JP2001526540A - Hgfポリペプチド及び治療におけるその使用 - Google Patents

Hgfポリペプチド及び治療におけるその使用

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Abstract

(57)【要約】 医薬における使用のための、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを実質的に結合できないが、HGFレセプターに対して結合可能である変異体肝細胞増殖因子(HGF)。

Description

【発明の詳細な説明】 HGFポリペプチド及び治療におけるその使用 本発明は、ポリペプチド及び治療におけるその使用、特に治療における突然変 異体肝細胞増殖因子の使用に関する。 散乱因子(scatter factor:SF)としても周知である肝細胞増殖因子(HGF) は、標的細胞における増殖、移動及び分化を誘導するポリペプチド増殖因子であ る。HGFは一本鎖前駆体として合成され、それが活性な二本鎖形態に蛋白分解 的に切断される。HGFの活性形態は、c−metガン遺伝子によってコードさ れるチロシンキナーゼレセプター(MET)に結合することによってその効果を 仲介すると解される。 野生型HGFは、多くの治療上の使用の可能性を有する。しかしながら、野生 型HGFは、血漿から迅速に除去される(t1/2はおよそ4.5分)。クリアラン ス速度は、投与の前にヘパリンまたは他のポリアニオンにHGFを複合体化する ことによっていくらか減少できる。 Matsumoto等(1991)Biochcm.Biophys.Res.Comm.181,691-699は、HGF中の クリングルドメインまたはN末端ヘアピン構造の欠失が、関連する生物学的活性 の顕著な減少を導くことを記載する。 Miau等(1996)Biochem.Biophys.Res.Comm.223,487-491は、脾臓由来間質細胞 によって分泌された新規な変異体HGFの同定を記載する。 Lokker等(1994)Prot.Eng.7,895-903は、HGFのN末端クリングル含有ドメ インの突然変異分析及び分子モデリングを記載し、c−Metレセプターとの相 互作用のために重要なアミノ酸側鎖を同定する。 Mizuno等(1994)J.Biol.Chem.269,1131-1136は、ヘアピンループまたはクリ ングルドメインが欠失されている突然変異体を記載する。 Schwall等(1996)J.Cell Biol.133,709-718は、ヘパリンが、HGFの切り詰 めた変異体であるHGFアンタゴニストNK1及びNK2に対するダイマー形成 を誘導し、増殖活性を与えることを報告する。 Lokker等(1992)EMBO J.11,2503-2510は、HGFの各種の突然変異体を記載 する。 国際特許出願WO 92/05184及びWO 96/40914は、HGFの活性と意図的に拮抗す るHGFの切り詰めた形態に関する。 国際特許出願WO 93/23541,米国特許US 5,547,856,US 5,316,921及びUS 5,58 0,963は、タンパク質溶解性切断に耐性であるHGF変異体に関する。 米国特許US 5,464,815は、ヘパリン結合タンパク質の血漿半減期を伸長する方 法を記載する。 国際特許出願WO 96/28475は、ポリエチレングリコールを使用して修飾された HGFを記載する。 本発明は、ヘパリンまたはヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を結合 する顕著に減少した能力を有するが、HGFレセプター(MET)に対する結合 は可能であるHGF変異体を記載する。これらの変異体の少なくともいくつかは 、ラットに投与した場合、野生型HGFよりも長いインビボでの循環半減期、及 びより大きいマイトジェン活性を有する。それ故、本発明の一つの目的は、薬物 生体反応及びインビボでの活性を改良するために、ヘパリン様化合物または他の ポリアニオンとHGFを複合体化する必要性を克服することである。本発明の変 異体HGF分子は、野生型HGFと実質的に同様な態様でHGFレセプターを活 性化し、またはそれらは野生型HGFのアンタゴニストとして機能し、またはい くつかの他の態様で機能する。いずれの場合でも、変異体HGF分子は医薬にお いて有用である。 本発明の第一の態様は、医薬における使用のための、ヘパラン硫酸プロテオグ リカンを実質的に結合できないが、HGFレセプターに結合可能である変異体肝 細胞増殖因子(HGF)を提供する。 用語、「変異体肝細胞増殖因子」は、野生型形態から一次アミノ酸構造を変化 した肝細胞増殖因子(HGF)を意味する。例えば、ヒトHGFの野生型形態の アミノ酸配列は、図7に示される。特定のポリペプチド、特にヒトから得たもの は多型的であり、ヒトHGF配列のいくつかの天然のバリエーションが存在し、 HGFがヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を結合し、HGFレセプタ ー を結合可能であり、周知の生物学的効果を生ずることを条件に、上記ヒトHGF 分子は野生型であると解されることが予測されるであろう。 用語、「HSPGを実質的に結合できない」は、変異体HGFが野生型HGF よりも顕著にHSPGを結合しないという意味を含む。もし変異体HGFが、野 生型HGFよりも少なくとも10倍HSPGを結合しない、好ましくは少なくと も20倍結合しない、またさらに好ましくは50倍結合しない、最も好ましくは 少なくとも100倍結合しないのであれば好ましい。利便的に、野生型HGF及 び変異体HGFのHSPG結合能力は、実施例1中に記載された実施例1中の細 胞によって生産されるHSPGを参考として測定される。 好ましくは、変異体HGFは、ヘパリンに対する減少した親和性を有する。常 ではないが、典型的には、本発明の変異体HGFは、ヘパリン及びHSPGの両 者を結合する減少した能力を有するであろう。 利便的に、ここで開示される変異体HGFは、野生型HGFよりも顕著にヘパ リンを結合しないものである。もし変異体HGFが、野生型HGFよりも少なく とも10倍ヘパリンを結合しない、好ましくは少なくとも20倍結合しない、ま たさらに好ましくは少なくとも50倍結合しない、最も好ましくは少なくとも1 00倍結合しないのであれば好ましい。利便的に、野生型HGF及び変異体HG Fのヘパリン結合活性は、実施例1に記載された方法を使用して測定される。 いずれの場合にも、適切には、変異体HGFは、野生型HGF(少なくともH GFのアンタゴニストではない変異体)と実質的に同じ標的細胞に対するマイト ジェン及びモートジェン(motogenic)活性を有する。 好ましくは、野生型HGFまたは変異体HGFのNK2断片が、ヘパリンに対 する結合親和性を測定するために使用される。実施例1の方法を使用して、野生 型ヒトHGFは、〜1×10-9M(1nM)のモル解離定数(Kd)を有し、野 生型HGFのNK2断片は、ヘパリンについて約2.3nMのモル解離定数(Kd )を有する。 NK2の天然で生ずる形態は、一次HGF転写物の選択的スプライシングの産 物であり、リーダー配列(残基1−31)、ヘアピンループを含むNドメイン(残 基70−96)、クリングル1(残基128−206)、クリングル2(残基21 1−288)及びクリングル2の後の余分な3残基(残基289−291)をコ ードする。 用語、「HGFレセプターに結合可能」は、変異体HGFが、実施例1で記載 されるように野生型HGFと実質的に同じHGFレセプター(MET)の可溶性 形態に対する親和性を有して結合できるという意味を含む。疑義を避けるために 、本発明の変異体HGFは、内因性の(または野生型)HGFによる(a)レセ プターの活性化または(b)レセプターシグナリングの阻害のいずれかを導くH GFレセプターを結合可能なHGF変異体を含む。 好ましくは、変異体HGFは、野生型HGFの0.1から10倍の間の親和性 を有してHGFレセプターに結合する。 好ましくはある場合には、HGFの変異体はHGFのアンタゴニストではなく 、いくつかの変異体については、METを含みMETに対するHGFの結合に対 して応答できる細胞において、METに対して変異体HGFを結合する効果は、 METに対して野生型HGFを結合する効果と実質的に同様である。それ故これ らの場合には、HGFのアンタゴニストではない変異体HGFの活性と、インビ ボでの標的細胞に対する野生型HGFの活性は実質的に同じである。 さらに好ましくは、以下に記載されているように、いくつかの変異体HGF分 子はHGFのアンタゴニストであるが、それでもやはりこれらは本発明の範囲に 含まれる。 以下に詳細に論じるように、これらのタイプの分子の全てが、医薬において有 用であると解され、そのため包装された形態で準備され、医薬における使用のた めに提供される。 本研究の前に、ヘパリンまたはHSPGを実質的に結合できないが、HGFレ セプターに対して結合できるHGFの変異体は、HGFの野生型または他の変異 体形態と比較して、インビボでの改良された活性を有することは示されていなか った。特に、本発明の少なくともいくつかの変異体は、野生型HGFよりも顕著 に低い血清からのクリアランスを示し、本発明の少なくともいくつかの変異体H PG分子は、野生型HGFよりも高い程度に大人の肝臓においてDNA合成を顕 著に誘導する。 用語、「HGF」は、一本鎖形態、同様に二本鎖形態に蛋白分解されている形 態を含む。 好ましくは変異体HGFは、野生型HGFのヘアピンループ構造中の正に荷電 したアミノ酸残基が、荷電を有しないまたは負に荷電したアミノ酸残基を使用し て置換されている変異体HGFである。 ヘアピンループ構造は、野生型HGFの残基70から96に渡っている。 用語、「正に荷電したアミノ酸残基」は、Arg(R)、Lys(K)またはH is(H)を意味する。ヒスチジンは、生理学的なpHで部分的に正の荷電を有 する。 Arg及びLysは、しばしば塩基性アミノ酸残基と称される。 用語、「負に荷電したアミノ酸残基」は、Glu(E)またはAsp(D)を 意味する。所定の正または負に荷電したアミノ酸残基以外の、遺伝学的コードに よって直接コードされる全ての他の天然で生じるアミノ酸残基は、荷電を有さな い。 Glu及びAspは、しばしば酸性アミノ酸残基と称される。 もし変異体が、ヘアピンループ構造中の正に荷電した残基が、負に荷電した残 基によって置換されているものであれば、特に好ましい。従って、もしLysま たはArgまたはHis残基が、GluまたはAsp残基によって置換されてい るのであれば好ましい。もしLysまたはArg残基が、Glu残基によって置 換されているのであれば特に好ましい。 荷電していないまたは負に荷電した残基による、正に荷電した残基の置換は、 以下に記載される周知のタンパク質操作法によって容易に達成されることは予測 されよう。しかしながら、ヘパリンまたはHSPGを実質的に結合できないが、 HGFレセプターを結合可能な変異体HGF分子は、例えばタンパク質操作法に よるヘアピンループ構造中の正に荷電したアミノ酸残基の欠失によって、または 例えばヘアピンループ構造中の正に荷電した残基の化学的修飾によって得ること ができる。タンパク質操作法は、アミノ酸残基の置換について好ましい;しかし ながら、例えばシクロヘキサン-1,2-ジオンを使用したアルギニン残基の選択的 な修飾を成し遂げることも可能である。 好ましくはHGFはヒトHGFである。野生型ヒトHGFのアミノ酸配列は、 図7に与えられている。もし変異体HGFが、ヘアピンループ領域の正に荷電し たアミノ酸残基が、負に荷電したアミノ酸残基または荷電していないアミノ酸残 基によって置換された変異体ヒトHGFであれば特に好ましい。しかしながら、 他の哺乳動物種から得たHGFか、正に荷電した残基を含む類似のヘアピンルー プ構造を有することは予測され、そして正に荷電したアミノ酸残基が負に荷電し たアミノ酸残基または荷電していないアミノ酸残基によって置換されたこれらの 非ヒトHGF分子の変異体は、上記分子がヘパリンまたはHSPGを実質的に結 合できないが、HGFレセプターを結合可能であるという条件で、本発明の範囲 に含まれる。 野生型ヒトHGFにおいては、ヘアピンループ構造中の正に荷電したアミノ酸 残基は、R73,R76,K78,K85,K91,R93及びK94を含む。 もし変異体ヒトHGFが、少なくともArg73(R73)が荷電していない または負に荷電したアミノ酸残基によって置換されているものであるならば特に 好ましい。好ましくは、変異体ヒトHGFは、突然変異Arg73G1u(R7 3E)またはArg73Asp(R73D)を含み、最も好ましくはArg73 Glu(R73E)を含む。 もし変異体ヒトHGFが、少なくともArg76(R76)が荷電していない または負に荷電したアミノ酸残基によって置換されているものであるならばこれ も特に好ましい。好ましくは、変異体ヒトHGFは、突然変異Arg76Glu (R76E)またはArg76Asp(R76D)を含み、最も好ましくはAr g76Glu(R76E)を含む。 本発明の特に好ましい実施態様は、アミノ酸残基Arg73及びArg76( R73及びR76)の両者が、荷電していないまたは負に荷電したアミノ酸残基 によって互いに独立に置換されている変異体ヒトHGFである。Arg73及び Arg76の両者が、Glu(E)またはAsp(D)のような負に荷電したア ミノ酸残基によって置換されていることが好ましい;もし変異体ヒトHGFが、 アミノ酸置換Arg73Glu及びArg76Glu(R73E及びR76E) を含むのであれば特に好ましい。 