【発明の詳細な説明】
自動車の内燃機関のための冷却装置
本発明は、冷却ファン、冷却器要素、及びファンフレームからなり、このファ
ンフレームが、冷却ファンを囲むファンリングから冷却器要素にまで延びており
、その際、冷却器要素が、側方に冷却ファンの投影を越えて突出し、かつ冷却フ
ァンの投影が、上方及び/又は下方に冷却器要素を越えて突出している、自動車
の内燃機関のための冷却装置に関する。
このような冷却装置は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第243903
3号明細書に記載されている。ファンは、長手方向に置かれた機関を有する車両
において慣用のように、ここからVベルトを介して駆動されている。これは、円
形面を覆い、この円形面の高さ位置は、駆動装置のためにほとんどの場合に不都
合であり、かつもはや狭い限界内だけでしか選択することができない。現代の車
両において空気力学的な理由により、低く低下する機関フードが望まれている。
このことは、所定の必要な冷却面積の際に、きわめて幅広いかつ低い冷却器要素
を前提とする。
冷却器要素は、少なくとも一方の側においてではあるが(非対称配置の際)ほ
とんどの場合に両側においてファンの円形面の投影を越えて突出し、かつ円形面
は、他方において冷却器要素の上側縁を越えて突出する。ファンフレームは、こ
の不都合な流れのずれに打勝たなければならず、このことは、わずかな軸線方向
間隔のためにほとんど不可能である。不十分にしか又は全く流通されない冷却器
要素の範囲、及び不十分にしか流れの当たらない冷却ファンにおけるセクタが生
じる。これらの範囲及びセクタは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第24390
33号明細書において認めることができる。
その結果、冷却システムは、所定の危険な状況(暑い気候を有する国
におけるおそらくなお投入された空気調和装置を有する停止動作、全負荷におけ
る山道走行等)において故障し、又は手間のかかるかつコストのかかる追加的な
予防処置(過剰な寸法の部分、電気的な補助ファン、追加的な熱源の温度制御さ
れる遮断等)によって保護しなければならない。
それ故に本発明の課題は、冷却器要素及び冷却ファンの所定の寸法において、
最小の構造費用で冷却能力を増加するように、冷却装置を改善することにある。
既存の車両における追加装備が可能であるようにする。
このことは、本発明により次のようにして可能である。すなわちファンフレー
ムが、側方に冷却ファンの投影を越えて突出する部分に、垂直な流れ通路を形成
し、かつ冷却器要素を越えて突出する部分に、収集空間を形成し、この収集空間
が、垂直流れ通路に流れ結合されており、かつ冷却ファンに向かって開いている
。
このようにして従来の技術によっては流通されない冷却器要素の範囲は、垂直
流れ通路及び収集空間を介して不十分にしか流れの当たらない冷却ファンのセク
タに結合されている。両方の面が完全に利用される。それにより本発明により構
成されたファンフレームを挿入するだけで、冷却能力は、最高けん引重量を有す
るシミュレートされた山道走行の際に8%だけ、ベンチにおける無負荷運転の際
にそれどころか25%だけ増加した。
冷却ファンと冷却器要素との空間的な対応に応じて、このような垂直流れ通路
は、ファンリングの両側又は片側だけに設けられる。収集空間は、通常冷却器要
素の上に形成されるが、これは、対応条件によって冷却器要素の下、又は上及び
下に形成してもよい。
本発明の思想の変形において、収集空間は、車両長手方向において前方に冷却
器要素を上からつかむことができ(請求項2)、かつ垂直流れ通路は、ファンリン
グを外側からつかむことができる(請求項3)。それにより組込み寸法を増加する
ことなく、垂直流れ通路及び収集空間の大き
な横断面積が達成され、かつファンフレームは、製造技術的にとくに実際的な形
を得ることができる。機関フードは、この時、とくに扁平にすることができる。
冷却器要素及び冷却ファンのほぼ対称的な配置の際に、ファンフレームの両側
に、垂直流れ通路が配置されている(請求項4)。
本発明の最適な変形のために、垂直流れ通路の流れ横断面積は、覆われる冷却
器面積の程度において増大するように選択される。それにより通路内における流
れの速度は、ほぼ一定なので、最小の流れ損失が生じる。
次に本発明を図面により記述しかつ説明する。ここでは:
図1は、従来の技術による冷却装置を長手断面図で概略的に示し;
