a)の条件が満たされるか否かが判定
されるのである。満たされた場合には、S64において
ゲインが小さくされる。操作ストロークの増加速度が小
さいのに、減速度偏差が大きい場合には、ハンチングが
生じるおそれがあるため、ゲインが小さくされるのであ
り、本実施形態においては、図13の直線の傾きΦが破
線で示すように小さくされる。このことは、上述の(9)
式の係数k3が小さくされることに対応する。操作スト
ロークの増加中においては、保持モードと増圧モードと
のいずれか一方が設定されるのであり、増圧モードが設
定されている場合には、増圧用リニアバルブ76に電流
が供給された状態にある。そのため、増圧用リニアバル
ブ用のテーブルが修正されるのであり、減圧用リニアバ
ルブ用のテーブルを修正する必要はないのである。
【0031】それに対して、S65において、減速度偏
差が負のしきい値α2 以下であるか否かが判定され、S
66において、操作ストロークの増加速度がしきい値β
2 より大きいか否かが判定される。S65,66におい
て上述の(b)の条件が満たされるか否かが判定され
る。満たされた場合には、S67において、ゲインが大
きくされる。制御遅れが生じているのであり、図13の
直線の傾きΦが一点鎖線で表されるように大きくされる
のであり、上述の係数k3 が大きくされることに対応す
る。この場合においても増圧用リニアバルブ用のテーブ
ルが修正されることになる。また、実際の減速度の変化
速度の絶対値がしきい値γ1 以上である場合には、スト
ロークの変化速度の絶対値がしきい値γ2 以下であるか
否かが判定される。S61,68において、条件(c)
が満たされるか否かが判定されるのである。満たされた
場合には、ハンチングが生じるおそれがあるため、S6
9において、ゲインが小さくされる。図13の直線の傾
きΦが破線で表されるように小さくされる。この場合に
は、(9) 式, (12)式の係数k3 ,k6 が小さくされるの
であり、増圧用リニアバルブ用テーブルも減圧用リニア
バルブ用テーブルも修正されることになる。
【0032】このように、制御量を決定する際のテーブ
ルが学習により修正されるようにすれば、ブレーキ操作
状態に対応する減速度が得られるように精度よく制御量
を決定することができる。なお、テーブルの修正におい
ては、傾きΦの修正勾配ΔΦは、一定の大きさとして
も、目標減速度と実減速度との差に応じた大きさとして
もよい。また、図13のマップで表されるテーブルでは
なく、図12のマップで表されるテーブルが補正される
ようにすることもできる。この場合には、S64,69
においては、破線で表される直線に修正され、S67に
おいては、一点鎖線で表される直線に修正される。直線
は平行移動させることによって修正してもよいが、傾き
を変えることによって修正することもできる。さらに、
平行移動させる場合の移動量ΔIopenは、上述の場合と
同様に、一定であっても、実減速度と目標減速度との差
に応じた大きさであってもよい。この場合には、(8) 式
の係数k1 , k2 と(11)式の係数k4 , k5 との少なく
とも一方が変更されることになる。
【0033】なお、減速度は、前後Gセンサ192では
なく、車輪速センサ194によって検出された車輪速度
の微分値に基づいて検出されるようにすることもでき
る。その場合には、前後Gセンサ192が不要となり、
さらに、コストダウンを図ることができる。また、上記
実施形態においては、動力液圧源32の出力液圧Pp が
一定となるように、電動モータ60,62が制御される
ようにされていたが、電動モータ60,62への供給電
流量が一定に保たれるようにしてもよい。この場合に
は、動力式液圧源32の出力液圧Pp は、ポンプ液圧セ
ンサ190によって検出された検出値が採用されるよう
にすることが望ましい。
【0034】さらに、増圧用,減圧用リニアバルブ7
6,78への制御量は、他の方法で決定することもでき
る。例えば、前後の差圧に基づいて開弁電流Iopenを求
めることは不可欠ではなく、差圧が、目標ブレーキ液圧
と動力液圧源32の出力液圧Pp あるいはマスタリザー
バ39の液圧との差に対応する大きさになるように、供
給電流量を決定することも可能なのである。この場合に