利便的に、Arg73及びArg76の置換に加えて、ヘアピン構造中の他の 正に荷電したアミノ酸残基が、負に荷電したアミノ酸残基または荷電していない アミノ酸残基によって置換される。適切には、ヒトHGFのArg73及びAr g76の置換に加えて、Arg93(R93)及び/またはLys78(K78 )が、負に荷電したアミノ酸残基または荷電していないアミノ酸残基によって置 換される。好ましくは、Arg93(R93)及び/またはLys78(K78 )がGlu(E)またはAsp(D)で置換され、最も好ましくはGlu(E) で置換される。 それ故本発明の好ましい実施態様は、アミノ酸置換R73E、R76E及びR 93Eを含む変異体ヒトHGF、並びにアミノ酸置換R73E、R76E及びK 78Eを含む変異体ヒトHGFである。 本発明の変異体HGF分子は、上述の突然変異を含むことに加えて、該分子の 生物学的活性を調節するためにさらに修飾されたHGF分子を含み、またはそれ らは変異体HGF分子の合成及び/または精製を容易にするためにさらに修飾さ れる。しかしながら、これらのさらなる修飾は、主に該変異体がこの場合でもH SPGまたはヘパリンを実質的に結合することができないが、HGFレセプター に結合することはできるという変異体HGFの所定の性質を維持する。 適切には、変異体HGFは、その精製を容易にする「標識」("tag")ペプチド 配列を含む。典型的には、該標識は、変異体HGFの固相精製を可能にするため に固定化された構成物に対する結合部位を含み、引き続き該構成物に対して変異 体HGFが結合する。該標識は例えば、Ni2+イオンに結合するHisn配列( n>4)であり、またはそれは周知であるMyc−標識エピトープのようなモノ クローナル抗体に対するエピトープである。他の可能性あるものは、本分野で周 知である。 しかしながら、もし変異体ヒトHGFが、アミノ酸置換Arg73Glu及び Arg76Glu(R73E、R76E)を有する野生型HGF、またはアミノ 酸置換Arg73Glu、Arg76Glu及びArg93Glu(R73E、 R76E、R93E)を有する野生型HGF、またはアミノ酸置換Arg73G lu、Arg76Glu及びLys78Glu(R73E、R76E、K78E )を有する野生型HGFより成るのであれば好ましい。 アミノ酸置換R73E、R76E及びR93Eを有する変異体ヒトHGFは、 実施例1中でHP1と称され、アミノ酸置換R73E、R76E及びK78Eを 有する変異体ヒトHGFは、実施例1中でHP2と称される(図1の記号参照)。 もし変異体ヒトHGFが、L80及び/またはF82の突然変異を含むのであ れば、それも好ましい。特に、好ましい変異体ヒトHGFは、突然変異L80S 及びF82Qを含む。アミノ酸置換L80S及びF82Qを有する変異体ヒトH GFは、実施例1中でHP4と称され、本発明の医薬における使用のための変異 体HGFである。ここに記載されるような正の荷電を除去するヘアピンループ内 への一つ以上の突然変異をも含む変異体HGF内に一つ以上のこれらの突然変異 を導入することは有益であると解されよう。 上述の突然変異に加えて、荷電を有さないまたは負に荷電したアミノ酸残基を 使用してヒトHGF分子内の他の正に荷電したアミノ酸残基を置換することは利 点を有する。例えば、K91及びK94(ヘアピン構造内)及びH241,R2 42,K244及びR249(クリングル2ドメイン内)の一つ以上の置換を導 入することは利点を有する。 Lys85がGluによって置換された野生型HGFより成る変異体ヒトHG F(K85E;HP5−図1中の記号参照)は、本質的に野生型HGFと同様に 挙動するために、本発明の変異体ではない。しかしながら、この突然変異は、こ こで開示される他の突然変異と共に有利に含まれる。 変異体HGFは好ましくは、MET結合能力及び細胞内にシグナルを伝達する 能力に関して、野生型HGFと実質的に同じ能力を有するものである。 しかしながら、変異体HGFは、野生型HGFの機能と拮抗するものであるこ とも好ましい。野生型HGFの機能と拮抗する変異体HGF分子は、本分野で周 知である。例えば、国際特許出願WO 92/05184及びWO 96/40914は、野生型HGF の能力と特異的にまたは部分的に拮抗するHGFの切り詰めた形態に関する。国 際特許出願WO 93/23541及び米国特許US 5,547,856、US 5,316,921及びUS 5,580, 963は、HGFの二本鎖形態へのインビボでの変換が可能な酵素による、蛋白分 解性切断に耐性である変異体HGF分子に関する。これらの特許出願及び特許の 全てが、参考として取り込まれる。 それ故、もしこれらの特許出願及び特許に記載された変異体が、例えばヘパリ ンまたはHSPGを実質的に結合できないが、HGFレセプターに対しては結合 可能である変異体HGFを作製するさらなる突然変異をなすことによって、ここ で記載される態様においてさらに修飾されるのであれば好ましい。 好ましくは、ここで開示される突然変異は、米国特許US 5,316,921に記載され たもののような、HGFの二本鎖形態へのインビボでの変換が可能な酵素による 蛋白分解性切断に対して耐性を与える突然変異と組み合わされる。より好ましく は、ヘアピンループ構造に関してここで開示される突然変異と組み合わされたこ れらの突然変異は、野生型ヒトHGF配列のアミノ酸位置493,494,49 5及び496のいずれかでの、またはこれらに近接したアミノ酸改変を有するも のである。 それ故、野生型HGFのアンタゴニストであると解される本発明の好ましい変 異体HGF分子は、アミノ酸置換R73E、R76E及びR93E、またはR7 3E、R76E及びK78E、並びに野生型ヒトHGFのアミノ酸位置493, 494,495及び496のいずれか一つ以上の置換を含むものである。 上記議論されているように、上述の変異体HGF分子は医薬において有用であ る。 本発明のさらなる態様は、第一の態様で定義された変異体HGF及び製薬学的 に許容可能な担体(carrier)を含む製薬組成物を提供する。 本発明の上述の化合物、またはその製剤は、経口及び非経口(例えば皮下また は筋肉内)の注射を含むいずれかの利便的な方法によって投与される。治療は、 単一の投与または一定期間の複数の投与より成る。 本発明の化合物を単独で投与することが可能である一方、それを一つ以上の許 容可能な担体と共に製薬学的製剤として提供することが好ましい。該担体は、本 発明の化合物と適合可能であるが、その受容者に対して無害であるという意味で 、「許容可能」でなければならない。典型的には、該担体は、滅菌され発熱物質 が含まれていない水または塩水である。 該製剤は、利便的に、単位投与量形態で存在し、薬剤学の分野で周知のいずれ かの方法によって調製される。上記方法は、活性成分(本発明の化合物)を、一 つ以上の付属の成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般的に該製剤は 、活性成分を液体の担体、または均質に分割された固体の担体、または両者と均 一に及び密接に会合させ、次いで必要であれば、生産物を成型することによって 調製される。 経口投与に適切である本発明に従った製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含 むカプセル、カシェ剤または錠剤のような分離単位として;パウダーまたは顆粒 剤として;溶液、若しくは水溶液または非水溶液での懸濁液として;若しくは水 中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提供される。活 性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとしても提供される。 錠剤は、任意に一つ以上の付属の成分と共に、圧縮または成型によって作製さ れる。圧縮された錠剤は、任意に結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキ シプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例え ばデンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、架橋ポビドン 、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(cross-linked sodium carboxyme thyl cellulose))、表面活性剤または分散剤と共に混合して、パウダーまたは顆 粒剤のような自由に動きうる形態において、活性成分を適切な機械中で圧縮する ことによって調製される。成型された錠剤は、不活性な液体希釈液を使用して湿 気を帯びたパウダー状化合物の混合物を、適切な機械中で成型することによって 作製される。該錠剤は、任意に被膜または切り込みを入れられ、及び所望の放出 プロフィールを提供する各種の割合で、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロ ースを使用して、その中の活性成分の遅滞または制御された放出を提供するよう に製剤化される。 口における局所的投与のための適切な製剤は、通常ショ糖及びアラビアゴムま たはトラガカントゴムといった香味料において活性成分を含むロゼンジ;ゼラチ ン及びグリセリン、またはショ糖及びアラビアゴムのような不活性なものにおい て活性成分を含む錠剤:並びに適切な液体の担体において活性成分を含むうがい 薬を含む。 非経口投与のための適切な製剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬及び該製剤を企 図された受容者の血液と等張性にする溶質を含む、水性及び非水性の滅菌注射溶 液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含む水性及び非水性の滅菌懸濁液を含む。該処方 は、例えば密封されたアンプル及びバイアルといった単位投与量または複数投与 量の容器において提供され、使用の直前に例えば注射のための水といった滅菌さ れた液体の担体を加えることのみを必要とする凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾 燥(lyophilised))条件で貯蔵される。即時の注射溶液及び懸濁液が、上述の種 類の減菌パウダー、顆粒剤及び錠剤から調製される。 好ましい単位投与量の製剤は、活性成分の一日の投与量または単位、毎日の投 与量またはその適切な分画を含むものである。 特に上述の成分に加えて、本発明の製剤は、例えば経口投与に適した製剤が香 味剤を含むように、問題となる処方のタイプに関して本分野で都合がよい他の薬 剤を含むと解される。 可能であれば、局在化した輸送が望ましい;例えば輸送が肝臓に対して望まれ る場合には、それは肝臓の動脈を介してなされる。 本発明のさらなる態様は、肝細胞増殖因子またはそのアンタゴニストを使用し た治療の必要のある患者、または該治療から利益を受ける患者を治療する方法を 提供し、該方法は、本発明の第一の態様で定義される変異体HGFの有効量を患 者に投与することを含む。 遺伝子治療の進歩と共に、変異体HGFをコードする遺伝学的構築物の投与を 介して、変異体HGFを投与することが可能であると解されよう。これは特に、 本発明の治療方法に含まれる。 野生型、及び特にここで開示されるものと区別される変異体HGF分子の治療 上の使用は、以前に記載されている。例えば、マウスにおける研究は、HGFが 肝での発ガンの早期において腫瘍サプレッサーとして機能することを示唆し(San toni等(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,9577-9582)、HGFはインビトロで Hep G2、HCC、B6/F1メラノーマ及びKB扁平上皮ガン腫の増殖を 阻害すると報告されている(Tajima等(1991)FEBS Lett.291,229-232)。HGF は、ラットにおいて肝線維症/肝硬変の発病及び進行を妨げ、重度の肝硬変及び 機能不全によって生ずる死を完全に妨げる(EP 0 456 188及びMatsuda等(1995) J.Biochem.118,643-649)。HGFは、一次肝細胞のレトロウイルス形質導入の 効率を増大 する(Pages等(1996)Biochcm.Biophys.Res.Comm.222,726-731)。 HGFは、70%肝管切開されたラットにおいて肝再生を刺激する(Ishii等( 1995)J.Biochem.117,1105-1112)。HGFは、血管平滑筋細胞増殖に対する治療 薬として提案されており(Nakamura等(1995)Biochem.Biophys.Res.Comm.215,48 3-488)、及び高D−グルコースのための局所的HGF濃度の減少は、糖尿病にお ける内皮の傷害を誘発し、潜在的にアテローム性動脈硬化症の進行を引き起こす (Nakamura等(1997)Diabetes 46,138-142)。 HGFは、インビボでの潜在的な新脈管形成因子であり(Rosen等(1993)Symp .Soc.Exp.Biol.47,227-234)、それ故傷の治癒において有用性を有する。 HGFは、腸上皮浸食/潰瘍の修復を促進することが報告される(Nusrat等(1 994)J.Clin.Invest.93,2056-2065)。