図2は、図1の11にしたがって見た図を示し;
図3は、本発明による冷却装置の第1の構成の長手断面図を示し;
図4は、図3に対して走行方向に見た図を示し;
図5は、図3におけるV−Vによる水平断面図を示し;
図6は、本発明による冷却装置の第2の構成の長手断面図を示し;
図7は、図6に対して走行方向に見た図を示し;
図8は、図6におけるVIII−VIIIによる水平断面図を示している。
図1及び2において、長手支持体1による車両の支持構造が象徴的に示されて
いる。ここにおいて冷却器要素2は、周知のように振動を減衰する要素を介して
支持されている。機関室板3は、上側において冷却器要素2に続き、かつ場合に
よっては隔壁を形成している。これは、同様に車両構造の一部であり、かつ止め
金5によって機関室板3にロック可能な機関フード4のための横棒として使われ
る。冷却器グリル6及び衝撃バンパ7は、暗示されているだけである。
従来の技術によるファンフレーム8は、ファンリング9から四角形冷却器要素
2にまで延びている。ファンリング9は、いくらかの遊びを持
って冷却ファン10を、慣用のように軸流ファンを囲んでおり、この冷却ファン
は、図示しない機関に取付けられており、かつこれにより駆動されているか、又
は独自の駆動機関(図示せず)によって駆動され、かつファンフレーム8に取付
けられている。
図2において、ファン10によって覆われる面の一部11が、冷却器要素2を
越えて突出しており、かつ冷却器要素の面の一部12が、冷却ファン10の投影
によって覆われていないことが明らかである。ファンフレーム8は、それ故に冷
却ファン10の側方において実質的に走行方向に対して横向きに延びているので
、冷却器要素2の一部12は、実質的に流通されない。
図3、4、5において、本発明により構成されたファンフレームは、概略的に
18で示されている。これは、板から製造でき、又は1つの合成物質部分である
ことができる。これは、円形のファンフレーム9から冷却器要素2にまで達して
いる。ここにおいてこれは、下側接続縁19、側方接続縁20及び上側接続縁2
1を形成している。ファンフレーム18は、冷却器要素2の部分12の後に垂直
な流れ通路12を形成し、この流れ通路の横断面は、それぞれその幅及び深さに
よって決められる。深さは、カバー面24によって与えられている。
図3において、流れ通路23の深さが、下から上に増大することがわかる。図
示した構成において、ファン10の両側にそれぞれ1つのこのような垂直流れ通
路が設けられている。この流れ通路は、上側において収集空間22に口を開いて
おり、この収集空間は、冷却器要素2を前方に上からつかんでいる。それにより
これは、流れ通路23内において送られる空気を転向し、かつ冷却ファン10に
よって覆われる面の突出した部分11に供給することができるように構成できる
。
図6、7、8による変形された形は、ファンフレーム28が収集空間32を形
成し、この収集空間が、補助空間35だけ拡大されている点において、前記のも
のと相違している。これは、垂直流れ通路33がファ
ンリング9を完全に囲むことによって生じる。流れ通路33は、さらに深く形成
することができ、カバー面34の位置は、図6に例として暗示されている。
本発明により構成されたファンフレームによって、冷却器要素2とファン10
の間の距離を増加することなく、冷却ファン10の軸線の位置、冷却器要素2の
位置に関係なく、冷却器要素2の全面を効果的に流通することができる。いずれ
の場合にも、垂直流れ通路の横断面の経過は、ファンの構成から周知の規則の枠
内において空気力学的な要件に整合することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年5月12日(1999.5.12)
【補正内容】
明細書(補正)
自動車の内燃機関のための冷却装置
本発明は、冷却ファン、冷却器要素、及びファンフレームからなり、このファ
ンフレームが、冷却ファンを囲むファンリングから冷却器要素にまで延びており
、その際、冷却器要素が、側方に冷却ファンの投影を越えて突出し、かつ冷却フ
ァンの投影が、上方及び/又は下方に冷却器要素を越えて突出している、自動車
の内燃機関のための冷却装置に関する。
このような冷却装置は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第243903
3号明細書又はドイツ連邦共和国特許出願公開第3404887号明細書に記載
されている。ファンは、長手方向に置かれた機関を有する車両において慣用のよ