は、ブレーキ液圧を推定する必要がなくなり、その分、
制御が容易になる。また、リニアバルブ76,78への
供給電流量が、テーブルに従って決定されるようにする
ことができる。例えば、目標ブレーキ液圧と、目標ブレ
ーキ液圧の変化量と、供給電流量との関係をテーブル化
しておくのである。テーブルは、実験データに基づいて
作成しても、理論的(モデル式に基づいて)に作成して
もよい。また、規則の修正は、操作ストロークが増加中
である場合に行われて減少中である場合には行われない
ようにすることができる。操作ストロークが増加中であ
る場合の方が、制御遅れか否かを精度よく検出すること
ができるのである。
【0035】次に、前述のS10において実行されるア
ンチロック制御について説明する。各車輪10,12,
14,16のスリップ状態は、車輪速センサ194の出
力値に基づいてそれぞれ検出されるが、少なくとも1輪
のスリップ状態が過大になるとアンチロック制御が開始
される。アンチロック制御においては、各車輪のスリッ
プ状態が路面の摩擦係数μに応じて決まる適正な状態に
なるように、各車輪に対応するリニアバルブ76,78
への供給電流量がそれぞれ決定される。アンチロック制
御中においては、スリップ状態としてのスリップ率とス
リップ率の変化勾配とに基づいて、増圧モード,減圧モ
ード,保持モードのいずれかが決定される。減圧モード
が設定された場合には、増圧用リニアバルブ76への供
給電流量I VAが0とされ、減圧用リニアバルブ78への
供給電流量IVRが予め定められた勾配で増加させられ
る。上述の図12のテーブルに従って決まる開弁電流I
openがその時点の差圧ΔPout に従って決定され、液圧
変化対応電流ID が予め定められた勾配で増加させられ
る(ID =k8 ・n)。nは、図4のプログラムの実行
回数であり、減圧モードが設定されている間、nの増加
に伴って供給電流量IVRが漸増させられる(IVR=I
open+ID )。増圧モードが設定された場合には、減圧
用リニアバルブ78への供給電流量I VRが0とされ、増
圧用リニアバルブ76への供給電流量IVAが予め定めら
れた勾配で増加させられる(IVA=Iopen+ID )。上
述のように、開弁電流Iopenが差圧ΔPinに従って決定
され、液圧変化対応電流ID が予め定められた勾配で増
加させられる(ID =k9 ・n)。
【0036】また、車両の旋回状態が過度のスピン状態
あるいはドリフトアウト状態になると、ビークルスタビ
リティ制御が行われる。過度のスピン状態あるいはドリ
フトアウト状態にあるか否かは、ステアリングホイール
の操舵角,ヨーレイト,横加速度等に基づいて検出され
る。過度のスピン状態あるいはドリフトアウト状態にあ
ることが検出された場合には、そのスピン状態を抑制す
るスピン抑制モーメントが生じるように、各車輪の目標
ブレーキ液圧がそれぞれ決定され、ドリフトアウト状態
にあることが検出された場合には、そのドリフトアウト
状態を抑制するドリフトアウト抑制モーメントが生じる
ように、各車輪の目標ブレーキ液圧がそれぞれ決定され
る。各車輪の実ブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧と同じ
になるように、通常制動時における場合と同様に、各車
輪のリニアバルブ76,78への供給電流量が決定され
る。非ブレーキ作動中にビークルスタビリティ制御が行
われる場合には、動力液圧源32が作動させられる。マ
スタシリンダ36に液圧が発生していなくても、ブレー
キシリンダに作動液を供給することができる。この場合
には、低圧ポンプ64を作動させれば十分である。
【0037】次に、ブレーキ作動力制御アクチュエータ
210に含まれる動力液圧源32が制御される場合につ
いて説明する。図6に示すように、ポンプ64,66の
作動状態は電動モータ60,62の作動状態等に基づい
て決まる。電動モータ60,62においては、供給電流
量の増加に伴って出力トルクが増加し、負荷トルクが一
定である場合には出力軸の回転数が大きくなる。また、
ポンプ64,66に加わる負荷トルクは、吐出流量が大
きく、吐出圧が大きい場合に大きくなる。これらの事情
を考慮すれば、ポンプ64,66の作動状態と電動モー