HGFは、放射線/化学療法の副作用を防 ぐために(WO 93/08821;WO 95/25537)、頭側神経疾患に対する治療薬として(WO 9 5/07709)、軟骨疾患の治療薬として(WO 96/05855)、免疫抑制剤によって引き起 こされる副作用を緩和するために(WO 95/25537)及び腎疾患に対する治療薬とし て(EP 0 462 549)提案されている。Matsumoto & Nakamura,Hepatocyte Growth F actor,450-474頁:Acute Renal Failure,New Concepts and thrapeutic strategi es,M.S.Goligorsky & J.H.Stein編,Churchill Livingstone,New Yorkもまた参照 。これらの文献の全ては、参考としてここに取り込まれる。 HGFまたはその変異体は、各種の他の疾患の治療において有用であることが 報告されている。国際特許出願WO 97/09997は、HGFが嚢胞性線維症の治療に おいて有用であることを示唆する。国際特許出願WO 97/12628は、HGFが例え ば血管手術または血管形成術によって損傷または外傷を受けた血管の再構成を促 進することを示唆し、及び国際特許出願WO 97/12629は、HGFが新脈管形成を 促進するのに有用であることを示唆する。HGFのα断片は、HGFによるガン 細胞の進行または転移する能力を特異的に阻害するアンタゴニストとして機能し (WO 97/16205参照)、一方で国際特許出願WO 96/32960において、HGFは、虚血 モデルにおける細胞毒性を抑制する効果を発揮する活性成分として使用され、そ れ故虚血性疾患に対する予防薬及び/または治療薬として有効である。 国際特許出願WO 95/29694は、HGFが、繊維症及び低コラゲナーゼ活性によ って引き起こされる他の疾患を治療するためにコラーゲン加水分解を加速可能で あることを示し、及び欧州特許EP 0 661995は、HGFが、肝損傷の危険を有す る患者における肝損傷の確立または進行の予防において使用されることを示唆す る。HGFがMETに対して結合することを妨げるHGF変異体は、腫瘍細胞転 移を予防する方法において使用されると提案される(例えばEP 0 805 203参照)。 さらに、国際特許出願WO 98/00543は、各種のHGFレセプターアゴニストを 記載し、国際特許出願WO 97/07824は、HGF遺伝子が造伝子治療においてリポ ソームの使用と共に使用されることを示す。 METを結合し、野生型HGFと実質的に同じ態様で細胞シグナルを伝達する 変異体HGF分子は、野生型HGFと同じ態様で治療上有効であると解されるが 、変異体HGF分子はHSPGまたはヘパリンを実質的に結合できない。それ故 、例えば変異体HGF分子は、より大きい組織浸透力、つまり外因性野生型HG Fが効率的に到達できない(または多量の投与量を必要とする)細胞または組織 区画に到達する能力を与えると解されるため、該変異体分子はインビボでより優 れた効果を有すると解される。従って、本発明の変異体HGF分子の少なくとも いくつかの治療上の効力は、野生型HGFに対するものよりも高く、より低い副 作用を引き起こす低い治療上の投与量が使用されると解される。それ故、このク ラスの変異体HGF分子は、ガンの治療薬として、ヒト肝線維症/肝硬変の治療 に対するものとして、肝切除術及び肝の傷害における治療薬として、肝の遺伝子 治療に対するアジュバントとして、血管平滑筋細胞増殖に対する治療において、 腸の上皮浸食/潰瘍の修復を促進するものとして、新脈管形成因子として、放射 線または化学療法の副作用をブロックするものとして、頭側神経疾患に対する治 療薬として、軟骨疾患に対する治療薬として、免疫抑制剤によって引き起こされ る副作用を緩和するものとして、腎疾患に対する治療薬として有効であると解さ れる。これらの変異体HGF分子はまた、慢性皮膚障害においても有用である。 本発明の変異体HGF分子は、進行または転移を予防または遅延するために、 ガンの治療において有用であると解される。 本発明のさらなる態様は、HGF、またはアンタゴニストを使用した治療が必 要である、またはその治療から利益を受ける患者を治療するための医薬の製造に おける、本発明の第一の態様に記載された変異体HGFの使用を提供する。 本発明のさらなる態様は、該変異体が置換(a)R73E、R76E及びR9 3Eまたは(b)R73E及びR76Eまたは(c)K91E、R93E及びK 94EがなされたヒトHGFの変異体ではないという条件で、ヘパリンまたはH SPGを実質的に結合できないが、HGFレセプターに結合可能な変異体肝細胞 増殖因子(HGF)を提供する。 本発明のこの態様の変異体HGF分子が好ましいことは、本発明の第一の態様 のものと同じである。 本発明のさらなる態様は、該変異体が置換(a)R73E、R76E及びR9 3Eまたは(b)R73E及びR76Eまたは(c)K91E、R93E及びK 94EがなされたヒトHGFの変異体ではないという条件で、ヘパリンまたはH SPGを実質的に結合できないが、HGFレセプターに結合可能な変異体肝細胞 増殖因子(HGF)をコードするポリヌクレオチドを提供する。 本発明のこの態様のポリヌクレオチドは、例えばミスマッチしたオリゴヌクレ オチドを使用した部位特異的突然変異誘発によって、またはポリメラーゼ連鎖反 応を使用することによって、またはデノボのポリヌクレオチド合成によって、ま たはいずれかの他の方法によって容易に作成可能である。上記方法は、分子生物 学の分野で周知であり、該方法の少なくともいくつかは、Sambrook等(1989),Mol ecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Sp ring Harbor,New Yorkに詳細に記載される。 本発明のさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供し 、本発明のまたさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを含 む宿主細胞を提供する。 該ポリヌクレオチドまたはベクターは、DNAまたはRNAであり、好ましく はそれはDNAである。 相補的粘着末端を介してベクターにDNAを機能的に連結する各種の方法が開 発されている。例えば、相補的ホモポリマートラクト(tracts)を、ベクターDN Aに挿入されるDNA断片に加えることができる。次いで該ベクター及びDNA 断片を、組換えDNA分子を形成するために相補的ホモポリマーテール(tails) の 間で水素結合によって結合する。 一つ以上の制限部位を含む合成リンカーが、ベクターにDNA断片を結合する 代替の方法を提供する。以前に記載されたエンドヌクレアーゼ制限切断によって 生産されたDNA断片は、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ、また は大腸菌DNAポリメラーゼIを使用して処理され、該酵素はその3’−5’− エキソヌクレアーゼ活性を使用して3’一本鎖末端を生じ、そのポリメラーゼ活 性を使用して一本鎖の3’末端を埋めるものである。 従って、これらの活性の組み合わせは、平滑末端DNA断片を生産する。次い で平滑末端断片は、バクテリオファージT4 DNAリガーゼのような平滑末端 DNA分子の接合を触媒可能な酵素の存在下で、大過剰のリンカー分子と共にイ ンキュベーションされる。かくして該反応の生産物は、その末端にポリマー性リ ンカー断片を有するDNA断片である。次いでこれらのDNA断片を適切な制限 酵素を使用して切断し、DNA断片の末端と適合可能な末端を生ずる酵素を使用 して切断された発現ベクターに接合される。 各種の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーは、International Bi otechnologies Inc,New Haven,CN,USAを含む数多くの業者から商業的に入手可能 である。 本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾するための望ましい方法は、 Saiki等(1988)Science 239,487-491に開示されたポリメラーゼ連鎖反応を使用 することである。 この方法において、酵素学的に増幅されるDNAは、増幅されたDNAにそれ 自体取り込まれるようになる二つの特異的なオリゴヌクレオチドプライマーによ って挟まれる。上記特異的プライマーは、本分野で周知の方法を使用する発現ベ クター内にクローニングのため使用することができる制限エンドヌクレアーゼ認 識部位を含む。 次いでDNA(またはRNA)は、本発明の変異体HGF(本発明の化合物を 構成するポリペプチド)を生産するために適切な宿主内で発現される。それ故、 本発明の化合物を構成するポリペプチドをコードするDNAは、発現ベクターを 構築するためにここに含まれる方法を使用して適切に修飾された周知の方法に従 って使用され、次いで本発明のポリペプチドの発現及び生産のために適切な宿主 細胞を形質転換するために使用される。上記方法は、Rutter等に対して1984 年4月3日に発行された米国特許第4,440,859号、Weissmanに対して1985年 7月23日に発行された第4,530,901号、Crowlに対して1986年4月15日に 発行された第4,582,800号、Mark等に対して1987年6月30日に発行された 第4,677,063号、Goeddelに対して1987年7月7日に発行された第4,678,751 号、Itakura等に対して1987年11月3日に発行された第4,704,362号、Murr ayに対して1987年12月1日に発行された第4,710,463号、Toole,Jr.等に対 して1988年7月12日に発行された第4,757,006号、Goeddel等に対して19 88年8月23日に発行された第4,766,075号及びStalkerに対して1989年3 月7日に発行された第4,810,648号に開示されたものを含み、これらの文献全て が参考としてここで取り込まれる。 本発明の化合物を構成するポリペプチドをコードするDNAは、適切な宿主内 への導入のための広範囲の他のDNA配列に接合される。連結されるDNAは、 宿主の性質、宿主内へのDNAの取り込みの方法、及びエピソーム様の維持また は組込みが望ましいかどうかに依存するであろう。 一般的に該DNAは、発現のための正確な配向及び正確な読み取り枠で、プラ スミドのような発現ベクター内に挿入される。もし必要であれば、該DNAは、 所望の宿主によって認識される適切な転写及び翻訳調節コントロールヌクレオチ ド配列に連結されるが、上記コントロールは一般的に発現ベクターにおいて利用 可能である。次いで該ベクターは、標準的な方法に従って宿主内へ導入される。 一般的に全ての宿主が、該ベクターによって形質転換されるわけではない。それ 故、形質転換された宿主細胞を選択することが必要である。一つの選択方法は、 いずれかの必要なコントロールエレメントと共に、抗生物質耐性のような形質転 換された細胞において選択可能な特徴をコードするDNA配列を、発現ベクター 内に取り込むことを含む。代わりに、上記選択可能な特徴に対する遺伝子は、他 のベクター上に存在することができ、該ベクターは所望の宿主細胞を共形質転換 するために使用される。 次いで、本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞を、該ポリペ プチドの発現を可能にするここで開示される方法について当業者に周知の十分な 時間で適切な条件の下で培養し、次いで該ポリペプチドを回収する。 細菌(例えば大腸菌及び枯草菌)、酵母(例えばSaccharomyces cerevisiae)、糸 状真菌(例えばAspergillus)、植物細胞、動物細胞及び昆虫絹胞を含む多くの発 現系が周知である。 該ベクターは、それが他の非原核生物細胞タイプにおける発現のために使用さ れる場合であっても、原核生物における増殖のための、ColE1のような原核 生物レプリコンを含む。該ベクターはまた、それを使用して形質転換された大腸 菌のような細菌宿主細胞における該遺伝子の発現(転写及び翻訳)を導くことが 可能な原核生物プロモーターのような適切なプロモーターを含む。 プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合及び生ずる転写を可能にするDN A配列によって形成される発現コントロールエレメントである。例示的な細菌宿 主と適合可能なプロモーター配列は典型的に、本発明のDNA断片の挿入のため の都合の良い制限部位を含むプラスミドベクターを提供する。 典型的な原核生物ベクタープラスミドは、Biorad Laboratories(Richmond,CA USA)から入手可能なpUC18,pUC19,pBR322及びpBR329、 並びにPharmacia,Piscaraway,NJ,USAから入手可能なpTrc99A及びpKK 223−3である。 典型的な哺乳動物細胞ベクタープラスミドは、Phamlacia,Piscataway,NJ,USA から入手可能なpSVLである。このベクターは、クローン化遺伝子を発現する ためにSV40後期プロモーターを使用し、最高レベルの発現が、COS−1細 胞のようなT抗原生産細胞において見出される。 誘導可能な哺乳動物発現ベクターの例として、Pharmaciaから入手可能なpM SGがある。このベクターは、クローン化遺伝子を発現するためにマウス乳ガン ウイルス長末端繰り返しのグルココルチコイド誘導性プロモーターを使用する。 