うに、ここからVベルトを介して駆動されている。これは、円形面を覆い、この
円形面の高さ位置は、駆動装置のためにほとんどの場合に不都合であり、かつも
はや狭い限界内だけでしか選択することができない。現代の車両において空気力
学的な理由により、低く低下する機関フードが望まれている。このことは、所定
の必要な冷却面積の際に、きわめて幅広いかつ低い冷却器要素を前提とする。
冷却器要素は、少なくとも一方の側においてではあるが(非対称配置の際)ほ
とんどの場合に両側においてファンの円形面の投影を越えて突出し、かつ円形面
は、他方において冷却器要素の上側縁を越えて突出する。ファンフレームは、こ
の不都合な流れのずれに打勝たなければならず、このことは、わずかな軸線方向
間隔のためにほとんど不可能である。不十分にしか又は全く流通されない冷却器
要素の範囲、及び不十分にしか流れの当たらない冷却ファンにおけるセクタが生
じる。これらの範囲及びセクタは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第24390
33号明細書において認めることができる。
その結果、冷却システムは、所定の危険な状況(暑い気候を有する国
におけるおそらくなお投入された空気調和装置を有する停止動作、全負荷におけ
る山道走行等)において故障し、又は手間のかかるかつコストのかかる追加的な
予防処置(過剰な寸法の部分、電気的な補助ファン、追加的な熱源の温度制御さ
れる遮断等)によって保護しなければならない。
それ故に本発明の課題は、冷却器要素及び冷却ファンの所定の寸法において、
最小の構造費用で冷却能力を増加するように、冷却装置を改善することにある。
既存の車両における追加装備が可能であるようにする。
このことは、本発明により次のようにして可能である。すなわちファンフレー
ムが、側方に冷却ファンの投影を越えて突出する部分に、垂直流れ方向に増大す
る横断面積を有する垂直な流れ通路を形成し、かつ冷却器要素の投影を越えて突
出する部分に、収集空間を形成し、その際、垂直流れ通路が、収集空間に移行し
、かつ収集空間が、冷却器要素の投影を越えて突出する冷却ファンの部分に向か
って開いている。
このようにして従来の技術によっては流通されない冷却器要素の範囲は、垂直
流れ通路及び収集空間を介して不十分にしか流れの当たらない冷却ファンのセク
タに結合されている。両方の面が完全に利用される。それにより本発明により構
成されたファンフレームを挿入するだけで、冷却能力は、最高けん引重量を有す
るシミュレートされた山道走行の際に8%だけ、ベンチにおける無負荷運転の際
にそれどころか25%だけ増加した。
冷却ファンと冷却器要素との空間的な対応に応じて、このような垂直流れ通路
は、ファンリングの両側又は片側だけに設けられる。収集空間は、通常冷却器要
素の上に形成されるが、これは、対応条件によって冷却器要素の下、又は上及び
下に形成してもよい。
本発明の思想の変形において、収集空間は、冷却ファンから離れる方向におい
て冷却器要素を上からつかむことができ(請求項2)、かつ垂直流れ通路は、ファ
ンリングを外側からつかむことができる(請求項3)。
それにより組込み寸法を増加することなく、垂直流れ通路及び収集空間の大きな
横断面積が達成され、かつファンフレームは、製造技術的にとくに実際的な形を
得ることができる。機関フードは、この時、とくに扁平にすることができる。
冷却器要素及び冷却ファンのほぼ対称的な配置の際に、ファンフレームの両側
に、垂直流れ通路が配置されている(請求項4)。
本発明の最適な変形のために、垂直流れ通路の流れ横断面積は、覆われる冷却
器面積の程度において増大するように選択される。それにより通路内における流
れの速度は、ほぼ一定なので、最小の流れ損失が生じる。
次に本発明を図面により記述しかつ説明する。ここでは:
図1は、従来の技術による冷却装置を長手断面図で概略的に示し;
図2は、図1のIIにしたがって見た図を示し;
図3は、本発明による冷却装置の第1の構成の長手断面図を示し;
図4は、図3に対して走行方向に見た図を示し;
図5は、図3におけるV−Vによる水平断面図を示し;
図6は、本発明による冷却装置の第2の構成の長手断面図を示し;
図7は、図6に対して走行方向に見た図を示し;
図8は、図6におけるVIII−VIIIによる水平断面図を示している。
図1及び2において、長手支持体1による車両の支持構造が象徴的に示されて
いる。ここにおいて冷却器要素2は、周知のように振動を減衰する要素を介して