タ60,62への供給電流量とを関連付けることができ
る。
【0038】例えば、ポンプから吐出される作動液の吐
出流量Qp は、回転数Nと1回転当たりの吐出量Vp と
に基づいて式 Qp =Vp ・N/60 ・・・(16) に従って求めることができる。また、回転数Nは電動モ
ータへの供給電流量IM に基づいて決まるのであり、例
えば、一次関数により、式 N=ka ・IM −kb ・・・(17) により近似できる。(16)式, (17)式から、吐出流量Qp
は、式 Qp =Vp ( ka ・IM −kb)/60 ・・・(18) に従って求めることができるのであり、吐出流量Qp
は、電動モータへの供給電流量IM の増加に伴って大き
くなることがわかる。上述の(16)式ないし(18)式の各々
において、吐出流量Qp 、回転数Nは、低圧ポンプ6
4,高圧ポンプ66のそれぞれについて別個に求められ
る。
【0039】低圧ポンプ64,高圧ポンプ66の作動特
性を図16に示す。図16に示すように、必要な吐出液
圧PP が比較的小さい場合には低圧ポンプ64の作動の
みで要求を満たし得るが、必要な吐出液圧PP が大きく
なれば高圧ポンプ66を作動させる必要がある。また、
必要な増圧速度dPP /dtが比較的小さい場合には低
圧ポンプ64のみの吐出流量で実現し得るが、必要な増
圧速度dPP /dtが大きくなれば、低圧ポンプ64と
高圧ポンプ66との両方を作動させることが必要にな
る。したがって、図16の領域Aにおいては低圧ポンプ
64のみが作動させられ、それを越える領域Bにおいて
は、低圧ポンプ64と高圧ポンプ66との両方が作動さ
せられる。
【0040】この図16のマップで表される特性や上述
の(18)式等に基づいて図17,18のマップで表される
テーブルが作成される。目標吐出液圧Pp がマスタ圧P
MCに対応し、目標増圧速度dPp /dtがストロークの
増加速度dS/dtに対応すると考えて、マスタ液圧P
MC,ストロークの増加速度dS/dtと各電動モータ6
0,62への供給電流量との関係を表すテーブルが作成
されるのである。具体的には、予め定められた量の電流
が供給される状態で、制御可能な入力値(本実施形態に
おいては、ストロークの増加速度とマスタ液圧)の範囲
が求められ、それに基づいて入力値の刻み幅が決定さ
れ、これら供給電流量(制御量)と入力値との関係に基
づいてテーブルが作成される。また、ストロークの増加
速度を一定にした状態でマスタ液圧を変化させ、一定の
電流で目標吐出液圧を実現し得る範囲を求めて、入力値
の刻み幅を決定することもできる。ストロークの増加速
度が小さい場合やマスタ液圧が小さい場合には、図18
に示すように、高圧ポンプ用マップで表されるテーブル
の制御量は0となっている。図16の領域Aにおいて
は、高圧ポンプ66は非作動状態に保たれるのである。
このように、本実施形態においては、各電動モータ6
0,62への供給電流量である制御量が、ブレーキ操作
状態のみに基づいて決定されることになる。なお、マス
タ圧PMCの代わりに目標ブレーキ液圧PWC * としてもよ
い。この場合には、目標吐出液圧Pp が目標ブレーキ液
圧PWC * に対応する。
【0041】動力液圧源32の制御が行われる場合にお
いて、ブレーキ液圧を増圧する場合には、原則として、
増圧用リニアバルブ76は開状態に保たれ、減圧用リニ
アルブ78が閉状態に保たれる。ブレーキ液圧は動力液
圧源32の制御によって制御される。増圧用リニアバル
ブ76の制御によって制御されるわけではないため、各
ブレーキシリンダ18,19,24,25の液圧のバラ
ツキを小さくすることができる。ブレーキ液圧を減圧す
る場合には、増圧用リニアバルブ76が閉状態にされた
状態で、減圧用リニアルブ78が制御される。
【0042】ブレーキシリンダには動力液圧源32から
作動液が供給され、その液圧によってブレーキが作動さ
せられることになるのであるが、動力液圧源32とブレ
ーキシリンダとの間の増圧用リニアバルブ76は、増圧
時には最大の開口面積で開状態にされる。そのため、オ
リフィスのモデルを考える必要は必ずしもなく、ポンプ
から吐出された作動液がオリフィスを経ることなくブレ
ーキシリンダに供給されると考えることができる。前述