有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403−406及びpRS413− 416であり、一般的にStratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAか ら入手可能である。プラスミドpRS403,pRS404,pRS405及び pRS406は、酵母組込みプラスミド(Yeast Integrating plasmids(YIp))で あり、酵母 選択マーカーHIS3,TRP1,LEU2及びURA3を取り込んでいる。プ ラスミドpRS413−416は、酵母動原体プラスミド(Yeast Centromere pl asmid(YCp))である。 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドベクター構築物を使用して形質転換 された宿主細胞に関する。該宿主細胞は、原核生物または真核生物のいずれかで ある。細菌細胞は好ましい原核生物宿主細胞であり、典型的には例えばBethesda Research Laboratories Inc.,Bethesda,MD,USAから入手可能な大腸菌株DH5 、及びRockville,MD,USAのAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手可 能なRR1(No ATCC 31343)のような大腸菌の株である。好ましい真核生物宿主 細胞は、酵母及び哺乳動物細胞、好ましくはマウス、ラット、サルまたはヒト線 維芽細胞系から得たもののような脊椎動物細胞を含む。酵母宿主細胞は、YPH 499,YPH500及びYPH501を含み、それらは一般的にStratagene C loning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから入手可能である。好ましい哺乳動物 宿主細胞は、ATCCからCCL61として入手可能なチャイニーズハムスター卵巣 (CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手可能なNIH Swiss マウス胚細胞NIH/3T3、及びATCCからCRL1650として入手可能なサ ル腎由来COS−1細胞を含む。 本発明のDNA構築物を使用した適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベ クターのタイプに典型的に依存した周知の方法によって達成される。原核生物宿 主細胞の形質転換に関しては、例えば、Cohen等(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.US A 69,2110及びSambrook等(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Col d Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYを参照。酵母細胞の形質転 換は、Sherman等(1986)Methods In Yeast Genetics,A Laboratory Manual,Col d Spring Harbor,NYに記載されている。Beggs(1978)Nature 275,104-109の方法 もまた有用である。脊椎動物細胞については、例えばリン酸カルシウム及びDE AEデキストランまたはリポソーム製剤といった上記細胞をトランスフェクショ ンするのに有用な薬剤が、Stratagene Cloning SystemsまたはLife Technologie s Inc.,Gaithersburg,MD 20877,USAから入手可能である。 エレクトロポレーションもまた、細胞を形質転換するのに有用であり、酵母細 胞、細菌細胞及び脊椎動物細胞に対して本分野で周知である。 例えば多くの細菌種が、Luchansky等(1988)Mol.Microbiol.2,637-646に記載 された方法によって形質転換され、該文献は参考としてここに取り込まれる。最 大の数の形質転換体が、25μFDで6250V/cmを使用して2.5XPE Bにおいて懸濁されたDNA−細胞混合物のエレクトロポレーションに引き続い て絶えず回収される。 エレクトロポレーションによる酵母の形質転換のための方法は、Becker & Gua rente(1990)Methods Enzymol.194,182に開示されている。 成功した形質転換細胞、すなわち本発明のDNA構築物を含む細胞は、周知の 方法によって同定することができる。例えば本発明の発現構築物の導入から得ら れた細胞は、本発明のポリペプチドを生産するために培養することができる。細 胞は集菌され、溶解され、そのDNA内容物がSouthern(1975)J.Mol.Biol.98,50 3またはBerent等(1985)Biotech.3,208によって記載された方法を使用して、該 DNAの存在について調べられる。代わりに、上清中の該タンパク質の存在が、 以下に記載される抗体を使用して検出される。 組換えDNAの存在に対する直接的なアッセイに加えて、組換えDNAを該タ ンパク質の発現に向けることができる場合、成功した形質転換体は、周知の免疫 学的方法によって確認することができる。例えば、発現ベクターを使用して成功 して形質転換された細胞は、適切な抗原性を示すタンパク質を生産する。形質転 換を受けた細胞のサンプルは回収され、適切な抗体を使用して該タンパク質に対 してアッセイされる。 それ故、形質転換された宿主細胞自体に加えて、本発明はまた、これらの細胞 の培養物、好ましくはモノクローナル(クローン的に均質な)培養物、または栄 養培地中でモノクローナル培養物から由来する培養物も企図する。 もし宿主細胞が昆虫細胞であり、発現がバキュロウイルス発現であれば好まし い。 もし宿主細胞が、Pichia pastorisであればそれも好ましい。 変異体HGF分子、少なくともそれをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治 療において使用することは有用であるため、本発明はまた、患者の細胞内に上記 ポリヌクレオチドを導入する方法を含むと解される。 本発明は、以下の実施例及び図面を参考として詳細に記載されるであろう。 図1は、HGF/SFの野生型及び突然変異体形態のヘパリン結合及びMDC K散乱活性を示す。 以下の突然変異体をヘアピン構造(HP)またはクリングル2(Kr2)のそ れぞれにおいて生産した:HGF/SF:HP1:R73E、R76E、R93 E;HP2:R73E、R76E、K78E;HP3:K91D、R93E、K 94D;HP4;L80S、F82Q;HP5:K85E;HP6:D90K; Kr2−1:H241S、R242E、K244E、R249G及びKr2−2 :R281G、W282G、Y284A。 a)HGF/SFの野生型及び突然変異形態の発現。該図は、HGF/SF cDNAを使用して一過的に形質転換され、35S−システインを使用して標識さ れたNeuro 2a細胞の上清中に存在するタンパク質の還元条件の下でのS DSケルを示す。60kDa A鎖及び32/34kDa B鎖の移動は同一であ る。コントロールレーンは、ベクター単独を使用して形質転換されたNeuro 2a細胞の上清である。突然変異体HPΔは、欠失された(残基68−100 )完全なヘアピン構造を有し、それ故A鎖の移動は、wt−HGF/SFと比較 してわずかに増大する。 b)200μg/mlのヘパリンを使用して被膜されたウェルに対する20n g/mlの野生型または突然変異体HGF/SFタンパク質の結合。該データは 、wt−HGF/SFのパーセントとして表される。ヘアピン構造の欠失体(H PΔ)は、<5%にヘパリン結合を減少した。同様に、塩基性アミノ酸残基が変 換された全ての突然変異体(HP1,HP2,HP3)は、強いヘパリン結合の 減少を示した。正に荷電した表面の外の突然変異体(HP4,HP5,HP6) は、それぞれより少ない効果(HP4)を有するか、または全く効果を有さなか った(HP5及びHP6)。クリングル2の表面上の正に荷電したアミノ酸の置換 (Kr2−1)は、wt−HGF/SFの18%にヘパリン結合を減少し、その 一方でリシン結合ポケットの欠失体(Kr2−2)は何の効果も有さなかった。 c)Neuro 2a細胞中で発現された野生型及び突然変異体HGF/SF によるMDCKコロニーの散乱。該データは、wt−HGF/SFのパーセント として表される。ヘアピン構造の欠失体(HPΔ)は生物学的活性が破壊された が、ヘアピン構造における正に荷電したアミノ酸の点突然変異体は、生物学的活 性に対する各種の効果を有した。それ故HP1及びHP2突然変異体は、wt− HGF/SFに匹敵する生物学的活性を有する一方で、突然変異体HP3の活性 は、wt−HGF/SFのわずか17%であった。クリングル2突然変異体は、 生物学的活性の重大な欠損を示す(Kr2−1)または全く変化を示さない(K r2−2)ものであった。 図2は、固定化ヘパリンに対して結合するwt−NK2及びHP1−NK2の BIAcore分析を示す。 パネルaは、ヘパリン表面に結合するwt/NK2(10−300nM)(最 大結合能力340RU)の測定グラフを重ねたものを示す。パネルbは、HP1 −NK2(10−300nM)(表面能力およそ170RU)に対する測定グラ フの一致するセットを示す。会合速度の最大の差異を可能にするために、HP1 −NK2に対して、より低い表面能力及びより長い注射時間を使用した。サンプ ルのパルスの最初及び最後の折れた部分は、ブランクの表面から得た曲線(示さ れていない)を差し引くことから由来する人工的なものであり、小さな解決でき ない時間誤差に起因する。パネルcは、wt−NK2(■)及びHP1−NK2 (□)についての、koff対濃度(C、nM)を示し、パネルdは、観察された 速度定数Ks対濃度(C、nM)のプロットを示す。 図3は、ミンク肺細胞に対するwt−HGF/SF及びHP1の全結合を示す 。 96穴プレート中のミンク肺細胞に対するwt−HGF/SF及びHP1の全 結合が示されている。wt−HGF/SFは、ミンク肺細胞の細胞表面に対する 強い濃度依存性結合を示し(■)、それは0.1mg/mlでの可溶性ヘパリンを 加えることによって競合できた(▲)。対照的に、HP1の結合は、675ng/ mlまでの濃度で無視して良く(□)、ヘパリンを加えることによって影響されな かった(△)。 図4は、MET−レセプター(MET−Fc)の可溶性形態に対するwt−H GF/SF及びHP1の結合、並びにミンク肺細胞におけるDNA合成に対する wt−HGF/SF及びHP1の効果を示す。 a)METレセプター(MET−Fc)の可溶性形態に対するwt−HGF/ SF(斜線の棒グラフ)及びHP1(白い棒グラフ)の結合。固定化wt−HG F/SFまたはHP1を、200ng/mlのMET−Fcを使用してインキュ ベーションし、結合したMET−Fcを抗ヒトIgG抗体を使用して検出した。 HP1突然変異体の結合は、wt−HGF/SFに対するものよりわずかに低か った。 b)ミンク肺細胞におけるDNA合成に対するwt−HGF/SF(■)及び HPI(□)の効果。10,000個の血清枯渇ミンク肺細胞を、wt−HGF /SFまたはHP1の示された濃度を使用してインキュベーションした。24時 間後、3H−チミジンを加え、DNA内に取り込まれた放射性活性の量を二重の サンプルで測定した。該図は、バックグランドカウント(コントロール培地にお いてインキュベーションされた培養物によって取り込まれた3H−チミジン)を 差し引いた後のwt−HGF/SFまたはHP1によって誘導されたDNA合成 を示す。HP1によって誘導された刺激は、wt−HGF/SFに対するものよ りわずかに低かった。 図5は、ミンク肺及びMDCK細胞の形態に対するwt−HGF/SF及びH P1の効果を示す。 該図は、因子の非存在下(a及びd)、若しくは20ng/mlのwt−HGF /SF(b及びe)またはHP1(c及びf)を使用した一晩のインキュベーシ ョンの後に培養されたミンク肺細胞(パネルa、b及びc)及びMDCK細胞( パネルd、e及びf)を比較する。コントロール培養物(a及びd)においては 、細胞は典型的な上皮形態を示した。細胞分裂及び形態に対するwt−HGF/ SF及びHP1の効果は、区別できなかった。 図6は、wt−HGF/SF及びHP1のクリアランス、組織配置及びインビ ボでの活性を示す。 a)ラット血清から得た125I標識wt−HGF/SF及びHP1のクリアラ ンス曲線。6匹の大人のラットを、頸動脈中に125I標識wt−HGF/SFま たはHP1のそれぞれを使用して注射し、示された時間で血液サンプルを採取し た。血清中に残存するwt−HGF/SF(■)及びHP1(□)の濃度(TC A不溶性放射性活性)が、注射された全放射性活性の分画として示される。各時 点について、血液中の突然変異体HP1の濃度は、wt−HGF/SFについて のものより少なくとも5倍高かった。 b)ラット組織における125I標識wt−HGF/SF及びHP1の配置。注 射の2時間後、2匹の動物を殺生し、潅流の後いくつかの器官(肝臓、腎臓、肺 、心臓、精巣、脾臓)をホモジナイズし、TCA不溶性放射性活性の量を測定し た。組織放射性活性の濃度は、wt−HGF/SFよりもHP1において2−3 倍高かったが、器官配置のパターンは、二つのタンパク質で同じであった。 c)wt−HGF/SF及びHP1によるマウス肝におけるDNA合成の刺激 。wt−HGF/SF及びHP1を、3日間の期間で静脈内に投与した(5回の 注射に分けて全投与量は277.5μg/動物)。