支持されている。機関室板3は、上側において冷却器要素2に続き、かつ場合に
よっては隔壁を形成している。これは、同様に車両構造の一部であり、かつ止め
金5によって機関室板3にロック可能な機関フード4のための横棒として使われ
る。冷却器グリル6及び衝撃バンパ7は、暗示されているだけである。
従来の技術によるファンフレーム8は、ファンリング9から四角形冷
却器要素2にまで延びている。ファンリング9は、いくらかの遊びを持って冷却
ファン10を、慣用のように軸流ファンを囲んでおり、この冷却ファンは、図示
しない機関に取付けられており、かつこれにより駆動されているか、又は独自の
駆動機関(図示せず)によって駆動され、かつファンフレーム8に取付けられて
いる。
図2において、ファン10によって覆われる面の一部11が、冷却器要素2を
越えて突出しており、かつ冷却器要素の面の一部12が、冷却ファン10の投影
によって覆われていないことが明らかである。ファンフレーム8は、それ故に冷
却ファン10の側方において実質的に走行方向に対して横向きに延びているので
、冷却器要素2の一部12は、実質的に流通されない。
図3、4、5において、本発明により構成されたファンフレームは、概略的に
18で示されている。これは、板から製造でき、又は1つの合成物質部分である
ことができる。これは、円形のファンフレーム9から冷却器要素2にまで達して
いる。ここにおいてこれは、下側接続縁19、側方接続縁20及び上側接続縁2
1を形成している。ファンフレーム18は、冷却器要素2の部分12の後に垂直
な流れ通路12を形成し、この流れ通路の横断面は、それぞれその幅及び深さに
よって決められる。深さは、カバー面24によって与えられている。
図3において、流れ通路23の深さが、下から上に増大することがわかる。図
示した構成において、ファン10の両側にそれぞれ1つのこのような垂直流れ通
路が設けられている。この流れ通路は、上側において収集空間22に口を開いて
おり、この収集空間は、冷却器要素2を前方に上からつかんでいる。それにより
これは、流れ通路23内において送られる空気を転向し、かつ冷却ファン10に
よって覆われる面の突出した部分11に供給することができるように構成できる
。
図6、7、8による変形された形は、ファンフレーム28が収集空間32を形
成し、この収集空間が、補助空間35だけ拡大されている点に
おいて、前記のものと相違している。これは、垂直流れ通路33がファンリング
9を完全に囲むことによって生じる。流れ通路33は、さらに深く形成すること
ができ、カバー面34の位置は、図6に例として暗示されている。
本発明により構成されたファンフレームによって、冷却器要素2とファン10
の間の距離を増加することなく、冷却ファン10の軸線の位置及び冷却器要素2
の位置に関係なく、冷却器要素2の全面を効果的に流通することができる。いず
れの場合にも、垂直流れ通路の横断面の経過は、ファンの構成から周知の規則の
枠内において空気力学的な要件に整合することができる。
請求の範囲
1.冷却ファン(10)、冷却器要素(2)、及びファンフレームからなり、この
ファンフレームが、冷却ファンを囲むファンリング(9)から冷却器要素にまで
延びており、その際、冷却器要素が、側方に冷却ファンの投影を越えて突出し、
かつ冷却ファンの投影が、上方及び/又は下方に冷却器要素を越えて突出してい
る、自動車の内燃機関のための冷却装置において、ファンフレーム(18;28
)が、側方に冷却ファン(10)の投影を越えて突出する部分(12)に、垂直
流れ方向に増大する横断面積を有する垂直な流れ通路(23;33)を形成し、
かつ冷却器要素(2)の投影を越えて突出する部分(11)に、収集空間(22
;32,35)を形成し、垂直流れ通路(23;33)が、収集空間に移行し、
かつ収集空間が、冷却器要素の投影を越えて突出する冷却ファン(10)の部分
に向かって開いていることを特徴とする、自動車の内燃機関のための冷却装置。
2.収集空間(22;32,35)が、冷却ファン(10)から離れる方向に
おいて冷却器要素(2)を上からつかんでいることを特徴とする、請求項1に記
載の冷却装置。
3.垂直流れ通路(33)が、ファンリング(9)を外側からつかんでいるこ
とを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
4.ファンフレーム(18;28)の両側に、垂直流れ通路(23;33)が
配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。