の流量Qp を時間で積分すれば、ブレーキシリンダへ供
給される流入作動液量を求めることができる。それに対
して、ブレーキシリンダからは、減圧用リニアバルブ7
8を経て作動液が流出させられるため、減圧用リニアバ
ルブ78を経て流出させられる流出作動液量が上述の場
合と同様に求められる。流入作動液量と流出作動液量と
に基づいて現時点にブレーキシリンダに存在する作動液
量q、すなわち、消費液量が求められ、図11のマップ
で表されるテーブルに従ってブレーキシリンダの液圧が
推定される。
【0043】図19のフローチャートで表されるモータ
制御量決定プログラムは、ブレーキ操作中においては、
予め定められたサイクルタイム毎に実行される。S81
において、アンチロック制御中か否かが判定され、アン
チロック制御中でない場合には、S82において、スト
ロークS,マスタ液圧PMCが検出され、S83におい
て、推定ブレーキ液圧が読み込まれ、目標ブレーキ液圧
が求められ、S84において制御モードが決定される。
制御モードが増圧モードである場合には、S86におい
て、電動モータ60,62への少なくとも一方への供給
電流量IM が図17,18のマップで表されるテーブル
に従って決定される。また、S87において、増圧用リ
ニアバルブ76への供給電流量がMAXとされ減圧用リ
ニアバルブ78への供給電流量は0とされる。
【0044】S88において、駆動回路200が供給電
流量IM である制御量で制御され、S89において、増
圧用リニアバルブ76に対応するの駆動回路202が供
給電流量IVA(MAX)である制御量で制御され、減圧
用リニアバルブ78に対応する駆動回路202が供給電
流量IVR(0)である制御量で制御される。動力液圧源
32が作動させられ、動力液圧源32から吐出された作
動液が最大の開口面積で開状態にされた増圧用リニアバ
ルブ76を経てブレーキシリンダに供給される。また、
減圧用リニアバルブ78は閉状態にされる。
【0045】減圧モードである場合には、S90におい
て、電動モータへの供給電流量IMは0にされる。ここ
では、操作ストロークの増加速度は0より小さく、図1
7,18のテーブルに対応する制御量が設けられていな
いため、0にされるのである。S91において、増圧用
リニアバルブ76への供給電流量IVAが0とされ、減圧
用リニアバルブ78への供給電流量IVRが上述の場合と
同様に決定される。減圧用リニアバルブ78の前後の差
圧ΔPout と目標ブレーキ液圧の変化量dPWC * /dt
とに基づいて決定される。ブレーキ液圧の推定について
は後述する。なお、減圧モードである場合において、電
動モータへの供給電流量IM は、減圧モードが設定され
た場合の値に保たれるようにしたり、予め定められた設
定量とされたり、操作ストロークの増加速度を0とした
場合のマスタ液圧に基づいて決まる制御量にしたりする
ことができる。制御モードが保持モードである場合に
は、S92,93においてモータ電流量IM とリニアバ
ルブ76,78への供給電流量IVA,IVRが決定される
が、この場合には、いずれの制御量も0である。なお、
保持モードである場合における電動モータへの供給電流
量IM は、減圧モードが設定された場合と同様に決定す
ることができる。
【0046】ブレーキシリンダの液圧は上述の場合と同
様に推定されるのであるが、本実施形態においては、ブ
レーキシリンダに供給される流入作動液量は動力液圧源
32から供給される作動液の流量に基づいて取得され
る。動力液圧源32が非作動状態にある場合には吐出流
量Qが0となる。電動モータへの供給電流量IM が0で
あり、ポンプの回転数が0の場合である。また、減圧用
リニアバルブ78が閉状態にある場合には、開度AVR
0である。S111,112において、高圧ポンプ6
6,低圧ポンプ64の吐出流量QPH,QPLが、ぞれぞれ
電動モータ62,60への供給電流量IMH,IMLに基づ
いて求められ、S113において、ブレーキシリンダに
動力液圧源32から供給された流入作動液量qinが求め
られる。ブレーキシリンダへの流入作動液量は、2つの
ポンプ64,66からそれぞれ供給された作動液量の和
として求められる。S114〜117において、ブレー
キシリンダから減圧用リニアバルブ78を経て流出させ