動物が最後の因子の投与を受 けたときに、BrdUを腹膜内に注射し(75μg/体重のg)、12時間後に動 物を殺生した。BrdU標識細胞を凍結肝切片においてカウントした(少なくと も8個の異なる切片及び動物当たり全部で120区画)。データは4匹(wt− HGF/SF)または3匹(HP1)の動物についての平均±sdである。 図7は、Swiss Protデータベース受託番号P14210から得たヒ ト肝細胞増殖因子のアミノ酸配列を示す。HGFをコードするヌクレオチド配列 または上記配列に関する情報は、Seki等(1991)Gene 102,213-219;Miyazawaka 等(1989)Biochem.Biophys.Res.Comm.163,967-973;Seki等(1990)Biochem.Bio phys.Res.Comm.172,321-327;Nakamura等(1989)Nature 342,440-443;Weidner等 (1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,7001-7005;Yushiyama等(1991)Biochem.B iophys.R es.Comm.175,660-667;及びLokker等(1992)EMBO J.11,2503-2510に記載され、 これらの文献の全てが参考としてここで取り込まれる。 略語:EGF:上皮増殖因子;FGF:腺維芽細胞増殖因子;HB−EGF: ヘパリン結合EGF;HGF/SF:肝細胞増殖因子/散乱因子;HSPG:ヘ パリン硫酸プロテオグリカン;MES:2-[N-モルフォリノ]エタンスルホン酸; NK2:N末端ドメイン、クリングル1及びクリングル2に相当するHGF/S Fの切り詰めた変異体;SPR;表面プラスモン共鳴;VEGF:血管内皮増殖 因子。 実施例1:減少したヘパラン硫酸プロテオグリカンに対する結合、及び改良され たインビボの活性を有するHGF/SFの操作された突然変異体 要約 HGF/SFは、哺乳動物の発生及び組織再生において重要な役割を演じる高 分子量、ヘパリン結合、ポリペプチド増殖因子である。レセプターまたはヘパリ ン結合に関与するアミノ酸を同定するために、我々は、N末端ドメインのヘアピ ン構造またはクリングル2における溶媒接近残基のいくつかのクラスターが置換 されている数多くのHGF/SF突然変異体を作製した。二つの突然変異体(H P1:R73E、R76E、R93E及びHP2:R73E、R76E、K78 E)は、ヘパリンに対する顕著に減少した親和性を示すが、培養物中のターゲッ ト細胞に対するマイトジェン及びモートジェン活性を示すので、特に興味深かっ た。ヘパリンに対するHP1の親和性は、二つのタンパク質のNK2断片の結合 速度から見積もった場合、野生型HGF/SFと比較して50倍以上低かった。 HP1における親和性の変化は、減少したオンレート(〜5×104-1-1対1 .75×106-1-1)の結果であり、細胞表面及びマトリックスヘパラン硫 酸プロテオグリカンに対する減少した結合によって対比された。重要な差異が、 インビボでの野生型HGF/SF及びHP1の挙動において観察された:突然変 異体タンパク質は、血液からの遅延したクリアランス、より高い組織濃度、及び 正常 な大人のネズミ肝におけるDNA合成を誘導する際に2.7倍高い活性を示した 。それ故我々は、ヘパラン硫酸に対する減少した親和性の観点から、インビボで のより高い活性を示すHGF/SFの突然変異体形態を作製した。これらの結果 は、HGF/SF活性におけるヘパラン硫酸プロテオグリカンの役割を強調する ことについての意味、及び該増殖因子の治療上の応用に対する意味を有する。 HGF/SFにおけるレセプター及びヘパリン結合部位を分析するために、我 々は、数多くの部位特異的HGF/SF突然変異体をデザインするのを助ける個 々のドメインの三次元モデルを生産した(29)。アンチトロンビン(30)及び FGF−ヘパリン複合体(31)の入手可能なX線構造は、ヘパリン結合部位が 、グリコサミノグリカンにおける負に荷電した残基と静電気的に接触する、主に 正に荷電した残基のクラスターより成ることを示す。それ故我々は、正に荷電し たアミノ酸のクラスターについてHGF/SFのヘアピン構造及びクリングル2 の表面を研究し、三つの上記クラスター(ヘアピン構造中に二つ及びクリングル 2中に一つ)を同定し、これらの部位に特異的な突然変異を導入した。 物質と方法 細胞系 細胞系は、ATCCから入手され、または(7)及び(32)において以前に記載 された。細胞を、37℃、10%CO2で10%胎児ウシ血清を補ったDMEM 中で周知のように培養した。 ヘアピン構造及びクリングル2のインビトロ突然変異誘発 6個のヒスチジン残基及び一つの停止コドンをコードする二本鎖オリゴヌクレ オチド(5'-CA CAG TCA GGA CAT CAT CAT CAT CAT CAT TAA GGA TCC TCT AGA GGT AC-3')を、HGF/SF cDNAの2.2kb BamHI/KpnI断片の KpnI制限部位内にクローン化した。最初の実験において、C末端ヘマグルチ ン標識(tag)に融合されたwt−HGF/SFをコードするcDNAを使用した( 26)。ヘアピン構造またはクリングル2の点突然変異の生産のために、PCR 反応においてミスマッチプライマーをアニリングすることによって、コドン 置換をcDNA内に導入した。PCR断片をcDNA内にクローン化し、突然変 異をシークエンシングによって確認した。この方法で生産された点突然変異が、 図1の記号で掲載されている。ヘアピン構造の欠失のために、さらなるpStI 制限部位をnt300で作製し、次いで部分的切断によって、HGF/SFのア ミノ酸68から100をコードする断片を欠失した。 Neuro 2a細胞における野生型及び突然変異体HGF/SFの一過的発現 突然変異体HGF/SF(それぞれ10μg)をコードするcDNAを、記載 されているようにNeuro 2a細胞内に一過的に形質導入した(26)。免疫 沈降のため、形質導入の一日後、Neuro 2a細胞を20μCi/mlの35 S−システイン(Amersham)を使用して一晩標識し、HGF/SFを2μgの抗H GF/SF抗体(クローン34)及び100mlのプロテインA−Sephar ose 4Bビーズを使用して上清(1.5ml)から免疫沈降した。該沈降物 を、50mM Tris−Cl,pH8.5、100mM NaCl、1mM E DTA、1mg/mlオボアルブミン及び5g/l Triton X−100を 使用して三回洗浄し、SDSゲル電気泳動及びホスホイメージャー分析について 使用した。 昆虫細胞における全長wt−HGF/SF及びHP1の発現 wt−HGF/SF及びHP1の大規模な生産のために、相当するcDNAを 、C末端ヒスチジン標識に融合し、バキュロウイルス発現ベクターpVL139 3内でクローン化した。組換えウイルスを、2μgの発現プラスミド及び0.5 μgのBaculogold−DNA(Pharmiingen,La Jolla,USA)の共形質導入 によって生産し、プラークを精製し、増殖させ、SF9細胞の5リットルのバッ チを感染させるために使用した。wt−HGF/SF及びHP1を、PBSに対 する過度の透析、及びイミダゾールの直線勾配(0.1M NaCl、50mM MES,pH6.0中に0−0.4M)を使用したNi2+キレートカラム(Qiagen ,Germany)上でのアフィニティークロマトグラフィー、引き続きカチオン交換ク ロマトグラフィー(8)の後、上清から精製した。調製物の純度は、クマシー染 色SDS−ゲルから典型的に80−90%であった。 P.pastorisにおけるwt−NK2及びHP1−NK2の発現 wt−NK2またはHP1−NK2をコードするcDNAを、ヒトHGF/S F cDNAのPCR増幅によって生産し、S.cerevisiaeのα接合シグナルペプ チドを有するフレーム中の融合物を作製するP.pastoris発現ベクターpPIC 9K(Invirtogen Inc.)内でクローン化した。wt−NK2及びHP1−NK2 プラスミドをコードする直線化組換えpPIC 9Kプラスミドを、スフェロプ ラスト形成によってP.PastorisのGS115,his-株の形質転換のために使 用した。形質転換されたクローンを、his-プレート上で初めに選択し、引き 続きマルチコピー挿入物のためG418プレート上で選択した(33)。選択され たクローンを、攪拌フラスコ内での組換えタンパク質の大規模発現のために使用 した。培養上清を、誘導の72時間後に回収し、該上清を遠心分離によって分画 し、引き続き濾過した。wt−NK2を最初にヘパリン−Sepharose4 B(Pharmacia)を使用し、引き続き0.05M MES、pH6.0中のNaCl の勾配(0.25−1.00M)を使用してS−Sepharose(Pharmacia) 上でのイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。HP1−NK2を、S −Sepharose上でのイオン交換クロマトグラフィーによって直接的に精製 した。wt−NK2及びHP1 NK2のモノマー及びダイマー種を、0.05 M MES、0.25M NaCl、緩衝液、pH6.0中でSuperdex7 5カラム(Pharmacia)上でのサイズ溶出クロマトグラフィーによって分離した。 生物学的に活性なタンパク質の収率は、5−10mg/リットルの間であった。 ヘパリン及びMET ELISA ヘパリンELISAのために、96穴プレート(Nunc,Multisorp)を、200μ l/ウェルの高分子量ヘパリン(200μg/ml、Sigma H3393)を使用してイ ンキュベーションした。ブロッキング後、精製HGF/SF、並びに野生型及び 突然変異体HGF/SFを発現するNeuro 2a細胞の上清が、2時間イン キュベーションされ、ウサギ抗標識抗体HA11(Hiss diagnostics)または抗H GF/SFマウスモノクローナル抗体(クローン34)のそれぞれを使用し、引 き続 きHRP接合二次抗体を使用してインキュベーションされることによって検出さ れた。MET ELISAのために、METの細胞外ドメイン、及び免疫グロブ リンγ1のヒンジ、CH2及びCH3ドメインより成る可溶性融合タンパク質を 生産し(GH、未印刷の結果)、〜80%の均一性までプロテインA−Seph aroseアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。ウェルを4℃ で一晩全長wt−HGF/SFまたはHP1を使用して被膜し、ブロックし、M ET−Ig融合タンパク質を2時間で加え(200ng/ml)、引き続きヤギ抗 ヒトIgG抗体及びHRP接合ウサギ抗ヤギIgG抗体を使用してインキュベー ションした。色素の発色のため、50mMリン酸緩衝液、pH6.0中で0.6 6mg/mlのオルト−フェニルジアミンを、HRP基質として使用した(10 0μ1/ウェル)。 全長wt−HGF/SF及びHP1及びそれらのNK2断片のヘパリン結合速度 野生型及び突然変異体タンパク質の結合の速度分析を、BIAcore200 0装置(BIAcore Ltd.,St.Albans,Herts.,UK)を使用して表面プラスモン共鳴(S PR)によって実施した。10mg/mlの高分子量ヘパリン(Sigma H3393)を 、室温で1時間、100mMリン酸緩衝液、pH8.0の1ml中で3倍過剰量 のNHS−LC−ビオチン(Pierce 21336)を使用してビオチン化した。ビオチン 化へパリンを、二つの2ml Excelluloseカラム(pierce)を連続的 に通過させることによってビオチンの存在しないものから分離し、ストレプタビ ジン被膜SAセンサーチップ上での捕獲のため使用した。全ての実験を、25℃ の操作温度で実施した。全ての流動において流動緩衝液(running buffer;EB )は、0.2mM EDTA、0.5g/l NaN3、0.05g/l p20界 面活性剤(BlAcore Ltd)を含むPBSであった。試験表面(フローセル2−4) からコントロールセル(フローセル1)へのヘパリンの漏出の可能性を防ぐため に、表面1を、5μl/分の流速でEB中に250ng/mlのビオチンを2回 20μlで注射することによってブロックした。次いで表面2を、EB中に10 mlの2nMのヘパリン−ビオチンを使用して5μl/分で被膜した。およそ2 5RUが、本実施例において結合した;シグナルにおけるわずかな増大が、長い ヘパリン分 子によるデキストランの架橋のために生じるので、低濃度で結合したヘパリンの 正確な測定は不可能である。次いで該表面を、表面1と同様のビオチンを使用し てブロックした。SPR分析に対する該タンパク質サンプルの吸着または変性を 防ぐために、これらを室温で30分Heparin-Sepharose 4B(Pharmacia Biotech,S t.Albans)上で予備吸着された、0.2mM EDTA中の0.2mg/ml B SA内で周知のように希釈した。各種のタンパク質の分析のため、サンプルを1 5μl/分で汲み上げた。該表面の再生を、水中に0.1g/l SDSの10 μlの連続的な"QUICKINJECT/EXTRACLEAN"、引き続き1M NaClの2×10 μlによってなした。EB中の0.2mg/ml BSAの最後の15mlを、 いずれの非特異的結合部位もブロックするように注射した。自動分析流動から得 たデータファイルを、BIAcore BIAevaluationソフトウェ アー(BlAcore Ltd)を使用して非直線的な曲線フィット(34)によって分析した 。タンパク質濃度をBCA試薬(Pierce)によって測定し、各バッチのタンパク質 の生物学的活性を、一致した特異的活性を確認するためにMDCKアッセイ(7 )において確かめた。 細胞生物学的アッセイ MDCK及びミンク肺細胞のコロニー散乱分析を、以前に記載されたように実 施した(7)。DNA合成の測定のため、ミンク肺細胞を24穴プレート中に5, 000−10,000細胞/ウェルの密度で植菌し、48時間DMEM中でイン キュベーションすることによって血清を枯渇させた。次いで各種の濃度のHGF /SF及びHP1を加え、100μg/mlのBSAを含むDMEM中で24時 間インキュベーションを継続し、3H−チミジン(1μCi/ウェル)を加えた 後16時間最終のインキュベーションをなした。5% TCA中に不溶性の放射 性活性を、0.2M NaOH中で可溶化した後シンチレーションカウントによ って測定した。 ミンク肺細胞に対するwt−HGF/SF及びHP1の全結合 ミンク肺細胞を、24穴プレート中で密集させて成育させた。培地を使用した 2回の洗浄の後、細胞を30分4℃でインキュベーションした。次いでPBSに おけるHGF/SF及びHP1の一連の希釈物を該細胞に加え、4℃でさらに1 5分インキュベーションした。非結合因子をPBSを使用した3回の洗浄によっ て除去し、細胞をPBS中の4%パラホルムアルデヒドを使用して固定した。さ らなる2回の洗浄後、wt−HGF/SF及びHP1と同じ態様で反応するマウ ス抗HGF/SFモノクローナル抗体(クローン34)を使用してインキュベー ションし、引き続きFITC接合抗マウスIgGを使用してインキュベーション した。 ラットにおけるwt−HGF/SF及びHP1のクリアランス及び組織配置 10μgの精製HGF/SF及びHP1を、Biotez,Berlin,GermanyによるIod ogen(Pierce)を使用した固相法によってヨウ素化した。反応の後、1mg/ml のBSAを加え、遊離ヨウ素を、30kDaをカットオフしたCentrisat濾過装 置(Sartorius)上での複数の濾過によって除去した。特異的な活性を計算したと ころ、HGF/SFについて1.85MBq/mg、HP1について1.95M Bq/mgであった。ヨウ素化前後の該タンパク質の生物学的活性を、MDCK 細胞を使用した移動度アッセイにおいて比較して測定したところ、ヨウ素化の後 で80%であった。大人のラット(グループ当たり3匹)に麻酔をかけ、頸動脈 内にカテーテルを挿入し、0.2mlの125I−HGF/SFの単一の静脈内へ のボーラス注射を与えた(動物当たりHGF/SFについて0.45MBq、H P1について0.38MBq)。1,3,5,7,10及び60分、2時間及び 20時間後、200μlの血液のサンプルを、カテーテルを介して採取した。血 液を凝固させ、4℃で5分10,000gで遠心分離した。各サンプルについて 100μlを等量のPBSを使用して希釈し、2mlの氷冷10% TCAを加 えた。氷上で30分後、サンプルを遠心分離し、計数の前に5% TCAを使用 して沈降物を洗浄した。組織放射性活性の測定のために、125I標識wt−HG F/SFまたはHP1の注射の2時間後で動物を殺生し、PBSを使用して灌流 した。器官を取り出し、計量し、ホモジナイズし、放射性活性を沈降可能なTC Aの量を測定した。 大人の肝臓におけるDNA合成に対するwt−HGF/SF及びHP1の効果 肝細胞におけるDNA合成を誘導する野生型HGF/SF及びHP1の能力を 、組換えタンパク質の静脈内投与及びBrdUを使用した細胞標識に引き続き測 定した。略記すると、メスの動物(6−8週齢;体重19.5から26.9g) を、3日間尾の静脈にPBS、野生型HGF/SFまたはHP1のそれぞれ(5 5.5μg/投与量)を使用して一日二度注射した。因子の最後の注射時に、各 動物はBrdU(75μg/体重のg)を腹膜内に注射して受け取り、12時間 後に動物を殺生し、肝臓を切断し、凍結切片を調製した。切片を70%エタノー ルで固定し(5分)、37℃で10分2.4M HClを使用して処理し、Brd Uを取り込んだ核を、抗BrdU抗体(Sigma,1:400)を使用し、引き続き ペルオキシダーゼ接合抗マウスIgG(Jackson Laboratories,1:500)を使 用して染色した。 結果 HGF/SFのヘアピン構造及びクリングル2突然変異体 HGF/SFのN末端ドメインは、HGF/SFホモローグHGF1/MSP 及びプラスミノーケンで保存されている4個のシステイン残基を含む。プラスミ ノーゲンに対する研究(35)は、このドメインが二つのジスルフィド結合によ って安定化されたヘアピン構造を形成することを示した。HGF/SFのヘアピ ン構造の三次元モデルは、HGF1/MSP及びプラスミノーゲンの相当するモ デルには存在しないいくつかの正に荷電した残基の存在を示唆した(29)。HG F/SFのヘアピン構造の6個の異なる点突然変異体を構築し(HP1からHP 6)、その中で全部で10個のアミノ酸残基が置換された。該ストラテジーは、 正の残基を負に、負の残基を正に、疎水性残基を極性に変える突然変異を含んだ (突然変異体に配列については図1の記号参照)。これらの点突然変異体の能力を 、野生型(wt−)HGF/SF、及び全ヘアピン構造(アミノ酸68から10 0)が欠失された突然変異体であるHPΔのものと比較した。さらに、クリング ル2の二つの複数突然変異体を構築した:突然変異体Kr2−1においては、ク リングルの表面上の4つの正の残基のクラスター(H241,R242,K24 4及びR249)が、突然変異された;突然変異体Kr2−2においては、三つ の残基が突然変異され(R281,W282及びY284)、該残基はプラスミノ ーゲンクリングル4で存在するものと同様にクリングル2の表面で疎水性ポケッ トを形成していると予測された(29)。 最初の研究については、Neuro2A細胞系において一過的形質導入によっ て突然変異体を発現させ(図1a)、ヘパリン結合(図1b)及び生物学的活性( 図1c)について特徴付けした。HPDで予測されたように、ヘアピン構造を欠 失した突然変異体は、ヘパリン結合及び生物学的活性の両者を示さなかった。点 突然変異体は、三つの異なる群に分けられた:第1群(HP1,HP2及びHP 4)は、正常なシグナリング活性を示すが、非常に減少した(HP1及びHP2 )または減少した(HP4)ヘパリン結合を示した。第2群(HP3)は、シグ ナリング及びヘパリン結合の両者において過度の欠損を示し、第3群(HP5及 びHP6)は、本質的に野生型HGF/SFと同様の挙動を示した(図1b及び c)。第一のクリングル2突然変異体、Kr2−1は、ヘパリン結合及び生物学 的活性の過度の減少を示す一方で、第二の突然変異体、Kr2−2は、wt−H GF/SFと区別できないものであった(図1b及びc)。これらの結果から、我 々は、ヘアピン構造における正に荷電した残基の第一のクラスター(R73,R 76)は、ヘパリンと関与するがMET結合とは関与せず、残基R281,W2 82及びY284はいずれとも関与しないと結論付けることができる。正に荷電 した残基の二つのその他のクラスター、ヘアピン構造中のもの(K91及びK9 4)及びクリングル2中のもの(H241,R242,K24及びR249)は 、METおよびヘパリン結合の両者に関与するであろう。 ヘパリンに対するwt−HGF/SF、HP1及びそのNK2断片の結合速度 全長wt−HGF/SF及びHP1(著しく減少したヘパリン結合を示すが正 常の生物学的活性を示す二つの突然変異体の一つ)を、表面プラスモン共鳴(S PR)によってヘパリンに対する結合の速度を分析するために昆虫細胞中で発現 した。これらの実験は、HP1の結合速度における重要な差異を明らかにした。 wt−HGF/SF(4から30nM)のヘパリンに対する結合は、〜1×1 0-3-1の単一の一次解離速度定数(Koff)を表した。会合の間の結合の量は 、〜1×106-1-1の会合速度定数(Kon)で単一部位モデルに適合可能で あり、〜1×10-9Mのモル解離定数(Kd)を示した。HP1(4から80n M)は、顕著に減少したヘパリン結合を示した(データは示していない)。しかし ながら我々は、wt−HGF/SFとHP1の間で観察された差異は、二つのタ ンパク質のダイマーまたはオリゴマー形態の存在によって影響されており、その 点はサイズ排除カラムからの低い回収のために確立することはできないものと考 えた。それ故我々は、メチロトローフな酵母(methylotropic yeast)P.pastoris において、wt−HGF/SF及びHP1のNK2断片を発現し(すなわちヘパ リン結合に関与することが示されている全てのドメイン、Mizuno等,1994)、さら なる速度分析のためにそれらを使用した。P.pastoris培養物の上清から精製され たwt−NK2及びHP1−NK2は、Superdex-75カラム上で容易に分離可能 であるNK2モノマー及びダイマーの混合物より成り、ヘパリンに対する結合速 度をbona fideモノマー種を使用して確立することができた。 wt−NK2(図2a)及びHP1−NK2(図2b)のヘパリンに対する結 合の測定グラフを重ねたものは、ヘパリン結合における主要な差異を確認した。 wt−NK2については、解離曲線はより高い濃度でより遅れ、見かけのkoff 値は1から4×10-3-1の間で変化した(図2c、■)。対照的に、HP1−N K2の解離は(図2b)、6−7×10-3-1の見かけのkoff値に濃度と共に上 昇した(図2c、□)。wt−NK2の会合相の分析は(図2a)、複雑な速度を示 した。単一のクラスの結合部位を仮定し、最早期(最速)の相から得たデータを 合わせると、観察された会合速度定数(”Ks”)対300nMまでの濃度に対 するCのブロットは直線を与え(r2=0.997)、その直線から我々は、1. 75×106-1-1のkonを計算した(図2d、▲)。結合のより遅い段階では 、顕著に遅い会合を有する第二の相が認められたが、二つのクラスの結合部位に 基づくフィットモデルの試みは不適切であった。4×10-3-1のkoffに対す る最速の値及び1.75×106-1-1のkonに対する値、2.3nMのKd値 を、wt−NK2に対して計算した。 HP1−NK2について、結合の早期の相の分析(単一のクラスの結合部位の 存在を仮定して)は、Ks対Cプロットから〜5×104-1-1のkon値を与え た(図2d、□)。この数値は、wt−NK2のものよりも〜35倍低かった。koff に対する6×10-3-1の値を合わせると(図2c、□)、120nMのKdが HP1−NK2について計算された。それ故、HP1−NK2の結合親和性は、 wt−NK2に対するものより50倍低い。 HSPG及びMETに対するwt−HGF/SF及びHP1の結合、並びにイン ビトロでの標的細胞に対する二つのタンパク質の活性 細胞表面及びマトリックスヘパラン硫酸に対するwt−HGF/SF及びHP 1の結合を、ガン腫系HepG2及びHep3B並びにミンク肺細胞を含むいく つかの細胞系において調べた。後者は、大量のHGF/SF及びその切り詰めた 形態NK1及びNK2をHSPGを介して結合することが最近示されている(3 6)。免疫蛍光によると、HepG2、Hep3B及びミンク肺細胞に対するH P1の全結合が、wt−HGF/SFに対するものより顕著に低かった(データ は示されていない)。これらの結果は、定量的固相アッセイによって確認及び拡 張され、ミンク肺細胞に対する全長wt−HGF/SF及びHP1の結合を説明 する代表的な実験が図3に示されている。ミンク肺細胞に対するwt−HGF/ SFの全結合は、10から675ng/mlに安定して増大する一方、HP1の 結合は、同じ範囲の濃度に対してほとんど測定できなかった。外因性ヘパリン( 0.1mg/ml)は、該細胞に対するwt−HGF/SFの結合に対して効率 的に競合し、HP1のものよりわずかにだけ高いレベルにそれを減少した。これ は、細胞結合wt−HGF/SFの量はHSPGと関連し、HP1は上記分子に 結合しないことを確認する。 ヘパリン及び細胞会合性HSPGに対するHP1の減少した結合と著しく対照 的に、METレセプターの可溶性形態に対するHP1の結合、及びミンク肺細胞 におけるDNA合成の刺激を誘導する能力は、wt−HGF/SFに対するもの よりわずかにのみ低かった(それぞれ図4a及び4b)。同様な結果は、マウスケ ラチノサイト系MKでも得られた(データは示していない)。同様に、ミンク肺細 胞及びMDCK細胞の解離及び散乱を誘導するHP1の能力は、wt−HGF/ SFと区別できなかった(図5におけるパネルb対c、及びe対fを比較)。それ 故、ヘパリン及びHSPGに対する結合親和性の顕著な減少にも関わらず、標的 細胞に対するDNA合成及び細胞移動を誘導するHP1突然変異体の能力は、w t−HGF/SFと区別できなかった。 wt−HGF/SF及びHP1のインビボの活性 我々は、インビトロでの該因子の挙動に対するHP1突然変異体の効果を調べ た。このために、wt−HGF/SF及びHP1を、125−Iを使用して標識し 、大人のラットの頸動脈に注射した。次いで、血清及びいくつかの器官における 二つのタンパク質の濃度を、TCA−不溶性放射性活性の形態において測定した 。図6aは、血清からのwt−HGF/SF及びHP1に対するクリアランス曲 線を示す。以前の研究と一致して(23,37,38)、我々は循環からのwt− HGF/SFの迅速なクリアランスを観察した(最初の15分間で>98%)。