られた流出作動液量が求められ、S118,119にお
いて、今回の消費液量q(n+1) 求められ、図11のテー
ブルに従って推定ブレーキ液圧が求められる。
【0047】電動モータ60,62への供給電流量を決
定する際の図17,18のテーブルは、上述の場合と同
様に学習によって修正される。ストロークの増加速度、
マスタ液圧と供給電流量との関係が変更されるのであ
り、上述の場合において、ゲインを小さくする場合に
は、テーブルの値、すなわち、制御量自体が小さくさ
れ、ゲインを大きくする場合には、制御量自体が大きく
される。この場合には、テーブルが複数種類記憶されて
おり、複数のテーブルのうちの1つが、実減速度と目標
減速度との差、ブレーキ操作状態等に基づいて適宜選択
されるようにすることもできる。テーブルの修正は、部
分的に行われても全体で行われてもよい。実際の電流量
が決定された部分およびその周辺の値のみが変更される
ようにしてもよいのである。なお、図17,18のマッ
プで表されるテーブルの修正において、制御量のみでな
く、入力値の刻み幅、すなわち、操作ストロークの増加
速度の変化幅、マスタ液圧の変化幅も修正されるように
することができる。
【0048】運転者によるブレーキ操作により、操作ス
トロークやマスタ液圧が、図21に示すように変化させ
られた場合には、マスタ液圧の増加に伴って電動モータ
60,62の少なくとも一方への供給電流量が増加させ
られ、ブレーキシリンダの液圧が増加させられる。モー
タ60,62への供給電流量がテーブルに従って決定さ
れるため、制御が容易となる。また、入力値が刻み幅で
決まる範囲内において変化しても制御量は一定に保たれ
る。そのため、制御量の振動を抑制することができ、制
御を安定して行うことが可能となる。制御量の振動は、
フィードバック制御が行われないことによっても抑制さ
れる。ブレーキ操作状態が一定であれば、制御量も一定
なのであり、目標値と実際の値との偏差に基づいて変動
させられることがないのである。さらに、テーブルを使
用すれば、制御を容易にすることができ、制御回路を簡
単にすることができ、その分、コストダウンを図ること
ができる。
【0049】さらに、供給電流量の変化量が大きい場合
には、供給電流量を段階的に変化させることもできる。
図22に示すように、2つの制御量の間の値(以下、補
間値と称する)が演算式に従って決定され、補間値に基
づいて制御量が決定されるようにする。このように制御
すれば、供給電流量の急激な変化を抑制し、ブレーキ液
圧の変化を滑らかにすることができ、制動フィーリング
の低下を抑制することができる。補間値に基づく制御量
の決定は、供給電流量の変化量が予め定められた設定量
以上である場合に行われるようにしても、変化量が設定
量以上であるか否かに関係なく行われるようにしてもよ
い。
【0050】さらに、動力式液圧源32の制御と増圧用
リニアバルブ76,減圧用リニアバルブ78の制御との
両方が行われるようにすることもできる。増圧用リニア
バルブ76への供給電流量が増圧時にも制御されるよう
にするのであり、ブレーキシリンダには、動力液圧源3
2から吐出された作動液が増圧用リニアバルブ76によ
って絞られて供給されることになる。ポンプのモデルと
オリフィスのモデルとを組み合わせた制御が行われるこ
とになる。
【0051】アンチロック制御は、上述の場合と同様に
行われるのであるが、アンチロック制御中においては、
動力液圧源32が出力液圧Pp が一定になるように制御
されることが望ましい。
【0052】以上のように、本実施形態においては、液
圧制御装置170の図7のフローチャートで表されるリ
ニアバルブ制御量決定プログラムを記憶する部分,実行
する部分、図19のフローチャートで表されるモータ制
御量決定プログラムを記憶する部分,実行する部分、図
10〜13,17,18のテーブルを記憶する部分、図
14のフローチャートで表される規則修正プログラムを
記憶する部分,実行する部分等により、制御量決定装置
が構成される。制御量決定装置のうち、図9〜13,1
7,18のテーブルを記憶する部分によって規則記憶部
が構成され、液圧制御装置170の図14のフローチャ
ートで表される規則修正プログラムを記憶する部分,実