H P1のクリアランスは顕著により遅く、試験した全ての時点で血漿におけるHP 1の濃度は、注射後20時間までwt−HGF/SFよりも5−10倍高かった (図6a)。 血清からのHP1のより遅いクリアランスは、肝臓、腎臓、肺、心臓、精巣及 び脾臓を含むいくつかの器官における突然変異因子の増大した量と関連した(図 6b)。異なる器官の間のHP1突然変異体及びwt−HGF/SFの相対的な 配置は同じであったが、HP1の濃度はwt−HGF/SFよりも2−3倍高か った(図6b)。次に、大人の肝臓においてDNA合成を誘導するwt−HGF/ SFの能力を、二つのタンパク質の静脈内注射の後に調べた。予期したように、 因子の非存在下では、DNA合成は非常に低いが、それはHGF/SFまたはH P1のそれぞれの投与の後に顕著に増大した(図6c)。しかしながら、HP1に よる刺激は、血清及び肝臓における該因子の増大した濃度と一致して(図6a及 び6b)、wt−HGF/SFに対するものより2.7倍高かった(図6c)。 諭考 HGF/SFのヘパリン及びレセプター結合部位 以前の研究は、HGF/SFのN末端ドメインのヘアピン構造が、ヘパリン( 24)及びレセプター結合(25−28)の両者について重要であることを示し た。本研究において、我々は、HGF/SFのヘパリン及びレセプター結合部位 をタンパク質操作によって分離することができ、顕著に減少したヘパリン結合を 有するHGF/SFの突然変異形態が、インビボで優れた生物学的活性を有する ことを示す。HP1及びHP2突然変異体の両者が、ヘパリンに対して顕著に減 少した親和性を有するが、培養物中の標的細胞上のwt−HGF/SFに匹敵す る生物学的活性を有することを考慮して、我々は、共通の突然変異(R73E及 びR76E)が、ヘパリン結合に重要であることを示唆し、その結論はR73E 、R76Eの二重突然変異の予備的特徴によって支持される。対照的に、ヘアピ ン構造中の正に荷電した残基の第二のクラスター(K91,K93及びK94)、 またはクリングル2中の正に荷電した残基の別のクラスター(H241,R24 2,K244及びR249)の置換は、標的細胞におけるヘパリン結合及びHG F/SFシグナリングの両者を破壊した。我々は、HGF/SFのN末端ドメイ ンのアラニンスキャニング突然変異誘発(39)が、MET結合及びシグナリン グに対する必須のヘアピン構造中の残基を同定しなかったことに気づく。これは 、ヘアピン構造中の近傍残基の複数の置換(我々が導入したもののような)が、 測定可能な変化を得るために必要であるからだろう。ヘパリン結合活性の程度は 、Lokker等(39)には報告されなかった。 ヘパリンに対するwt−HGF/SFおよびNK2断片の結合速度 我々のデータは、全長wt−HGF/SFが高い親和性(Kd=〜1nM)を 有してヘパリンを結合することを示す。この数値は、限外濾過による結合及び遊 離35Sヘパリンの分離に引き続く、35Sヘパリンに対する全長wt−HGF/S Fの結合を測定した別の研究から得た0.6nMの値に匹敵する(23)。測定さ れた速度が、ヘパリンとモノマー性タンパク質種の相互作用に起因することを確 認するために(そしてかくしてHP1突然変異体に対する正確な速度を確立する ために)、我々はP.pastorisにおいて発現されたモノマー性NK2断片に依存し た。wt−NK2の解離速度は、タンパク質の最高濃度での見かけのkoff値に 対する 顕著な効果を明らかにし、ヘパリンに対するNK2の共同的な結合を示唆した( データは示されていない)。飽和点またはその近くでの結合の化学量論の分析は 、16kDaのヘパリン当たりおよそ4個のwt−NK2分子を示す。低ヘパリ ン表面に対するwt−HGF/SFについてのより特定的でない概算は、ヘパリ ン分子当たり3.5分子のHGF/SFの値を提供した。これらの値は、NK2 及びHGF/SFのヘパリン結合部位が、〜14個の単糖類単位を包含すること を示唆し、その値は、12−14単位のヘパラン硫酸断片がHGF/SFに対す る高親和性結合にために必要とされることを報告した、Lyon等(40)の発見と 一致する。 ヘパリンに対する全長HGF/SFのモル解離定数(Kd=1nM)は、同じ 実験条件の下で酸性FGFとヘパリンの相互作用について得られた50nMの値 と匹敵する(41)。HGF/SF及びFGFのオンレートは同じであり(それぞ れ1.75対1.0×106-1-1)、親和性における差異はオフレートに寄与 する(HGF/SF及びFGFについて1×10-3-1対6×10-2-1)。HP 1のヘパリンに対する減少した親和性は、オンレートを減少することによって達 成され(図2d)、該結果は会合速度に対する静電気的相互作用の顕在化した役割 と一致する(42)。 HGF/SF及びFGF系におけるヘパラン硫酸に対する異なる役割 HP1突然変異体は、HGF/SF活性におけるヘパリン結合の役割に関する 多くの知見を提供している。HGF/SFは、HSPGを結合する多くの増殖因 子の一つであるか、増殖因子活性におけるヘパラン硫酸の役割は、FGFの場合 を除いて一般的に明らかではない。FGFと共に、三つの構成成分(リガンド、 レセプター及びヘパラン硫酸)がシグナリングのために必要であるという証拠が 存在する。この結論は、精製構成成分を使用した形質導入実験(2,3)及び生 化学的研究によって支持される(43)。おそらくHSPGは、FGFをダイマー 化し、それによってレセプターダイマー形成及びシグナリングを促進する(44 )ことによって機能し、その説明は最近のFGF−ヘパリン複合体の構造と一致 する(31)。 我々の結果は、HGF/SF系におけるHSPGに対する異なる役割を示す。 別の研究は、ヘパリンが培養物中の細胞上のHGF/SF及びNK1及びNK2 断片の活性を増大することを示唆するが(36)、我々は、HP1突然変異体のレ セプター結合及び生物学的活性が、ヘパリン結合における>50倍の欠損にも関 わらず、wt−HGF/SFとは本質的に区別できないことを見出す。 しかしながら我々の結果は、HSPGに結合するHGF/SFの生理学的機能 の疑問を生ずる。ここに存在するインビボのデータは、組織においてHGF/S Fの中和及び分解を促進するHSPGの役割を示唆する(図6a及び6b)。それ 故HSPGは、インビボでHGF/SFをクリアランスする手段を表す。実際に 、肝臓におけるHP1の増大したDNA合成活性(図6c)と組織における因子 の増大した濃度(図6b)の間には緊密な相関関係が存在する。HSPGの他の 考え得る役割を推測することは可能である。例えば、HSPGは、胚形成の間、 「モルフォゲン勾配(morphogen gradient)」の確立に必要とされるような、選択 された細胞または組織区画に対するHGF/SFの局在化を助けているかもしれ ない(45,46)。本方法の例は形成中の四肢であり、そこでは芽において筋 原性前駆細胞の移動がHGF/SF及びMETに必須に依存していることが周知 である(47)。 インビボでのヘパリン欠陥HGF/SF突然変異体の応用 HGF/SFの潜在的な治療上の応用については最近かなり興味が持たれてお り、いくつかの研究がインビボでの該増殖因子の薬物生体反応学の疑問に向けら れている。これらの研究の結果は、HGF/SFが循環から非常に迅速にクリア ランスされ(23,37,38)、血漿中の該増殖因子の半減期が、ヘパリン(2 3)またはデキストラン硫酸のような他のポリアニオンと該増殖因子を複合体化 することによって伸長可能であることを示した(48)。デキストラン硫酸と複合 体として融合したHGF/SFはまた、大人の動物における肝細胞増殖を誘導す る際に顕著により高い活性を有した(48)。我々の研究は、HP1突然変異体の ようなHGF/SFの操作された形態について、等しいまたは優れた結果を得る ことが可能であることを示す。該突然変異体は、循環においてより長い残余時間 (図6a)、より大きい組織濃度を有し(図6b)、大人の肝臓におけるDNA合成 を誘導する際にwt−HGF/SFよりも活性である(図6c)。それ故、それは 、薬物生体反応学及び活性を改良するために、ヘパリン様化合物とHGF/SF を複合体化する必要性を克服する。 ポリペプチド増殖因子が、特異的な膜レセプターを介して標的細胞に対する効 果を発揮することは十分に確立されている(1)が、これらのタンパク質の多く がまた、細胞表面及びマトリックスプロテオグリカン、特にヘパラン硫酸タイプ のもの(HSPG)を結合することが数年で明らかになっている。この二重相互 作用の生物学的重要性は、線維芽細胞増殖因子(FGF)の場合で良く理解され ている。FGFレセプターを発現するが、膜結合ヘパラン硫酸を欠いている細胞 は、FGFシグナリングに対する本質的な共レセプターとしてヘパラン硫酸を含 んでいる塩基性FGF(2,3)に応答しない。上皮増殖因子(EGF)−関連 するポリペプチドアンフィレグリン(amphiregulin)(4)及びヘパリン結合EG F(HB−EGF)(5)、同様に血管内皮増殖因子(VEGF)(6)のいくつか のスプライシング変異体もまた、活性のために細胞結合ヘパラン硫酸を必要とす るが、これらの系におけるHSPGの役割は十分に理解されていない。 肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)(7−12)は、他のものとは区 別され、血液プロテイナーゼ前駆体プラスミノーゲンのものと関連するドメイン 構造を有する、高分子量ポリペプチド増殖因子である。プラスミノーゲンと同様 に、HGF/SFは、不活性な一本鎖ポリペプチドとして生産され、それが二本 鎖種に蛋白分解的に変換される(13−15)。二本鎖HGF/SFは、c−Me t原ガン遺伝子によってコードされる特異的膜チロシンキナーゼレセプターを介 して、標的細胞において増殖、移動及び分化を誘導する(16,17)。HGF/ SFは、ナノモル以下の範囲のKdを有してMETレセプターに強固に結合する( 18,19)。HGF/SFはまた、ヘパリンを結合する(20,21)。これは、 METレセプターの可溶性形態に対する結合親和性に影響するとは解されないが 、標的細胞上でのレセプターリン酸化およびマイトジェン活性を増大する(22) 。HGF/SF−ヘパリン複合体はまた、持続した血漿濃度を示し、インビボで の肝のクリアランスを減少する(23)。 HGF/SFの分子構造は、レセプター及びヘパリン結合に対して応答性のド メインの同定を容易にした。N末端ドメイン(プラスミノーゲンの活性ペプチド と相同なドメイン)のヘアピン構造の欠失、またはクリングル2の欠失は、ヘパ リンに対する減少した見かけの親和性を有する突然変異体を導く(24)。対照的 に、クリングル1,3,4またはプロテイナーゼドメインのそれぞれの欠失は、 ほとんどまたは全く影響を有さない(24)。それ故、HGF/SFのヘパリン結 合部位は、N末端ドメインのヘアピン構造及びクリングル2内に含まれると解さ れる。しかしながら、同じドメインが、MET結合及びシグナリングについて必 須である(25−28)。 実施例2:変異体HGFを使用した治療 ウイルス感染または化学品/薬剤傷害のそれぞれのために急性肝疾患を有する 患者が、該疾患の急性期を通じて1−100μg/kgの投与量で、生理食塩水 における毎日の静脈内の注射により、変異体HGFを使用して治療される。該疾 患の発達は、αフェトプロテイン、γ−グロブリン、SGOT、SGPT及びγ −GTの血漿濃度を測定することによってモニターされる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年6月8日(1999.6.8) 【補正内容】 請求の範囲 1.医薬における使用のための、野生型HGFのヘアピンループ構造中の正に荷 電したアミノ酸残基が、負の荷電を有するアミノ酸残基を使用して置換されてい ることを特徴とする、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを実質的に結合できないが 、HGFレセプターに対して結合可能である変異体肝細胞増殖因子(HGF)。 2.医薬における使用のための、少なくともアミノ酸残基R73が、負の荷電を 有するアミノ酸残基によって置換されていることを特徴とする、請求項1記載の 変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 3.医薬における使用のための、少なくともアミノ酸残基R76が、負の荷電を 有するアミノ酸残基によって置換されていることを特徴とする、請求項1または 2記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 4.医薬における使用のための、アミノ酸残基R73及びR76の両者が、負の 荷電を有するアミノ酸残基を使用して独立に置換されていることを特徴とする、 請求項1ないし3のいずれか一項記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 5.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E及びR76Eを含む 変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 6.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E、R76E及びR9 3Eを含む変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 7.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E、R76E及びK7 8Eを含む変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 8.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E及びR76Eを有するヒ トHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 9.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E、R76E及びR93E を有するヒトHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 10.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E、R76E及びK78 Eを有するヒトHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 11.医薬における使用のための、野生型HGFの機能と拮抗する、請求項1な いし10のいずれか一項記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF)。 12.医薬における使用のための、該変異体HGFが、二本鎖形態へのHGFの インビボでの変換が可能な酵素による蛋白分解的な切断に対して、該変異体HG Fに耐性を与える突然変異をさらに含むことを特徴とする、請求項11記載の変 異体肝細胞増殖因子(HGF)。 13.野生型ヒトHGFのアミノ酸493,494,495及び496のいずれ かで、またはその近傍で、アミノ酸改変を有する、請求項12記載の変異体ヒト 肝細胞増殖因子(HGF)。 14.請求項1ないし13のいずれかに記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF)、 及び製薬学的に許容可能なキャリアーを含む製薬組成物。 15.請求項1ないし13のいずれか一項に記載の変異体HGFの有効量を患者 に投与することを含むことを特徴とする、肝細胞増殖因子またはそのアンタゴニ ストを使用して治療の必要のある患者を治療する方法。 16.該患者がガンを有することを特徴とする請求項15記載の方法。 17.HGFまたはそのアンタゴニストを使用して治療の必要のある患者を治療 するための医薬の製造における、請求項1ないし10のいずれか一項記載の変異 体肝細胞増殖因子(HGF)の使用。 18.該患者がガンを有することを特徴とする請求項17記載の使用。 19.該変異体HGFが、置換(a)R73E、R76E及びR93Eまたは( b)R73E及びR76Eまたは(c)K91E、R93E及びK94Eがなさ れているヒトHGFの変異体ではないという条件で、野生型HGFのヘアピンル ープ構造中の正に荷電したアミノ酸残基が、負の荷電を有するアミノ酸残基を使 用して置換されていることを特徴とする変異体肝細胞増殖因子(HGF)。 20.少なくともアミノ酸残基R73が、負の荷電を有するアミノ酸残基によっ て置換されていることを特徴とする、請求項19記載の変異体ヒト肝細胞増殖因 子(HGF)。 21.少なくともアミノ酸残基R76が、負の荷電を有するアミノ酸残基によっ て置換されていることを特徴とする、請求項19記載の変異体ヒト肝細胞増殖因 子(HGF)。 22.アミノ酸残基R73及びR76の両者が、負の荷電を有するアミノ酸残基 を使用して独立に置換されていることを特徴とする、請求項19ないし21のい ずれか一項記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 23.アミノ酸残基置換R73E、R76E及びK78Eを含む変異体ヒト肝細 胞増殖因子(HGF)。 24.野生型HGFの機能と拮抗する、請求項19記載の変異体肝細胞増殖因子 (HGF)。 25.該変異体HGFが、二本鎖形態へのHGFのインビボでの変換が可能な酵 素による蛋白分解的な切断に対して、該変異体HGFに耐性を与える突然変異を さらに含むことを特徴とする、請求項24記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF) 。 26.野生型ヒトHGFのアミノ酸493,494,495及び496のいずれ かで、またはその近傍で、アミノ酸改変を有する、請求項25記載の変異体ヒト 肝細胞増殖因子(HGF)。 27.請求項19ないし24のいずれか一項記載の変異体肝細胞増殖因子をコー ドするポリヌクレオチド。 28.請求項27記載のポリヌクレオチドを含むベクター。 29.請求項27または28記載のポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主 細胞。 30.請求項29記載の細胞を培養すること、及びそこから変異体HGFを単離 することを含むことを特徴とする、変異体肝細胞増殖因子(HGF)を生産する 方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C12N 1/15 C07K 14/475 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A C12P 21/02 A61K 37/24 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ハートマン,ギドー イギリス国 ケンブリッジ CB1 3S E ランガム ロード 24

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.医薬における使用のための、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを実質的に結合 できないが、HGFレセプターに対して結合可能である変異体肝細胞増殖因子( HGF)。 2.医薬における使用のための、野生型HGFのヘアピンループ構造中の正に荷 電したアミノ酸残基が、荷電を有しないまたは負の荷電を有するアミノ酸残基を 使用して置換されていることを特徴とする、請求項1記載の変異体肝細胞増殖因 子(HGF)。 3.医薬における使用のための、少なくともアミノ酸残基R73が、荷電を有し ないまたは負の荷電を有するアミノ酸残基によって置換されていることを特徴と する、請求項1または2記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 4.医薬における使用のための、少なくともアミノ酸残基R76が、荷電を有し ないまたは負の荷電を有するアミノ酸残基によって置換されていることを特徴と する、請求項1または2記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 5.医薬における使用のための、アミノ酸残基R73及びR76の両者が、荷電 を有しないまたは負の荷電を有するアミノ酸残基を使用して独立に置換されてい ることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項記載の変異体ヒト肝細胞 増殖因子(HGF)。 6.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E及びR76Eを含む 変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 7.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E、R76E及びR9 3Eを含む変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 8.医薬における使用のための、アミノ酸残基置換R73E、R76E及びK7 8Eを含む変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 9.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E及びR76Eを有するヒ トHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 10.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E、R76E及びR93 Eを有するヒトHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 11.医薬における使用のための、アミノ酸置換R73E、R76E及びK78 Eを有するヒトHGFより成る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 12.医薬における使用のための、野生型HGFの機能と拮抗する、請求項1記 載の変異体肝細胞増殖因子(HGF)。 13.医薬における使用のための、該変異体HGFが、二本鎖形態へのHGFの インビボでの変換が可能な酵素による蛋白分解的な切断に対して、該変異体HG Fに耐性を与える突然変異をさらに含むことを特徴とする、請求項12記載の変 異体肝細胞増殖因子(HGF)。 14.野生型ヒトHGFのアミノ酸493,494,495及び496のいずれ かで、またはその近傍で、アミノ酸改変を有する、請求項13記載の変異体ヒト 肝細胞増殖因子(HGF)。 15.請求項1ないし14のいずれかに記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF)、 及び製薬学的に許容可能なキャリアーを含む製薬組成物。 16.請求項1ないし14のいずれか一項に記載の変異体HGFの有効量を患者 に投与することを含むことを特徴とする、肝細胞増殖因子またはそのアンタゴニ ストを使用して治療の必要のある患者を治療する方法。 17.該患者がガンを有することを特徴とする請求項16記載の方法。 18.HGFまたはそのアンタゴニストを使用して治療の必要のある患者を治療 するための医薬の製造における、請求項1ないし10のいずれか一項記載の変異 体肝細胞増殖因子(HGF)の使用。 19.該患者がガンを有することを特徴とする請求項18記載の使用。 20.該変異体HGFが、置換(a)R73E、R76E及びR93Eまたは( b)R73E及びR76Eまたは(c)K91E、R93E及びK94Eがなさ れているヒトHGFの変異体ではないという条件で、ヘパラン硫酸プロテオグリ カンを実質的に結合できないが、HGFレセプターに対して結合可能である変異 体肝細胞増殖因子(HGF)。 21.野生型HGFのヘピンループ構造中の正に荷電したアミノ酸残基が、荷電 を有しないまたは負の荷電を有するアミノ酸残基によって置換されていることを 特徴とする、請求項20記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF)。 22.少なくともアミノ酸残基R73が、荷電を有しないまたは負の荷電を有す るアミノ酸残基によって置換されていることを特徴とする、請求項20または2 1記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 23.少なくともアミノ酸残基R76が、荷電を有しないまたは負の荷電を有す るアミノ酸残基によって置換されていることを特徴とする、請求項20または2 1記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 24.アミノ酸残基R73及びR76の両者が、荷電を有しないまたは負の荷電 を有するアミノ酸残基を使用して独立に置換されていることを特徴とする、請求 項20ないし23のいずれか一項記載の変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 25.アミノ酸残基置換R73E及びR76Eを含む変異体ヒト肝細胞増殖因子 (HGF)。 26.アミノ酸残基置換R73E、R76E及びR93Eを含む変異体ヒト肝細 胞増殖因子(HGF)。 27.アミノ酸残基置換R73E、R76E及びK78Eを含む変異体ヒト肝細 胞増殖因子(HGF)。 28.アミノ酸置換R73E及びR76Eを有するヒトHGFより成る変異体ヒ ト肝細胞増殖因子(HGF)。 29.アミノ酸置換R73E、R76E及びR93Eを有するヒトHGFより成 る変異体ヒト肝細胞増殖因子(HGF)。 30.野生型HGFの機能と拮抗する、請求項20記載の変異体肝細胞増殖因子 (HGF)。 31.該変異体HGFが、二本鎖形態へのHGFのインビボでの変換が可能な酵 素による蛋白分解的な切断に対して、該変異体HGFに耐性を与える突然変異を さらに含むことを特徴とする、請求項30記載の変異体肝細胞増殖因子(HGF) 。 32.野生型ヒトHGFのアミノ酸493,494,495及び496のいずれ かで、またはその近傍で、アミノ酸改変を有する、請求項31記載の変異体ヒト 肝細胞増殖因子(HGF)。 33.請求項20ないし30のいずれか一項記載の変異体肝細胞増殖因子をコー ドするポリヌクレオチド。 34.請求項33記載のポリヌクレオチドを含むベクター。 35.請求項33または34記載のポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主 細胞。 36.請求項35記載の細胞を培養すること、及びそこから変異体HGFを単離 することを含むことを特徴とする、変異体肝細胞増殖因子(HGF)を生産する 方法。 37.ここで開示されるいずれかの新規な変異体肝細胞増殖因子(HGF)。
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