行する部分等により規則修正部が構成される。
【0053】なお、電動モータ60,62への供給電流
量は、テーブルではなく、モデル式に従って決定される
ようにすることもできる。また、液圧ブレーキ装置の構
造は、上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、
上記実施形態においては、ブレーキシリンダ18,1
9,24,25の各々に対応してリニアバルブ76,7
8が設けられていたが、電磁開閉弁としてもよい。増圧
モードに決定された場合には、増圧用開閉弁が開状態
に、減圧用開閉弁が閉状態にされた状態で動力液圧源3
2の制御により制御される。減圧モードに決定された場
合には、増圧用開閉弁が閉状態に、減圧用開閉弁が制御
量としてのON時間だけ開状態にされるようにする。減
圧用開閉弁の制御量としてのON時間が、ストロークの
変化速度やマスタ液圧に基づいて決定される場合には、
ブレーキシリンダの液圧を推定する必要がなくなり、制
御をさらに容易にすることができる。本実施形態におい
ては、モータへの制御量も減圧用開閉弁への制御量もブ
レーキ操作状態に基づいて決定されることになる。ま
た、増圧時において、ブレーキ液圧が動力液圧源32の
制御によって制御される場合には、増圧用電磁制御弁は
不可欠ではない。なお、電磁開閉弁がデューティ制御さ
れる場合には、ON時間に対応するデューティ比で開閉
させられる。
【0054】さらに、電動モータ60,62への制御電
流量を決定する際のテーブルは上記実施形態におけるそ
れに限らない。例えば、高圧モータ62については、供
給電流量が制御されるのではなく、ON,OFF制御が
行われるようにすることもできる。この場合には、例え
ば、マスタ圧PMCが40MPa以上,ストロークの増加
速度が40mm/sec以上の場合にONにされ、それ以外の
場合にはOFFにされるようにテーブルを作成し、その
テーブルに基づいて高圧モータ62が制御されるように
することができる。また、テーブルは2次元に限らず3
次元以上のものとすることができる。例えば、ストロー
クの増加速度,マスタ圧.マスタ圧の増加速度と供給電
流量との関係を表すテーブルを作成し、その3次元のテ
ーブルに基づいて低圧ポンプ60と高圧ポンプ62との
少なくとも一方が制御されるようにするのである。
【0055】さらに、動力式液圧源は、含まれるポンプ
が1つのものであってもよい。この場合には、モータへ
の供給電流量を決定するテーブルは1つでよい。また、
図23に示すように、アキュムレータを含むものとする
こともできる。本実施形態においては、動力液圧源25
0が、アキュムレータ252の液圧が設定範囲内に保た
れるように、ポンプ254を駆動する電動モータ256
が制御される。アキュムレータ252の液圧は、液圧セ
ンサ258によって検出される。また、動力液圧源25
0には、電磁開閉弁260が設けられ、増圧モードが設
定された場合には開状態とされ、保持モード,減圧モー
ドが設定された場合には、閉状態に保たれる。このよう
に制御すれば、アキュムレータの作動液の無駄な消費を
回避することができる。本実施形態においては、ブレー
キシリンダ毎に設けられた電磁液圧制御弁の制御によっ
て、各ブレーキシリンダの液圧が制御されることにな
る。
【0056】さらに、本実施形態においては、ストロー
クの変化速度とマスタ液圧とが、運転者によるブレーキ
操作状態とされたが、これに限らない。例えば、操作力
センサを設け、ブレーキペダル36に加えられる操作力
をブレーキ操作状態としたり、目標ブレーキ液圧や目標
ブレーキ液圧の変化速度等をブレーキ操作状態としたり
することができる。また、マスタ液圧センサやストロー
クセンサを2つ設けることも不可欠ではなく、いずれか
一方のみでもよい。それぞれ1つずつにすれば、さら
に、コストダウンを図ることができる。その他、本発明
は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段
および効果〕に記載の態様の他、当業者による知識に基
づいて適宜改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキシステムの
液圧ブレーキ装置の回路図である。
【図2】上記液圧ブレーキ装置に含まれるリニアバルブ
を概念的に示す断面図である。
【図3】上記液圧ブレーキ装置の液圧制御装置の周辺を
示す図である。
【図4】上記液圧制御装置における制御を概念的に示す
図である。
【図5】上記液圧制御装置における制御を概念的に示す
図である。
【図6】上記液圧制御装置における制御を概念的に示す
図である。
【図7】上記液圧制御装置のROMに格納されたリニア
バルブ制御量決定プログラムを表すフローチャートであ
る。
【図8】上記ROMに格納されたブレーキ液圧推定プロ
グラムを表すフローチャートである。
【図9】上記リニアバルブへの供給電流量と電磁駆動力
との関係を示す図である。
【図10】上記ROMに格納されたリニアバルブにおけ
る開口面積と、前後差圧,供給電流量との関係を表すテ
ーブルを示す図である。
【図11】上記ROMに格納されたブレーキシリンダに
おける消費液量と液圧との関係を表すテーブルを示す図
である。
【図12】上記ROMに格納されたリニアバルブにおけ
る前後差圧と開弁電流との関係を表すテーブルを示す図
である。
【図13】上記ROMに格納されたリニアバルブへの供
給電流量を決定する際の、目標ブレーキ液圧の変化量と
それを実現させるための電流量との関係を表すテーブル
を示す図である。
【図14】上記ROMに格納された規則修正プログラム
を表すフローチャートである。
【図15】上記プログラムの一部を表すフローチャート
である。
【図16】上記ブレーキシステムに含まれる動力液圧源
のポンプの作動特性を示す図である
【図17】上記液圧制御装置のROMに格納された低圧
モータ用供給電流量決定テーブルを示す図である。
【図18】上記液圧制御装置のROMに格納された高圧
モータ用供給電流量決定テーブルを示す図である。
【図19】上記液圧制御装置のROMに格納されたポン
プ制御量決定プログラムを表すフローチャートである。
【図20】上記ROMに格納されたブレーキ液圧推定プ
ログラムを表すフローチャートである。
【図21】上記ブレーキ制御装置における制御例を示す
図である。
【図22】上記ブレーキ制御装置において決定された電
動モータへの供給電流量の変化状態を示す図である。
【図23】本発明の別の一実施形態である液圧ブレーキ
装置の動力液圧源を示す回路図である。
【符号の説明】
32 動力液圧源 58,59 ストロークセンサ 60 低圧モータ 62 高圧モータ 76 増圧用リニアバルブ 78 減圧用リニアバルブ 170 液圧制御装置 176 ROM 188,189 マスタ液圧センサ 194 車輪速センサ 196 前後Gセンサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、 そのブレーキの作動力を左右する物理量を制御する制御
    装置と、 車両の運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を検出
    するブレーキ操作状態検出装置と、 そのブレーキ操作状態検出装置によって検出されたブレ
    ーキ操作状態に応じて、前記制御装置によって制御され
    る物理量の制御量を決定する制御量決定装置とを含むこ
    とを特徴とするブレーキシステム。
  2. 【請求項2】前記制御量決定装置が、前記制御量を、前
    記ブレーキ操作状態およびブレーキ操作状態の変化状態
    の少なくとも一方とブレーキ作動力との関係と、前記制
    御量とブレーキ作動力との関係とを表すモデル式に基づ
    いて決定するものである請求項1に記載のブレーキシス
    テム。
  3. 【請求項3】前記制御量決定装置が、 前記制御量を前記ブレーキ操作状態に基づいて決定する
    際の規則を記憶する規則記憶部と、 その規則記憶部に記憶された規則を、実際のブレーキ作
    動力に関連する実ブレーキ作動力関連量と、前記車両に
    実際に加わる実ブレーキ力に関連する実ブレーキ力関連
    量との少なくとも一方に基づいて修正する規則修正部と
    を含む請求項1または2に記載のブレーキシステム。
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